本発明は、回路基板の製造方法に関し、特に貫通孔を有する回路基板の製造方法に関する。
近年の電子機器の小型、多機能化に伴い、回路基板も高密度化や配線パターンの微細化が進められており、そのような条件を達成する手段としては、回路基板の多層化が挙げられる。図17に示すように、複数の配線層を積層して形成した回路基板は、一般にスルーホール(貫通孔)31、バイアホール32、インタースティシャルバイアホール33と呼ばれる、内壁を導電層で被覆したあるいは導電層を充填した貫通孔、非貫通孔(以下これらを総称して、「孔」という)といった細孔を通じて各層間の導通が行われている。
図18は、貫通孔を上部から見た概略図である。貫通孔17の周囲にランド18と呼ばれる導電層が形成されている。ランドは、角形、円形、楕円形、異形等の種々の種類があるが、占有面積あるいは設計面の使いやすさから、円形状のランドを使用することが多い。また、高密度化に対応するためには、ランドレス又は狭小ランド幅の貫通孔が必要とされている。ここでランド幅(Lw)とは、円形状ランドの場合は貫通孔周囲の環状導体幅の最小値を意味している。穴明け加工時の貫通孔の直径をD0、円形状ランドの環状導体の直径をDとすると、ランドレスとは、ランド幅Lw=(D−D0)/2がゼロであり、狭小ランド幅とは、ランド幅Lw=(D−D0)/2が0より大きく40μm以下をいう。
回路基板を製造する方法としては、サブトラクティブ法、アディティブ法、セミアディティブ法が知られている。アディティブ法は、絶縁性基板の表面の非回路部にめっきレジスト層を設け、回路部に相当する部分に無電解めっき処理等で導電層を形成する方法である。微細回路形成に対しては有利であるが、無電解めっきで全ての導電層を形成するため、製造コストが高いという問題がある。一方、セミアディティブ法は、薄い導電層を表面に有する絶縁性基板の非回路部にめっきレジスト層を設け、回路部に相当する部分に電解めっき処理で導電層を形成し、非回路部のめっきレジスト層を除去した後、フラッシュエッチング処理によって、非回路部の薄い導電層を除去して回路を形成する方法である。高速作業が可能な電解めっきを使用することができるために、アディティブ法に比べ、製造コストは安くなるが、電解めっきにより全ての配線パターンの厚さを均一に形成することは難しく、品質管理が難しいという問題がある。サブトラクティブ法は、表面に導電層を設けた絶縁性基板の回路部にエッチングレジスト層を設け、露出している非回路部の導電層をエッチング除去して回路を形成する方法である。微細回路形成という点に関しては、他の二方法に比べ限界があるが、簡便な処理で回路基板を作製することができ、生産性も高く、製造コストは最も安くなり、最も広く用いられている。
エッチングレジスト層及びめっきレジスト層は、スクリーン印刷法、感光性材料を用いた露光現像工程を有するフォトファブリケーション法、インクジェット法等によって形成される。ランドレスや狭小ランド幅の孔を製造する場合、孔の穴開け加工やスクリーン印刷法、露光工程、インクジェット法等の工程における位置合わせが重要であり、特に、高密度回路基板で要求されるランドレスや狭小ランド幅の孔では、非常に高い位置合わせ精度が必要となる。ランドは、孔の全方向に均一な幅を有する形、つまり孔とランドが同心円である場合が最も望ましいが、位置合わせが不正確であると、孔とランドとが同心円とならなくなるという問題があった。
サブトラクティブ法により回路基板を製造する場合、予め孔内壁に設けた導電層をエッチングレジスト層で保護し、エッチング工程において、孔内壁の導電層が除去されないようにエッチングレジスト層により保護する必要がある。ネガ型(光架橋型)ドライフィルムフォトレジストを用いてエッチングレジスト層を形成する場合には、孔とランド部とを露光して架橋したドライフィルムフォトレジストで孔に蓋をするテンティング法で、孔内部にエッチング液が入らないようにして、孔内壁の導電層を保護する。
テンティング法で孔を保護する場合、孔の穴開け加工や露光工程の位置合わせが重要であり、特に、高密度回路基板で要求されるランドレスや狭小ランド幅の孔では、非常に高い位置合わせ精度が必要となる。つまり、図19(b)に示すように、広大ランド幅の場合には、距離Xだけ位置ずれが発生したとしても、孔上に完全にレジストの蓋を形成できるが、図19(a)に示すように、狭小ランド幅の場合には、孔とランドが同じ距離Xだけずれると、ランドが孔部分から外れ、エッチング液が孔内に浸入してしまい、導通不良となる問題が発生する。しかし、穴開け加工の精度、基板の伸縮、露光用フォトマスクの寸法変化等が原因となって、位置合わせ精度には限界があるのが実情である。また、高密度回路基板上に形成される孔の径は多種類で、孔数も極めて多いため、全ての孔に対して正確に位置合わせを行うことは非常に困難である。したがって、高密度回路基板ではランドレスや狭小ランド幅の孔が求められているにもかかわらず、テンティングを確実に行うためには、ランド幅を大きく設計しなくてはならないという問題が発生している。
また、ドライフィルムフォトレジストの厚みに関しても、テンティングをより確実に行うためには、より丈夫なテントを形成するためにフォトレジストの厚みを厚くする必要があるが、サブトラクティブ法において、表面の配線パターンをエッチングにより形成する際には、ドライフィルムフォトレジストにより形成されたエッチングレジスト層の厚みが厚いと、エッチング時にエッチング液の液回り性が悪くなり、ファインパターンが形成できないという問題もあった。
これらの問題の解決策として、位置合わせが原因となり発生していたランドと孔の位置ずれの問題を解決し、回路基板の高密度化のために要求されているランドレスや狭小ランド幅の孔に対応した回路基板の製造方法が提案されている(特許文献1)。これは、湿式トナー等を用いて、孔部分にレジストの開口を精度良く行い、ランドレスや狭小ランド幅を有する回路基板の製造を可能とするものである。しかしながら、湿式トナーを用いたトナー電着のためには、既存の製造装置だけでは製造できず、トナー電着のための現像装置を新たに導入する必要がある。従って、新たな設備導入のための資金や設置スペースがない場合には実施が難しい。また導入できた場合であっても、トナー電着を安定に行うための管理が必要となり、トナーの異常付着や付着不足による回路短絡や回路断線の危険性がある。
特開2005−286295号公報
本発明の課題は、位置合わせが原因となり発生していたランドと孔の位置ずれの問題を解決し、回路基板の高密度化のために要求されているランドレスや狭小ランド幅の孔に対応する回路基板の製造方法を提供することである。特に、トナー電着等の新たな設備導入を必要とせずに、穴埋めインク工程、導電性インク充填工程、電着工程、金属めっき工程、レジスト形成工程、エッチング工程を、適宜組み合わせた一連の工程で、ランドレスや狭小ランド幅の孔を有する回路基板を作製でき、特にサブトラクティブ法へ適用可能な回路基板の製造方法を提供することである。
本発明者らは、この課題を解決するため研究を行った結果、
(1)(a)貫通孔を有する絶縁性基板の第1面及び第1面とは反対側の第2面並びに貫通孔内壁に導電層を有する絶縁性基板を準備する工程、
(b)第1面に第一樹脂層及びマスク層を形成して、第1面の導電層及び貫通孔開口部を第一樹脂層及びマスク層で覆う工程、
(c)第2面より第一樹脂層除去液を供給して、第1面の貫通孔上及び貫通孔周辺部の第一樹脂層を除去し、第1面の貫通孔周辺部の導電層を露出する工程、
(d)第1面の第一樹脂層に第二樹脂層除去液に対する耐性化処理を施す工程、
(e)第1面のマスク層を除去する工程、
(f)第2面に第二樹脂層及びマスク層を形成して、第2面の導電層及び貫通孔開口部を第二樹脂層及びマスク層で覆う工程、
(g)第1面より第二樹脂層除去液を供給して、第2面の貫通孔上及び貫通孔周辺部の第二樹脂層を除去し、第2面の貫通孔周辺部の導電層を露出する工程、
(h)第2面のマスク層を除去する工程、
をこの順で含む回路基板の製造方法、
(2)(1)記載の(a)から(h)の工程に引き続いて、
(i)露出した導電層上にエッチングレジスト層を形成する工程、
(j)第一樹脂層及び第二樹脂層を除去する工程、
(k)第1面及び第2面に光架橋性樹脂層を形成する工程、
(l)第1面及び第2面の光架橋性樹脂層をパターン露光し、パターン状に光架橋硬化する工程、
(m)第1面及び第2面の未硬化の光架橋性樹脂層を除去し、パターン状に導電層を露出する工程、
(n)第1面及び第2面の露出した導電層をエッチング液によりエッチングして除去する工程、
(o)エッチングレジスト層及び光架橋硬化した光架橋性樹脂層を除去する工程、
をこの順で含む回路基板の製造方法、
(3)第一樹脂層及び第二樹脂層が、光架橋性樹脂であり、耐性化処理が露光処理である、(1)又は(2)に記載の回路基板の製造方法、
(4)エッチングレジスト層が、導電層のエッチング液に不溶な金属層であり、パターンめっきにより形成される、(2)又は(3)記載の回路基板の製造方法、
(5)(e)工程を(d)工程の前に行う、(1)〜(4)のいずれか記載の回路基板の製造方法、
(6)(e)工程を(f)工程の後に行う、(1)〜(4)のいずれか記載の回路基板の製造方法、
を見出した。
本発明の回路基板の製造方法(1)においては、貫通孔を有する絶縁性基板の第1面及び第1面とは反対側の第2面並びに貫通孔内壁に導電層を有する絶縁性基板を準備する。続いて、第1面に第一樹脂層及びマスク層を形成して、第1面の導電層及び貫通孔開口部を第一樹脂層及びマスク層で覆う。次に、第2面より第一樹脂層除去液を供給して、第1面の貫通孔上及び貫通孔周辺部の第一樹脂層を除去し、第1面の貫通孔周辺部の導電層を露出する。
これにより、位置合わせ不要で、精度良く、貫通孔及び貫通孔周辺部の導電層を露出させることができる。また、第一樹脂層除去液による除去条件を制御することで、貫通孔上及び貫通孔周辺部の第一樹脂層の除去状況を制御することが可能となり、貫通孔周辺部の導電層の露出幅を所望の値に制御することができる。
その後、第1面の第一樹脂層に第二樹脂層除去液に対する耐性化処理を施す。これにより、後に処理を行う第二樹脂層除去液に対して、第1面の第一樹脂層が影響を受けることがなく、すでに形成された良好な開口状況を維持できる。その後、第1面のマスク層を除去し、第2面に第二樹脂層及びマスク層を形成して、第2面の導電層及び貫通孔開口部を第二樹脂層及びマスク層で覆う。
続いて、第1面より第二樹脂層除去液を供給して、第2面の貫通孔上及び貫通孔周辺部の第二樹脂層を除去し、第2面の貫通孔周辺部の導電層を露出する。これにより、既に形成された第1面の第一樹脂層の良好な開口状況に影響を与えることなく、第2面においても、位置合わせ不要で、精度良く、貫通孔及び貫通孔周辺部の導電層を露出させることができる。また、第二樹脂層除去液による除去条件を制御することで、貫通孔上及び貫通孔周辺部の第二樹脂層の除去状況を制御することが可能となり、貫通孔周辺部の導電層の露出幅を所望の値に制御することができる。
その後、第2面のマスク層を除去して、貫通孔内及び第1面及び第2面の貫通孔周辺部の樹脂層を除去して開口させた基板(以下、樹脂付き開口基板と呼ぶ)が作製される。この工程を含み、穴埋めインク工程、導電性インク充填工程、電着工程、金属めっき工程、レジスト形成工程、エッチング工程等々を、適宜組み合わせた一連の工程を行うことで、均一で任意の幅のランドを有する貫通孔を有する回路基板を製造することができる。
本発明の回路基板の製造方法(2)においては、(1)の方法により樹脂付き開口基板を作製し、その基板上の露出した導電層上にエッチングレジスト層を形成する。これにより、貫通孔内壁及び貫通孔周辺部にエッチングレジスト層を安定に形成できる。貫通孔内壁及び貫通孔周辺部へのエッチングレジスト層の形成を表面の配線パターンの形成とは別に行うことで、貫通孔内及び貫通孔周辺部の導電層へ、必要充分なエッチングレジスト層を形成することができ、貫通孔の導通信頼性や構造上の強さが保証される。また、表面の配線パターン形成のためのエッチングレジスト層において、回路基板の要求品質に合わせて厚み等を選択することができるので、良好に表面の配線パターンを形成できる。
その後、第一樹脂層及び第二樹脂層を除去した後、第1面及び第2面の表面に、配線パターン形成用の光架橋性樹脂層を形成する。続いて、第1面及び第2面の光架橋性樹脂層をパターン露光し、パターン状に光架橋硬化する。その後、第1面及び第2面の未硬化の光架橋性樹脂層を除去し、パターン状に導電層を露出し、第1面及び第2面の露出した導電層をエッチング液によりエッチング除去し、その後、貫通孔内及び貫通孔周辺部のエッチングレジスト層及び第1面及び第2面の光架橋硬化した光架橋性樹脂層を除去する。この工程により、サブトラクティブ法により、均一で任意の幅のランドを有する貫通孔を持った回路基板を良好に製造することができる。また、基板準備の段階で導電層の厚みを所望の厚みに設定することができ、充分な厚さの銅回路厚を確保することができ、信頼性のある配線パターンを有する回路基板の作製ができる。
第1面及び第2面のいずれにおいても、光架橋性樹脂層をパターン露光する工程の前に、貫通孔及び貫通孔周辺部の導電層は、エッチングレジスト層が形成されている状態となっているので、パターン露光する工程で貫通孔周辺部は露光されてもされなくても、良好なランド形状が確保できる。すなわち、ランドレス及び狭小ランド幅を位置合わせすることなく精度良く確実に形成することができ、パターン露光時の位置合わせの許容範囲が広がるという秀逸な効果をもたらす。
本発明の回路基板の製造方法(3)では、第一樹脂層及び第二樹脂層を光架橋性樹脂とし、耐性化処理を露光処理とすることで、既存の設備を活用して回路基板を製造することができる。
本発明の回路基板の製造方法(4)では、エッチング液に不溶な金属層をパターンめっきにより、配線部分に形成することで、金属層が良好なエッチングレジスト層として機能し、続く、エッチングによって、良好な配線パターンが形成される。
本発明の回路基板の製造方法(5)では、第1面のマスク層を第一樹脂層の耐性化処理を施す前に除去する。これにより、第一樹脂層の除去工程後に貫通孔内の洗浄や乾燥等の処理を追加で行う必要がある場合や、耐性化処理に対してマスク層が悪影響を及ぼす可能性があるような場合には、マスク層による不安要素が除かれる。
本発明の回路基板の製造方法(6)では、第1面のマスク層の除去を、第2面の第二樹脂層及びマスク層の形成の後に行う。これにより、第2面に第二樹脂層及びマスク層を形成する際に、第1面に接触による傷や異物付着等の可能性があるような場合には、第1面のマスク層が保護の役割も果たすことになる。
このように、本発明の回路基板の製造方法では、既存の製造設備を活用し、新たな設備導入を必要とせずに、サブトラクティブ法等の簡便な工法であっても、貫通孔及び貫通孔周辺部に、正確かつ安定的にエッチングレジスト層を形成することができ、かつランド幅も任意にコントロールできるという秀逸な効果をもたらす。また、従来、テンティングのために厚膜にしなくてはならなかったエッチングレジスト膜を薄膜化することができ、ファインパターン形成にも有利となるという効果を奏する。
以下、本発明の回路基板の製造方法について詳細に説明する。
本発明の回路基板の製造方法(1)では、まず、図1に示すような貫通孔を有する絶縁性基板1の第1面及び第1面とは反対側の第2面並びに貫通孔内壁に導電層12を有する絶縁性基板を準備する。続いて、第1面に第一樹脂層21及びマスク層6を形成して、第1面の導電層12及び貫通孔開口部を第一樹脂層21及びマスク層6で覆う(図2)。その後、第1面とは反対の面(第2面とする)から供給する第一樹脂層除去液により、第1面の貫通孔上及び貫通孔周辺部の第一樹脂層を除去する(図3)。このとき、第1面の貫通孔上及び貫通孔周辺部の第一樹脂層の除去量を調整することができ、導電層12の露出幅をコントロールすることができる。その後、第一樹脂層に耐性化処理を施し、耐性化処理後の第一樹脂層23を形成し、続く第二樹脂層除去液に対する耐性を付与する(図4)。
第1面に施したのと同様な方法で、第2面にも第二樹脂層22及びマスク層7を形成する(図5)。第1面のマスク層6を除去した後(図6)、第1面より除去液を供給するようにし、貫通孔を通して、第2面の貫通孔上及び貫通孔周辺部の第二樹脂層を溶解除去する(図7)。この際、第1面の処理と同様にして、第2面の貫通孔上及び貫通孔周辺部の第二樹脂層の除去量を調整することができ、導電層12の露出幅をコントロールすることができる。必要な場合には洗浄、乾燥をした後、第2面のマスク層7の除去を行う(図8)。これにより開口幅を所望の幅に制御された樹脂付き開口基板を作製することができ、その後、穴埋めインク工程、導電性インク充填工程、電着工程、金属めっき工程、レジスト形成工程、エッチング工程を、適宜組み合わせた一連の工程で、ランドレスや狭小ランド幅の孔を有する回路基板を作製することができる。また、後工程の処理液に対して、第二樹脂層及び/又は第一樹脂層が侵されてしまうような場合には、必要に応じて、第二樹脂層及び/又は第一樹脂層にそれぞれ耐性化処理を行うことで、後の工程に対しての耐性を付与することができる(図9)。
なお、第1面のマスク層6の除去は、第一樹脂層の耐性化処理を施す前であっても、あるいは、第2面の第二樹脂層及びマスク層の形成の後に行うことでもよい。これにより、マスク層による不安要素を除くことや、第1面のマスク層が保護の役割も果たすことが可能になるという効果も期待できる。
本発明に係わる第一樹脂層及び第二樹脂層(以下、合わせて「樹脂層」と呼ぶ)としては、それぞれ第一樹脂層除去液及び第二樹脂層除去液(以下、合わせて「樹脂層除去液」と呼ぶ)により溶解除去可能な樹脂であれば特に限定されない。アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルブチラール等のビニルアセタール樹脂、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン及びその塩化物、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンイソフタレート等のポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ビニル変性アルキッド樹脂、フェノール樹脂、キシレン樹脂、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、ゼラチン、カルボキシメチルセルロース等のセルロースエステル誘導体等の樹脂が利用できる。また、次に述べる光架橋性樹脂も樹脂層として利用することができる。これらの樹脂は、同じ種類の樹脂であっても、その樹脂に含まれる官能基の種類や量、分子量の違いにより、溶解性は変化する。
本発明において、樹脂層として利用できる光架橋性樹脂としては、例えば、回路基板製造用の光架橋型ドライフィルムフォトレジストが挙げられる。以下に例を挙げるが、本発明の趣旨と異ならない限り何れの光架橋性樹脂層であっても適用可能である。例えば、カルボン酸基を含むバインダーポリマー、光重合性の多官能モノマー、光重合開始剤、溶剤、その他添加剤からなるネガ型の感光性樹脂組成物が使用できる。それらの配合比率は、感度、解像度、硬度、テンティング性等の要求される性質に合わせて決定される。これらの例は「フォトポリマーハンドブック」(フォトポリマー懇話会編、(株)工業調査会、1989年)や「フォトポリマー・テクノロジー」(山本亜夫、永松元太郎編、日刊工業新聞社、1988年)等に記載されている。市販品としては、例えばデュポンMRCドライフィルム株式会社のリストン、日立化成工業株式会社のフォテック、旭化成エレクトロニクス株式会社のサンフォート等を使用することができる。市販品は、光架橋性樹脂フィルムが、ポリエステルフィルム等の支持体フィルムとポリエチレンフィルム等の保護フィルムとで挟まれた状態となっている。
本発明に係わる第一樹脂層除去液及び第二樹脂層除去液としては、樹脂層を溶解又は分散可能な液であれば使用可能であり、使用する樹脂層の組成に見合った液を用いる。樹脂層として、市販のドライフィルムレジストを利用した場合には、一般的には、アルカリ水溶液が有用に使用され、たとえば、例えばケイ酸アルカリ金属塩、アルカリ金属水酸化物、リン酸又は炭酸アルカリ金属塩、リン酸又は炭酸アンモニウム塩等の無機塩基性化合物の水溶液、エタノールアミン類、エチレンジアミン、プロパンジアミン類、トリエチレンテトラミン、モルホリン等の有機塩基性化合物等を用いることができる。これら水溶液は、濃度、温度、スプレー圧等を調整する必要がある。
アルカリ水溶液を樹脂層除去液として使用する場合には、アルカリ水溶液に対する溶解性が高い樹脂を樹脂層として使用することで、樹脂層除去液により溶解除去が可能になる。アルカリ水溶液を樹脂層除去液として使用する場合、樹脂層としては酸価が1mgKOH/g以上、より好ましくは10mgKOH/g以上の樹脂を好適に用いることができる。アルカリ水溶液を樹脂層除去液として使用する場合、樹脂層としては、カルボン酸基、メタクリル酸アミド、フェノール性水酸基、スルホン酸基、スルホンアミド基、スルホンイミド基、ホスホン酸基を有する単量体を含有する共重合体、及びフェノール樹脂、キシレン樹脂等が挙げられる。具体的な例としては、スチレン/マレイン酸モノアルキルエステル共重合体、メタクリル酸/メタクリル酸エステル共重合体、スチレン/メタクリル酸/メタクリル酸エステル共重合体、アクリル酸/メタクリル酸エステル共重合体、メタクリル酸/メタクリル酸エステル/アクリル酸エステル共重合体、スチレン/メタクリル酸/アクリル酸エステル共重合体、スチレン/アクリル酸/メタクリル酸エステル共重合体、酢酸ビニル/クロトン酸共重合体、酢酸ビニル/クロトン酸/メタクリル酸エステル共重合体、安息香酸ビニル/アクリル酸/メタクリル酸エステル共重合体等のスチレン、アクリル酸アステル、メタクリル酸エステル、酢酸ビニル、安息香酸ビニルと上記カルボン酸含有単量体との共重合体が挙げられる。これらの樹脂は単独でも、あるいは2種以上を混合して用いてもよい。また、樹脂層除去液に対する溶解性が確保されていれば、その他の添加剤を添加することもできる。
本発明に係わる第一樹脂層の耐性化処理としては、その処理により第二樹脂層除去液に対して不溶又は難溶となるような状態に変化させる処理であれば、いずれの処理も可能である。光や熱による硬化処理がその簡便さから好適に用いられる。第一樹脂層としては、光架橋性樹脂や熱硬化性樹脂を用いることができる。
樹脂層除去液としてアルカリ水溶液を用いる場合には、第一樹脂層をアルカリ可溶性の樹脂を使用するとともに、光架橋性の成分を付与することで、第一樹脂層除去液には溶解し、耐性化処理後には第二樹脂層除去液には不溶又は難溶とすることができる。また、エポキシ樹脂等の熱硬化性成分を付与して耐性化処理を熱処理により行うことで、耐性化処理前には第一樹脂層除去液には溶解してしまうが、耐性化処理後には第二樹脂層除去液に不溶又は難溶となるようにすることができる。
また、第二樹脂層除去液を第一樹脂層除去液よりも低pHの液を用いた場合には、第一樹脂層の耐性化処理を施さなくても、第二樹脂層除去液に対して、第一樹脂層を溶解しないようにすることができる。その場合には第一樹脂層の耐性化処理を行わないこともできる。
本発明に係わる第二樹脂層は、樹脂付き開口基板を作製した後の工程の処理液に対して、耐性を持たせた樹脂である必要がある。必要な場合には、光照射や熱処理等の耐性化処理を施す。エッチングレジスト層の形成にパターンめっきを使用する場合には、そのめっき液に耐性のある樹脂を使用する。
本発明に係わるマスク層としては、樹脂層除去液に対して不溶性又は難溶性である樹脂や金属等を使用することができる。樹脂としては、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルブチラールの様なビニルアセタール樹脂、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン及びその塩化物、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンイソフタレート等のポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ビニル変性アルキッド樹脂、フェノール樹脂、キシレン樹脂、ポリイミド樹脂、ゼラチン、カルボキシメチルセルロース等のセルロースエステル誘導体等の樹脂が利用できる。汎用性の点から、ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂等を好適に使用することができる。金属としては、銅やアルミニウム等を使用できる。マスク層は、フィルム形状として、樹脂層と一体化して基板上に形成するようにすれば、工程上、簡便で安定に樹脂層とマスク層の形成ができるので好ましい。前述のドライフィルムフォトレジストを利用した場合には、その支持体フィルムをそのままマスク層とすることができるので好ましい。これらの樹脂は、同じ種類の樹脂であっても、その樹脂に含まれる官能基の種類や量、分子量の違いにより、溶解性は変化する。アルカリ水溶液を樹脂層除去液として使用する場合には、これらの樹脂のうち、アルカリ水溶液に対する溶解性の低い樹脂をマスク層として使用することで、樹脂層除去液に不溶性又は難溶性となる。アルカリ水溶液を樹脂層除去液として使用する場合、マスク層の酸価は、樹脂の酸価の十分の一以下、好ましくは百分の一以下である樹脂を好適に使用することができる。
本発明に係わる絶縁性基板としては、紙基材フェノール樹脂やガラス基材エポキシ樹脂の基板、ポリエステルフィルム、ポリイミドフィルム、液晶高分子フィルム等を使用することができる。導電層としては、銅、銀、金、アルミニウム、ステンレス、42アロイ、ニクロム、タングステン、ITO、導電性高分子、各種金属錯体等を使用することができる。これらの例は「プリント回路技術便覧」(社団法人日本プリント回路工業会編、日刊工業新聞社、1987年)に記載されている。
本発明に係わる絶縁性基板に導電層を設ける方法としては、スパッタリング法、蒸着法、無電解めっき法、電解めっき法、絶縁性基板に金属箔等の極薄導電層を張り合わせる方法や、導電層を張り合わせた積層板の導電層をエッチング処理によって薄膜とする方法などを単独又は組み合わせて用いることができる。絶縁性基板に貫通孔を開けた後に、絶縁性基板の表面及び貫通孔の内壁に導電層を設けることもできるし、また、絶縁性基板表面に導電層をあらかじめ設けた銅張り積層板に、貫通孔をあけ、貫通孔内壁に無電解めっき及び電解めっきによって導電層を設けてもよい。
本発明に係わる無電解めっき処理、電解めっき処理は、例えば、「プリント回路技術便覧」(社団法人日本プリント回路工業会編、日刊工業新聞社、1987年)に記載されているものを使用することができる。
本発明の回路基板の製造方法(2)では、樹脂付き開口基板を作製した後、サブトラクティブ法により回路基板を作製する。
樹脂付き開口基板の露出した導電層上にエッチングレジスト層13を形成する(図10)。その後、第1面及び第2面の樹脂層を除去した(図11)後、第1面及び第2面に光架橋性樹脂層28を形成する(図12)。続いてパターン露光を行って、パターン状に光架橋硬化し(図13)、現像処理により未硬化部を除去し、光架橋硬化した光架橋性樹脂29からなるエッチングレジスト層を形成する(図14)。
次に、エッチング処理により導電層12のうち露出した部分を除去する(図15)。最後に、貫通孔部のエッチングレジスト層13及び表面の光架橋硬化した光架橋性樹脂29からなるエッチングレジスト層を除去して回路基板が作製される(図16)。
本発明に係わる、導電層上にエッチングレジスト層を形成する方法としては、電着の手段やめっきの方法が使用できる。導電層を銅として、そのエッチングレジスト層としてめっき金属を利用する場合には、金、錫、錫−鉛系はんだ合金、ニッケル、錫−ニッケル合金、ニッケル−金合金、銀、亜鉛、パラジウム、ルテニウム、ロジウム等が利用できる。また、エッチングレジスト層として電着樹脂を利用することもできる。この場合には、樹脂は電着を可能とするために電荷を有しており、具体的な例としては、ポリイミド系、エポキシ系、アクリル系、ポリエステル系、フッ素系、シリコン系等の樹脂エマルジョンを使用することができる。保持する電荷はアニオン型でもカチオン型でも使用可能であり、アニオン型としては、カルボキシル基、スルホン酸基又はそれらのアニオン基等が挙げられ、カチオン型としては、アミノ基、そのカチオン基、更にはその第四級イオン基等が挙げられる。
本発明の回路基板の製造方法(2)に係わる光架橋性樹脂層としては、例えば、カルボン酸基を含むバインダーポリマー、光重合性の多官能モノマー、光重合開始剤、溶剤、その他の添加剤からなるネガ型の感光性樹脂組成物が使用できる。それらの配合比率は、感度、解像度、硬度、テンティング性等の要求される性質に合わせて決定される。これらの例は「フォトポリマーハンドブック」(フォトポリマー懇話会編、(株)工業調査会、1989年)や「フォトポリマー・テクノロジー」(山本亜夫、永松元太郎編、日刊工業新聞社、1988年)等に記載されている。市販品としては、例えばデュポンMRCドライフィルム株式会社のリストン、日立化成工業株式会社のフォテック、旭化成エレクトロニクス株式会社のサンフォート等を使用することができる。市販品は、光架橋性樹脂フィルムが、ポリエステルフィルム等の支持体フィルムとポリエチレンフィルム等の保護フィルムとで挟まれた状態となっている。
また、本発明に係わるパターン露光は、レーザ直接描画、フォトマスクを介した密着露光、プロキシミティ露光、投影露光等によって行われる。光源としては、各種レーザ光源の他、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ等を使用することができる。このパターン露光により、回路部の光架橋性樹脂を光架橋硬化させる(図13)。この際、ランド部はすでにエッチングレジスト層13によって保護されているため、ランド部を露光する必要はない。
本発明に係わるエッチング液は、導電層12を溶解除去できるものであればよい。例えば、アルカリ性アンモニア等のアルカリ性エッチング液、硫酸−過酸化水素、塩化第二銅、過硫酸塩、塩化第二鉄等の一般的なエッチング液を使用できる。導電層を銅とし、貫通孔部に金属めっきエッチングレジストを使用し、表面の配線パターン部にドライフィルムフォトレジストをエッチングレジスト層として使用した場合には、両者が耐性を示し、良好に銅のエッチングが可能な、市販のアルカリ性エッチング液、過硫酸アンモニウム、過酸化水素/硫酸等が好適に用いられる。装置や方法としては、例えば、水平スプレーエッチング、浸漬エッチング等の装置や方法を使用できる。これらの詳細は、「プリント回路技術便覧」(社団法人日本プリント回路工業会編、日刊工業新聞社、1987年)に記載されている。
本発明の回路基板の製造方法において、エッチングレジスト層として使用した光架橋硬化した光架橋性樹脂層を除去する方法としては、高pHのアルカリ性水溶液、有機溶剤等で除去する方法が挙げられる。具体的には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、メタ珪酸ナトリウム等を含む強アルカリ水溶液、アルコール、ケトン等の有機溶剤を挙げることができる。
また、貫通孔部の金属めっきエッチングレジストの除去には、はんだ剥離用として市販されている、硝酸系、硫酸系、シアン系などの酸系の処理液により除去を行うことができる。
以下実施例によって本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
厚さ12μmの銅箔を使用する200×200×0.1mmの銅張り積層板を用い、ドリルで0.10mmの径の貫通孔を複数形成し、無電解銅めっき処理を実施し、表面及び貫通孔内壁に約0.5μm厚の無電解銅めっき層を形成した。その後、電解銅めっき処理を実施し、孔内壁及び銅張り積層板の銅上に厚み約12μmの電解銅めっき層を形成し、貫通孔内及び表面に導電層を有する絶縁性基板を準備した。
続いて、ドライフィルムフォトレジスト用ラミネータを用いて、25μmの光架橋性樹脂層及び12μmのマスク層(支持体フィルム、材質:ポリエステル)よりなる、回路形成用ドライフィルムフォトレジストを基板の片面(第1面)に熱圧着し、第一樹脂層(光架橋性樹脂層)及びマスク層(支持体フィルム)を設けた。
次に、1質量%炭酸ナトリウム水溶液(30℃)の第一樹脂層除去液を用いて、基板の第2面側よりスプレー圧0.2MPaでシャワースプレーを50秒間当てて、第1面の貫通孔上及び貫通孔周辺部の光架橋性樹脂層を溶解除去した。貫通孔及び貫通孔周辺部を光学顕微鏡で観察したところ、貫通孔周辺部の光架橋性樹脂層は、貫通孔と同心円状に除去されていた。貫通孔周辺部の銅露出部の外径は110μmであった。
次に、第1面の第一樹脂層に、焼付用高圧水銀灯光源装置(ユニレックURM300、ウシオ電機製)を用いて、45秒間、全面露光を行って、全面を光架橋硬化させることで、続く第二樹脂層除去液に対する耐性化処理を行った。
次いで、露光処理が終了した基板の第2面に、ドライフィルムフォトレジスト用ラミネータを用いて、第1面に使用したものと同様の回路形成用ドライフィルムフォトレジストを熱圧着して、第二樹脂層及びマスク層を設けた。その後、第1面のマスク層を剥がして除去した。
次に、1質量%炭酸ナトリウム水溶液(30℃)の除去液を用いて、基板の第1面側よりスプレー圧0.2MPaでシャワースプレーを50秒間当てて、第2面の貫通孔上及び貫通孔周辺部の第二樹脂層を溶解除去した。その後、第2面のマスク層の除去を行い、樹脂付き開口基板を作製した。第2面の貫通孔及び貫通孔周辺部を光学顕微鏡で観察したところ、貫通孔周辺部の光架橋性樹脂層は、貫通孔と同心円状に除去されていた。貫通孔周辺部の銅露出部の外径は、110μmであった。
厚さ12μmの銅箔を使用する200×200×0.1mmの銅張り積層板を用い、ドリルで0.10mmの径の貫通孔を複数形成し、無電解銅めっき処理を実施し、表面及び貫通孔内壁に約0.5μm厚の無電解銅めっき層を形成した。
続いて、ドライフィルムフォトレジスト用ラミネータを用いて、25μmの光架橋性樹脂層及び12μmのマスク層(支持体フィルム、材質:ポリエステル)よりなる、回路形成用ドライフィルムフォトレジストを基板の片面(第1面)に熱圧着し、第一樹脂層(光架橋性樹脂層)及びマスク層(支持体フィルム)を設けた。
次に、1質量%炭酸ナトリウム水溶液(30℃)の第一樹脂層除去液を用いて、基板の第2面側よりスプレー圧0.2MPaでシャワースプレーを32秒間当てて、第1面の貫通孔上及び貫通孔周辺部の光架橋性樹脂層を溶解除去した。貫通孔及び貫通孔周辺部を光学顕微鏡で観察したところ、貫通孔周辺部の光架橋性樹脂層は、貫通孔と同心円状に除去されており、貫通孔周辺部の銅露出部の外径は、140μmであった。
次に、第1面の第一樹脂層に、焼付用高圧水銀灯光源装置(ユニレックURM300、ウシオ電機製)を用いて、45秒間、全面露光を行って、全面を光架橋硬化させることで、続く第二樹脂層除去液に対する耐性化処理を行った。
次いで、露光処理が終了した基板の第2面に、ドライフィルムフォトレジスト用ラミネータを用いて、第1面に使用したものと同様の回路形成用ドライフィルムフォトレジストを熱圧着して、第二樹脂層及びマスク層を設けた。その後、第1面のマスク層を剥がして除去した。
次に、1質量%炭酸ナトリウム水溶液(30℃)の除去液を用いて、基板の第1面側よりスプレー圧0.2MPaでシャワースプレーを33秒間当てて、第2面の貫通孔上及び貫通孔周辺部の第二樹脂層を溶解除去した。その後、第2面のマスク層の除去を行い、樹脂付き開口基板を作製した。第2面の貫通孔及び貫通孔周辺部を光学顕微鏡で観察したところ、貫通孔周辺部の光架橋性樹脂層は、貫通孔と同心円状に除去されており、貫通孔周辺部の銅露出部の外径は、140μmであった。
次に、第2面の第二樹脂層に、焼付用高圧水銀灯光源装置(ユニレックURM300、ウシオ電機製)を用いて、45秒間、全面露光を行って、全面を光架橋硬化させることで、続く、電解銅めっき処理に対する耐性を強化した。
次に、電解銅めっき処理を実施し、孔内壁及び表面の銅露出部に厚み約12μmの電解銅めっき層を形成した。表面の回路形成部の銅厚を厚くせずに孔内壁の銅の厚みを増した樹脂付き開口基板を作製した。
厚さ12μmの銅箔を使用する200×200×0.1mmの銅張り積層板を用い、ドリルで0.10mmの径の貫通孔を複数形成し、無電解銅めっき処理を実施し、表面及び貫通孔内壁に約0.5μm厚の無電解銅めっき層を形成した。その後、電解銅めっき処理を実施し、孔内壁及び銅張り積層板の銅上に厚み約12μmの電解銅めっき層を形成し、貫通孔内及び表面に導電層を有する絶縁性基板を準備した。
続いて、ドライフィルムフォトレジスト用ラミネータを用いて、25μmの光架橋性樹脂層及び12μmのマスク層(支持体フィルム、材質:ポリエステル)よりなる、回路形成用ドライフィルムフォトレジストを基板の片面(第1面)に熱圧着し、第一樹脂層(光架橋性樹脂層)及びマスク層(支持体フィルム)を設けた。
次に、1質量%炭酸ナトリウム水溶液(30℃)の第一樹脂層除去液を用いて、基板の第2面側よりスプレー圧0.2MPaでシャワースプレーを65秒間当てて、第1面の貫通孔上及び貫通孔周辺部の光架橋性樹脂層を溶解除去した。貫通孔及び貫通孔周辺部を光学顕微鏡で観察したところ、貫通孔周辺部の光架橋性樹脂層は、貫通孔と同心円状に除去されており、貫通孔周辺部の銅露出部の外径は、126μmであった。
次に、第1面の第一樹脂層に、焼付用高圧水銀灯光源装置(ユニレックURM300、ウシオ電機製)を用いて、45秒間、全面露光を行って、全面を光架橋硬化させることで、続く第二樹脂層除去液に対する耐性化処理を行った。
次いで、露光処理が終了した基板の第2面に、ドライフィルムフォトレジスト用ラミネータを用いて、第1面に使用したものと同様の回路形成用ドライフィルムフォトレジストを熱圧着して、第二樹脂層及びマスク層を設けた。その後、第1面のマスク層を剥がして除去した。
次に、1質量%炭酸ナトリウム水溶液(30℃)の除去液を用いて、基板の第1面側よりスプレー圧0.2MPaでシャワースプレーを65秒間当てて、第2面の貫通孔上及び貫通孔周辺部の第二樹脂層を溶解除去した。その後、第2面のマスク層の除去を行い、樹脂付き開口基板を作製した。第2面の貫通孔及び貫通孔周辺部を光学顕微鏡で観察したところ、貫通孔周辺部の光架橋性樹脂層は、貫通孔と同心円状に除去されていた。貫通孔周辺部の銅露出部の外径は、126μmであった。
厚さ12μmの銅箔を使用する200×200×0.1mmの銅張り積層板を用い、ドリルで0.10mmの径の貫通孔を複数形成し、無電解銅めっき処理を実施し、表面及び貫通孔内壁に約0.5μm厚の無電解銅めっき層を形成した。その後、電解銅めっき処理を実施し、孔内壁及び銅張り積層板の銅上に厚み約12μmの電解銅めっき層を形成し、貫通孔内及び表面に導電層を有する絶縁性基板を準備した。
続いて、ドライフィルムフォトレジスト用ラミネータを用いて、25μmの光架橋性樹脂層及び12μmのマスク層(支持体フィルム、材質:ポリエステル)よりなる、回路形成用ドライフィルムフォトレジストを基板の片面(第1面)に熱圧着し、第一樹脂層(光架橋性樹脂層)及びマスク層(支持体フィルム)を設けた。
次に、1質量%炭酸ナトリウム水溶液(30℃)の第一樹脂層除去液を用いて、基板の第2面側よりスプレー圧0.2MPaでシャワースプレーを80秒間当てて、第1面の貫通孔上及び貫通孔周辺部の光架橋性樹脂層を溶解除去した。貫通孔及び貫通孔周辺部を光学顕微鏡で観察したところ、貫通孔周辺部の光架橋性樹脂層は、貫通孔と同心円状に除去されており、貫通孔周辺部の銅露出部の外径は、138μmであった。
次に、第1面の第一樹脂層に、焼付用高圧水銀灯光源装置(ユニレックURM300、ウシオ電機製)を用いて、45秒間、全面露光を行って、全面を光架橋硬化させることで、続く第二樹脂層除去液に対する耐性化処理を行った。
次いで、露光処理が終了した基板の第2面に、ドライフィルムフォトレジスト用ラミネータを用いて、第1面に使用したものと同様の回路形成用ドライフィルムフォトレジストを熱圧着して、第二樹脂層及びマスク層を設けた。その後、第1面のマスク層を剥がして除去した。
次に、1質量%炭酸ナトリウム水溶液(30℃)の除去液を用いて、基板の第1面側よりスプレー圧0.2MPaでシャワースプレーを80秒間当てて、第2面の貫通孔上及び貫通孔周辺部の第二樹脂層を溶解除去した。その後、第2面のマスク層の除去を行い、樹脂付き開口基板を作製した。第2面の貫通孔及び貫通孔周辺部を光学顕微鏡で観察したところ、貫通孔周辺部の光架橋性樹脂層は、貫通孔と同心円状に除去されていた。貫通孔周辺部の銅露出部の外径は、138μmであった。
実施例1で得られた樹脂付き開口基板の第2面に焼付用高圧水銀灯光源装置(ユニレックURM300、ウシオ電機製)を用いて、45秒間、全面露光を行って、全面を光架橋硬化させることで、続く、エッチングレジスト層形成のための処理液に対する耐性化処理を行った。次に、錫めっき液(メルテックス社製ソルダロンSN−2670)により、露出している銅表面に錫めっきをエッチングレジスト層として形成した。
次に、3質量%水酸化ナトリウム水溶液(30℃)を用いて、第一樹脂層及び第二樹脂層の光架橋硬化した光架橋樹脂層を除去した。
次に、ドライフィルムフォトレジスト用ラミネータを用いて、15μmの光架橋性樹脂層及び12μmのマスク層(支持体フィルム、材質:ポリエステル)よりなる、回路形成用ドライフィルムフォトレジストを基板の両面に熱圧着した。配線パターンを描画したフォトマスク(導体幅及び間隙:40μm)を基板の第2面に載せ、吸引密着機構を有する焼付用高圧水銀灯光源装置(ユニレックURM300、ウシオ電機製)を用いて、40秒間紫外線パターン露光を行った。その後、両面の支持体フィルムを除去した後、1質量%炭酸ナトリウム水溶液(30℃)のアルカリ現像処理を行い、基板両面に光架橋硬化した光架橋性樹脂からなるエッチングレジスト層を形成した。
次に、エッチング液としてアンモニアアルカリエッチャント(メルテックス社製エープロセス)を用いて、露出した銅の除去を行った。その後、光架橋硬化した光架橋性樹脂からなるエッチングレジスト層の除去を3質量%水酸化ナトリウム水溶液(30℃)を用いて行い、続いて、銅上の錫めっきを、錫めっき剥離専用処理液(メルテックス社製エンストリップTL)を用いて剥離し、回路基板の製造を行った。顕微鏡にて回路基板を観察したところ、ランドは貫通孔と同心円状に形成されており、ランド幅Lwは5μmであり、回路基板に断線はなく、良好な狭小ランド幅を持った回路基板の作製ができた。
実施例2で得られた樹脂付き開口基板に、錫めっき液(メルテックス社製ソルダロンSN−2670)により、露出している銅表面に錫めっきをエッチングレジスト層として形成した。
次に、3質量%水酸化ナトリウム水溶液(30℃)を用いて、第一樹脂層及び第二樹脂層の光架橋硬化した光架橋樹脂層を除去した。
次に、ドライフィルムフォトレジスト用ラミネータを用いて、15μmの光架橋性樹脂層及び12μmのマスク層(支持体フィルム、材質:ポリエステル)よりなる、回路形成用ドライフィルムフォトレジストを基板の両面に熱圧着した。配線パターンを描画したフォトマスク(導体幅及び間隙:30μm)を基板の第2面に載せ、吸引密着機構を有する焼付用高圧水銀灯光源装置(ユニレックURM300、ウシオ電機製)を用いて、40秒間紫外線パターン露光を行った。その後、両面の支持体フィルムを除去した後、1質量%炭酸ナトリウム水溶液(30℃)のアルカリ現像処理を行い、基板両面に光架橋硬化した光架橋性樹脂からなるエッチングレジスト層を形成した。
次に、エッチング液としてアンモニアアルカリエッチャント(メルテックス社製エープロセス)を用いて、露出した銅の除去を行った。その後、光架橋硬化した光架橋性樹脂からなるエッチングレジスト層の除去を3質量%水酸化ナトリウム水溶液(30℃)を用いて行い、続いて、銅上の錫めっきを、錫めっき剥離専用処理液(メルテックス社製エンストリップTL)を用いて剥離し、回路基板の製造を行った。顕微鏡にて回路基板を観察したところ、ランドは貫通孔と同心円状に形成されており、ランド幅Lwは20μmであり、回路基板に断線はなく、良好な狭小ランド幅を持った回路基板の作製ができた。
実施例3で得られた樹脂付き開口基板の第2面に焼付用高圧水銀灯光源装置(ユニレックURM300、ウシオ電機製)を用いて、45秒間、全面露光を行って、全面を光架橋硬化させることで、続く、エッチングレジスト層形成のための処理液に対する耐性化処理を行った。次に、錫めっき液(メルテックス社製ソルダロンSN−2670)により、露出している銅表面に錫めっきをエッチングレジスト層として形成した。
次に、3質量%水酸化ナトリウム水溶液(30℃)を用いて、第一樹脂層及び第二樹脂層の光架橋硬化した光架橋樹脂層を除去した。
次に、ドライフィルムフォトレジスト用ラミネータを用いて、15μmの光架橋性樹脂層及び12μmのマスク層(支持体フィルム、材質:ポリエステル)よりなる、回路形成用ドライフィルムフォトレジストを基板の両面に熱圧着した。配線パターンを描画したフォトマスク(導体幅及び間隙:40μm)を基板の第2面に載せ、吸引密着機構を有する焼付用高圧水銀灯光源装置(ユニレックURM300、ウシオ電機製)を用いて、40秒間紫外線パターン露光を行った。その後、両面の支持体フィルムを除去した後、1質量%炭酸ナトリウム水溶液(30℃)のアルカリ現像処理を行い、基板両面に光架橋硬化した光架橋性樹脂からなるエッチングレジスト層を形成した。
次に、エッチング液としてアンモニアアルカリエッチャント(メルテックス社製エープロセス)を用いて、露出した銅の除去を行った。その後、光架橋硬化した光架橋性樹脂からなるエッチングレジスト層の除去を3質量%水酸化ナトリウム水溶液(30℃)を用いて行い、続いて、銅上の錫めっきを、錫めっき剥離専用処理液(メルテックス社製エンストリップTL)を用いて剥離し、回路基板の製造を行った。顕微鏡にて回路基板を観察したところ、ランドは貫通孔と同心円状に形成されており、ランド幅Lwは13μmであり、回路基板に断線はなく、良好な狭小ランド幅を持った回路基板の作製ができた。
実施例4で得られた樹脂付き開口基板の第2面に焼付用高圧水銀灯光源装置(ユニレックURM300、ウシオ電機製)を用いて、45秒間、全面露光を行って、全面を光架橋硬化させることで、続く、エッチングレジスト層形成のための処理液に対する耐性化処理を行った。次に、錫めっき液(メルテックス社製ソルダロンSN−2670)により、露出している銅表面に錫めっきをエッチングレジスト層として形成した。
次に、3質量%水酸化ナトリウム水溶液(30℃)を用いて、第一樹脂層及び第二樹脂層の光架橋硬化した光架橋樹脂層を除去した。
次に、ドライフィルムフォトレジスト用ラミネータを用いて、15μmの光架橋性樹脂層及び12μmのマスク層(支持体フィルム、材質:ポリエステル)よりなる、回路形成用ドライフィルムフォトレジストを基板の両面に熱圧着した。配線パターンを描画したフォトマスク(導体幅及び間隙:40μm)を基板の第2面に載せ、吸引密着機構を有する焼付用高圧水銀灯光源装置(ユニレックURM300、ウシオ電機製)を用いて、40秒間紫外線パターン露光を行った。その後、両面の支持体フィルムを除去した後、1質量%炭酸ナトリウム水溶液(30℃)のアルカリ現像処理を行い、基板両面に光架橋硬化した光架橋性樹脂からなるエッチングレジスト層を形成した。
次に、エッチング液としてアンモニアアルカリエッチャント(メルテックス社製エープロセス)を用いて、露出した銅の除去を行った。その後、光架橋硬化した光架橋性樹脂からなるエッチングレジスト層の除去を3質量%水酸化ナトリウム水溶液(30℃)を用いて行い、続いて、銅上の錫めっきを、錫めっき剥離専用処理液(メルテックス社製エンストリップTL)を用いて剥離し、回路基板の製造を行った。顕微鏡にて回路基板を観察したところ、ランドは貫通孔と同心円状に形成されており、ランド幅Lwは19μmであり、回路基板に断線はなく、良好な狭小ランド幅を持った回路基板の作製ができた。
本発明は、プリント配線板、半導体装置等の回路基板の製造に利用することができる。
本発明の方法における一工程を示す断面図。
本発明の方法における図1に続く工程を示す断面図。
本発明の方法における図2に続く工程を示す断面図。
本発明の方法における図3に続く工程を示す断面図。
本発明の方法における図4に続く工程を示す断面図。
本発明の方法における図5に続く工程を示す断面図。
本発明の方法における図6に続く工程を示す断面図。
本発明の方法における図7に続く工程を示す断面図。
本発明の方法における図8に続く工程を示す断面図。
本発明の方法における図9に続く工程を示す断面図。
本発明の方法における図10に続く工程を示す断面図。
本発明の方法における図11に続く工程を示す断面図。
本発明の方法における図12に続く工程を示す断面図。
本発明の方法における図13に続く工程を示す断面図。
本発明の方法における図14に続く工程を示す断面図。
本発明の方法における図15に続く工程を示す断面図。
多層回路基板の一例を示す概略断面図。
貫通孔とランドを表す概略平面図。
貫通孔とランドの位置ずれを表す概略図。
符号の説明
1 絶縁性基板
2 導電層
6 第一樹脂層上のマスク層
7 第二樹脂層上のマスク層
12 導電層
13 エッチングレジスト層
17 貫通孔
18 ランド部導電層
21 第一樹脂層
22 第二樹脂層
23 耐性化処理後の第一樹脂層
24 耐性化処理後の第二樹脂層
28 光架橋性樹脂層
29 光架橋硬化した光架橋性樹脂
31 スルーホール(貫通孔)
32 バイアホール
33 インタースティシャルバイアホール