JP4683601B2 - 油圧緩衝器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両のサスペンションとして使用され、特にピストンの低速域においてピストンロッドに一定のフリクションを付与する油圧緩衝器に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に自動車等のサスペンションとして使用される油圧緩衝器はシリンダの端部にロッドガイドとオイルシールとを設け、又シリンダ内にはピストンを介してピストンロッドが移動自在に挿入され、当該ピストンロッドは上記ロッドガイドの内周とオイルシールの内周とに摺接しながら外部に導出している。ロッドガイドはピストンロッドをピストンと協働して軸方向に案内し、オイルシールはシリンダ内の油が外部に洩れるのを防止している。オイルシールの外周にはバンドが設けられており、このバンドの締付力とオイルシール自体の弾性とでオイルシールの内周とピストンロッドの外周との間に一定のフリクションが発生するようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
一般にピストン速度の低速域ではピストン等に設けたオリフィス又は減衰バルブに流動抵抗がほとんど発生せず、従って減衰力が発生しないが、オイルシールとピストンロッドとの間のフリクションはピストンロッドの摺動性に影響を与え、従って車両の乗心地にも影響がある。
【0004】
この為、油圧緩衝器の設計時にはオイルシールとピストンロッドとの間のフリクションの大きさを計算し、この計算に基づいてピストンロッドの外周にオイルシールを組付け、ピストンの低速域においても一定のフリクションが発生するようにしている。
【0005】
しかしながら、長期間の使用中にはくり返しオイルシールがピストンロッドに摺接するとこのオイルシールが劣化することが考えられる。この場合にはオイルシールのピストンロッドに対するフリクションが所定通り効かなくなリ、その結果ピストンの低速域において、ピストンとピストンロッドの微細な振動を抑制しにくくなり、例えば悪路走行時に発生する大きな振動後に微細な上下方向の振動が残っていつまでも続くと、車体がいつまでも小さく振動し乗心地を悪くする不具合が起り得る。
【0006】
そこで、本発明の目的は、オイルシールに関係なくピストンの微低速域において常にピストンロッドに一定のフリクションを付与できる油圧緩衝器を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明の手段は、シリンダの端部にロッドガイドとオイルシールとを設け、上記シリンダ内にピストンを介して移動自在に挿入したピストンロッドが上記ロッドガイドと上記オイルシールの内周を摺接して外部に導出している油圧緩衝器に於て、上記ロッドガイドの内周にブッシュを嵌合し、当該ブッシュを円筒状の芯金と、この芯金の内側に設けた弾性な円筒状のブッシュ本体とで構成し、更に上記ブッシュの上部に上記ピストンロッドの外周に摺接する斜め上向きのチェック弁を設け、このチェック弁を円筒部と、この円筒部の上端に形成した円錐状のリップと、上記円筒部の内周に設けられて上記ピストンロッドの外周に摺接する環状のリブからなるフリクション発生部とで構成させ、上記リブに一つ又は複数のスリットが軸方向に形成されていることを特徴とするものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図にもとづいて説明する。
【0010】
本発明の実施の形態に係る車両用サスペンションとして使用される油圧緩衝器は、図1に示すように、シリンダ1の端部にロッドガイド2とオイルシール3とを設け、シリンダ1内にピストンを介して移動自在に挿入したピストンロッド4が、上記オイルシール3の内周を摺接して外部に導出している。そして本発明では、更にロッドガイド2の内周にブッシュ6を嵌合し、当該ブッシュ6の上部にエアと油の逆流を防止するチェック弁8を連設している。この場合チェック弁8は後述するようにリップ8bとフリクション発生部8aとを備えている。
【0011】
以下、更に詳しく説明する。
【0012】
シリンダ1と同芯にアウターシェル9が配設され、シリンダ1とアウターシェル9の上端部にはロッドガイド2が固定されている。
【0013】
ロッドガイド2の上方たる外部側にはバンド11で付勢された上下のリップからなるオイルシール3が設けられ、このオイルシール3は支持金具12を介してロッドガイド2の支持突起13に支持され、又アウターシェル9のカシメ部9aと支持板14とで保持されている。
【0014】
オイルシール3はピストンロッド4の外周と摺接し、ロッドガイド2の油溜室15に溜った油とエアはロッドガイド2に形成した油路16を介してアウターシェル9内側のリザーバ17に回収されるようになっている。
【0015】
ブッシュ6は芯金22とブッシュ本体20とからなり、ブッシュ本体20の内周はピストンロッド4に摺接して荷重負担部として使用されるようになっている。
【0016】
シリンダ1内にはピストンで区画された油室18を有し、この油室18内の油と混入したエアはブッシュ6の内周とチェック弁8を介してブッシュ6上方への流れは許容するが、ブッシュ6上方に流出した油とエアはチェック弁8によって逆流が防止され、これらは必ず油溜り室15よりリザーバ17に回収されるようになっている。ブッシュ6は後述するように外周側に芯金22を有し、この芯金22がロッドガイド2の内周に当接している。
【0017】
ブッシュ6は図1に示すように、円筒状の芯金22と、芯金22の内側に設けた弾性な円筒状のブッシュ本体20とで構成され、芯金22は銅等の金属板からなるものでも良く、あるいは弾性材からなるもので反発力を発生させるものでも良い。ブッシュ本体20はNBR等のゴムあるいはウレタン樹脂等の弾性材で成形され、その他耐久性と弾性に富む複合材で成形されるのが好ましく、その弾性で荷重を負担している。
【0018】
ブッシュ本体20の内周とピストンロッド4の外周との間にはわずかな隙間25が形成されて油とエアの流出を許容しているが、上方に流出したエアはチェック弁8によって油室18への逆流を防止している。チェック弁8はブッシュ6の上端から上方に起立した円筒部8cと、円筒部8cから一体に起立するリップ8bと、円筒部8cの内周に設けた環状のリブからなるフリクション発生部8aとで構成されている。このリップ8bはピストンロッド4の外周に任意の締代で接触しフリクション発生部8aはピストンロッド4の外周に摺接してピストン速度の微低速時にピストンロッド4に対して一定のフリクションを付与している。フリクション発生部8aには軸方向に沿って一つ又は複数のスリット8dが形成されている。
【0019】
上記の実施の形態に係る油圧緩衝器によれば、オイルシール3によるフリクションに関係なくフリクション発生部8aによってピストンロッド4に一定のフリクションを付与できる。この為、車両の走行中、悪路走行によって大きな振動が車体に発生し、その後微細な振動が残っても、この微振動はフリクッション発生部8aのピストンロッド4に対するフリクションでピストンロッド4の上下動が抑制されることにより解消される。いいかえれば、ピストン速度の微低速域での車体の微振動がフリクションで抑制され、乗心地を向上できる。フリクション発生部8aに形成したスリット8dは高フリクション発生時に油の流れを塞がないようにすると共にフリクション発生部8aの油冷を兼ねている。フリクション発生部8aは環状のリブでもよく、複数隔設した突起でもよい。
【0020】
【発明の効果】
本発明によれば、次の効果がある。
【0021】
(1)本発明によれば、ロッドガイドの内周にブッシュとチェック弁とを嵌合し、このチェック弁に設けたフリクション発生部でピストンロッドに対してピストンの微低速域で一定のフリクションを付与しているので、例えば、車体が大きな振動後に微細な振動が残ってもこの振動は上記のフリクションで抑制され、いつまでも微振動が続くのが防止される。その結果、車体が安定し乗心地が向上する。この際ブッシュを構成するブッシュ本体は荷重負担部として利用できる。
【0022】
(2) 同じく、ブッシュ上には通路手段と逆流防止用のチェック弁を連設したのでシリンダ内の油とエアがシリンダの油室から洩れるのを許容するが、逆にエアが油室側に逆流するのを防止でき、ピストン等に設けたポート又は減衰バルブ等の減衰力発生機構における減衰力を安定できる。
【0023】
(3) 同じく、フリクション発生部でオイルシール等に関係なくフリクションを発生できるから、オイルシールが劣化しても常にピストンロッドに対するフリクションを効かせることができる。
【0024】
(4) 同じく、ブッシュ本体が芯金で補強されているのでブッシュ本体の耐久性を向上できる。
【0025】
(5)同じく、スリットによってフリクション発生部が油冷されて発熱を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る油圧緩衝器の一部拡大縦断正面図である。
【符号の説明】
1 シリンダ
2 ロッドガイド
3 オイルシール
4 ピストンロッド
6 ブッシュ
8 チェック弁
8a フリクション発生部
8b リップ
8c 円筒部
20 ブッシュ本体
22 芯金
Claims (1)
- シリンダの端部にロッドガイドとオイルシールとを設け、上記シリンダ内にピストンを介して移動自在に挿入したピストンロッドが上記ロッドガイドと上記オイルシールの内周を摺接して外部に導出している油圧緩衝器に於て、上記ロッドガイドの内周にブッシュを嵌合し、当該ブッシュを円筒状の芯金と、この芯金の内側に設けた弾性な円筒状のブッシュ本体とで構成し、更に上記ブッシュの上部に上記ピストンロッドの外周に摺接する斜め上向きのチェック弁を設け、このチェック弁を円筒部と、この円筒部の上端に形成した円錐状のリップと、上記円筒部の内周に設けられて上記ピストンロッドの外周に摺接する環状のリブからなるフリクション発生部とで構成させ、上記リブに一つ又は複数のスリットが軸方向に形成されていることを特徴とする油圧緩衝器。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2001249989A JP4683601B2 (ja) | 2001-08-21 | 2001-08-21 | 油圧緩衝器 |
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