JP4615404B2 - マルチキャリア無線通信システム、送信機及び受信機並びにマルチキャリア無線通信方法 - Google Patents
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OFDM方式は、数十から数千のキャリアを、理論上干渉の起こらない最小となる周波数間隔に並べ、周波数分割多重で情報信号を並列に伝送する方式である。このOFDM方式は、使用するサブキャリアの数を多くすると、同じ伝送レートのシングルキャリア方式と比較してシンボル時間が長くなるため、マルチパス干渉の影響を受けにくいという利点がある。
以下に従来のOFDM方式の復調装置の構成を説明する(特許文献1、他)。
その後、フーリエ変換部1005においてフーリエ変換が行われ、サブキャリア毎の信号に分離される。パイロット抽出部1006では、フーリエ変換後の信号から、伝搬路推定用に挿入されたパイロット信号を抽出する(ここでは、スキャッタードパイロット方式を想定する)。抽出された受信パイロット信号は、除算部1007においてパイロット発生部1008で発生された既知のパイロット信号との除算が行われる。この除算部1007における除算により周波数領域におけるパイロット信号の伝搬路変動を伝播係数の振幅値および位相値として求めることができる。
そして、フーリエ変換部1013では時間窓部1012の出力に対してフーリエ変換が行われ、パイロット信号以外のサンプルも値を有する周波数領域の伝搬路変動が得られ、伝搬路補償部1014においてフーリエ変換部1013の出力を利用した伝搬路補償が行われる。このようにして伝搬路補償されたデータは、誤り訂正復号部1015において復号され、データが得られる。
しかし、この例に示される構成では、逆フーリエ変換部1010の入力帯域幅(入力サンプル数)に対してゼロ挿入部1009の出力帯域幅(出力サンプル数)が狭い(少ない)ことにより、逆フーリエ変換部1010の出力は、サイドローブ成分を有するインパルス応答になる。
また、受信機に到来する信号の受信タイミングが時間サンプルタイミングと一致しない場合にもまた、逆フーリエ変換部1010の出力はサイドローブ成分を有するインパルス応答になる。すなわち、インパルス応答が単純に減衰せず、いくつかの周波数軸上に副次的なピークを有する応答になる。
図8は、伝搬路推定部1112(図7の伝搬路推定部1016の変形)の構成を示すブロック図である。この伝搬路推定部1112は、パイロット抽出部1101、除算部1102、パイロット発生部1103、ゼロ挿入部1104、周波数窓乗算部1105、逆フーリエ変換部1106、低サンプル除去部1107、時間窓部1108、フーリエ変換部1109、周波数窓除算部1110を有する。
これにより、伝播路の周波数応答を測定するための伝播路推定用シンボルの送信時に、無線送信機から送信するデータ用キャリアに対して、歪が発生する領域にダミーキャリア付加手段によりダミーキャリアを付加して無線送信機から送信することによって、伝搬路推定手段により伝播路推定用シンボルを利用して伝搬路を推定することができるとともに、ダミーキャリアに歪を発生させることにより、データ用キャリアには歪を発生させないようにすることができる。よって、伝搬路の推定精度が劣化するのを防ぐことができるとともに、ダミーキャリア分離手段によりダミーキャリアとデータ用キャリアとを分離することにより、歪が発生していないデータ用キャリアを受信することができる。また、周波数窓乗算する回路や、周波数窓除算する回路を設ける必要がないので、回路規模が増大するのを防ぐことができる。
本実施形態によるマルチキャリア無線通信方法は、時間窓法により伝播路推定時に発生する帯域端の歪を軽減して、伝搬路推定精度の劣化を軽減するものである。時間窓法は上述の従来例に示したとおり、パイロット信号を受信した後に周波数領域に変換し、送信時に使用した符号の複素共役を乗じた後に(送信時に使用した符号の複素共役を乗じることは、送信時に使用した符号で除算することと実質的に等価である)時間領域に変換することでパイロット信号をインパルス信号に変換し、時間窓を使用することでインパルス信号以外の雑音成分を削除し、その後周波数領域に変換することで伝播路情報を得る方法である。
図1(a)はマルチパスの無い理想状態で受信したパイロット信号の周波数軸信号に送信時に使用した符号の複素共役を乗じた信号を示したものであり、図1(b)は時間窓を周波数軸に変換したものである。図1(a)に示した通り、パイロット信号はDFT/IDFT処理ポイント全てに配置されていないため有限の帯域を持つように表現される。
時間窓処理は複素共役を乗じたパイロット信号を時間軸に変換した信号に対し時間軸上で時間窓の波形を乗じる処理であるが、この処理を周波数軸上で表すと複素共役を乗じたパイロット信号の周波数信号に対し時間窓の周波数信号を畳み込む処理となる。図1(a)の波形と図1(b)の波形を畳み込んだ波形が図1(c)に示す波形となる。
本実施形態によるマルチキャリア無線通信方法はこの点に着目し、送信時にパイロット信号にダミーキャリアを追加することでパイロット信号の帯域を増やし、受信時に時間窓法による雑音除去処理を行った際に発生する歪をダミーキャリアの位置に集中させ、そのダミーキャリアを除去することでデータ伝送に使用する帯域の伝播路推定結果に歪が加わることを抑制するものである。
誤り訂正符号部201は、通信データに対して誤り訂正符号のエンコード処理を行う。S/P変換部202は、誤り訂正符号化後の信号をシリアル−パラレル変換する。マッピング部203は、どのキャリアにどのビットを割り当てるかを決める。IFFT部204は、マッピング後のデータを逆高速フーリエ変換して時間軸信号に変化させる。
GI挿入部208は、OFDMシンボルにガードインターバルを付加する。D/A変換部209は、デジタル信号をアナログに変換する。無線部210は、ベースバンド信号を実際に使用する周波数に変換し、アンテナから送信するために所定の出力まで増幅する。
アンテナ部211は、送信アンテナを含むアンテナ部である。
S/P変換301は、入力信号を各サブキャリア毎に処理するために並列化する。乗算部303は、各サブキャリアのデータを拡散する。IFFT部304は、各サブキャリアのデータを読み込んで時間軸波形に変換する逆高速フーリエ変換処理を行う。P/S変換部305は、逆高速フーリエ変換の処理後のパラレル信号をシリアルに変換する。
本実施形態では帯域の両側に2本ずつダミーキャリアを付加するものとする。続いて乗算部303で乱数ρを利用して各キャリアのデータの拡散を行う。この乗算部303は使用するサブキャリアの数と同数の複素乗算器から構成され、各サブキャリアの信号に対し乱数ρに従った値を乗じることができる。原理上、この乱数ρはどのようなものでも構わないが、ここでは長さNの乱数とする。ダミーキャリアに対して使用する乱数は、図3に示すようにρを巡回させた値を使用するものとする。
なお、本実施形態ではダミーキャリアに乗ずる乱数は元の乱数ρを巡回させて使用したが、どのような乱数を使用しても良い。そのため、この乱数を調整してパイロット信号のピーク対平均電力比(PAPR:Peak to Average Power Ratio)を低下させることも可能である。
一例としてデータ伝送に使用するサブキャリア数24、ダミーキャリアの数4、高速フーリエ変換のポイント数32の場合で説明する。乱数ρとして[1,−1,1,−1,−1,−1,−1,1,1,−1,1,−1,−1,−1,−1,−1,1,−1,1,1,1,1,−1,−1]という系列を使用する。ρを巡回させて生成したダミーキャリアを含むデータを使用し、IFFT部304に対し[−1,−1,−1,−1,1,−1,1,1,1,1,−1,−1,1,−1,0,0,0,0,−1,−1,1,−1,1,−1,−1,−1,−1,1,1,−1,1,−1]という値をセットして生成したパイロット信号のPAPRは4.7173となり、ダミーキャリアの値を調整し、[−1,−1,−1,−1,1,−1,1,1,1,1,−1,−1,1,−1,0,0,0,0,−1,−1,1,−1,1,−1,−1,−1,−1,1,1,−1,1,−1]を使用して生成したパイロット信号のPAPRは4.6609となり、ダミーキャリアの値を調整することでPAPRを低下させる事が可能となる。
なお、IFFT部304へのデータのセット順はサブキャリア17番から順に未使用キャリア2本(0がセットされる)、ダミーキャリア2本、乱数ρの1番目から12番目をセット、サブキャリア1番に戻って乱数ρの13番目から24番目、ダミーキャリア2本、未使用キャリア2本となっている。
同期部404は、ベースバンド信号中のパイロット信号を利用してOFDMシンボル同期を行う。GI除去部405は、受信した信号からカードインターバルを除去する。S/P変換部406は、入力される信号に対してシリアル−パラレル変換を行う。
FFT部407は、時間軸信号を周波数軸信号に変化させる。符号乗算部408は、各キャリアの信号に符号選択部409から出力された符号を乗じる逆拡散処理を行う。符号選択部409は、マルチキャリア無線送信機側で使用した符号の複素共役を発生させる。
伝搬路推定部413は、ダミーキャリア削除部415の出力を利用して伝播路を推定する。データ復調部414は、FFT部407の出力と、伝播路推定部412の出力から受信データの復調を行う。ダミーキャリア削除部415は、FFT部412の出力からダミーキャリアを削除する。
パイロット信号はサブキャリア毎の信号に分解された後、符号乗算部408に送られる。符号乗算部408では各サブキャリアの信号に対し符号選択部409で生成された送信時に使用した符号の複素共役を乗じる逆拡散処理を行う。逆拡散後の結果はダミーキャリア、ノイズを含んだ周波数応答となる。以降の処理でノイズを低減する処理を行う。
伝播路推定部413では入力された伝播路情報に基づいて各サブキャリア毎の補正量を計算し、補正データをデータ復調部414に送る。パイロット信号に引き続いて送られてくるデータ部もFFT407まで同様に処理される。その後、データ復調部414に入力され、伝播路推定部413からの補正データを利用して復調・エラー訂正が行われる。
以上のように動作することで、伝播路推定時に時間窓処理で発生する歪を削減し、以後のデータ伝送の際の伝播路補正を正しく行う事が可能となる。
Claims (8)
- 無線送信機と無線受信機とからなるマルチキャリア無線通信システムであって、
前記無線送信機は、
前記無線受信機との間の伝播路の周波数応答を測定するための伝播路推定用シンボルの送信時に、データの送信時に使用するデータ用キャリアの周波数帯域の両外側の周波数帯域に、ダミーキャリアを付加して前記無線受信機に送信するダミーキャリア付加手段を有し、
前記無線受信機は、
前記無線送信機から受信した伝播路推定用シンボルを基に前記無線送信機との間の伝播路の周波数応答を求める伝播路推定手段と、
前記伝播路推定手段により求めた周波数応答から前記ダミーキャリアに該当する部分の周波数応答と前記データ用キャリアに該当する部分の周波数応答とを分離するダミーキャリア分離手段と、
前記ダミーキャリア分離手段が分離したデータ用キャリアに該当する部分の周波数応答を利用してデータの復調を行うデータ復調手段とを有する
ことを特徴とするマルチキャリア無線通信システム。 - 前記ダミーキャリア付加手段は、
前記データ用キャリアの周波数帯域の両外側の周波数帯域に、同一の周波数間隔で前記ダミーキャリアを付加することを特徴とする請求項1に記載のマルチキャリア無線通信システム。 - 前記ダミーキャリア付加手段は、
前記データ用キャリアの周波数帯域の両外側の周波数帯域に、前記ダミーキャリアを同数ずつ付加することを特徴とする請求項1又は2に記載のマルチキャリア無線通信システム。 - 前記ダミーキャリア付加手段は、
ダミーキャリア付加前よりも伝播路推定用シンボルのピーク対平均電力比が低くなるように前記ダミーキャリアを付加することを特徴とする請求項1〜3のいずれかの項に記載のマルチキャリア無線通信システム。 - 前記ダミーキャリア付加手段は、
前記データ用キャリアの周波数帯域の両外側の周波数帯域に、前記ダミーキャリアが均等とはならないように付加することを特徴とする請求項1〜4のいずれかの項に記載のマルチキャリア無線通信システム。 - 無線受信機との間の伝播路の周波数応答を測定するための伝播路推定用シンボルの送信時に、データの送信時に使用するデータ用キャリアの周波数帯域の両外側の周波数帯域に、ダミーキャリアを付加して無線受信機に送信するダミーキャリア付加手段を有する
ことを特徴とするマルチキャリア無線送信機。 - 無線送信機から受信した伝播路推定用シンボルを基に前記無線送信機との間の伝播路の周波数応答を求める伝播路推定手段と、
前記伝播路推定手段により求めた周波数応答から、データの送信時に使用されるデータ用キャリアの周波数帯域の両外側の周波数帯域に付加されたダミーキャリアに該当する部分の周波数応答と前記データ用キャリアに該当する部分の周波数応答とを分離するダミーキャリア分離手段と、
前記ダミーキャリア分離手段が分離したデータ用キャリアに該当する部分の周波数応答を利用してデータの復調を行うデータ復調手段と、
を有することを特徴とするマルチキャリア無線受信機。 - 無線送信機と無線受信機との間で通信を行うためのマルチキャリア無線通信方法であって、
前記無線受信機との間の伝播路の周波数応答を測定するための伝播路推定用シンボルの送信時に、データの送信時に使用するデータ用キャリアの周波数帯域の両外側の周波数帯域に、ダミーキャリアを付加して無線送信機から前記無線受信機に送信する第1のステップと、
前記無線送信機から受信した伝播路推定用シンボルを基に前記無線送信機との間の伝播路の周波数応答を前記無線受信機により求める第2のステップと、
前記第2のステップで求めた周波数応答から、データの送信時に使用されるデータ用キャリアの周波数帯域の両外側の周波数帯域に付加された前記ダミーキャリアに該当する部分の周波数応答と前記データ用キャリアに該当する部分の周波数応答とを前記無線受信機により分離する第3のステップと、
前記第3のステップで分離したデータ用キャリアに該当する部分の周波数応答を利用して前記無線受信機によりデータの復調を行う第4のステップと、
を有することを特徴とするマルチキャリア無線通信方法。
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