JP4677026B2 - ハイブリッド型2相永久磁石回転電機 - Google Patents
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Description
2)回転子に関する問題点は上述した2段回転子間に磁気絶縁のための所定の厚さの非磁性円板(後述する図3の33)を介在させ、軸方向に同一方向に磁化するが、その非磁性円板部分はトルクを発生せずまたその付近では2つの磁気回路の隣接境界部では回転子からの鎖交磁束が方向が逆となるため弱めあう方向即ち2磁路間境界部磁界干渉現象を誘発し、高トルク化の阻害要因であった。また非磁性板の厚みが十分でないと漏洩磁束が発生してトルクが期待したほど出ない問題があった。
またアルミ等の非磁性円板の使用は回転機の価格を高くするものであった。
3)回転子を多段として固定子積み厚を増加すると永久磁石の磁束によるコギングトルクも増加してこのコギングトルクがモータ回転時の振動トルクを発生させたり位置決め精度を悪化させる問題が発生する。そこでこのコギングトルクを低減させるために回転子歯ピッチに対して固定子の主極の先端に設ける誘導子歯ピッチを一定の角度だけ異ならせてコギングトルクを減少させる先行技術の引例としてあげた「特許文献1」等の適用が考えられるが、回転子が多段の複合回転子の場合は磁気回路のバラツキや固定子の積み厚大の場合の固定子積層方向の磁気抵抗のバラツキの増大による影響、あるいは固定子の6個の誘導子歯が例えば6個とすると内側位置、中央部位置、外側部位置によるパーミアンスの相違による影響で十分な空間高調波の低減ができず、従ってコギングトルクを十分にキャンセルさせることが困難であるという固定子における問題があった。コギングトルクはパーミアンスの第4次成分の存在で発生し、部品精度バラツキ、磁気抵抗のバラツキ、アエギャップの不均一、磁性材料の磁気特性のバラツキ等に起因する。
以上のような回転子及び固定子の問題がありこれらを解決するのが課題となる。
「手段1」
外辺が四辺形を含めた多角形や環状形で連結し、ラジアル方向に8個の放射状に設けた主極の先端に6個の誘導子歯を有する固定子コアを磁性体板よりプレス打ち抜きし、90度づつ回転積層して2相式固定子とし、エアギャップを介して回転自在に設けられた50個の歯を等ピッチに有した回転子2個にて軸方向に磁化した永久磁石を互いに歯ピッチの1/2ピッチ分ずらして挟持して単位回転子とし、それを2組、単位回転子aとbとして、共通回転軸上に設けて近接させ、単位回転子aとbの近接する回転子同士は歯位置が同一であり且つ同一極性に磁化されて回転子を形成し、該2個の単位回転子により、エアギャップを介して上記の固定子とにより軸方向に分離した回転子永久磁石磁束の2つのa及びb磁路を有するハイブリッド型回転電機において、
固定子の8個の主極の各先端に設けた6個の誘導子歯ピッチは回転子歯ピッチと異なり、6個の歯を順にT1〜T6とすれば主極の中心がT3とT4のピッチαの中央で左右対称であり、T1とT2のピッチをγ、T2とT3のピッチをβとして、回転子歯ピッチをcとしたとき、α+2β+2γ<5cであり、α≠β=γまたはα≠β≠γなる不等ピッチとして、第4次平面での6個のパーミアンスベクトルをa及びb磁気回路内でそれぞれの主極内で不等ピッチ誘導子効果で各磁路内1次バランスさせ、
更にプレス抜き固定子の磁性板の板厚及び磁気方向性で生ずるパーミアンスの第4次成分の6個のパーミアンスベクトルのバラツキを該90度回転積層によりできる4種類のパーミアンスベクトルの重畳効果で各磁路内2次バランスさせ、更に軸方向に2分割したa及びb磁路による短縮磁路長効果と2磁路間境界部磁界非干渉効果を活かして、該90度回転積層による4種類のパーミアンスベクトル重畳効果による2次バランスさせた第4次成分の6個のパーミアンスベクトルをa及びbの磁路間で更に重畳しバランス効果を高める3次バランスをさせることで、第4次高調波パーミアンス成分の3重機能を有したことを手段とする回転電機。
「手段2」
手段1において、6個の歯T1〜T6に相当する歯幅をそれぞれt1〜t6としたとき、6個の歯の歯幅は主極対称線の片側のt1〜t3で少なくとも1個は異なるようにして、且つ歯幅と各歯の歯ピッチの比である、t1/α,t2/β,t3/γ の値が略0.4であるようにしたことを手段とする永久磁石式回転電機。
「手段3」
手段1乃至2において、回転子に用いる永久磁石の残留磁束密度が略0.5T以下のフェライト系永久磁石であることを手段とする永久磁石式回転電機。
「手段4」
手段1、2、3において、回転子の永久磁石は未着磁でモータとして組み立て後に、軸方向に時間差を設けて正方向着磁とその逆方向着磁をしたことを手段とする永久磁石式回転電機。
2)固定子6個の誘導子歯のピッチを隣接の歯ピッチと異ならせた不等ピッチ歯位置構成とすることで、第4次の空間高調波を消す自由度を増加させることができる。
3)更に対称な2つの誘導子歯群の中から選んだ少なくとも一対の歯幅を変えることで、磁気回路のアンバランスの影響や固定子誘導子歯位置によるパーミアンスの違いによる影響をキャンセルさせて高調波の低減効果を高めることができる。
4)あるいは2個のHB回転子をお互いに軸方向で逆極性に着磁して同軸上で近接させる回転子により軸方向に回転子の永久磁石からの磁束による磁気回路を2つの磁路を短くした短磁気回路とすることで各磁気回路の部分で磁束密度がより均一となる磁気回路長短縮効果が得られ、高調波の低減効果を高めることができる。
5)HB型ステッピングモータは固定子と回転子間のエアギャップは0.05mm程度 に設計するため僅かなエアギャップのバラツキにより回転子による上述した2つの磁気回路間の磁気抵抗はモータ長を増大させるほどバラツキができる。この場合には従来の等ピッチ誘導子方式では高調波を十分に低減できない問題があった。これに対して誘導子歯ピッチの不等ピッチ効果による自由度の高い高調波の低減効果、更にこれに加えて不等歯幅効果により2重に高調波をキャンセルさせることで2つの磁気回路間の磁気抵抗差による問題も本発明で解決できる。
6)更に歯幅比を適切に選べば回転子磁束が固定子コイルと漏洩磁束を最小にして鎖交するので高トルク化に有利である。それは内側位置小歯幅を第1のピッチで割り算した値、中間位置小歯幅を第2のピッチで割り算した値、及び、外側位置の小歯幅を第3のピッツチで割り算した値がともに0.4とするものである。この値はコンピユータによる磁場解析で得られる値である。
7)更に本発明では誘導子の数を6個の場合で述べれば、不等ピッチバーニア方式の効果により、パーミアンスの基本波成分の減少を少なくしながら第4次成分をキャンセルさせ、その主極内の6個の第4次高調波平面でのパーミアンスベクトルを1次バランスさせる。
8)固定子を珪素鋼板等の磁性板からプレス打ち抜きして90度回転積層することで無方向性珪素鋼板であっても存在する圧延方向とその直角方向での磁気抵抗の差や板圧偏差を解消して8主極間でのパーミアンスの第4次成分を均一にする2次バランスをさせることができる。更に2つの磁路間のパーミアンスベクトルの重畳平均効果の3次バランス機能を有する。
9)従来モータと同一サイズで同一トルクで価格を安くしたい場合でも本発明で軸方向で2つの磁気回路に分割構成することで短磁気回路としてフェライト磁石等の低グレード磁石が採用でき安価にできる。またフェライト磁石のB―Hカーブのフラットな傾きによる動作点の安定化により均一な磁束密度効果となるため低振動なモータとなる。B―Hカーブがフラットな傾きの場合はエアギャップ等のバラツキで多少動作点が移動しても磁束の値の変化が少なくできることによる。
図2はその軸方向の固定子部と回転子部の断面図である。1は固定子鉄心であり21,22,23、24は珪素鋼鈑等を積層した回転子である。その外周には等ピッチで50個の磁歯が設けられた場合は1.8°ステップ角のステッピングモータとなる。図2で25,26は円盤状の永久磁石でありお互いに逆極性になるように磁化するため図2では21、24がS極性に22,23がN極性に磁化される。このとき21と22及び23と24は歯ピッチの1/2ずれている。22と23は歯位置は原則として同じ位置である。21,25,22で単位回転子aを、23、26、24で単位回転子bを構成する。固定子1に示した点線矢印Φ1は単位回転子aによる磁束とその磁路、Φ2は単位回転子bによる磁束とその磁路であり、固定子1の軸方向での中央部ではΦ1、Φ2は同一方向なので干渉効果による2つの磁束の弱め合いは発生しないことが分かる。これを2磁路間境界部磁界非干渉効果と呼ぶことにする。 また回転子が1個の場合に比べて、軸方向の磁路が半減するため短縮磁路長効果が発揮でき、磁気抵抗が半減するため、磁気損失が少なくバラツキが小さい回転電機が得られる。図2の3はコイル、4は回転子軸である。同極性に磁化される回転子同士22,23は隣接でも近接でも良い。本構成では永久磁石を挟んで対抗した単位回転子の21と22間では永久磁石の外周部分では漏洩磁束はあるが、同極性に磁化された回転子同士間では漏洩磁束なく、ほとんどの磁束が固定子に向かうので磁束の無駄が極めて少なく高トルクが得られる。
θ2=θ5=(0.3°+0.3°/2)(360°/7.2°)=22.5°、θ1=θ6=(0.3°+0.3+0.3°/2)(360°/7.2°)=37.5°となるため、コギングトルクを構成するパーミアンスの第4次空間高調波成分P4は次式で計算できる。
P4=cos4θ3+cos4θ2+cos4θ1+cos4θ4
+cos4θ5+cos4θ6
=2{cos30+cos90+cos150}=0 (1)
これらの6個の小歯の第4次パーミアンス成分を第4次平面で極座標スベクトル表示すれば図5となりベクトルの総和は零となる。これは図4は主極の中央線に対し回転子は線対称に位置している時のベクトルが図5のようにバランスする図となっているが、たとえば8主極の任意の1主極では、図4に対し固定子と回転子の相対位置がλ度ずれている場合はその第4次平面でのベクトルは図5に対しλ/4度だけ6個のベクトルを回転させただけのものとなるのでそれらのベクトルの総和は常に零となり、各主極8個ともそれぞれバランスしていることになる。従って主極が8個とも完全対称形であれば1主極内を吟味すればよい。理論的にはこのようにすればコギングトルクはキャンセルされ、振動も小さくなることになる。
この場合の鎖交磁束となりモータトルクとなる基本波成分は次式とる。
P1=cosθ3+cosθ2+cosθ1+cosθ4
+cosθ5+cosθ6
=2{cos7.5+cos22.5+cos37.5}/6=0.902 (2)
即ち90%がトルク成分として残ることになる。
しかしこれは6個の固定子の誘導子歯のパーミアンスが全く等しいという仮定での話である。図4で固定子の8個の主極の各先端に設けた6個の誘導子歯は中央に位置する互いに隣接する一対2個の内側位置歯と、これらの歯の各々に隣接して配置される中間位置の歯と、この中間位置の歯と隣接する外側位置の歯とでは主極中央位置から見て距離が異なり特に外側に位置する歯はその外側は空気であるため磁束の漏洩状態も異なる。このため計算値のように第4次成分は実際には零にならないという問題がある。
このようにすれば回転子歯溝の中心と図のようにU3の中心が一致して回転子と固定子が対向したときに回転子歯と固定子の6個の誘導子歯とのずれ角δ1〜δ3を所望の値に設定できる自由度は従来技術の固定子等ピッチ歯方式とに対してはるかに増加する。また最外側のT1,T6の歯と内側T3,T4の歯は歯幅が同じであるとそのパーミアンスは歯位置による磁気抵抗の差や漏洩磁気路差等から異なる。例えば歯から磁束の漏洩磁路は歯溝形状で変わるので最外側歯とそれ以外の歯では異なることになる。これを補正して6個の歯のパーミアンスが均一な値にするための手段が不等歯幅誘導子歯である。例えば6個が等歯幅で最外側のT1,T6の歯のパーミアンスが内側T3,T4の歯のそれよりも小さい場合は歯幅をt1=t6>t3=t4とするものである。
U1〜U3、t1〜t3, α、β、γは3個が全て異なるものでもよいが少なくとも1個が異なる必要がある。このとき歯幅比は前述したように内側位置小歯幅t3、t4を第1のピッチで割り算した値、中間位置小歯幅t2、t5を第2のピッチβで割り算した値、及び、外側位置の小歯幅t1を第3のピッチγで割り算した値がともに略0.4することが高トルク化で望ましい。即ち、t1/α=t2/β=t3/γ=0.4とする。 この値が0.4より小さ過ぎると歯の磁束の飽和が起きやすく、大き過ぎると漏洩磁束が増加する。この最適値0.4はコンピユータシミュレーション及び実験データより得られたものである。
回転子歯数が50の場合、8主極でその小歯は6個が限界であることを述べたが、8個の主極間の隙間からコイルを巻き込むためその隙間は極力大きくしてコイルの巻き作業を容易にしたい。このためには不等ピッチ誘導子歯でコギングトルクを作るパーミアンスの第4次成分を無くす歯ピッチα、β、γと回転子歯ピッチcとの間には図6から次の関係式が必要になる。
{(α+2β+2γ)/5} < c (3)
(3)式の左辺は図6の歯ピッチの平均値であり、α、β、γは回転子歯ピッチcを超えてもよいが、5個のピッチの平均値は回転子歯ピッチより小さいことが必要となる。
P4=cos4θ3+cos4θ2+cos4θ1+cos4θ4
+cos4θ5+cos4θ6
=2{cos4×0.27×360/7.2+cos4×0.63×360/7.2
+cos4×0.45×360/7.2}
=cos54°+cos126°+ cos90°=0.5877−0.5877 =0 (4)
この場合の鎖交磁束となりモータトルクとなる基本波成分は次式とる。
P1=cosθ3+cosθ2+cosθ1+cosθ4
+cosθ5+cosθ6
=2{cos13.5°+cos31.5°+cos22.5°}/6=0.9163 (5)
即ち91.6%がトルク成分として残ることになり、従来技術の等ピッチ方式の値である(2)式の値の90%より優れておりトルクを得るのに不等ピッチ歯方式は有利である事がわかる。
90度づつ回転積層させて固定子とする第一の理由は一般に珪素鋼板フープ材の圧延方向とその直角方向での磁束の通りやすさの差のキャンセルである。
第二の理由はフープ材は圧延法で薄く引き延ばして作られるが圧延ローラの隙間の偏りが出やすくLサイドとRサイドでの厚み差が生ずる。この場合非回転で積層品とすれば積層枚数が多いほどトータル厚みはL側とR側で積算差が発生する。そのような固定子に軸受けを有するブラケットを装着すれば軸心が傾き固定子内径と回転子外径間のエアギャプが場所により不均一となり、ステッピングモータの性能を悪くする。90度回転積層はこの積算厚み偏差のキャンセルにある。また更に第三の理由は、第4次高調波パーミアンスベクトルが珪素鋼板のZ方向とR−L方向でのパーミアンスの差やR−L方向での厚み差によるバラツキの影響からキャンセルできることである。これらを次に説明する。
同様に主極H部を考えると、主極H部の90度積層による構成は、4回90度積層で(H+B+D+F)となりこの繰り返しの構成となる。すると主極A部はA,D,E,Hのパーミアンスが大きい部分の内、AとEの2個を、また主極HもD,Hのパーミアンスが大きいものを2個有し、残りの2個は両方とも、B,C,F,Gのパーミアンスが小さくなる2個を有することになり、4回の回転積層での平均パーミアンスは同じ値となる。この4回転積層を単位積層として繰り返すので両者の値は同じとなる。必ずしも、この単位積層の整数倍でなくとも繰り返しを増すことで各主極のパーミアンス平均値は同値に収束する。これはその他の主極でも同じ理由で平均パーミアンスは同じとなる。第4次高調波パーミアンスの主極の誘導子による誘導子歯T1〜T6の6個のパーミアンスベクトルで第4次平面内でのバランスを考えるとき、8個の各主極とも、単位積層内はパーミアンス大と小の2枚づつの固定子コアで構成されるので各主極のパーミアンスは単位積層内では常に同一となる。もし90度回転積層しない場合は主極A,D,E,H部はパーミアンスが大きく、残りのB,C,F,Gは小さく、各主極内の6個のパーミアンスベクトルはバランスしても、8主極間では差が発生してモータ全体ではコギングトルク等が大きくあるいは騒音大になる。
もし図11の固定子コアを非回転積層とした場合は、主極Aでは図11のAのようにV1〜V3がV4〜V6より大きくなりバランスしない。主極C部は図11のCのように6個のベクトルが均一に小さい。主極Eでは図11のEのようにV1〜V3がV4〜V6より小さくくなりバランスしない。主極G部は図11のGのように6個のベクトルが均一に大きい。そして図11のA,C,E,Gの図を重畳すれば、その合成された6個のベクトルは平均化されて均一化されることが分かる。
説明の簡略からZ軸の左右でベクトルの大きさを2種類としたが、V1からV6が段々と大きさを異ならせるとしても90度積層した例えば主極Aの単位積層部ではA+Eでの6個のベクトルは同じ値に平均化されるのでA+C+E+Gも平均化される。これは90度回転積層による効果であり、他の主極部も同じである。これは珪素鋼板のパーミアンスの方向性の差を90度回転積層による単位積層効果により第4次平面内でのパーミアンスベクトルのバランスを著しく改善する効果があるもので第4次平面内でのパーミアンスベクトルの2次バランス効果となる。そしてこの効果はモータ特性の低コギングトルク化、低振動化となる。
一般にHB型ステッピングモータは固定子と回転子間のエアギャップは0.05mm程度である。この小さいエアギャップを確保するためには固定子積層後に固定子内径をホーニング加工という円筒状砥石による内径研磨仕上げをする。しかし一般に固定子の積層厚みを増して固定子内径以上に長くした場合には回転する砥石の振れ等で内径が、例えば内径の加工始め入り口部が小さく加工終わりの奥部が大きい所謂テーパ加工が起きやすい。エアギャップが0.05mmと小さいので僅かなギャップ差が生じてもパーミアンス差として現れる。前述したような90°回転積層した固定子であっても、内径加工がテーパ化して、今図12のa磁路では内径小によるパーミアンス大、b磁路では内径大によるパーミアンス小とすれば、a及びb磁路で、第4次パーミアンスベクトルは図のようになる。このような加工の不具合が発生しても単位回転子aとbは同じ軸で固着されているので、モータ全体で見た場合は、a磁路とb磁路のパーミアンスベクトルは重畳平均化されるので、モータ間でのコギングトルク等のバラツキが少ないものとなる。プレス抜き固定子の磁性板の板厚及び磁気方向性で生ずるパーミアンスの第4次成分の6個のパーミアンスベクトルのバラツキを該90度回転積層によりできる4種類のパーミアンスベクトルも2つの磁路間でバランスさせる追加バランス効果の自由度の増加も期待できる。これらは2磁路効果による、第4次成分の6個のパーミアンスベクトルの3次バランス効果と呼ぶことができる。即ち本発明は第4次高調波パーミアンス成分の3重バランス機能を有した回転電機となる。
軸方向で2つの磁気回路に分割構成することで短磁気回路としてフェライト磁石等の残留磁束密度Brが0.5T以下の低グレード磁石が採用できる。例えば従来技術で用いる希土類のネオジム磁石1個より同一サイズのフェライト磁石2個の方が安価のためモータコストも安価となる。またフェライト磁石のB―Hカーブのフラットな傾きによる動作点の安定化により均一な磁束密度効果のため低振動なモータとなる。B―Hカーブがフラットな傾きの場合はエアギャップ等のバラツキで多少動作点が移動しても磁束の値の変化が少なくできることによる。
21,22、23,24、27、28、29、30 :回転子
25,26、31,32 :永久磁石
3 :コイル、
33 :非磁性板
4 :軸
A,B,C,D,E,F、G,H :主極
θ〜θ6 :固定子歯と回転子歯のずれ角
T1〜T6 :誘導子歯、
V1〜V6 :第4次パーミアンスベクトル
Claims (4)
- 外辺が四辺形を含めた多角形や環状形で連結し、ラジアル方向に8個の放射状に設けた主極の先端に6個の誘導子歯を有する固定子コアを磁性体板よりプレス打ち抜きし、90度づつ回転積層して2相式固定子とし、エアギャップを介して回転自在に設けられた50個の歯を等ピッチに有した回転子2個にて軸方向に磁化した永久磁石を互いに歯ピッチの1/2ピッチ分ずらして挟持して単位回転子とし、それを2組、単位回転子aとbとして、共通回転軸上に設けて近接させ、単位回転子aとbの近接する回転子同士は歯位置が同一であり且つ同一極性に磁化されて回転子を形成し、該2個の単位回転子により、エアギャップを介して上記の固定子とにより軸方向に分離した回転子永久磁石磁束の2つのa及びb磁路を有するハイブリッド型回転電機において、
固定子の8個の主極の各先端に設けた6個の誘導子歯ピッチは回転子歯ピッチと異なり、6個の歯を順にT1〜T6とすれば主極の中心がT3とT4のピッチαの中央で左右対称であり、T1とT2のピッチをγ、T2とT3のピッチをβとして、回転子歯ピッチをcとしたとき、(α+2β+2γ)<5cであり、α≠β=γまたはα≠β≠γなる不等ピッチとして、第4次平面での6個のパーミアンスベクトルをa及びb磁気回路内でそれぞれの主極内で不等ピッチ誘導子効果で各磁路内1次バランスさせ、
更にプレス抜き固定子の磁性板の板厚及び磁気方向性で生ずるパーミアンスの第4次成分の6個のパーミアンスベクトルのバラツキを該90度回転積層によりできる4種類のパーミアンスベクトルの重畳効果で各磁路内2次バランスさせ、更に軸方向に2分割したa及びb磁路による短縮磁路長効果と2磁路間境界部磁界非干渉効果を活かして、該90度回転積層による4種類のパーミアンスベクトル重畳効果による2次バランスさせた第4次成分の6個のパーミアンスベクトルをa及びbの磁路間で更に重畳しバランス効果を高める3次バランスをさせることで、第4次高調波パーミアンス成分の3重バランス機能を有したことを特徴とする永久磁石式回転電機。 - 6個の歯T1〜T6に相当する歯幅をそれぞれt1〜t6としたとき、6個の歯の歯幅は主極対称線の片側のt1〜t3で少なくとも1個は異なるようにして、且つ歯幅と各歯の歯ピッチの比である、t1/α,t2/β,t3/γ
の値が略0.4であるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の永久磁石式回転電機。 - 回転子に用いる永久磁石の残留磁束密度が略0.5T以下のフェライト系永久磁石であることを特徴とする請求項1又は2に記載の永久磁石式回転電機。
- 回転子の永久磁石は未着磁でモータとして組み立て後に、軸方向に時間差を設けて正方向着磁とその逆方向着磁をしたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の永久磁石式回転電機。
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