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JP4666960B2 - 静電チャック - Google Patents

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Description

半導体の製造に使用するCVD、PVD、スパッタリング、SOD、SOG、等の成膜装置やエッチング装置において、半導体ウェハを保持するウェハ保持部材に関する発明であって、特にウェハをジョンソンラーベック力やクーロン力で保持して、成膜装置やエッチング装置内等の真空中でウェハを保持する静電チャックに関するものである。
半導体デバイスを製造する半導体ウェハ(以下、ウェハという)の処理工程であるCVD、PVD、スパッタリング、SOD、SOG等の成膜工程やエッチング工程では、被処理物であるウェハに均一な厚みで均質な膜を成膜することや、成膜した膜に均一な深さでエッチングを施すことが重要である。
このため、ウェハを保持するウェハ保持部材には、ウェハ保持部材の内部またはウェハ載置面とは反対側の面に電極を配して、電極に電圧を印することによりジョンソンラーベック力やクーロン力を発現させてウェハ載置面に吸着する静電チャックが使われている。その静電チャックには発熱体電極を内蔵したり静電吸着用電極を内蔵したりして、大きな吸着力や、ウェハを均一に加熱することが要求されてきた。
特許文献1には図2に示すように基体23と絶縁性誘電層21と、基体21と絶縁性誘電層23との間に形成されている電極22とを備えており、電極22上に絶縁性誘電層21を介して被処理物を吸着するように構成されており、基体23と絶縁性誘電体21層の材質が窒化アルミニウムであり、常温における絶縁性誘電体層21の体積抵抗率が1×10Ωcm〜1×1016Ωcmであり、使用温度が常温〜500℃の範囲内にあり、前記使用温度において前記絶縁性誘電体層21の体積抵抗率が1×10Ωcm〜1×1013Ωcmで、絶縁性誘電体層21の平均厚さが0.5mm〜5.0mm、単位面積あたりの漏れ電流が0.027mA/cm以下、前記絶縁性誘電層の表面粗さの最大高さRmaxが3μm以下で、気孔率が3%以下であることを特徴とする静電チャックが提案されている。
上記静電チャックの原理は、静電チャック内部または、ウェハ載置面と反対側の面に配した電極に電圧を印して、ジョンソンラーベック力やクーロン力を発現させてウェハをウェハ載置面に吸着することにある。このため、電極には繰り返し電圧を印し、ウェハを吸着してウェハを処理する、ウェハの処理が終わったら、印加した電圧を解除するという使用法となっている。
特許第3457477号公報
静電チャックの電極に電圧の印加と解除を繰り返すと、載置面と電極に挟まれた誘電体層は繰り返し大きな電界に曝されることから、静電チャックとしての使用する上で、使用初期には問題なく使えても、電圧の印加と解除を長期間に渡り繰り返すことにより、載置面と電極に挟まれた誘電体層が絶縁破壊を起こすという問題があった。
特許文献1に示す前記従来の発明では、静電チャックとして使用し始めの初期には、問題なく使えるが、電圧の印加と解除を長期間に渡り繰り返すことにより、誘電体層が絶縁破壊に至り、電圧印加サイクルに対する耐久性が劣るとの問題があった。
すなわち、本発明の静電チャックは、窒化アルミニウムからなる板状セラミックス体の一方の主面をウェハ載置面とし、上記板状セラミックス体の他方の主面または内部に電極を備えた静電チャックであって、上記電極から上記ウェハ載置面までの平均距離が0.015cm以上、上記電極と上記ウェハ載置面の間の誘電体層の体積固有抵抗値と上記平均距離の積が1×10〜5×1016Ω・cmであるとともに、上記誘電体層を形成する窒化アルミニウムの平均粒径が1〜20μm、且つ上記誘電体層の開気孔率が1%以下、さらに上記誘電体層には粒内気孔と粒界気孔が存在し、該粒界気孔の平均径が上記窒化アルミニウムの平均結晶粒径より小さく、上記誘電体層の粒界気孔の比率Sgと粒内気孔の比率Scとの比Sg/Scが1.0以下であることを特徴とする。
また、上記誘電体層が窒化アルミニウムを主成分として3a族金属酸化物からなる副成分を0.2〜15質量%含むことを特徴とする。
また、上記3a族金属がセリウムであることを特徴とする。
また、上記窒化アルミニウムからなる板状セラミックス体が0.2〜200MPaの非酸化性雰囲気中にて1800〜1900℃以下の温度で0.5〜20時間以内保持して焼結させたことを特徴とする。
本発明によれば、半導体の製造に使用するCVD、PVD、スパッタリング、SOD、SOG、等の成膜装置やエッチング装置において、半導体ウェハを保持するウェハ保持部材であって、特にウェハをジョンソンラーベック力やクーロン力で保持して、成膜装置やエッチング装置内の真空中においてウェハを保持できる静電チャックであって、5kVの電圧を1分間印加した後、電圧を解除する電圧印加解除サイクルを1万サイクル繰り返しても載置面と電極に挟まれた誘電体層が絶縁破壊することが無く、耐久性に優れた静電チャックを提供できる。
図1は本発明の一例である静電チャック1の概略の断面構造を示す。
この静電チャック1は、板状セラミックス体2の内部に電極3を埋設し、板状セラミックス体2の一方の主面をウェハWを載せる載置面2aとし、上記板状セラミックス体2の他方の主面には一対の電極3と接続した給電端子4を備えている。そして、ウェハWを載置面2aに載せて給電端子4に電圧を印加すると電極3とウェハWの間で静電吸着力が作用しウェハWを強固に載置面2aに固定することができる。そして、ウェハWに様々な加工処理を行った後、電極3への電圧を遮断するとウェハWを載置面2aから取り除くことができる。
本発明の静電チャック1は、窒化アルミニウムからなる板状セラミックス体2の一方の主面をウェハの載置面2aとし、上記板状セラミックス体2の他方の主面または内部に電極3を備え、電極3から載置面2aまでの誘電体層2bの平均距離tが0.015cm以上であるとともに、電極3から載置面2aの間の誘電体層2aの体積固有抵抗値Rと上記平均距離との積(=t×R)が1×10〜5×1016Ωcm以下であるとともに、誘電体層2aを形成する窒化アルミニウムの平均粒径が1〜20μmであり、且つ誘電体層2aの開気孔率が1%以下であることを特徴とする。
窒化アルミニウムからなる板状セラミックス体2の一方の主面をウェハの載置面2aとし、上記板状セラミックス体2の他方の主面または内部に電極3を備えた静電チャック1であって、電極3からウェハ載置面2aまでの誘電体層2bの平均距離を0.015cm以上としたのは、誘電体層2bの厚みが厚ければ厚いほど、誘電体層2bの体積固有抵抗が大きければ大きいほど、繰り返し電圧印加解除サイクルに対しての耐久性が向上するが、そもそも誘電体層2の厚みが0.015cm未満では、誘電体層2の厚みが薄すぎるために本発明が目的とする繰り返し耐電圧サイクルに対しての充分な耐久性が得られないからである。よって、誘電体層2の厚みは平均で0.015cm以上であることが重要である。
更に、電極3からウェハ載置面2aまでの平均距離tと電極3からウェハ載置面1の間の誘電体層2bの体積固有抵抗値Rの積t×Rが1×10〜5×10 Ω・cmが好ましいとしたのは、前述のように誘電体層2bの厚みtが厚ければ厚いほど、誘電体層2bの体積固有抵抗Rが大きければ大きいほど、繰り返し電圧印加除去サイクルに対しての耐久性が向上することから、その積t×Rを繰り返し電圧印加除去サイクルに関する耐久性を代表する指数と考えることができる。
積t×Rが1×10Ωcmを下回ると、誘電体層2bの厚みが薄すぎるか、誘電体層2bの体積固有抵抗Rが小さ過ぎるかのどちらかあるいは両方の理由で本発明が目的とする繰り返し電圧印加除去サイクルに対しての充分な耐久性が得られないからである。
また、積t×Rが5×10 Ω・cmをえると、静電チャックでは、半導体の製造工程であるCVD、PVD、スパッタリング、SOD、SOG、等の成膜装置やエッチング装置において、半導体ウェハを保持するウェハ保持部材であって、特にウェハをジョンソンラーベック力やクーロン力で保持して、成膜装置やエッチング装置内の真空中においてもウェハWを保持した後に電圧を解除して吸着したウェハWを離脱して次工程に進めることが困難になる。吸着したウェハWを離脱するには、電極3に電圧を印加して発現した誘電分極を平衡にしなければならないが、積t×Rの値が5×1015Ω・cmえると、誘電体層2bの厚みが厚すぎるか、誘電体層2bの体積固有抵抗Rが大きすぎるために誘電分極した電荷が平衡となるまでの時間がくなるために、ウェハWが離脱可能となるまでの時間が長くなり過ぎるために本発明が目的とする繰り返し電圧印加解除サイクルに対しての充分な耐久性は得られても、静電チャックとしては全く好ましくないものとなってしまう。
よって、電極3からウェハ載置面2aまでの平均距離tと電極3からウェハ載置面2aの間の誘電体層2bの体積固有抵抗値Rの積が1×10Ωcm〜5×1015Ωcmとすることが重要である。
更に、誘電体層2bを形成する窒化アルミニウムの平均粒径が1〜20μmとしたのは、窒化アルミニウムの平均粒径が本発明が目的とする繰り返し電圧印加解除サイクルに対する耐久性に大きく影響することを見いだしたからである。
窒化アルミニウムの平均粒径は1μm未満であっても、20μmをえる値であっても上記平均粒径が本発明が目的とする繰り返し耐電圧サイクルに対する耐久性に対しては好ましくない。窒化アルミニウムの平均粒径が1μm未満で繰り返し電圧印加解除サイクルに対する耐久性が劣化する理由は、窒化アルミニウムの粒径1μm未満では窒化アルミニウムの粒径が細かすぎて、各粒子の耐電圧性が乏しくなるため、単極1kVの電圧を1分間印加した後、電圧を解除するサイクルにおいて、その初期には絶縁破壊が発生しないが、繰り返し行うことにより、窒化アルミニウム粒子の1ヶ、1ヶが破壊することから、1万サイクルに到達する前に絶縁破壊に至る虞がある。
窒化アルミニウムの平均粒径が20μmを超えると繰り返し電圧印加解除サイクルに対する耐久性が劣化する理由は、窒化アルミニウムの平均粒径20μmをえると窒化アルミニウムの粒径が大きくなりすぎて、絶縁破壊の原因となる格子欠陥が粒界相に多量に発生するからである。格子欠陥が多いと該格子欠陥が徐々に絶縁破壊してゆき、単極1kVの電圧を1分間の印加した後電圧を解除する電圧印加解除サイクルの初期には絶縁破壊が発生しないが、繰り返し行うことにより、絶縁破壊した格子欠陥が連なり、1万サイクルに到達する前に絶縁破壊に至る虞がある。
よって、該誘電体層2を形成する窒化アルミニウムの平均結晶粒径は1〜20μmであることが重要である。
尚、窒化アルミニウムの平均結晶粒径を求めるために載置面2aを形成する誘電体層を鏡面研摩した後、エッチングした。そしてエッチング面をSEM(走査電子顕微鏡)で2000倍の写真を撮影し写真に7cmの線を3本引き、その線を横切る窒化アルミニウムの結晶の数で線分の総長さを除して平均結晶粒径を求めた。
更に、該誘電体層2bの開気孔率1%以下としたのは、本発明者が鋭意研究の結果、繰り返し電圧印加解除サイクルに対する耐久性に影響するのは誘電体層2bの開気孔率であることを見いだしたからである。
特許文献1では、気孔率が3%以下であることが記載されているが、窒化アルミニウムをホットプレス法で焼結したものは焼結体の表面層近くの開気孔率が1.3%と大きく静電チャックの誘電体層が上記焼結体の表面層近くにあることから開気孔率を1%以下に抑えることはできなかった。そこで繰り返し耐電圧サイクルに対する耐久性には全く乏しい発明である。この点においても本発明は、特許文献1とは全く異なる発明であることが明白である。
繰り返し電圧印加解除サイクルに対する耐久性に影響するのは誘電体層2bの開気孔率である理由は、電体層2bに開気孔があるとウェハWの吸着面と開気孔部の底面との間は非常薄い空間であるため、放電が発生し、開気孔部から徐々に絶縁破壊が進行し、最終的に誘電体層2bが絶縁破壊に至る。つまり、静電チャックとして使用し始めの初期には問題なく使用できるが、繰り返し使用してゆく内に徐々に徐々に誘電体層2の絶縁破壊が進展し、最終的に絶縁破壊に至るのである。よって、該誘電体層2の開気孔率が1%以下であることが重要である。
本発明によれば、以上のように、窒化アルミニウム質焼結体からなる板状セラミックス体の一方の主面をウェハの載置面1とし、上記板状セラミックス体の他方の主面または内部に電極3を備えた静電チャックであって、電極からウェハ載置面までの誘電体層2の平均距離が0.015cm以上であり、更に電極からウェハ載置面までの平均距離と電極からウェハ載置面までの部分を形成する誘電体層2の体積固有抵抗値の積が1×10〜5×10 Ωcmであり、更に誘電体層2bを形成する窒化アルミニウムの平均粒径が1〜20μmであり、更に該誘電体層2bの開気孔率1%以下とすることにより、5kVの電圧を1分間印加した後、電圧を解除する電圧印加解除サイクルを1000サイクル繰り返し行っても、誘電体層2bが絶縁破壊しない静電チャック1を提供できる。
誘電体層の断面をSEMで1万倍〜6万倍で観察すると、気孔には結晶粒内にある粒内気孔と結晶粒界にある粒界気孔が存在することが判る。SEMにて1万倍〜6万倍の写真の5cm角の中で粒界気孔の最大径を求め、10枚の写真の最大径の平均値を粒界気孔の平均径とすると、この粒界気孔の平均径が窒化アルミニウムの平均結晶粒径より小さいことが重要である。これは、開気孔率を0.8%以下とするためである。粒界気孔の平均径が窒化アルミニウムの平均結晶粒径と同等か大きいと窒化アルミニウム質焼結体を構成する窒化アルミニウム粒子の脱粒が起こりやすくなるため、如何に緻密に焼結したとしても、後の機械加工により脱粒が発生するために開気孔率を発生させてしまうからである。以上のように本発明者らは鋭意研究の結果、開気孔率を0.8%以下とするためには粒界気孔の平均径が窒化アルミニウムの平均結晶粒径よりも小さいことが重要であることを見いだした。
また、誘電体層の断面をSEMで1万倍〜6万倍で観察すると気孔には粒内気孔が存在するが、SEMにて1万倍〜6万倍の写真を10枚撮影し、これらの写真の各5cm角の範囲の中で粒内気孔の最大径を求め、これらの最大径と同じ直径の円の面積を評価範囲250cmの実際の面積で除した値を粒内気孔の比率Scとして計算した。また、同様に粒界気孔の比率Sg値を算出した。そして、SgとScの比Sg/Scを求めた。そして比Sg/Scが1.0以下であることが重要である。これは、開気孔率を0.6%以下とするためである。Sg/Scが1.0以上となり、粒界気孔の存在比率が増してくると、機械加工によって、窒化アルミニウム粒子の脱粒が増すために開気孔率が増えてしまう。本発明者らは鋭意研究の結果、開気孔率を0.6%以下とするためにはSg/Scが1.0以下であることが重要であることを見いだした。
また、誘電体層が窒化アルミニウムを主成分として3a族金属酸化物からなる副成分を0.2〜15質量%含むことが好ましい。これは、体積固有抵抗値を任意の所望の値に制御することができるからである。
また、3a族酸化物を形成する3a族金属がセリウムであることが好ましい。これは、3a族金属の中でもセリウムが最も耐繰り返し電圧印加解除サイクル性に富むからである。その理由は、酸化セリウムは窒化アルミニウム質焼結体の粒界にCeAlOで現される化合物を形成するが、このCeAlOは窒化アルミニウムの粒子表面を覆う極薄いAl層と三価のCeの酸化物であるCeが反応して形成されるため、窒化アルミニウム粒子と粒界相との間の欠陥所謂粒界欠陥をほぼゼロに近くできるからである。
また、本発明の静電チャック1は、該窒化アルミニウムからなる板状セラミックス体2が0.2〜200MPaの非酸化性雰囲気中にて1800〜1900℃の温度で0.5〜20時間保持して焼結させたとしたのは、誘電体層2bの平均粒子径と開気孔率を制御するためである。窒化アルミニウムの板状セラミックス体2の製造方法は、ホットプレス法、雰囲気加圧焼成法、HIP法などがあるが、ホットプレス法では、カーボン型と製品が直接接触するために、カーボン型に窒化ボロンなどを塗布して焼結する。窒化ボロンと窒化アルミニウム質焼結体との反応により、開気孔が発生し易い。ホットプレス法で得た窒化アルミニウムからなる板状セラミックス体2の開気孔率を低下させるためには、ホットプレス面から少なくとも0.5mm以上を研削で除去する必要があるが、全くもって量産性に乏しく好ましくない。雰囲気加圧焼成法またはHIP法では、焼成雰囲気を非酸化性雰囲気の圧力で0.2〜200MPaとすることにより、開気孔率を0.5%以下とすることができる。更に焼成温度を1800℃〜1900℃とし、焼成保持時間を0.5〜20時間とすることにより、窒化アルミニウムの平均粒径を5〜15μmとすることが可能となり、単極1kVで印加時間1分間の電圧印加除去サイクル試験において20000サイクル以上の電圧印加除去サイクル試験を繰り返しても誘電体層2bが絶縁破壊しない静電チャック1が得られる。
次に本発明の静電チャック1のその他の製造方法を説明する。
静電チャックを構成する板状セラミックス体2としては、窒化アルミニウム質焼結体を用いることができる。窒化アルミニウム質焼結体の製造に当たっては、窒化アルミニウム粉末に重量換算で10質量%以下程度の第3a族酸化物を添加し、IPAとウレタンボールを用いてボールミルにより48時間混合し、得られた窒化アルミニウムのスラリーを200メッシュに通し、ウレタンボールやボールミル壁の屑を取り除いた後、防爆乾燥機にて120℃で24時間乾燥して、均質な窒化アルミニウム混合粉末を得る。そして、該混合粉末にアクリル系のバインダーと溶媒を混合して窒化アルミニウム質のスリップを作成し、ドクターブレード法にてテープ成形を行う。得られた窒化アルミニウムのテープを複数枚積層し、その上に静電吸着用の電極3としてタングステンをスクリーン印刷法で形成し、無地のテープに所望の密着液を塗り、テープを複数枚重ねてプレス成形して成形体を得る。
得られた成形体を非酸化性ガス気流中にて500℃で5時間程度の脱脂を行い、更に非酸化性雰囲気にて0.2〜200MPの圧力下にて1800℃〜1900℃の温度で0.5〜20時間保持して焼結させる。このようにして電極3を埋設した窒化アルミニウム質焼結体を得る。
こうして得られた窒化アルミニウム質焼結体に所望の形状が得られるように機械加工を施す。更に、電極3へ電圧を印するための金属端子4をメタライズ法などの方法を用いて接合する。このようにして図1に示す本発明の静電チャック1が得られる。
窒化アルミニウム粉末に重量換算で10質量%以下の第3a族酸化物を添加し、IPAとウレタンボールを用いてボールミルにより48時間混合し、得られた窒化アルミニウムのスラリーを200メッシュに通し、ウレタンボールやボールミル壁の屑を取り除いた後、防爆乾燥機にて120℃で24時間乾燥して、均質な窒化アルミニウム質混合粉末を得る。得られた窒化アルミニウム質混合粉末にアクリル系のバインダーと溶媒を混合して窒化アルミニウム質のスリップを作成し、ドクターブレード法にてテープ成形を行った。
得られた窒化アルミニウムのテープを複数枚積層し、その上に電極としてタングステンを印刷法で形成し、無地のテープに所望の密着液を塗り、テープを複数枚重ねてプレス成形を行った。
得られた窒化アルミニウムとタングステン電極の混合成形体を非酸化性ガス気流中にて500℃で5時間程度の脱脂を行い、更に非酸化性雰囲気の0.1MPaの圧力下にて1900〜2050℃の温度で0.1〜20時間の焼成を行い、窒化アルミニウム質焼結体を得た。
こうして得られた窒化アルミニウム質焼結体に所望の形状が得られるように機械加工を施した。機械加工を施した窒化アルミニウム質焼結体の乾燥重量、水中重量、抱水重量を測定し、アルキメデス法にて開気孔率を求めた。更に所望のガス溝(不図示)をウェハの載置面にサンドブラストなどの方法で形成した。更に電極へ電圧を印するための金属端子を銀ろうを用いたメタライズ法で接合した。
そして、電極から載置面までの平均距離は、超音波法により測定した。中心部1箇所と周辺部4箇所の5箇所の平均値で求めた。
得られた静電チャックをあらかじめ超音波検査してクラックや剥がれの発生していないことを確認した後に大気中、25℃の環境において、金属端子4を経由して、電極3に単極1kVの電圧を1分間印して、解除するという方法で繰り返し耐電圧サイクル試験を絶縁破壊するまで行った。その際には、ウェハ載置面1にはウェハ(不図示)を吸着させて試験を行った。耐電圧サイクル試験終了後に製品を切断し、誘電体層の電極付近1カ所、載置面付近1カ所、電極と載置面の中間付近1カ所をSEMにて1000倍の組織を撮影し、各写真から任意に20ヶのAN粒子の粒子径を測定し、その全平均を算出し、平均粒径とした。
表1にその結果を示す。
Figure 0004666960
表1の試料No.15の電極から載置面までの平均距離は、0.014mmと小さく電圧印加除去サイクルが521回で絶縁破壊した。
また、電極から載置面までの平均距離tと誘電体層の体積固有抵抗Rの積が1×10Ω・cmを下回る試料No.16は電圧印加除去サイクルが800回で絶縁破壊した。
また、上記平均距離tと上記体積固有抵抗Rの積が5×10 Ω・cmえる試料(表1には記載なし)は電圧印加除去サイクルを1000回まで行っても、絶縁破壊は発生しないが、誘電分極した電荷が平衡となるまでの時間が大きくなるために、ウェハWが離脱可能となるまでの時間が長くなり過ぎるため、静電チャックとして機能しなかった。
従って、電極から載置面までの平均距離tと誘電体層の体積固有抵抗Rの積の値は1×10Ω・cm〜5×10 Ω・cmであることが好ましいことが分る。
また、窒化アルミニウムの平均粒径が0.9μmと小さく1μmを下回る試料No.17は電圧印加除去サイクルが720回で絶縁破壊した。
更に、上記平均粒径が20μmを超える試料No.18は電圧印加除去サイクルが825回で絶縁破壊した。
従って誘電体層を成す窒化アルミニウムの平均粒径は1〜20μmが好ましいことが分る。
更に、誘電体層の開気孔率が1.1%と大きく1%をえる試料No.19は電圧印加除去サイクルが771回で絶縁破壊した。
以上の結果から、平均距離が0.015cm以上で積(t*R)が1×10〜5×10 Ωcmで、平均粒径が1〜20μmで、開気孔率が1%以下である試料No.11〜14は電圧印加除去サイクルが1000回以上と大きく絶縁破壊が発生し難く、優れた特性を示すことが分った。
窒化アルミニウム粉末に重量換算で0.1〜20質量%以下の第3a族酸化物を添加し、IPAとウレタンボールを用いてボールミルにより48時間混合し、得られた窒化アルミニウムのスラリーを200メッシュに通し、ウレタンボールやボールミル壁の屑を取り除いた後、防爆乾燥機にて120℃で24時間乾燥して、均質な窒化アルミニウム質混合粉末を得る。得られた窒化アルミニウム質混合粉末にアクリル系のバインダーと溶媒を混合して窒化アルミニウム質のスリップを作成し、ドクターブレード法にてテープ成形を行った。
得られた窒化アルミニウムのテープを複数枚積層し、その上に電極としてタングステンを印刷法で形成し、無地のテープに所望の密着液を塗り、テープを複数枚重ねてプレス成形を行った。
得られた窒化アルミニウムとタングステン電極の混合成形体を非酸化性ガス気流中にて500℃で5時間程度の脱脂を行い、更に非酸化性雰囲気の0.1MPaの圧力下にて1900〜2050℃の温度で0.1〜20時間の焼成を行い、窒化アルミニウム質焼結体を得た。
そして、実施例1と同様に静電チャックを作製し評価した。
その結果を表2に示す。
Figure 0004666960
試料No.21〜22、や24〜35に示すように、粒界気孔の平均径が窒化アルミニウムの平均結晶粒径より小さい静電チャックは絶縁破壊した電圧印加除去サイクル数が3800回以上と大きく好ましいことが分った。
一方、試料No.23のように粒界気孔の平均径が窒化アルミニウムの平均結晶粒径より大きなものは絶縁破壊した電圧印加除去サイクル数が2700回と上記試料と比べ小さかった。
また、誘電体層の粒界気孔の比率Sgと粒内気孔の比率Scとの比Sg/Scが1.0以下である試料No.21〜22、24〜26、28〜35は絶縁破壊した電圧印加除去サイクル数が4200回以上と大きく更に好ましいことが分った。
また、試料No.21〜35のように誘電体層の副成分がYb、Y、Ce等の3a族金属酸化物であると絶縁破壊するまでの電圧印加除去サイクル数が2700回以上と大きく好ましいことが分る。
更に、試料No.28〜34のように副成分の3a族金属酸化物の含有量が0.2〜15質量%含むものは絶縁破壊するまでの電圧印加除去サイクル数が5050回以上と更に好ましことが分った。
更に、試料No.27〜35は副成分の金属がCe元素であると絶縁破壊するまでの電圧印加除去サイクル数が3800回以上であることから好ましいことが分った。
窒化アルミニウム質焼結体の焼成を非酸化性雰囲気の0.1MPa〜300MPaの圧力下にて1700℃〜2000℃の温度で0.1時間〜20時間の焼成を行い、誘電体層の平均粒径と開気孔率を実施例1と同様に測定し評価した。
その結果を表3に示す。
Figure 0004666960
試料No.41〜55に示すように、窒化アルミニウム質焼結体の焼成を非酸化性雰囲気の0.2〜200MPa以下の圧力下にて1800〜1900℃以下の温度で0.2〜20時間以下とすることにより、窒化アルミニウム質焼結体の平均粒径を5〜15μm以下とすることができ、更に開気孔率を0.5%以下とすることにより電圧印加除去サイクルが2700回以上となり更に好ましいことが判明した。
本発明によれば、繰り返し使用しても絶縁破壊の発生しない静電チャックを提供することが可能となり、CVD、PVD、スパッタリング、SOD、SOG、等の成膜装置やエッチング装置といった半導体製造装置分野にて画期的な静電チャックを提供できる。
本発明のウェハ保持部材の断面図である。 従来のウェハ保持部材の断面図である。
符号の説明
1:静電チャック
2:板状セラミックス体
2a:ウェハ載置面
2b:誘電体層
3:電極
4:給電端子
21:絶縁性誘電層
22:電極
23:板状体

Claims (4)

  1. 窒化アルミニウムを主成分とする板状セラミックス体の一方の主面をウェハ載置面とし、上記板状セラミックス体の他方の主面または内部に電極を備えた静電チャックであって、上記電極から上記ウェハ載置面までの平均距離が0.015cm以上、上記電極と上記ウェハ載置面の間の誘電体層の体積固有抵抗値と上記平均距離の積が1×10〜5×1016Ω・cmであるとともに、上記誘電体層を形成する窒化アルミニウムの平均粒径が1〜20μm、且つ上記誘電体層の開気孔率が1%以下、さらに上記誘電体層には粒内気孔と粒界気孔が存在し、該粒界気孔の平均径が上記窒化アルミニウムの平均結晶粒径より小さく、上記誘電体層の粒界気孔の比率Sgと粒内気孔の比率Scとの比Sg/Scが1.0以下であることを特徴とする静電チャック。
  2. 上記誘電体層が窒化アルミニウムを主成分として3a族金属酸化物からなる副成分を0.2〜15質量%含むことを特徴とする請求項1に記載の静電チャック。
  3. 上記3a族金属がセリウムであることを特徴とする請求項に記載の静電チャック。
  4. 請求項1〜に記載する静電チャックであって、上記窒化アルミニウムからなる板状セラミックス体が、0.2〜200MPaの非酸化性雰囲気中にて1800〜1900℃以下の温度で0.5〜20時間以内保持して焼結させたものであることを特徴とする静電チャック。
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