JP4697404B2 - 光記録媒体保護膜形成用スパッタリングターゲット - Google Patents
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Description
(イ)前記硫化に伴うAgまたはAg合金反射膜の反射率の低下は、スパッタ中にZnSが一部乖離して硫黄(S)が遊離することが原因であり、こうした遊離したSによる硫化を防止するには、酸化亜鉛:10〜30%と、酸化ガリウム:1〜15%、酸化インジウム:1〜15%を共に含むことが有効であること、
(ロ)前記スパッタ中にターゲットの割れが発生したり異常放電が発生したりすること防止するためには、二酸化珪素は、ガラス形成酸化物として含まれるよりも、微細な二酸化ケイ素粉末として含まれる方が異常放電の発生が少ないこと、その微細な二酸化ケイ素粉末の含有量は従来の含有量よりも少量の1〜5モル%であること、その粒径は最大粒径:15μm以下でかつ平均粒径:0.5〜3μmの範囲内にあることが好ましい、などの研究結果が得られたのである。
(1)モル%で、酸化亜鉛:10〜30%、酸化ガリウム:1〜15%、酸化インジウム:1〜15%、二酸化珪素:1〜5%を含有し、残部:硫化亜鉛および不可避不純物からなる組成を有する、銀または銀合金反射膜を有する光記録媒体の保護膜形成用スパッタリングターゲット、
(2)モル%で、酸化亜鉛:10〜30%、酸化ガリウム:1〜15%、酸化インジウム:1〜15%、二酸化珪素:1〜5%を含有し、残部:硫化亜鉛および不可避不純物からなる組成、並びに二酸化珪素は最大粒径:15μm以下でかつ平均粒径:0.5〜3μmの範囲内にある微細粒子として素地中に分散している組織を有する、銀または銀合金反射膜を有する光記録媒体の保護膜形成用スパッタリングターゲット、に特徴を有するものである。
本発明者らはさらに研究を行った結果、前記(1)または(2)記載の光記録媒体の保護膜形成用スパッタリングターゲットにさらに酸化アルミニウムを0.05〜2モル%含有させることによりターゲット自体の導電性をさらに高め、特に直流スパッタに際して異常放電の抑制効果をさらに発揮すること、この酸化アルミニウムは酸化亜鉛に固溶した導電性酸化物の状態でターゲットに含まれることが一層好ましいこと、などの研究結果が得られたのである。
この発明は、かかる研究結果に基づいてなされたものであって、
(3)モル%で、酸化亜鉛:10〜30%、酸化ガリウム:1〜15%、酸化インジウム:1〜15%、二酸化珪素:1〜5%、酸化アルミニウム:0.05〜2%を含有し、残部:硫化亜鉛および不可避不純物からなる組成を有する、銀または銀合金反射膜を有する光記録媒体の保護膜形成用スパッタリングターゲット、
(4)モル%で、酸化亜鉛:10〜30%、酸化ガリウム:1〜15%、酸化インジウム:1〜15%、二酸化珪素:1〜5%、酸化アルミニウム:0.05〜2%を含有し、残部:硫化亜鉛および不可避不純物からなる組成、並びに酸化アルミニウムは酸化亜鉛に固溶した状態で含まれており、さらに二酸化珪素は最大粒径:15μm以下でかつ平均粒径:0.5〜3μmの範囲内にある微細粒子として素地中に分散している組織を有する、銀または銀合金反射膜を有する光記録媒体の保護膜形成用スパッタリングターゲット、に特徴を有するものである。
酸化亜鉛は、硫化亜鉛とともにスパッタされ混合膜となると、スパッタ中にZnSの乖離から発生する遊離したSの拡散を抑制し、SとAgとの反応を抑制してAgまたはAg合金反射膜の硫化を抑制する作用を有し、さらに酸化亜鉛は真空または還元性雰囲気において容易に酸素欠損を生じ、電子を放出することにより導電性を付与する役割があり、高周波スパッタのみならず直流スパッタにも適用することを可能とし、さらにスパッタ中の成膜速度を高くすることができる作用を有するが、その含有量が10モル%未満では前記Sの拡散防止効果および導電性の付与効果がなく、一方、30モル%を越えて含有すると酸素欠損のムラが生じ、直流スパッタにおいて異常放電が生じ易くなるので好ましくない。したがって、酸化亜鉛の含有量を10〜30モル%に定めた。酸化亜鉛の含有量の一層好ましい範囲は20〜25モル%である。
酸化インジウムは、酸化亜鉛とともに含有させると、スパッタ中にZnSの乖離から発生する遊離したSの拡散をより抑制し、SとAgとの反応をより抑制することによりAgまたはAg合金反射膜の硫化をより抑制するとともに、保護膜のアモルファス安定性に効果があるが、その含有量が1モル%未満では前記の効果が得られず、一方、15モル%を越えて含有すると密度ムラが生じ易くなるので好ましくない。したがって、酸化インジウムの含有量を1〜15モル%に定めた。酸化インジウムの含有量の一層好ましい範囲は4〜8モル%である。
酸化ガリウムは酸化インジウムと同様に酸化亜鉛とともに含有させることでスパッタ中にZnSの乖離から発生する遊離したSの拡散を抑制し、SとAgとの反応を抑制することによりAgまたはAg合金反射膜の硫化を抑制し、さらに酸化亜鉛との界面にて固溶体を形成してターゲットの耐スパッタ割れ性を向上させる作用を有するが、その含有量が1モル%未満では前記のいずれの効果も発揮できず、一方、15モル%を越えて含有すると密度ムラが生じ易くなるので好ましくない。したがって、酸化ガリウムの含有量を1〜15モル%に定めた。酸化ガリウムの含有量の一層好ましい範囲は4〜8モル%である。
二酸化珪素は、硫化亜鉛との混合膜となることにより保護膜のアモルファス安定性を向上させる作用があるが、その含有量が1モル%未満では前記のいずれの効果も発揮できず、一方、5モル%を越えて含有するとスパッタ中の異常放電が多くなり易くなるので好ましくない。したがって、二酸化ケイ素の含有量を1〜5モル%に定めた。二酸化ケイ素の含有量の一層好ましい範囲は2.0〜3.5モル%である。
酸化アルミニウムは、ターゲット自身の導電性を高め、特に直流スパッタに際して異常放電の抑制効果をさらに発揮するので必要に応じて添加するが、その含有量は0.05モル%未満では十分な異常放電抑制効果を発揮することができず、一方、2モル%を越えて含有すると、保護膜の光学特性が損なわれるようになるので好ましくない。したがって、酸化アルミニウムの含有量は0.05〜2モル%に定めた。
なお、酸化アルミニウムは、酸化亜鉛に固溶することにより導電性酸化物となることから、酸化アルミニウムは酸化亜鉛に固溶した導電性酸化物の状態でターゲットに含有されていることが特に直流スパッタに際して一層好ましい。
実施例1
これら原料粉末を表1〜2に示される配合組成となるように秤量しヘンシェルミキサーで均一に混合した後、この混合粉末を黒鉛型に充填した状態で、ホットプレス装置に装入し、雰囲気:1×10-2Torrの真空雰囲気、温度:1100℃、圧力:30MPa、保持時間:3時間の条件で焼結してホットプレスすることにより、いずれも直径:154mm×厚さ:6mmの寸法をもった表1〜2の配合組成と同じ成分組成を有する本発明ターゲット1〜16および比較ターゲット1〜10を作製し、これら本発明ターゲット1〜16および比較ターゲット1〜10の素地中に分散しているSiO2粒の最大粒径および平均粒径を測定し、その結果を表1〜2に示した。
従来例1
原料粉末として、珪酸ガラス(SiO2−0.2%Al2O3−0.12%Na2O)粉末を用意し、SiO2粉末の代りに珪酸ガラス粉末を使用する以外は実施例1と同様にして従来ターゲット1を作製し、従来ターゲット1を使用して実施例1と同じ条件で従来光記録媒体保護膜を前記ポリカーボネート基板表面に形成することにより保護膜成膜サンプルを作製した。
実施例2
先に用意したZnOにAl2O3が0.5モル%、1.0モル%および5モル%固溶した平均粒径:1μmを有する導電性酸化亜鉛粉末を表3に示される配合組成となるように配合し、混合して混合粉末を作製し、この混合粉末を実施例1と同じ条件で焼結してホットプレスすることにより表4に示される本発明ターゲット17〜20を作製し、本発明ターゲット17〜20をを使用して実施例1と同じ条件でポリカーボネート基板表面に形成することにより保護膜成膜サンプルを作製した。
Claims (4)
- モル%で、酸化亜鉛:10〜30%、酸化ガリウム:1〜15%、酸化インジウム:1〜15%、二酸化珪素:1〜5%を含有し、残部:硫化亜鉛および不可避不純物からなる組成を有することを特徴とする、銀または銀合金反射膜を有する光記録媒体の保護膜形成用スパッタリングターゲット。
- モル%で、酸化亜鉛:10〜30%、酸化ガリウム:1〜15%、酸化インジウム:1〜15%、二酸化珪素:1〜5%を含有し、残部:硫化亜鉛および不可避不純物からなる組成、並びに二酸化珪素は最大粒径:15μm以下でかつ平均粒径:0.5〜3μmの範囲内にある微細粒子として素地中に分散している組織を有することを特徴とする、銀または銀合金反射膜を有する光記録媒体の保護膜形成用スパッタリングターゲット。
- モル%で、酸化亜鉛:10〜30%、酸化ガリウム:1〜15%、酸化インジウム:1〜15%、二酸化珪素:1〜5%、酸化アルミニウム:0.05〜2%を含有し、残部:硫化亜鉛および不可避不純物からなる組成を有することを特徴とする、銀または銀合金反射膜を有する光記録媒体の保護膜形成用スパッタリングターゲット。
- モル%で、酸化亜鉛:10〜30%、酸化ガリウム:1〜15%、酸化インジウム:1〜15%、二酸化珪素:1〜5%、酸化アルミニウム:0.05〜2%を含有し、残部:硫化亜鉛および不可避不純物からなる組成、並びに酸化アルミニウムは酸化亜鉛に固溶した状態で含まれており、さらに二酸化珪素は最大粒径:15μm以下でかつ平均粒径:0.5〜3μmの範囲内にある微細粒子として素地中に分散している組織を有することを特徴とする、銀または銀合金反射膜を有する光記録媒体の保護膜形成用スパッタリングターゲット。
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