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JP4647299B2 - 医療用カテーテルチューブならびにその製造方法 - Google Patents

医療用カテーテルチューブならびにその製造方法 Download PDF

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JP4647299B2 JP2004357248A JP2004357248A JP4647299B2 JP 4647299 B2 JP4647299 B2 JP 4647299B2 JP 2004357248 A JP2004357248 A JP 2004357248A JP 2004357248 A JP2004357248 A JP 2004357248A JP 4647299 B2 JP4647299 B2 JP 4647299B2
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Description

本発明は、内孔が大きく、外径が小さい、すなわち肉薄であり、それと同時に先端部が好適なX線視認性と優れた柔軟性が発揮できる医療用カテーテルチューブならびにその製造方法に関する。
カテーテルチューブは体内の腔、管、血管等に挿入する中空状の医療器具であり、例えば選択的血管造影剤等の液体の注入、血栓の吸引、閉塞状態にある血管の通路確保、血管拡張術等に用いられるもので、通常チューブ体からなっている。このようなカテーテルでは、細く複雑なパターンの血管系などに迅速かつ確実な選択性をもって挿入しうるような優れた操作性が要求される。
このようなカテーテルチューブの操作性について詳しく述べると、血管内等を挿入、引き出しなど、術者の操作が基部から先端部に確実に伝達されるための位置調整性や、内部に薬液等を流通させる際の耐圧性が必要とされる。また、カテーテルチューブの基部で加えられた回転力が確実に伝達されるためのトルク伝達性、血管内を前進させるために施術者の押し込み力が基端側から先端側に確実に伝達されうる押し込み性も必要となる。さらに複雑な形状に曲がった血管等を先行するガイドワイヤーに沿って円滑かつ血管内壁等を損傷することなく挿入、引き出しが行えるよう、カテーテルチューブの内面が滑性を呈するガイドワイヤー追随性とカテーテル外面の血液や組織に対する親和性が必要となる。加えて、目的とする位置までカテーテルチューブ先端が到達し、ガイドワイヤーを引き抜いた状態でも、血管の湾曲部、屈曲部でカテーテルチューブに折れ曲がりが生じない耐キンク性と、血管を傷つけず血管形状に応じた形状を保つ先端部の柔軟性が必要となる。
このような要求に応じた特性を付与するために一般的には、基部が比較的剛直で、先端部にかけて次第に柔軟性を有する構造、構成とするのがよいことが知られている。
上述のような特性のカテーテルチューブを得るために、内層管に補強材層として素線をコイル状に巻き付けたり、編組を施した上で、外層を被覆してカテーテルチューブを構成する方法が知られている。
内層管に補強材層として素線をコイル状に巻き付けるものとして、特許文献1では可撓性を有する内管および外管が補強材層を介して接合された部分を有するカテーテル本体を有し、前記補強材層は、線条体を格子状に形成したものであり、前記カテーテル本体の軸方向に沿って、前記線条体のカテーテル本体の軸に対する傾斜角度が連続的または段階的に変化するか、あるいは前記線条体の格子点のカテーテル本体軸方向の間隔が連続的または段階的に変化することによって曲げ剛性が大なる領域と曲げ剛性が小なる領域を形成するカテーテルチューブが開示されている。
しかしながら、このカテーテルチューブでは剛性のある基部と柔軟性がある先端部を形成することはできるが、その剛性と柔軟性の傾斜制御の自由度が低く、さらに多様なアクセス経路に応じてカテーテルチューブの調子を設定するという思想はない。加えて、肉薄にすることに対しての特段の配慮が無く、X線視認性を与えるマーカーについては具体的な記載が無く、カテーテル先端部の高度な柔軟性と同時にX線視認性を確保するという思想はない。
また、内層管に補強材層として素線をコイル状に巻き付けるものとして、特許文献2のように、近位端、遠位端、およびこれら端部間を伸びる内腔を規定する通路を有する細長い管状部材を備えたカテーテルチューブであって、該細長い管状部材は、第1のカバー材料を有する外部管状カバーと同軸関係にある第1のライナー材料よりなる内部管状ライナーと、1つの回りを有し、該内部管状ライナーの外側にらせん状および同軸状に巻かれ、該外部管状カバーによって覆われる少なくとも1つの第1のリボン補強材とを備えるカテーテルチューブが開示されている。
しかしながら、この構成でもその剛性と柔軟性の傾斜制御の自由度が低く、さらにその製造上、リボン補強材の弾性力により切断端が内部管状ライナーや外部管状カバーを突き破るなどの不具合が生じて生産性に劣る。さらに多様なアクセス経路に応じてカテーテルチューブの調子を設定するという思想はない。加えて、肉薄にすることに対しての特段の配慮が無く、X線視認性を与えるマーカーについてはX線不透過性の粒体を樹脂に混練したものをカテーテル先端に配置するとしているが、この構成では先端部の好適なX線視認性と高度な柔軟性が確保できない。
加えて、特許文献3のように、可撓性を有する管状のカテーテル本体と、該カテーテル本体の壁内に埋設された、補強効果を有するコイルとを備えたカテーテルであって、前記カテーテル本体は、前記カテーテルの最も先端側に位置する第1領域と、該第1領域よりも基端側に位置する第2領域とを備えており、前記コイルは、前記第1領域から前記第2領域にわたって延在しており、前記第2領域では、前記コイルが全長にわたって相対的に大きい巻きピッチで巻かれており、前記第1領域では、前記コイルが全長にわたって隣接する巻回同士が隔たりをなす相対的に小さい巻きピッチで巻かれており、かつ、該コイルの巻きピッチは先端側に向かって徐々に小さくなっており、前記第2領域に比べて前記第1領域でのカテーテルの剛性が小さくなるように構成したことを特徴とするカテーテルチューブが開示されている。
しかしながら、このカテーテルチューブは剛性の高い基部と柔軟性が高い先端部を形成することは可能であり、曲げ剛性のバランスを保つことはできるが、多様なアクセス経路に応じてカテーテルチューブの調子を設定するという思想はない。さらにこのカテーテルチューブは補強効果を有するコイルが全てX線不透過性の金属線からなり、肉薄にすることに対しての特段の配慮が無く、先端部の柔軟性が不充分なものとなり、加えてX線視認性が過剰となり、施術時に術者の判断に支障をきたす場合がある。
さらに、内層管に補強材層を編組するものとして、特許文献4では近位領域、遠位領域、及びこれらの間を延伸する内腔を有する長尺状のシャフトと、この近位領域は内部平滑ポリマー層、補強層及び外部層を有することと、それぞれの層は遠位端を有することと、前記補強層は金属部材、及び複数のポリマー部材を有するブレードからなることと、各ポリマー部材は複数のモノフィラメントからなることとを有する脈管カテーテルが開示されている。
しかしながらこのカテーテルチューブでは剛性のある基部と柔軟性がある先端部を形成することはできるが、その剛性と柔軟性の傾斜制御の自由度が低く、さらに多様なアクセス経路に応じてカテーテルチューブの調子を設定するという思想はない。加えて、肉薄にすることに対しての特段の配慮が無く、X線視認性を与えるマーカーは金属薄板を内層管上に巻き覆うか金属管をかしめるしたものであり、このような構成をとるとマーカーおよびその周囲にわたって、カテーテル先端部の高度な柔軟性が確保できなくなる。
また、内層管に補強材層として素線を編組するものとして、特許文献5では、金属芯線が挿入された熱可塑性樹脂からなるチューブ体の外周全体に亘って金属編組を連続的に被覆形成してトルク伝達部を連続的に形成した後、その外側から波長1.06μmのレーザー光を照射して上記編組の一部をその長さ方向に亘って間欠的に除去してそのチューブ体の長さ方向に亘って一定幅の挿入先端部を所定の間隔を隔てて複数形成し、その後、上記金属芯線を抜き取った後、上記各挿入先端部の端部で上記チューブ体を複数に分割して上記トルク伝達部の先端部に上記挿入先端部を連続的に形成するようにしたことを特徴とするカテーテルチューブの製造方法が開示されている。
しかしながら、波長1.06μmのレーザー光を照射して上記編組の一部をその長さ方向に亘って間欠的に除去する工程が非常に煩瑣なものとなる。さらにその後工程の金属芯線が挿入された熱可塑性樹脂からなるチューブ体の外周全体に亘って金属編組を連続的に被覆形成した後、このチューブ体を加熱軟化してその外面に上記編組をその厚さの1/2〜1/5程度食い込ませて固定化させてトルク伝達部を連続的に形成する際にも、チューブ体を加熱軟化して編組を食い込ませる際に金属編組の弾性力により、切断端が反ることによりチューブ表面に金属編組が飛び出すなどの不具合を生じ生産性に劣る。さらに、肉薄にすることに対しての特段の配慮が無く、剛性と柔軟性の傾斜制御も充分なものが得られない。さらに多様なアクセス経路に応じてカテーテルチューブの調子を設定するという思想はない。
加えて特許文献6ではマニホールドと、 マニホールドに接続された基端シャフト部と、 基端シャフト部に比較して可撓性に富み、基端シャフト部の先端に連結された先端シャフト部と、 先端シャフト部の周りに配備されたファイバー編組部とから成り、 前記ファイバー編組部は、先端シャフト部上に配設され、かつ相互に交差し合ってピックを形成する多数のファイバーで構成され、インチあたり約70〜120のピックとなるように形成されたカテーテルが開示されている。
しかしながらこのカテーテルチューブは剛性傾斜の発現が、ピック間隔の変化と外層樹脂の硬度変化の配置が相まって生じるという発想はなく、剛性と柔軟性の傾斜制御も充分なものが得られない。しかも肉薄にすることに対しての特段の配慮が無く、さらに多様なアクセス経路に応じてカテーテルチューブの調子を設定するという思想はない。
特許3310031号 特許2672714号 特開2001−218851号公報 特表2002−535049号公報 特開2000−225194号公報 特表平11−506369号公報
本発明は、特に肉薄なカテーテルを提供できるところに利点があり、その製造方法を開示することにある。本発明の医療用カテーテルチューブは、種々の患部に使用されるゆえ、その対象部位へのアクセス経路も多様であるがために、剛性と柔軟性の傾斜制御の高い調節自由度を有すると同時に、多様なアクセス経路に応じた調子の設定が可能な医療用カテーテルチューブを提供し、その製造方法を開示することにある。
耐キンク性、耐圧性、トルク伝達性、押し込み性等を付与する素線を編組してなる補強材層、滑性を呈しかつ柔軟性を有する樹脂からなる潤滑層、X線不透過性を有した金属を潤滑層上に巻き覆うことによって配置されるマーカー、および潤滑層とマーカーを覆い柔軟性を有する樹脂管からなる外層管が一体となった医療用カテーテルチューブであって、該カテーテルチューブが基部、先端部と最先端部、さらには内孔を有し、補強材層を形成する編組が合成樹脂素線および/または金属素線からなり、潤滑層が補強材層を覆い、さらに補強材層の編み目間より潤滑層が露出して、潤滑層と補強材層とにより内孔が形成され、先端部に配置されたX線不透過性を有した金属からなるマーカーが曲げ変形に対して柔軟性を有するものであり、
補強材層、マーカーが存在しない最先端部を有し、外層管と補強材層の存在により、基部から先端部にかけての曲げ剛性が段階的または連続的に小さくなるように構成したことを特徴とする医療用カテーテルチューブに関するものである。
また、本発明は、X線不透過性を有した曲げ変形に対して柔軟性を有する金属からなるマーカーが、潤滑層上にX線不透過性金属素線をコイル状に巻回したものか、あるいは方形の両辺から切れ目を入れたX線不透過性金属薄板を巻き覆ったものか、さらにはX線不透過性金属粉体を混練した樹脂を使用することにより形成された医療用カテーテルチューブに関するものである。
本発明は編組により補強材層を形成する合成樹脂素線が、溶融液晶ポリマーを内芯とし、屈曲性ポリマーを鞘とした合成繊維からなる医療用カテーテルチューブに関する。
また、本発明は、補強材層を形成する編組のピック間隔が、基部から先端部にかけて連続的または段階的に変化することを特徴とする医療用カテーテルチューブに関する。
本発明は基部から先端部にかけて、外層管を形成する樹脂管のショアD硬度の配列が段階的に小さくなることを特徴とする医療用カテーテルチューブに関する。
本発明は、前記補強材層を形成する編組のピック間隔と、前記基部から先端部にかけて外層管を形成する樹脂管のショアD硬度の配列が段階的に小さくなることによって、多様な調子が設定できることを特徴とする医療用カテーテルチューブに関する。
本発明は潤滑層がその中を通るガイドワイヤー等に対して滑性を呈する樹脂からなる医療用カテーテルチューブに関する。
また、本発明は最先端部において、外層管の外径が変化しアール形状またはテーパー状に成形された医療用カテーテルチューブに関する。
本発明は外層管が親水性コーティングされてなる医療用カテーテルチューブに関する。
さらに本発明のカテーテルチューブの製造方法であって、編組により形成された補強材層を潤滑層が覆い、さらに補強材層の編み目間より潤滑層が露出しており、潤滑層と補強材層とにより内孔が形成され、さらに補強材層の先方に隣接する曲げ変形に対して柔軟性を有するX線不透過性マーカーを配置した後、外層管を被覆してカテーテルチューブを製造するに際し、金属芯線に合成樹脂素線および/または金属素線を編組することで補強材層を形成し、それを潤滑層により被覆し、X線不透過性マーカーを潤滑層の先端近傍に配置し、さらに外層管を被覆したのち、金属芯線を抜去してなることを特徴とする医療用カテーテルの製造方法に関する。
また本発明は、カテーテルチューブの製造方法であって、編組により形成された補強材層を潤滑層が覆い、さらに補強材層の編み目間より潤滑層が露出しており、潤滑層と補強材層とにより内孔が形成され、さらに補強材層の先方に隣接する曲げ変形に対して柔軟性を有するX線不透過性マーカーを配置した後、外層管を被覆してカテーテルチューブを製造するに際し、X線不透過性マーカーはカテーテル先端部近傍の潤滑層にX線不透過性金属素線をコイル状に巻回するか、あるいは方形の両辺から切れ目を入れたX線不透過性金属薄板を巻き覆うことによるか、さらにはX線不透過性金属粉体を混練した樹脂を使用することにより形成された、先端部の柔軟性が確保されたことを特徴とする医療用カテーテルチューブの製造方法に関する。
また、本発明はカテーテルチューブの製造方法であって、編組により形成された補強材層を潤滑層が覆い、さらに補強材層の編み目間より潤滑層が露出しており、潤滑層と補強材層とにより内孔が形成され、さらに補強材層の先方に隣接する曲げ変形に対して柔軟性を有するX線不透過性マーカーを配置した後、外層管を被覆してカテーテルチューブを製造するに際し、補強材層の形成は、金属芯線の外周に素線供給部から供給される素線を編組し、前記金属芯線と前記素線供給部との相対移動速度を連続的または段階的に変化させることにより、編組のピック間隔が連続的または段階的に変化することを特徴とする医療用カテーテルチューブの製造方法に関する。
また、本発はのカテーテルチューブの製造方法であって、編組により形成された補強材層を潤滑層が覆い、さらに補強材層の編み目間より潤滑層が露出しており、潤滑層と補強材層とにより内孔が形成され、さらに補強材層の先方に隣接する曲げ変形に対して柔軟性を有するX線不透過性マーカーを配置した後、外層管を被覆してカテーテルチューブを製造するに際し、外層管はそれを形成する樹脂管のショアD硬度の配列が一段階以上となるように配置し、該樹脂管のショアD硬度を多段階とする際には該ショアD硬度の配列が基部から先端部にかけて段階的に小さくなるように配置し、加えて補強材層を形成する編組のピックが連続的または段階的に変化することにより、多様な調子が設定できることを特徴とする医療用カテーテルチューブを得る製造方法に関する。
また、本発明はカテーテルチューブの製造方法であって、編組により形成された補強材層を潤滑層が覆い、さらに補強材層の編み目間より潤滑層が露出しており、潤滑層と補強材層とにより内孔が形成され、さらに補強材層の先方に隣接する曲げ変形に対して柔軟性を有するX線不透過性マーカーを配置した後、外層管を被覆してカテーテルチューブを製造するに際し、外層管はそれを形成する樹脂管のショアD硬度が一段階以上となるように配置し、該樹脂管のショアD硬度を多段階とする際には該ショアD硬度が基部から先端部にかけて次第に小さくなるように配置し、その全体をシュリンクチューブで被覆、加熱し、潤滑層、補強材層、X線不透過性マーカー、外層管を一体化せしめ、さらに最先端部をアール形状またはテーパー形状に成形した上で、該シュリンクチューブが冷却された後にこれを剥がして医療用カテーテルチューブを得る製造方法に関する。
また、本発明はカテーテルチューブの製造方法であって、編組により形成された補強材層を潤滑層が覆い、さらに補強材層の編み目間より潤滑層が露出しており、潤滑層と補強材層とにより内孔が形成され、さらに補強材層の先方に隣接する曲げ変形に対して柔軟性を有するX線不透過性マーカーを配置した後、外層管を被覆してカテーテルチューブを製造するに際し、被覆押出成形によりショアD硬度が一段階以上となるように外層管を被覆押出して形成し、ショアD硬度を多段階とする際には該ショアD硬度が基部から先端部にかけて次第に小さくなるように外層管を被覆押出して形成し、補強材層、潤滑層、X線不透過性マーカー、外層管を一体化せしめ、さらに最先端部をアール形状またはテーパー形状に成形して医療用カテーテルを得る製造方法に関する。
上述した課題を解決するための手段によって、本発明は優れたガイドワイヤー追随性を伴う位置調整性、術者が回転力を与えた際のトルク伝達性、基部から先端部にかけて連続的な柔軟性の変化があり、剛性と柔軟性の高い調節自由度、多様なアクセス経路に応じた調子設定性、また複雑な屈曲が生じた際にも折れ曲がりが生じない耐キンク性、耐圧性、ガイドワイヤー追随性、生産性等を有する医療用カテーテルチューブを提供できる効果がある。さらに適度なX線視認性と同時に先端部の高度な柔軟性が発揮できる医療用カテーテルチューブを提供できる効果がある。本発明の最も重要な特徴として、肉薄の医療用カテーテルチューブを提供できることにある。
以下に本発明の医療用カテーテルチューブの最良の形態を図面を使って説明する。これらの図は本発明の構成の特徴を模式的に示したものであり、各部分の長さや径に関しては、医療用カテーテルチューブとして好適に用いることができるものであれば、任意のものとなっている。図1に製造方法のフローチャートを示し、この図にしたがって本発明の最良の形態をしめす。本発明においては、請求の範囲に記載された本発明の範囲を逸脱することなく、適宜変更を加えることができる。
まず、図2のように金属芯線1を準備する。この金属芯線はリール2に巻かれており、その外径は製造するカテーテルの内径とほぼ一致するものであり、材質としては金属メッキ銅線、あるいはステンレス線が好ましい。また図2以降では便宜上、左側を基部とし、右側を先端部としている。
つぎに補強材層3の形成は図3のように素線を金属芯線上に編組することによってなされる。編組は編組機によりなされる。編組の形態については1オーバー1アンダーや2オーバー2アンダーなど様々な形態があるが、カテーテルの補強材層として適切なものであれば、いずれの形態をとってもよい。編み目の一つはピックと呼ばれ、このピック間隔が図3のようにカテーテルの先端部で細かく、基部で粗くすることにより、後に述べる剛性と柔軟性の傾斜の調節あるいは調子を付与することが可能となる。図4に編組を拡大した模式図を示すがこの図の編み目pをピックと呼び、この編み目の間隔aをピック間隔と呼ぶ。
ピック間隔は細かくなるほど柔軟性を有し、粗くなるほど剛直性を有するものとなる。編組の持ち数、打ち数は適宜選択しうる。持ち数とはひとつのピックに含まれる素線の数のことであり、打ち数とは1周のピックの数を表す。
また、図5のように補強材層としての素線を、カテーテルを引っ張るときの伸び抑制したり、複雑な血管の湾曲に追随し易いように、軸方向に適宜本数、配置してもよい。この素線の軸方向への配置には、さらに剛性と柔軟性の傾斜を滑らかなものにしたり、耐破裂性を高めたりといった効果が期待できる。
素線には合成樹脂素線および/または金属素線を用いうる。合成樹脂素線として特に好適に用いうるのは図6の断面概念図ならびに走査顕微鏡写真に示すような溶融液晶ポリマーの芯4に、溶融液晶ポリマーの島(鞘)5と屈曲性ポリマーの海(鞘)6が被覆されたものである。この溶融液晶ポリマーとしてはポリアリレート、屈曲性ポリマーとしてはポリエチレンナフタレートで形成されているものである。好適に用いられる合成樹脂素線の直径として好ましくは5〜50μmのものを用いるのが好ましい。
他に合成樹脂素線として用いられるものとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリメチレンテレフタレートのようなポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレンのようなポリオレフィン、硬質ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリイミド、ポリスチレン、熱可塑性ポリウレタン、ポリカーボネート、ABS樹脂、アクリル樹脂、ポリメチルメタクリレート、ポリアセタール、ポリアリレート、ポリオキシメチレン、高張力ポリビニルアルコール、フッ素樹脂、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、エチレン−酢酸ビニルケン化物、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリフェニレンオキサイド、ポリフェニレンスルフィド、ケブラーに代表される芳香族ポリアラミドなど、これらのうちのいずれかを含むポリマーアロイ、カーボンファイバー、グラスファイバーが挙げられる。
金属素線としては、ステンレス、銅、タングステン、ニッケル、チタン、ピアノ線、Ni−Ti合金、Ni−Ti−Co合金、Ni−Al合金、Cu−Zn合金、Cu−Zn−X合金(例えば、X=Be、Si、Sn、Al、Ga)のような超弾性合金、アモルファス合金等の各種金属素線が用いられ、これらの材料のうち、後に配置するX線不透過性マーカーの視認性を十分に確保するためにX線不透過性マーカーよりは視認性が低く、かつ加工性、経済性、毒性がないこと等の理由から、ステンレスの使用が好ましい。金属素線は、直径5〜50μm程度とするのが好ましい。
上記合成樹脂素線ならびに金属素線は、素線単独で用いてもよいし、または素線の集合体(例えば、素線を撚ったものや束ねたもの、さらには並列したもの)のいずれでもよい。
本発明においては、合成樹脂素線のみを用いてもよいし、金属素線のみを用いてもいいが、合成樹脂素線と金属素線を併せて用いてもよい。
続いて図7のように補強材層を施した金属芯線上に潤滑層7を被覆形成する。この被覆には図7のように押出成形を用いてもよいし、図には示さないが、樹脂分散溶液や樹脂溶液などを塗布してから乾燥させて被覆するなど、任意の手段をとりうる。
この潤滑層の構成材料として、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体等のフッ素系樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン系樹脂、ポリイミド等の樹脂、およびこれらの混合物が挙げられるが、完成後の製品が潤滑層、補強材層を通るガイドワイヤー等に対して優れた滑性を呈し、ガイドワイヤー追随性を伴う位置調整性を得る観点からは、ポリテトラフルオロエチレンまたはテトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、あるいはポリプロピレン、ポリエチレンで構成することが好ましい。
補強材層を施した金属芯線に被覆された潤滑層は金属芯線と補強材層に対して、充分な被着力を有していることが好ましい。さらに後の外層管を被覆する工程で、潤滑層と外層管との被着力を高める目的で、潤滑層表面に機械的な方法、化学的な方法(ナトリウムナフタリン+ジメチルエーテル等の脱フッ素薬剤の使用)、プラズマなどの電気的な方法で凹凸を形成したり、表面改質したりしてもよい。
また、潤滑層の先端部はその外径が最先端部に向かうにしたがって次第に小さくなるよう、機械的、化学的な手段を以て加工してもよい。
潤滑層が形成された後、これと後述する外層管とを良好に接着・固定させるために、ここでは図示しないが、結合層を設けてもよい。これは潤滑層に発生する微少な孔を塞いだり、耐破裂強度を増加させたりすることも目的のものであり、潤滑層上に柔軟なポリウレタンやポリウレタンディスパージョンあるいは柔軟な接着剤などを50〜5μmの厚みで塗布したり、スプレーでコーティングすることができる。
続いて図1のフローチャートに示すようにAプロセスとBプロセスのいずれの製造方法をとりうるが、Aプロセスでは図8のようにカテーテルの先端部8と基部9の境界領域に相当する位置の潤滑層と補強材層を取り除き金属芯線10が露出するようにしておく。これに対してBプロセスは図示しないが、Aプロセスのような潤滑層と補強材層の除去作業は行わないものである。
図1のフローチャートに示すようにCプロセスとDプロセスのいずれの製造方法をとりうるが、Cプロセスについて説明する。
Cプロセスではカテーテルを図9のように1本毎に切断する。
図10はカテーテル先端部を拡大して示したものであり、11は金属芯線を示しているが、この金属芯線上にX線不透過性の金属線マーカー12を潤滑層と補強材層からなる構造体の先方に隣接させて巻回する。また、図11のようにX線不透過性の金属線マーカー13は潤滑層と補強材層からなる構造体の先端上に配置されてもよい。この巻回は金属線同士が接触する密着巻きでも、あるいは金属線同士に間隔を有するピッチ巻きのどちらでもよい。
また、図12のような形状をした方形の両辺から切れ目を入れたX線不透過性金属薄板マーカー14を、図13にカテーテル先端部を拡大して示すが、潤滑層と補強材層からなる構造体の先方に隣接されて金属芯線上に巻き覆して配置する。もしくは図14のように潤滑層と補強材層からなる構造体上に配置してもよい。
これらのX線不透過性マーカーは金属線を使用する場合にはその直径が5〜50μmのものが好ましく、金属薄板を使用するときはその厚みが5〜30μmのものが好ましい。また、これらのX線不透過性マーカーは金属線を使用した場合も、金属薄板を使用したときも、好適な柔軟性が確保されるものである。さらにX線不透過性をマーカーは接着剤等を使用して適宜潤滑層に固定してもよい。X線不透過性マーカーの材質ついては、白金(Pt)、Pt−Ir合金、Pt−W合金、Pt−Ni合金、金、銀などのX線不透過性が高く、X線視認性が良好である金属が好適に用いられる。
また、ここでは図示しないが、硫酸バリウム、酸化ビスマス、次炭酸ビスマス、タングステン酸ビスマス、ビスマス−オキシクロライド等のX線不透過性金属粉体を混練した樹脂チューブを潤滑層と補強材層からなる構造体の先方に隣接されて、もしくは潤滑層と補強材層からなる構造体上に配置してもよい。ここで用いる樹脂としては後述する外層管として使用するものと同様のものが好ましい。この配置の際にはX線不透過性金属粉体を混練した樹脂チューブを軸方向に切れ目を入れて配置してもよいし、チューブ形態を保ったまま配置してもよい。以上がCプロセスである。
Dプロセスはカテーテルを切断しない状態でX線不透過性のマーカーを取り付けるものである。図15にカテーテル基部と先端部の境界領域を示す。X線不透過性の金属線マーカー15は図16のようにカテーテル先端の潤滑層と補強材層からなる構造体上に巻回して配置する。この巻回は金属線同士が接触する密着巻きでも、あるいは金属線同士に間隔を有するピッチ巻きのどちらでもよい。
また、図示しないが、前に示したように、方形の両辺から切れ目を入れたX線不透過性金属薄板マーカーやX線不透過性金属粉体を混練した樹脂チューブをカテーテル先端の潤滑層と補強材層からなる構造体上に配置するしてもよい。これらのX線不透過性マーカーの形状、材質等については既に上で示したものと同様である。これらX線不透過性マーカーはそれを固定するために、適宜、硬化後も柔軟性を有する接着剤を使用してもよい。以上がDプロセスである。
EプロセスはCプロセスで切断したカテーテルを金属芯線の溶接により連続体にする行程である。図17のように1本ずつ切り離されていたカテーテルの金属芯線をスポット溶接することにより、連続体とし、リールに巻く。以上がEプロセスである。
続いてFプロセスは切断されている潤滑層と補強材層からなる構造体に外層管を被覆する工程を表している。この外層管の配置方法としては、図18のように外層管となる樹脂管16a〜bを基部から先端部にかけてそれを形成する樹脂管が一段階以上のショアD硬度の有するものを配置する。先端部と基端部においては、補強材層、潤滑層を超えて先端側に樹脂管を配置する。図18では四種類のショアD硬度を有するものを密接させて配置した状態を示したが、基部から先端部にかけて徐々にショアD硬度が低くなるように配置する必要がある。すなわち外層管となる樹脂管のショアD硬度は図18において16a>16b>16c>16dとなる。ショアD硬度は20〜80程度であるものが好適に用いられる。一種類のショアD硬度を有する外層管のみを配置する際には、前記一種類のショアD硬度を有する外層管を複数本に分割して密接させて配置してもよい。また、ショアD硬度の異なる外層管となる樹脂管は、それぞれ編組のピック間隔が変化する位置とずらせて配置すれば、剛性と柔軟性の傾斜が緩やかに変化させることができる。以上がFプロセスである。
Gプロセスは切断されている潤滑層と補強材層からなる構造体に外層管を被覆する工程の別法である。この方法での外層管の作成方法としては、複数台の押出機を一つの押出金型につなぎ、ショアD硬度の異なる樹脂を、この複数台の押出機を順次、運転・停止させることによってショアD硬度が段階的に変化する樹脂管を作成し、これを図19のように潤滑層と補強材層からなる構造体に配置する。また、弁機構を有する金型に複数台の押出機をつなぎ、連続的に押出をしながら、順次ショアD硬度の異なる樹脂を押出流路内に導入・排出を切り替えながらショアD硬度が段階的に変化する樹脂管を作成し、これを図19のように潤滑層と補強材層からなる構造体に配置してもよい。この際、外層管は基端部に近づくほど高ショアD硬度、先端側に近づくほど低ショアD硬度のものとなるように配置する必要がある。以上がGプロセスである。
外層管を形成する樹脂管の材質としてはポリアミドエラストマー、ポリエステルエラストマー、ポリウレタンエラストマー、ポリスチレンエラストマー、フッ素系エラストマー、シリコーンゴム、ラテックスゴム等の各種エラストマー、またはこれらのうちの2以上を組み合わせたものが使用可能である。
ここで、ポリアミドエラストマーとは、例えば、ナイロン6、ナイロン64、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン46、ナイロン9、ナイロン11、ナイロン12、N−アルコキシメチル変性ナイロン、ヘキサメチレンジアミン−イソフタル酸縮重合体、メタキシロイルジアミン−アジピン酸縮重合体のような各種脂肪族または芳香族ポリアミドをハードセグメントとし、ポリエステル、ポリエーテル等のポリマーをソフトセグメントとするブロック共重合体が代表的であり、その他、前記ポリアミドと柔軟性に富む樹脂とのポリマーアロイ(ポリマーブレンド、グラフト重合、ランダム重合等)や、前記ポリアミドを可塑剤等で軟質化したもの、さらには、これらの混合物をも含む概念である。
また、ポリエステルエラストマーとは、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等の飽和ポリエステルと、ポリエーテルまたはポリエステルとのブロック共重合体が代表的であり、その他、これらのポリマーアロイや前記飽和ポリエステルを可塑剤等で軟質化したもの、さらには、これらの混合物をも含む概念である。
好適に用いられる材料としては、その加工性、柔軟性の観点からポリアミドエラストマーが好ましく、例えばelf atochem社製のPEBAXなどがその代表として挙げられる。
Iプロセスはシュリンクチューブにより、潤滑層と外層を一体化させる工程である。図20のように加熱することによりその径が縮小する性質を有するシュリンクチューブ17を潤滑層と補強材層、外層管からなる構造体全体に配置する。シュリンクチューブはポリテトラフルオロエチレンやパーフルオロエチレン−プロペンコポリマーなどを材質としていることが好ましい。
この後、シュリンクチューブがチューブが収縮する温度までヒーターで加熱させるか、高周波電磁波を加えて加熱し、さらにここでは図示しないが、加熱金型を通過させて、潤滑層、補強材層、外層管を一体化する。このとき、シュリンクチューブの収縮により図21のように外層管となる樹脂管先端部がアール状18に賦形される。
外層管となる樹脂管先端部をテーパー状に賦形する際には、シュリンクチューブを収縮させてから、さらに図22のような加熱金型19を用いて図23のように接触、加熱してテーパー状20に賦形させる。ついで、図24のようにシュリンクチューブを剥いて、必要に応じてカテーテル先端部と基端部の潤滑層、補強材層、外層管を切断・調整する。以上がIプロセスである。
Hプロセスは長くつながったカテーテルに切替押出により、外層管を連続的に被覆する工程であり、ショアD硬度が一段階以上となるように外層管を被覆押出し、ショアD硬度を多段階とする際には該ショアD硬度が基部から先端部にかけて次第に小さくなるように外層管を被覆押出して形成し、潤滑層、補強材層、外層管を一体化せしめる。
この際、多段階、たとえば4段階のショアD硬度の樹脂を被覆する際には、図25のように一つの押出金型21に4台の押出機22をつなぎ、目標外径になるように制御しながら、順次この4台の押出機を運転・停止させて被覆し、外層管を形成することができる。また、ここでは図示しないが、弁機構を有する金型に4台の押出機をつなぎ、連続的に押出をしながら、順次ショアD硬度の異なる樹脂を押出流路内に導入・排出を切り替えながら被覆して外層管を形成することもできる。
この後、カテーテルを一本ずつ切断し、先端部の潤滑層あるいは外層管の末端を調整し、図26のように加熱することによりその径が縮小する性質を有するシュリンクチューブ23を先端のみに配置する。シュリンクチューブはポリテトラフルオロエチレンやパーフルオロエチレン−プロペンコポリマーなどを材質としていることが好ましい。
この後の工程は、Iプロセスで示したのと同様にシュリンクチューブがチューブが収縮する温度までヒーターで加熱させるか、高周波電磁波を加えて加熱し、潤滑層、補強材層、外層管を一体化する。このとき、シュリンクチューブの収縮により図21のように外層管となる樹脂管先端部がアール状18に賦形される。外層管となる樹脂管先端部をテーパー状に賦形する際には、シュリンクチューブを収縮させてから、さらに図22のような加熱金型19を用いて図23のように接触、加熱してテーパー状20に賦形させる。この賦形が終了してからシュリンクチューブは除去される。以上がHプロセスである。
ついで、Jプロセスとして、ここでは図示しないがカテーテルチューブ表面を親水性(または水溶性)高分子物質で覆われていることが好ましい。これにより、カテーテルチューブの外表面が血液または生理食塩水等に接触したときに、摩擦係数が減少して潤滑性が付与され、カテーテルチューブの摺動性が一段と向上し、その結果、押し込み性、追随性、耐キンク性および安全性が一段と高まる。親水性高分子物質としては、たとえば以下のような天然または合成の高分子物質、あるいはその誘導体が挙げられる。特に、セルロース系高分子物質(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース)、ポリエチレンオキサイド系高分子物質(ポリエチレングリコール)、無水マレイン酸系高分子物質(例えば、メチルビニルエーテル無水マレイン酸共重合体のような無水マレイン酸共重合体)、アクリルアミド系高分子物質(例えば、ポリアクリルアミド)、水溶性ナイロンは、低い摩擦係数が安定的に得られるので好ましい。
図27のように金属芯金を引き抜き、基部端は整形のために高速回転する円盤状のダイヤモンドカッターなどの手段で潤滑層、補強材層、外層を切断し、基部端断面を単一平面に仕上げて、カテーテルチューブが得られる。
このカテーテルチューブは編組のピック間隔、等ピック間隔部分の長さ、ショアDの異なる樹脂管の配置とその長さの設定とが相まって、剛性と柔軟性の傾斜制御の高い調節自由度、多様なアクセス経路に応じた調子設定性が発揮される。ここでいう調子とは図28のように先端部の高い柔軟性を有する領域の位置が異なっていることである。あるいは曲げ強度が変化する位置が異なっているとも表現できる。この図28において直線部分は先端部に比較して剛性は高いが柔軟性も同時に確保されていることを示している。多様な調子を設定できることによって、図28において、1号調に近いほど先端部の状況をダイレクトに感度よく伝えると同時にトルクの伝達能が高く、5号調に近いほど複雑な経路への侵入、深奥部への到達が行いやすくなるなどの使用上の事項に加え、多様な患部に対して施術者の手術方法の意図が反映され、かつ選択できるといった利点がある。
潤滑層をポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系樹脂で構成した際には、この内孔をプラズマ放電処理等の電気的な手段をもって、適度に親水化をはかることができる。
加えてここでは図示しないが、基部端に適切な形状のハブを取り付けて目的とする最良の形態の医療用カテーテルチューブが得られる。
なお、その使用に際しては上述のまま使用してもよいし、必要があるならば、予め医療用カテーテルチューブの一部をヒーターや蒸気などで加熱し、湾曲部を形成しておくこともできる。
製造方法を示すフローチャート リールに巻かれた金属芯線 金属芯線に編組を施し補強材層を形成 ピックとピック間隔 補強材としての素線を軸方向配置した際の例 合成樹脂素線として好適に用いられる素線の断面構造 補強材層の上に潤滑層を形成した状態 カテーテル先端部と基部に相当する位置で潤滑層と補強材層を取り除いた状態 カテーテルを一本ずつ切断した状態 X線不透過性金属線マーカーをカテーテル先端部の金属芯線上に配置した状態の拡大図 X線不透過性金属線マーカーをカテーテル先端部の潤滑層上に配置した状態の拡大図 方形の両辺から切れ目を入れたX線不透過性金属薄板マーカー 方形の両辺から切れ目を入れたX線不透過性金属薄板マーカーをカテーテル先端部の金属芯線上に配置した状態 方形の両辺から切れ目を入れたX線不透過性金属薄板マーカーをカテーテル先端部の潤滑層上に配置した状態 カテーテル基部と先端部の境界領域 X線不透過性の金属線マーカーをカテーテル先端の潤滑層と補強材層からなる構造体上に巻回して配置した状態 金属芯線を溶接してカテーテルを連続体とし、リールに巻いた状態 外層となる四種類のショアD硬度を有する樹脂管を密接させて配置した状態 ショアD硬度が段階的に変化する外層管を配置した状態 シュリンクチューブを配置した状態 シュリンクチューブが収縮し内層管、補強材層、外層管が一体化し、外層管となる樹脂管先端部がアール状に賦形された状態 チューブ構成体先端と先端部賦形用加熱金型 チューブ構成体先端を先端部賦形金型に接触、加熱しテーパー状に賦形させた状態 シュリンクチューブを剥がした状態 被覆押出により外層を形成している状態 一本ずつに切断後、先端にシュリンクチューブが配置された状態 金属芯線を引き抜き、基部端断面を仕上げた状態 調子を表す概念図
符号の説明
1 金属芯線
2 リール
3 補強材層
4 溶融液晶ポリマーの芯
5 溶融液晶ポリマーの島(鞘)
6 屈曲性ポリマーの海(鞘)
7 潤滑層
8 カテーテル先端部
9 カテーテル基部
10 金属芯線
11 金属芯線
12 X線不透過性の金属線マーカー
13 X線不透過性の金属線マーカー
14 方形の両辺から切れ目を入れたX線不透過性金属薄板マーカー
15 X線不透過性の金属線マーカー
16a 最高ショアD硬度外層管
16b 高ショアD硬度外層管
16c 低ショアD硬度外層管
16d 最低ショアD硬度外層管
17 シュリンクチューブ
18 アール状賦形部
19 加熱金型
20 加熱賦形されたテーパー状先端部
21 押出金型
22 押出機
23 シュリンクチューブ

Claims (21)

  1. 耐キンク性、耐圧性、トルク伝達性、押し込み性等を付与する素線を編組してなる補強材層(3)、滑性を呈しかつ柔軟性を有する樹脂からなる潤滑層(7)、X線不透過性を有した金属を潤滑層(7)上に巻き覆うことによって配置されるマーカー(12,13,14,15)、潤滑層(7)とマーカー(12,13,14,15)を覆い柔軟性を有する樹脂管からなる外層管(16)が一体となった医療用カテーテルチューブであって、
    該カテーテルチューブが基部(9)、先端部(8)と最先端部、さらには内孔を有し、
    補強材層(3)を形成する編組が合成樹脂素線および/または金属素線からなり、
    潤滑層(7)が補強材層(3)を直接覆い、さらに補強材層(3)の編み目間より潤滑層(7)が露出して、潤滑層(7)と補強材層(3)が共に露出して内孔が形成され、
    先端部(8)に配置されたX線不透過性を有した金属からなるマーカー(12,13,14,15)が曲げ変形に対して柔軟性を有するものであり、
    補強材層(3)、マーカー(12,13,14,15)が存在しない最先端部を有し、
    外層管(16)と補強材層(3)の存在により、基部(9)から先端部(8)にかけての曲げ剛性が段階的または連続的に小さくなるように構成したことを特徴とする医療用カテーテルチューブ。
  2. X線不透過性を有した曲げ変形に対して柔軟性を有する金属からなるマーカー(12,13,14,15)が、潤滑層(7)上にX線不透過性金属素線をコイル状に巻回したものか、あるいは方形の両辺から切れ目を入れたX線不透過性金属薄板を巻き覆ったものか、さらにはX線不透過性金属粉体を混練した樹脂を使用することにより形成された請求項1記載の医療用カテーテルチューブ。
  3. 編組により補強材層(3)を形成する合成樹脂素線が、溶融液晶ポリマーを内芯とし、屈曲性ポリマーを鞘とした合成繊維からなる請求項1、2記載の医療用カテーテルチューブ。
  4. 補強材層(3)を形成する編組のピック間隔が、基部(9)から先端部(8)にかけて連続的または段階的に変化することを特徴とする請求項1、2、3記載の医療用カテーテルチューブ。
  5. 基部(9)から先端部(8)にかけて、外層管(16)を形成する樹脂管のショアD硬度の配列が段階的に小さくなることを特徴とする請求項1、2、3、4記載の医療用カテーテルチューブ。
  6. 前記補強材層(3)を形成する編組のピック間隔と、前記基部(9)から先端部(8)にかけて外層管(16)を形成する樹脂管のショアD硬度の配列が段階的に小さくなることによって、多様な調子が設定できることを特徴とする請求項1、2、3、4、5記載の医療用カテーテルチューブ。
  7. 潤滑層(7)がその中を通るガイドワイヤー等に対して滑性を呈する樹脂からなる請求項1、2、3、4、5、6記載の医療用カテーテルチューブ。
  8. 最先端部において、外層管(16)の外径が変化しアール形状またはテーパー状に成形された請求項1、2、3、4、5、6、7記載の医療用カテーテルチューブ。
  9. 外層管(16)が親水性コーティングされてなる請求項1、2、3、4、5、6、7、8記載の医療用カテーテルチューブ。
  10. 耐キンク性、耐圧性、トルク伝達性、押し込み性等を付与する素線を編組してなる補強材層(3)、滑性を呈しかつ柔軟性を有する樹脂からなる潤滑層(7)、潤滑層(7)を覆い柔軟性を有する樹脂管からなる外層管(16)が一体となった医療用カテーテルチューブであって、
    該カテーテルチューブが基部(9)、先端部(8)、さらには内孔を有し、
    潤滑層(7)が補強材層(3)を直接覆い、さらに補強材層(3)の編み目間より潤滑層(7)が露出して、潤滑層(7)と補強材層(3)が共に露出して内孔が形成され、
    外層管(16)と補強材層(3)の存在により、基部(9)から先端部(8)にかけての曲げ剛性が段階的または連続的に小さくなるように構成したことを特徴とする医療用カテーテルチューブ。
  11. 補強材層(3)を形成する編組のピック間隔が、基部(9)から先端部(8)にかけて連続的または段階的に変化することを特徴とする請求項10記載の医療用カテーテルチューブ。
  12. 基部(9)から先端部(8)にかけて、外層管(16)を形成する樹脂管のショアD硬度の配列が段階的に小さくなることを特徴とする請求項10、11記載の医療用カテーテルチューブ。
  13. 前記補強材層(3)を形成する編組のピック間隔と、前記基部(9)から先端部(8)にかけて外層管(16)を形成する樹脂管のショアD硬度の配列が段階的に小さくなることによって、多様な調子が設定できることを特徴とする請求項10、11、12記載の医療用カテーテルチューブ。
  14. 潤滑層(7)がその中を通るガイドワイヤー等に対して滑性を呈する樹脂からなる請求項10、11、12、13記載の医療用カテーテルチューブ。
  15. 外層管(16)が親水性コーティングされてなる請求項10、11、12、13、14記載の医療用カテーテルチューブ。
  16. 請求項1〜15に記載のカテーテルチューブの製造方法であって、編組により形成された補強材層(3)を潤滑層(7)が直接覆い、さらに補強材層(3)の編み目間より潤滑層(7)が露出しており、潤滑層(7)と補強材層(3)が共に露出して内孔が形成され、さらに補強材層(3)の先方に隣接する曲げ変形に対して柔軟性を有するX線不透過性マーカー(12,13,14,15)を配置した後、外層管(16)を被覆してカテーテルチューブを製造するに際し、金属芯線(1)に合成樹脂素線および/または金属素線を編組することで補強材層(3)を形成し、それを潤滑層(7)により被覆し、X線不透過性マーカー(12,13,14,15)を潤滑層(7)の先端近傍に配置し、さらに外層管(16)を被覆したのち、金属芯線(1)を抜去してなることを特徴とする医療用カテーテルの製造方法。
  17. 請求項1〜15に記載のカテーテルチューブの製造方法であって、編組により形成された補強材層(3)を潤滑層(7)が直接覆い、さらに補強材層(3)の編み目間より潤滑層(7)が露出しており、潤滑層(7)と補強材層(3)が共に露出して内孔が形成され、さらに補強材層(3)の先方に隣接する曲げ変形に対して柔軟性を有するX線不透過性マーカー(12,13,14,15)を配置した後、外層管(16)を被覆してカテーテルチューブを製造するに際し、X線不透過性マーカー(12,13,14,15)はカテーテル先端部(8)近傍の潤滑層(7)にX線不透過性金属素線をコイル状に巻回するか、あるいは方形の両辺から切れ目を入れたX線不透過性金属薄板を巻き覆うことによるか、さらにはX線不透過性金属粉体を混練した樹脂を使用することにより形成された、先端部(8)の柔軟性が確保されたことを特徴とする医療用カテーテルチューブの製造方法。
  18. 請求項1〜15に記載のカテーテルチューブの製造方法であって、編組により形成された補強材層(3)を潤滑層(7)が直接覆い、さらに補強材層(3)の編み目間より潤滑層(7)が露出しており、潤滑層(7)と補強材層(3)が共に露出して内孔が形成され、さらに補強材層(3)の先方に隣接する曲げ変形に対して柔軟性を有するX線不透過性マーカー(12,13,14,15)を配置した後、外層管(16)を被覆してカテーテルチューブを製造するに際し、補強材層(3)の形成は、金属芯線(1)の外周に素線供給部から供給される素線を編組し、前記金属芯線(1)と前記素線供給部との相対移動速度を連続的または段階的に変化させることにより、編組のピック間隔が連続的または段階的に変化することを特徴とする医療用カテーテルチューブの製造方法。
  19. 請求項1〜15に記載のカテーテルチューブの製造方法であって、編組により形成された補強材層(3)を潤滑層(7)が直接覆い、さらに補強材層(3)の編み目間より潤滑層(7)が露出しており、潤滑層(7)と補強材層(3)が共に露出して内孔が形成され、さらに補強材層(3)の先方に隣接する曲げ変形に対して柔軟性を有するX線不透過性マーカー(12,13,14,15)を配置した後、外層管(16)を被覆してカテーテルチューブを製造するに際し、外層管(16)はそれを形成する樹脂管のショアD硬度の配列が一段階以上となるように配置し、該樹脂管のショアD硬度を多段階とする際には該ショアD硬度の配列が基部(9)から先端部(8)にかけて段階的に小さくなるように配置し、加えて補強材層(3)を形成する編組のピックが連続的または段階的に変化することにより、多様な調子が設定できることを特徴とする医療用カテーテルチューブの製造方法。
  20. 請求項1〜15に記載のカテーテルチューブの製造方法であって、編組により形成された補強材層(3)を潤滑層(7)が直接覆い、さらに補強材層(3)の編み目間より潤滑層(7)が露出しており、潤滑層(7)と補強材層(3)が共に露出して内孔が形成され、さらに補強材層(3)の先方に隣接する曲げ変形に対して柔軟性を有するX線不透過性マーカー(12,13,14,15)を配置した後、外層管(16)を被覆してカテーテルチューブを製造するに際し、外層管(16)はそれを形成する樹脂管のショアD硬度が一段階以上となるように配置し、該樹脂管のショアD硬度を多段階とする際には該ショアD硬度が基部(9)から先端部(8)にかけて次第に小さくなるように配置し、その全体をシュリンクチューブ(17)で被覆、加熱し、潤滑層(7)、補強材層(3)、X線不透過性マーカー(12,13,14,15)、外層管(16)を一体化せしめ、さらに最先端部をアール形状またはテーパー形状に成形した上で、該シュリンクチューブ(17)が冷却された後にこれを剥がして医療用カテーテルチューブを得る製造方法。
  21. 請求項1〜15に記載のカテーテルチューブの製造方法であって、編組により形成された補強材層(3)を潤滑層(7)が直接覆い、さらに補強材層(3)の編み目間より潤滑層(7)が露出しており、潤滑層(7)と補強材層(3)が共に露出して内孔が形成され、さらに補強材層(3)の先方に隣接する曲げ変形に対して柔軟性を有するX線不透過性マーカー(12,13,14,15)を配置した後、外層管(16)を被覆してカテーテルチューブを製造するに際し、被覆押出成形によりショアD硬度が一段階以上となるように外層管(16)を被覆押出して形成し、ショアD硬度を多段階とする際には該ショアD硬度が基部(9)から先端部(8)にかけて次第に小さくなるように外層管(16)を被覆押出して形成し、補強材層(3)、潤滑層(7)、X線不透過性マーカー(12,13,14,15)、外層管(16)を一体化せしめ、さらに最先端部をアール形状またはテーパー形状に成形して医療用カテーテルを得る製造方法。
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