以下、本発明を適用した画像形成装置として、電子写真方式のプリンタ(以下、単にプリンタという)の実施形態について説明する前に、第1参考形態に係るプリンタについて説明する。
まず、本プリンタの基本的な構成について説明する。図1は、本プリンタの概略構成図であり、プリンタをその正面方向から示している。図において、このプリンタは、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック(以下、Y、M、C、Kと記す)のトナー像を生成するための4つのプロセスカートリッジ6Y,M,C,Kを備えている。これらは、画像形成物質として、互いに異なる色のY,M,C,Kトナーを用いるが、それ以外は同様の構成になっており、寿命到達時に交換される。Yトナー像を生成するためのプロセスカートリッジ6Yを例にすると、図2に示すように、像担持体たるドラム状の感光体1Y、ドラムクリーニング装置2Y、除電装置3Y、帯電装置4Y、現像手段たる現像装置5Y等を備えている。感光体1Yは、直径30〜120[mm]のアルミ製円筒に、光導電性物質である有機半導体の表面層が被覆されている。アモルファスシリコン性の表面層が被覆されたものであってもよい。また、ドラム状ではなく、ベルト状のものであってもよい。帯電装置4Yは、図示しない駆動手段によって図中時計回りに回転せしめられる感光体1Yの表面を一様帯電せしめる。一様帯電せしめられた感光体1Yの表面は、レーザ光Lによって露光走査されてY用の静電潜像を担持する。このYの静電潜像は、Yトナーを用いる現像装置5YによってYトナー像に現像される。そして、後述の第1中間転写ベルト8上に1次転写される。ドラムクリーニング装置2Yは、中間転写工程を経た後の感光体1Y表面に残留したトナーを除去する。また、除電装置3Yは、クリーニング後の感光体1Yの残留電荷を除電する。この除電により、感光体1Yの表面が初期化されて次の画像形成に備えられる。他のプロセスカートリッジ6M,C,Kにおいても、同様にして感光体1M,C,K上にM,C,Kトナー像が形成され、第1中間転写ベルト8上に1次転写される。なお、現像装置は、トナーと磁性キャリアとを含有する2成分現像剤を用いるものでも、トナー粉体だけを用いるものでもよい。また、トナーは、粉砕法によって製造された粉砕トナーでも、球形に形成されたトナーでもよい。
上記プロセスカートリッジ6Y,M,C,Kの図中下方には露光装置7が配設され、その図中左側方には画像データ処理装置E1が配設されている。画像情報取得手段たる画像データ処理装置E1は、パーソナルコンピュータ(以下、パソコンという)等から送られてくる画像情報を取得する。そして、その画像情報に基づいて、露光走査制御信号を生成して露光装置7に送る。潜像形成手段たる露光装置7は、この露光走査制御信号に基づいて発したレーザ光Lを、プロセスカートリッジ6Y,M,C,Kにおけるそれぞれの感光体に照射する。この照射を受けて露光された感光体1Y,M,C,K上には、Y,M,C,K用の静電潜像が形成される。なお、露光装置7は、光源から発したレーザ光(L)を、モータによって回転駆動したポリゴンミラーで走査しながら、複数の光学レンズやミラーを介して感光体に照射するものである。かかる構成の露光装置7に代えて、LEDアレイからのLED光を照射する露光手段を採用しても良い。
上記露光装置7の図中下側には、第1給紙ローラ28を有する第1紙カセット25と、第2給紙ローラ29を有する第2紙カセット26とが、鉛直方向に重なるように配設されている。これらカセットはそれぞれ内部に記録体たる転写紙Pを複数枚重ねた転写紙束の状態で収容している。第2紙カセット26の図中右側方には、手差し給紙ローラ30を有する手差しトレイ27が、プリンタ本体の筐体内でなく、筐体の側面から延出するように設けられており、この上にも転写束が載置される。
記録体収容手段たる2つの給紙カセット(25,26)と、上記手差しトレイ27との間には、レジストローラ対31を有する給紙路32や、これに合流する給紙案内路33が配設されている。第1給紙ローラ28、第2給紙ローラ29は、それぞれ上記第1紙カセット25、第2紙カセット26内に収容されている転写紙束の一番の転写紙Pに当接している。そして、図示しない駆動手段によって回転駆動せしめられることで、その一番上の転写紙Pを給紙路32に向けて送り出す。送り出された転写紙Pは、給紙路32の末端付近に配設されたレジストローラ対31の第1レジストローラ31aと第2レジストローラ31bとの間に挟まれる。レジストローラ対31は、転写紙Pを挟み込むべく両ローラを互いに順方向に回転駆動させるが、ローラ間に記録体を挟み込むとすぐに両ローラの回転を一旦停止させる。そして、適切なタイミングで回転を再開して転写紙Pを後述の2次転写ニップに向けて送り出す。一方、手差し給紙ローラ30は、上記手差しトレイ27に載置されている転写紙束の一番上の転写紙Pに当接している。そして、図示しない駆動手段によって回転駆動せしめられることで、その一番上の転写紙Pを給紙案内路33に向けて送り出す。送り出された転写紙Pは、図示しない駆動手段によって互いに当接しながら順方向に回転せしめられる搬送ローラ対34のローラ間を経由して給紙路32の末端付近に至る。そして、第1レジストローラ31aと第2レジストローラ31bとの間に挟まれる。
各感光体1Y,M,C,K上に形成されたY,M,C,K用の静電潜像は、両面転写手段たる両面転写装置による転写工程を経る。この両面転写装置は、第1転写ユニット15と第2転写ユニット24とを有している。第1転写ユニット15は、上述のプロセスカートリッジ6Y,M,C,Kの図中上方に配設されており、第1中間転写ベルト8、4つの1次転写ローラ9Y,M,C,K、第1クリーニング装置10などを備えている。また、2次転写バックアップローラ12、第1クリーニングバックアップローラ13、テンションローラ14なども備えている。第1中間転写体たる第1中間転写ベルト8は、これら3つのローラに張架されながら、少なくとも何れか1つのローラの回転駆動によって図中反時計回りに無端移動せしめられる。転写バイアスローラたる4つの1次転写ローラ9Y,M,C,Kは、このように無端移動せしめられる第1中間転写ベルト8を感光体1Y,M,C,Kとの間に挟み込んでそれぞれ1次転写ニップを形成している。そして、図示しない電源の供給を受けて、トナーとは逆極性(例えばプラス)の1次転写バイアスを第1中間転写ベルト8の裏面(ループ内周面)に印加する。これら4つの1次転写ローラ9Y,M,C,Kの他に配設された上述の3つのローラは、全て電気的に接地されている。第1中間転写ベルト8は、その無端移動に伴ってY,M,C,K用の1次転写ニップを順次通過していく。各1次転写ニップでは、感光体1Y,M,C,K上のY,M,C,Kトナー像がニップ圧や1次転写バイアスの作用によって第1中間転写ベルト8上に重ね合わせて1次転写される。これにより、第1中間転写ベルト8上に4色重ね合わせトナー像(以下、4色トナー像という)が形成される。
第1中間転写ベルト8を張架している2次転写バックアップローラ12は、後述の第2中間転写ベルト16に食い込むような配設位置になっている。このような食い込み配置により、第1中間転写ベルト8と第2中間転写ベルト16とをそれぞれ周長方向に広く当接させる2次転写ニップが形成されている。この2次転写ニップでは、第1転写ベルト8と第2中間転写ベルト16とが、それぞれ互いの表面を同方向に移動させながら当接させる。第1中間転写ベルト8上に形成された可視像たる4色トナー像は、2次転写ニップにて、後述の第2中間転写ベルト16あるいは転写紙Pに2次転写される。
2次転写ニップを通過した後の第1中間転写ベルト8には、後述の第2中間転写ベルト16あるいは転写紙Pに2次転写されなかった転写残トナーが付着している。これは、第1クリーニング装置10によってクリーニングされる。具体的には、第1中間転写ベルト8は、そのループ外面(おもて面)側に当接するように配設された第1クリーニング装置10と、そのループ内面側に配設された第1クリーニングバックアップローラ13との間に挟まれる。そして、おもて面上の転写残トナーが第1クリーニング装置10に機械的あるいは静電的に回収されてクリーニングされる。なお、バイアス印加方式の4つの1次転写ローラ9Y,M,C,Kに代えて、電極から放電させるチャージャ方式のものを用いてもよい。
上記両面転写装置の第2転写ユニット24は、上記第1転写ユニット15の図中右側方に配設されており、第2中間転写体たる第2中間転写ベルト16、第2クリーニング装置18、転写チャージャ23などを備えている。また、2次転写ローラ17、ニップ拡張ローラ19、テンションローラ20、バックアップローラ21なども備えている。第2中間転写ベルト16は、これら4つのローラに張架されながら、少なくとも何れか1つのローラの回転駆動によって図中時計回りに無端移動せしめられる。上述した第1転写ユニット15の2次転写バックアップローラ12は、2次転写ローラ17とニップ拡張ローラ19との間の第2中間転写ベルト16架橋部分に食い込んで2次転写ニップを形成している。2次転写ローラ17は、金属製ローラか、あるいは芯金に導電性のゴム層が被覆されたローラで、図示しない電源によってトナーと反対極性(例えばプラス極性)の2次転写バイアスが供給される。第2転写ユニット24におけるこれ以外のローラは全て接地されている。
上述のレジストローラ対31は、ローラ間に挟み込んだ転写紙Pを、第1中間転写ベルト8上に1次転写された上記4色トナー像に密着させ得るタイミングで上記2次転写ニップに向けて送り出す。但し、この4色トナー像が、転写紙Pの一方の面である第1面(後述のスタック部40上で上を向く面)に転写されるべき第1トナー像である場合には、転写紙Pを送り出さない。よって、このとき、第1中間転写ベルト8上の第1トナー像は、ニップたる2次転写ニップでニップ圧や2次転写バイアスの作用を受けて第2中間転写ベルト16上に2次転写される。これに対し、第1中間転写ベルト8上の4色トナー像が転写紙Pの第2面(スタック部40上で下を向く面)に転写されるべき第2トナー像である場合には、レジストローラ対31は、この第2トナー像に同期させて転写紙Pを送り出す。よって、第2トナー像は、2次転写ニップで転写紙Pのもう一方の面である第2面に2次転写され、転写紙Pの白色と相まってフルカラー画像となる。このとき、先に第2中間転写ベルト16に転写されていた第1トナー像は、2次転写ニップに送り込まれた転写紙Pの第1面に密着せしめられる。但し、この第1トナー像は、2次転写バイアスの作用によってベルト側に引き寄せられるため、転写紙Pの第1面に密着しているが、そこに2次転写されるわけではない。
上述の第1転写ユニット15において、2次転写バックアップローラ12は、第1中間転写ベルト8を、その移動方向をほぼ反転させるような形状で張架している。そして、移動方向を反転させつつある第1中間転写ベルト部分を第2中間転写ベルト16に当接させて2次転写ニップを形成している。かかる構成では、2次転写ニップの出口において、第1中間転写ベルト8が転写紙Pから離間し、転写紙Pが第2中間転写ベルト16の表面だけに保持されて搬送されるようになる。そして、第2転写ユニット24内において、第2中間転写ベルト16の無端移動に伴って、3次転写部に送られる。第2転写ユニット24の3次転写部では、第2中間転写ベルト16のバックアップローラ21による張架部分に対し、転写チャージャ23が所定の間隙を介して配設されている。第2中間転写ベルト16上の転写紙Pは、転写チャージャ23によって第2面側にトナーと反対極性(例えばプラス極性)の電荷が付与される。この電荷の付与により、転写紙Pの第1面と第2中間転写ベルト16との間に挟まれていた第1トナー像が転写紙Pの第1面に3次転写されてフルカラー画像になる。
このように、2つの転写ユニット(15,24)からなる両面転写装置は、転写紙Pに対して上記2次転写ニップでその第2面に第2トナー像を前段転写した後、上記3次転写部でその第1面に第1トナー像を後段転写するのである。なお、1次転写バイアスや2次転写バイアスが印加される部材として、ローラ(9,17)ではなく、ブラシなど他の形状のものを用いてもよい。また、転写バイアスを部材に印加する静電転写方式ではなく、非接触放電式を採用してもよい。
上記第2転写ユニット24において、3次転写によって両面転写が完了した転写紙Pは、第2中間転写ベルト16から分離されて後述の加熱定着装置35に送られる。上記3次転写部を通過した後の第2中間転写ベルト16は、バックアップローラ21と第2クリーニング装置18との間に挟み込まれて、表面の転写残トナーが機械的又は静電的にクリーニングされる。この第2クリーニング装置18が第2中間転写ベルト16に常に当接していると、第2中間転写ベルト16上に2次転写された第1トナー像もクリーニングしてしまうことになる。そこで、第2クリーニング装置18は、図示しない揺動機構によって揺動軸18aを中心に図中矢印方向に揺動せしめられることで、第2中間転写ベルト16に接離するようになっている。そして、少なくともそのクリーニング位置を第1トナー像が通過する間は、第2中間転写ベルト16から離間して、第1トナー像のクリーニングを回避する。
第2転写ユニット24の図中上方には、加熱定着手段たる加熱定着装置35が配設されている。この加熱定着装置35は、互いに順方向に回転しながら当接して定着ニップを形成する第1定着ローラ35a、第2定着ローラ35bを有している。これら第1定着ローラ35a、第2定着ローラ35bは、何れも図示しないハロゲンランプ等の発熱手段を有しており、定着ニップに挟み込まれた転写紙Pを両面側から加熱する。この加熱により、転写紙Pの両面にそれぞれ形成されたフルカラー画像が、これを構成するトナーの軟化によって転写紙Pに定着せしめられる。定着後の転写紙Pは、反転ガイド部材36に沿って反転せしめられた後、排出手段たる排紙ローラ対37を経て機外へと排出される。そして、プリンタ本体の筺体の上面に形成されたスタック部40にスタックされる。
第1面加熱手段たる第1定着ローラ35a、第2面加熱手段たる第2定着ローラ35bは、それぞれ図示しない第1温度検知手段、第2温度検知手段によって表面温度が検知される。第1温度検知手段、第2温度検知手段は、それぞれ、プリンタ本体の筺体内の最上部に配設された制御部E2に送信する。制御部E2は、これら温度検知手段から送られてくる表面温度の検知結果に基づいて、第1定着ローラ35a、第2定着ローラ35bの上記発熱手段に対する電源供給をそれぞれON/OFF制御する。この制御により、第1定着ローラ35a、第2定着ローラ35bの表面温度がそれぞれ変化する。
以上のようにして、本プリンタは、加熱定着装置35に受け渡す前の転写紙Pの両面に対して両面転写装置によってトナー像の転写処理を施す。よって、転写紙Pの両面に対してワンパス方式での画像形成を行うことができる。また、転写紙Pを像担持体たる感光体(1Y,M,C,K)に直接接触させることがないので、感光体への紙粉の付着を抑えることができる。なお、本プリンタのように、感光体等の像担持体を複数並べて配設し、それぞれで形成した可視像を連続的に重ね合わせ転写して多色画像等の重ね合わせ画像を形成する方式をタンデム方式という。これに対し、1つの像担持体に可視像を形成して中間転写体に転写した後、再び像担持体に可視像を形成して中間転写体上の可視像に重ね合わせ転写する工程を繰り返して重ね合わせ画像を形成する方式もある。この方式では、可視像の形成、転写という工程を繰り返し行わなくてはならない。一方、タンデム方式では、重ね合わせ転写すべき複数の可視像をそれぞれに対応する像担持体上でほぼ同時に形成することができるので、画像形成時間を大幅に短縮することができる。
上述したように、上記第1トナー像は上記第2トナー像に先行して形成される。そして、2次転写ニップで第1中間転写ベルト8から第2中間転写ベルト16に2次転写された後、上記3次転写部で転写紙の第1面に3次転写される。この第1面とは、上記スタック部40で上方を向く面である。よって、スタック部40にスタックされる転写紙Pは、先行して形成された第1トナー像を上に向け、且つその後に形成された第2トナー像を上に向けた状態で順次スタックされていく。本プリンタは、このようにスタックされていく転写紙Pの頁番号を小さい方から順に揃えるべく、奇数、偶数と連続する2つの頁番号の画像について、頁番号の大きい方を先に上記第1トナー像として形成する。例えば1頁目の画像に先行して2頁目の画像を第1トナー像として形成するのである。そうすると、数頁にわたる原稿を連続して出力しても、スタック部40において、頁番号を下から順に揃えることが可能になる。但し、転写紙Pの第2面だけに画像を形成する片面プリントモードを実行する際には、頁番号の小さい画像から順に形成していき、それぞれ転写紙Pの第2面に2次転写せしめる。このことにより、片面プリントモードにおいても、スタック部40で頁番号を下から順に揃えることができる。
4つの感光体1Y,M,C,Kにおいて、上記第2トナー像用に形成される各色トナー像は非鏡像(以下、正像という)として形成される。これは、形成された各色トナー像が、1次転写、2次転写という2回の転写工程を経て転写紙Pに至る過程で鏡像、正像と変化するからである。各感光体上で正像として形成されることで、転写紙Pの第2面においても正像になるのである。これに対し、第1トナー像用に形成される各色トナー像は、3次転写まで行われるため、第2トナー像よりも転写工程が1回多くなる。よって、各感光体上で鏡像として形成される。このことにより、転写毎に正像、鏡像、正像と変化して、転写紙Pの第1面において正像となることができる。
上述の第1転写ユニット15の図中上方には、ボトル収容器54が配設されている。このボトル収容器54内には、各プロセスカートリッジ(6Y,M,C,K)内の現像器に補給するためのトナーを内包するトナーボトルBY,BM,BC,BKが収められている。
以上の構成の本プリンタにおいては、4つのプロセスカートリッジ6Y,M,C,Kと、露光装置7と、両面転写装置との組合せにより、画像情報に基づいて、記録体の第1面に第1トナー像を形成する一方で、記録体の第2面に第2トナー像を形成するトナー像形成手段が構成されている。
図3は、本プリンタの電気回路の一部を示すブロック図である。同図において、加熱定着装置35は、上述の第1定着ローラ35aや第2定着ローラ35bの他、第1温度検知手段35c、第1発熱手段35e、第2温度検知手段35f、第2発熱手段35d等を有している。第1温度検知手段35c、第2温度検知手段35fは、それぞれ、第1定着ローラ35a、第2定着ローラ35bの表面温度を検知して、デジタル温度信号を制御部E2に出力する。制御部E2は、第1温度検知手段35c、第2温度検知手段からそれぞれ送られてくるデジタル温度信号の値についての目標値である第1温度目標値、第2温度目標値を図示しないRAM等の記憶手段に記憶している。そして、第1温度検知手段35cから送られてくるデジタル温度信号の値が第1温度目標値よりも所定値以上低い場合には、第1発熱手段35eへの電源供給をONして、第1定着ローラ35aの表面温度を第1目標値まで昇温せしめる。また、第2温度検知手段35fから送られてくるデジタル温度信号の値が第2温度目標値よりも所定値以上低い場合には、第2発熱手段35dへの電源供給をONにして、第2定着ローラ35bの表面温度を第1目標値まで昇温せしめる。このような制御により、第1定着ローラ35aや第2定着ローラ35bの表面温度が、それぞれ第1温度目標値、第2温度目標値の付近に維持される。
制御部E2には、パソコン等から送られてくる画像情報を取得する画像データ処理装置E1が接続されている。制御部E2は、画像データ処理装置E1によって取得された画像情報に基づいて、転写紙Pの第1面に対するトナー付着量である第1面トナー付着量や、第2面に対するトナー付着量である第2面トナー付着量を検知する。トナー付着量検知手段として機能しているのである。図示の装置の例では、制御部E2は、画像データ処理装置E1から送られてくる第1面用の画像情報に基づいて、第1面に転写される第1トナー像について、複数色の重ね合わせによる多色トナー像であるのか否かを判定する。多色トナー像は、カラー写真画像部などといったトナー付着量が相当に多くなる部分を含んでいる場合が多い。これに対し、単色トナー像は、文字画像などといったトナー付着量が少ないものであることが多い。そこで、制御部E1は、第1トナー像が多色トナー像であるか単色トナー像であるかの違いにより、第1面に対するトナー付着量を「比較的多い」、「比較的少ない」の2段階で検知する。第2面トナー付着量についても、同様にして、画像データ処理装置E1から送られてくる第2面用の画像情報に基づいて、「比較的多い」、「比較的少ない」の2段階で検知する。
制御部E2は、加熱温度制御手段としても機能している。具体的には、第1面トナー付着量を「比較的多い」と検知した場合には、上述の第1温度目標値を比較的高い値に設定する。これに対し、「比較的少ない」と検知した場合には、上述の第1温度目標値を比較的低い値に設定する。第1温度目標値を第1面トナー付着量に基づいて切り換えるのである。そして、設定した第1温度目標値に近づけるように第1定着ローラ35aの表面温度を制御すべく、第1発熱手段35eへの電源供給をON/OFFする。この一方で、第2定着ローラ35bの表面温度についても、同様にして、第2面トナー付着量に基づいて制御する。
このような制御を行う本プリンタにおいては、転写紙Pの何れの面に対しても、適度な光沢を出現させる加熱量で定着処理を行う。すると、転写紙Pの表裏のトナー付着量の差にかかわらず、表裏の画像の光沢性を均一にすることが可能になる。従って、転写紙Pの表裏でトナー付着量が異なることによる画像の光沢性の差を抑えることができる。
図4は、第1参考形態に係るプリンタの第1変形例装置を示す概略構成図である。この第1変形例装置100においては、第1転写ユニット115に対する各プロセスカートリッジ106Y,M,C,Kや露光装置107の位置関係が、図1に示したプリンタと逆になっている。具体的には、第1転写ユニット115の上方に各プロセスカートリッジ106Y,M,C,Kが配設され、その更に上方に露光装置107が配設されている。第1転写ユニット115においては、第1中間転写ベルト108を張架する複数のローラとして、第2テンションローラ160と、3次転写バックアップローラ161とが増設されている。
本第1変形例装置100では、第2中間転写ベルト116を張架する複数のローラのうち、ニップ拡張ローラ(図1の19)と、バックアップローラ(図1の21)とが無くなっている。また、第2中間転写ベルト16を介してバックアップローラに対向配設された転写チャージャ(図1の23)も無くなっている。その代わりに、3次転写ローラ162、分離ローラ163、第2テンションローラ164が増設されている。3次転写ローラ162は、第1転写ユニット115内の3次転写バックアップローラ161との間に2つの中間転写ベルトを挟み込んで3次転写ニップを形成している。この3次転写ニップは、これよりも上流側にて、2次転写バックアップローラ112と2次転写ローラ117との間に2つの中間転写ベルトが挟み込まれて形成されている2次転写ニップに連続している。
分離ローラ163は、図1に示したプリンタのバックアップローラに代わるもので、その曲率にならって移動方向を約90[°]変える第2中間転写ベルト116上から転写紙Pを分離せしめて、加熱定着装置35に送る。第2クリーニング装置118は、テンションローラ120によってバックアップされながら、第2中間転写ベルト116上の転写残トナーをクリーニングする。
図5は、本第1変形例装置100における2次転写ニップとその周囲を示す拡大構成図である。第1中間転写ベルト108の裏面から2つの中間転写ベルトを2次転写ローラ117に向けて押圧している2次転写バックアップローラ112は、アース接続されている。これに対し、2次転写ローラ117には、電源によってトナーと逆極性(図示の例ではプラス極性)の2次転写バイアスが印加されている。第1中間転写ベルト108上の上記第1トナー像は、この2次転写バイアスの影響により、2次転写ローラ117側に静電的に引き寄せられて、第2中間転写ベルト116上に静電転写される。2次転写においては、トナーを2次転写ローラ17に向けて静電的に引き寄せる転写方式を採用しているのである。
図6は、本第1変形例装置100における3次転写ニップとその周囲を示す拡大構成図である。第1中間転写ベルト108の裏面から2つの中間転写ベルトを3次転写ローラ162に向けて押圧している3次転写バックアップローラ161は、2次転写バックアップローラと同様にアース接続されている。これに対し、3次転写ローラ162には、電源によってトナーと同極性(図示の例ではマイナス極性)の3次転写バイアスが印加されている。上記2次転写ニップで第2中間転写ベルト116上に2次転写された上記第1トナー像は、この3次転写バイアスの影響により、3次転写バックアップローラ161側に向けて静電的に押し出される。そして、2つの中間転写ベルトに挟まれている転写紙Pの第1面に3次転写される。3次転写ローラ162側から転写紙Pに向けてトナーを静電的に押し出す静電押し出し転写方式を採用しているのである。従来、かる転写方式では、3次転写の際、先に2次転写ニップで転写紙Pの第2面に2次転写された第2トナー像も、第1トナー像と同様に静電的に押し出して第1中間転写ベルト108に逆戻りさせると本発明者らは考えていた。ところが、実際に試験してみたところ、驚いたことに、第2トナー像については静電的に押し出すことなく、転写紙Pの第2面上に留めることができた。かかる3次転写方式では、図1に示したプリンタの転写チャージャとは異なり、第1トナー像、第2トナー像ともに転写紙Pに密着させながら、第1トナー像を3次転写することができる。よって、露出させた転写紙Pの第2面にチャージをかけることによるトナーチリを回避して、より品質の良い画像を形成することができる。また、コロナチャージに伴うオゾンの発生を回避することもできる。
なお、同図中の3次転写バックアップローラ161にトナーと逆極性の3次転写バイアスを印加し、3次転写ローラ162をアース接続して3次転写バックアップローラ161に引き寄せる方法では、逆転写が起こってしまった。第2中間転写ベルト116上の第1トナー像を転写紙Pの第1面に静電的に引き寄せると同時に、第2トナー像を転写紙Pの第2面から第1中間転写ベルト108上に引き寄せて逆戻りさせてしまったのである。よって、3次転写ニップにおける3次転写については、押し出し方式の静電転写で行う必要がある。つまり、2次転写ニップ、3次転写ニップにおける2つの転写バイアス部材のうち、両中間転写ベルトの表面移動方向のより下流側に配設する方に対しては、トナー像をその転写バイアス部材側から転写紙Pに向けて遠ざけるように静電移動させる極性の転写バイアスを印加するのである。
本第1変形例装置100においては、制御部E2が画像データ処理装置E1によって取得された第1面用の画像情報に基づいて、転写紙Pの第1面における画像面積率を周知の方法によって算出する。この画像面積率とは、第1面の総面積における画像部の割合のことである。また、制御部E2は、画像データ処理装置E1によって取得された第2面用の画像情報に基づいて、転写紙Pの第2面における画像面積率を周知の方法によって算出する。転写紙P上のトナー付着量は、その面上における画像面積率と相関関係がある。そこで、制御部E2は、第1面の画像面積率や第2面の画像面積率に基づいて、第1面トナー付着量や第2面トナー付着量を検知するように構成されている。検知法としては、第1面や第2面の画像面積率をそのまま第1面トナー付着量や第2面トナー付着量として検出してもよい。また、画像面積率とトナー付着量との関係を予め調査してデータテーブル化しておき、算出した画像面積率に対応する第1面トナー付着量や第2面トナー付着量をこのデータテーブルから特定させるようにしてもよい。
以上の構成の本第1変形例装置100においては、単純に多色トナー像であるか否かに基づいてトナー付着量を検知する第1実施形態に係るプリンタよりも、第1面トナー付着量や第2面トナー付着量を正確に検知することができる。そして、このことにより、第1参考形態に係るプリンタよりも、表裏の光沢性の差を確実に抑えることができる。
図7は、第1参考形態に係るプリンタの第2変形例装置200を示す概略構成図である。この第2変形例装置200においては、第1転写ユニット215、第2転写ユニット224が、それぞれ、第1中間転写ベルト208、第2中間転写ベルト216を横長の形状で張架している。そして、第1中間転写ベルト208と、これの図中下方に配設された第2中間転写ベルト216とを、互いに横長の張架箇所で当接させて2次転写ニップを形成している。
本第2変形例装置200は、各色についてプロセスカートリッジを2つずつ備えている。第1系統用のものと、第2系統用のものである。これらのうち、第1系統用のプロセスカートリッジ206Y,M,C,Kは、第1転写ユニット215の図中上方にて、それぞれ第1中間転写ベルト208に感光体201Y,M,C,Kを当接させるように配設されている。そして、第1中間転写ベルト208に重ね合わせ1次転写するためのY,M,C,Kトナー像を形成する。この重ね合わせ1次転写によって得られた4色トナー像は、第1参考形態に係るプリンタにおける第1トナー像に相当する。そして、第1中間転写ベルト208の図中時計回りの無端移動に伴って、第1中間転写ベルト208と第2中間転写ベルト216とが当接する2次転写ニップに送られる。
一方、第2系統用のプロセスカートリッジ276Y,M,C,Kは、第2転写ユニット224の図中下方にて、それぞれ第2中間転写ベルト216に感光体271Y,M,C,Kを当接させるように配設されている。そして、第2中間転写ベルト216に重ね合わせ1次転写するためのY,M,C,Kトナー像を形成する。この重ね合わせ1次転写によって得られた4色トナー像は、第1参考形態に係るプリンタにおける第2トナー像に相当する。そして、第2中間転写ベルト216の図中反時計回りの無端移動に伴って上述の2次転写ニップに送られる。なお、第2系統用のプロセスカートリッジ276Y,M,C,Kの感光体271Y,M,C,Kに対する光書込は、第2系統用の露光装置277によってなされる。この露光装置277は、第2系統用のプロセスカートリッジ276Y,M,C,Kの図中下方に配設されている。一方、第1系統用の露光装置207は、第1系統用のプロセスカートリッジ206Y,M,C,Kの図中上方に配設されている。
本第2変形例装置200は、転写紙P上に画像をプリントするためのプリンタ部290と、このプリンタ部に供給するための転写紙Pを収容する記録体収容手段たる給紙部291とが別体で構成されている。給紙部291は、内部に収容している転写紙束の一番上の転写紙Pに押し当てている給紙ローラ292を所定のタイミングで回転駆動させることで、その転写紙Pをプリンタ部290の給紙路288に向けて送り出す。
給紙路288内に送られた転写紙Pは、給紙路288の末端付近に配設されたレジストローラ対231のローラ間に挟まれる。そして、第1転写ユニット215の第1中間転写ベルト208上の第1トナー像や、第2転写ユニット224の第2中間転写ベルト216上の第2トナー像に同期するように、2次転写ニップに向けて送り出される。
図8は、本第2変形例装置200における2次転写ニップとその周囲構成とを示す模式図である。第1転写ユニット215は、第1中間転写ベルト208を張架する複数の張架ローラのうちの2本として、上流側2次転写対向ローラ282と、下流側2次転写対向ローラ284とを有している。また、第2転写ユニット224は、第2中間転写ベルト216を張架する複数の張架ローラのうちの2本として、上流側2次転写ローラ281と、下流側2次転写ローラ284とを有している。2次転写ニップは、第1中間転写ベルト208における両2次転写対向ローラ(282、284)間の展張部分が、第2中間転写ベルト216における両2次転写ローラ(281、283)間の展張部分に形成されている。なお、両2次転写対向ローラ(282、284)は、何れも接地されている。
本第2変形例装置200においては、2次転写ニップ内にて、上流側2次転写、下流側2次転写という2段階の2次転写が行われる。具体的には、2次転写ニップに送り込まれた転写紙Pは、ニップ内において、まず上流側2次転写部を通過する。この上流側2次転写部においては、両中間転写ベルト(208、216)が、上流側2次転写対向ローラ282と上流側2次転写ローラ284との間に挟み込まれている。そして、両ローラ間に形成される上流側2次転写電界の影響を受けて、いずれか一方の中間転写ベルト上のトナー像が、転写紙Pの何れか一方の面に2次転写される。図示の例では、上流側2次転写部において、第2中間転写ベルト216の裏面に当接している上流側2次転写ローラ281に、トナーの帯電極性とは逆極性のプラスの上流側2次転写バイアスが印加されている。よって、第1中間転写ベルト208上の第1トナー像が、上流側2次転写ローラ281に向けて静電的に引き寄せられて、転写紙Pの第1面(図中上を向く面)に2次転写される。図示の例では、上流側2次転写の方式として、静電引き寄せ転写方式が採用されているのである。
このようにして上流側2次転写が施された転写紙Pは、次に、下流側2次転写部に進入する。この下流側2次転写部においては、両中間転写ベルト(208、216)が、下流側2次転写対向ローラ284と下流側2次転写ローラ283との間に挟み込まれている。そして、両ローラ間に形成される下流側2次転写電界の影響を受けて、何れか一方の中間転写ベルト上のトナー像が、転写紙Pの何れか一方の面に2次転写される。図示の例では、下流側2次転写部において、第2中間転写ベルト216の裏面に当接している下流側2次転写ローラ283に、トナーの帯電極性と同じマイナスの下流側2次転写バイアスが印加されている。よって、第2中間転写ベルト216上の第2トナー像が、下流側2次転写ローラ283側から下流側2次転写対向ローラ284側に向けて静電的に押し出されて、転写紙Pの第2面(図中下を向く面)に2次転写される。図示の例では、下流側2次転写の方式として、静電押し出し転写方式が採用されているのである。本発明者らは、図示のような二段階の次転写を採用した場合に、次のような逆転写を引き起こさないことを実験によって確かめた。即ち、先に転写紙Pの第1面に転写しておいた第1トナー像を、下流側2次転写の際に、第1面から第1中間転写ベルト208に向けて逆転写してしまうといった現象である。
上記2次転写ニップで両面にトナー像が2次転写された転写紙Pは、両中間転写ベルト(208、216)の無端移動に伴って図中右側から左側に移動して、加熱定着装置235に受け渡される。そして、加熱定着装置235によって定着処理が施された転写紙Pは、排紙ローラ対237を経由した後、プリンタの図中左側面に固定されたスタック部240上に排出される。
上記2次転写ニップよりもベルト移動方向上流側では、第1中間転写ベルト208と第2中間転写ベルト216とが非接触で対向しており、2次転写ニップに向けて互いのベルトが徐々に近づいていくように移動する。給紙路288は、このように両中間転写ベルトが非接触で対向している領域に配設されている。給紙路288の末端付近に配設されたレジストローラ対231から排出された転写紙Pは、両中間転写ベルトが2次転写ニップにむけて互いに近づくように移動する領域を経由することで、2次転写ニップに向けて確実且つ円滑に案内される。よって、転写紙Pとして薄厚で腰の著しく弱いものが用いられても、ジャム等が発生し難くなっている。
一方、2次転写ニップよりもベルト移動方向下流側においても、両中間転写ベルトが非接触で対向しており、互いに徐々に遠ざかって行くように移動する。加熱定着装置235は、このように両中間転写ベルトが非接触で対向している領域に転写紙受入側の端部を進入させるように配設されている。2次転写ニップから送り出される転写紙Pは、かかる領域に進入している加熱定着装置235に確実且つ円滑に案内される。よって、このことによっても、ジャム等が発生し難くなっている。
本第2変形例装置200のように、上流側2次転写、下流側2次転写という二段階の2次転写をそれぞれニップ内で行う場合においては、2次転写ニップやその周囲構成として図9に示す構成を採用してもよい。図8に示した構成と比較すると、第1転写ユニット215における2本の2次転写対向ローラ(282、284)と、第2転写ユニット224における2本の2次転写ローラ(281、283)とが、ユニット間で置き換わっていることがわかる。上流側2次転写部では、第1中間転写ベルト208の裏面に当接している上流側2次転写ローラ281に、トナーの帯電極性とは逆極性の上流側2次転写バイアスが印加されている。そして、第2中間転写ベルト216上の第2トナー像が、上流側2次転写ローラ81に向けて静電的に引き寄せられて転写紙Pの第2面に2次転写される(静電引き寄せ転写方式)。これに対し、下流側2次転写部では、第1中間転写ベルト208の裏面に当接している下流側2次転写ローラ283に、トナーの帯電極性と同じマイナスの下流側2次転写バイアスが印加されている。そして、第1中間転写ベルト208上の第1トナー像が、下流側2次転写ローラ283側から下流側2次転写対向ローラ284側に向けて静電的に押し出されて、転写紙Pの第1面に2次転写される(静電押し出し転写方式)。本発明者らは、図示のような二段階の2次転写を採用した場合に、次のような逆転写を引き起こさないことを実験によって確かめた。即ち、先に転写紙Pの第2面に転写しておいた第2トナー像を、下流側2次転写の際に、第2面から第2中間転写ベルト216に向けて逆転写してしまうといった現象である。
また、2次転写ニップやその周囲構成として図10に示す構成を採用してもよい。同図においては、上流側2次転写ローラ281が第2中間転写ベルト216を張架しているのに対し、下流側2次転写ローラ283が第1中間転写ベルト208を張架している。上流側2次転写部では、第2中間転写ベルト216の裏面に当接している上流側2次転写ローラ281に、トナーの帯電極性と同じマイナスの上流側2次転写バイアスが印加されている。そして、第2中間転写ベルト216上の第2トナー像が、上流側2次ローラ281側から上流側2次転写対向ローラ282側に向けて静電的に押し出されて、転写紙Pの第2面に2次転写される(静電押し出し転写方式)。これに対し、下流側2次転写部では、第1中間転写ベルト208の裏面に当接している下流側2次転写ローラ283に、トナーの帯電極性と同じマイナスの下流側2次転写バイアスが印加されている。そして、第1中間転写ベルト208上の第1トナー像が、下流側2次転写ローラ283側から下流側2次転写対向ローラ284側に向けて静電的に押し出されて、転写紙Pの第1面に2次転写される(静電押し出し転写方式)。本発明者らは、図示のような二段階の2次転写を採用した場合に、次のような逆転写を引き起こさないことを実験によって確かめた。即ち、先に転写紙Pの第2面に転写しておいた第2トナー像を、下流側2次転写の際に、第2面から第2中間転写ベルト216に向けて逆転写してしまうといった現象である。
また、2次転写ニップやその周囲構成として図11に示す構成を採用してもよい。同図においては、上流側2次転写ローラ281が第1中間転写ベルト208を張架しているのに対し、下流側2次転写ローラ283が第2中間転写ベルト216を張架している。上流側2次転写部では、第1中間転写ベルト208の裏面に当接している上流側2次転写ローラ281に対し、トナーの帯電極性と同じマイナスの上流側2次転写バイアスが印加されている。そして、第1中間転写ベルト208上の第1トナー像が、上流側2次転写ローラ281側から上流側2次転写対向ローラ282側に向けて静電的に押し出されて、転写紙Pの第1面に2次転写される(静電押し出し方式)。これに対し、下流側2次転写部では、第2中間転写ベルト216の裏面に当接している下流側2次転写ローラ283に対し、トナーの帯電極性と同じマイナスの下流側2次転写バイアスが印加されている。そして、第2中間転写ベルト216上の第2トナー像が、下流側2次転写ローラ283側から下流側2次転写対向ローラ284側に向けて静電的に押し出されて、転写紙Pの第2面に2次転写される(静電押し出し転写方式)。本発明者らは、図示のような二段階の2次転写を採用した場合に、次のような逆転写を引き起こさないことを実験によって確かめた。即ち、先に転写紙Pの第1面に転写しておいた第1トナー像を、下流側2次転写の際に、第1面から第1中間転写ベルト208に向けて逆転写してしまうといった現象である。
図8から図11までを用いて、転写バイアス部材として、ローラ(281、283)を採用した例について説明したが、非ローラ状のものを採用してもよい。また、転写バイアス部材に対向する対向電極部材として、ローラ(282、284)を採用した例について説明したが、非ローラ状の対向電極部材を採用してもよい。
二段階の2次転写では、上流側で第1中間転写ベルト208上から転写紙Pの第2面への転写を行った後に、下流側で第2中間転写ベルト216上から転写紙Pの第2面への転写を行う場合と、その逆の順序で行う場合との2通りが成立する。また、上流側、下流側にて、それぞれ静電引き寄せ方式又は静電押し出し方式という2通りの転写方式が成立する。よって、これらを組み合わせると、8通りの二段階2次転写方法が成立し得る。本発明者らは、これら8通りの二段階2次転写方法を全て試験して、下流側の2次転写時における逆転写の有無を調べてみた。次に示す表1は、これら8通りの二段階2次転写方法と、下流側の2次転写時における逆転写の有無との関係を示している。
表1に示すように、8通りの二段階2次転写方法において、下流側の2次転写時における2次転写が発生しなかったのは、実験番号3、4、7、8の4通りだけであった。これらに着目すると、下流側2次転写が全て静電押し出し方式で行われていることがわかる。一方、逆転写が発生した実験番号1、2、5、6に注目すると、これらは全て下流側2次転写が静電引き寄せ方式で行われていることがわかる。よって、二段階2次転写方法を行う場合、下流側2次転写に静電押し出し転写方式を採用しないと、逆転写を引き起こしてしまうことが判明した。なお、先に説明した第1変形例装置100においても、ニップ内における連続転写(「2次、3次」又は「3次、2次」)に、同様の8通りの方法が成立する。本発明者らは、これら8通りについても全て試験した結果、連続転写における後段の転写時に押し出し静電転写方式を採用しないと、逆転写を引き起こしてしまうという同様の結果を得た。
先に説明した第1変形例装置では、第1面や第2面の画像面積率に基づいて第1面トナー付着量や第2面トナー付着量を検知させるように制御部E2を構成していた。そして、かかる構成により、第1参考形態に係るプリンタよりも第1面トナー付着量や第2面トナー付着量を正確に検知させるようになっていた。しかしながら、これまで説明してきたプリンタのように、複数の単色トナー像を重ね合わせて多色トナー像を形成するものにおいては、画像面積率が同じであっても、トナー付着量に差が出てくる。同じ画像面積率であっても、単色ベタ画像よりも多色ベタ画像の方が、トナー付着量が多くなるのである。そこで、本第2変形例装置200では、画像データ処理装置E1によって取得された画像情報に基づいて、各色毎の記録画素数を算出させ、算出結果に基づいて第1面トナー付着量や第2面トナー付着量を検知させるように制御部E2を構成している。具体的には、パソコン等から送られてくる画像情報は、Y,M,C,Kという色ごとの画像情報に分割されている。これら色ごとの画像情報に基づいて、Y,M,C,K記録画素数をそれぞれ算出し、算出結果の合計に基づいて第1面トナー付着量や第2面トナー付着量を検知させるのである。検知法としては、各色記録画素数の合計をそのまま第1面トナー付着量や第2面トナー付着量として検知させればよい。また、また、記録画素数とトナー付着量との関係を予め調査してデータテーブル化しておき、各色の記録画素数に対応するトナー付着量をこのデータテーブルから特定してそれらの合計を第1面トナー付着量や第2面トナー付着量をこのデータテーブルとして検知させるようにしてもよい。また、各色の記録画素数の合計に対応するトナー付着量をデータテーブルから特定させるようにしてもよい。また、データテーブルではなく、所定のアルゴリズムに基づいて、記録画素数に対応するトナー付着量を算出させるようにしてもよい。
かかる構成の本第2変形例装置200においては、画像面積率に基づいてトナー付着量を検知する第1変形例装置よりも、第1面トナー付着量や第2面トナー付着量を更に正確に検知することができる。
次に実施形態に係る複写機について説明する。実施形態に係る複写機は、以下に説明する点が、第1参考形態に係るプリンタと異なっている。
図12は、実施形態に係る複写機を示す概略構成図である。同図において、本プリンタは、プリンタ部300A、操作・表示ユニット390、給紙装置340、自動画像読取装置300B、紙補給装置300C等を有している。
プリンタ部300Aは、紙搬送路343Aを境にして、その上方に配設された第1画像形成部と、下方に配設された第2画像形成部とを備えている。第1画像形成部は4個の第1トナー像形成部380Y,M,C,Kと、第1転写ユニット320とを有している。また、第2画像形成部は、4個の第2トナー像形成部381Y,M,C,Kと、第2転写ユニット330とを有している。
第1転写ユニット320は、図中矢印方向に無端移動する第1中間転写ベルト321を有しており、これの上部張架面の上方に、4個の第1トナー像形成部380Y,M,C,Kが配設されている。また、第2転写ユニット330は、図中矢印方向に無端移動する第2中間転写ベルト331を有している。この第2中間転写ベルト331の側部張架面の側方に、4個の第2トナー像形成部381Y,M,C,Kが配置されている。
各トナー像形成部(380Y,M,C,K、381Y,M,C,K)は、それぞれ像担持体たる感光体(301Y,M,C,K)を有している。第1トナー像形成部380Y,M,C,Kの感光体301Y,M,C,Kは等間隔に配設され、少なくとも画像形成時にはそれぞれ第1中間転写ベルト321の上部張架面に接触する。以下、このように接触するベルト面を第1受像面という。
一方、第2トナー像形成部381Y,M,C,Kの感光体301Y,M,C,Kも等間隔に配設され、少なくとも画像形成時にはそれぞれ第2中間転写ベルト321の上部張架面に接触する。以下、このように接触するベルト面を第2受像面という言う。
第1中間転写ベルト321は、複数のローラにより、鉛直方向よりも水平方向にスペースをとる横長の姿勢であり、且つその第1受像面をほぼ水平に延在させる姿勢で張架されている。第1トナー像形成部380Y,M,C,Kは、このようなほぼ水平の第1受像面に接するように、互いにほぼ水平な状態で並列配設されている。
一方、第2中間転写ベルト331は、図中左上から右下にかけて傾斜するような姿勢で張架されている。第2トナー像形成部381Y,M,C,Kは、このように斜めの姿勢で張架される第2中間転写ベルト331の第2受像面に接するように、第2中間転写ベルト331の図中右側方にて、図中左上から右下にかけての斜めの配列になるように並列配設されている。
図13は、4つの第1トナー像形成部380Y,M,C,Kのうちの1つを示す拡大構成図である。4つの第1トナー像形成部380Y,M,C,Kは、それぞれ扱うトナーの色が異なる点の他がほぼ同様の構成になっているので、同図では「380」に付すY,M,C,Kという添字を省略している。同図において、感光体301は、プリンタ部(300A)の動作時に、図示しない駆動手段によって図中反時計回りに回転駆動される。かかる感光体301の周囲には、帯電手段であるスコロトロンチャージャ303、露光装置304、現像装置305、ベルトクリーニング装置320A、光除電装置Q等の作像部材や、電位センサS1、画像センサS2等が配設されている。
ドラム状の感光体301は、例えば直径30〜120[mm]程度のアルミニウム円筒表面に光導電性物質である有機感光層(OPC)が被覆されたものである。アモルファスシリコン(a−Si)層を被覆したものであってもよい。また、ドラム状ではなく、ベルト状のものであってもよい。
感光体クリーニング装置302は、クリーニングブラシ、クリーニングブレード、回収部材等を有し、後述の1次転写ニップを通過した後の感光体表面に残留する転写残トナーを除去、回収する。
スコロトロンチャージャ303は、回転駆動される感光体301の表面を例えばマイナス極性に一様帯電せしめるものである。かかる一様帯電を行う帯電手段として、スコロトロンチャージャの代わりに、コロトロンチャージャを用いても良い。また、帯電バイアスが印加される帯電バイアス部材を感光体1の表面に接触させる方式のものでもよい。
露光装置304は、各色のうちの1色に対応する画像データに基づいて生成した光で、一様帯電後の感光体1の表面を光走査して、感光体1の表面に静電潜像を形成する。図示の例では、露光装置304として、LED(発光ダイオード)アレイと結像素子からなるものを用いている。レーザー光源やポリゴンミラー等を用いて、形成すべき画像データに応じて変調したビーム光によるレーザースキャン方式のものでもよい。
現像装置305は、トナーと磁性キャリアとを含有する二成分現像剤を用いて感光体301上の静電潜像を現像する二成分現像方式のものである。かかる二成分現像剤を2つの搬送スクリュウ305cによって攪拌しながら、図中奥行き方向に搬送する。これら2つの搬送スクリュウ305cの現像剤搬送方向は互いに逆方向である。例えば、図中左側の搬送スクリュウ305cの現像剤搬送方向が図中奥側から手前側であれば、図中右側の搬送スクリュウ305cの現像剤搬送方向は図中手前側から奥側である。前者の搬送スクリュウ305cによって現像装置5の図中奥行き方向端部まで搬送された二成分現像剤は、後者の搬送スクリュウ305cに受け渡される。そして、その端部から反対側の端部に向けて攪拌搬送される過程で、一部が後述の現像ロール305bに担持される。また、担持されなかったり、現像ロール305bから右側の搬送スクリュウ305cに戻されたりした二成分現像剤は、上記反対側の端部で左側の搬送スクリュウ305cに受け渡される。このようにして、二成分現像剤が現像装置305内で循環搬送される。なお、現像装置305として、磁性キャリアを含まずにトナーを主成分とする一成分現像剤による一成分現像方式のものを用いてもよい。
現像ロール305aは、ステンレスやアルミニュウム等からなる非磁性円筒であって図示しない駆動手段によって図中時計回りに回転駆動せしめられるスリーブと、これに連れ回らないように内部固定されたマグネットローラとを有している。マグネットローラは、スリーブの内部にて、その周方向に分かれる複数の磁極を有している。図中右側の搬送スクリュウ305cによって搬送される二成分現像剤は、このマグネットローラの発する磁力によって引き寄せられて、回転駆動されるスリーブの表面で汲み上げられる。そして、スリーブ表面に連れ回って感光体301に対向する現像領域に搬送されるのに先立ち、ブレード305bとの対向位置である規制位置を通過する。
ブレード305bは、所定の間隙を介してその先端をスリーブ表面に近接させるように配設されている。そして、スリーブ表面上の二成分現像剤がその直下である規制位置を通過する際に、二成分現像剤の厚みを所定の大きさに規制する。
このようにして層厚が規制された二成分現像剤は、スリーブの回転に伴って感光体301との対向位置である現像領域に搬送される。マイナス極性に一様帯電せしめられた感光体301の表面に対する光走査によって電荷が減衰せしめられて形成された静電潜像は、現像領域にてスリーブ表面上の二成分現像剤に摺擦せしめられる。そして、潜像と同極性であるマイナス帯電性のトナーの付着によって、Y,M,C,Kの何れかの色に現像される。第1トナー像形成部380においては、いわゆる反転現像が行われるのである。これにより、感光体301上には、Y,M,C,Kの何れかの色のトナー像が形成される。
トナーとしては、従来から公知の方法で得られる球形や不定形のトナーが用いられる。体積平均粒径が20[μm]以下、好ましくは10[μm]以下、4[μm]以上のものがよい。また、磁性キャリアも従来から公知の方法で得られるものが用いられる。体積平均粒径が25[μm]〜60[μm]程度のものがよい。
上記現像領域でトナーを消費した二成分現像剤は、上記スリーブの回転に伴って現像装置305内に戻る。そして、上記マグネットローラの互いに同極で隣り合う磁極によって形成される反発磁界の影響を受けて、スリーブ表面から離脱して、図中右側の搬送スクリュウ305c上に戻された後、図中左側の搬送スクリュウ305cに受け渡される。
図中左側の搬送スクリュウ305cの下方には、トナー濃度センサ305eが配設されており、左側の搬送スクリュウ305cによって搬送される二成分現像剤の透磁率を検知する。
制御部395は、このトナー濃度センサ305eからの出力信号に基づいて二成分現像剤のトナー濃度を所定の閾値未満であると判断すると、図示しない8つのトナー供給手段のうち、その二成分現像剤に対応するものを所定時間駆動する。これら8つのトナー供給手段は、それぞれ、第1トナー像形成部(380Y,M,C,K)の4つの現像装置、あるいは、第2トナー像形成部(381Y,M,C,K)の4つの現像装置の何れか1つに対応するものである。プリンタ部(300A)の上部のボトル収納部385に着脱可能にセットされた4つのY,M,C,Kトナーボトル(図14の386Y,M,C,K)の何れかに接続されている。そして、接続されたトナーボトルから、対応する現像装置内における図中左側の搬送スクリュウ305c上に、所定色のトナーを供給する。これにより、現像によってトナーを消費した二成分現像剤のトナー濃度が回復する。かかる構成のトナー供給手段としては、従来から公知のモーノポンプによる吸引力で、トナーボトル内のトナーを吸引して現像装置内まで搬送する方式のものがよい。この方式によれば、トナーボトルの設置場所の制約が少ないため、プリンタ部(300A)内部のスペース配分に有利である。またトナーが適時補給できるため、現像装置305に大きなトナー貯留スペースを設けなくてすみ、現像装置305の小型化を図ることができる。
図14は、4つの第2トナー像形成部(381Y,M,C,K)のうちの1つを示す拡大構成図である。4つの第2トナー像形成部(381Y,M,C,K)も、それぞれ扱うトナーの色が異なる点の他がほぼ同様の構成になっているので、同図においてもY,M,C,Kの添字を省略している。第2トナー像形成部381は、第1トナー像形成部(380)と構成部材が同じであるが、感光体301の回転方向が異なっている。互いに、感光体301の回転軸301aを通るy軸に対し対象の形をしている。この形状は、感光体301の周囲に設ける部材の配置にも関係するが、重要な事項である。具体的には、プリンタ部本体との結合部、たとえば駆動手段との結合部、電気的接続部、トナー供給部、トナー排出部の結合方法を配慮している。これにより、第1トナー像形成部(380Y,M,C,K)と、第2トナー像形成部(381Y,M,C,K)とに互換性をもたせることができる。従って第1トナー像形成部と第2トナー像形成部用に個別に現像装置、ベルトクリーニング装置、部品を製造する必要がなく、部品製造、部品の管理上での効率が高く、全体のコスト低減化を図ることができる。
先に示した図12において、プリンタ部300Aは、転写装置たる第1転写ユニット320と、転写装置たる第2転写ユニット330とを有する両面転写装置を備えている。第1転写ユニット320は、第1中間転写ベルト321を複数のローラ323,324,325,326(2個),327,328,329によって張架して、第1トナー像形成部380Y,M,C,Kの感光体301Y,M,C,Kに接触させている。この接触により、第1画像形成部では、感光体301Y,M,C,K上のY,M,C,Kトナー像を、第1中間転写ベルト321上に重ね合わせて転写するY,M,C,K用の1次転写ニップが形成される。第1中間転写ベルト321は、これら4つの1次転写ニップを形成しながら、図中時計回りに無端移動せしめる。各1次転写ニップでは、図示しない電源によって1次転写バイアスが印加される4つの1次転写ローラ322の何れかが、感光体301Y,M,C,Kとの間に第1中間転写ベルト321を挟み込んでいる。この1次転写バイアスやニップ圧の影響により、各1次転写ニップで各色のトナー像が第1中間転写ベルト321に重ね合わせて1次転写される。
第1中間転写ベルト321の外周部には、ローラ323に対向する位置にベルトクリーニング装置320Aが設けられている。このローラ323は第1クリーニングバックアップローラとして機能している。ベルトクリーニング装置320Aは、各1次転写ニップを通過した後の第1中間転写ベルト321の表面に残留する転写残トナーや、紙粉などの異物を拭い去る。第1中間転写ベルト321に関連する部材は、第1転写ユニット320として一体的に構成してあり、プリンタ部300Aに対し着脱が可能となっている。
一方、第2転写ユニット330は、第2中間転写ベルト331を複数のローラ333,334,335,336(2つ)に張架して感光体301Y,M,C,Kに接触させている。この接触により、第2画像形成部では、感光体301Y,M,C,K上のY,M,C,Kトナー像を、第2中間転写ベルト331上に重ね合わせて転写するY,M,C,K用の1次転写ニップが形成される。第2中間転写ベルト331は、これら4つの1次転写ニップを形成しながら、図中反時計回りに無端移動せしめる。各1次転写ニップでは、図示しない電源によって1次転写バイアスが印加される4つの1次転写ローラ332の何れかが、感光体301Y,M,C,Kとの間に第2中間転写ベルト331を挟み込んでいる。この1次転写バイアスやニップ圧の影響により、各1次転写ニップで各色のトナー像が第2中間転写ベルト331に重ね合わせて1次転写される。
第2中間転写ベルト331の外周部には、ローラ333に対向する位置にベルトクリーニング装置330Aが設けられている。このローラ333は、第2クリーニングバックアップローラとして機能している。ベルトクリーニング装置330Aは、各1次転写ニップを通過した後の第2中間転写ベルト331の表面に残留する不要なトナーや、紙粉などの異物を拭い去る。第2中間転写ベルト31に関連する部材も、第2転写ユニット330として一体的に構成してあり、プリンタ部300Aに対し着脱が可能となっている。
中間転写ベルト(321、331)としては、例えば、厚さが50〜600[μm]の樹脂又はゴム製のベルト基体を有するもので、転写バイアスの印加によってトナー像を静電転写し得る電気抵抗値のものを用いることができる。より詳しくは、ポリアミド等の素材にカーボンを分散せしめることにより、体積抵抗値が106〜1012[Ωcm]に調整されたものを例示することができる。中間転写ベルト(312、331)のベルト幅方向の両端又はこの付近には、ベルト寄り止め用の突起がベルト全周に渡って延在するように設けられている。この突起が張架ローラの側面に突き当たることによって、ベルトの片寄り走行が防止されるのである。
第1ベルトユニットの転写手段たる4つの1次転写ローラ322や、第2ベルトユニットの転写手段たる4つの1次転写ローラ332としては、例えば次のような構成のものを用いることができる。即ち、芯金たる金属ローラの表面に、導電性ゴム材料を被覆したもので、芯金部に、不図示の電源からバイアスが印加されるものである。本第1実施形態では、導電性ゴム材料として、ウレタンゴムにカーボンを分散したものを用い、体積抵抗を105Ωcm程度に調整している。
プリンタ部300Aは、Kトナーだけによるモノクロ画像の出力も可能である。モノクロ画像を出力する場合には、第1ベルトユニットにおけるY,M,C用のトナー像形成部380Y,M,Cを使用しない。そして、トナー像形成部380Y,M,Cを稼動させないだけでなく、これらと中間転写ベルトとを非接触に保つための機構を備えている。ローラ326と1次転写ローラ322を支持する内部フレーム(不図示)を設けておき、ある点を中心に回動可能に支持している。そして、感光体から遠ざかる方向に回動させることにより、感光体301Kだけを第1中間転写ベルト321と接触させて、作像工程を実行することにより、ブラックトナーによるモノクロ画像を作成する。かかる構成では、感光体の寿命向上の点で有利である。なお、第2ベルトユニットも同様に、モノクロ画像出力時にトナー像形成部381Y,M,Cを第2中間転写ベルト331から待避させるようになっている。
第1中間転写ベルト321の外周で、支持ローラ328の近傍には、転写手段たる2次転写ローラ346が配設されており、支持ローラ328との間に第1中間転写ベルト321を挟み込んで2次転写ニップを形成している。2次転写ローラ346は芯金たる金属ローラの表面に、導電性ゴムを被覆したもので、芯金部に対して、図示しない電源から2次転写バイアスが印加される。導電性ゴムはカーボンの分散によって体積抵抗が107Ωcm程度に調整されたものである。
2次転写ニップの図中右側方には、レジストローラ対345が配設されている。このレジストローラ対345は、後述の給紙装置340から送られて来る転写紙をローラ間に挟み込んだ後、両ローラの回転を一時中断する。そして、第1中間転写ベルト321上の重ね合わせトナー像である4色トナー像に同期させ得るタイミングで、転写紙を2次転写ニップに向けて送り出す。送り出された転写紙は、2次転写ニップでその一方の面である第1面(図中上側を向く面)に4色トナー像が密着せしめられる。そして、2次転写バイアスやニップ圧の影響により、第1中間転写ベルト321上の4色トナー像がその第1面に一括2次転写されながら、2次転写ニップを通過する。
2次転写ニップを通過した転写紙は、第1中間転写ベルト321から離れて、第2中間転写ベルト331の上部張架面上に受け渡される。この上部張架面の上方には、転写チャージャ347が上部張架面と所定の間隙を介して対向するように配設されている。この転写チャージャ347と第2中間転写ベルト331との間が、第2中間転写ベルト331上の4色トナー像を転写紙の他方の面である第2面(図中下側を向く面)に転写するためのチャージャ転写位置となる。転写チャージャ347は公知のタイプで、タングステンや金の細い線を放電電極とし、ケーシングで保持し、放電電極に不図示の電源から転写電流が印加される。第2中間転写ベルト331と転写チャージャ347の間に転写紙Pを通過させながら、その第1面に転写チャージャ347から発せられる電荷を付与することで、第2中間転写ベルト331上の4色トナー像を転写紙の第2面に一括2次転写する。上述の2次転写バイアスや、転写チャージャ347による付与電荷は、何れもトナーの極性と逆のプラス極性である。
プリンタ部300Aの図中右側方には転写紙を供給可能に収納した給紙装置340が配備されている。複数段、例えば上段に大量の転写紙を収納した給紙カセット340a、その下方に3段の給紙カセット340b,c、dがそれぞれ紙面に対し直角手前側(操作面側)に引出し可能に配設されている。これらの給紙トレイ340aや給紙カセット340b,c、d内にそれぞれ異なる種類の転写紙が収納されている。このうち、最上位置の転写紙は、対応する給紙・分離手段341A〜Dにより選択的に給紙、分離され、確実に一枚だけが複数の搬送ローラ対342Bにより紙搬送路343Bや343Aに送られる。
紙搬送路343Aには、2次転写ニップへ転写紙を送り出す給送タイミングをとるため、一対のレジストローラ345が設けられている。さらに転写紙の搬送方向に対し直角方向の位置を正規の位置にするための横レジ補正機構344が、紙搬送路343Aに設けてある。横レジ補正機構344としては、次に説明するようなものがある。即ち、図示しない横方向の基準ガイドと斜行コロ対から構成され、転写紙の横方向端部を該基準ガイドに押付けるように転写紙をスライド搬送する。そして、転写紙を所定の位置に整合させる。この基準ガイドは転写紙のサイズにより、所定の位置に移動、配置される。なお、横レジ補正機構344は転写紙の搬送方向に対し転写紙の両方の横方向から、転写紙の両辺を短時間及び複数回押し、転写紙を所定の位置に整合させる規制部材から構成されるジョガー方式でもよい。
転写紙は、レジストローラ対345から、第1中間転写ベルト321と二次転写ローラ346とが当接する第3転写位置たる2次転写ニップに向けて搬送される。その後、第2中間転写ベルト331と転写チャージャ347とが対応する第4転写位置に向けて搬送される。
搬送ローラ対342Cを有する紙搬送路343Cには、その搬送方向上流に設置可能な別の給紙装置300Cから、転写紙が供給可能となっている。給紙トレイ340aの最上位の転写紙が給紙され、その後曲げられることなく、ほぼ水平に真直ぐ搬送されるように、給紙トレイ340aの上部給紙面が配備してある。そのため厚い転写紙、剛性の高い板紙でも確実に給紙できる。なお給紙トレイ340aには、多様な特性の転写紙が収納されても確実に給紙できるよう、バキューム機構からなるエアー給紙を採用すると好都合である。図示していないが、紙搬送路の要所には転写紙を検知するためのセンサが具備させていて、転写紙の存在を基準とする各種信号のトリガーとしている。
第2転写ユニット330の第2ベルトユニットの図中左側方には、紙搬送装置350が配設されている。また、その更に左側方には、2つの定着ローラを有する加熱定着装置400が設けられている。ローラ内部にヒータを備えるタイプ、加熱されるベルトを走行させるベルト定着装置、また加熱の方式に誘導加熱を採用した定着装置などが採用できる。転写紙両面の画像の色合い、光沢度を同じにするため、定着ローラの材質、硬度、表面性などを上下同等にしてある。また、フルカラーとモノクロ画像、あるいは片面か両面かにより定着条件を制御したり、転写紙の種類に応じて最適な定着条件となるよう、制御部395により制御される。定着の終了した転写紙を冷却し、不安定なトナーの状態を早期に安定させるため、冷却機能を有した冷却ローラ対370を定着後の搬送路に備えている。この冷却ローラ対370としては、放熱部を有するヒートパイプ構造のローラが採用できる。冷却された転写紙は、排紙ローラ対371により、プリンタ部300Aの左側に設けた排紙スタック部375に排紙、スタックさせる。この排紙スタック部は、大量の転写紙をスタック可能にするため、不図示のエレベータ機構により、スタックレベルに応じて、受け部材が上下する機構を採用している。なお排紙スタック部75を通過させ、別の後処理装置に向けて転写紙を搬送させることもできる。別の後処理装置としては、穴あけ、断裁、折、綴じなど製本のための装置が接続できる。
未使用のトナーが収納された各色のトナーボトル386Y,M,C,Kが、着脱可能にボトル収納部385に収納される。このボトル収容部385は、プリンタ部300A上面で操作方向から見て奥側にあって、プリンタ部300A上面の手前側は平面部分が確保されているため、作業台として利用できる。上述のトナー供給手段により、各現像装置に必要に応じトナーを供給するようになっている。実施形態では、上下に配設した第1画像形成部と第2画像形成部とで、互いに同色のトナーを扱う現像装置に対しては、共通のトナーボトルからトナーを供給するようになっているが、別々にすることもできる。消耗の多いブラックトナー用のトナーボトル386Kは、特に大容量としておくことも可能である。
プリンタ部300Aの上面に設けられた操作・表示ユニット390には、キーボード等を設けてあり、画像形成のための条件などをインプットすることができる。また、ディスプレイ等からなる表示部に各種の情報を表示することもでき、操作者とプリンタ部300Aとの情報交換を容易なものとする。
プリンタ部300A内部に設けられた廃トナー収納部387は、感光体のクリーニング装置302、中間転写ベルトのベルトクリーニング装置320A,330A、紙搬送装置350のベルトクリーニング装置350Aなどと連結されている。そして、これらから送られる廃トナーや紙粉等の異物を一括して回収して収納する。これらのクリーニング装置(302,320A、330A、350A)に大容量の廃トナー収納部を備えないため、ベルトクリーニング装置が小型にでき、さらに廃トナーの廃棄の操作性も良好となっている。満杯センサ(不図示)を使って廃トナー収納部387内のトナー廃棄、あるいは容器交換などの警告を発する。
プリンタ部300A内部に設けられた制御部395には、各種電源や制御基板などが板金フレームに保護され収納されている。加熱定着装置400による熱や電装装置からの発熱により、画像形成装置内部は高温になるが、その対策としてファン396を設けて、内部部材の熱による機能低下を防止している。またこのファン396は冷却ローラ対370の放熱部と結合してあり、冷却ローラ対370の冷却効果を確実にしている。
給紙装置340の上部には、周知の技術によって原稿を自動搬送しながらその原稿の画像を読み取る自動画像読取装置(ADF)300Bが設けられており、これによる読取情報が制御部395に送られる。送られた読取情報に基づいて、プリンタ部300Aが駆動制御されて、原稿と同じ画像が出力される仕組みである。また、プリンタ部300Aに対しては、図示しないパーソナルコンピュータ等からの画像情報を送って、その画像情報に対応する画像を出力させることもできる。更に、図示しない電話回線から送られてくる画像情報を送って、その画像情報に対応する画像を出力させることもできる。給紙装置340の図中右側方には、給紙装置340に転写紙を補給する紙補給装置300Cが配設されている。
次にプリンタ部300Aにおいて、転写紙の片面にフルカラー画像を形成する片面記録時の動作について説明する。
片面記録の方法は基本的に2種類あって、選択が可能となっている。2種類のうちの1つは、第1中間転写ベルト321に転写した4色トナー像を転写紙の第1面に一括2次転写する方法である。また、もう1つの方法は、第2中間転写ベルト331に転写した4色トナー像を転写紙の第2面に一括2次転写する方法である。画像データが複数の頁になるケースでは、排紙スタック部375上で頁が揃うように作像順序を制御するのが好都合である。そこで、最後の頁の画像データから順に記録して頁順を揃わせることができる、前者の方法について説明する。
プリンタ部300Aを稼動させると、第1中間転写ベルト321と第1トナー像形成部380Y,M,C,Kにおける感光体301Y,M,C,Kが回転する。同時に第2中間転写ベルト331が無端移動するが、第2トナー像形成部381Y,M,C,Kにおける感光体301Y,M,C,Kは第2中間転写ベルト331と離間されるとともに不回転状態にされる。そして、第1トナー像形成部380Yによる画像形成が開始される。LED(発光ダイオード)アレイと結像素子からなる露光装置304の作動により、LEDから出射されたイエロー用の画像データ対応の光が、帯電装置303によって一様帯電された感光体301Yの表面に照射されて静電潜像が形成される。
この静電潜像は、Y用の第1トナー像形成部381Yの現像装置によってYトナー像に現像され、Y用の1次転写ニップで第1中間転写ベルト321上に静電的に1次転写される。このような潜像形成、現像、1次転写動作が感光体301M,C,K側でもタイミングをとって順次同様に行われる。そして、第1中間転写ベルト321上のYトナー像に対して、M,C,K用の1次転写ニップでM,C,Kトナー像が順次重ね合わせて1次転写される。この重ね合わせの1次転写により、第1中間転写ベルト321上に4色トナー像が形成される。
一方、給紙装置340は、内部の給紙トレイ340aあるいは給紙カセット340b,c,dから、画像データに対応する転写紙を給紙・分離手段341A,B,C,Dの何れか1つによって送り出す。そして、搬送ローラ対342B,Cによってプリンタ部300Aの給紙路343Aに向けて搬送する。
プリンタ部300Aの給紙路343Aに送られた転写紙は、横レジ補正機構344に進入する。この横レジ補正機構344は、記録体供給手段たる給紙装置340から両面転写装置(第1、第2転写ユニット)に向けて搬送されている途中の転写紙における搬送方向からの姿勢の傾きを補正する傾き補正手段である。レジストローラ対345よりも搬送方向上流側で、搬送方向に直交する紙面方向に並べられたガイド板対を、転写紙の搬送方向に直交する両端に突き当てることで、転写紙の姿勢の傾きを補正する。ガイド板対の2つのガイド板は、搬送方向に直交する紙面方向に移動可能になっており、給紙された転写紙の幅に合わせて移動することで、板間距離を転写紙の幅に合わせることができる。
横レジ補正機構344によって姿勢の傾きを補正された転写紙は、レジストローラ対345のローラ間に至り、そこでタイミングが計られて2次転写ニップに送り出される。そして、2次転写ニップにて、第1中間転写ベルト321上の4色トナー像が第1面に一括2次転写される。2次転写ニップを通過した第1中間転写ベルト321のおもて面は、ベルトクリーニング装置320Aによって転写残トナーがクリーニングされる。
各第1トナー像形成部380Y,M,C,Kでは、それぞれ、1次転写ニップを通過した後の感光体301Y,M,C,K上に残留する転写残トナーが、ベルトクリーニング装置(320A)によってクリーニングされる。このベルトクリーニング装置(320A)は、先に説明したように、クリーニングブラシやクリーニングブレードによって第1中間転写ベルト321から転写残トナーを除去するものである。除去したトナー等の異物については、回収手段によって回収部387に送る。なおセンサS1、S2は、感光体表面の露光後の表面電位と、現像工程後の感光体表面に付着しているトナーの濃度が適切なものであるかを検知し、適宜作像条件の設定、制御のために不図示の制御手段に情報を出す。また、クリーニング後の感光体301の表面は除電装置Qによって残留電荷が除電されて初期化せしめられる。
2次転写ニップで第1面に4色トナー像である第1トナー像が2次転写された転写紙は、第2転写ユニットの第2中間転写ベルト331に受け渡された後、紙搬送装置350を経由して加熱定着装置400に送られる。この際、加熱定着装置400への受け渡しに先立って、転写紙に対して除電・分離チャージャ358による電荷が付与される。この付与により、ベルト部材351に静電吸着していた転写紙がベルト部材351から容易に分離されるようになる。
加熱定着装置400内では、転写紙の第1面に形成されたフルカラー画像中の各色トナーが、加熱によって溶融、混色される。これによって定着せしめられたトナーは、転写紙上で完全に固着するまでは、搬送路のガイド部材等にこすられ、画像が欠落したり、乱れたりする。この不具合を防止するため、加熱定着装置400を通過した転写紙は、冷却手段である冷却ローラ対370に受け渡される。そして、そこでトナーが完全に固着せしめられた後、排紙ローラ371によって排紙スタック部375に排紙される。
排紙スタック部375で若い頁の転写紙が順次上に重ねられるように、作像順序がプログラムされているので、スタック部375で頁順が揃う。排紙スタック部375は、排紙される転写紙の増加に従って、下降するので、転写紙は整然と確実にスタックでき、頁順が乱れることがない。記録済みの転写紙を排紙スタック部375に直接スタックする代わりに、穴あけ加工処理を実施したり、ソータ、コレータや綴じ装置や折り装置など後処理装置に搬送することもできる。
転写紙の片面に画像を形成させる他の方法では、第1トナー像形成部380Y,M,C,Kでの画像の形成をおこなわないようにするのと、頁揃えのために若い頁の画像データから順に像形成をさせる点が異なる。しかし、基本的には上述の片面記録の工程と同じなので、説明を省略する。
次に転写紙の両面に画像を形成する両面記録時の動作について説明する。
プリンタ部300Aに画像信号が入力されると、片面記録の動作で説明した第1トナー像形成部380Y,M,C,Kの感光体301Y,M,C,Kに、Y,M,C,Kトナー像が形成される。そして、これらは、Y,M,C,K用の1次転写ニップで第1中間転写ベルト321に順次重ね合わせて1次転写される。これにより、第1中間転写ベルト321上に4色トナー像である第1トナー像が形成される。この工程とほぼ並行して、第2トナー像形成部381Y,M,C,Kの感光体301Y,M,C,Kに、Y,M,C,Kトナー像が形成される。そして、これらは、Y,M,C,K用の1次転写ニップで第2中間転写ベルト331に順次重ね合わせて1次転写される。これにより、第2中間転写ベルト331上に4色トナー像である第2トナー像が形成される。このようにして、第1中間転写ベルト321、第2中間転写ベルト331上に、第1トナー像、第2トナー像が形成される。
第2トナー像形成部381Y,M,C,Kのユニット間隔は、第1トナー像形成部380Y,M,C,Kのユニット間隔よりも小さくなっている。第2転写ユニットでは、第1転写ユニットよりも速く重ね合わせ1次転写が終了する。
タイミングが計られてレジストローラ対345から2次転写ニップに送られた転写紙は、その第1面に第1中間転写ベルト321上の4色トナー像が2次転写された後、第2中間転写ベルト331上に受け渡される。そして、第2中間転写ベルト331と転写チャージャ347とが所定の間隙を介して対向する第4転写位置にて、第2中間転写ベルト331上の4色トナー像が第2面に2次転写される。
このようにして両面にフルカラー画像が形成された転写紙は、紙搬送装置350に送られる。この紙搬送装置350は、ベルト部材351と、これを張架する複数の張架ローラとを有するベルト装置を備えている。複数の張架ローラとは、具体的には、入口ローラ352、支持ローラ分離ローラ354、クリーニングバックアップローラ355、テンションローラ356である。紙搬送装置350は、かかる構成のベルト装置の他、ベルトクリーニング装置350Aや、分離チャージャ358、駆動手段などを備えている。そして、駆動手段によってクリーニングバックアップローラ355を回転駆動させることで、ベルト部材351を図中反時計回りに無端移動せしめる。第2転写ユニット330から紙搬送装置350に受け渡された転写紙は、ベルト部材351の表面に保持されながら加熱定着装置400に向けて搬送される。そして、分離チャージャ358からの電荷の付与によってベルト表面からの分離が促されながら、分離ローラ354によるベルト支持位置でベルト表面から分離されて、加熱定着装置400に受け渡される。その後、加熱定着装置400内で加熱や加圧による定着処理が行われて、両面のトナー画像がそれぞれ溶融、混合される。更に、冷却ローラ対370と排紙ローラ371とを経た後、排紙スタック部375上に排紙される。
複数の頁の転写紙に両面記録する場合、若い頁の画像が下面となって排紙スタック部375にスタックされるように作像順序を制御する。これにより排紙スタック部375から取り出し、上下面を逆にしたとき記録物は上から順に1頁、その裏に2頁、2枚目が3頁、その裏が4頁となり頁順が揃う。このような作像順序の制御や、加熱定着装置400に入力する電力を片面記録時より増やすなどの制御は、制御部395によって実行される。
片面記録動作、両面記録動作に関して、フルカラー記録を実行させる例で説明したが、ブラックトナーだけによるモノクロ記録も可能である。メンテナンスや部品交換等の必要性が生じた場合には、不図示の外装カバー等を開放し、メンテナンスを行う。
実施形態に係る複写機は、これまで説明してきたように、像担持体たる感光体として、2種類のものを用いている。転写紙の第1面(図中上方を向く面)に転写されるトナー像を専用に担持する第1像担持体として機能するものと、第2面に転写されるトナー像を専用に担持する第2像担持体として機能するものである。第1像担持体として機能する4つの感光体は、第1トナー像形成部380Y,M,C,Kに配設されたものである。また、第2像担持体として機能する4つの感光体は、第2トナー像形成部381Y,M,C,Kに配設されたものである。このように第1面、第2面のぞれぞれに対応する専用の感光体を別々に用いることにより、第1参考形態に係るプリンタやその第1変形例装置(100)のように第1像担持体及び第2像担持体の機能を兼用させた感光体だけを用いる場合とは異なり、次のことが可能になる。即ち、第2面に転写するための第2トナー像を感光体上に形成して第1中間転写ベルト321に1次転写してから、第1面に転写するための第1トナー像を感光体上に形成するといったことを行う必要がなくなる。そして、第1トナー像、第2トナー像を、第1像担持体として機能する感光体、第2像担持体として機能する感光体に、並行して形成することが可能になる。このことにより、第1像担持体及び第2像担持体の機能を兼用させた感光体だけを用いる場合に比べて、画像形成速度を速めることができる。
また、実施形態に係る複写機は、既に説明したように、第1中間転写ベルト321と第2中間転写ベルト331とを互いに非接触に配設している。このように配設することにより、両ベルトを接触させながらその接触部に転写紙を挟み込んで搬送する場合における両中間転写ベルトの微妙な線速差による未定着トナー像の擦れを回避して、更に乱れのないトナー像を形成することができる。また、何れか一方の中間転写ベルトを停止させる必要のある故障が発生しても、片面プリントモードであれば、もう一方の中間転写ベルトを作動させて、片面プリントを実施することができる。
図15は、実施形態に係る複写機の加熱定着装置400と紙搬送装置350の一部とを示す拡大構成図である。同図に示すように、本第3変形例装置では、加熱定着装置400として、これまで説明してきたような定着ローラ対方式のものではなく、ベルト方式のものを用いている。この加熱定着装置400は、加熱定着装置400は、第1定着ベルトユニット401a、第2定着ベルトユニット401bという定着ベルトユニットの対を備えている。
第1面加熱手段たる第1定着ベルトユニット401aは、第1定着ベルト402a、第1ニップ形成ローラ403a、第1加熱ローラ404a、加熱上流第1温度センサ405a、加熱下流第1温度センサ406a等を有している。第1定着ベルト402aは、張架部材たる第1ニップ形成ローラ403aと第1加熱ローラ404aとに張架されながら、図中時計回りに回転駆動する第1ニップ形成ローラ403aによって図中時計回りに無端移動せしめられる。また、第2面加熱手段たる第2定着ベルトユニット401bは、第1定着ベルトユニット401aとほぼ同様の構成になっている。そして、第2定着ベルト402b、第2ニップ形成ローラ403b、第2加熱ローラ404b、加熱上流第2温度センサ405b、加熱下流第2温度センサ406b等を有している。
第1定着ベルトユニット401a、第2定着ベルトユニット401bは、第1定着ベルト402a、第2定着ベルト402bを、第1ニップ形成ローラ403a、第2ニップ形成ローラ403bに対する掛け回し箇所で互いに当接させて定着ニップを形成している。加熱手段たる第1加熱ローラ404a、第2加熱ローラ404bは、それぞれ金属製のローラに、ハロゲンランプ等の発熱手段を有している。そして、第1定着ベルト402a、第2定着ベルト402bを、第1ニップ形成ローラ403a、第2ニップ形成ローラ403bによるベルト掛け回し箇所とは異なる箇所で張架しながら加熱する。第1加熱ローラ404a、第2加熱ローラ404bによって加熱された第1定着ベルト402a、第2定着ベルト402bは、定着ニップに進入する。
加熱上流第1温度センサ405a、加熱上流第2温度センサ405bは、第1加熱ローラ404a、第2加熱ローラ404bによって加熱される直前の第1定着ベルト402a、第2定着ベルト402bの表面温度を周知の技術によって検知する。そして、検知結果を加熱上流第1温度信号、加熱上流第2温度信号として、図示しない制御部(E2)に送る。また、加熱下流第1温度センサ406a、加熱下流第2温度センサ406bは、第1加熱ローラ404a、第2加熱ローラ404bによって加熱された直後の第1定着ベルト402a、第2定着ベルト402bの表面温度を周知の技術によって検知する。そして、検知結果を加熱下流第1温度信号、加熱下流第2温度信号として、図示しない制御部(E2)に送る。
分離チャージャ358によって紙搬送装置350のベルト部材351から分離せしめられた転写紙Pは、加熱定着装置400の定着ニップに進入する。そして、第1面、第2面が、第1定着ベルト402a、第2定着ベルト402bによって加熱されて第1トナー像、第2トナー像が定着せしめられた後、上述の冷却ローラ対370に受け渡される。
第1ニップ形成ローラ403a、第2ニップ形成ローラ403bは、金属製の芯金に、ゴム等の弾性材料からなる弾性層が被覆されたものである。この弾性層を定着ニップで変形させることにより、第1定着ベルト402aと転写紙Pの第1面との密着性を向上させたり、第2定着ベルト402bと転写紙Pの第2面との密着性を向上させたり、定着ニップの紙搬送方向の寸法を広げたりすることができる。
第1定着ベルト402a、第2定着ベルト402bは、第1加熱ローラ404a、第2加熱ローラ404bに加熱されることによる熱ダメージを極力抑えるように、ポリイミドやポリアミドのような耐熱性の樹脂で構成されている。
従来、ベルト定着方式の加熱定着装置においては、定着ニップを形成するニップ形成ローラの内部に発熱源を設け、ニップ形成ローラを加熱手段として機能させることが多かった。しかしながら、ニップ形成ローラとしては、上述のように、転写紙と定着ベルトとの密着性を高めたり、定着ニップを紙搬送方向に幅広く形成したりする目的で、弾性層を設けたものを用いることが望ましい。このようなニップ形成ローラを加熱手段として機能させると、肉厚の弾性層に蓄熱させてしまうことから、温度変化の応答性を悪くしてしまう。具体的には、定着温度を上げるべく、発熱源に対する電源供給をONにしても、肉厚の弾性層を介して定着ベルトを昇温せしめるのに相当な時間を要してしまうのである。また、これとは逆に、定着温度を下げるべく、発熱源に対する電源供給をOFFにしても、蓄熱した肉厚の弾性層から定着ベルトへの熱伝導により、定着ベルトを降温せしめるのに相当な時間を要してしまうのである。
そこで、実施形態に係る複写機では、弾性層を設ける必要のある第1ニップ形成ローラ403aや第2ニップ形成ローラ403bによる掛け回し箇所とは異なる箇所で、第1定着ベルト402a、第2定着ベルト402bを加熱するようになっている。具体的には、ニップを形成しない第1加熱ローラ404aや第2加熱ローラ404bで、第1定着ベルト402aや第2定着ベルト402bを加熱するようになっている。
かかる構成では、発熱源から発した熱を、肉厚の弾性層に蓄熱させることなく、第1定着ベルト402aや第2定着ベルト402bに伝える。そして、第1ニップ形成ローラ403aや第2ニップ形成ローラ403bを加熱手段として機能させる場合に比べて、第1定着ベルト402aや第2定着ベルト402bの温度変化の応答性を向上させる。このことにより、定着ベルトの温度変化の応答性の悪さによって適切な加熱量での加熱がなされなくなるといった事態を抑えることができる。
なお、第1定着ベルト402aや第2定着ベルト402bの降温応答性をより高めるべく、図16に示すような第1冷却手段407a、第2冷却手段407bを加熱定着装置400に設けてもよい。図示の第1冷却手段407a、第2冷却手段407bは、第1ニップ形成ローラ402a、第2ニップ形成ローラ402bから離間した直後の第1定着ベルト402a、第2定着ベルト402bを加熱するようになっている。図示したローラ方式の冷却手段ではなく、定着ベルトに送気する方式の冷却手段など、他の方式のものを採用してもよい。
上述した第1参考形態に係るプリンタや変形例装置では、第1面トナー付着量や第2面トナー付着量を転写紙P1枚あたりで検知させていた。このような検知においては、例えば、紙面のほんの一部分だけにカラーベタ画像部があり、紙面の大部分が文字画像部である場合などに、それぞれの画像部のトナー付着量を正確に把握することができなかった。そして、このことにより、それぞれの画像部を適切な加熱量で加熱することができなかった。
そこで、実施形態に係る複写機では、転写紙Pの搬送方向における全領域を複数の分割領域に分け、それぞれの分割領域における第1面トナー付着量及び第2面トナー付着量を算出させる。そして、この算出結果に基づいて、第1面加熱温度及び第2面加熱温度を分割領域毎に制御させるように制御部E2を構成している。具体的には、まず、画像情報取得手段たるADF300Bは、原稿から読み取ったR(レッド),G(グリーン),B(ブルー)の画像情報を、Y,M,C,Kの画像情報に変換して、制御部E2に送る。制御部E2は、送られてきたY,M,C,Kの画像情報に基づいて、転写紙Pの第1面や第2面に対するY,M,C,K記録画素数を算出する。次いで、これら各色の記録画素数を、分割領域毎に分割する。例えば、紙面を先端側から第1、第2、第3、第4領域といった具合に4つの領域に分割する場合には、各色の記録画素数を第1、第2、第3、第4領域に対応する画素数にそれぞれ分割するのである。
各色の記録画素数について、それぞれ分割領域毎の数を算出したら、分割領域毎の各色記録画素数の合計に基づいて、第1面トナー付着量や第2面トナー付着量を分割領域毎に検知する。そして、検知結果に基づいて、第1面加熱温度や第2面加熱温度を分割領域毎に制御する。例えば、転写紙Pの第1面の第1分割領域が定着ニップに進入している間には、第1分割領域の第1面トナー付着量に基づいて第1面加熱温度を制御し、第1面の第2分割領域が定着ニップに進入している間には、第2分割領域の第1面トナー付着量に基づいて第1面加熱温度を制御するのである。上述のようにして定着ベルトの温度変化の応答性を速めているので、このような制御が可能になる。
なお、このようにして第1面加熱温度や第2面加熱温度を分割領域毎に制御する場合には、定着ベルトの表面温度を従来よりも厳密に管理する必要がある。具体的には、従来は、定着ニップに進入する直前の定着ベルトの表面温度に基づいて、定着ベルトに対する加熱をON/OFF制御していた。しかし、本例では、定着ベルトの表面温度の微妙な管理を実現すべく、定着ニップ通過後の定着ベルトのベルト周方向における温度分布を把握する必要がある。定着ニップ通過後の定着ベルト温度にはバラツキがあり、これを把握しないとベルトを所望の温度に正確に加熱することができないからである。よって、把握した温度分布に基づいて、定着ベルトに対する加熱量を微妙に変化させる必要がある。そこで、実施形態に係る複写機においては、第1定着ベルトユニット401a、第2定着ベルト402aに、加熱下流温度センサ(406a,b)と加熱上流温度センサ(405a,b)とを設けている。そして、加熱前の定着ベルトの表面温度を検知する加熱下流温度センサによる検知結果に基づいて、定着ニップを通過した後の定着ベルトの周方向における温度のバラツキを検知する。更に、その検知結果に基づいて、上述の分割領域毎にそれぞれ適切な加熱温度にするように、定着ベルトに対する加熱温度を設定する。
次に、第2参考形態に係る複写機について説明する。
第2参考形態に係る複写機の基本的な構成は、以下に特筆しない限り、図12に示した実施形態に係る複写機と同様である。先に示した図12において、4つの第1トナー像形成部380Y,M,C,Kと第1転写ユニット320とを備える第1画像形成部は、転写紙Pの第1面に第1トナー像を形成する第1トナー像形成手段として機能している。また、4つの第2トナー像形成部381Y,M,C,Kと第2転写ユニット330とを備える第2画像形成部は、転写紙Pの第2面に第2トナー像を形成する第2トナー像形成手段として機能している。
図17は、第2参考形態に係る複写機の電気回路の一部を示すブロック図である。制御手段たる制御部E2には、第1画像形成部、第2画像形成部、操作・表示装置390、加熱定着装置400、画像情報取得手段たる画像データ処理装置E1、異常検知手段500、カセットセンサ501などが接続されている。
カセットセンサ501は、給紙装置340に対する4つの給紙カセット340a,b,c,dの出し入れをそれぞれ個別に検知して、検知信号を制御部E2に出力する。
加熱定着装置400は、第1ヒータ408aと、第2ヒータ408bとを有している。これらは、先に図16に示した第1加熱ローラ404a、第2加熱ローラ404bに内包される発熱源である。第1ヒータ408aに電源が供給されることで、第1加熱ローラ404aが発熱する。また、第2ヒータ408bに電源が供給されることで、第2加熱ローラ404bが発熱する。
操作・表示ユニット390は、次のようなプログラムを実行することができる。即ち、操作者に対して、「異常時片面省略モード」、「異常時両面出力モード」、「異常時片面交互出力モード」、「異常時両面停止モード」という4つの異常対策運転モードを選択させるためのプログラムである。そして、操作者に対して何れか1つのモードを選択させて、その結果をモード選択信号として制御部E2に送る。制御部E2は、操作・表示ユニット390から送られてくるモード選択信号に応じて、異常対策運転モードを設定する。なお、4つの異常対策運転モードについては、後に詳述する。
異常検知手段500は、第1画像形成部の異常と、第2画像形成部の異常とをそれぞれ検知するための図示しない複数のセンサを有している。これらセンサとしては、次に列記するものを例示することができる。
・駆動モータなどといった動力源の電流負荷を検知するサーマルセンサ。
・ベルトの全周に渡って所定ピッチで設けられたマークを検知してベルトの移動速度を検知するベルト速度センサ。
・感光体の表面電位を検知する電位センサ。
・トナー濃度センサ。
異常検知手段500は、これらセンサによる検知結果に基づいて、第1画像形成部の異常や、第2画像形成部の異常を検知して、異常検知信号を制御部E2に出力する。制御部E2は、異常検知手段500から異常検知信号が送られてくると、その異常と、上述した異常対策運転モードとに基づいて、プリントプロセスを制御する。
制御部E2は、第1画像形成部又は第2画像形成部の何れか一方の異常が検知され、両面プリント命令がなされ、且つ、「異常時片面省略モード」が設定されている場合には、次のような制御を実施する。即ち、まず、画像データ処理装置から送られてくる画像情報中に含まれる第1トナー像用のデータと、第2トナー像用のデータとのうち、異常が発生していない方の画像形成部に対応するものだけをピックアップする。そして、ピックアップしたデータに基づく第1トナー像又は第2トナー像の何れか一方だけを、異常が発生していない方の画像形成部によって転写紙Pの第1面又は第2面に形成する。例えば、第1画像形成部の異常が検知されている場合には、画像情報中に含まれる第2トナー像用のデータだけをピックアップする。そして、第2画像形成部によって第2トナー像だけを第2面に形成する。複数の転写紙Pに対して複数頁に渡る画像を連続して形成する画像情報である場合にも、複数の転写紙Pに対して第2トナー像だけを第2面に順次形成していく。第2画像形成部の異常が検知されている場合には、その逆の制御を行う。具体的には、画像情報中に含まれる第1トナー像用のデータだけをピックアップする。そして、第1画像形成部によって第1トナー像だけを第1面に形成する。
また、制御部E2は、第1画像形成部又は第2画像形成部の何れか一方の異常が検知され、両面プリント命令がなされ、且つ、「異常時片面交互出力モード」が設定されている場合には、次のような制御を実施する。即ち、まず、画像情報中に含まれる第1トナー像用のデータと、第2トナー像用のデータとのうち、異常が発生していない方の画像形成部に対応するものだけをピックアップする。そして、ピックアップしたデータに基づく第1トナー像又は第2トナー像の何れか一方だけを、異常が発生していない方の画像形成部によって転写紙Pの一方の面に形成する。次に、機外に排出されたプリントアウト紙の上下を反転させて給紙カセットにセットする操作が必要である旨の文字情報を情報伝達手段たる操作・表示ユニット390に表示させる。そして、カセットセンサ501によって給紙カセットの出し入れが検知されると、今度は、第1トナー像と第2トナー像とのうち、先に形成しなかった方を、異常が発生していない方の画像形成部によって転写紙Pの他方の面に形成する。例えば、第1画像形成部の異常が検知されている場合には、まず、第2画像形成部によって第2トナー像だけを転写紙Pの一方の面に形成する。そして、上述の文字情報を表示させた後、給紙カセットの出し入れを検知すると、今度は第2画像形成部によって第1トナー像だけを転写紙Pのもう一方の面に形成する。複数の転写紙Pに対して複数頁に渡る画像を連続して出力する場合にも、同様である。具体的には、まず、第2画像形成部によって複数の転写紙Pに対して第2トナー像だけを一方の面に連続して形成する。そして、給紙カセット出し入れ後に、それら複数の転写紙Pに対して第1トナー像だけを第2画像形成部によってもう一方の面に連続して形成する。
このような制御においては、第1画像形成部又は第2画像形成部の何れか一方に異常が発生しても、異常が発生していない方の画像形成部だけを用いて、転写紙Pの両面にそれぞれ画像を形成することができる。なお、情報伝達手段として、操作者に文字情報を伝達する操作・表示ユニット390を用いた例について説明したが、音声情報や動画情報など、文字情報と異なる種類の情報を伝達するようにしてもよい。
また、制御部E2は、第1画像形成部又は第2画像形成部の何れか一方の異常が検知され、両面プリント命令がなされ、且つ、「異常時片面交互出力モード」が設定されている場合には、次のような制御を実施する。即ち、まず、異常が発生していない画像形成部によって第1トナー像を転写紙Pの一方の面に形成する。次に、新たな転写紙Pを給紙して、その転写紙Pに対して、異常が発生していない画像形成部によって第2トナー像を一方の面に形成する。即ち、1枚の転写紙Pの第1面、第2面にそれぞれ第1トナー像と第2トナー像とを形成するのではなく、異常が発生していない方の画像形成部により、2枚の転写紙Pのそれぞれ片面に、第1トナー像、第2トナー像を交互に形成するのである。例えば、第1画像形成部の異常が検知されている場合には、第2画像形成部により、1枚目の転写紙Pの第2面に第1トナー像を形成した後、2枚目の転写紙Pの第2面に第2トナー像を形成するのである。複数の転写紙Pに対して複数頁に渡る画像を連続して出力する場合にも、同様である。具体的には、1枚目、2枚目、3枚目、4枚目、5枚目、6枚目・・・の転写紙Pのそれぞれ第2面に、第1トナー像、第2トナー像、第1トナー像、第2トナー像、第1トナー像、第2トナー像・・・を順次形成していくのである。
このような制御においては、操作者に対してプリントアウト紙の上下反転再セット操作を強いることなく、転写紙Pの第1面、第2面に形成すべき全ての画像を出力することができる。
また、制御部E2は、第1画像形成部又は第2画像形成部の何れか一方の異常が検知され、両面プリント命令がなされ、且つ、「異常時両面停止モード」が設定されている場合には、次のような制御を実施する。即ち、その両面プリント命令を受け付けずに、警報を操作・表示ユニット390に表示させるのである。
また、制御部E2は、「異常時片面省略モード」、「異常時両面出力モード」又は「異常時片面交互出力モード」の何れかを実行する場合には、加熱定着装置400を次のように制御するように構成されている。即ち、第1ヒータ408aと第2ヒータ408bとのうち、異常が検知されていない方の画像形成部に対応する方だけに電源を供給して、それを内包している加熱ローラだけを発熱させる。例えば、第1画像形成部の異常が検知されている場合には、第2ヒータ408bだけに電源を供給して、両加熱ローラのうち、第2加熱ローラ404bだけを発熱させる。また、第2画像形成部の異常が検知されている場合には、第1ヒータ408aだけに電源を供給して、両加熱ローラのうち、第1加熱ローラ404aだけを発熱させる。
このような制御においては、何れか一方の画像形成部の異常が検知されたことにより、もう一方の画像形成部だけを用いて画像を形成する故障対策運転モードを実行する場合に、転写紙Pの第1面と、第2面とのうち、トナー像が形成されない方の面を不必要に加熱することによる無駄なエネルギー消費を回避することができる。
なお、粉体トナーではなく、トナーと液体キャリアとを含有する液体現像剤を用いる画像形成装置にも本発明の適用が可能である。また、電子写真方式ではなく、直接記録方式によって画像を形成する画像形成装置にも本発明の適用が可能である。この直接記録方式とは、潜像担持体によらず、トナー飛翔装置からドット状に飛翔させたトナー群を中間転写体や記録体に直接付着させて画素像を形成することで、画像を直接形成する方式である。
以上、第1参考形態に係るプリンタや各変形例装置においては、トナー付着量検知手段たる制御部E2として、画像情報取得手段たる画像データ処理装置E1やADF300Bによって取得された画像情報に基づいて、第1面トナー付着量及び第2面トナー付着量を検知するものを用いている。かかる構成では、トナー付着量を光学的に検知する光学センサを設けなくても、第1面トナー付着量や第2面トナー付着量を検知させることができる。
また、第1変形例装置においては、画像データ処理装置E1によって取得された画像情報に基づいて第1面における画像面積率と第2面における画像面積率とをそれぞれ算出し、算出結果をそのまま、あるいは算出結果に所定の演算処理した値を、それぞれ第1面トナー付着量、第2面トナー付着量として検知するものを、制御部E2として用いている。このような検知においては、第1実施形態に係るプリンタのように多色トナー像であるか否かに基づいてトナー付着量を検知する場合よりも、第1面トナー付着量、第2面トナー付着量を正確に求めることができる。そして、このことにより、転写紙Pの表裏での画像の光沢性の差をより確実に抑えることができる。
また、第2変形例装置においては、画像データ処理装置E1によって取得された画像情報に基づいて、第1面記録画素数と第2面記録画素数とをそれぞれ算出し、算出結果をそのまま、あるいは算出結果に所定の演算処理を施した値を、それぞれ第1面トナー付着量、第2面トナー付着量として検知するものを、制御部E2として用いている。このような検知においても、第1実施形態に係るプリンタのように多色トナー像であるか否かに基づいてトナー付着量を検知する場合よりも、第1面トナー付着量、第2面トナー付着量を正確に求めることができる。そして、このことにより、転写紙Pの表裏での画像の光沢性の差をより確実に抑えることができる。
また、実施形態に係る複写機においては、第1トナー像や第2トナー像として、互いに色の異なる単色画像の重ね合わせによる多色画像を形成するようにトナー像形成手段を構成し、且つ、画像データ処理装置E1によって取得された画像情報に基づいて各色毎の第1面記録画素数と第2面記録画素数とを算出し、各色の第1面記録画素数合計、第2面記録画素数合計をそのまま、あるいは合計に演算処理を施した値を、それぞれ第1面トナー付着量、第2面トナー付着量として検知するものを、制御部E2として用いている。このような検知においては、上述した理由により、多色トナー像が形成された転写紙Pの第1面トナー付着量や第2面トナー付着量を、第2変形例装置よりも正確に求めることができる。そして、このことにより、転写紙Pの表裏での画像の光沢性の差を更に確実に抑えることができる。
また、第1参考形態に係るプリンタにおいては、第1トナー像や第2トナー像として、互いに色の異なる単色画像の重ね合わせによる多色画像を形成するようにトナー像形成手段を構成し、且つ、画像データ処理装置E1によって取得された画像情報に基づいて、第1面、第2面のトナー像についてそれぞれ複数色の重ね合わせによる多色トナー像であるのか否かを判定し、判定結果に基づいて上記第1面トナー付着量、第2面トナー付着量をそれぞれ検知するものを、制御部E2として用いている。このような検知においては、各変形例装置よりも簡素な演算処理によって第1面トナー付着量や第2面トナー付着量を求めることができる。
また、実施形態に係る複写機においては、定着ベルトを複数の張架部材によって張架しながら無端移動せしめる定着ベルトユニットの対を備え、それぞれの定着ベルトをニップ形成ローラに対する掛け回し箇所で互いに当接させて定着ニップを形成し、この掛け回し箇所とは異なるベルト箇所を加熱するベルト加熱手段をそれぞれの定着ベルトユニットに有し、定着ベルトユニットの対のうち、定着ニップに挟み込んだ転写紙Pの第1面に定着ベルトを接触させる方を第1面加熱手段として機能させ、且つ、定着ニップに挟み込んだ転写紙Pの第2面に定着ベルトを接触させる方を第2面加熱手段として機能させるものを、加熱定着装置として用いている。かかる構成では、加熱手段として定着ローラ対を用いる場合よりも、加熱温度変化の応答速度を速めることができるので、連続プリントモードであっても、それぞれの転写紙Pの第1面、第2面に対して、適切な加熱量で定着処理を施すことが可能になる。そして、このことにより、連続プリントモードで連続出力される複数の転写紙Pについて、それぞれ表裏での画像の光沢性の差を抑えることができる。
また、実施形態に係る複写機においては、定着ベルトユニットの対のそれぞれに、定着ニップを通過した定着ベルト箇所を冷却するベルト冷却手段を設けている。これにより、加熱温度変化の応答速度を更に速めることができるので、連続プリントモードで連続出力される複数の転写紙Pについて、それぞれ表裏での画像の光沢性の差をより確実に抑えることができる。
また、実施形態に係る複写機においては、転写紙Pの搬送方向における全領域を複数の分割領域に分け、それぞれの分割領域における第1面トナー付着量及び第2面トナー付着量を算出するように制御部E2を構成し、且つ、分割領域毎の算出結果に基づいて第1面加熱温度及び第2面加熱温度を制御するように制御部E2を構成している。かかる構成においては、上述した理由により、転写紙Pの表裏での画像の光沢性の差だけでなく、転写紙Pの同一面におけるトナー付着量分布の片寄りによる画像の光沢性の差を抑えることもできる。
また、第2変形例装置200や、実施形態に係る複写機においては、第1像担持体として、互いに色の異なるトナー像を担持する4つの感光体を用いるとともに、第2像担持体として、互いに色の異なるトナー像を担持する4つの感光体を用いている。そして、4つの第1像担持体上のトナー像をそれぞれ第1中間転写ベルト321に重ね合わせて転写する一方で、4つの第2像担持体上のトナー像をそれぞれ第2中間転写ベルト331に重ね合わせて転写するように、トナー像形成手段を構成している。かかる構成では、上述した理由により、第1トナー像、第2トナー像を、第1像担持体として機能する感光体、第2像担持体として機能する感光体に、並行して形成することが可能になる。そして、このことにより、第1像担持体及び第2像担持体の機能を兼用させた感光体だけを用いる場合に比べて、画像形成速度を速めることができる。
また、第2変形例装置200や、実施形態に係る複写機においては、第1像担持体として、互いに色の異なるトナー像を担持する4つの感光体を用いるとともに、第2像担持体として、互いに色の異なるトナー像を担持する4つの感光体を用い、且つ、第1像担持体として機能する4つの感光体のトナー像をそれぞれ第1中間転写ベルトに重ね合わせて転写する一方で、第2像担持体として機能する他の4つの感光体上のトナー像をそれぞれ第2中間転写ベルトに重ね合わせて転写するように、両面転写装置を構成している。かかる構成では、単色トナー像よりも転写紙面上のトナー量が多くなる多色トナー像を形成する場合であっても、転写紙の表裏でそれぞれ表面粗さRaが異なることによって画像の定着性に差が出たり、表裏の何れかで画像のホットオフセットが生じたりといった事態を抑えることができる。
また、第2変形例装置100や、実施形態に係る複写機においては、記録体収容手段たる給紙装置(291、340)の紙排出部と、トナー像形成手段の紙受入部たる2次転写ニップ入り口とを鉛直方向で同じ高さにしている。かかる構成では、図9や図14に示したように、給紙装置から2次転写ニップ入口に至るまでの給紙路(288、343A)を鉛直方向に曲がりのない直線状の形状にして、給紙路内における転写紙のジャムを抑える。そして、このことにより、高速な給紙を可能にして画像形成速度を速めることができる。
また、第2変形例装置200や、実施形態に係る複写機においては、図9や図14に示したように、トナー像形成手段の記録体排出部である2次転写ニップ出口やチャージャ転写位置出口と、排出手段たる排紙ローラ対の記録体受入部であるニップ部とを同じ高さにしている。紙搬送路のうち、かかる構成では、両面転写装置の記録体排出部から、排紙ローラ対に至るまでの経路においても、鉛直方向に曲がりのない直線状の形状にして、この経路内における転写紙のジャムを抑える。そして、このことにより、更に高速な給紙を可能にして画像形成速度を速めることができる。
また、第2参考形態に係る複写機においては、操作者に情報を伝える情報伝達手段たる操作・表示ユニット390を設け、異常検知手段500によって第1画像形成部又は第2画像形成部の何れか一方の異常が検知された場合には、第1トナー像と第2トナー像とのうち、異常が検知されていない画像形成部に対応する方だけを転写紙Pの一方の面に形成した後、その転写紙Pの上下を反転させて給紙カセットにセットする操作が必要である旨の文字情報を操作・表示ユニット390によって操作者に伝達し、その後の操作者による操作に基づいて、第1トナー像と第2トナー像とのうち、先に転写紙Pに形成しなかった方を、異常が検知されていない第1画像形成部又は第2画像形成部によって転写紙Pの他方の面に形成する制御を行わせるように、制御手段たる制御部E2を構成している。かかる構成では、上述した理由により、何れか一方の画像形成部に異常が発生しても、異常が発生していない方の画像形成部だけを用いて、転写紙Pの第1面、第2面に対して、それぞれ第1トナー像、第2トナー像を形成することができる。
また、第2参考形態に係る複写機においては、異常検知手段500によって第1画像形成部又は第2画像形成部の何れか一方の異常が検知された場合には、異常が検知されていない第1画像形成部又は第2画像形成部だけを用いて、複数の転写紙Pの片面だけに、第1トナー像と第2トナー像とを交互に形成する制御を行わせるように、制御部E2を構成している。かかる構成では、上述した理由により、、何れか一方の画像形成部に異常が発生しても、操作者に対してプリントアウト紙の上下反転再セット操作を強いることなく、転写紙Pの第1面、第2面に形成すべき全ての画像を出力することができる。
また、第2参考形態に係る複写機においては、加熱定着手段たる加熱定着装置400として、転写紙Pを第1面側から加熱する第1面加熱手段たる第1加熱ローラ404aと、第2面側から加熱する第2面加熱手段たる第2加熱ローラ404bとを有するものを用いている。そして、異常検知手段500によって第1画像形成部又は第2画像形成部の何れか一方の異常が検知された場合には、第1加熱ローラ404aと第2加熱ローラ404bとのうち、異常が検知されていない画像形成部に対応する方だけを発熱させる制御を行わせるように、制御部E2を構成している。かかる構成では、上述したように、何れか一方の画像形成部の異常が検知されたことにより、もう一方の画像形成部だけを用いて画像を形成する故障対策運転モードを実行する場合に、転写紙Pの第1面と、第2面とのうち、トナー像が形成されない方の面を不必要に加熱することによる無駄なエネルギー消費を回避することができる。