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JP4672938B2 - 複合容器蓋 - Google Patents

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JP4672938B2
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榮規 村上
修 石井
洋一 辻口
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、容器口部に嵌合固定されるキャップ本体と、キャップ本体に螺子係合により装着される上蓋とから成る複合容器蓋に関するものであり、より詳細には、上蓋をキャップ本体にセッティングする際のキャップ本体の共回りが有効に防止された複合容器蓋に関する。
【0002】
【従来の技術】
容器口部に嵌合固定されるキャップ本体と、キャップ本体に螺子係合により装着される上蓋とから成る複合容器蓋は、各種調味料容器等の種々の容器に広く使用されている。
上記のような複合容器蓋において、そのキャップ本体は筒状側壁を有しており、この筒状側壁内に容器口部を嵌め込むことにより、キャップ本体が容器口部に固定される。
【0003】
最近になって、ゴミ廃棄処理や資源の再利用等の見地からゴミの分別廃棄が要求されるようになり、容器と異なる材質の容器蓋についても分別廃棄が求められている。しかるに、キャップ本体が容器口部に嵌合固定されているものは、これを容器口部から取り除くための作業が非常に面倒であり、分別廃棄性が極めて不十分であるという欠点を有している。
このような分別廃棄性を向上させるために、キャップ本体の筒状側壁の少なくとも一部を二重壁構造とした複合容器蓋が提案され、実際に市販されている。即ち、キャップ本体の筒状側壁にスリットを設け、このスリットにより、筒状側壁を外側壁と内側壁とに分断された二重壁構造としたものであり、このようなキャップ本体では、例えば外側壁の引裂きを容易に行なうことが可能となり、分別廃棄性が向上していると共に、キャップを容器口部に嵌め込む際のスコアの破断が防止され、且つ容器口部との係止力も高いという特性を有している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のようにキャップ本体の筒状側壁を二重壁構造とした場合或いは筒状側壁に薄肉部を有するような場合には、分別廃棄性は向上するものの、反面、上蓋の締め付けトルクを高く設定できないという欠点がある。即ち、上蓋がキャップ本体に螺子係合により装着されるタイプの複合容器蓋では、上蓋をキャップ本体にセッティングする際に、キャップ本体が共回りしないようにしなければならず、このために、通常、キャップ本体の筒状側壁を外面から強く把持しながら、上蓋のセッティング(閉栓方向への旋回)が行なわれる。しかるに、キャップ本体の筒状側壁が二重壁構造となっていたり或いは薄肉部を有していると、強度が低下しているため、筒状側壁を強く把持したときに筒状側壁の変形等を生じてしまう。従って、上蓋を強く締め付けることが困難となってしまうわけである。
また、筒状側壁が二重壁構造とはなっていない通常のキャップ本体においても、筒状側壁を強く把持すると、筒状側壁の変形を生じることがあり、やはり、上蓋の締め付け力は制限される。
【0005】
一方、特開2000−85818号公報には、上蓋がキャップ本体に螺子係合により装着されるタイプの複合容器蓋において、キャップ本体(中栓)の筒状側壁の内側に設けられる注出筒の下部に環状の内壁(22)を設け、この内壁(22)の内面に縦リブ(23)を一定間隔で形成することが開示されている。即ち、その図2に示されているように、上記の環状の内壁(22)は、注出筒の底壁の注出開口形成用スコア(24)の外側に形成されており、且つ環状の内壁(22)の外側に、容器口部を嵌合固定するためのインナーリング(4)が形成されている。
【0006】
上記先行技術の複合容器蓋では、縦リブ(23)が回り止めの機能を有しており、この縦リブ(23)に対応する溝を備えた治具を、環状の内壁(22)内に挿入してキャップ本体を回転不能に固定した状態で、上蓋のセッティングが行なわれる。従って、このような複合容器蓋では、キャップ本体の筒状側壁が二重構造となっていたとしても、上蓋のセッティングに際して、その筒状側壁が変形したりする不都合は生ぜず、上蓋の締めつけトルクを高く設定することができる。
【0007】
しかしながら、上記先行技術の複合容器蓋では、キャップ本体のインナーリング(4)と環状の内壁(22)との間に大きな空間が形成されてしまうため、内容液を注ぎ出す際に、この空間内に内容液が溜まってしまうという問題がある。
また、上蓋のセッティングに際しては、治具を環状の内壁(22)内に挿入してキャップ本体を固定するわけであるが、治具に形成されている溝と縦リブ(23)とが係合するように、治具とキャップ本体とを正確に位置決めしなければならず、その位置決めが容易ではないという問題もある。
【0008】
従って本発明の目的は、上蓋が螺子係合によりキャップ本体に装着される複合容器蓋において、キャップ本体の筒状側壁の少なくとも一部が二重壁構造を有している場合或いは薄肉部を有している場合においても、筒状側壁を変形させることなく、高い締め付けトルクで上蓋をキャップ本体にセッティングすることが可能な複合容器蓋を提供することにある。
本発明の他の目的は、回り止め機構が内容液の溜り部となるような空間をキャップ本体内に形成することなく、上蓋のキャップ本体へのセッティングを有効に行なうことができる複合容器蓋を提供することにある。
本発明の更に他の目的は、治具とキャップ本体との位置決めを容易にして、該治具によりキャップ本体を保持しながら上蓋のセッティングを行なうことが可能な複合容器蓋及び治具を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、容器口部に嵌合固定されるキャップ本体と、該キャップ本体に螺子係合により装着される上蓋とから成り、前記キャップ本体は、筒状側壁と、該筒状側壁よりも小径の注出筒とを備え、該注出筒の下端部は、注出開口形成用スコアを備えた底壁によって閉じられており、前記注出筒は、前記筒状側壁の上端から内方に延びている水平フランジに連なっていると共に、該水平フランジの上面には、前記上蓋と螺子係合する螺条を有する環状突起が形成され、且つ該水平フランジの下面には、前記筒状側壁とは間隔をおいて下方に延びているインナーリングが形成されている複合容器蓋において、前記注出筒の下端を閉じている底壁の下面には、前記注出開口形成用スコアよりも外側の位置に、前記インナーリングとは間隔をおいて下方に延びる回り止め用突起が、壁の下面のみに連結され、かつ一定間隔で周状に複数形成され、
前記回り止め用突起の先端が、中心部から周方向両側に向かって上方に傾斜したテーパー面に形成され、
前記上蓋のキャップ本体へのセッティングに際して、前記回り止め用突起のテーパー面が、前記キャップ本体の回転を阻止する治具に形成された回り止め作用部の中心部から両周方向下方に傾斜したテーパー面を有する先端面に案内されて、前記回り止め用突起が該回り止め作用部間に容易に誘導されるようにしたことを特徴とする複合容器蓋が提供される。
また、本発明によれば、キャップ本体に上蓋を螺子係合させる際に用いるキャップ本体支持用の治具において、該治具の先端には、環状突起が設けられており、該環状突起には、上端から下方に延びている挿入用穴が一定間隔で複数形成されており、且つ隣り合う挿入用穴の間のそれぞれに、上端面がその中心部から周方向両側に向かって下方に傾斜したテーパー面となっている回り止め作用部が形成されていると共に、前記挿入用穴に、キャップ本体の内側に形成されている複数の回り止め用突起を挿入して、該回り止め用突起と回り止め作用部とが係合することによりキャップ本体の回転が阻止され、この状態で上蓋の螺子係合が行なわれることを特徴とする治具が提供される。
【0010】
本発明においては、キャップ本体の筒状側壁の内側に位置している注出筒の底壁下面に、好ましくは先端が鋸歯状となっている突起(以下、単に鋸歯状突起と呼ぶ)を複数設けたことが重要な特徴である。即ち、これらの鋸歯状突起は、回り止めとして機能するものであり、注出開口形成用スコアの外側に、一定間隔で周状に配置されている。これら鋸歯状突起と係合する部分を有する形状の治具を用いて、キャップ本体を回転不能に保持しながら上蓋のキャップ本体へのセッティングを行なうわけであるが、鋸歯状突起と治具との係合によりキャップ本体の回転が阻止されるため、上蓋のセッティングの際に、キャップ本体の筒状側壁には負荷がかからない。従って、キャップ本体の筒状側壁が、二重壁構造となっている場合においても、筒状側壁を変形することなく、高い締め付けトルクで上蓋のキャッピングを行なうことができる。また、上記の鋸歯状突起は、一定間隔で周状に配置されているため、この鋸歯状突起とキャップ本体のインナーリングとの間に、内容液が溜まるような空間は形成されず、この鋸歯状突起によって、内容液の注ぎ出しが損なわれることはない。さらに、これらの突起は、先端が鋸歯状となっているため、治具をキャップ本体内に挿入すると、鋸歯状突起が治具の係合部に容易に誘導され、治具の位置決め機構を容易に行なうことができる。
【0011】
【発明の実施形態】
本発明を、添付図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の複合容器蓋の構造の一例を示す半断面側面図であり、
図2は、図1の複合容器蓋の一部断面図を含む底面図であり、
図3は、図1の複合容器蓋において、上蓋をキャップ本体にセッティングするときに用いる治具の側断面を示す図であり、
図4は、図3の治具の上面図であり、
図5は、図3の治具の要部である回り止め作用部の部分拡大側面図である。
【0012】
図1及び図2に示されている通り、本発明の複合容器蓋は、容器口部(図示せず)に嵌合固定されるキャップ本体1と、キャップ本体1に螺子係合により装着される上蓋2とからなっている。
これらは、それ自体公知の合成樹脂、例えば、ポリエチレン、アイソタクティクポリプロピレン、エチレン−ポリプロピレン共重合体、ポリブテン−1、エチレン−ブテン−1共重合体、プロピレン−ブテン−1共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のオレフィン系樹脂や、ポリスチレン、スチレン−ブタジエン共重合体、ABS樹脂或いはポリカーボネート等の一体成形によって製造される。
【0013】
キャップ本体1は、筒状側壁5と、筒状側壁5の内側に位置する注出筒6とを備えている。
【0014】
特に図1から明らかな通り、筒状側壁5の上端からは、内方に水平フランジ7が延びており、水平フランジ7の先端部分の下面からは、筒状側壁5とは間隔をおいて、可撓性のインナーリング8が下方に延びている。即ち、筒状側壁5とインナーリング8との間の空間に、図示されていない容器口部が嵌め込まれる。一方、筒状側壁5の下方部分内面には、突起9が設けられており、筒状側壁5とインナーリング8との間に嵌め込まれた容器口部は、この突起9により、しっかりと固定される。
【0015】
また、上記水平フランジ7の先端部分の上面からは、環状突起10が立ち上がっており、この環状突起10の上端は、注出筒6の外面に連結されている。(図1において、この連結部は12で示されている。)
上記の環状突起10の外面には、螺条10aが形成されており、この螺条10aに上蓋2が螺子係合するようになっている。
【0016】
注出筒6は、前記環状突起10よりも背が高く、その上端がラッパ状に外方に広がっており、内容液の注ぎ出しがスムーズに行なわれるようになっていると共に、その下端は、底壁15によって閉じられている。
底壁15には、図2から明らかな通り、スコア17が無端状に形成されており、且つ底壁15の上面には、プルリング18が形成されている。即ち、プルリング18を引っ張ってスコア17を引裂くことにより、底壁15に内容液注出用開口が形成され、この開口を通して、容器内容液の注ぎ出しが行われる。
【0017】
一方、上蓋2は、頂板部20と、頂板部20の周縁部から垂下しているスカート壁21とを備えており、頂板部20の内面には、螺子係合用周状突起23と、シール用周状突起24とが設けられている。
即ち、螺子係合用周状突起23の内面には、螺条23aが形成されており、この螺条23aと、前述した環状突起10の螺条10aとの螺子係合により、上蓋2をキャップ本体1に装着することができる。また、上蓋2をキャップ本体1に装着した状態では、図1に示されているように、シール用周状突起24の外面が注出筒6の内面に密着し、スコア17を引裂いて注出開口を形成した後のシール性を確保し得るようになっている。
【0018】
上述した複合容器蓋において、キャップ本体1の筒状側壁5は、図1に示されているように、上端から下方に向かってスリット30が形成されており、このスリット30によって、筒状側壁5は、外側壁5aと内側壁5bとに分断されている。
上記のスリット30は、その下端が突起9の最厚肉部にかかる位置まで延びているが(図1参照)、図2に示されているように、スリット30の一部は、下端にまで延びて引裂き開始部Aが形成されている。この引裂き開始部Aの端部では、外側壁5aの下端から上端にまで薄肉部32が形成されており、この薄肉部32に連なる領域では、外側壁5aの内面に、複数の縦リブ33が形成されている。即ち、この薄肉部32を引裂くことにより、引裂き開始部Aの領域の外側壁5aの部分が摘みとなり、これを持って筒状側壁6の引裂きが開始され、縦リブ33は、この際の滑り止めとしての機能を有している。
【0019】
また、引裂き開始部A及び引裂き開始部Aに連なる引裂き案内部Bでは、スリット30は、筒状側壁5の下端近傍まで延びており、結果として、筒状側壁5の下端には、35で示す薄肉部が形成されている(図1参照)。
さらに、図2から明らかな通り、上記引裂き案内部Bには、薄肉部35に加えて、適当な間隔で連結部36が設けられている。この連結部36は、薄肉部35の一部を肉厚とすることにより形成されるものであり、従って、引裂き案内部Bにおいて、外側壁5aと内側壁5bとは、薄肉部35と連結部36とによって、その下端で連結されている。これにより、引裂き開始部Aから引裂き案内部Bにかかる部分において、キャップ本体1を容器口部に嵌め込んだ状態においても、筒状側壁5(外側壁5a)の真円度を確保することができる。
また、引裂き案内部Bにおける薄肉部35は、引裂き易くするために、引裂き開始部A側から反対方向に向かって傾斜のついたテーパ−状に漸次肉厚となっている。
【0020】
即ち、上記の複合容器蓋では、容器口部にキャップ本体1が嵌合固定されている状態で、先に述べた通り、引裂き開始部Aにおいて、薄肉部32を引裂き、さらに引裂かれた外側壁5aの端部を持ち、これを周方向に捲って、引裂き案内部Bに形成されている下端のの薄肉部35と連結部36とを破断する。これにより、引裂き開始部Aから引裂き案内部Bにかかる部分において、外側壁5aはフリーの状態となる。
また、図示されていないが、引裂き案内部Bの端部では、内側壁5bに、下端から斜め上方にスコアが設けられ、このスコアは、少なくとも、突起9を越えた部分で周方向に水平に延びている。したがって、フリーとなった外側壁5aをさらに捲っていくことにより、この内側壁5bに形成されているスコアを引裂いていくと、ある程度周方向に引裂きを行なった時点で、筒状側壁5の下端全体を容易に捲り上げることができ、格別の器具を用いることなく、容易に使用済みのキャップ本体1を容器口部から取り外すことができる。
【0021】
また、このような複合容器蓋においては、図2に示されているように、キャップ本体1内に嵌め込まれた容器口部と係合している突起9に、適当な間隔で切り欠き38を設けておくことが好ましい。これにより、筒状側壁5の下端を一層容易に捲り上げることができ、分別廃棄性がさらに高められる。
尚、スリット30は、少なくとも突起9に対応する位置まで延びており、且つ筒状側壁5の全周にわたって設けることが、容器口部へのキャップ本体1の嵌め込み等において好ましいが、ある程度の周方向長さで内側壁5bにスコアを形成させ、このスコアの引裂きにより、筒状側壁5の下端を容易に捲り上げることができる限り、スリット30は、筒状側壁5の周方向の一部にのみ形成されていてもよい。
【0022】
ところで、上記の複合容器蓋では、スリット30によりキャップ本体1の筒状側壁5が二重壁構造となっているため、製造工程での上蓋2のキャップ本体1へのセッティングに際して、この筒状側壁5を外面側から強固に把持すると、筒状側壁5が容易に変形してしまう。このために、本発明では、回り止め用の鋸歯状突起40を、注出筒6の底壁15の下面に複数設ける。
この突起40は、特に図1から明らかな通り、先端が、中心部から周方向両側に向かって上方に傾斜したテーパ−面となっている鋸歯状であり、全体として将棋の駒のような五角形状となっており、また図2から明らかな通り、注出開口形成用のスコア17の外側で、適当な間隔で周状に配置されている。
【0023】
即ち、上記の鋸歯状突起40を回り止めとして利用して、キャップ本体1を保持しながら上蓋2のセッティング(螺子締結)が行なわれる。
このような上蓋2のセッティングに用いる治具の形状を示す図3乃至図5において、全体として45で示される治具は、上下動する作動ピン乃至ロッドが嵌め込まれる貫通孔47が中心に形成されている円柱状の基体48と、基体48の上端に形成されている環状突起50とからなっている。この環状突起50には、上記の複数の鋸歯状突起40に対応して挿入用穴52が設けられている。また、各挿入用穴52は、環状突起50の上端から下方に延びていると共に、隣り合う挿入用穴52の間には、それぞれ、回り止め作用部53が形成されている。
即ち、上蓋2のセッティングに際して、上下動可能な作動ピン乃至ロッドに装着された治具45を、キャップ本体1の下側から挿入すると、環状突起50に形成されている挿入用穴52のそれぞれに、前述した鋸歯状突起40が進入し、従って、鋸歯状突起40と、挿入用穴50の間に位置する回り止め作用部53とがしっかりと係合し、キャップ本体1は旋回不能に保持される。この状態で、上蓋2をキャップ本体1に被せ、それ自体公知の上蓋セット機により、上蓋2を閉栓方向に旋回することにより、螺条23aと螺条10aとが螺子係合し、上蓋2の装着が行なわれる。
【0024】
従って、本発明の複合容器蓋では、上蓋2のキャップ本体1へのセッティングに際して、二重壁構造となっている筒状側壁5に負荷が全くかからないため、上蓋2のセッティングに際しての筒状側壁5の変形を生じることがない。また、筒状側壁5の変形及び薄肉部32,35の破断を生じることがないため、上蓋2の締め付けトルクを大きくして、上蓋2を強固に締め付けることができる。
【0025】
また、上記のセッティングに際しては、鋸歯状突起40の先端は、テーパ−状に先細りとなっているため、これを治具45の挿入用穴52に進入させるような位置決めを容易に行なうことができる。
更に、このような位置決めを容易に行なうためには、例えば図5に示されているように、隣り合う係合用穴52の間に位置する回り止め作用部53の先端面に、その中心部53aから周方向下方に傾斜したテーパ−面53bを形成し、各挿入用穴52の上端は、このようなテーパ−面53bに連なっていることが好ましい。これにより、治具45をキャップ本体1の下部から挿入することにより、自動的に鋸歯状突起40が挿入用穴52内に入り込むように案内されるからである。
尚、鋸歯状突起40の大きさや数は、これらが治具45の回り止め作用部53と係合したときに、変形を生じることなく、キャップ本体1の回転を阻止できる限りにおいて何ら制限されないが、鋸歯状突起40のそれぞれが確実に挿入用穴52内に案内されるようにするためには、隣り合う回り止め作用部53同士の間隔が、鋸歯状突起40の幅よりも大きいことが好適である。
一方、治具45の環状突起50の内径及び外径は、周状に配列されている鋸歯状突起40が、環状突起50に形成されている挿入用穴52内に入り込み、且つこの環状突起50がキャップ本体1のインナーリング8に接触しないような値に設定される。また、当然のことながら、挿入用穴52の深さや幅は、これに挿入される鋸歯状突起40よりも大きい。
【0026】
本発明においては、前述した鋸歯状突起40は、周方向に間隔をおいて配置されているため、これらにより、液溜り部分が形成されず、内容液の注ぎ出しを円滑に行うことができる。
【0027】
尚、図1に示す例では、キャップ本体1の環状突起10は、注出筒6とは間隔をおいて形成されており、両者の間に空間が形成されている。従って、この空間が内容液の注ぎ出しに際して液溜りを生じる恐れがあるが、このような不都合を完全に防止するためには、両者の間に樹脂が埋め込まれた形状とするのがよい。即ち、環状突起10と注出筒6とを一体的に形成することにより、液溜りを完全に防止することができる。
また、図1に示されているキャップ本体1の筒状側壁5は、スリット30により二重壁構造となっているが、本発明は、筒状側壁が薄肉部を有しているものや筒状側壁が二重壁構造となっていない通常の形状のキャップ本体を有する複合容器蓋にも適用し得ることは、当業者であれば容易に理解されよう。
【0028】
【発明の効果】
本発明によれば、上蓋が螺子係合によりキャップ本体に装着されるタイプの複合容器蓋において、キャップ本体の注出筒の底壁下面に、複数の鋸歯状突起を、一定間隔で周状に設けることにより、これら鋸歯状突起と係合するような回り止め作用部を備えた形状の治具を用いて、キャップ本体を回転不能に保持しながら上蓋のキャップ本体1へのセッティングを行なうことができる。
即ち、上蓋のセッティングの際に、キャップ本体の筒状側壁には負荷がかからず、筒状側壁を変形することなく、高い締め付けトルクで上蓋のセッティングを行なうことができる。従って、筒状側壁がスリットにより外側壁と内側壁とに分断された二重壁構造を有する場合においても、筒状側壁を変形することなく、高い締め付けトルクで上蓋のセッティングを行なうことができる。
また、回り止め用の鋸歯状突起によっては、内容液が溜まるような空間がキャップ本体内に形成されず、内容液の注ぎ出しを円滑に行なうことができる。
さらに、上蓋のセッティングに際しては、治具の挿入用穴内にキャップ本体の鋸歯状突起とを挿入させるための位置決めを極めて容易に行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の複合容器蓋の構造の一例を示す半断面側面図。
【図2】図1の複合容器蓋の一部断面図を含む底面図。
【図3】図1の複合容器蓋において、上蓋をキャップ本体にセッティングするときに用いる治具の側断面を示す図。
【図4】図3の治具の上面図。
【図5】図3の治具の要部である回り止め作用部の部分拡大側面図。
【符号の説明】
1:キャップ本体
2:上蓋
5:筒状側壁
6:注出筒
8:インナーリング
9:突起
10:環状突起
15:底壁
30:スリット
40:鋸歯状突起
45:治具
50:環状突起
52:挿入用穴
53:回り止め作用部

Claims (3)

  1. 容器口部に嵌合固定されるキャップ本体と、該キャップ本体に螺子係合により装着される上蓋とから成り、前記キャップ本体は、筒状側壁と、該筒状側壁よりも小径の注出筒とを備え、該注出筒の下端部は、注出開口形成用スコアを備えた底壁によって閉じられており、前記注出筒は、前記筒状側壁の上端から内方に延びている水平フランジに連なっていると共に、該水平フランジの上面には、前記上蓋と螺子係合する螺条を有する環状突起が形成され、且つ該水平フランジの下面には、前記筒状側壁とは間隔をおいて下方に延びているインナーリングが形成されている複合容器蓋において、前記注出筒の下端を閉じている底壁の下面には、前記注出開口形成用スコアよりも外側の位置に、前記インナーリングとは間隔をおいて下方に延びる回り止め用突起が、壁の下面のみに連結され、かつ一定間隔で周状に複数形成され、
    前記回り止め用突起の先端が、中心部から周方向両側に向かって上方に傾斜したテーパー面に形成され、
    前記上蓋のキャップ本体へのセッティングに際して、前記回り止め用突起のテーパー面が、前記キャップ本体の回転を阻止する治具に形成された回り止め作用部の中心部から両周方向下方に傾斜したテーパー面を有する先端面に案内されて、前記回り止め用突起が該回り止め作用部間に容易に誘導されるようにしたことを特徴とする複合容器蓋。
  2. 前記キャップ本体の筒状側壁は、少なくとも一部が二重壁構造となっているか、或いは薄肉部を有している請求項1に記載の複合容器蓋。
  3. キャップ本体に上蓋を螺子係合させる際に用いるキャップ本体支持用の治具において、該治具の先端には、環状突起が設けられており、該環状突起には、上端から下方に延びている挿入用穴が一定間隔で複数形成されており、且つ隣り合う挿入用穴の間のそれぞれに、上端面がその中心部から周方向両側に向かって下方に傾斜したテーパー面となっている回り止め作用部が形成されていると共に、前記挿入用穴に、キャップ本体の内側に形成されている複数の回り止め用突起を挿入して、該回り止め用突起と回り止め作用部とが係合することによりキャップ本体の回転が阻止され、この状態で上蓋の螺子係合が行なわれることを特徴とする治具。
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