JP4611109B2 - 降圧型スイッチングレギュレータおよびその制御回路ならびにそれを用いた電子機器 - Google Patents
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一方、こうした電子機器にはリチウムイオン電池などの電池が電源として搭載される。リチウムイオン電池から出力される電圧は、3V〜4V程度であり、この電圧をそのままマイコンに供給したのでは、無駄な電力消費が発生するため、降圧型のスイッチングレギュレータや、シリーズレギュレータなどを用いて電池電圧を降圧し、定電圧化してマイコンに供給するのが一般的である。
たとえば、特許文献1、2には、負荷電流に応じて同期整流方式とダイオード整流方式とを切り替えるスイッチングレギュレータが開示されている。
この方法によれば、同期整流用トランジスタがオンの期間において、スイッチング電圧が接地電位付近に設定されたしきい値電圧を上回ったときに同期整流用トランジスタを強制的にオフすることにより、無駄な電流消費を低減し、効率を改善することができる。
すなわち、スイッチング電圧をモニタして、インダクタに流れる電流の向きを検出する場合、スイッチング電圧と所定のしきい値電圧を比較するコンパレータを用い、このコンパレータの出力にもとづいて同期整流用トランジスタのオンオフを制御することになる。この際に、スイッチング電圧がしきい値に達し、インダクタに流れる電流が反転してから同期整流用トランジスタがオフされるまでに遅延が発生する場合がある。この遅延期間において、無駄な電流が同期整流用トランジスタに流れるため、さらなる効率の改善の余地があった。
補助トランジスタのオン抵抗を高く設定することにより、同期整流用トランジスタがオンした後に、スイッチング電圧が上昇する速度を速めることができ、同期整流用トランジスタがオフするまでの時間を短縮し、より高効率化を図ることができる。
スイッチング電圧およびしきい値電圧を正方向にレベルシフトして比較することにより、しきい値電圧が接地電位の場合もコンパレータを用いて電圧比較を行うことができる。
PNP型のバイポーラトランジスタのベースエミッタ間の順方向電圧を利用することにより、スイッチング電圧およびしきい値電圧を正方向にレベルシフトすることができる。
同期整流用トランジスタをオンからオフに切り替える際に、インダクタによってスイッチング電圧の振動が誘起される場合がある。比較部の後段にラッチ回路を設けることにより、スイッチング電圧がしきい値電圧を跨いて振動した場合にも、同期整流用トランジスタをオフ状態に保つことができ、降圧型スイッチングレギュレータを安定に動作させることができる。
第2ゲート電圧を参照し、同期整流用トランジスタがオンすべき期間が完了したことを契機として検出信号をリセットすることにより、次に同期整流用トランジスタがオンすべき期間において、再度上記のラッチ動作を行うことができる。
これによれば、一度Dフリップフロップがラッチされた後に、比較部から出力される比較信号が変動しても、ORゲートの出力はDフリップフロップの出力信号に固定されるため、安定な降圧動作を行うことができる。
制御回路は、1つの半導体基板上に一体集積化されてもよい。
電池310は、たとえばリチウムイオン電池であり、電池電圧Vbatとして3〜4V程度を出力する。
アナログ回路330は、パワーアンプや、アンテナスイッチ、LNA(Low Noise Amplifier)、ミキサやPLL(Phase Locked Loop)などの高周波回路を含み、電源電圧Vcc=3.4V程度で安定動作する回路ブロックを含む。また、デジタル回路340は、各種DSP(Digital Signal Processor)などを含み、電源電圧Vdd=3.4V程度で安定動作する回路ブロックを含む。
マイコン350は、電子機器300全体を統括的に制御するブロックであり、電源電圧1.5Vで動作する。
LED360は、RGB3色のLED(Light Emitting Diode)を含み、液晶のバックライトや、照明として用いられ、その駆動には、4V以上の駆動電圧が要求される。
本実施形態に係る降圧型スイッチングレギュレータは、たとえば1.5Vで動作するマイコン350のように、消費電流が動作状態に応じて変化する負荷に対して、安定な電圧を駆動する用途に好適に用いられる。以下、本実施の形態に係る降圧型スイッチングレギュレータの構成について詳細に説明する。
出力キャパシタC1は一端が接地され、他端が負荷回路RLおよびインダクタL1に接続される。インダクタL1は、制御回路100と接続され、スイッチング電圧Vswが印加される。
以下、負荷回路RLに供給される電圧を出力電圧Vout、負荷回路RLに流れる電流を負荷電流Io、インダクタL1に流れる電流をILという。また、インダクタL1に流れる電流は、負荷回路RLに向かって流れる向きを正方向とする。
同期整流用トランジスタM2は、NチャンネルMOSトランジスタであって、ソース端子は接地され、ドレイン端子はスイッチングトランジスタM1のドレイン端子およびスイッチング端子104と接続される。また、同期整流用トランジスタM2のバックゲート端子は接地されている。同期整流用トランジスタM2のバックゲート端子とドレイン端子間には、ボディダイオードD2が存在する。
また、補助トランジスタM3は、同期整流用トランジスタM2と並列に接続され、後述するように同期整流用トランジスタM2と同期してオンオフが制御される。補助トランジスタM3のオン抵抗Ron3は、同期整流用トランジスタM2のオン抵抗Ron2より高く設定しておく。
抵抗R1、R2は、この出力電圧Voutを分圧し、R2/(R1+R2)倍した出力電圧Vout’を誤差増幅器22の反転入力端子へと出力する。誤差増幅器22の非反転入力端子には基準電圧Vrefが入力されており、出力電圧Vout’および基準電圧Vrefの誤差を増幅し、誤差電圧Verrとして出力する。
比較部30には、スイッチング電圧Vswが入力される。比較部30は、レベルシフト回路32、第2コンパレータ34を含み、スイッチング電圧Vswと接地電位とを比較し、スイッチング電圧Vswが接地電位を上回るとハイレベルの比較信号Vcmpを出力する。
第2コンパレータ34の非反転入力端子は、第1バイポーラトランジスタQ1のエミッタ端子が接続され、反転入力端子には、第2バイポーラトランジスタQ2のエミッタ端子が接続される。この第2コンパレータ34、レベルシフト回路32によりレベルシフトされたスイッチング電圧Vswと接地電位とを比較し、Vsw>0Vのときハイレベルを、Vsw<0Vのときローレベルを出力する。
このように構成した強制オフスイッチSW1によれば、第2ゲート電圧Vg2がハイレベルで、かつ、比較信号Vcmpがローレベルの期間のみ、強制オフスイッチSW1の出力電圧Vg2’はハイレベルとなり、それ以外の期間では強制オフスイッチSW1の出力電圧Vg2’はローレベルとなる。
遅延回路60は、強制オフスイッチSW1の出力電圧Vg2’に所定の遅延時間を与え、同期整流用トランジスタM2のゲート端子に出力する。遅延回路60は、電圧Vg2’の立ち上がりから所定の遅延時間τ経過後にハイレベルとなり、電圧Vg2’の立ち下がりと同時にローレベルとなる電圧Vg2’’を出力する。遅延時間τは、たとえば、同期整流用トランジスタM2のオン期間の1/10程度に設定する。このような遅延回路60は、公知の技術を用いて容易に構成できるため、詳細な説明は省略する。
図4は、本実施の形態に係る制御回路100の重負荷時の動作状態を示すタイムチャートである。図4のタイムチャートは、負荷電流Ioが大きい重負荷時の動作を説明するものであり、インダクタL1に流れる電流ILが、同期整流用トランジスタM2がオンの期間、正方向の場合の動作を表している。
第1ゲート電圧Vg1は、ハイレベルのときスイッチングトランジスタM1がオフ、ローレベルのときスイッチングトランジスタM1がオンする。すなわち、図中、Ton1で示されるのは、スイッチングトランジスタM1がオンの期間である。
このとき、スイッチング電圧Vswは、インダクタL1に流れる電流ILと、補助トランジスタM3のオン抵抗Ron3の積で与えられ、時間とともに、インダクタL1に流れる電流ILが減少するのにともなって、0Vへと近づいていく。このときのスイッチング電圧Vswの上昇の傾きは、補助トランジスタM3のオン抵抗に依存する。
時刻T3以降、補助トランジスタM3と同期整流用トランジスタM2が同時にオンすることにより、インダクタL1に流れる電流ILは、これら2つのトランジスタを介して供給されることになる。その結果、スイッチング電圧Vswの上昇の傾きは、2つのトランジスタのオン抵抗Ron2およびRon3の合成抵抗により決定される。したがって、時刻T3に同期整流用トランジスタM2がオンすることによって、スイッチング電圧Vswの上昇速度は遅くなる。上述のように、図4のタイムチャートでは、インダクタL1に流れる電流は正方向であるため、同期整流用トランジスタM2がオンの期間、スイッチング電圧Vswは正電圧とはならず、比較部30から出力される比較信号Vcmpはローレベルとなる。
本実施の形態に係る100は、重負荷時において、時刻T0〜T5の動作を一周期とし、この動作を繰り返すことにより、電池電圧Vbatを降圧し、所望の出力電圧Voutを負荷回路RLに対して供給する。
時刻T0〜T2までの動作は図4の重負荷時と同様である。時刻T2にドライバ回路10から出力される第2ゲート電圧Vg2がハイレベルとなると、補助トランジスタM3のみがオンし、スイッチング電圧Vswが大きな傾きで上昇を開始する。
一般に、コンパレータの応答速度は、入力電圧の変化する速度に応じて変化する。図6(a)、(b)は、コンパレータの応答速度を説明するための図である。図6(a)は、異なる速度で変化する2つの入力電圧Viの時間波形を示している。また、図6(b)は、同図(a)の各波形に対応した出力電圧Voの時間波形を示している。図6(a)、(b)に破線で示されるように、入力電圧Viの時間変化率が低い(II)の場合、入力電圧Viがコンパレータのしきい値電圧Vthを超えてから出力電圧Voが変化するまでに要する時間Δtは長くなる。これに対して、図6(a)、(b)に実線で示されるように、入力電圧Viの時間変化率が高い(I)の場合には、入力電圧Viがしきい値電圧Vthを超えてからコンパレータの出力電圧Voが変化するまでの時間Δt’は短くなり、検出速度が速くなる。
本実施の形態に係る制御回路100によれば、スイッチング電圧Vswをモニタし、同期整流用トランジスタM2がオンすべき期間において、スイッチング電圧Vswが0Vより大きくなると、同期整流用トランジスタM2を強制的にオフする。その結果、軽負荷時にインダクタL1に流れる電流ILの向きが反転し、同期整流用トランジスタM2を介して接地に向かって流れるのを防止し、効率の悪化を抑えることができる。
ORゲート44には、比較部30から出力される比較信号VcmpおよびDフリップフロップ42の出力信号Vqが入力され、2つの信号の論理和を検出信号Vsensとして強制オフスイッチSW1に出力する。なお、ORゲート44を設けずに、Dフリップフロップ42の出力信号Vqを強制オフスイッチSW1に直接出力してもよい。
時刻T3’に比較部30から出力される比較信号Vcmpがハイレベルとなると、強制オフスイッチSW1の出力電圧Vg2’が強制的にローレベルに固定され、補助トランジスタM3がオフする。このとき、スイッチングトランジスタM1、同期整流用トランジスタM2、補助トランジスタM3はすべてオフとなるため、ハイインピーダンス状態となり、スイッチング電圧Vswは変動する。このとき、図8に示すように、スイッチング電圧Vswが接地電位0Vを跨いで変動すると、比較信号Vcmpもハイレベルとローレベルが切り替わることになる。
本実施の形態に係る制御回路100によれば、図2の制御回路100により得られる効果に加えさらに以下のような効果を得ることができる。すなわち、図7の制御回路100は、ラッチ回路40を備えており、スイッチング電圧Vswが0Vより大きくなったときハイレベルとなる比較信号Vcmpをラッチする。その結果、スイッチング電圧Vswが0Vを跨いで変動する場合においても、強制オフスイッチSW1の出力は切り替えられず、同期整流用トランジスタM2はオフ状態を保ち続けることができ、安定な降圧動作を行うことができる。
Claims (13)
- 降圧型スイッチングレギュレータの制御回路であって、
入力端子と接地間に直列に接続されたスイッチングトランジスタと、同期整流用トランジスタと、を含み、2つのトランジスタの接続点の電圧を、スイッチング電圧として本制御回路の外部に接続されるインダクタの一端に印加する出力段と、
前記スイッチングレギュレータの出力電圧が所定の基準電圧に近づくように、そのデューティ比が制御されるパルス幅変調信号にもとづき、前記スイッチングトランジスタおよび前記同期整流用トランジスタのゲート端子に印加すべき第1、第2ゲート電圧を生成するドライバ回路と、
前記スイッチング電圧と所定のしきい値電圧を比較し、前記スイッチング電圧が前記しきい値電圧を上回ると、所定レベルの比較信号を出力する比較部と、
前記ドライバ回路から出力される前記第2ゲート電圧が入力され、前記比較部から前記所定レベルの比較信号が出力されている期間、前記第2ゲート電圧をローレベルに固定して出力するスイッチと、
ゲート端子に前記スイッチの出力信号が入力され、前記同期整流用トランジスタと並列に接続された補助トランジスタと、
前記スイッチの出力信号に所定の遅延時間を与え、前記同期整流用トランジスタのゲート端子に出力する遅延回路と、
を備えることを特徴とする制御回路。 - 前記補助トランジスタのオン抵抗は、前記同期整流用トランジスタのオン抵抗より高く設定されることを特徴とする請求項1に記載の制御回路。
- 前記所定のしきい値電圧は、接地電位であることを特徴とする請求項1に記載の制御回路。
- 前記比較部は、
前記スイッチング電圧および前記しきい値電圧を、正方向に所定電圧だけレベルシフトするレベルシフト回路と、
前記レベルシフト回路によりレベルシフトされた前記スイッチング電圧と前記しきい値電圧とを比較するコンパレータと、
を含むことを特徴とする請求項1に記載の制御回路。 - 前記レベルシフト回路は、
ベース端子に前記スイッチング電圧が入力され、コレクタ端子が接地され、エミッタ端子から前記スイッチング電圧をレベルシフトした電圧を出力するPNP型の第1バイポーラトランジスタと、
ベース端子およびコレクタ端子が接地され、エミッタ端子から前記接地電位をレベルシフトした電圧を出力するPNP型の第2バイポーラトランジスタと、
を含むことを特徴とする請求項4に記載の制御回路。 - 前記比較部の後段に設けられ、前記ドライバ回路から出力される第2ゲート電圧がハイレベルの期間にアクティブとなり、前記比較部から出力される比較信号をラッチし、検出信号として前記スイッチに出力するラッチ回路をさらに備え、
前記スイッチは、前記比較信号ではなく、前記ラッチ回路から出力される検出信号が前記所定レベルとなる期間に、前記第2ゲート電圧をローレベルに固定して出力することを特徴とする請求項1に記載の制御回路。 - 前記ラッチ回路は、前記第2ゲート電圧がハイレベルからローレベルとなると、ラッチした前記検出信号をリセットすることを特徴とする請求項6に記載の制御回路。
- 前記ラッチ回路は、Dフリップフロップを含み、当該Dフリップフロップは、リセット端子に前記第2ゲート電圧が入力され、データ端子にハイレベルの固定電圧が入力され、クロック端子に前記比較部から出力される比較信号が入力されることを特徴とする請求項7に記載の制御回路。
- 前記ラッチ回路は、前記Dフリップフロップの出力信号と、前記比較部から出力される比較信号の論理和を出力するORゲートをさらに含み、当該ORゲートの出力信号を前記検出信号として出力することを特徴とする請求項8に記載の制御回路。
- 前記同期整流用トランジスタは、NMOSトランジスタであることを特徴とする請求項1に記載の制御回路。
- 前記制御回路は、1つの半導体基板上に一体集積化されたことを特徴とする請求項1から10のいずれかに記載の制御回路。
- 一端が接地されたキャパシタと、
前記キャパシタの他端にその一端が接続されたインダクタと、
前記インダクタの他端に、前記スイッチング電圧を供給する請求項1から10のいずれかに記載の制御回路と、
を備え、前記キャパシタの他端の電圧を出力することを特徴とする降圧型スイッチングレギュレータ。 - 電池電圧を出力する電池と、
マイコンと、
前記電池電圧を降圧して前記マイコンに供給する請求項12に記載の降圧型スイッチングレギュレータと、
を備えることを特徴とする電子機器。
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