JP4689072B2 - セメントコンクリート、急結性セメントコンクリート、及び調製方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、道路、鉄道、及び導水路等のトンネル掘削工事において露出した地山面や地山が露出した法面において、崩落を防止するための吹付材料に関する。尚、本発明でいうセメントコンクリートとは、ペースト、モルタル、及びコンクリートを総称するものをいう。
【0002】
【従来の技術】
従来、トンネル掘削等露出した地山面の崩落を防止するために、エアー圧送又はポンプ圧送されたセメントコンクリートと、エアー圧送された急結剤とを、Y字管等で混合し、急結性セメントコンクリートとして吹付ける吹付工法が行われている。
【0003】
通常、トンネルを1m毎に掘削後、吹付コンクリートを吹付ける工法が行われている。その時のコンクリート吹付量は余堀り(トンネル掘削時に設計掘削量より広めに掘ってしまう事)等を考慮し、作業員が決定する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、作業員の見込み違い等により、急結性コンクリートが余る場合が多く、余った急結性コンクリートは殆どの場合、廃棄されていた。
【0005】
その為、余分な材料を無駄にした分、施工費が高くなるので経済的に好ましくなく、又、環境上廃棄物が増大するという課題があった。
【0006】
又、セメントコンクリートの練り置きが短時間であれば、流動化剤等の使用により、セメントコンクリートのスランプを維持でき、ポンプ圧送が可能となる。しかしながら、長時間、例えば2〜8時間程度練り置いたセメントコンクリートのスランプを維持することは困難であるという課題があった。
【0007】
本発明者は前記課題を解消すべく種々検討した結果、スランプダウンしたセメントコンクリートに特定の凝結調整剤を添加すると、数時間スランプを維持できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
本発明は、コンクリートミキサー車内に残った残りセメントコンクリートに特定の凝結調整剤を添加してコンクリートミキサー車内に残りセメントコンクリートを保存し、次回吹付作業時に残りセメントコンクリートを使用して急結剤を添加すると、吹付後の凝結性状が良好になる工法である。
【0009】
【課題を解決する手段】
即ち、スランプダウンしたセメント組成物と、消石灰類100質量部、クエン酸、グルコン酸、酒石酸、リンゴ酸、及びこれらの塩の一種又は二種以上の有機酸類、石膏、及び減水剤1〜10質量部を含む凝結調整剤とを含有してなるセメントコンクリートであり、該セメントコンクリートと急結剤を含有してなる急結性セメントコンクリートであり、スランプダウンしたセメント組成物と、消石灰類100質量部、クエン酸、グルコン酸、酒石酸、リンゴ酸、及びこれらの塩の一種又は二種以上の有機酸類、石膏、及び減水剤1〜10質量部を含む凝結調整剤とを、混合してなるセメントコンクリートを調製してなるセメントコンクリートの調製方法であり、スランプダウンしたセメント組成物と、消石灰類100質量部、クエン酸、グルコン酸、酒石酸、リンゴ酸、及びこれらの塩の一種又は二種以上の有機酸類、石膏、及び減水剤1〜10質量部を含む凝結調整剤とを、混合してなるセメントコンクリートに、急結剤を混合して急結性セメントコンクリートを調製してなる急結性セメントコンクリートの調製方法であり、さらに、凝結調整剤が水を含有してなる凝結調整剤スラリーである該セメントコンクリートの調製方法であり、スランプダウンしたセメント組成物のフロー値が15cm以上であり、水セメント比が30〜75%である該セメントコンクリートの調製方法である。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
【0011】
本発明に係るスランプダウンしたセメント組成物はセメントと水を含有する組成物であり、出荷したが手つかずのため全量が生コン工場や施工現場に設置したバッチャープラントに返却される戻りコンクリートや、出荷した分の一部を荷卸ししたあと残りを施工現場より生コン工場やバッチャープラントに返却される残りコンクリートが挙げられる。又、貯蔵を目的として調製されたセメントコンクリートも挙げられる。尚、本発明に係るスランプダウンしたセメント組成物はコンクリートの他にペーストやモルタルも含むものである。
【0012】
スランプダウンしたセメント組成物とは、調製直後のスランプよりスランプダウンしたセメント組成物をいう。好ましくは、調製直後のスランプに対して0.5〜2cm以上スランプダウンしたセメント組成物をいう。スランプダウンしたセメント組成物としては、フロー値が15cm以上であれば、本発明の凝結調整剤が好ましく使用できる。15cm未満だと本発明の凝結調整剤を使用しても凝結遅延効果が良くならないおそれがある。
【0013】
本発明に係るセメントとしては、市販されている普通、早強、中庸熱、及び超早強等の各種ポルトランドセメント、並びにこれらのポルトランドセメントにフライアッシュや高炉スラグ等を混合した各種混合セメントが挙げられる。セメントとしては、低リバウンド率、粉塵量の低減、圧送性、強度発現性、及び施工容易性等、吹付施工に要求される性能に適したセメントを選択できる。これらの中では、安価で一般的に使用できる点で、普通ポルトランドセメント及び/又は早強ポルトランドセメントが好ましい。
【0014】
本発明に係る骨材は細骨材と粗骨材のいずれも使用できる。細骨材としては、天然砂、珪砂、及び石灰砂等が挙げられる。モルタルを用いた場合、細骨材の最大粒径は2.5mm以下が好ましい。2.5mmを越えると圧送性が低下し、吹付時の跳ね返りが多くなるおそれがある。粗骨材を使用する場合、粗骨材としては、川砂利、山砂利、及び石灰砂利等が挙げられる。粗骨材の最大粒径は5〜15mmが好ましい。15mmを越えると吹付時の跳ね返りが多くなるおそれがある。
【0015】
本発明に係る凝結調整剤は、急結剤を配合していないセメントコンクリートと混合する材料であり、消石灰類、有機酸類、石膏、及び減水剤を含有するものである。
【0016】
本発明に係る消石灰類は、急結剤を配合していないセメントコンクリートが長時間凝結硬化しないという効果を有する。
【0017】
さらに、有機酸類等を多く使用しても、又、予定より早く急結剤を混合しても、急結剤と併存することによって急結性セメントコンクリートの急結硬化を促進するという効果を有するものである。
【0018】
具体的には、消石灰や、カルシウムカーバイトからアセチレンを発生させる際副生するカーバイド滓等が挙げられる。これらの中では、急結剤と混合した後の強度発現性が最もよく、しかも、副生品のため安価で経済的である点から、カーバイド滓が好ましい。
【0019】
消石灰類の粒子径は、特に限定されるものではないが、100μm以下が好ましく、60μm以下がより好ましい。
【0020】
本発明に係る有機酸類としては、クエン酸、グルコン酸、酒石酸、及びリンゴ酸等の各種水溶性カルボン酸やこれらの塩の一種又は二種以上の使用が可能である。塩としては、ナトリウム塩やカリウム塩が好ましい。これらの中では、使用量と正比例して凝結時間が長くなり、コントロールがしやすく、凝結調整剤をスラリー化した場合にカルシウム成分と化学反応を起こしにくく、スラリーが発熱しにくい点で、有機酸塩が好ましく、クエン酸ナトリウムがより好ましい。
【0021】
有機酸類の使用量は、消石灰類100質量部に対して、1〜400質量部が好ましく、4〜200質量部がより好ましく、6〜50質量部が最も好ましい。1質量部未満だと凝結遅延効果が小さいおそれがあり、400質量部を越えると凝結硬化しにくくなるおそれがある。
【0022】
本発明に係る石膏は市販のいずれの石膏も使用できるが、強度発現性の点で、II型無水石膏及び/又は天然無水石膏が好ましい。
【0023】
石膏の粒度はブレーン値で3000cm2/g以上が好ましく、4000〜7000cm2/gがより好ましい。3000cm2/g未満だと初期強度発現性が低下するおそれがある。
【0024】
石膏の使用量は、消石灰類100質量部に対して、10〜500質量部が好ましく、20〜200質量部がより好ましい。10質量部未満だと強度発現性が小さいおそれがあり、500質量部を越えると初期凝結しにくいおそれがある。
【0025】
本発明に係る減水剤は、凝結遅延効果や流動性を持続させるものであり、液体や粉体いずれも使用できる。
【0026】
減水剤としては、リグニンスルホン酸塩やその誘導体、及び高性能減水剤等が挙げられ、これらの一種又は二種以上が使用できる。これらの中では、凝結遅延効果、流動性、及び圧送性が大きい点で、高性能減水剤が好ましい。
【0027】
高性能減水剤としては、ポリエチレングリコール等のポリオール誘導体、芳香族スルホン酸系高性能減水剤、ポリカルボン酸系高性能減水剤、メラミン系高性能減水剤、及びこれらの混合物等が挙げられる。これらの中では、凝結遅延効果、流動性、及び圧送性が大きい点で、芳香族スルホン酸系高性能減水剤が好ましい。
【0028】
芳香族スルホン酸系高性能減水剤の芳香族スルホン酸系としては、芳香族スルホン酸及び/又は芳香族スルホン酸ホルマリン縮合物が挙げられる。
【0029】
芳香族スルホン酸としては、ナフタレンスルホン酸、アルキルナフタレンスルホン酸、ビスフェノールAスルホン酸、フェノールスルホン酸、トリスフェノールスルホン酸、4−フェノキシベンゼン−4’−スルホン酸、メチルジフェニルエーテルスルホン酸、及びアントラセンスルホン酸等が挙げられる。又、芳香族環がアルキル基を有してもよい。芳香族スルホン酸ホルマリン縮合物としては、これらの芳香族スルホン酸のホルマリン縮合物等が挙げられる。これらの中では、凝結遅延効果、流動性、及び圧送性が大きい点で、芳香族スルホン酸ホルマリン縮合物が好ましく、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、アルキルナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、及びビスフェノールAスルホン酸ホルマリン縮合物からなる群のうちの1種以上がより好ましく、β−ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物(以下β−NSという)が最も好ましい。
【0030】
減水剤の使用量は、消石灰類100質量部に対して、1〜10質量部が好ましく、3〜7質量部がより好ましい。1質量部未満だと凝結遅延効果、流動性、及び圧送性が小さいおそれがあり、10質量部を越えるとセメントコンクリートが分離するおそれがある。
【0031】
さらに、本発明に係る凝結調整剤は、スラリー化することが好ましい。スラリー化することにより、コンクリートミキサー車へ後添加しやすく、セメントコンクリートのスランプ保持性が良好になるという効果を有する。
【0032】
凝結調整剤スラリーを調製する場合に使用する水の使用量は、凝結調整剤100質量部に対して、30〜300質量部が好ましく、40〜200質量部がより好ましい。30質量部未満だとセメントコンクリートの粘性が大きく、凝結調整剤と水が混合しにくく、作業性が悪いおそれがあり、300質量部を越えると強度発現性が小さくなるおそれがある。但し、凝結調整剤スラリー中の水の使用量が多いと、セメントコンクリートの水セメント比を小さくしなければならず、セメントコンクリートの混合性が低下するおそれがある。そのため、凝結調整剤スラリー中の水の使用量は多くない方が好ましい。
【0033】
凝結調整剤の使用量は、セメント100質量部に対して、固形分換算で0.5〜15質量部が好ましく、1〜10質量部がより好ましい。0.5質量部未満だと凝結遅延効果が悪くなるおそれがあり、15質量部を越えると急結剤を添加しても凝結硬化しにくく、強度発現性が低下するおそれがある。
【0034】
本発明は、急結剤を配合していないセメント組成物を調製後放置してスランプダウンしたものに凝結調整剤を混合してセメントコンクリートとするものである。そして、凝結調整剤を混合したセメントコンクリートは急結剤と混合して急結性セメントコンクリートになり、吹付施工を行うものである。
【0035】
本発明に係る急結剤は、吹付セメントコンクリートに混入できるものであれば特に制限はなく、急結剤としては、アルミン酸ナトリウムやケイ酸ナトリウム等の無機塩系や、カルシウムアルミネート類等のセメント鉱物系等が挙げられる。これらの中では、セメントコンクリートの凝結硬化が早い等の凝結性状が優れ、強度発現性が良好な点で、セメント鉱物系急結剤の使用が好ましく、カルシウムアルミネート類がより好ましい。
【0036】
本発明で使用するカルシウムアルミネート類とは、カルシアを含む原料と、アルミナを含む原料等とを混合して、キルンでの焼成や、電気炉での溶融等の熱処理をして得られる、CaOとAl2O3とを主たる成分とし、水和活性を有する物質の総称であり、CaO及び/又はAl2O3の一部が、アルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属酸化物、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化鉄、アルカリ金属ハロゲン化物、アルカリ土類金属ハロゲン化物、アルカリ金属硫酸塩、及びアルカリ土類金属硫酸塩等と置換した物質、あるいは、CaOとAl2O3とを主成分とするものに、これらが少量固溶した物質である。鉱物形態としては、結晶質、非晶質いずれであってもよい。
【0037】
カルシウムアルミネート類の中では、反応活性に優れる点で、C12A7(CはCaOの略、AはAl2O3の略)が好ましく、非晶質のC12A7がより好ましい。
【0038】
カルシウムアルミネート類の粒度は、ブレーン値で3000cm2/g以上が好ましく、5000cm2/g以上がより好ましい。3000cm2/g未満だと初期強度発現性が低下するおそれがある。
【0039】
急結剤の使用量は、セメント100重量部に対し、3〜25質量部が好ましく、5〜15質量部がより好ましい。3質量部未満だと凝結性状や初期強度発現性が小さいおそれがあり、25質量部を越えると、粉塵や跳ね返りが増加し、長期強度発現性が小さくなり、Y字管が閉塞しやすくなるおそれがある。
【0040】
本発明に係る水セメント比(W/C)は30〜75%が好ましく、35〜70%がより好ましく、35〜65%が最も好ましい。30%未満だとセメントコンクリートの粘性が大きく吹付作業性が低下し、75%を越えると強度発現性や凝結性に悪影響を与えるおそれがある。尚、ここでいう水セメント比には凝結調整剤スラリー中の水を含むものである。
【0041】
本発明の吹付工法については、従来使用の吹付設備等が使用できる。吹付設備は吹付が十分に行われれば、特に限定するものではなく、例えば、セメントコンクリートの圧送にはアリバー社製「アリバー285」等が使用でき、その他にもピストン式のコンクリートポンプ等も使用できる。急結剤の圧送には急結剤圧送装置「ナトムクリート」等が使用できる。
【0042】
【実施例】
以下、実験例に基づき詳細に説明する。尚、試験温度は20℃とした。
【0043】
実験例1
W/C=60%、セメント/細骨材比(C/S)=1/3のモルタルを調製後、表1に示す時間(練り置き時間)練り置いた。その後このモルタルに、消石灰類100質量部、有機酸類25質量部、石膏100質量部、及び減水剤5質量部からなる凝結調整剤100質量部と水100質量部からなる凝結調整剤スラリーを、セメント100質量部に対して固形分換算で3質量部添加した後、さらに表1に示す時間放置した。凝結調整剤スラリーを添加しないモルタル(練り置き時間経過後のモルタル)と凝結調整剤スラリーを添加したモルタルにつき、フロー値を測定した。結果を表1に示す。
【0044】
(使用材料)
セメント:市販品、普通ポルトランドセメント、比重3.16
細骨材:新潟県姫川産天然砂、骨材の最大粒径2.5mm以下、比重2.62
消石灰類:カーバイト滓、粒子径60μm以下
有機酸類:市販品、クエン酸ナトリウム
石膏:市販品、天然無水石膏、ブレーン値4000cm2/g
減水剤:β−NS、粉状、市販品
【0045】
(測定方法)
フロー値:W/C=60%、セメント/細骨材比(C/S)=1/3のモルタルを調製してから所定時間(練り置き時間)経過後の急結剤を添加しないモルタルと、凝結調整剤スラリーを添加してから所定時間経過後の急結剤を添加しないモルタルにつき、フロー値を測定した。測定方法はJIS A 1101に準じた。
【0046】
【表1】
【0047】
実験例2
W/C=60%、セメント/細骨材比(C/S)=1/3のモルタルを調製後、表2に示す時間(練り置き時間)練り置いた。その後このモルタルに、消石灰類100質量部、有機酸類25質量部、石膏100質量部、及び減水剤5質量部からなる凝結調整剤100質量部と水100質量部からなる凝結調整剤スラリーを、セメント100質量部に対して固形分換算で3質量部添加した後、さらに4時間放置した。
そして、急結剤を、セメント100質量部に対して7質量部添加して急結性モルタルを調製した。
急結性モルタルにつき、プロクター貫入抵抗値を測定した。結果を表2に示す。
【0048】
(使用材料)
急結剤:カルシウムアルミネート系粉体急結剤(カルシウムアルミネート類としては、非晶質、C12A7、ブレーン値6050cm2/gのカルシウムアルミネート類を使用)
【0049】
(測定方法)
プロクター貫入抵抗値:急結性モルタルにつき、土木学会基準「吹付けコンクリート用急結剤品質規格(JSCED−102)」に準じて測定した。
【0050】
【表2】
【0051】
実験例3
W/C=60%、セメント/細骨材比(C/S)=1/3のモルタルを調製後、表3に示す時間(練り置き時間)練り置き、凝結調整剤スラリーを添加後さらに4時間放置し、急結剤を添加した急結性モルタルにつき、圧縮強度を測定したこと以外は実験例2と同様に行った。結果を表3に示す。
【0052】
(測定方法)
圧縮強度:急結性モルタルにつき、JIS R 5201に準じて、20℃、所定の材齢で測定した。
【0053】
【表3】
【0054】
実験例4
W/C=60%、セメント/細骨材比(C/S)=1/3のモルタルを調製後、1時間練り置き、その後このモルタルに凝結調整剤スラリーを、セメント100質量部に対して固形分換算で表4に示す質量部添加した後、さらに表4に示す時間放置して凝結調整剤スラリーを添加したモルタルを調製し、凝結調整剤スラリーを添加しないモルタル(練り置き時間経過後のモルタル)と凝結調整剤スラリーを添加したモルタルにつき、フロー値を測定したこと以外は、実験例1と同様に行った。結果を表4に示す。
【0055】
【表4】
【0056】
実験例5
W/C=60%、セメント/細骨材比(C/S)=1/3のモルタルを調製後、1時間練り置き、その後このモルタルに、凝結調整剤スラリーを、セメント100質量部に対して固形分換算で表5に示す質量部添加後さらに4時間放置し、急結剤を添加した急結性モルタルにつき、プロクター貫入抵抗値を測定したこと以外は実験例2と同様に行った。結果を表5に示す。
【0057】
【表5】
【0058】
実験例6
W/C=60%、セメント/細骨材比(C/S)=1/3のモルタルを調製後、1時間練り置き、その後このモルタルに、凝結調整剤スラリーを、セメント100質量部に対して固形分換算で表6に示す質量部添加後さらに4時間放置し、急結剤を添加した急結性モルタルにつき、圧縮強度を測定したこと以外は実験例2と同様に行った。結果を表6に示す。
【0059】
【表6】
【0060】
実験例7
W/C=60%、セメント/細骨材比(C/S)=1/3のモルタルを調製後、1時間練り置き、その後このモルタルに、消石灰類100質量部、表7に示す質量部の有機酸類、石膏100質量部、及び減水剤5質量部からなる凝結調整剤100質量部と水100質量部からなる凝結調整剤スラリーを添加した後、さらに4時間放置し、急結剤を添加した急結性モルタルにつき、プロクター貫入抵抗値を測定したこと以外は実験例2と同様に行った。結果を表7に示す。
【0061】
【表7】
【0062】
実験例8
W/C=60%、セメント/細骨材比(C/S)=1/3のモルタルを調製後、1時間練り置き、その後このモルタルに、消石灰類100質量部、有機酸類25質量部、表8に示す質量部の石膏100質量部、及び減水剤5質量部からなる凝結調整剤100質量部と水100質量部からなる凝結調整剤スラリーを添加した後、さらに4時間放置し、急結剤を添加した急結性モルタルにつき、プロクター貫入抵抗値を測定したこと以外は実験例2と同様に行った。結果を表8に示す。
【0063】
【表8】
【0064】
実験例9
W/C=60%、セメント/細骨材比(C/S)=1/3のモルタルを調製後、1時間練り置き、その後このモルタルに、消石灰類100質量部、有機酸類25質量部、表9に示す質量部の石膏100質量部、及び減水剤5質量部からなる凝結調整剤100質量部と水100質量部からなる凝結調整剤スラリーを添加した後、さらに4時間放置し、急結剤を添加した急結性モルタルにつき、圧縮強度を測定したこと以外は実験例2と同様に行った。結果を表9に示す。
【0065】
【表9】
【0066】
実験例10
W/C=60%、セメント/細骨材比(C/S)=1/3のモルタルを調製後、1時間練り置き、その後このモルタルに、消石灰類100質量部、有機酸類25質量部、石膏100質量部、及び表10に示す質量部の減水剤からなる凝結調整剤100質量部と水100質量部からなる凝結調整剤スラリーを添加した後、さらに表10に示す時間放置して凝結調整剤スラリーを添加したモルタルを調製し、凝結調整剤スラリーを添加しないモルタル(練り置き時間経過後のモルタル)と凝結調整剤スラリーを添加したモルタルにつき、フロー値を測定したこと以外は、実験例1と同様に行った。結果を表10に示す。
【0067】
【表10】
【0068】
実験例11
セメント360kg/m3、粗骨材708kg/m3、細骨材1013kg/m3、及び水216kg/m3 とし、プレーンスランプ10cmのコンクリートを調製し、1時間練り置いた。その後このコンクリートに、消石灰類100質量部、有機酸類25質量部、石膏100質量部、及び表11に示す質量部の減水剤からなる凝結調整剤100質量部と水100質量部からなる凝結調整剤スラリーを、セメント100質量部に対して固形分換算で3質量部添加後、4時間放置した。
凝結調整剤スラリーを添加したコンクリートにつき、分離性を測定した。結果を表11に示す。
【0069】
(使用材料)
粗骨材:新潟県姫川産砂利、比重2.65、骨材の最大粒径15mm
【0070】
(測定方法)
分離性:急結剤を添加しないコンクリートの分離性を測定した。2000mlのメスシリンダーにコンクリート2000mlを投入し、10分間静置した。その後、メスシリンダー1000mlのラインより上のコンクリートを採取し、目開き5mmの篩でふるい、篩上に残ったものの質量を測定した。
【0071】
【表11】
【0072】
実験例12
W/C=60%、セメント/細骨材比(C/S)=1/3のモルタルを調製後、1時間練り置き、その後このモルタルに、凝結調整剤スラリーを、セメント100質量部に対して固形分換算で3質量部添加後さらに4時間放置し、急結剤をセメント100質量部に対して固形分換算で表12に示す質量部添加した急結性モルタルにつき、プロクター貫入抵抗値を測定したこと以外は実験例2と同様に行った。結果を表12に示す。
【0073】
【表12】
【0074】
実験例13
W/C=60%、セメント/細骨材比(C/S)=1/3のモルタルを調製後、1時間練り置き、その後このモルタルに、凝結調整剤スラリーを、セメント100質量部に対して固形分換算で3質量部添加後さらに4時間放置し、急結剤をセメント100質量部に対して固形分換算で表13に示す質量部添加した急結性モルタルにつき、圧縮強度を測定したこと以外は実験例2と同様に行った。結果を表13に示す。
【0075】
【表13】
【0076】
実験例14
セメント360kg/m3、粗骨材708kg/m3、細骨材1013kg/m3、及び水216kg/m3とし、プレーンスランプ10cmのコンクリートを調製し、1時間練り置いた。その後このコンクリートに、消石灰類100質量部、有機酸類25質量部、石膏100質量部、及び減水剤3質量部からなる凝結調整剤100質量部と水100質量部からなる凝結調整剤スラリーを、セメント100質量部に対して固形分換算で3質量部添加後、4時間放置した。
そして、急結剤を、セメント100質量部に対して表14に示す質量部添加して急結性コンクリートを調製した。
急結性コンクリートにつき、粉塵量と跳ね返り率を測定した。結果を表14に示す。
【0077】
(測定方法)
粉塵量:急結性コンクリートを4m3/hの圧送速度で10分間、鉄板でアーチ状に制作した高さ3.5m、幅2.5m、長さ20mの模擬トンネルに、吹付ノズル先端から吹付けた。その後、吹付ノズル先端から3m手前の定位置で粉塵量を測定し、得られた測定値の平均値で示した。
跳ね返り率:幅5.5m×高さ5.5mの馬蹄径のトンネルに急結性コンクリートを吹付け、(跳ね返り落下した急結性コンクリートの量)/(吹付に使用した急結性コンクリート全体の量)×100(%)で示した。
【0078】
【表14】
【0079】
【発明の効果】
本発明の凝結遅延剤スラリーを用いると初期・長期の強度発現性や圧送性に優れ、跳ね返りが少なくなるので、残りコンクリートや戻りコンクリート等スランプダウンしたセメント組成物を次回の吹付に使用でき、資源を有効に使用できる。又、廃棄物も削減される為、極めて経済的である。
Claims (6)
- スランプダウンしたセメント組成物と、消石灰類100質量部、クエン酸、グルコン酸、酒石酸、リンゴ酸、及びこれらの塩の一種又は二種以上の有機酸類、石膏、及び減水剤1〜10質量部を含む凝結調整剤とを含有してなるセメントコンクリート。
- 請求項1記載のセメントコンクリートと急結剤を含有してなる急結性セメントコンクリート。
- スランプダウンしたセメント組成物と、消石灰類100質量部、クエン酸、グルコン酸、酒石酸、リンゴ酸、及びこれらの塩の一種又は二種以上の有機酸類、石膏、及び減水剤1〜10質量部を含む凝結調整剤とを、混合してなるセメントコンクリートを調製してなるセメントコンクリートの調製方法。
- スランプダウンしたセメント組成物と、消石灰類100質量部、クエン酸、グルコン酸、酒石酸、リンゴ酸、及びこれらの塩の一種又は二種以上の有機酸類、石膏、及び減水剤1〜10質量部を含む凝結調整剤とを、混合してなるセメントコンクリートに、急結剤を混合して急結性セメントコンクリートを調製してなる急結性セメントコンクリートの調製方法。
- さらに、凝結調整剤が水を含有してなる凝結調整剤スラリーである請求項3又は4記載のセメントコンクリートの調製方法。
- スランプダウンしたセメント組成物のフロー値が15cm以上であり、水セメント比が30〜75%である請求項3〜5のうちの1項に記載のセメントコンクリートの調製方法。
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