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JP4668852B2 - 燃焼機器の脱硝装置 - Google Patents

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本発明は、例えば発電用の燃焼機器に適用され、アンモニアまたは尿素を還元剤として用いつつ、排ガス中の窒素酸化物の還元を図る脱硝装置に関するものである。
下記特許文献1に開示されるように、発電機の発電量に応じて定められる還元剤注入量を、排ガスの窒素酸化物濃度または排ガス流量にて補正するコジェネレーションシステムが提案されている。
特開2005−133628号公報
しかしながら、燃焼機器(エンジン)からの排ガス中の窒素酸化物濃度は、季節や天候などに左右される。そして、窒素酸化物濃度が変動すると、還元剤の量に過不足を生じ、脱硝率の低下またはリークアンモニアの増加を招くおそれがあった。
本発明が解決しようとする課題は、季節や天候などの環境変化に対応可能な脱硝装置を提供することにある。
本発明は、前記課題を解決するためになされたもので、請求項1に記載の発明は、燃焼機器からの排ガスに、窒素酸化物の還元剤を注入する還元剤注入器と、この還元剤注入器により還元剤が注入された排ガスが通され、その排ガス中の窒素酸化物の還元を図る脱硝触媒を有する脱硝反応器と、この脱硝反応器を通過した排ガス中の窒素酸化物濃度を検出するNOxセンサと、前記還元剤注入器による還元剤の注入量を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、前記燃焼機器の出力に基づき求められる基本注入量を、前記燃焼機器の出力の変化割合に基づき補正すると共に、月もしくは月日または日時に基づいて補正し、その補正後の注入量を注入するよう前記還元剤注入器による還元剤の注入量を制御し、前記補正後の注入量は、さらに前記NOxセンサにより検出される窒素酸化物濃度に基づき補正可能とされたことを特徴とする燃焼機器の脱硝装置である。
燃焼機器からの排ガスに対する還元剤注入量は、季節や時間により変化するが、請求項1に記載の発明によれば、そのような変化に対応することができる。これにより、脱硝率を安定させ、またリークアンモニアの増加を抑制することができる。
本発明にかかる燃焼機器の脱硝装置によれば、季節や天候などの環境変化に対し、還元剤注入量を補正することができる。これにより、応答性のよい制御で、脱硝率を安定させ、またリークアンモニアの増加を抑制することができる。
次に、本発明の実施の形態について説明する。
本実施形態の脱硝装置は、燃焼機器と、これから排出される排ガスに含まれる窒素酸化物を還元する還元剤の注入器と、この注入器により注入された還元剤を含む排ガスが通され、この排ガス中の窒素酸化物を還元する脱硝触媒が装填された脱硝反応器と、天候または日付に基づき前記還元剤注入器による還元剤の注入量を制御する制御手段とを有している。
前記燃焼機器は、通常のボイラや、発生させた蒸気によりタービンを回して発電する発電機に装備されるものに適用される。特に、季節変動により排出されるNOx濃度変化が比較的大きいエンジンを燃焼機器として有するもの、例えばガスタービンやディーゼルエンジンなどの燃焼機器に好適に適用される。
前記燃焼機器には、その排ガスを大気に放出するための配管が接続され、この配管の下流側に脱硝反応器が接続されるとともに、配管の途中に還元剤注入器が配置される。そして、燃焼機器から排出される排ガスに注入器から還元剤が注入され、この還元剤が脱硝反応器において排ガス中のNOxと反応し、NOxが窒素と水に分解されて無害化される。ここで還元剤としては、例えば尿素水、アンモニア、重炭酸アンモニウムなどが好適に用いられる。また、脱硝反応器に装填される脱硝触媒としては、例えばバナジウム、タングステン系のものが好適に用いられる。この脱硝触媒は、以上の還元剤と排ガス中のNOxとの反応を促進できる。
還元剤注入器としては、例えばストローク式のポンプが用いられ、このポンプの吐出側先端にノズルを取り付けて、このノズルから還元剤を排ガスに注入する。この還元剤の注入量の制御は、ポンプのストローク数を制御して行う。
前記制御手段は、前記燃焼機器の運転状態に基づき、前記還元剤注入器による還元剤の注入量を制御する。例えば発電機に装備される燃焼機器の場合、その発電機で発生するNOx量は、発電機の発電量をパラメータとする所定の関数マップにより求められるので、この実施形態では、基本的には、関数マップに基づき還元剤の基本注入量が決定される。
本発明の実施形態では、前記制御手段が発電機の発電量に基づき求められる基本注入量を天候の一つの検出目安である燃焼機器へ供給される空気の湿度に基づき補正し、その補正後の注入量を注入するよう還元剤注入器による還元剤の注入量を制御する。
また、制御手段の他の実施形態では、発電機の発電量に基づき求められる基本注入量を日付つまり月日や日時などの季節に基づき補正し、その補正後の注入量を注入するよう前記還元剤注入器による還元剤の注入量を制御する。
さらに、制御手段の別の実施形態では、発電機の発電量に基づき求められる基本注入量を天候の一つの検出目安である外気温度に基づき補正し、その補正後の注入量を注入するよう還元剤注入器による還元剤の注入量を制御する。
以上のように、制御手段で天候または季節に基づき求められる補正値を関数マップによる基本注入量つまりフィードフォワード値に乗算して、前記注入器による還元剤の注入量を調整する。さらに詳述すると、季節や天候などにより発電機の燃焼機器に吸入される空気の温,湿度が変化すると、燃焼機器で発生するNOx量も変化する。このため、前記制御手段で季節や天候などに対応した補正値を求め、この補正値に基づき前記マップの基本注入量を調整する。そして、後述の前記NOxセンサによるフィードバック制御を開始するまでは、前記補正値で調整された補正注入量を注入する。
また、発電機は、その出力変化によりNOxの排出量が変動するので、この実施形態では、制御手段により発電機の出力変化の割合を演算し、この演算の結果得られた補正値により発電機の発電量に応じて予め定められた前記マップの基本注入量を補正し、この補正されたものをフィードフォワード値として、これに基づく注入量を排ガスに注入する。つまり、発電機の負荷(出力)が増大すると、静定時に要求される還元剤量より多い量が必要となり、一方、負荷が減少すると、静定時に要求される還元剤量より少ない量しか必要としない。そこで、前記発電機の負荷(出力)の変化に応じて、前記マップの基本注入量を補正し、この補正された最適な注入量を排ガスに注入することにより、安定した所定の脱硝率が確保され、かつ、リークアンモニアが防止される。
さらに、前記脱硝反応器の出口側には、これを通過した排ガス中の窒素酸化物を検出するNOxセンサを設け、このNOxセンサによる検出値に基づきフィードバック制御して還元剤の自動注入を行うことが好ましい。このNOxセンサとしては、例えばジルコニアを素材とする安価なジルコニア式のものが好適に用いられる。
また、前記制御手段には、NOxセンサにより検出されるNOx濃度に基づき粗補正注入量を微調整する微調整係数を許容範囲内に収めるよう前記粗補正係数を修正する機能を具備させることが好ましい。つまり、還元剤の注入量制御を行っているとき、微調整係数が所定の許容値を超えると、前記NOxセンサからのフィードバック信号で前記関数マップを増方向に、また、許容値以下になると関数マップを減方向に微調整係数が許容範囲内に収まるように前記租補正係数を調整する。これにより、さらに安定した脱硝率が確保され、かつ、リークアンモニアが確実に防止される。
以下、本発明にかかる脱硝装置の具体例を図面に基づいて説明する。図1は本発明の一実施形態にかかる脱硝装置の制御回路図である。この図の実施例では、NOxの排出源となる燃焼機器を備えた発電機1と、この発電機1から延びる配管2に接続され、内部に例えばバナジウム系の脱硝触媒が装填された脱硝反応器3と、配管2における発電機1の下流側に配置され、配管2内を通る排ガスに、これに含まれるNOxを還元する例えば尿素水(還元剤)を注入する噴霧ノズル41を備えたポンプからなる還元剤注入器4と、天候または日付に基づき還元剤注入器4による還元剤の注入量を制御する制御手段5と、配管2における脱硝反応器3の出口側に設けられ、この反応器3を通過した排ガス中に含まれるNOxを検出する例えばジルコニア式のNOxセンサ6とを備えている。このNOxセンサ6は、センサユニット61と検出部62とからなる。
図1の実施例では、制御手段5に、発電機1の出力部10からの信号を微分(dp/dt)して、このdp/dt値が規定値以上か以下かを判定して、その判定に基づき補正値K0を演算計出して出力する出力変化割合演算回路51と、その補正値K0を発電機1の発電量に応じて予め定められた関数マップMの基本注入量に加減算して補正する補正加算回路52が接続されている。そして、補正加算回路52において、出力変化割合演算回路51による補正値K0を発電機1の発電量に応じて予め定められた関数マップMの基本注入量に加減算して、この基本注入量を調整し、この調整された注入量をフィードフォワード値として注入量の制御を行っている。
また、制御手段5には、NOxセンサ6により検出されるNOxの濃度変化に基づき粗補正係数K1を演算して実際のNOx濃度に対応した粗補正注入量を計出する粗補正演算回路7と、NOxセンサ6で検出されるNOx値をフィードバックして、NOx値を減少させる新たな微調整係数K2を演算して計出する微調整演算回路8とが接続され、粗補正演算回路7と微調整演算回路8で得られる粗補正係数K1および微調整係数K2に基づく制御手段5からの出力によりPID制御運転を行う。つまり、微調整演算回路8で計出された微調整係数K2を粗補正演算回路7で計出された粗補正係数K1に乗算して最適な注入量を求め、この注入量で還元剤を注入して脱硝を行う。
さらに、制御手段5は、天候または季節の変化に基づき還元剤の注入量を制御する。ここで、図1の実施例では、制御手段5に天候の検出目安となる温,湿度計91を接続し、この温,湿度計91による検出結果に基づき制御手段5で補正値Kを演算計出し、この補正値Kを前記フィードフォワード値に乗算して、この補正値Kが乗算されたフィードフォワード値で注入量の制御を行うようにしている。
また、図2の実施例では、制御手段5に季節の変化つまり月日や日時を検出するための時計,カレンダー計92を接続し、これらカレンダー計92などによる検出結果に基づき制御手段5で補正値Kを演算計出し、この補正値Kを前記フィードフォワード値に乗算して、この補正値Kが乗算されたフィードフォワード値で注入量の制御を行うようにしている。
以上の構成とした脱硝装置による脱硝作用を図3に示すフローチャート図に基づいて説明する。発電機1による発電時に基本的には、ステップST1において、横軸に発電機1の発電量を縦軸に還元剤の注入量xをとった関数マップMを用い、この関数マップMに基づき還元剤注入器として用いたストローク式ポンプが回転制御され、その回転制御によりノズル41からの還元剤の注入量が可変制御される(ステップST6)。ポンプの回転制御は、4〜20mAの電流値に変換された電気信号によりストローク数を比例制御して行う。また、ポンプは、オートAとマニュアルMに切換可能とされており、例えば設定変更時や試験点検時などにはマニュアル運転が、通常時にはオート運転が行われる。
また、発電時には、ステップST2において、発電機1の出力変化の割合(dp/dt)が検知され、その変化に基づき出力変化割合演算回路51で補正値K0が演算計出されて、この補正値K0により関数マップMの注入量xが補正され、この補正された注入量(=x+K0)に基づきノズル41からの還元剤の注入量が可変制御される。
さらに、ステップST3において、温,湿度計91(図1)または時計,カレンダー計92(図2)による検出結果に基づき制御手段5で天候や季節に対応した補正値Kが演算計出される。そして、制御手段5において補正値Kが前述した補正値K0による補正注入量(=x+K0)に乗算され、この乗算された注入量(=(x+K0)×K)が注入される。
また、ステップST4において、粗補正演算回路7でNOxセンサ6により検出されるNOx濃度に基づき粗補正係数K1が計出される。そして、制御手段5において粗補正係数K1が、前記乗算注入量(=(x+K0)×K)に乗算され、この乗算された注入量(=(x+K0)×K×K1)が注入される。
ステップST4での注入量制御は、発電機の負荷が一定以上になって負荷が安定するまで行われる。この後、ステップST5において、前記補正注入量(=(x+K0)×K×K1)に前記微調整演算回路8により計出される微調整係数K2が乗算されて、この乗算された注入量(=(x+K0)×K×K1×K2)が注入される。
ここで従来から、フィードフォワード制御とフィードバック制御とを組み合わせた制御が知られているが、関数マップMのような固定値によるフィードフォワード制御では、発電機の負荷変動に対応できるが、季節や天候などの環境変化に対応できない。フィードバック制御では、環境変化に対応できるが、発電機の起動時から発電機の負荷変動がない一定以上の負荷になるまでの間は、適正なフィードバック値が得られなかった。すなわち還元剤を注入してから還元剤によるNOxの低減効果がNOxセンサ6により検出されるまでに遅れ(応答遅れ)が生じるので、この応答遅れの間は、適正なフィードバック値が得られない。そこで、この実施例では、微調整補正係数K2(フィードバック値)が許容範囲から外れると、微調整補正係数K2を許容範囲内に収めるように粗補正係数K1を調整することで、前記応答遅れの間の粗補正係数K1を適正な値とし、前記応答遅れの間の環境変化に対応できる制御を実現させている。
図4はNOxセンサ6による微調整補正係数K2により粗補正係数K1を調整するときの説明図である。この図では、微調整補正係数K2の上限を2.0、下限を0.0、基準規定値を1.0としたとき、微調整補正係数K2が0,95よりも小さい領域では、関数マップMを減方向に補正するように粗補正係数K1を調整し、また、微調整補正係数K2が1,05より大きい領域では、関数マップMを増方向に補正するように粗補正係数K1を調整する。すなわち、微調整補正係数K2が0.95から1,05の許容範囲内に収まるように粗補正係数K1の調整が行われる。ここで粗補正係数K1は、0.0から2,0の範囲の値であり、粗補正係数K1の調整に際しては、例えば0.002/分の割合で行う。
本発明にかかる脱硝装置の一つの実施例を示す制御回路図である。 本発明の別の実施例を示す制御回路図である。 本発明の脱硝装置による脱硝作用を説明するフローチャート図である。 NOxセンサからのフィードバック値に基づき粗補正係数を調整するときの説明図である。
符号の説明
3 脱硝反応器
4 還元剤注入器
5 制御手段
6 NOxセンサ

Claims (1)

  1. 燃焼機器からの排ガスに、窒素酸化物の還元剤を注入する還元剤注入器と、
    この還元剤注入器により還元剤が注入された排ガスが通され、その排ガス中の窒素酸化物の還元を図る脱硝触媒を有する脱硝反応器と、
    この脱硝反応器を通過した排ガス中の窒素酸化物濃度を検出するNOxセンサと、
    前記還元剤注入器による還元剤の注入量を制御する制御手段とを備え、
    前記制御手段は、前記燃焼機器の出力に基づき求められる基本注入量を、前記燃焼機器の出力の変化割合に基づき補正すると共に、月もしくは月日または日時に基づいて補正し、その補正後の注入量を注入するよう前記還元剤注入器による還元剤の注入量を制御し、
    前記補正後の注入量は、さらに前記NOxセンサにより検出される窒素酸化物濃度に基づき補正可能とされた
    ことを特徴とする燃焼機器の脱硝装置。
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