JP4647342B2 - 太陽光反射性能を有するシート - Google Patents
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Description
このような構成からなるターポリンは、遮熱性の面では決して良いものではなく、特に半恒久的に使用されるテント倉庫などでは、夏季の日中の倉庫内温度の上昇が激しく、倉庫内の製品はもとより、作業者にとって快適なものではない。
さらには、有事の際に使用される軍事用テントや災害時に使用される仮設のテントなども同様にテント内の温度上昇は大きな問題である。
含浸したものなどが使用されているが、上記のテントと同様に真夏の日中にはトラック荷台内の温度上昇は大きな問題であり、運送する荷物に制限がある。
例えば、アルミニウムをポリエステルフイルム表面に蒸着したものを積層させるもの(特開2000−71858号公報−特許文献1)、プラスチック樹脂にアルミニウム粉末を特定量含有させたシート(特開平8−81567号公報−特許文献2)、熱可塑性樹脂フィルムに特殊顔料を2種以上混合して成形される遮熱性カラーフィルム(特開2002−12679号公報−特許文献3)などが知られている。
また、特許文献1や2に記載のようなシートは、アルミニウム蒸着フイルムや、アルミニウム粉末含有シートが、光線を吸収することによってフィルムやシート自体が高温に加熱され、これらのフィルムやシートからなる構造体内部に直接太陽光はとどかないものの、熱伝播による間接的な加熱が考えられ、さらにフィルムやシート自体の劣化も懸念される
しかも、これらのフィルムやシートは、表面に、アルミが多く含有された層があるために、眩しいうえ、表面への印刷等にも適していない。
2種類の粒径の異なる酸化チタン粒子をそれぞれ酸化チタンA、酸化チタンBとし、酸化チタンAの重量平均粒径がφ=0.15〜0.35μm、重量平均粒径における標準偏差がρ=0.1以下であって、酸化チタンBの重量平均粒径がφ=0.7〜1.3μm、重量平均粒径における標準偏差がρ=0.2以上であり、
酸化チタンAと酸化チタンBとの配合比(重量比)は3:1〜10:1であって、酸化チタンAと酸化チタンBとの合計添加量が、合成樹脂100重量部に対して、10〜30重量部であり、
75μm〜500μmの厚みを有し、波長500〜1500nmの全波長領域にわたって反射率が75%以上であることを特徴とする太陽光反射性能を有するシートを要旨とする。
このとき、シートは、ポリ塩化ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ウレタン系樹脂から選ばれる少なくとも1つの樹脂を含むことが好ましい。
本発明者らの検討によれば、酸化チタン微粒子の粒径をコントロールすることにより、波長の違った光を有効に反射することが可能であり、比較的単分散であって、かつ平均粒子径φ=0.25μm程度の小さめの粒子は、400〜800nm程度の可視光に近い領域の光を有効に反射し、一方、比較的粒度分布が広く、かつ平均粒子径φ=1.0μm程度の大きめの粒子は、800〜1500nm程度の近赤外領域の波長の光を特に有効に反射することを確認している。
上記酸化チタンAの粒度分布は、重量平均粒径における標準偏差がρ=0.1以下であり、上記酸化チタンBのそれは、同標準偏差がρ=0.2以上であることが、上記の作用を効果的に発現する上で好ましい。
したがって、本発明では、酸化チタン微粒子A:酸化チタン微粒子Bを配合比(重量比)で3:1〜10:1とする。
これらの樹脂の中でも、常温で流動性を示す液状(=ペースト状、溶剤溶解型、水分散型、オリゴマー反応硬化型)となるポリ塩化ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂が特に好適に使用され、特に、シートの加工性(縫製性、ウエルダー加工性)、耐候性の点でポリ塩化ビニル系樹脂が最も適している。
例えば、シート母体としてポリ塩化ビニル樹脂を使用する場合は、通常の可塑剤や安定剤、ヒンダートアミン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾチアゾール系化合物などの紫外線吸収剤、酸化防止剤を配合することもでき、加工性を向上させるために、減粘剤、増粘剤などの各種添加剤を加えることもできる。
また、必要に応じて炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、ガラスバルーン、シラスバルーン、ガラスビーズ等の充填材を配合することもできる。
必要に応じて、未分散物を取り除く目的で濾過することも、気泡を取り除くために減圧脱泡することもできる。
この場合は、架橋剤、硬化剤等を配合することにより、堅固なシートを形成することができる。
この防汚層は、溶剤系、水系、あるいは紫外線硬化型等の塗料からなる防汚塗料を塗工することによって形成することができ、保護層は、各種ハードコート層、表面滑性層を形成することで形成することができる。
繊維質基材は、本発明のシートに接着剤等で積層させてもよいし、繊維質基材に本発明のシートを塗工させるような形で積層させてもよい。
さらに、繊維基材の片面に本発明のシートを配し、他の面に一般的な樹脂シートを積層しターポリンとすることもよい。
さらに、本発明における樹脂組成物を繊維質基材に含浸させた後、固化させて層すなわち本発明のシートを形成する方法によることもできる。
このように、繊維質基材を設けることにより、本発明のシート自体の引裂き強度や引張強度を高めることができ、使用時の耐久性や施工時の寸法安定性を一層向上させることができる。
シート成形用に、表1に示す割合で、エマルジョン重合ポリ塩化ビニルに、可塑剤、熱安定剤、酸化チタン微粒子をディゾルバーミキサーにて均一に混合し、ペースト状プラスチゾルを調製した。
酸化チタン合計量:重量部、
酸化チタン比率:酸化チタンAと酸化チタンBの比率、または酸化チタンAと酸化チタンCの比率
ポリ塩化ビニル樹脂:新第一塩ビ社製商品名"PQHPN"
可塑剤:イソノニルフタレート(積水化学工業社製)
安定剤:旭電化工業社製製商品名"AC183"
酸化チタンA:酸化チタン系白色顔料、平均粒子径:φ=0.25μm、標準偏差:ρ=0.071、テイカ社製商品名"JR-600A"
酸化チタンB:酸化チタン系白色顔料、平均粒子径:φ=1.03μm、標準偏差:ρ=0.34、テイカ社製商品名"JR-1000"
酸化チタンC:酸化チタン系白色顔料、平均粒子径:φ=0.29μm、標準偏差:ρ=0.12、テイカ社製商品名"JR-805"
表1に示す配合にて表2に示す態様の試験用シートを下記する要領で作成し、これらのシートについて下記する要領で反射率を測定し、この結果を表2に併せて示す。
離型紙上に、調製したペースト状プラスチゾルを、所定厚さにナイフコーティング法によりコーティングし、140℃で2分間加熱し、次いで195℃で3分間加熱を行った。その後冷却して離型紙を剥離し、シートを作成した。
反射率は、自記分光光度計(日本分光(株)社製V−570)を用いて、標準白色板(フッ素樹脂他孔質体)を反射率100%とし、500〜1500nmの範囲での分光反射率を測定した。
さらに、日射反射率はJIS A5759付表3を用いて、太陽光のそれぞれの波長ごとの強度を加味して算出される値であり、本願発明では、500〜1500nmの波長での日射反射率を算出した。
シート名:「比」は「比較例」
配合:「実(1)」、「実(2)」・・・「比(1)」、「比(2)」・・・は、それぞれ「実施例1」、「実施例2」・・・「比較例1」、「比較例2」・・・。
単位:シート厚み;mm、反射率;%
反射率(最低)、(最高):分光分析により波長500〜1500nmの光を照射したときの反射率の最低値と最高値
日射反射率:波長500〜1500nmの範囲での日射反射率
Claims (2)
- 少なくとも2種類の粒径の異なる酸化チタン粒子を配合した合成樹脂からなる太陽光反射性能を有するシートであって、
2種類の粒径の異なる酸化チタン粒子をそれぞれ酸化チタンA、酸化チタンBとし、酸化チタンAの重量平均粒径がφ=0.15〜0.35μm、重量平均粒径における標準偏差がρ=0.1以下であって、酸化チタンBの重量平均粒径がφ=0.7〜1.3μm、重量平均粒径における標準偏差がρ=0.2以上であり、
酸化チタンAと酸化チタンBとの配合比(重量比)は3:1〜10:1であって、酸化チタンAと酸化チタンBとの合計添加量が、合成樹脂100重量部に対して、10〜30重量部であり、
75μm〜500μmの厚みを有し、波長500〜1500nmの全波長領域にわたって反射率が75%以上であることを特徴とする太陽光反射性能を有するシート。 - 前記シートが、ポリ塩化ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ウレタン系樹脂から選ばれる少なくとも1つの樹脂を含むことを特徴とする請求項1に記載の太陽光反射性能を有するシート。
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