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JP4690688B2 - 燃料電池スタック - Google Patents

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JP4690688B2
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Description

本発明は、電解質の両側に一対の電極が配設される電解質・電極構造体を有し、前記電解質・電極構造体とセパレータとを交互に積層するとともに、積層方向に貫通して少なくとも冷却媒体又は反応ガスのいずれかの流体を流す流体連通孔が形成される燃料電池スタックに関する。
例えば、固体高分子型燃料電池は、高分子イオン交換膜からなる電解質膜(電解質)の両側に、それぞれアノード側電極及びカソード側電極を対設した電解質膜・電極構造体を、セパレータによって挟持した発電セルを備えている。この種の燃料電池は、通常、所定の数の発電セルを積層するとともに、積層方向両端には、ターミナルプレート、絶縁プレート及びエンドプレートが配置されることにより、燃料電池スタックを構成している。
この燃料電池において、アノード側電極には、燃料ガス、例えば、主に水素を含有するガス(以下、水素含有ガスともいう)が供給される一方、カソード側電極には、酸化剤ガス、例えば、主に酸素を含有するガスあるいは空気(以下、酸素含有ガスともいう)が供給されている。アノード側電極に供給された燃料ガスは、電極触媒上で水素がイオン化され、電解質膜を介してカソード側電極側へと移動する。その間に生じた電子は外部回路に取り出され、直流の電気エネルギとして利用される。
上記の燃料電池では、それぞれのセパレータの面内に、アノード側電極に燃料ガスを流すための燃料ガス流路と、カソード側電極に酸化剤ガスを流すための酸化剤ガス流路とが設けられている。さらに、セパレータ間には、冷却媒体を流すための冷却媒体流路が前記セパレータの面方向に沿って設けられている。
一般的に、燃料電池は、セパレータの内部に積層方向に貫通する流体供給連通孔及び流体排出連通孔が設けられる、所謂、内部マニホールド型燃料電池を構成している。そして、流体である燃料ガス、酸化剤ガス及び冷却媒体は、それぞれの流体供給連通孔から燃料ガス流路、酸化剤ガス流路及び冷却媒体流路に供給された後、それぞれの流体排出連通孔に排出されている。
この種の内部マニホールド型燃料電池では、必要に応じてターミナルプレートやエンドプレートにも、上記の流体供給連通孔及び流体排出連通孔が設けられている。その際、ターミナルプレートや金属セパレータ等のような金属製プレート(金属部品)では、生成水や冷却水が接触して腐食電流が流れ易く、電蝕による腐食が発生するおそれがある。
そこで、例えば、特許文献1に開示されている燃料電池の冷却構造では、図19に示すように、直列に接続された4つの燃料電池スタック1a〜1dを備えている。冷却構造は、各燃料電池スタック1a〜1dに設けられた図示しない冷却媒体流路に冷却媒体を供給するための供給部材2を設けている。
供給部材2には、冷却媒体を流入する流入管3と、前記冷却媒体を流出する流出管4とが設けられている。流入管3及び流出管4には、導電性材料で形成された網目部材5、6が取り付けられるとともに、前記網目部材5、6は、導電ライン7により電気的に接続されている。この導電ライン7は、電位が0Vの基準電極8に導電ライン7aを介して接続されるとともに、導電ライン7bを介して接地されている。これにより、冷却構造に接続された他の機器が腐食したり、外部に電位漏れが生じたりすることを防止している。
特開2001−155761号公報(図1)
ところで、上記の特許文献1では、各燃料電池スタック1a〜1dが複数のセルを直列に接続して構成されている。このため、特に、高電位側に腐食電流が流れ易く、この腐食電流が金属セパレータ等の金属部品を流れ、前記金属部品に電触による腐食が発生するという問題が指摘されている。
本発明はこの種の問題を解決するものであり、簡単且つ経済的な構成で、金属部品の電蝕による腐食を確実に阻止することが可能な燃料電池スタックを提供することを目的とする。
本発明は、電解質の両側に一対の電極が配設される電解質・電極構造体を有し、前記電解質・電極構造体とセパレータとを交互に積層するとともに、積層方向に貫通して少なくとも冷却媒体又は反応ガスのいずれかの流体を流す流体連通孔が形成される燃料電池スタックである。
燃料電池スタックは、少なくとも1つのセパレータに、流体に接触して集電を行う集電部が設けられている。
また、集電部は、電解質・電極構造体とセパレータとを交互に積層した積層体にあって、少なくとも最も高電位側のセパレータに配設されることが好ましい。高電位側の腐食電流を良好に低減させることができるからである。
さらに、セパレータは、金属プレートで構成され、流体連通孔の内壁を覆ってシール部材が設けられるとともに、集電部は、前記シール部材の一部を切り欠いて前記流体連通孔に望む金属表面部で構成されることが好ましい。
さらにまた、セパレータは、金属プレートで構成され、流体連通孔の内壁を覆ってシール部材が設けられるとともに、集電部は、前記金属プレートの金属表面部に接合されて前記流体連通孔に望む金属部材で構成されることが好ましい。また、集電部は、防錆構造を有することが好ましい。
さらに、セパレータは、金属プレートで構成され、流体連通孔の内壁を覆ってシール部材が設けられるとともに、集電部は、金属プレートの金属表面部から前記シール部材の一部にわたって設けられることが好ましい。さらにまた、集電部は、導電フイルム、導電性接着剤又は導電性塗料で構成されることが好ましい。
本発明によれば、セパレータに集電部が設けられるとともに、前記集電部が流体連通孔を流れる流体に直接接触するため、生成水や冷却媒体を介して前記集電部に強制的に電流を流すことができる。これにより、腐食電流を有効に低減することができ、簡単且つ経済的な構成で、金属部品に電蝕による腐食が発生することを確実に抑制することが可能になる。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る燃料電池スタック10の一部分解斜視図である。
燃料電池スタック10は、例えば、自動車等の車両に搭載されている。この燃料電池スタック10は、複数の発電セル12が矢印A方向に積層された積層体14を備え、前記積層体14の積層方向両端には、ターミナルプレート16a、16b及び絶縁プレート18a、18bを介装してエンドプレート20a、20bが配置される。エンドプレート20a、20bは、図示しない締め付けボルトにより積層方向に締め付けられる。
図1及び図2に示すように、各発電セル12は、電解質膜・電極構造体(電解質・電極構造体)22と、前記電解質膜・電極構造体22を挟持する薄板波形状の第1及び第2金属セパレータ(金属プレート)24、26とを備える。なお、第1及び第2金属セパレータ24、26に代替して、例えば、カーボンセパレータを使用してもよい。
図1に示すように、発電セル12の矢印B方向の一端縁部には、矢印A方向に互いに連通して、酸化剤ガス、例えば、酸素含有ガス(空気等)を供給するための酸化剤ガス供給連通孔28a、冷却媒体、例えば、純水やエチレングリコール等を供給するための冷却媒体供給連通孔30a、及び燃料ガス、例えば、水素含有ガスを排出するための燃料ガス排出連通孔32bが設けられる。
発電セル12の矢印B方向の他端縁部には、矢印A方向に互いに連通して、燃料ガスを供給するための燃料ガス供給連通孔32a、冷却媒体を排出するための冷却媒体排出連通孔30b、及び酸化剤ガスを排出するための酸化剤ガス排出連通孔28bが設けられる。
電解質膜・電極構造体22は、例えば、パーフルオロスルホン酸の薄膜に水が含浸された固体高分子電解質膜34と、前記固体高分子電解質膜34を挟持するアノード側電極36及びカソード側電極38とを備える。
アノード側電極36及びカソード側電極38は、カーボンペーパ等からなるガス拡散層(図示せず)と、白金合金が表面に担持された多孔質カーボン粒子が前記ガス拡散層の表面に一様に塗布されて形成される電極触媒層(図示せず)とを有する。電極触媒層は、固体高分子電解質膜34の両面に形成される。
第1金属セパレータ24は、電解質膜・電極構造体22に向かう一方の面に、酸化剤ガス供給連通孔28aと酸化剤ガス排出連通孔28bとを連通する酸化剤ガス流路40を設ける。第1金属セパレータ24の他方の面には、冷却媒体供給連通孔30aと冷却媒体排出連通孔30bとを連通する冷却媒体流路42が設けられる。酸化剤ガス流路40及び冷却媒体流路42は、それぞれ複数の流路溝40a、42aを備える。
第1金属セパレータ24の両面には、この第1金属セパレータ24の外周縁部を周回して第1シール部材45が射出成形やコーティング等により一体的に設けられる。第1シール部材45は、第1金属セパレータ24の一方の面において、酸化剤ガス供給連通孔28a、酸化剤ガス排出連通孔28b及び酸化剤ガス流路40を覆って酸化剤ガスの洩れ止めを行う。
第1シール部材45は、第1金属セパレータ24の他方の面において、冷却媒体供給連通孔30a、冷却媒体排出連通孔30b及び冷却媒体流路42を覆って冷却媒体の漏れ止めを行う。
第1シール部材45は、酸化剤ガス供給連通孔28a、冷却媒体供給連通孔30a、燃料ガス排出連通孔32b、燃料ガス供給連通孔32a、冷却媒体排出連通孔30b及び酸化剤ガス排出連通孔28bの内周面を覆っており、第1金属セパレータ24の液絡を防止している。なお、以下に説明する第2シール部材47も同様である。
第2金属セパレータ26は、電解質膜・電極構造体22に向かう一方の面に燃料ガス流路44を設けるとともに、この燃料ガス流路44は、燃料ガス供給連通孔32aと燃料ガス排出連通孔32bとに連通する。燃料ガス流路44は、複数の流路溝44aを備える。第2金属セパレータ26の他方の面には、第1金属セパレータ24と重なり合って冷却媒体流路42が一体的に形成される。
第2金属セパレータ26の両面には、この第2金属セパレータ26の外周縁部を周回して第2シール部材47が射出成形等により一体的に設けられる。第2シール部材47は、第2金属セパレータ26の一方の面において、燃料ガス供給連通孔32a、燃料ガス排出連通孔32b及び燃料ガス流路44を覆って燃料ガスの洩れ止めを行う。第2シール部材47は、第2金属セパレータ26の他方の面において、冷却媒体供給連通孔30a、冷却媒体排出連通孔30b及び冷却媒体流路42を覆って冷却媒体の漏れ止めを行う。
図1及び図3に示すように、エンドプレート20aの矢印B方向の一端側には、酸化剤ガス供給連通孔28a、冷却媒体供給連通孔30a及び燃料ガス排出連通孔32bに連通するマニホールド配管46a、48a及び50bが一体的又は個別に配設される。エンドプレート20aの矢印B方向の他端側には、燃料ガス供給連通孔32a、冷却媒体排出連通孔30b及び酸化剤ガス排出連通孔28bに連通するマニホールド配管50a、48b及び46bが一体的又は個別に配設される。
図3に示すように、積層体14は、高電位側(矢印A1方向先端側)のターミナルプレート16aに積層される端部セパレータ(第2金属セパレータ)26aを備える。端部セパレータ26aには、酸化剤ガス供給連通孔28a、冷却媒体供給連通孔30a、燃料ガス排出連通孔32b、燃料ガス供給連通孔32a、冷却媒体排出連通孔30b及び酸化剤ガス排出連通孔28bの少なくとも下部に臨んで集電部52が設けられる。この集電部52は、高電位側の腐食電流を低減するために設けられる。
集電部52は、端部セパレータ26aに一体的に設けられている。例えば、冷却媒体供給連通孔30aでは、図4及び図5に示すように、端部セパレータ26aの外周縁部等を覆って一体成形(又はコーティング)されている第2シール部材47が、部分的に剥離される。具体的には、冷却媒体流路42の流路溝42aを構成する凸部及び/又は凹部を形成する第2シール部材47の一部分を切り欠くことにより、冷却媒体供給連通孔30aに望む金属表面部である集電部52が外部に露呈される。この集電部52の表面には、防錆構造として機能する、例えば、金メッキ又は白金メッキによるメッキ処理部54が設けられている。
図6に示すように、ターミナルプレート16a及びエンドプレート20aには、酸化剤ガス供給連通孔28a、冷却媒体供給連通孔30a、燃料ガス排出連通孔32b、燃料ガス供給連通孔32a、冷却媒体排出連通孔30b及び酸化剤ガス排出連通孔28bの各矩形状内周面に対応して絶縁グロメット56、58が配設される。
このように構成される燃料電池スタック10の動作について、以下に説明する。
先ず、図1に示すように、酸化剤ガスは、マニホールド配管46aから燃料電池スタック10の酸化剤ガス供給連通孔28aに供給される。一方、燃料ガスは、マニホールド配管50aから燃料電池スタック10の燃料ガス供給連通孔32aに供給される。また、冷却媒体は、マニホールド配管48aから燃料電池スタック10の冷却媒体供給連通孔30aに供給される。
燃料電池スタック10内では、酸化剤ガスが、酸化剤ガス供給連通孔28aから第1金属セパレータ24の酸化剤ガス流路40に導入され、電解質膜・電極構造体22のカソード側電極38に沿って移動する。一方、燃料ガスは、燃料ガス供給連通孔32aから第2金属セパレータ26の燃料ガス流路44に導入され、電解質膜・電極構造体22のアノード側電極36に沿って移動する。
従って、各電解質膜・電極構造体22では、カソード側電極38に供給される酸化剤ガスと、アノード側電極36に供給される燃料ガスとが、電極触媒層内で電気化学反応により消費され、発電が行われる。
次いで、カソード側電極38に供給されて消費された酸化剤ガスは、酸化剤ガス排出連通孔28bに沿って流動した後、エンドプレート20aに連結されたマニホールド配管46bに排出される。同様に、アノード側電極36に供給されて消費された燃料ガスは、燃料ガス排出連通孔32bに排出されて流動し、エンドプレート20aに連結されたマニホールド配管50bに排出される。
また、純水やエチレングリコール等の冷却媒体は、第1及び第2金属セパレータ24、26間の冷却媒体流路42に導入された後、矢印B方向に沿って流動する。この冷却媒体は、電解質膜・電極構造体22を冷却した後、冷却媒体排出連通孔30bを移動し、エンドプレート20aに連結されたマニホールド配管48bに排出されて循環使用される。
この場合、第1の実施形態では、図3に示すように、端部セパレータ26aには、酸化剤ガス供給連通孔28a、冷却媒体供給連通孔30a、燃料ガス排出連通孔32b、燃料ガス供給連通孔32a、冷却媒体排出連通孔30b及び酸化剤ガス排出連通孔28bの少なくとも下部に臨んで集電部52が一体的に形成されるとともに、この集電部52の表面には、メッキ処理部54が設けられている。
このため、例えば、冷却媒体が供給される冷却媒体供給連通孔30aでは、この冷却媒体が端部セパレータ26aの集電部52に直接接触し、前記冷却媒体を介して前記端部セパレータ26aに電流を強制的に流すことができる。従って、特に、端部セパレータ26aやターミナルプレート16aに腐食電流が流れ、前記端部セパレータ26aや前記ターミナルプレート16a等の金属部品に電蝕が発生することを有効に抑制することが可能になる。
具体的には、図6に示す冷却媒体供給連通孔30aにおいて、図7に示す等価回路を参照しながら以下に説明する。
各発電セル12間に形成される冷却媒体流路42は、導入部(ブリッジ部)42bを介して冷却媒体供給連通孔30aに連通している。このため、図7に示すように、各発電セル12間には、導入部42bの液抵抗RAが存在する一方、各発電セル12毎に冷却媒体供給連通孔30aの液抵抗RBが存在している。
発電セル12は、例えば、1Vの電圧を発生するとともに、220個の前記発電セル12が直列に積層されている。高電位側である端部セパレータ26aには、集電部52の反応抵抗RCが発生している。
ここで、端部セパレータ26aに集電部52を設ける構成(本実施例1)と、前記端部セパレータ26aに前記集電部52を設けない構成(従来例)とが用意された。そして、本実施例1及び従来例を用いて、発電セル12の位置と各冷却媒体流路42を流れる腐食電流との関係を検出した。その結果が図8に示されている。
図8から諒解されるように、従来例では、高電位側で冷却媒体流路42中を相当に高い腐食電流が流れた。これに対して、本実施例1では、高電位側に集電部52が設けられており、この集電部52に上記の腐食電流に相当する電流が強制的に流れるために冷却媒体流路42中を流れる腐食電流が大幅に削減された。
これにより、第1の実施形態では、高電位側の端部セパレータ26aに集電部52を設けることによって、金属部品(例えば、端部セパレータ26aやターミナルプレート16a等)に電蝕による腐食が発生することを確実に防止することができるという効果が得られる。しかも、集電部52は、端部セパレータ26aに一体成形された第2シール部材47を部分的に剥離して外部に露呈される金属表面部により構成されている。従って、集電部52の構成が簡素化し、前記集電部52を経済的に得ることが可能になる。
さらに、各集電部52は、それぞれの連通孔の下部側に設けられており、それぞれの連通孔を流れる酸化剤ガス、燃料ガス及び冷却媒体の圧損を良好に削減することができる。
図9は、本発明の第2の実施形態に係る燃料電池スタック60の一部分解斜視図である。なお、第1の実施形態に係る燃料電池スタック10と同一の構成要素には同一の参照符号を付して、その詳細な説明は省略する。また、以下に説明する第3〜第9の実施形態においても同様に、その詳細な説明は省略する。
燃料電池スタック60を構成する積層体62は、高電位側のターミナルプレート16aに積層される端部セパレータ26aと、低電位側のターミナルプレート16bに積層される端部セパレータ(第1金属セパレータ)24aとを備える。端部セパレータ24a、26aには、それぞれ前述した集電部52が一体的に設けられている。
このように構成される第2の実施形態では、端部セパレータ26aは、積層体14の高電位側(カソード側)に配設されており、この高電位側の腐食電流を低減するために集電部52が設けられる。一方、端部セパレータ24aは、積層体14の低電位側(アノード側)に配設されており、低電位による影響を回避するために集電部52が設けられる。このため、図10に示すように、高電位側である端部セパレータ26a及び低電位側である端部セパレータ24aには、それぞれ集電部52の反応抵抗RCが発生している。
ここで、上述した従来例と、端部セパレータ24a、26aに集電部52を設ける構成(本実施例2)とが用意された。そして、本実施例2及び従来例を用いて、発電セル12の位置と各冷却媒体流路42を流れる腐食電流との関係を検出した。その結果が図11に示されている。
本実施例2では、端部セパレータ24aに集電部52が設けられるため、図11から諒解されるように、低電位側の防食電流が大幅に削減される。従って、低電位側から高電位側にわたって電流値を0に近似させることができ、腐食電流及び防食電流を良好に低減させることが可能になるという効果が得られる。
図12は、本発明の第3の実施形態に係る燃料電池スタック70の一部断面側面図である。
燃料電池スタック70を構成する積層体72は、高電位側のターミナルプレート16aに積層される端部セパレータ26bを備えるとともに、必要に応じて低電位側に端部セパレータ(図示せず)を設ける。
端部セパレータ26bは、第2シール部材47を部分的に剥離して金属表面部を露呈させた後、この金属表面部に集電部材74がスポット溶接等により接合される。集電部材74は、防錆構造として、例えば、金メッキ処理を施した銅材料、あるいは白金、カーボン又はイリジウムで形成される。
図13は、本発明の第4の実施形態に係る燃料電池スタック80の一部断面側面図である。
燃料電池スタック80を構成する積層体82は、高電位側のターミナルプレート16aに積層される端部セパレータ26cを備えるとともに、必要に応じて低電位側に端部セパレータ(図示せず)を設ける。
端部セパレータ26cには、第2シール部材47を避けて集電部材84がスポット溶接等により接合される。集電部材84は、上記の集電部材74と同様に構成される。なお、以下に説明する第5〜第8の実施形態において使用される各集電部材も同様である。
図14は、本発明の第5の実施形態に係る燃料電池スタックを構成する端部セパレータ26dの斜視説明図である。
端部セパレータ26dには、酸化剤ガス供給連通孔28a、冷却媒体供給連通孔30a、燃料ガス排出連通孔32b、燃料ガス供給連通孔32a、冷却媒体排出連通孔30b及び酸化剤ガス排出連通孔28bの少なくとも下部に臨んで集電部材90が個別に又は一体的に設けられる。集電部材90には、複数の孔部92が形成され、流体抵抗(圧損)を緩和するように構成される。
図15は、本発明の第6の実施形態に係る燃料電池スタックを構成する端部セパレータ26eの斜視説明図である。
端部セパレータ26eには、酸化剤ガス供給連通孔28a、冷却媒体供給連通孔30a、燃料ガス排出連通孔32b、燃料ガス供給連通孔32a、冷却媒体排出連通孔30b及び酸化剤ガス排出連通孔28bの少なくとも下部に臨んでフィン部材(集電部)100が個別に又は一体的に設けられる。フィン部材100は、矢印B方向に延在する複数の板材102と、矢印C方向に延在する複数の板材104とを設ける。
図16は、本発明の第7の実施形態に係る燃料電池スタックを構成する端部セパレータ26fの斜視説明図である。
端部セパレータ26fの一方の面には、酸化剤ガス供給連通孔28a、冷却媒体供給連通孔30a、燃料ガス排出連通孔32b、燃料ガス供給連通孔32a、冷却媒体排出連通孔30b及び酸化剤ガス排出連通孔28bの少なくとも下部に対応して網目部材(集電部)110が配設される。網目部材110は、各連通孔の全開口面積にわたって設けられていてもよく、また、前記連通孔の下部側にのみ設けられていてもよい。
図17は、本発明の第8の実施形態に係る燃料電池スタックを構成する端部セパレータ26gの斜視説明図である。
端部セパレータ26gの一方の面には、酸化剤ガス供給連通孔28a、冷却媒体供給連通孔30a、燃料ガス排出連通孔32b、燃料ガス供給連通孔32a、冷却媒体排出連通孔30b及び酸化剤ガス排出連通孔28b毎に、複数本の溝部120が矢印B方向に延在して形成される。各溝部120には、棒材(集電部)122が収容されるとともに、前記棒材122の周面は、端部セパレータ26gの一方の面と略同一面上に配置される。
上記の第2〜第8の実施形態では、各集電部が生成水や冷却媒体に直接接触して集電処理を行うことができ、金属部品の電蝕による腐食を防止することが可能になる等、第1の実施形態と同様の効果が得られる。
図18は、本発明の第9の実施形態に係る燃料電池スタック130の一部断面側面図である。
燃料電池スタック130を構成する積層体132では、各発電セル12を構成する全て(又は所定数)の第1金属セパレータ24に、酸化剤ガス流路40を構成する流路溝40a側の金属表面部から第1シール部材45の一部にわたって集電部134が設けられる。集電部134は、導電フイルム、導電性樹脂、導電性接着剤又は導電性塗料で構成される。例えば、導電フイルムとして異方導電フイルムが使用される。具体的には、導電性接着剤として、例えば、CFシランを主成分とした接着剤にカーボンブラックが含有したものが使用され、導電フイルムとして、例えば、ポリプロピレンにカーボンブラックが含有したものが使用され、導電性樹脂として、例えば、フェノール樹脂にカーボンブラックが含有したものが使用される。
このように構成される第9の実施形態では、各発電セル12を構成する全て(又は所定数)の第1金属セパレータ24に集電部134が設けられている。従って、酸化剤ガス流路40において、生成水が導体になって電流の流れによる部分的な電蝕を確実に阻止することができるという効果が得られる。
なお、集電部134として、例えば、白金や銀等の比較的高価な集電部材を使用する際には、積層体132の少なくとも最も高電位側の第1金属セパレータ24のみに前記集電部材を設ければよい。このため、集電部134を経済的に構成することができる。
本発明の第1の実施形態に係る燃料電池スタックの一部分解斜視図である。 前記燃料電池スタックの一部断面側面図である。 前記燃料電池スタックを構成する端部セパレータを分離した状態の斜視説明図である。 前記端部セパレータの一部拡大斜視説明図である。 図4に示す前記端部セパレータのV−V線断面図である。 冷却媒体供給連通孔に沿った断面説明図である。 図5の等価回路図である。 発電セルの積層数と腐食電流との関係図である。 本発明の第2の実施形態に係る燃料電池スタックの一部分解斜視図である。 前記燃料電池スタックを構成する冷却媒体供給連通孔における等価回路図である。 発電セルの積層数と腐食電流及び防食電流との関係図である。 本発明の第3の実施形態に係る燃料電池スタックの一部断面説明図である。 本発明の第4の実施形態に係る燃料電池スタックの一部断面説明図である。 本発明の第5の実施形態に係る燃料電池スタックを構成する端部セパレータの斜視説明図である。 本発明の第6の実施形態に係る燃料電池スタックを構成する端部セパレータの斜視説明図である。 本発明の第7の実施形態に係る燃料電池スタックを構成する端部セパレータの斜視説明図である。 発明の第8の実施形態に係る燃料電池スタックを構成する端部セパレータの斜視説明図である 本発明の第9の実施形態に係る燃料電池スタックの一部断面側面図である。 特許文献1の燃料電池スタックの一部断面説明図である。
符号の説明
10、60、70、80、130…燃料電池スタック
12…発電セル 14、62、72、82、132…積層体
16a、16b…ターミナルプレート 18a、18b…絶縁プレート
20a、20b…エンドプレート 22…電解質膜・電極構造体
24、26…金属セパレータ 24a、26a〜26g…端部セパレータ
28a…酸化剤ガス供給連通孔 28b…酸化剤ガス排出連通孔
30a…冷却媒体供給連通孔 30b…冷却媒体排出連通孔
32a…燃料ガス供給連通孔 32b…燃料ガス排出連通孔
34…固体高分子電解質膜 36…アノード側電極
38…カソード側電極 40…酸化剤ガス流路
42…冷却媒体流路 44…燃料ガス流路
52、134…集電部 54…メッキ処理部
74、84、90…集電部材 100…フィン部材
110…網目部材 122…棒材

Claims (7)

  1. 電解質の両側に一対の電極が配設される電解質・電極構造体を有し、前記電解質・電極構造体とセパレータとを交互に積層するとともに、積層方向に貫通して少なくとも冷却媒体又は反応ガスのいずれかの流体を流す流体連通孔が形成される一方、電極面に沿って前記流体を流す流体流路が形成される燃料電池スタックであって、
    前記セパレータは、金属プレートで構成され、前記金属プレートの前記流体連通孔の内壁を覆って前記流体が前記金属プレートに接触することを阻止するシール部材が設けられるとともに、
    前記流体連通孔と前記流体流路との間は、シール部材により覆われており、
    少なくとも最も高電位側のセパレータには、前記冷却媒体又は生成水に接触し、前記冷却媒体又は前記生成水を介して電流を流すことにより、前記最も高電位側のセパレータの前記流体流路に流れる腐食電流を削減するための集電部が設けられることを特徴とする燃料電池スタック。
  2. 請求項1記載の燃料電池スタックにおいて、前記集電部は、前記金属プレートの金属表面部に接合され、前記シール部材を覆って該流体連通孔に突出する金属部材で構成されることを特徴とする燃料電池スタック。
  3. 請求項1記載の燃料電池スタックにおいて、前記集電部は、前記シール部材の一部を切り欠いて前記流体連通孔に望む金属表面部で構成されることを特徴とする燃料電池スタック。
  4. 請求項1記載の燃料電池スタックにおいて、前記集電部は、前記金属プレートの金属表面部に接合されて前記流体連通孔に突出する金属部材で構成されることを特徴とする燃料電池スタック。
  5. 請求項1乃至4のいずれか1項に記載の燃料電池スタックにおいて、前記集電部は、防錆構造を有することを特徴とする燃料電池スタック。
  6. 請求項1記載の燃料電池スタックにおいて、前記集電部は、前記金属プレートの金属表面部に接続され、前記シール部材の一部を覆って設けられることを特徴とする燃料電池スタック。
  7. 請求項6記載の燃料電池スタックにおいて、前記集電部は、導電フイルム、導電性接着剤又は導電性塗料で構成されることを特徴とする燃料電池スタック。
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