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JP4679109B2 - ネガ型感光性平版印刷版の製造方法 - Google Patents

ネガ型感光性平版印刷版の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、平版印刷版の製造方法に関し、詳しくは、感光性を有し画像を形成するネガ型感光性平版印刷版の製造方法に関する。更に詳しくは、揮発性の高い有機溶剤を多く含む塗工液を塗布、乾燥し作製されるネガ型感光性平版印刷版の製造方法に関する。
一般に、アルミニウム板を支持体とするネガ型感光性平版印刷版は、支持体上に感光性組成物を塗布し、陰画などを通して活性化光を照射露光し、露光部が硬化し、現像液により露光部を残し未露光部を溶解除去する事で親水性表面を有するアルミニウム支持体上に、露光パターンに応じた形で、親油性表面を有する硬化した被膜を形成するものである。
上記の感光性組成物としては、ジアゾ樹脂に高分子化合物を組み合わせたものが広く用いられており、米沢輝彦著、「PS版概論」(印刷学会出版部発行)や、永松元太郎、乾英夫著、「感光性高分子」(講談社発行)、山岡亜夫、松永元太郎著、「フォトポリマーテクノロジー」(日刊工業発行)等に詳しく述べられている。
又、近年のコンピューターの進歩によりデジタル化された原稿データを直接レーザービームを用いてフィルムを介在させずに印刷版に直接画像露光を行うCTPシステムが各社から提案されている。例えば、特開平7−20629号公報、同7−271029号公報等に挙げられている、赤外線吸収剤が光熱変換し露光部を局部的に高温にし、この際酸発生剤が発生する酸によりレゾール樹脂およびノボラック樹脂が架橋することで画像部を形成する平版印刷版。又、「印刷雑誌」78巻、9頁、1995年等に解説がなされている、重合開始剤、光増感色素、重合性モノマーを含む光重合反応を利用した平版印刷版等がある。
しかしながら、上記感光性平版印刷版は、感度等の安定性、長期保存性を確保するのが難しいという問題があり、このために、感光層上部に酸素バリア性を高めるとともに表面の傷防止等を目的としたポリビニルアルコール等からなるオーバー層を設けることが通常行われている。このようなオーバー層の存在によりレーザー露光の際に光の散乱等による画質の低下の問題や、現像の際に、アルカリ現像に先立ってオーバー層除去のためのプレ水洗工程が必要となること、および製造にあたって感光層塗布後に更にオーバー層を塗布する工程が必要である等の問題があった。
これらの問題を改良する為に、オーバー層を設けず、重合開始剤と色素増感剤および重合性化合物を有し、色素増感剤が吸収した光エネルギーを重合開始剤より発生するラジカルによる重合性化合物の重合を利用する技術として、特開2001−290271号公報(特許文献1)、特開2001−272778号公報、(特許文献2)、特開2002−28734号公報(特許文献3)に側鎖にビニル基が置換したフェニル基を有する重合体、光ラジカル発生剤、増感色素を含有する感光組成物が開示されている。この様な高感度の感光性組成物を利用した平版印刷版では、感度、非画像部の溶出性、印刷性能としての耐刷性、汚れ性が良好で安定的な品質で製造する事が難しく、特に有機溶剤系の塗布乾燥では蒸発速度が速く、乾燥工程に搬送される前に、不均一な塗工面が形成される事が多い。不均一な塗工面は品質のフレを招く重要な問題である。不均一な塗工面が形成される1つの原因として、有機溶剤の蒸発潜熱により塗布膜の温度が低下し塗布雰囲気中の水分が塗膜上に結露する可能性があり、この有機溶剤系特有の現象を回避する方法として、高沸点の溶剤を使用する事が一般に行われてきた。しかしながら、高沸点の溶剤を使用する事は、逆に乾燥工程での乾燥風による吹きムラを助長し均一な塗工面が得られない原因となったり、乾燥スピードが遅くなる為、生産性が悪化するといった様な問題が発生する。
この生産性を向上する為に、乾燥温度を高くする対策が取られるのだが、高温乾燥にする事により、特に露光部が画像となり未露光部が非画像部となるネガ型感光性平版印刷版に於いては、非画像部の溶出性や保存性に影響が現れる事が往々にして見られる。又、高温乾燥である事により良好な性能が得られる乾燥条件の範囲が狭くなり、生産安定性に欠ける。
特開2001−29071号公報 特開2001−272778号公報 特開2002−28734号公報
本発明は、アルミニウム支持体上に、側鎖に重合性二重結合を有するポリマー及び重合開始剤を少なくとも含有する感光層を設けたネガ型感光性平版印刷版の製造方法において、印刷性能として耐刷性、汚れ性が良好で尚かつ、均一な塗布面が得られ安定した品質のネガ型感光性平版印刷版を効率的に製造する方法を提供する事を課題とする。
本発明の上記課題は、以下の手段により達成された。
1)アルミニウム支持体上に、重合性二重結合としてビニル基が置換したフェニル基を側鎖に有し且つカルボキシル基含有モノマーを共重合成分として有するポリマー及び重合開始剤を少なくとも含有する感光層を設けたネガ型感光性平版印刷版の製造方法において、前記感光層塗工液の溶媒である有機溶剤の80質量%以上が沸点が110℃未満の有機溶剤であり、感光層塗工液の塗布工程が下記条件式1を満足し、かつ乾燥工程が下記条件式2を満足することを特徴とするネガ型感光性平版印刷版の製造方法。
T1−T2>−18(℃) 式1
T1−T3<30(℃) 式2
式中、T1はアルミニウム支持体に塗布された感光層の表面温度(℃)を表し、T2は塗布工程の露点(℃)を表し、T3は沸点が110℃未満の有機溶剤の平均的な沸点を表す。
2)前記感光層が更に重合性モノマーを含有する前記1)記載のネガ型感光性平版印刷版の製造方法。
3)前記感光層塗工液の塗布工程の時間が3秒以上20秒以内である前記1)又は2)記載のネガ型感光性平版印刷版の製造方法。
4)塗布前の支持体を加温し、支持体上に塗布液を塗布する環境温度より高くし塗布する前記1)、2)又は3)記載のネガ型感光性平版印刷版の製造方法。
5)塗布後の支持体を加温し、支持体上に塗布液を塗布する環境温度より高くする前記1)、2)、3)又は4)記載のネガ型感光性平版印刷版の製造方法。
6)支持体上に塗布液を塗布する環境温度より、塗工液の温度を高くする前記1)、2)、3)、4)又は5)記載のネガ型感光性平版印刷版の製造方法。
本発明によって、アルミニウム支持体上に、側鎖に重合性二重結合を有するポリマー及び重合開始剤を少なくとも含有する感光層を設けたネガ型感光性平版印刷版の製造方法において、印刷性能として耐刷性、汚れ性が良好で尚かつ、均一な塗布面が得られ安定した品質のネガ型感光性平版印刷版を効率的に製造する事ができる。
以下本発明について詳細に説明する。
アルミニウム支持体上に本発明の感光層を設けたネガ型平版印刷版の製造過程において、塗布工程でのアルミニウム支持体上に塗布された感光層の表面温度(T1)と、塗布工程の環境の露点(T2)との差(T1−T2)が、塗布された感光層の塗布面に影響を及ぼすことを見いだした。即ち、T1とT2の差がマイナス側に大きくなると塗布面が不均一になり、従って上記差をマイナス側で小さくすること(T1−T2>−18℃)により上記課題が解決することを見いだした。
本発明の前記式1において、好ましくは、T1−T2>−15℃であり、より好ましくはT1−T2>−10℃である。
本発明の感光層の塗工液は、沸点が110℃未満の有機溶剤を全有機溶剤50質量%以上含有する。このような揮発性の高い有機溶剤を高比率で含有する塗工液を、アルミニウム支持体上に塗布した場合、上述した問題が起こりやすくなる。即ち、揮発性の高い有機溶剤の蒸発潜熱によって、塗布された感光層の表面温度(T1)が低下して、塗布工程の露点(T2)より大きく低下する現象が起こる。T1とT2の差がマイナス側に大きくなると、塗布工程の雰囲気中の水分が感光層の塗布面上に結露して付着し、水分が付着した部分とその他の領域で乾燥速度の差が生じ塗布面の不均一性を招く要因となっているのではないかと考えている。
本発明において、T2で表される塗布工程の露点とは、塗布装置が設置されている場所及び乾燥工程(乾燥ドライヤー)の入り口までの雰囲気の露点であり、T1とT2の差は感光層の表面温度(T1)と同位置で対比されたものである。
感光層の表面温度(T1)は、低沸点有機溶剤の蒸発潜熱によって塗布してから時間経過とともに低下し、一方、塗布工程の雰囲気は塗布設置場所から乾燥工程入り口までは通常は同じ雰囲気に設定されているので、T1とT2の差は乾燥工程入り口付近がマイナス側に最も大きくなる。
本発明において、T1とT2の差、即ちT1−T2>−18℃を満足させる手段としては、感光層の表面温度(T1)の低下を抑制する方法、塗布工程の露点(T2)を低くする方法、及びこれらを組み合わせた方法がある。
T1の低下を抑制する方法としては、以下の方法が挙げられる。
1)感光層の塗布液の温度を予め高く設定しておく。
2)アルミニウム支持体を塗布直前あるいは塗布直後に加熱して高くする。
3)塗布工程の時間を短くする。即ち、感光層の塗工液を塗布してから乾燥工程に入るまでの時間を短くする。
上記方法について更に具体的に説明する。
1)感光層の塗布液の温度は常温である場合が多いが、塗布工程の乾球温度より5〜10℃以上高くしておく。即ち25〜40℃に設定する。
2)アルミニウム支持体の温度を加熱ローラ等の加熱手段で、塗布直前あるいは直後に25〜50℃になるように加熱する。
3)塗布工程の時間を20秒以内になるように設定する。下限の時間は3秒程度は必要である。
本発明は、乾燥工程においても前述した条件式2を満足しなければならない。即ち、乾燥工程における感光層の表面温度(T1)と、塗布液中に含有する沸点が110℃未満の有機溶剤の平均的な沸点(T3)との差が大きくなりすぎると、平版印刷版としての印刷性能(耐刷性、耐汚れ性等)が高いレベルで安定的に得られず、上記差を30℃より小さくすることによって上記課題が解決することを見いだした。
即ち、乾燥工程において、塗布された感光層の乾燥が進行するに伴い感光層の表面温度(T1)は上昇し、乾燥終了付近では乾燥風の乾球温度とほぼ同じまで上昇する。従って、一般的な乾燥工程では、乾燥終了付近における感光層の表面温度(T1)が最も高くなる。本発明の感光層、即ち、側鎖に重合性二重結合を有し、かつカルボキシル基を含有モノマーを共重合成分として有するポリマー、光重合開始剤、及び低沸点の有機溶剤を高比率で含有する感光層においては、上記T1とT3の差を30℃未満にすることによって印刷性能(耐刷性、耐汚れ性)が高レベルの印刷版が安定的に製造できることを見いだした。特に、製造直後のみならず、長期間の保存後であっても非画像部の溶出性が改良され、その結果耐汚れ性が向上した。
条件式2において、T3は110℃未満の有機溶剤の平均的な沸点を表す。即ち、該有機溶剤が1種類の場合は、その有機溶剤の沸点であるが、2種以上を併用する場合は、含有比率(質量比)を加味して計算した数値となる。
例えば、沸点が90℃の有機溶剤を沸点が110℃未満の全有機溶剤の60質量%含有し、かつ沸点が70℃の有機溶剤を40質量%含有する場合の平均的な沸点は、以下のようにして求める。
90℃×0.6+70℃×0.4=82℃
本発明において、感光層には更に重合性モノマーを含有する事が好ましく、これによって高感度及び高耐刷力の平版印刷版が得られるが、その版面、保存後における溶出性が悪化する。従って、更に重合性モノマーを含有する系において本発明の製造方法は有効となる。
前述したように、本発明は条件式1と2を組み合わせる事によって初めて所期の目的が達成される。即ち、条件式1のみを満足させるのであれば、110℃未満の有機溶剤の比率を小さくし、高沸点の有機溶剤を多く使用した塗工液を用いる事により蒸発潜熱を抑えれば良いが、それでは、高温乾燥を行う事が必要になり高感度のネガ型感光性平版印刷版を安定的に製造する事は難しくなる。そこで、沸点110℃未満の有機溶剤を50質量%以上含有する高感度ネガ型感光性平版印刷版の製造過程において、式1と式2を共に満足した感光層塗工液の塗布工程及び乾燥工程がこれらの問題を解決する。
本発明において、アルミニウム支持体上に設けられる感光層の組成は、詳しくは後述するが、少なくとも、側鎖に重合性二重結合を有しかつカルボキシル基含有モノマーを共重合成分として有するポリマー、及び光重合開始剤を含有し、好ましくは更に重合性モノマーを含有する。更に、増感色素、重合禁止剤、界面活性剤、着色顔料等が必要に応じて添加される。従って、感光層の塗工液は、上記したような薬剤が有機溶剤中に溶解あるいは分散された状態で含有する。
塗工液中における上記した全薬剤の濃度は、5〜30質量%程度の濃度で調製される。その中でポリマーの濃度は、1〜25質量%の濃度で含有するのが好ましい。感光層の乾燥膜厚は、0.5〜10μmの範囲で形成するのが好ましく、特に1〜5μmの範囲が好ましい。従って、塗工液の塗布量は、予め設定された感光層の厚み及び塗工液中のポリマー濃度から設定される。
塗布方式としては、例えばロールコーティング、ディップコーティング、エアナイフコーティング、グラビアコーティング、ホッパーコーティング、ブレードコーティング、ワイヤドクターコーティングなどが挙げられる。
本発明の塗工液に使用される全有機溶剤の50質量%以上含有する沸点が110℃未満の有機溶剤としては、大気圧下で沸点が110℃未満の有機溶剤であれば特に限定される物ではなく使用できる。例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、シクロヘキサン、酢酸メチル、酢酸エチル等が挙げられる。特に好ましい有機溶剤としてテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソランが挙げられる。全有機溶剤に対して50質量%以上含有する必要があり、好ましくは、70質量%以上、更に好ましくは、80質量%以上含有する事である。
前記有機溶剤の他に塗工液中の分散体の安定性、塗工面の安定助剤等、種々の目的に応じて、110℃以上の高沸点溶剤を含有する事は好ましい形態の1つで、例えば、N.Nジメチルホルムアミド、シクロヘキサノン、エチレングリコールモノエチルエーテル等が、好ましく用いられる。しかし、感光層中に多量に残存する事は前述した様に、経時保存安定性の悪化、印刷性能としての耐刷性の悪化を引き起こす原因になる為好ましくない。含有量には注意が必要で好ましくは全有機溶剤の30質量%以下、更に好ましくは20%以下である。
本発明に使用される支持体については、研磨され、陽極酸化皮膜を有するアルミニウム板であり、一般に平版印刷版に使用されるアルミニウム支持体が使用される。一般に平版印刷版に使用されるアルミニウム支持体とは、印刷時における湿し水に対する濡れ(保水性)を良くするため、また感光層との密着を良くするため、その表面を粗面化することが行われる。この粗面化処理(いわゆるグレイニング)には、ボールグレイニング、ワイヤグレイニング、ブラシグレイニング等の機械的粗面化処理、塩化物、フッ化物等で化学的にアルミニウムを溶解することにより行う化学的粗面化処理、及び電気化学的にアルミニウムを溶解することにより行う電解粗面化処理、及びこれらの方法を併用した粗面化方法が知られている。例えば特開昭48−28123号、同53−123204号、同54−146234号、同55−25381、同55−132294号、同56−55291号、同56−150593号、同56−28893号、同58−167196号、米国特許第2,344,510号、同第3,861,917号、同第4,301,229号などがある。アルミ板の表面形状についても、米国特許第2,344,510号は機械的粗面化と電解粗面化を行い重畳的に複合した砂目構造、米国特許第4,301,229号はピット径の累積度数分布と中心線平均粗さ、米国特許第3,861,917号は粗面の深さ、カナダ特許第955449号は粗面の山の高さと直径、西ドイツ特許第1,813,443号は粗面の高低差についてそれぞれ記載されている。このような粗面化処理を行った後、硫酸、リン酸、硝酸あるいはそれらの混合液などの電解液中で陽極酸化処理が施される。
本発明に使用される、側鎖に重合性二重結合を有しかつカルボキシル基含有モノマーを共重合成分として有するポリマーについて説明する。カルボキシル基含有モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸2−カルボキシエチルエステル、メタクリル酸2−カルボキシエチルエステル、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、マレイン酸モノアルキルエステル、フマル酸モノアルキルエステル、4−カルボキシスチレン等のような例が挙げられる。
上記のポリマー側鎖に重合性二重結合を導入する場合のモノマーとしては、アリルアクリレート、アリルメタクリレート、ビニルアクリレート、ビニルメタクリレート、1−プロペニル−アクリレート、1−プロペニル−メタクリレート、β−フェニル−ビニル−メタクリレート、β−フェニル−ビニル−アクリレート、ビニルメタクリルアミド、ビニルアクリルアミド、α−クロロ−ビニル−メタクリレート、α−クロロ−ビニル−アクリレート、β−メトキシ−ビニル−メタクリレート、β−メトキシ−ビニル−アクリレート、ビニル−チオ−アクリレート、ビニル−チオ−メタクリレート等が挙げられる。
本発明に用いられるポリマーとして特に好ましくは、重合性二重結合としてビニル基が置換したフェニル基を側鎖に有し、かつカルボキシ基含有モノマーを共重合成分として有するポリマーである。ビニル基が置換したフェニル基は直接もしくは連結基を介して主鎖と結合したものであり、連結基としては特に限定されず、任意の基、原子またはそれらの複合した基が挙げられる。また、前記フェニル基は置換可能な基もしくは原子で置換されていても良く、また、前記ビニル基はハロゲン原子、カルボキシ基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、アミド基、アミノ基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基等で置換されていても良い。上記した側鎖にビニル基が置換したフェニル基を有する重合体とは、更に詳細には、下記化1で表される基を側鎖に有するものである。
Figure 0004679109
式中、Z1は連結基を表し、R1、R2、及びR3は、水素原子、ハロゲン原子、カルボキシ基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、アミド基、アミノ基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基等であり、更にこれらの基は、アルキル基、アミノ基、アリール基、アルケニル基、カルボキシ基、スルホ基、ヒドロキシ基等で置換されていても良い。R4は置換可能な基または原子を表す。n1は0または1を表し、m1は0〜4の整数を表し、k1は1〜4の整数を表す。
上記一般式について更に詳細に説明する。Z1の連結基としては、酸素原子、硫黄原子、アルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基、−N(R5)−、−C(O)−O−、−C(R6)=N−、−C(O)−、スルホニル基、複素環基、及び下記化2で表される基等の単独もしくは2以上が複合した基が挙げられる。ここでR5及びR6は、水素原子、アルキル基、アリール基等を表す。更に、上記した連結基には、アルキル基、アリール基、ハロゲン原子等の置換基を有していてもよい。
Figure 0004679109
上記複素環基としては、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、テトラゾール環、イソオキサゾール環、オキサゾール環、オキサジアゾール環、イソチアゾール環、チアゾール環、チアジアゾール環、チアトリアゾール環、インドール環、インダゾール環、ベンズイミダゾール環、ベンゾトリアゾール環、ベンズオキサゾール環、ベンズチアゾール環、ベンズセレナゾール環、ベンゾチアジアゾール環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、キノリン環、キノキサリン環等の含窒素複素環、フラン環、チオフェン環等が挙げられ、更にこれらの複素環には置換基が結合していても良い。
化1で表される基の例を以下に示すが、これらの例に限定されるものではない。
Figure 0004679109
Figure 0004679109
Figure 0004679109
Figure 0004679109
上記化1で表される基の中には好ましいものが存在する。即ち、R1及びR2が水素原子でR3が水素原子もしくは炭素数4以下の低級アルキル基(メチル基、エチル基等)であるものが好ましい。更に、Z1の連結基としては複素環を含むものが好ましく、k1は1または2であるものが好ましい。
化1で示される基を有し、かつカルボキシ基含有モノマーを共重合成分として有するポリマーの例を下記に示す。式中、数字は共重合体トータル組成100質量%中に於ける各繰り返し単位の質量%を表す。
Figure 0004679109
Figure 0004679109
Figure 0004679109
Figure 0004679109
Figure 0004679109
本発明のポリマーは、更に他のモノマーを共重合体成分として含んでもよい。他のモノマーとしては、スチレン、4−メチルスチレン、4−ヒドロキシスチレン、4−アセトキシスチレン、4−カルボキシスチレン、4−アミノスチレン、クロロメチルスチレン、4−メトキシスチレン等のスチレン誘導体、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ドデシル等のメタクリル酸アルキルエステル類、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ベンジル等のメタクリル酸アリールエステル或いはアルキルアリールエステル類、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸メトキシジエチレングリコールモノエステル、メタクリル酸メトキシポリエチレングリコールモノエステル、メタクリル酸ポリプロピレングリコールモノエステル等のアルキレンオキシ基を有するメタクリル酸エステル類、メタクリル酸2−ジメチルアミノエチル、メタクリル酸2−ジエチルアミノエチル等のアミノ基含有メタクリル酸エステル類、或いはアクリル酸エステルとしてこれら対応するメタクリル酸エステルと同様の例、或いは、リン酸基を有するモノマーとしてビニルホスホン酸等、或いは、アリルアミン、ジアリルアミン等のアミノ基含有モノマー類、或いは、ビニルスルホン酸およびその塩、アリルスルホン酸およびその塩、メタリルスルホン酸およびその塩、スチレンスルホン酸およびその塩、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸およびその塩等のスルホン酸基を有するモノマー類、4−ビニルピリジン、2−ビニルピリジン、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルカルバゾール等の含窒素複素環を有するモノマー類、或いは4級アンモニウム塩基を有するモノマーとして4−ビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、ジメチルアミノプロピルアクリルアミドのメチルクロライドによる4級化物、N−ビニルイミダゾールのメチルクロライドによる4級化物、4−ビニルベンジルピリジニウムクロライド等、或いはアクリロニトリル、メタクリロニトリル、またアクリルアミド、メタクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、ジエチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メトキシエチルアクリルアミド、4−ヒドロキシフェニルアクリルアミド等のアクリルアミドもしくはメタクリルアミド誘導体、さらにはアクリロニトリル、メタクリロニトリル、フェニルマレイミド、ヒドロキシフェニルマレイミド、酢酸ビニル、クロロ酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル等のビニルエステル類、またメチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類、その他、N−ビニルピロリドン、アクリロイルモルホリン、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アリルアルコール、ビニルトリメトキシシラン、グリシジルメタクリレート等各種モノマー、が挙げられる。
本発明に係わるポリマーの分子量については好ましい範囲が存在し、質量平均分子量として1000から100万の範囲にあることが好ましく、さらに5000から50万の範囲にあることがさらに好ましい。
本発明の重合開始剤としては、光照射によりラジカルを発生し得る化合物であれば任意の化合物を使用することができる。例えば、トリハロアルキル置換された化合物(例えばトリハロアルキル置換された含窒素複素環化合物として トリアジン化合物およびオキサジアゾール誘導体、トリハロアルキルスルホニル化合物)、ヘキサアリールビスイミダゾール、チタノセン化合物、ケトオキシム化合物、チオ化合物、有機過酸化物等が挙げられる。これらの光重合開始剤の中でも、有機ホウ素塩、が好ましく用いられ、更に好ましくは、有機ホウ素塩、トリハロアルキル置換化合物を使用することである。好ましく用いられる有機ホウ素塩としては、化12で示される有機ホウ素アニオンを有する化合物を用いることである。
Figure 0004679109
化12において、R11,R12,R13およびR14は各々同じであっても異なっていても良く、アルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、複素環基を表す。これらの内で、R11,R12,R13およびR14の内の一つがアルキル基であり、他の置換基がアリール基である場合が特に好ましい。
上記の有機ホウ素塩としては、先に示した化12で表される有機ホウ素アニオンを含む塩であり、塩を形成するカチオンとしてはアルカリ金属イオンおよびオニウム化合物が好ましく使用される。特に好ましい例は、有機ホウ素アニオンとのオニウム塩として、テトラアルキルアンモニウム塩等のアンモニウム塩、トリアリールスルホニウム塩等のスルホニウム塩、トリアリールアルキルホスホニウム塩等のホスホニウム塩が挙げられる。特に好ましい有機ホウ素塩の例を以下に示す。
Figure 0004679109
Figure 0004679109
感光層中に於ける有機ホウ素塩の割合については好ましい範囲が存在し、感光層トータル100質量部において該有機ホウ素塩は0.1質量部から50質量部の範囲で含まれていることが好ましい。
本発明に係わる有機ホウ素塩と併用し使用する、好ましい重合開始剤としてトリハロアルキル置換化合物が挙げられる。ここで言うトリハロアルキル置換化合物とは、具体的にはトリクロロメチル基、トリブロモメチル基等のトリハロアルキル基を分子内に少なくとも一個以上有する化合物であり、好ましい例としては、該トリハロアルキル基が含窒素複素環基に結合した化合物としてs−トリアジン誘導体およびオキサジアゾール誘導体が挙げられ、或いは、該トリハロアルキル基がスルホニル基を介して芳香族環或いは含窒素複素環に結合したトリハロアルキルスルホニル化合物が挙げられる。
トリハロアルキル置換した含窒素複素環化合物やトリハロアルキルスルホニル化合物の特に好ましい例を以下に示す。
Figure 0004679109
Figure 0004679109
トリハロアルキル置換化合物を用いる場合に於いて、その感光性平版印刷版の感光層中に於ける好ましい範囲が存在し、感光層トータル100質量部中に於ける割合として0.1質量部から50質量部の範囲で含まれることが好ましい。さらに、これらは前述した有機ホウ素塩とともに感光層中に含まれている場合において特に感度が向上するため好ましく、この場合有機ホウ素塩に対する割合としては、有機ホウ素塩1質量部に対してトリハロアルキル置換化合物は0.1質量部から50質量部の範囲で含まれていることが好ましい。
本発明のネガ型感光性平版印刷版の感光層は、重合性モノマーを含有するのが好ましい。これを組み合わせることによって更に高感度が実現でき、また印刷性能に優れた平版印刷版を得ることができる。
重合性モノマーとしては、重合性二重結合を有する重合性化合物が挙げられる。好ましい重合性モノマーの例としては、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、トリスアクリロイルオキシエチルイソシアヌレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、エチレングリコールグリセロールトリアクリレート、グリセロールエポキシトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート等の多官能アクリル系モノマーが挙げられる。
或いは、上記の重合性化合物に代えてラジカル重合性を有するオリゴマーも好ましく使用され、アクリロイル基、メタクリロイル基を導入した各種オリゴマーとしてポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート等も同様に使用されるが、これらもエチレン性不飽和化合物として同様に好ましく用いることができる。
重合性モノマーとして、更に好ましい態様は、分子内にビニル基が置換したフェニル基を2個以上を有する重合性化合物が挙げられる。該化合物を使用した場合に於いて、発生するラジカルにより生成するスチリルラジカル同士の再結合により効果的に架橋を行うため、高感度のネガ型感光性平版印刷版を作成する上で極めて好ましい。
分子内にビニル基が置換したフェニル基を2個以上有する重合性化合物は、代表的には下記一般式で表される。
Figure 0004679109
式中、Z2は連結基を表し、R21、R22及びR23は、水素原子、ハロゲン原子、カルボキシ基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、アミド基、アミノ基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基等であり、更にこれらの基は、アルキル基、アミノ基、アリール基、アルケニル基、カルボキシ基、スルホ基、ヒドロキシ基等で置換されていても良い。R24は置換可能な基または原子を表す。m2は0〜4の整数を表し、k2は2以上の整数を表す。
更に詳細に説明する。Z2の連結基としては、酸素原子、硫黄原子、アルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基、−N(R25)−、−C(O)−O−、−C(R26)=N−、−C(O)−、スルホニル基、複素環基等の単独もしくは2以上が複合した基が挙げられる。ここでR25及びR26は、水素原子、アルキル基、アリール基等を表す。更に、上記した連結基には、アルキル基、アリール基、ハロゲン原子等の置換基を有していてもよい。
上記複素環基としては、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、テトラゾール環、イソオキサゾール環、オキサゾール環、オキサジアゾール環、イソチアゾール環、チアゾール環、チアジアゾール環、チアトリアゾール環、インドール環、インダゾール環、ベンズイミダゾール環、ベンゾトリアゾール環、ベンズオキサゾール環、ベンズチアゾール環、ベンズセレナゾール環、ベンゾチアジアゾール環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、キノリン環、キノキサリン環等の含窒素複素環、フラン環、チオフェン環等が挙げられ、これらには置換基が結合していても良い。
上記化17で表される化合物の中でも好ましい化合物が存在する。即ち、R21及びR22は水素原子でR23は水素原子もしくは炭素数4以下の低級アルキル基(メチル基、エチル基等)で、k2は2〜10の化合物が好ましい。以下に化17で表される化合物の具体例を示すが、これらの例に限定されるものではない。
Figure 0004679109
Figure 0004679109
Figure 0004679109
上記のような重合性モノマーが、ネガ型感光性平版印刷版の感光層中に占める割合に関しては好ましい範囲が存在し、感光層トータル100質量部中において重合性モノマーは1質量部から60質量部の範囲で含まれることが好ましく、さらに5質量部から50質量部の範囲で含まれることが特に好ましい。
本発明のネガ型感光性平版印刷板の感光層に増感色素を添加することは好ましい。添加する増感色素としては、380nm〜1300nmの波長域において重合開始剤の分解を増感するものであり、種々のカチオン性色素、アニオン性色素および電荷を有しない中性の色素としてメロシアニン、クマリン、キサンテン、チオキサンテン、アゾ色素等が使用できる。これらの内で特に好ましい例は、カチオン色素としてのシアニン、カルボシアニン、へミシアニン、メチン、ポリメチン、トリアリールメタン、インドリン、アジン、チアジン、キサンテン、オキサジン、アクリジン、ローダミン、およびアザメチン色素から選ばれる色素である。これらのカチオン性色素との組み合わせに於いては特に高感度でかつ保存性に優れるために好ましく使用される。さらには近年380〜410nmの範囲に発振波長を有するバイオレット半導体レーザーを搭載した出力機(プレートセッター)が開発されている。この出力機に対応する高感度である感光系としては増感色素としてピリリウム系化合物やチオピリリウム系化合物を含む系が好ましい。本発明に関わる好ましい増感色素の例を以下に示す。
Figure 0004679109
Figure 0004679109
Figure 0004679109
Figure 0004679109
Figure 0004679109
Figure 0004679109
750nm以上の近赤外から赤外光の波長領域の光に感光性を持たせる系に於いて増感色素として特に好ましい例を以下に示す。
Figure 0004679109
Figure 0004679109
上記のような増感色素と重合開始剤との量的な比率に於いて好ましい範囲が存在する。増感色素1重量部に対して光重合開始剤は0.01重量部から100重量部の範囲で用いることが好ましく、更に好ましくは光重合開始剤は0.1重量部から50重量部の範囲で使用することが好ましい。
本発明の感光性平版印刷版の感光層に着色剤を含有する事が好ましい。画像部の視認性を高める為に使用されるものであるが、更に好ましくは、セーフライト性向上の為に、可視光領域に吸収を有するものである。又、画質向上の為に、感光波長域の着色剤を含有する事も好ましい。これら着色剤の例としては、下記のような、無機顔料、有機顔料、色素などが挙げることができる。
無機顔料としては、雲母状酸化鉄、鉛丹、黄鉛、銀朱、群青、二酸化チタン、被覆雲母、ストンチームクロメート、チタニウムイエロー、ジンククロロメート、モリブデン赤、酸化クロム、鉛酸カルシウム等が挙げられる。又、有機顔料としては、カーボンブラック、フタロシアニン顔料、モノアゾ顔料、ジスアゾ顔料、縮合アゾ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料、ニッケルアゾ顔料、ペリノン顔料、ペリレン顔料、アンスロン顔料、キナクリドン顔料、アンスラキノン顔料、チオインジゴ顔料、ジオキサジン顔料、インダスロン顔料、ピランスロン顔料等が挙げられる。又、色素としては、フタロシアニン系色素、トリアリールメタン系色素、アントラキノン系色素、アゾ系色素等の各種の色素が挙げられる。
上記顔料、色素は、単独で用いてもかまわないが、2種以上を併用して用いてもよい。
感光性平版印刷版を構成する他の要素として重合禁止剤の添加も好ましく行うことが出来る。例えば、キノン系、フェノール系等の化合物が好ましく使用され、ハイドロキノン、p−メトキシフェノール、カテコール、t−ブチルカテコール、2−ナフトール、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール等の化合物が好ましく用いられる。これらの重合禁止剤と先に述べたエチレン性不飽和化合物との好ましい割合は、エチレン性不飽和化合物 質量部に対して0.001から0.1質量部の範囲で使用することが好ましい。
本発明の現像液としては、pH8以上であれば、任意のアルカリ水溶液を使用することができる。アルカリ剤としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、水酸化リチウム、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、ホウ酸アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸アンモニウム、第2リン酸ナトリウム、第2リン酸カリウム、第2リン酸アンモニウム、第3リン酸ナトリウム、第3リン酸カリウムおよび第3リン酸アンモニウム等の無機アルカリ剤や、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノイソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、n−ブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、N−エチルエタノールアイミン、N−n−ブチルエタノールアミン、N−t−ブチルエタノールアミン、N−n−ブチルジエタノールアミン、N−t−ブチルジエタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−アミノエチルエタノールアミン、N−アミノエチルプロパノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド等の有機アルカリ剤、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウムおよびケイ酸リチウムのようなアルカリ金属ケイ酸塩やケイ酸アンモニウム等が挙げられる。これらは、1種または2種以上組み合わせて使用することができる。
本発明に用いられる現像液にはその他の種々界面活性剤と併用することができ、アニオン系、カチオン系、ノニオン系及び両性界面活性剤が挙げられる。これらの併用する界面活性剤は、現像液中に0.001〜10質量%、より好ましくは0.01〜5質量%の範囲で添加される。
本発明に用いられる現像液には、種々現像安定化剤が用いる事がでいる。それらの好ましい例として、特開平6−282079号公報記載の糖アルコールのポリエチレングリコール付加物、テトラブチルホスホニウムブロマイドなどのホスホニウム塩及びジフェニルヨードニウムクロライドなどのヨードニウム塩が好ましい例として挙げられる。更には、特開昭50−51324号公報記載のアニオン界面活性剤又は両性界面活性剤、また特開昭55−95946号公報記載の水溶性カチオン性ポリマー、特開昭56−142528号公報に記載されている水溶性の両性高分子電解質がある。更に、特開昭59−84241号公報のアルキレングリコールが付加された有機ホウ素化合物、特開昭61−215554号公報記載の重量平均分子量300以上のポリエチレングリコール、特開昭63−175858号公報のカチオン性基を有する含フッ素界面活性剤、特開平2−39157号公報の酸又はアルコールニ4モル以上のエチレンオキシドを付加して得られる水溶性エチレンオキシド付加物と、水溶性ポリアルキレン化合物などが挙げられる。
本発明に用いられる現像液は使用時よりも水の含有量を少なくした濃縮液としておき、使用時に水で希釈するようにしておくことが運搬上有利である。この場合の濃縮度は各成分が分離や析出を起こさない程度が適当であり、含有物にもよるが、通常、濃縮液:水=1:0〜1:10程度に濃縮する事ができる。又、容器としてはアルカリ性であることから、炭酸ガスを透過しない、しかも安全上輸送中に破損することのない材料を用いることが好ましく、通常ハードボトル、キュービテナー等の樹脂製容器が好ましく用いられる。
本発明の処理方法においては、露光後通常自動現像機で処理を行う。自動現像機は、一般に現像部と後処理部とからなり、印刷版を搬送する装置と、各処理液槽及びスプレー槽から成り、露光済みの印刷版を水平に搬送しながら、ポンプで組み上げた各処理液をスプレーノズルから吹き付けて現像及び後処理するものである。又、最近は現像液が満たされた現像槽中に液中ガイドロールなどによって印刷版を浸漬搬送させて現像処理する方法が開発されており、この様な現像方法も本発明に好適に適用できる。この様な自動現像液においては、現像処理量や稼働時間等に応じて補充液を補充しながら処理することができる。
この様な組成の現像液で現像処理された印刷版は水洗水、界面活性剤等を含有するリンス液、アラビアガムやデンプン誘導体等を主成分とするフィニッシャーや保護ガム液で後処理を施される。本発明の印刷版の後処理はこれらの処理を種々組み合わせて用いることができ、例えば、現像→水洗→界面活性剤を含有するリンス液処理や現像→水洗→フィニッシャー液による処理がリンス液やフィニッシャー液の疲労が少なく好ましい。更にリンス液やフィニッシャー液を用いた向流多段処理も好ましい態様である。これらの後処理は、一般に現像部と後処理部とからなる自動現像機を用いて行われる。後処理液は、スプレーノズルから吹き付ける方法、処理液が満たされた処理槽中を搬送する方法が用いられる。又、現像後一定量の少量の水性水を版面に供給して水洗し、その廃液を現像液原液の希釈水として再利用する方法も知られている。この様な自動処理においては、各処理液に処理量や稼働時間に応じてそれぞれの補充液を補充しながら処理することが出来る。また、実質的に未使用の後処理液で処理するいわゆる使い捨て処理方式も適用できる。この様な処理によって得られた平版印刷版は、オフセット印刷機に掛けられ、印刷に用いられる。
以下実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、効果はもとより本発明はこれら実施例に限定されるものではない。実施例中の部は質量部を、%は質量%を示す。
下記処方による感光層の塗工液を表1の様に作製し、厚みが0.29mmである砂目立て処理および陽極酸化処理を施したアルミニウム板上に乾燥膜厚が5μmになる様に塗設しサンプルを作製した。尚製造条件については表2に示す。
<感光層の塗工液>
ポリマー (P−1;質量平均分子量約9万) 30部
ポリマーの溶剤として1,3−ジオキソラン 70部
重合開始剤 (BC−5) 4部
(BS−1) 2部
重合性モノマー (C−5) 15部
ペンタエリスリトールテトラアクリレート 10部
増感色素 (S−33) 0.4部
重合禁止剤 2,6−ジ−t−ブチルクレゾール 0.2部
溶媒 表1記載量(部)
平均粒径185nmのカーボンブラック 4部
Figure 0004679109
中の支持体の加熱は、加熱ローラーを使用し、塗布直前に支持体が30℃になるように加熱した。又、乾燥工程温度(℃)は乾燥風の乾球温度を表す。又、塗布工程の表面温度は非接触赤外温度計を使用し測定した結果を示す。
Figure 0004679109
上記の様にして作製したサンプルの表面の均一性を下記評価基準にて目視に判断した。結果を表3に示した。
○:均一な塗布面
○△:ほぼ均一な塗布面、問題ないレベル
×:不均一な塗布面
同様にして作製したサンプルを830nm半導体レーザーを搭載した外面ドラム方式プレートセッター、大日本スクリーン製造株式会社製PT−R4000を使用して、ドラム回転速度1000rpm解像度2400dpi、レーザー照射エネルギー100mJ/cm2の条件で印刷テストチャート画像の露光を行った。露光後に自動現像機として大日本スクリーン製造株式会社製PS版用自動現像機PD−1310を使用し、下記現像液を使用して現像処理28℃の液温で15秒間処理)を行ない、続いて下記処方のガム液を塗布した。
<現像液>
35%アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム
(花王(株)社製界面活性剤) 30g
KOH 25g
20%珪酸カリ水溶液(SiO2を20%含む) 50g
N−アミノエチルエタノールアミン 30g
水で 1L
<ガム液>
リン酸1カリ 5g
アラビアガム 25g
デヒドロ酢酸 0.5g
EDTA2Na 1g
水で 1L
上記のようにして作成した平版印刷版について、印刷試験を行った。印刷試験として、
汚れ性としては、印刷機はハイデルベルグTOK(Heidelberg社製オフセット印刷機の商標)、インキはFINE INKニュウーチャンピオン紫S(大日本インキ化学工業(株)社製)、湿し水はEu−3(富士写真フイルム(株)社製のPS版用湿し水)の0.5%水溶液を使用し、3万枚印刷したサンプルの地汚れを評価。耐刷性としては、印刷機はハイデルベルグTOK(Heidelberg社製オフセット印刷機の商標)を使用し、インキはBEST ONE墨H(T&KTOKA(株)社製)、湿し水はアストロマークIII(株式会社日研化学研究所社製湿し水)の1%水溶液を使用し、画像部が欠落し印刷ができなくなった枚数で評価。汚れ性、耐刷性については、下記評価基準にて評価し、表3にまとめた。
汚れ性
○ :極めて良好
○△:良好
× :全面汚れ
耐刷性
○ :20万枚以上
○△:10万枚〜20万枚
× :5万枚以下
Figure 0004679109
上記結果より、サンプル1(比較)ではT1−T2>−18(℃)を満たしていない為、不均一な塗布面しか得られず、耐刷性への影響が見られる。サンプル2、3(共に本発明)でT1−T2の値が変化したのは塗布工程時間の影響で、サンプル3が15秒であるのに対してサンプル2は25秒であった。サンプル4、5(いずれも本発明)は、それぞれ、塗布前支持体、塗工液の温度を上昇させた効果が現れている。サンプル6、7(共に本発明)は、塗布前支持体、塗工液の温度を共に上昇させた効果により、高い塗布工程の露点、又沸点の低いテトラヒドロフランを主溶剤とした塗工液でも良好な性能の印刷版が得られた。サンプル8(本発明)では、乾燥温度を100℃しサンプルを作製したが問題ない性能を示した。サンプル9(比較)はT1−T330(℃)を満たしておらず、非画像部の溶出性が悪く印刷物が汚れる結果となった。サンプル10(比較)は、T1−T2>−18(℃)及びT1−T330(℃)を満たしているが、沸点110℃未満の有機溶剤が50質量%未満で乾燥が不充分で耐刷性の悪い結果となった。
以上の結果より、本発明が効率的な塗布速度で、均一な塗布面が得られ、安定した良好な印刷性を示す事が判る。

Claims (1)

  1. アルミニウム支持体上に、重合性二重結合としてビニル基が置換したフェニル基を側鎖に有し且つカルボキシル基含有モノマーを共重合成分として有するポリマー及び重合開始剤を少なくとも含有する感光層を設けたネガ型感光性平版印刷版の製造方法において、前記感光層塗工液の溶媒である有機溶剤の80質量%以上が沸点が110℃未満の有機溶剤であり、感光層塗工液の塗布工程が下記条件式1を満足し、かつ乾燥工程が下記条件式2を満足することを特徴とするネガ型感光性平版印刷版の製造方法。
    T1−T2>−18(℃) 式1
    T1−T3<30(℃) 式2
    式中、T1はアルミニウム支持体に塗布された感光層の表面温度(℃)を表し、T2は塗布工程の露点(℃)を表し、T3は沸点が110℃未満の有機溶剤の平均的な沸点を表す。
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