以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。図1は本発明に係る露光装置の一実施形態を示す概略構成図である。
図1において、露光装置EXは、マスクMを支持して移動可能なマスクステージMSTと、基板Pを保持する基板ホルダPHを有し、基板ホルダPHに基板Pを保持して移動可能な基板ステージPSTと、マスクステージMSTに支持されているマスクMを露光光ELで照明する照明光学系ILと、露光光ELで照明されたマスクMのパターンの像を基板ステージPSTに支持されている基板Pに投影露光する投影光学系PLと、露光装置EX全体の動作を統括制御する制御装置CONTとを備えている。また、制御装置CONTには、基板P上に形成されたパターンの形状(パターン線幅など)を計測可能な形状計測装置100の計測結果が出力されるようになっている。本実施形態においては、形状計測装置100として走査型電子顕微鏡(SEM)を用いているが、電気抵抗方式などの他の方式の計測装置を用いることもできる。なお、形状計測装置100は、露光装置内に設けられていてもよいし、露光装置とは別体の装置を利用してもよい。
本実施形態の露光装置EXは、露光波長を実質的に短くして解像度を向上するとともに焦点深度を実質的に広くするために液浸法を適用した液浸露光装置であって、投影光学系PLの像面側に液体LQの液浸領域AR2を形成するための液浸機構1を備えている。液浸機構1は、投影光学系PLの像面側に液体LQを供給する液体供給機構10と、基板P上の液体LQを回収する液体回収機構20とを備えている。本実施形態において、液体LQには純水が用いられる。露光装置EXは、少なくともマスクMのパターン像を基板P上に転写している間、液体供給機構10から供給した液体LQにより投影光学系PLの投影領域AR1を含む基板P上の少なくとも一部に、投影領域AR1よりも大きく且つ基板Pよりも小さい液浸領域AR2を局所的に形成する。具体的には、露光装置EXは、投影光学系PLの像面側先端部の光学素子2と基板Pの表面(露光面)との間に液体LQを満たして液浸領域AR2を形成し、この投影光学系PLと基板Pとの間の液体LQ及び投影光学系PLを介してマスクMのパターン像を基板P上に投影することによって、基板Pを露光する。
また、投影光学系PLの像面側近傍、具体的には投影光学系PLの像面側端部の光学素子2の近傍には、液浸機構1の一部を構成するノズル部材70が配置されている。ノズル部材70は、基板P(基板ステージPST)の上方において投影光学系PLの先端部の周りを囲むように設けられた環状部材である。
ここで、本実施形態では、露光装置EXとしてマスクMと基板Pとを走査方向(所定方向)における互いに異なる向き(逆方向)に同期移動しつつマスクMに形成されたパターンを基板Pに露光する走査型露光装置(所謂スキャニングステッパ)を使用する場合を例にして説明する。以下の説明において、水平面内においてマスクMと基板Pとの同期移動方向(走査方向、所定方向)をX軸方向、水平面内においてX軸方向と直交する方向をY軸方向(非走査方向)、X軸及びY軸方向に垂直で投影光学系PLの光軸AXと一致する方向をZ軸方向とする。また、X軸、Y軸、及びZ軸まわりの回転(傾斜)方向をそれぞれ、θX、θY、及びθZ方向とする。なお、ここでいう「基板」は半導体ウエハ上にレジストを塗布したものを含み、「マスク」は基板上に縮小投影されるデバイスパターンを形成されたレチクルを含む。
照明光学系ILは、マスクステージMSTに支持されているマスクMを露光光ELで照明するものであり、露光用光源、露光用光源から射出された光束の照度を均一化するオプティカルインテグレータ、オプティカルインテグレータからの露光光ELを集光するコンデンサレンズ、リレーレンズ系、露光光ELによるマスクM上の照明領域を設定する可動ブラインド等を有している。マスクM上の所定の照明領域は照明光学系ILにより均一な照度分布の露光光ELで照明される。照明光学系ILから射出される露光光ELとしては、例えば水銀ランプから射出される輝線(g線、h線、i線)及びKrFエキシマレーザ光(波長248nm)等の遠紫外光(DUV光)や、ArFエキシマレーザ光(波長193nm)及びF2レーザ光(波長157nm)等の真空紫外光(VUV光)などが用いられる。本実施形態では、ArFエキシマレーザ光が用いられる。上述したように、本実施形態における液体LQは純水であって、露光光ELがArFエキシマレーザ光であっても透過可能である。また、純水は輝線(g線、h線、i線)及びKrFエキシマレーザ光(波長248nm)等の遠紫外光(DUV光)も透過可能である。
マスクステージMSTは、マスクMを保持して移動可能であって、投影光学系PLの光軸AXに垂直な平面内、すなわちXY平面内で2次元移動可能及びθZ方向に微小回転可能である。マスクステージMSTはリニアモータ等のマスクステージ駆動装置MSTDにより駆動される。マスクステージ駆動装置MSTDは制御装置CONTにより制御される。マスクステージMST上には移動鏡40が設けられている。また、移動鏡40に対向する位置にはレーザ干渉計41が設けられている。マスクステージMST上のマスクMの2次元方向の位置、及び回転角はレーザ干渉計41によりリアルタイムで計測され、計測結果は制御装置CONTに出力される。制御装置CONTはレーザ干渉計41の計測結果に基づいてマスクステージ駆動装置MSTDを駆動することでマスクステージMSTに支持されているマスクMの位置決めを行う。
投影光学系PLは、マスクMのパターンを所定の投影倍率βで基板Pに投影露光するものであって、基板P側の先端部に設けられた光学素子(レンズ)2を含む複数の光学素子で構成されており、これら光学素子は鏡筒PKで支持されている。
また、投影光学系PLには、例えば特開昭60−78454号公報、特開平11−195602号公報、国際公開第03/65428号パンフレット等に開示されているような、この投影光学系PLの結像特性(光学特性)を調整可能な結像特性制御装置3が設けられている。結像特性制御装置3は、投影光学系PLを構成する複数の光学素子の一部を移動可能な光学素子駆動機構を含んで構成されている。光学素子駆動機構は、投影光学系PLを構成する複数の光学素子のうちの特定の光学素子を支持する支持枠に、それぞれ独立して駆動できる伸縮可能な駆動素子(例えば圧電素子)を複数個備える。これらの駆動素子を同一または異なる変位量で伸縮させることにより、特定の光学素子を光軸AX方向(Z方向)に移動したり、光軸AXに対して傾斜させることができる。その伸縮量は静電容量式や光学式の位置センサで検知することができる。それゆえ、駆動素子の伸縮量を制御して目標となる位置や傾斜角度になるように特定の光学素子を変位させて投影光学系PLの結像状態を調整することができる。後述するように、投影光学系PLの結像状態を最適化する場合には、制御制御CONTが結像特性制御装置3による補正量を求め、その補正量に応じて駆動素子を駆動して特定の光学素子を変位させる。また、結像特性制御装置3は、光学素子間の空間の圧力を変動させることができる。制御装置CONTを用いて結像特性制御装置3を制御することにより、投影光学系PLの各種収差(投影倍率、ディストーション、球面収差等)及び像面位置(焦点位置)等の投影状態を調整することができる。
本実施形態において、投影光学系PLは、投影倍率βが例えば1/4、1/5あるいは1/8の縮小系である。なお、投影光学系PLは等倍系及び拡大系のいずれでもよい。また、投影光学系PLは、反射素子を含まない屈折系だけでなく、屈折素子を含まない反射系、屈折素子と反射素子とを含む反射屈折系を用いることができる。また、本実施形態の投影光学系PLの先端部の光学素子2は鏡筒PKより露出しており、液浸領域AR2の液体LQは光学素子2に接触する。
基板ステージPSTは、基板Pを基板ホルダPHを介して保持するZステージ52と、Zステージ52を支持するXYステージ53とを備えている。XYステージ53はベース54上に支持されている。基板ステージPSTはリニアモータ等の基板ステージ駆動装置PSTDにより駆動される。基板ステージ駆動装置PSTDは制御装置CONTにより制御される。Zステージ52は基板ホルダPHに保持されている基板PをZ軸方向、及びθX、θY方向(傾斜方向)に移動可能である。XYステージ53は基板ホルダPHに保持されている基板PをZステージ52を介してXY方向(投影光学系PLの像面と実質的に平行な方向)、及びθZ方向に移動可能である。なお、ZステージとXYステージとを一体的に設けてよいことは言うまでもない。
基板ステージPST上には凹部50が設けられており、基板ホルダPHは凹部50に配置されている。そして、基板ステージPSTのうち凹部50以外の上面51は、基板ホルダPHに保持された基板Pの表面とほぼ同じ高さ(面一)になるような平坦面となっている。基板ステージPSTの上面51は液体LQに対して撥液性を有している。基板Pの周囲に基板P表面とほぼ面一の上面51を設けたので、基板Pのエッジ領域Eを液浸露光するときにおいても、投影光学系PLの像面側に液体LQを保持して液浸領域AR2を良好に形成することができる。
基板ステージPST(Zステージ52)の側面には移動鏡42が設けられている。また、移動鏡42に対向する位置にはレーザ干渉計43が設けられている。基板ステージPST上の基板Pの2次元方向の位置、及び回転角はレーザ干渉計43によりリアルタイムで計測され、計測結果は制御装置CONTに出力される。制御装置CONTはレーザ干渉計43の計測結果に基づいて、レーザ干渉計43で規定される2次元座標系内で基板ステージ駆動装置PSTDを介してXYステージ53を駆動することで基板ステージPSTに支持されている基板PのX軸方向及びY軸方向における位置決めを行う。
また、露光装置EXは、基板P表面の面位置情報を検出するフォーカス検出系4を有している。フォーカス検出系4は、投光部4Aと受光部4Bとを有し、投光部4Aから液体LQを介して基板P表面(露光面)に斜め方向から検出光Laを投射するとともに、その基板Pからの反射光を液体LQを介して受光部4Bで受光することによって、基板P表面の面位置情報を検出する。制御装置CONTは、フォーカス検出系4の動作を制御するとともに、受光部4Bの受光結果に基づいて、投影光学系PLの像面に対する基板P表面のZ軸方向における位置(フォーカス位置)を検出する。また、基板P表面における複数の各点での各フォーカス位置を求めることにより、フォーカス検出系4は基板Pの傾斜方向の姿勢を求めることもできる。なお、フォーカス検出系4の構成としては、例えば特開平8−37149号公報に開示されているものを用いることができる。
制御装置CONTは基板ステージ駆動装置PSTDを介して基板ステージPSTのZステージ52を駆動することにより、Zステージ52に保持されている基板PのZ軸方向における位置(フォーカス位置)、及びθX、θY方向における位置を制御する。すなわち、Zステージ52は、フォーカス検出系4の検出結果に基づく制御装置CONTからの指令に基づいて動作し、基板Pのフォーカス位置(Z位置)及び傾斜角を制御して基板Pの表面(露光面)を投影光学系PL及び液体LQを介して形成される像面に合わせ込む。
液浸機構1の液体供給機構10は、液体LQを投影光学系PLの像面側に供給するためのものであって、液体LQを送出可能な液体供給部11と、液体供給部11にその一端部を接続する供給管13とを備えている。供給管13の他端部はノズル部材70に接続されている。液体供給部11は、液体LQを収容するタンク、液体LQ中の異物を除去するフィルタユニット、及び加圧ポンプ等を備えている。また、液体供給部11は、液体LQの温度を調整する温調装置14を備えており、投影光学系PLの像面側に供給される液体LQの温度は温調装置14で調整される。本実施形態においては、温調装置14は、初期状態においては、液体LQの温度を23.0℃に設定し、制御装置CONTからの指令に基づいて液体LQの温度を10mKごとに調整することができる。
また、液体供給部11の供給管13の途中には、液体供給部11から送出され、投影光学系PLの像面側に供給される単位時間あたりの液体量を制御するマスフローコントローラと呼ばれる流量制御器16が設けられている。この流量制御器16を用いた液体供給量の制御は制御装置CONTの指令信号の下で行われる。
液浸機構1の液体回収機構20は、投影光学系PLの像面側の液体LQを回収するためのものであって、液体LQを回収可能な液体回収部21と、液体回収部21にその一端部を接続する回収管23とを備えている。回収管23の他端部はノズル部材70に接続されている。液体回収部21は例えば真空ポンプ等の真空系(吸引装置)、回収された液体LQと気体とを分離する気液分離器、及び回収した液体LQを収容するタンク等を備えている。なお、液体供給部11のタンク、フィルタユニット、加圧ポンプ及び温調装置14や、液体回収部21の真空系、気液分離器、タンクなどの少なくとも一部を、露光装置EXに設けずに、露光装置EXが配置される工場の設備などを用いるようにしてもよい。
投影光学系PLを構成する複数の光学素子のうち、液体LQに接する光学素子2の近傍にはノズル部材70が配置されている。ノズル部材70は、基板P(基板ステージPST)の上方において、光学素子2の側面を囲むように設けられた環状部材である。ノズル部材70と光学素子2との間には隙間が設けられており、ノズル部材70は光学素子2に対して振動的に分離されるように所定の支持機構で支持されている。ノズル部材70の下面70Aは、基板Pの表面(基板ステージPSTの上面)と対向している。また、ノズル部材70の下面70A、及び光学素子2の下面2Aのそれぞれはほぼ平坦面であり、ノズル部材70の下面70Aと光学素子2の下面2Aとはほぼ面一となっている。これにより、所望の範囲内に液浸領域AR2を良好に形成することができる。また、光学素子2のうち液浸領域AR2の液体LQと接触する液体接触面(下面)2A、及びノズル部材70のうち液浸領域AR2の液体LQを接触する液体接触面(下面)70Aは、液体LQに対して親液性を有している。
ノズル部材70の下面70Aには、基板P上に液体LQを供給する液体供給口12が設けられている。液体供給口12はノズル部材70の下面70Aに複数設けられている。また、ノズル部材70の内部には、供給管13の他端部と液体供給口12とを接続する内部流路が形成されている。
更に、ノズル部材70の下面70Aには、基板P上の液体LQを回収する液体回収口22が設けられている。本実施形態において、液体回収口22は、ノズル部材70の下面70Aにおいて、液体供給口12を囲むように、光学素子2の光軸AXに対して外側に設けられている。また、ノズル部材70の内部には、回収管23の他端部と液体回収口22とを接続する内部流路が形成されている。
液体供給部11及び液体回収部21の動作は制御装置CONTにより制御される。基板P上に液体LQの液浸領域AR2を形成する際、制御装置CONTは、液体供給部11より液体LQを送出し、供給管13、及びノズル部材70の内部流路を介して、基板Pの上方に設けられている液体供給口12より基板P上に液体LQを供給する。また、基板P上の液体LQは、液体回収口22より回収され、ノズル部材70の回収流路、及び回収管23を介して液体回収部21に回収される。なお、ノズル部材70などの液浸機構1の構成は、上述のものに限られず、例えば、欧州特許公開第1420298号公報、国際公開第2004/055803号公報、国際公開第2004/057589号公報、国際公開第2004/057590号公報、国際公開第2005/029559号公報に記載されているものも用いることができる。
また、ノズル部材70の所定位置には、液浸領域AR2の液体LQの温度を計測する温度センサ60が設けられている。温度センサ60は、ノズル部材70の下面70Aのうち、液浸領域AR2の液体LQに接触する位置に設けられている。なお、温度センサ60は、液体LQに接触する位置に設けられていればよく、例えば液体供給口12の内側や、光学素子2のうち露光光ELの光路を妨げない位置に設けることができる。また、温度センサ60は複数配置してもよいし、供給管13の内部あるいは回収管23の内部に設けることもできる。もちろん、これらの位置のそれぞれに温度センサを配置することもできる。温度センサ60の計測結果は制御装置CONTに出力される。
また、露光装置EXは、例えば特開2002−14005号公報や特開2002−198303号公報に開示されているような、投影光学系PLの結像特性(光学特性)の計測可能な空間像計測装置500を備えている。空間像計測装置500は、投影光学系PLの像面側に配置されたスリット部を有する受光部501を介して、投影光学系PLを通過した光(露光光EL)を受光する受光器503を備えている。受光部501の上面は、基板ステージPSTの上面51とほぼ面一となっている。
空間像計測装置500は、上述の公開公報に開示されている球面収差、像面(焦点位置)、コマ収差、非点収差、ディストーション、倍率などの結像特性だけでなく、パターン像の振動状態も計測することができる。
図2は基板ステージPSTを上方から見た平面図である。基板ステージPST上において、基板Pの外側の所定位置には、空間像計測装置500の受光部501が設けられている。受光部501は、開口パターンであるスリット部502を有しており、受光部501に照射された光はスリット部502を透過可能である。スリット部502を透過した光は、リレー光学系等を介して、基板ステージPSTの外側に設けられた受光器503(図1参照)に導かれる。受光器503は光電変換素子を含んで構成されており、受光器503からの光電変換信号は、信号処理装置を介して制御装置CONTに出力される。
なお、本実施形態においては、空間像計測装置500の受光部501は、基板Pを支持する基板ステージPST上に設けられているが、投影光学系PLの像面側に配置されていればよく、例えば特開平11−135400号公報に開示されているように、投影光学系PLの像面側に配置された基板ステージPST以外の所定部材(例えば基板ステージとは別の計測用ステージ)に設けられていてもよい。
なお、不図示ではあるが、基板ステージPST上のうち、基板Pの外側の所定位置には、例えば特開昭57−117238号公報に開示されているような照度ムラセンサ、特開平11−16816号公報に開示されているような照射量センサ(照度センサ)等も設けられている。
次に、上述した構成を有する露光装置EXを用いて基板Pを露光する方法について、図3のフローチャート図を参照しながら説明する。本実施形態においては、基板Pの露光に先立って、最適な投影状態のパターン像を得るための露光条件を決定する。本実施形態では、露光条件として、液体LQの温度条件と、液体LQの温度の影響を受けやすい焦点位置及び球面収差とを決定する方法を説明する。具体的には、液体LQの温度として複数(N)の異なる温度T1〜TNを設定し、各温度について異なるテスト基板テスト基板Pt1〜PtNを用意する。そして、液体LQを第nの温度条件(n=1〜N)においては、第nテスト基板(n=1〜N)上の複数の異なる位置のそれぞれに投影光学系PLの結像特性(焦点位置及び球面収差)を変えながら、テストパターン像を投影するテスト露光を行う。そして、このテスト露光を、液体LQの第1〜第Nの温度条件のそれぞれについて行い、その投影されたテストパターン像の投影状態に基づいて、デバイスを製造するための基板P上にデバイスパターン像を投影するときの露光条件を決定する。
基板Pの露光に先立って、まず、制御装置CONTは、基板ステージPST上に第1テスト基板Pt1を搬入(ロード)する(ステップSA1)。また、マスクステージMSTには、テストパターンを有するテストマスクMtが支持されている。なお、この実施形態において使用したテスト基板には、その表面に実際の基板Pと同様にフォトレジストが塗布されていることは言うまでもない。
図4はテストマスクMtの一例を示す図である。図4に示すように、テストマスクMtには、2つのテストパターンPM1、PM2が形成されている。これら第1、第2テストパターンPM1、PM2のそれぞれは、互いにピッチ(周期)が異なるライン・アンド・スペース(L/S)パターンである。第1テストパターンPM1は、X軸方向に周期性を有し、ライン部の幅とスペース部の幅との比(デューティー比)が1:1のL/Sパターンである。第2テストパターンPM2は、第1テストパターンPM1と同一寸法のラインパターンが異なる周期(例えば、第1テストパターンPM1のピッチの1.5〜2倍程度)でX軸方向に並んだL/Sパターンである。
制御装置CONTは、液体供給機構10の温調装置14を使って、投影光学系PLと第1テスト基板Pt1との間に供給する液体LQの温度を、温度センサ60で計測される温度が第1の温度T1になるように調整し、この第1の温度T1に調整された液体LQの液浸領域AR2を、投影光学系PLと第1テスト基板Pt1との間に形成する(ステップSA2)。
そして、制御装置CONTは、第1の温度T1に設定されている液体LQと投影光学系PLとを介して、投影光学系PLの結像特性を変えながら、テストマスクMtのテストパターン像を、第1テスト基板Pt1上の複数の異なる位置のそれぞれに順次投影する(ステップSA3)。本実施形態においては、制御装置CONTは、結像特性制御装置3を使って、投影光学系PLの結像特性のうち、焦点位置及び球面収差のそれぞれを変えながら、テストパターン像を、第1テスト基板Pt1上の複数の異なる位置のそれぞれに順次投影する。第1テスト基板Pt1上の複数の異なる位置のそれぞれに投影光学系PLの結像特性を変えながらテストパターン像を順次投影するときには、制御装置CONTは、第1テスト基板Pt1のZ軸方向の位置を維持した状態で、第1テスト基板Pt1をX軸方向及びY軸方向に順次ステップ移動しながら、第1テスト基板Pt1上の複数の異なる位置のそれぞれにテストパターン像を順次投影する。
図5に示すように、第1テスト基板Pt1上には、複数のショット領域SHがマトリクス状に設定され、各ショット領域SHのそれぞれに、液体LQの第1の温度条件T1のもと、投影光学系PLの結像特性を変えながら、テストパターン像が順次投影される。テストマスクMtのテストパターン像を投影するとき、制御装置CONTは、第1テスト基板Pt1上の1つのショット領域SHに、第1テストパターンPM1の像と第2テストパターンPM2の像とのそれぞれを投影する。そして、制御装置CONTは、結像特性制御装置3を使って、複数のショット領域SHのうち、例えば列方向(図5中、X軸方向)に関して、投影光学系PLの結像特性のうち焦点位置を変えながらテストパターン像を順次投影し、行方向(図5中、Y軸方向)に関して、投影光学系PLの結像特性のうち球面収差を変えながらテストパターン像を順次投影する。なお図5に示すように、本実施形態においては、投影光学系PLの焦点位置条件及び球面収差条件のそれぞれは互いに異なる5条件に変えられているが、例えば11条件など、任意の数の条件に変えることができる。
各ショット領域SHのそれぞれにテストパターン像を投影された第1テスト基板Pt1は基板ステージPSTよりアンロードされる。この後、第1テスト基板Pt1は、現像されてテストパターン像に従った凹凸のテストパターンが基板上に形成される。次いで、形状計測装置100が、第1テスト基板Pt1上の各ショット領域SHのそれぞれに形成されたテストパターンの形状(線幅)を計測する(ステップSA4)。第1テスト基板Pt1上に投影されたテストパターン像の投影状態と、第1テスト基板Pt1上に実際に凹凸パターンとして形成されたテストパターンの形状とは対応するため、形状計測装置100を使ってテストパターンの形状(線幅)を計測することで、第1テスト基板Pt1上に結像特性(焦点位置及び球面収差)を変えながらテストパターン像を順次投影したときの各テストパターン像の投影状態を計測したことになる。形状計測装置100の計測結果は制御装置CONTに出力される。
制御装置CONTは、第1テスト基板Pt1上のショット領域SHのそれぞれに形成された各テストパターンのうちから、液体LQの第1の温度条件T1における、最適な投影光学系PLと液体LQとを介して形成される像面とテスト基板Pt1表面との関係、すなわち最適焦点位置条件を得ることができる結像特性制御装置3による補正量を求める。最適焦点位置条件で第1テスト基板Pt1上にラインパターンを投影したとき、第1テスト基板Pt1上における投影像のコントラストは最大となり、その第1テスト基板Pt1上に形成されたラインパターンの線幅は最も細くなる(パターン形状がシャープになる)。したがって、制御装置CONTは、形状計測装置100の計測結果に基づいて、第1テスト基板Pt1上の複数のショット領域SHのそれぞれに形成された各ラインパターン(テストパターン)のうちから、線幅が最も細いラインパターンを有するショット領域SHを求め、そのショット領域SHにラインパターン像を投影したときの結像特性(焦点位置)、ひいてはその結像特性(焦点位置)を得るための結像特性制御装置3による補正量を求めることができる。なお、線幅が最も細いラインパターンを有するショット領域に限らず、所望の線幅のラインパターンを有するショット領域SHを求めるようにしてもよい。
なお、制御装置CONTが最適焦点位置条件を求めるときは、各ショット領域SHに投影した第1、第2テストパターンPM1、PM2の像のうち、一方のテストパターンの像のみに基づいて、最適結像位置条件を求めることもできる。
また、制御装置CONTは、第1テスト基板Pt1上のショット領域SHのそれぞれに形成された各テストパターンのうちから、液体LQの第1の温度条件T1における、投影光学系PLと液体LQとを介した球面収差が最小となる最適球面収差条件、ひいてはその最適球面収差条件を得ることができる結像特性制御装置3による補正量を求める。一般に、マスク上でピッチが大きいパターンとピッチが小さいパターンとでは回折角が互いに異なるため、ピッチの大きいパターンとピッチの小さいパターンとでは、光軸方向(Z軸方向)の結像位置が異なる。球面収差は、光学系の開口収差の1つであり、光軸上の物点からの種々の開口を持った光線束が光学系に入射したとき、その対応した像点が一点に結像しないことに起因する収差である。したがって、第1テストパターンPM1の最適焦点位置Z1と第2テストパターンPM2の最適焦点位置Z2との差が最も小さい状態、すなわちテスト基板上に形成された第1テストパターンPM1の線幅と第2テストパターンPM2の線幅との差が最も小さい状態が、球面収差が最小となる最適球面収差条件となる。そこで、制御装置CONTは、形状計測装置100の計測結果に基づいて、第1テスト基板Pt1上の複数のショット領域SHのそれぞれに形成された各第1、第2テストパターンPM1、PM2のうちから、線幅差が最も小さくなる第1、第2テストパターンPM1、PM2を有するショット領域SHを求め、そのショット領域SHに第1、第2テストパターンPM1、PM2の像を投影したときの結像特性(球面収差)、ひいてはその結像特性(球面収差)を得るための結像特性制御装置3による補正量を求めることができる。
そして制御装置CONTは、液体LQの第1の温度条件T1における、第1テスト基板Pt1上に形成されたパターンのうち、線幅が最も細く、第1テストパターンPM1と第2テストパターンPM2との線幅差が最も小さくなる最適結像特性条件(最適焦点位置条件及び最適球面収差条件)、ひいてはその最適結像特性条件を得ることができる結像特性制御装置3の最適補正量を、その第1の温度条件T1に対応付けて記憶する(ステップSA5)。
次に、制御装置CONTは、予め定められた液体LQの複数(N)の温度条件のそれぞれについて、上述と同様の処理が完了したか否かを判断し(ステップSA6)、完了していなければ、次の温度条件でステップSA1〜SA5を実行する。すなわち、制御装置CONTは、基板ステージPST上に第2テスト基板Pt2を搬入する(ステップSA1)。そして、制御装置CONTは、投影光学系PLと第2テスト基板Pt2との間に供給する液体LQの温度を、温度センサ60で計測される液体LQの温度が第2の温度T2(=T1+ΔT)となるように調整し、この第2の温度T2に調整された液体LQの液浸領域AR2を、投影光学系PLと第2テスト基板Pt2との間に形成する(ステップSA2)。そして、上述同様、制御装置CONTは、第2の温度T2に設定されている液体LQと投影光学系PLとを介して、投影光学系PLの結像特性を変えながら、テストマスクMtのテストパターン像を、第2テスト基板Pt2上の複数の異なる位置のそれぞれに順次投影する(ステップSA3)。次いで、形状計測装置100が、第2テスト基板Pt2上の各ショット領域SHのそれぞれに形成されたテストパターンの形状(線幅)を計測する(ステップSA4)。そして、制御装置CONTは、形状計測装置100の計測結果に基づいて、第2の温度条件T2における最適結像特性条件(結像特性制御装置3の最適補正量条件)を求め、その最適結像特性条件を第2の温度条件T2に対応付けて記憶する(ステップSA5)。
以下、同様の処理を液体LQの第3の温度T3(=T1+2×ΔT)から第Nの温度TN(=T1+(N−1)×ΔT)までのそれぞれについて行う。すなわち、第1〜第Nの温度条件のそれぞれのもとで、投影光学系PLの焦点位置及び球面収差を変えながらテストパターン像を順次投影する。
なお、本実施形態においては、液体LQの温度条件は、23℃を基準値(中心値)とし、その23℃を基準として、−100mK〜+100mKまでΔT=10mKとして10mKごとに液体LQの温度を変えている。
第1〜第Nの温度条件のそれぞれについての最適結像特性条件を求めて記憶した後、制御装置CONTは、前記記憶してある最適結像特性条件と液体LQの温度条件との関係を導出する(ステップSA7)。そして、制御装置CONTは、その導出した結果に基づいて、パターン像を投影するときの最適な結像特性及び液体LQの温度条件、すなわち最適な露光条件を決定する(ステップSA8)。
具体的には、制御装置CONTは、液体LQの温度とその温度に対応する結像特性との関係に基づいて、フィッティングなどの演算処理を行う。図6には、液体LQの温度とその温度に対応する上記求めた最適球面収差との関係がプロットしてあり、その関係について、最小自乗法等に基づいてフィッティングしてある。図6においては、球面収差がゼロとなる最適球面収差条件を実現するための結像特性制御装置3の補正量や、そのときの液体LQの温度条件が、決定された最適な露光条件となる。同様に、制御装置CONTは、液体LQの温度とその温度に対応する最適焦点位置との関係に基づいて、最適焦点位置条件を実現するための結像特性制御装置3の補正量や、そのときの液体LQの温度条件を、最適な露光条件として決定する。こうして、制御装置CONTは、液体LQの温度条件を変えながら、順次投影されたテストパターン像の投影状態を計測し、その計測したテストパターン像の投影状態に基づいて、最適な露光条件、すなわち液体の温度条件、球面収差及び焦点位置を含む投影光学系の結像特性、ひいては結像特性制御装置3の最適補正量を決定する。
なお、図6においては、液体の温度と球面収差との関係が直線的に変化しているが、変化が直線的でない場合には、直線フィッティングする際のデータ点に注意し、直線的と見なせる範囲でフィッティングすることが好ましい。
そして、制御装置CONTは、デバイスを形成するためのパターンを有するマスクMをマスクステージMSTに搬入(ロード)するとともに、デバイスを形成するための基板Pを基板ステージPSTに搬入(ロード)する。そして、制御装置CONTは、上記決定された露光条件のもとで、照明光学系ILを使ってマスクMを露光光ELで照明し、そのマスクMのパターン像を投影光学系PLと液体LQとを介して基板P上に投影することによりその基板Pを露光する(ステップSA9)。すなわち、温度センサ60の計測結果がステップSA8で決定した液体LQの温度条件(基準値T0)となるように、制御装置CONTは、液体供給機構10の温調装置14を制御し、その温度調整された液体LQの液浸領域AR2を形成する。また、その液体LQの温度条件のもとで、最適な結像特性が得られるように、前記求めた結像特性調整装置3の補正量に基づいて、投影光学系PLの結像特性を調整しつつ、基板Pを露光する。
なお、液浸領域AR2の液体LQの温度は、温度センサ60の計測値が基準値T0となるように温調装置14により調整されているが、例えば露光光ELの照射等によって、液浸領域AR2の液体LQの温度が局所的に変動した場合には、制御装置CONTは、最適な投影状態となるように、結像特性制御装置3を使って、投影光学系PLの結像特性(球面収差及び焦点位置)を制御したり、あるいは、投影光学系PLと液体LQとを介して形成される像面と基板P表面とが合致するように、基板Pを支持した基板ステージPSTを移動することができる。
以上説明したように、液体LQの温度条件を変えながら実際に投影光学系PLと液体LQとを介してパターン像を投影し、その投影状態に基づいて、基板P上にパターン像を投影するときの露光条件、具体的には液体LQの温度条件、投影光学系の球面収差及び焦点位置を含む結像特性、更には最適な結像特性を得るための結像特性制御装置3の補正量(調整量)を決定するので、実際の投影状態に基づいて、最適な露光条件を決定することができる。そして、その決定された最適な露光条件で基板Pを露光することで、基板Pを良好に露光できる。
液浸露光装置の投影光学系PLを設計する場合、使用する液体LQの温度を設計値として定め、その設計値上の液体LQの温度条件に基づいて、最適な結像特性を得られるように、投影光学系PLを設計することが考えられる。そして、実際に投影光学系PLと液体LQとを介して基板Pを露光するときには、温度センサ60の計測値が設計値上の液体LQの温度条件となるように、投影光学系PLの像面側に供給する液体LQの温度が温調装14で調整される。ところが、投影光学系PLの像面側に供給する液体LQの温度を温調装置14を使って高精度に調整できたとしても、供給される液体LQの温度の絶対値を、温度センサ60の計測値に基づいて1mK、10mKの精度で知ることは、温度センサの計測能力等の観点から困難である。したがって、そのような温度センサ60の計測値に基づいて液体LQの温度を調整したのでは、理想的な投影状態を得ることができないおそれがある。そこで本実施形態においては、実際に投影光学系PL及び液体LQを介してパターン像を投影し、その投影状態を計測し、所望の投影状態が得られるときの温度センサ60で計測された液体LQの温度、及び投影光学系PLの結像特性を得るための結像特性制御装置3の補正量を求め、その状態を維持することで、最適な露光条件のもとで基板Pを良好に露光することができる。
なお、上述した実施形態では、基板PのZ軸方向の位置を維持した状態で、基板PをXY方向にステップ移動しながら、液体LQの第1〜第Nの温度条件のそれぞれで、投影光学系PLの結像特性(焦点位置)を変えながらパターン像を順次投影し、これら各第1〜第Nの温度条件のそれぞれで投影された複数のパターン像の投影状態に基づいて、露光条件を決定しているが、投影光学系PLの結像特性(焦点位置)を変えるかわりに、基板PのZ軸方向の位置を変えながら、パターン像を順次投影するようにしてもよい。すなわち、液体LQの第1〜第Nの温度条件のそれぞれで、投影光学系PL及び液体LQを介して形成される像面に対するパターン像が投影される基板P表面の位置を変えながらパターン像を順次投影し、これら各第1〜第Nの温度条件のそれぞれで投影された複数のパターン像の投影状態に基づいて、露光条件を決定するようにしてもよい。投影光学系PLによって形成される像面とパターン像が投影される基板P表面との位置関係を変えるには、例えば基板ステージPSTをZ軸方向に移動すればよい。
なお、上述の実施形態においては、ステップSA4、及びステップSA5が完了した後に、次の液体LQの条件(温度条件)でのステップSA1〜SA3を実行するようにしているが、次の液体LQの条件(温度条件)でのステップSA1〜SA3と、前の液体LQの条件(温度条件)でのステップSA4、SA5とを並行して実行するようにしてもよい。もちろん、全ての液体LQの条件でN枚のテスト基板を露光した後に、各テスト基板上に形成されたパターンの形状(線幅)を計測するようにしてもよい。
また、上述した実施形態では、第1の温度条件T1のときは第1テスト基板Pt1を用い、第2の温度条件T2のときは第2テスト基板Pt2を用い、第Nの温度条件TNのときは第Nテスト基板PtNを用いているが、例えば第1テスト基板Pt1を用いているときに、液体LQの温度条件を変えながら、第1テスト基板Pt1上のショット領域SHのそれぞれにパターン像を投影するようにしてもよい。
なお、上述した実施形態においては、テスト基板上にパターン像を投影し、そのテスト基板上に形成された現像後のパターンの形状を計測しているが、現像を行わなくても、例えば感光された潜像を計測することも可能である。また、上記実施形態では、パターン像の投影状態を形状計測装置100を用いて計測しているが、上記空間像計測装置500を用いて、パターン像の投影状態を計測するようにしてもよい。上述したように、空間像計測装置500は、投影光学系PLの像面側に配置された受光部501を介してパターン像を光電検出するものである。
例えば、空間像計測装置500を使って投影光学系PL及び液体LQを介した最適結像位置を計測する場合には、制御装置CONTは、投影光学系PLの光学素子2と基板ステージPST上の受光部501とを対向させ、この投影光学系PLの光学素子2と基板ステージPST上の受光部501との間に、液浸機構1を使って、温度センサ60の計測値が第1の温度T1となるように調整された液体LQの液浸領域AR2を形成する。また、制御装置CONTは、図4に示したテストマスクMtの第1テストパターンPM1のみに露光光ELが照射されるように、照明光学系ILに設けられている可動ブラインドを駆動制御して照明領域を規定する。この状態で、制御装置CONTは、テストマスクMt(第1テストパターンPM1)に露光光ELを照射して、基板ステージPSTをX軸方向に走査しながら、空間像計測装置500を用いて第1テストパターンPM1の空間像計測をスリットスキャン方式により行う。このとき、制御装置CONTは、基板ステージPSTのZ軸方向の位置を維持した状態で、結像特性制御装置3を使って投影光学系PLの焦点位置を変えながら、第1テストパターンPM1の空間像計測を複数回繰り返し、各回の光強度信号(光電変換信号)を記憶する。あるいは、結像特性制御装置3の駆動を停止した状態で、基板ステージPSTのZ軸方向の位置を所定のステップピッチで変化させつつ、第1テストパターンPM1の空間像計測を複数回繰り返し、各回の光強度信号(光電変換信号)を記憶するようにしてもよい。そして、制御装置CONTは、前記繰り返しにより得られた複数の光強度信号(光電変換信号)をそれぞれフーリエ変換し、それぞれの1次周波数成分と0次周波数成分との振幅比であるコントラストを求める。このような空間像計測装置500を行えば、図7に示すような光強度信号を得ることができる。この場合、この光強度信号の信号波形のピークの位置を直接見つけることにより、その点のZ位置を最適焦点位置Z0としてもよく、あるいは光強度信号を所定のスライスレベルラインSLでスライスし、光強度信号とスライスレベルラインSLとの2つの交点の中点のZ位置を最適焦点位置Z0としてもよい。そして、制御装置CONTは、そのコントラストが最大となる光強度信号に対応する結像特性制御装置3の補正量(あるいはZステージ52のZ位置)を、第1の温度条件T1における、最適焦点位置条件を得ることができる結像特性制御装置3の最適補正量として記憶する。そして、上述した処理と同様の処理を、液体LQの第2〜第Nの温度条件のそれぞれについても行うことによって、最適な露光条件、すなわち最適な液体温度条件及び最適焦点位置条件を決定することができる。
また、空間像計測装置500を使って投影光学系PL及び液体LQを介した球面収差を計測する場合には、制御装置CONTは、投影光学系PLの光学素子2と基板ステージPST上の受光部501とを対向させ、この投影光学系PLの光学素子2と基板ステージPST上の受光部501との間に、液浸機構1を使って、温度センサ60の計測値が第1の温度T1となるように調整された液体LQの液浸領域AR2を形成する。また、制御装置CONTは、図4に示したテストマスクMtの第1テストパターンPM1のみに露光光ELが照射されるように、照明光学系ILに設けられている可動ブラインドを駆動制御して照明領域を規定する。この状態で、制御装置CONTは、露光光ELをテストマスクMt(第1テストパターンPM1)に照射して、スリットスキャン方式により空間像計測装置500を用いて第1テストパターンPM1の像の投影光学系PL及び液体LQを介した空間像計測を行う。この際、制御装置CONTは、基板ステージPSTのZ軸方向の位置を維持した状態で、結像特性制御装置3を使って投影光学系PLの焦点位置を変化させつつ、第1テストパターンPM1の空間像計測を複数回繰り返し、各回の光強度信号(光電変換信号)を記憶する。次に、制御装置CONTは、露光光ELが第2テストパターンPM2に照射されるように可動ブラインドを駆動制御し、上記と同様に、液体LQの第1の温度条件T1について、結像特性制御装置3により焦点位置を変えながら、スリットスキャン方式で第2テストパターンPM2の像の投影光学系PL及び液体LQを介した空間像計測を行う。そして、これらの処理を投影光学系PLの結像特性(球面収差)を変えながら繰り返し実行する。そして、液体LQの第1の温度条件T1についての計測が終了した後、上述した処理と同様の処理を、液体LQの第2〜第Nの温度条件のそれぞれについても行う。そして、制御装置CONTは、第1テストパターンPM1の最適焦点位置と、第2テストパターンPM2の最適焦点位置との差が最も小さく(球面収差が最も小さく)、且つ光強度信号のコントラストが最大となる液体LQの温度、及び結像特性制御装置3の補正量を、最適な露光条件として記憶する。こうして、球面収差を最小にするような結像特性制御装置3の補正量や液体LQの温度条件が求められる。
なお、空間像計測装置500を用いる場合にも、結像特性制御装置3を使って投影光学系PLの焦点位置を変える代わりに、投影光学系PLの像面に対する空間像計測装置500の表面位置を変更するようにしてもよい。
なお、上述した実施形態においては、液体LQの条件として、液体LQの温度条件を変えながら投影光学系PLを介してパターン像を順次投影しているが、添加物を加えて液体LQの屈折率を変更しながらテストパターンの像を投影してもよいし、例えば、液体供給口12を介して投影光学系PLの像面側に供給される単位時間当たりの液体供給量(流速)や、液体LQの供給位置や回収位置等の条件を変えながら、投影光学系PLを介してパターン像を順次投影し、そのときのパターン像の投影状態に基づいて、基板P上にデバイスパターンを投影するときの露光条件を決定するようにしてもよい。上記単位時間当たりの液体供給量や液体LQの供給位置や回収位置に応じても、パターン像の投影状態(振動状態を含む)が変化する可能性があるため、液体LQの温度条件以外の他の条件を変えながら投影光学系PLを介してパターン像を順次投影することで、そのときのパターン像の投影状態に基づいて、基板P上にデバイスパターンを投影するときの最適な露光条件を決定することができる。
上記のように、液浸露光においては、液浸領域を介してパターン像が基板に投影されているので液浸領域の状態や液浸領域を形成する液体自体の物理量によりパターン像の投影状態が影響を受ける可能性がある。特に、液体の供給及び回収により維持されているダイナミックな液浸領域においては、液体の流動や液浸領域の深さや幅もパターン像の投影状態に影響を及ぼす可能性がある。本実施形態において、「液体の条件」とは、液体の温度、圧力、屈折率、密度、成分(組成及び純度)などの液体そのものの物理量のみならず、液浸領域を形成するための液体の供給または回収量、供給または回収位置などに依存する液浸領域の状態(流速など)や、液浸領域の厚み、幅(サイズ)などの液浸領域の状態をも含む概念である。それゆえ、液体の温度や温度分布に限らず、上記の液体の条件の一つあるいはそれらの組合わせを変更しつつパターン像の投影状態を計測し、液体の条件と投影状態の対応関係から、最適露光条件を決定してメモリに記憶しておくことは有意義である。
なお、上述した実施形態においては、露光条件を決定するために、テストマスクMtに設けられたテストパターン像の投影状態を計測し、その計測結果に基づいて、マスクMに設けられたデバイスパターン像を投影するときの露光条件を決定しているが、露光条件を決定するときに、テストマスクMtのテストパターンを用いずに、マスクMに設けられたデバイスパターン像の投影状態を計測し、その計測結果に基づいて、露光条件を決定するようにしてもよい。また、マスクステージMST上のマスクMの搭載位置の近傍に固定され、テストパターンが形成された透過部材を用いるようにしてもよい。
また、上述の実施形態においては、投影光学系PLの焦点位置及び球面収差を変えながら、テストパターンの像を投影するようにしているが、いずれか一方を変えながらテストパターンの像を投影するようにしてもよいし、ディストーションなどの他の結像特性を変えながらテストパターンの像を投影するようにしてもよい。また、偏光状態や波面収差の状態を変えながらテストパターンの像を投影するようにしてもよい。この場合、空間像計測装置500の代わりに、あるいは空間像計測装置500に加えて、偏光状態や波面収差の計測装置を搭載して、これらを使用してパターンの像の投影状態を計測するようにしてもよい。
また、上述のようなパターン像の投影状態の計測を、照明条件(4極照明、2極照明、輪帯照明、直線偏光照明、円偏光照明など)毎に液体LQの条件を変えながら実行してもよいし、マスクMの特性(種類(バイナリー型、位相シフトなど)、パターン密度、パターン分布など)毎に液体LQの条件を変えながら実行することもできる。
また上述の実施形態においては、形状計測装置100の計測結果の情報が露光装置EXの制御装置CONTへ送信されるようになっているが、テスト基板を露光したときの条件(液体条件や投影光学系PLの結像特性(焦点位置や球面収差)など)の情報と、形状計測装置100の計測結果の情報とを、外部のホストコンピュータなどに集めて、最適な露光条件を決定するようにしてもよい。
上述したように、本実施形態における液体LQは純水により構成されている。純水は、半導体製造工場等で容易に大量に入手できるとともに、基板P上のフォトレジストや光学素子(レンズ)等に対する悪影響がない利点がある。また、純水は環境に対する悪影響がないとともに、不純物の含有量が極めて低いため、基板Pの表面、及び投影光学系PLの先端面に設けられている光学素子の表面を洗浄する作用も期待できる。なお工場等から供給される純水の純度が低い場合には、露光装置が超純水製造器を持つようにしてもよい。
このような見地からすれば、投影光学系の結像状態を、種々の純度の純水でそれぞれ計測し、純度に応じた露光条件を定めて記憶しておくことは有意義である。
そして、波長が193nm程度の露光光ELに対する純水(水)の屈折率nはほぼ1.44と言われており、露光光ELの光源としてArFエキシマレーザ光(波長193nm)を用いた場合、基板P上では1/n、すなわち約134nmに短波長化されて高い解像度が得られる。更に、焦点深度は空気中に比べて約n倍、すなわち約1.44倍に拡大されるため、空気中で使用する場合と同程度の焦点深度が確保できればよい場合には、投影光学系PLの開口数をより増加させることができ、この点でも解像度が向上する。
なお、上述したように液浸法を用いた場合には、投影光学系の開口数NAが0.9〜1.3になることもある。このように投影光学系の開口数NAが大きくなる場合には、従来から露光光として用いられているランダム偏光光では偏光効果によって結像性能が悪化することもあるので、偏光照明を用いるのが望ましい。その場合、マスク(レチクル)のライン・アンド・スペースパターンのラインパターンの長手方向に合わせた直線偏光照明を行い、マスク(レチクル)のパターンからは、S偏光成分(TE偏光成分)、すなわちラインパターンの長手方向に沿った偏光方向成分の回折光が多く射出されるようにするとよい。投影光学系PLと基板P表面に塗布されたレジストとの間が液体で満たされている場合、投影光学系PLと基板P表面に塗布されたレジストとの間が空気(気体)で満たされている場合に比べて、コントラストの向上に寄与するS偏光成分(TE偏光成分)の回折光のレジスト表面での透過率が高くなるため、投影光学系の開口数NAが1.0を越えるような場合でも高い結像性能を得ることができる。また、位相シフトマスクや特開平6−188169号公報に開示されているようなラインパターンの長手方向に合わせた斜入射照明法(特にダイポール照明法)等を適宜組み合わせると更に効果的である。特に、直線偏光照明法とダイポール照明法との組み合わせは、ライン・アンド・スペースパターンの周期方向が所定の一方向に限られている場合や、所定の一方向に沿ってホールパターンが密集している場合に有効である。例えば、透過率6%のハーフトーン型の位相シフトマスク(ハーフピッチ45nm程度のパターン)を、直線偏光照明法とダイポール照明法とを併用して照明する場合、照明系の瞳面においてダイポールを形成する二光束の外接円で規定される照明σを0.95、その瞳面における各光束の半径を0.125σ、投影光学系PLの開口数をNA=1.2とすると、ランダム偏光光を用いるよりも、焦点深度(DOF)を150nm程度増加させることができる。
また、例えばArFエキシマレーザを露光光とし、1/4程度の縮小倍率の投影光学系PLを使って、微細なライン・アンド・スペースパターン(例えば25〜50nm程度のライン・アンド・スペース)を基板P上に露光するような場合、マスクMの構造(例えばパターンの微細度やクロムの厚み)によっては、Wave guide効果によりマスクMが偏光板として作用し、コントラストを低下させるP偏光成分(TM偏光成分)の回折光よりS偏光成分(TE偏光成分)の回折光が多くマスクMから射出されるようになる。この場合、上述の直線偏光照明を用いることが望ましいが、ランダム偏光光でマスクMを照明しても、投影光学系PLの開口数NAが0.9〜1.3のように大きい場合でも高い解像性能を得ることができる。
また、マスクM上の極微細なライン・アンド・スペースパターンを基板P上に露光するような場合、Wire Grid効果によりP偏光成分(TM偏光成分)がS偏光成分(TE偏光
成分)よりも大きくなる可能性もあるが、例えばArFエキシマレーザを露光光とし、1/4程度の縮小倍率の投影光学系PLを使って、25nmより大きいライン・アンド・スペースパターンを基板P上に露光するような場合には、S偏光成分(TE偏光成分)の回折光がP偏光成分(TM偏光成分)の回折光よりも多くマスクMから射出されるので、投影光学系PLの開口数NAが0.9〜1.3のように大きい場合でも高い解像性能を得ることができる。
更に、マスク(レチクル)のラインパターンの長手方向に合わせた直線偏光照明(S偏光照明)だけでなく、特開平6−53120号公報に開示されているように、光軸を中心とした円の接線(周)方向に直線偏光する偏光照明法と斜入射照明法との組み合わせも効果的である。特に、マスク(レチクル)のパターンが所定の一方向に延びるラインパターンだけでなく、複数の異なる方向に延びるラインパターンが混在(周期方向が異なるライン・アンド・スペースパターンが混在)する場合には、同じく特開平6−53120号公報に開示されているように、光軸を中心とした円の接線方向に直線偏光する偏光照明法と輪帯照明法とを併用することによって、投影光学系の開口数NAが大きい場合でも高い結像性能を得ることができる。例えば、透過率6%のハーフトーン型の位相シフトマスク(ハーフピッチ63nm程度のパターン)を、光軸を中心とした円の接線方向に直線偏光する偏光照明法と輪帯照明法(輪帯比3/4)とを併用して照明する場合、照明σを0.95、投影光学系PLの開口数をNA=1.00とすると、ランダム偏光光を用いるよりも、焦点深度(DOF)を250nm程度増加させることができ、ハーフピッチ55nm程度のパターンで投影光学系の開口数NA=1.2では、焦点深度を100nm程度増加させることができる。
本実施形態では、投影光学系PLの先端に光学素子2が取り付けられており、このレンズにより投影光学系PLの光学特性、例えば収差(球面収差、コマ収差等)の調整を行うことができる。なお、投影光学系PLの先端に取り付ける光学素子としては、投影光学系PLの光学特性の調整に用いる光学プレートであってもよい。あるいは露光光ELを透過可能な平行平面板であってもよい。
なお、液体LQの流れによって生じる投影光学系PLの先端の光学素子と基板Pとの間の圧力が大きい場合には、その光学素子を交換可能とするのではなく、その圧力によって光学素子が動かないように堅固に固定してもよい。
なお、本実施形態では、投影光学系PLと基板P表面との間は液体LQで満たされている構成であるが、例えば基板Pの表面に平行平面板からなるカバーガラスを取り付けた状態で液体LQを満たす構成であってもよい。
なお、本実施形態の液体LQは水であるが、水以外の液体であってもよい、例えば、露光光ELの光源がF2レーザである場合、このF2レーザ光は水を透過しないので、液体LQとしてはF2レーザ光を透過可能な例えば、過フッ化ポリエーテル(PFPE)やフッ素系オイル等のフッ素系流体であってもよい。この場合、液体LQと接触する部分には、例えばフッ素を含む極性の小さい分子構造の物質で薄膜を形成することで親液化処理する。また、液体LQとしては、その他にも、露光光ELに対する透過性があってできるだけ屈折率が高く、投影光学系PLや基板P表面に塗布されているフォトレジストに対して安定なもの(例えばセダー油)を用いることも可能である。この場合も表面処理は用いる液体LQの極性に応じて行われる。また、液体LQの純水の代わりに、所望の屈折率を有する種々の液体を用いることも可能である。このように液体LQとして光源や用途などに応じて種々の液体を使用可能であるので、本発明に従って「液体の条件」として液体種ごとにパターン像の投影状態を計測して、最適露光条件をそれぞれ求めておくことができる。そして、使用する液体に応じて制御装置CONTが最適露光条件になるように、結像特性等を制御することができる。
なお、上記各実施形態の基板Pとしては、半導体デバイス製造用の半導体ウエハのみならず、ディスプレイデバイス用のガラス基板や、薄膜磁気ヘッド用のセラミックウエハ、あるいは露光装置で用いられるマスクまたはレチクルの原版(合成石英、シリコンウエハ)等が適用される。上述の実施形態においては、光透過性の基板上に所定の遮光パターン(又は位相パターン・減光パターン)を形成した光透過型マスク(レチクル)を用いたが、このレチクルに代えて、例えば米国特許第6,778,257号公報に開示されているように、露光すべきパターンの電子データに基づいて、透過パターン又は反射パターン、あるいは発光パターンを形成する電子マスクを用いても良い。
露光装置EXとしては、マスクMと基板Pとを同期移動してマスクMのパターンを走査露光するステップ・アンド・スキャン方式の走査型露光装置(スキャニングステッパ)の他に、マスクMと基板Pとを静止した状態でマスクMのパターンを一括露光し、基板Pを順次ステップ移動させるステップ・アンド・リピート方式の投影露光装置(ステッパ)にも適用することができる。また、国際公開第2001/035168号パンフレットに開示されているように、干渉縞を基板P上に形成することによって、基板P上にライン・アンド・スペースパターンを形成する露光装置(リソグラフィシステム)にも本発明を適用することができ、パターン像を基板P上に投影するための投影光学系を省略することもできる。
また、露光装置EXとしては、第1パターンと基板Pとをほぼ静止した状態で第1パターンの縮小像を投影光学系(例えば1/8縮小倍率で反射素子を含まない屈折型投影光学系)を用いて基板P上に一括露光する方式の露光装置にも適用できる。この場合、更にその後に、第2パターンと基板Pとをほぼ静止した状態で第2パターンの縮小像をその投影光学系を用いて、第1パターンと部分的に重ねて基板P上に一括露光するスティッチ方式の一括露光装置にも適用できる。また、スティッチ方式の露光装置としては、基板P上で少なくとも2つのパターンを部分的に重ねて転写し、基板Pを順次移動させるステップ・アンド・スティッチ方式の露光装置にも適用できる。
また、本発明は、特開平10−163099号公報、特開平10−214783号公報、特表2000−505958号公報などに開示されているツインステージ型の露光装置にも適用できる。
また、上述の実施形態においては、投影光学系PLと基板Pとの間に局所的に液体を満たす露光装置を採用しているが、本発明は、例えば特開平6−124873号公報及び特開平10−303114号公報に開示されているような露光対象の基板を保持したステージを液槽の中で移動させる液浸露光装置にも適用可能である。
露光装置EXの種類としては、基板Pに半導体素子パターンを露光する半導体素子製造用の露光装置に限られず、液晶表示素子製造用又はディスプレイ製造用の露光装置や、薄膜磁気ヘッド、撮像素子(CCD)あるいはレチクル又はマスクなどを製造するための露光装置などにも広く適用できる。
基板ステージPSTやマスクステージMSTにリニアモータ(USP5,623,853またはUSP5,528,118参照)を用いる場合は、エアベアリングを用いたエア浮上型およびローレンツ力またはリアクタンス力を用いた磁気浮上型のどちらを用いてもよい。また、各ステージPST、MSTは、ガイドに沿って移動するタイプでもよく、ガイドを設けないガイドレスタイプであってもよい。
各ステージPST、MSTの駆動機構としては、二次元に磁石を配置した磁石ユニットと、二次元にコイルを配置した電機子ユニットとを対向させ電磁力により各ステージPST、MSTを駆動する平面モータを用いてもよい。この場合、磁石ユニットと電機子ユニットとのいずれか一方をステージPST、MSTに接続し、磁石ユニットと電機子ユニットとの他方をステージPST、MSTの移動面側に設ければよい。
基板ステージPSTの移動により発生する反力は、投影光学系PLに伝わらないように、特開平8−166475号公報(USP5,528,118)に記載されているように、フレーム部材を用いて機械的に床(大地)に逃がしてもよい。
マスクステージMSTの移動により発生する反力は、投影光学系PLに伝わらないように、特開平8−330224号公報(US S/N 08/416,558)に記載されているように、フ
レーム部材を用いて機械的に床(大地)に逃がしてもよい。
以上のように、本願実施形態の露光装置EXは、本願特許請求の範囲に挙げられた各構成要素を含む各種サブシステムを、所定の機械的精度、電気的精度、光学的精度を保つように、組み立てることで製造される。これら各種精度を確保するために、この組み立ての前後には、各種光学系については光学的精度を達成するための調整、各種機械系については機械的精度を達成するための調整、各種電気系については電気的精度を達成するための調整が行われる。各種サブシステムから露光装置への組み立て工程は、各種サブシステム相互の、機械的接続、電気回路の配線接続、気圧回路の配管接続等が含まれる。この各種サブシステムから露光装置への組み立て工程の前に、各サブシステム個々の組み立て工程があることはいうまでもない。各種サブシステムの露光装置への組み立て工程が終了したら、総合調整が行われ、露光装置全体としての各種精度が確保される。なお、露光装置の製造は温度およびクリーン度等が管理されたクリーンルームで行うことが望ましい。
半導体デバイス等のマイクロデバイスは、図8に示すように、マイクロデバイスの機能・性能設計を行うステップ201、この設計ステップに基づいたマスク(レチクル)を製作するステップ202、デバイスの基材である基板(ウエハ)を製造するステップ203、前述した実施形態の露光装置EXによりマスクのパターンを基板に露光する露光処理(ウエハ処理)ステップ204、デバイス組み立てステップ(ダイシング工程、ボンディング工程、パッケージ工程を含む)205、検査ステップ206等を経て製造される。なお、ウエハ処理ステップ204において、図3のフローチャートで説明したステップSA1〜SA9が含まれる。
1…液浸機構、3…結像特性制御装置、14…温調装置、100…形状計測装置、500…空間像計測装置、501…受光部、CONT…制御装置、LQ…液体、M…マスク、Mt…テストマスク、P…基板、PL…投影光学系、Pt1〜PTN…テスト基板、SH…ショット領域