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JP4645776B2 - 感光性樹脂組成物、並びにこれを用いた感光性エレメント、レジストパターンの形成方法及びプリント配線板の製造法 - Google Patents

感光性樹脂組成物、並びにこれを用いた感光性エレメント、レジストパターンの形成方法及びプリント配線板の製造法 Download PDF

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JP4645776B2 JP2010517920A JP2010517920A JP4645776B2 JP 4645776 B2 JP4645776 B2 JP 4645776B2 JP 2010517920 A JP2010517920 A JP 2010517920A JP 2010517920 A JP2010517920 A JP 2010517920A JP 4645776 B2 JP4645776 B2 JP 4645776B2
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Description

本発明は、感光性樹脂組成物、並びにこれを用いた感光性エレメント、レジストパターンの形成方法及びプリント配線板の製造法に関する。
従来、プリント配線板の製造分野においては、エッチングやめっき等に用いられるレジスト材料として、感光性樹脂組成物や、これを支持体に積層して保護フィルムで被覆した感光性エレメントが広く用いられている。
感光性エレメントを用いてプリント配線板を製造する場合は、まず、感光性エレメントを銅基板等の回路形成用基板上にラミネートし、マスクフィルム等を通してパターン露光した後、感光性エレメントの未露光部を現像液で除去することによりレジストパターンを形成させる。次いで、このレジストパターンをマスクとし、レジストパターンを形成させた回路形成用基板にエッチング又はめっき処理を施して回路パターンを形成させ、最終的に感光性エレメントの硬化部分を基板から剥離除去する。
こうしたプリント配線板の製造法において、近年、マスクフィルムを通さずにデジタルデータを用いて活性光線を画像状に直接照射する、レーザ直接描画法が実用化されている。直接描画法に用いられる光源としては、安全性や取扱い性等の面から、YAGレーザ及び半導体レーザ等が使用され、最近では、長寿命で高出力な窒化ガリウム系青色レーザ等を使用した技術が提案されている。
さらに近年、プリント配線板における高精細化、高密度化に伴い、従来よりもファインパターンが形成可能なDLP(Digital Light Processing)露光法と呼ばれる直接描画法が取り入れられている。一般的に、DLP露光法では青紫色半導体レーザを光源とした波長390〜430nmの活性光線が使用される。また、主に汎用のプリント配線板において少量多品種に対応可能な、YAGレーザを光源とした波長355nmのポリゴンマルチビームを使用した露光法も用いられている。そこで、各波長に対応するため、感光性樹脂組成物中では様々な増感剤が検討されている(例えば、特許文献1、2参照)。
特開2004−301996号公報 特開2005−107191号公報
ところで、レーザを高速移動させて露光する直接描画法は、カーボンアーク灯、水銀蒸気アーク灯、超高圧水銀灯、高圧水銀灯及びキセノンランプ等の紫外線を有効に放射する光源を用いて一括露光する従来の露光方法と比較して、スポット当たりの露光エネルギー量が小さく、生産効率が低くなる。そのため、直接描画法においては、より高感度な感光性樹脂組成物が要求される。
しかしながら、光感度を向上させるために、感光性樹脂組成物中に含まれる光開始剤や増感剤を増量すると、感光性樹脂組成物層上部で局所的に光反応が進行し、底部の硬化性が低下するため、光硬化後に得られる解像度の低下及びレジスト形状の悪化(逆台形)を引き起こす。レジストパターンの高解像化・高密度化に伴ってレジスト形状の問題は深刻となり、レジスト形状が逆台形であることにより、エッチング又はめっき処理後に断線・短絡といった不良を生じる可能性がある。このように従来の感光性樹脂組成物では、要求される光感度、解像度及びレジスト形状を十分に達成することが困難である。
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、光感度及び解像度に優れ、かつ直接描画法を用いた場合であっても良好なレジスト形状を有するレジストパターンが形成可能な感光性樹脂組成物、並びにこれを用いた感光性エレメント、レジストパターンの形成方法及びプリント配線板の製造法を提供することを目的とする。
本発明は、(A)バインダーポリマーと、(B)エチレン性不飽和結合を少なくとも一つ有する光重合性化合物と、(C)光重合開始剤と、を含有する感光性樹脂組成物であって、上記(C)光重合開始剤が、下記一般式(I)で表される化合物及び下記一般式(II)で表される化合物を含む、感光性樹脂組成物を提供する。
Figure 0004645776
[一般式(I)中、R1は炭素数2〜20のアルキレン基、炭素数2〜20のオキサジアルキレン基又は炭素数2〜20のチオジアルキレン基を示す。]
Figure 0004645776
[一般式(II)中、R2は置換基を有していてもよいアリール基を示す。]
本発明の感光性樹脂組成物は、上記構成を有することにより、光感度及び解像度に優れる。また、本発明の感光性樹脂組成物によれば、直接描画法を用いた場合であっても良好なレジスト形状を有するレジストパターンを形成することができる。レジスト形状が良好なレジストパターンは、エッチング又はめっき処理後に断線、短絡といった不良を生じることが無く、高精細化及び高密度化したファインパターンを有するプリント配線板の形成に有効である。
上記(C)光重合開始剤は、下記式(III)で表される化合物をさらに含むことが好ましい。これにより、本発明の感光性樹脂組成物は、光感度及び解像度に一層優れたものとなり、直接描画法によるレジストパターンの形成に好適に使用することができる。
Figure 0004645776
また本発明は、支持体と、該支持体上に形成された上記感光性樹脂組成物からなる感光性樹脂組成物層とを備える、感光性エレメントを提供する。本発明の感光性エレメントによれば、感光性樹脂組成物層を基板等の上に容易に積層させることができる。また、本発明の感光性エレメントは、光感度及び解像度に優れ、当該感光性エレメントを用いて形成されるレジストパターンは、レジスト形状が良好なものとなる。
また本発明は、回路形成用基板上に形成された上記感光性樹脂組成物からなる感光性樹脂組成物層の所定部分に活性光線を照射し、露光部を光硬化させる照射工程と、上記感光性樹脂組成物層の所定部分以外の部分を前記基板上から除去する除去工程とを含む、レジストパターンの形成方法を提供する。本発明の形成方法により形成されるレジストパターンは、上記本発明の感光性樹脂組成物を用いているので、良好なレジスト形状を有する。
また本発明は、回路形成用基板上に形成された上記感光性樹脂組成物からなる感光性樹脂組成物層の所定部分に、直接描画法により活性光線を画像状に照射し、露光部を光硬化させる照射工程と、上記感光性樹脂組成物層の所定部分以外の部分を前記基板上から除去する除去工程とを含む、レジストパターンの形成方法を提供する。本発明の形成方法は、上記照射工程で、照射方法として直接描画法を採用することで、高精細・高密度のレジストパターンを容易に形成することができる。また、本発明の形成方法によれば、上記本発明の感光性樹脂組成物を用いているので、直接描画法により活性光線を照射した場合でも、レジスト形状が良好なレジストパターンが得られる。
さらに本発明は、上記レジストパターンの形成方法によりレジストパターンが形成された回路形成用基板を、エッチング又はめっきする、プリント配線板の製造法を提供する。このような製造法によれば、高精細・高密度のプリント配線板が生産効率よく得られる。
本発明によれば、光感度及び解像度に優れ、かつ直接描画法を用いた場合であっても良好なレジスト形状を有するレジストパターンが形成可能な感光性樹脂組成物、並びにこれを用いた感光性エレメント、レジストパターンの形成方法及びプリント配線板の製造法を提供することができる。
本発明の感光性エレメントの好適な一実施形態を示す模式断面図である。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、本発明において、(メタ)アクリル酸とはアクリル酸又はメタクリル酸を示し、(メタ)アクリレートとはアクリレート又はそれに対応するメタクリレートを意味し、(メタ)アクリロイル基とはアクリロイル基又はそれに対応するメタクリロイル基を意味する。
(感光性樹脂組成物)
まず、本実施形態に係る感光性樹脂組成物について説明する。本実施形態に係る感光性樹脂組成物は、(A)バインダーポリマー(以下、場合により「(A)成分」と称する。)と、(B)エチレン性不飽和結合を少なくとも一つ有する光重合性化合物(以下、場合により「(B)成分」と称する。)と、(C)光重合開始剤(以下、場合により「(C)成分」と称する。)とを含有する。
(A)成分としては、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、エポキシ系樹脂、アミド系樹脂、アミドエポキシ系樹脂、アルキド系樹脂、フェノール系樹脂等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。(A)成分は、感光性樹脂組成物のアルカリ現像性が良好となるため、アクリル系樹脂であることが好ましい。
(A)成分は、例えば、重合性単量体をラジカル重合させることにより製造することができる。上記重合性単量体としては、スチレン;ビニルトルエン、α−メチルスチレン等のα位若しくは芳香族環に置換基を有する重合可能なスチレン誘導体;ジアセトンアクリルアミド等のアクリルアミド;アクリロニトリル;ビニル−n−ブチルエーテル等のビニルアルコールのエステル類;(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニルエステル、(メタ)アクリル酸アダマンチルエステル、(メタ)アクリル酸ベンジルエステル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリルエステル、(メタ)アクリル酸フルフリルエステル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルエステル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチルエステル、(メタ)アクリル酸グリシジルエステル、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、α−ブロモ(メタ)アクリル酸、α−クロル(メタ)アクリル酸、β−フリル(メタ)アクリル酸、β−スチリル(メタ)アクリル酸、マレイン酸、マレイン酸無水物、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノイソプロピル等のマレイン酸モノエステル、フマール酸、ケイ皮酸、α−シアノケイ皮酸、イタコン酸、クロトン酸、プロピオール酸などが挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、下記一般式(IV)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0004645776
上記一般式(IV)中、R3は水素原子又はメチル基を示し、R4は置換基を有していてもよい炭素数1〜12のアルキル基を示す。ここで置換基としては、水酸基、エポキシ基、ハロゲン基等が挙げられる。また、R4で示される炭素数1〜12のアルキル基としては、直鎖状でも分岐状でもよく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基及びこれらの構造異性体が挙げられる。
上記一般式(IV)で表される重合性単量体としては、(メタ)アクリル酸メチルエステル、(メタ)アクリル酸エチルエステル、(メタ)アクリル酸プロピルエステル、(メタ)アクリル酸イソプロピルエステル、(メタ)アクリル酸ブチルエステル、(メタ)アクリル酸t−ブチルエステル、(メタ)アクリル酸ペンチルエステル、(メタ)アクリル酸ヘキシルエステル、(メタ)アクリル酸ヘプチルエステル、(メタ)アクリル酸オクチルエステル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルエステル、(メタ)アクリル酸ノニルエステル、(メタ)アクリル酸デシルエステル、(メタ)アクリル酸ウンデシルエステル、(メタ)アクリル酸ドデシルエステル等が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、(A)成分は、感光性樹脂組成物のアルカリ現像性が向上するため、カルボキシル基を有するバインダーポリマー(以下、場合により「カルボキシル基含有ポリマー」と称する。)であることが好ましい。カルボキシル基含有ポリマーは、例えば、カルボキシル基を有する重合性単量体とその他の重合性単量体とをラジカル重合させることにより製造することができる。上記カルボキシル基を有する重合性単量体としては、(メタ)アクリル酸が好ましく、中でもメタクリル酸がより好ましい。
カルボキシル基含有ポリマーは、カルボキシル基を有する重合性単量体由来の繰返し単位の含有量(以下、「カルボキシル基含有率」と称する。)が、カルボキシル基含有ポリマーの全量基準で、12〜50質量%であることが好ましく、12〜40質量%であることがより好ましく、15〜30質量%であることがさらに好ましく、15〜25質量%であることが特に好ましい。このようなカルボキシル基含有ポリマーを含有する感光性樹脂組成物は、アルカリ現像性に一層優れるとともに、硬化後のアルカリ耐性が良好となる。カルボキシル基含有率が12質量%未満ではアルカリ現像性が劣る傾向があり、50質量%を超えるとアルカリ耐性が劣る傾向がある。
また、(A)成分は、感光性樹脂組成物からなる感光性樹脂組成物層の基板等に対する密着性及び剥離特性が向上するため、スチレン又はスチレン誘導体を重合性単量体単位として含有するバインダーポリマーであることが好ましい。
スチレン又はスチレン誘導体由来の繰返し単位の含有量は、バインダーポリマーの全量基準で、0.1〜30質量%であることが好ましく、1〜28質量%であることがより好ましく、1.5〜27質量%であることがさらに好ましい。含有量が0.1質量%未満では、密着性が劣る傾向があり、30質量%を超えると、剥離片が大きくなり、剥離時間が長くなる傾向がある。
(A)成分の重量平均分子量は、20000〜300000であることが好ましく、30000〜150000であることがより好ましく、40000〜120000であることがさらに好ましく、50000〜110000であることが特に好ましい。(A)成分の重量平均分子量が上記範囲であると、感光性樹脂組成物のアルカリ現像性及び光硬化物の機械強度がより良好になる。(A)成分の重量平均分子量が20000未満では、感光性樹脂組成物の硬化物の耐現像液性が低下する傾向があり、300000を超えると、現像に要する時間が長くなる傾向がある。なお、本発明における重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法により測定され、標準ポリスチレンを用いて作成した検量線により換算された値である。
(A)成分としては、上述したバインダーポリマーを単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。2種類以上の組み合せとしては、異なる共重合成分からなる2種類以上のバインダーポリマーの組み合せ、異なる重量平均分子量の2種類以上のバインダーポリマーの組み合せ、異なる分散度の2種類以上のバインダーポリマーの組み合わせ等が挙げられる。
(B)成分は、エチレン性不飽和結合を少なくとも一つ有する光重合性化合物である。(B)成分としては、多価アルコールとα,β−不飽和カルボン酸との反応により得られる化合物、ビスフェノールA系(メタ)アクリレート化合物、グリシジル基含有化合物とα,β−不飽和カルボン酸との反応により得られる化合物、ウレタンモノマー(例えば、ウレタン結合を有する(メタ)アクリレート化合物)、ノニルフェノキシポリアルキレンオキシ(メタ)アクリレート、γ−クロロ−β−ヒドロキシプロピル−β’−(メタ)アクリロイルオキシエチル−o−フタレート、β−ヒドロキシエチル−β’−(メタ)アクリロイルオキシエチル−o−フタレート、β−ヒドロキシプロピル−β’−(メタ)アクリロイルオキシエチル−o−フタレート、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、などが挙げられる。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
上記多価アルコールとα,β−不飽和カルボン酸との反応により得られる化合物としては、エチレン基の数が2〜14であるポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレン基の数が2〜14であるポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレン基の数が2〜14であり、プロピレン基の数が2〜14であるポリエチレンポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレン基の数が2〜14であるポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエトキシトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジエトキシトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリポリエトキシトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンポリプロポキシトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンポリエトキシポリプロポキシトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールポリエトキシテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
(B)成分は、感光性樹脂組成物の光感度及び解像度が一層優れるため、ビスフェノールA系(メタ)アクリレート化合物を含有することが好ましい。
上記ビスフェノールA系(メタ)アクリレート化合物としては、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリエトキシポリプロポキシ)フェニル)プロパン等が挙げられる。
上記2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリエトキシ)フェニル)プロパンとしては、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシジエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシトリエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシテトラエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシペンタエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシヘキサエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシヘプタエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシオクタエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシノナエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシデカエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシウンデカエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシドデカエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシトリデカエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシテトラデカエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシペンタデカエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシヘキサデカエトキシ)フェニル)プロパン等が挙げられる。なお、2,2−ビス(4−(メタクリロキシペンタエトキシ)フェニル)プロパンは、BPE−500(新中村化学工業株式会社製、製品名)又はFA−321M(日立化成工業株式会社製、製品名)として商業的に入手可能であり、2,2−ビス(4−(メタクリロキシペンタデカエトキシ)フェニル)プロパンは、BPE−1300(新中村化学工業株式会社製、製品名)として商業的に入手可能である。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
上記2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリプロポキシ)フェニル)プロパンとしては、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシジプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシトリプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシテトラプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシペンタプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシヘキサプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシヘプタプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシオクタプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシノナプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシデカプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシウンデカプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシドデカプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシトリデカプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシテトラデカプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシペンタデカプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシヘキサデカプロポキシ)フェニル)プロパン等が挙げられる。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
上記2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリエトキシポリプロポキシ)フェニル)プロパンとしては、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシジエトキシオクタプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシテトラエトキシテトラプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシヘキサエトキシヘキサプロポキシ)フェニル)プロパン等が挙げられる。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
(B)成分は、感光性樹脂組成物の光感度及び解像性が一層向上するため、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリエトキシ)フェニル)プロパンを含むことが好ましく、2,2−ビス(4−(メタクリロキシペンタエトキシ)フェニル)プロパン(例えば、日立化成工業株式会社製、製品名「FA−321M」)を含むことがより好ましい。
(B)成分がビスフェノールA系(メタ)アクリレート化合物を含む場合、その含有量は、(A)成分及び(B)成分の総量100質量部に対して、10〜50質量部であることが好ましく、15〜40質量部であることがより好ましい。ビスフェノールA系(メタ)アクリレート化合物の含有量が上記範囲内であると、感光性樹脂組成物の光感度及び解像性がバランスよく向上する。
(B)成分は、感光性樹脂組成物の硬化膜の可とう性及びテント性が向上するため、ウレタンモノマーを含有することが好ましい。ここでウレタンモノマーは、エチレン性不飽和結合とウレタン結合を少なくとも1つずつ有する光重合性化合物を示す。
ウレタンモノマーとしては、β位に水酸基を有する(メタ)アクリルモノマーと、イソホロンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート等のジイソシアネート化合物との付加反応物;下記一般式(V)で表される化合物;EO変性ウレタンジ(メタ)アクリレート;EO,PO変性ウレタンジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。なお、EOはエチレンオキサイドを示し、EO変性された化合物はエチレンオキサイド基のブロック構造を有する。また、POはプロピレンオキサイドを示し、PO変性された化合物はプロピレンオキサイド基のブロック構造を有する。EO変性ウレタンジ(メタ)アクリレートとしては、例えば、新中村化学工業株式会社製、製品名UA−11が挙げられる。また、EO,PO変性ウレタンジ(メタ)アクリレートとしては、例えば、新中村化学工業株式会社製、製品名UA−13が挙げられる。(B)成分は、ウレタンモノマーとして下記一般式(V)で表される化合物を含むこと好ましい。
Figure 0004645776
上記一般式(V)中、R5は2価の有機基を示し、R6は下記一般式(VI)で表される基を示し、複数存在するR5は互いに同一でも異なっていてもよく、複数存在するR6は互いに同一でも異なっていてもよい。
Figure 0004645776
上記一般式(VI)中、R7は水素原子又はメチル基を示し、Xはエチレン基又はプロピレン基を示し、mは1〜14の整数を示し、m個存在するXは、互いに同一でも異なっていてもよい。なお、プロピレン基には、1−メチルエチレン基及び2−メチルエチレン基が含まれる。
上記一般式(V)で表される化合物としては、市販品として、UA−21(一般式(V)中、R7がメチル基、Xがエチレン基、mが4(平均値)、R5がヘキサメチレン基である化合物、新中村化学工業株式会社商品名)、UA−41(一般式(V)中、R7がメチル基、Xがプロピレン基、mが5(平均値)、R5がヘキサメチレン基である化合物、新中村化学工業株式会社商品名)、UA−42(一般式(V)中、R7がメチル基、Xがプロピレン基、mが9(平均値)、R5がヘキサメチレン基である化合物、新中村化学工業株式会社商品名)、UA−44(一般式(V)中、R7が水素原子、Xがプロピレン基、mが6(平均値)、R5がヘキサメチレン基である化合物、新中村化学工業株式会社商品名)等が挙げられる。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
上記一般式(V)中、R5は炭素数1〜12のアルキレン基であることが好ましい。また、上記一般式(VI)中、Xはエチレン基であることが好ましい。このような(B)成分を含有する感光性樹脂組成物の硬化物は、可とう性及びテント性に一層優れる。
(B)成分が上記一般式(V)で表される化合物を含む場合、その含有量は、(A)成分及び(B)成分の総量100質量部に対して、5〜25質量部であることが好ましく、7〜15質量部であることがより好ましい。上記一般式(V)で表される化合物の含有量が上記範囲内であると、感光性樹脂組成物の硬化物の可とう性及びテント性が一層向上する。
(B)成分は、ノニルフェノキシポリアルキレンオキシ(メタ)アクリレートを含むことが好ましい。これにより、感光性樹脂組成物の硬化物からなるレジストの剥離特性が向上する。
ノニルフェノキシポリアルキレンオキシ(メタ)アクリレートとしては、ノニルフェノキシポリエチレンオキシ(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリプロピレンオキシ(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリブチレンオキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
ノニルフェノキシポリエチレンオキシ(メタ)アクリレートとしては、ノニルフェノキシエチレンオキシ(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシジエチレンオキシ(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシトリエチレンオキシ(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシテトラエチレンオキシ(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシペンタエチレンオキシ(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシヘキサエチレンオキシ(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシヘプタエチレンオキシ(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシオクタエチレンオキシ(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシノナエチレンオキシ(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシデカエチレンオキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
ノニルフェノキシポリプロピレンオキシ(メタ)アクリレートとしては、ノニルフェノキシプロピレンオキシ(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシジプロピレンオキシ(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシトリプロピレンオキシ(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシテトラプロピレンオキシ(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシペンタプロピレンオキシ(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシヘキサプロピレンオキシ(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシヘプタプロピレンオキシ(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシオクタプロピレンオキシ(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシノナプロピレンオキシ(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシデカプロピレンオキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
(B)成分は、ノニルフェノキシポリエチレンオキシ(メタ)アクリレートを含むことが好ましく、ノニルフェノキシテトラエチレンオキシ(メタ)アクリレート(例えば、東亞合成株式会社製、製品名「M−113」)又はノニルフェノキシオクタエチレンオキシ(メタ)アクリレート(例えば、共栄社化学株式会社製、製品名「NP−8EA」)を含むことがより好ましい。(B)成分がこれらの化合物を含有することで、感光性樹脂組成物の硬化物からなるレジストの剥離特性が一層良好になる。
(B)成分がノニルフェノキシポリアルキレンオキシ(メタ)アクリレートを含む場合、その含有量は、(A)成分及び(B)成分の総量100質量部に対して、3〜40質量部であることが好ましく、5〜30質量部であることがより好ましく、5〜20質量部であることがさらに好ましい。ノニルフェノキシポリアルキレンオキシ(メタ)アクリレートの含有量が上記範囲内であると、感光性樹脂組成物の硬化物からなるレジストの剥離特性が一層良好になる。
(B)成分は、感光性樹脂組成物の解像度及び感光性樹脂組成物の硬化物からなるレジストの剥離特性をより良好にするため、下記一般式(VII)で表される化合物を含有することが好ましい。
Figure 0004645776
上記一般式(VII)中、R8は水素原子又はメチル基を示し、R9は水素原子、メチル基又はハロゲン化メチル基を示し、R10は炭素数1〜6のアルキル基、ハロゲン原子又は水酸基を示し、nは0〜4の整数を示す。n個存在するR10は、互いに同一でも異なっていてもよい。
上記一般式(VII)で表される化合物としては、γ−クロロ−β−ヒドロキシプロピル−β’−(メタ)アクリロイルオキシエチル−o−フタレート、β−ヒドロキシエチル−β’−(メタ)アクリロイルオキシエチル−o−フタレート、β−ヒドロキシプロピル−β’−(メタ)アクリロイルオキシエチル−o−フタレート等が挙げられ、なかでも、γ−クロロ−β−ヒドロキシプロピル−β’−(メタ)アクリロイルオキシエチル−o−フタレートが好ましい。γ−クロロ−β−ヒドロキシプロピル−β’−メタクリロイルオキシエチル−o−フタレートはFA−MECH(日立化成工業株式会社製、製品名)として商業的に入手可能である。これらは1種を単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
(B)成分が上記一般式(VII)で表される化合物を含む場合、その含有量は、(A)成分及び(B)成分の総量100質量部に対して、3〜20質量部であることが好ましく、5〜15質量部であることがより好ましい。上記一般式(VII)で表される化合物の含有量が上記範囲内であると、感光性樹脂組成物の解像度が一層優れる。また、感光性樹脂組成物の硬化物からなるレジストの剥離特性をより良好になる。
(C)成分である光重合開始剤は、上記一般式(I)で表される化合物及び上記一般式(II)で表される化合物を含む。
上記一般式(I)中、R1は、炭素数2〜20のアルキレン基であることが好ましく、炭素数4〜14のアルキレン基であることがより好ましく、炭素数7のアルキレン基であることがさらに好ましい。このような化合物を含む感光性樹脂組成物は、光感度及び解像度がバランスよく向上する。そしてこのような感光性樹脂組成物によれば、一層良好なレジスト形状を有するレジストパターンを形成することができる。なお、R1が炭素数7のアルキレン基である化合物としては、例えば、旭電化工業株式会社製、製品名「N−1717」が挙げられる。
感光性樹脂組成物中の上記一般式(I)で表される化合物の含有量は、(A)成分及び(B)成分の総量100質量部に対して、0.01〜20質量部であることが好ましく、0.1〜10質量部であることがより好ましく、0.2〜5質量部であることがさらに好ましい。上記一般式(I)で表される化合物の含有量が0.01質量部未満では、感光性樹脂組成物の光感度が劣る傾向があり、20質量部を超えると良好なレジスト形状が得られにくくなり、レジストの密着性及び解像度が低下する傾向がある。
上記一般式(II)中、R2は、置換基を有していてもよいフェニル基であることが好ましく、フェニル基であることがより好ましい。ここで置換基としては、例えば、炭素数1〜6のアルキル基、ハロゲン原子、水酸基、アミノ基が挙げられる。このような化合物を含む感光性樹脂組成物は、光感度及び解像度に一層優れる。なお、R2がフェニル基である化合物としては、例えば、新日鐵化学株式会社製、製品名「9−PA」が挙げられる。
感光性樹脂組成物中の上記一般式(II)で表される化合物の含有量は、(A)成分及び(B)成分の総量100質量部に対して、0.01〜10質量部であることが好ましく、0.05〜5質量部であることがより好ましく、0.07〜3質量部であることが特に好ましい。上記一般式(II)で表される化合物の含有量が0.01質量部未満では、感光性樹脂組成物の光感度が劣る傾向があり、10質量部を超えると良好なレジスト形状が得られにくくなり、レジストの密着性及び解像度が低下する傾向がある。
(C)成分は、上記式(III)で表される化合物をさらに含むことが好ましい。式(III)で表される化合物は、例えば、N−フェニルグリシン(三井化学株式会社製、製品名)として入手可能である。このような化合物を含む感光性樹脂組成物は、光感度及び解像度に一層優れる。
(C)成分が上記式(III)で表される化合物を含む場合、その含有量は、(A)成分及び(B)成分の総量100質量部に対して、0.01〜10質量部であることが好ましく、0.05〜5質量部であることがより好ましく、0.07〜3質量部であることがさらに好ましい。上記式(III)で表される化合物の含有量が上記範囲内であると、感光性樹脂組成物の光感度及び解像度が一層優れる。
(C)成分は、その他の光重合開始剤をさらに含有してもよい。その他の光重合開始剤としては、ベンゾフェノン、N,N’−テトラメチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、N,N’−テトラエチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、4−メトキシ−4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−プロパノン−1等の芳香族ケトン;2−エチルアントラキノン、フェナントレンキノン、2−tert−ブチルアントラキノン、オクタメチルアントラキノン、1,2−ベンズアントラキノン、2,3−ベンズアントラキノン、2−フェニルアントラキノン、2,3−ジフェニルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、2−メチルアントラキノン、1,4−ナフトキノン、9,10−フェナンタラキノン、2−メチル1,4−ナフトキノン、2,3−ジメチルアントラキノン等のキノン類;ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル等のベンゾインエーテル化合物;ベンゾイン、メチルベンゾイン、エチルベンゾイン等のベンゾイン化合物;ベンジルジメチルケタール等のベンジル誘導体;9,10−ジメトキシアントラセン、9,10−ジエトキシアントラセン、9,10−ジプロポキシアントラセン、9,10−ジブトキシアントラセン、9,10−ジペントキシアントラセン等の置換アントラセン類;2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(p−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体等の2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体;クマリン系化合物;オキサゾール系化合物;ピラゾリン系化合物などが挙げられる。2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体としては、アリール基の置換基が互いに同一のである二つの2,4,5−トリアリールイミダゾールの二量体であってもよく、アリール基の置換基が互いに相違する二つの2,4,5−トリアリールイミダゾールの二量体であってもよい。前者は対称な化合物であり、後者は非対称な化合物である。また、ジエチルチオキサントンとジメチルアミノ安息香酸の組み合わせのように、チオキサントン系化合物と3級アミン化合物とを組み合わせて光重合開始剤として用いてもよい。これらは、単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
感光性樹脂組成物中の(A)成分の含有量は、(A)成分及び(B)成分の総量100質量部に対して、30〜80質量部であることが好ましく、40〜75質量部であることがより好ましく、50〜70質量部であることが特に好ましい。(A)成分の含有量がこの範囲であると、感光性樹脂組成物の塗膜性及び光硬化物の強度がより良好となる。
感光性樹脂組成物中の(B)成分の含有量は、(A)成分及び(B)成分の総量100質量部に対して、20〜60質量部であることが好ましく、30〜55質量部であることがより好ましく、35〜50質量部であることが特に好ましい。(B)成分の含有量がこの範囲であると、感光性樹脂組成物の光感度及び塗膜性がより良好となる。
感光性樹脂組成物中の(C)成分の含有量は、(A)成分及び(B)成分の総量100質量部に対して、0.01〜20質量部であることが好ましく、0.1〜10質量部であることがより好ましく、0.2〜5質量部であることが特に好ましい。(C)成分の含有量がこの範囲であると、感光性樹脂組成物の光感度及び感光性樹脂組成物層内部の光硬化性がより良好となる。
感光性樹脂組成物は、必要に応じて、マラカイトグリーン、ビクトリアピュアブルー、ブリリアントグリーン、メチルバイオレット等の染料;トリブロモフェニルスルホン、ロイコクリスタルバイオレット、ジフェニルアミン、ベンジルアミン、トリフェニルアミン、ジエチルアニリン、o−クロロアニリン等の光発色剤;熱発色防止剤;p−トルエンスルホンアミド等の可塑剤;顔料;充填剤;消泡剤;難燃剤;密着性付与剤;レベリング剤;剥離促進剤;酸化防止剤;香料;イメージング剤;熱架橋剤等を、(A)成分及び(B)成分の総量100質量部に対して各々0.01〜20質量部程度含有してもよい。これらは、単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
また、感光性樹脂組成物は、必要に応じて、メタノール、エタノール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、トルエン、N,N−ジメチルホルムアミド、プロピレングリコールモノメチルエーテル等の溶剤又はこれらの混合溶剤に溶解して、固形分30〜60質量%程度の溶液として塗布することができる。これらは、単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
感光性樹脂組成物は、特に制限はないが、金属面上に、液状レジストとして塗布して乾燥した後、必要に応じて保護フィルムを被覆して用いるか、後述する感光性エレメントの形態で用いられることが好ましい。上記金属面としては、例えば、銅、銅系合金、ニッケル、クロム、鉄又はステンレス等の鉄系合金からなる金属面が用いられ、好ましくは銅、銅系合金又は鉄系合金からなる金属面が用いられる。
(感光性エレメント)
次に、本実施形態に係る感光性エレメントについて説明する。本実施形態に係る感光性エレメントは、支持体と、該支持体上に形成された上記感光性樹脂組成物からなる感光性樹脂組成物層とを備えるものである。
ここで、図1は、本発明の感光性エレメントの好適な一実施形態を示す模式断面図である。図1に示した感光性エレメント1は、支持体10と、該支持体10上に設けられた感光性樹脂組成物層14と、で構成される。感光性樹脂組成物層14は、上述した本実施形態の感光性樹脂組成物からなる層である。また、本実施形態の感光性エレメント1は、感光性樹脂組成物層14上の支持体10とは反対側の面F1を保護フィルムで被覆してもよい。
支持体10としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル等の耐熱性及び耐溶剤性を有する重合体フィルムが挙げられる。これらの重合体フィルム上に感光性樹脂組成物を塗布、乾燥することにより感光性エレメント1が得られる。支持体10としては、透明性に優れることから、ポリエチレンテレフタレートフィルムを用いることが好ましい。
これらの重合体フィルムは、後に感光性樹脂組成物層14上から除去可能である必要がある。感光性樹脂組成物層14上からの除去が容易となるような表面処理が施されたフィルムや、除去が容易となるような材質であるフィルムは、支持体10として好適に使用できる。上記重合体フィルムの厚みは、1〜100μmであることが好ましく、1〜50μmであることがより好ましく、1〜30μmであることが特に好ましい。重合体フィルムの厚みが1μm未満では、機械的強度が低下し、塗工時に重合体フィルムが破れる等の問題が発生しやすくなる傾向があり、100μmを超えると、重合体フィルムを介して感光性樹脂組成物層14に活性光線を照射する場合に、解像度が低下する傾向がある。また、厚みが100μmを超える支持体は、廉価性に劣る傾向がある。
上記重合体フィルムは、保護フィルムとしても使用することができ、感光性樹脂組成物層14の支持体10とは反対側の面を重合体フィルムで被覆してもよい。
上記保護フィルムは、感光性樹脂組成物層14との接着力が、感光性樹脂組成物層14と支持体10との接着力より、小さいことが好ましい。また、上記保護フィルムは、低フィッシュアイのフィルムであることが好ましい。なお、「フィッシュアイ」とは、材料を熱溶融し、混練、押し出し、2軸延伸、キャスティング法等によりフィルムを製造する際に、材料の異物、未溶解物、酸化劣化物等がフィルム中に取り込まれたものである。
支持体10上に、感光性樹脂組成物の溶液を塗布する方法としては、ロールコータ、コンマコータ、グラビアコータ、エアーナイフコータ、ダイコータ、バーコータ、スプレーコータ等の方法が挙げられる。また、支持体10上に塗布された感光性樹脂組成物の溶液を乾燥する条件としては、例えば、乾燥温度70〜150℃、乾燥時間5〜30分程度の条件が挙げられる。感光性樹脂組成物層14中の残存有機溶剤量は、後の工程での有機溶剤の拡散を防止するため、感光性樹脂組成物層14の全量基準で、2質量%以下とすることが好ましい。
感光性樹脂組成物層14の厚みは、用途により異なるが、乾燥後の厚みで1〜200μmであることが好ましく、5〜100μmであることがより好ましく、10〜50μmであることが特に好ましい。この厚みが1μm未満では工業的に塗工困難な傾向があり、200μmを超えると本発明の効果が小さく、レジスト底部の光硬化性が悪化する傾向がある。
感光性エレメント1は、クッション層、接着層、光吸収層、ガスバリア層等の中間層をさらに備えていてもよい。また得られた感光性エレメント1はシート状のまま、又は巻芯にロール状に巻きとって保管することができる。上記ロール状の感光性エレメントロールの端面には、端面保護のために端面セパレータを設置することが好ましい。また、上記感光性エレメントロールの端面には、耐エッジフュージョンのために防湿端面セパレータを設置することが好ましい。上記巻芯としては、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体)等のプラスチックからなる巻芯が挙げられる。
(レジストパターンの形成方法)
次に本実施形態に係るレジストパターンの形成方法について説明する。本実施形態に係るレジストパターンの形成方法は、回路形成用基板上に形成された上記感光性樹脂組成物からなる感光性樹脂組成物層の所定部分に活性光線を照射し、露光部を光硬化させる照射工程と、上記感光性樹脂組成物層の所定部分以外の部分を上記基板上から除去する除去工程とを含むものである。なお、回路形成用基板とは、絶縁層と絶縁層上に形成された導電層とを備えた基板をいう。
回路形成用基板上への感光性樹脂組成物層の積層は、例えば、感光性樹脂組成物を、スクリーン印刷法、スプレー法、ロールコート法、カーテンコート法、静電塗装法等の方法で回路形成用基板上に塗布し、塗膜を60〜110℃で乾燥させることで行うことができる。
また、上述した感光性エレメントを用いて、基板上への感光性樹脂組成物層の積層を行ってもよい。その場合の積層方法としては、感光性エレメントが保護フィルムを備える場合には保護フィルムを除去した後、感光性樹脂組成物層を70℃〜130℃程度に加熱しながら基板に0.1MPa〜1MPa程度(1kgf/cm2〜10kgf/cm2程度)の圧力で圧着する方法等が挙げられる。かかる方法は、密着性及び追従性の見地から、減圧下で行うことが好ましい。また、積層性をさらに向上させるために、圧着前に回路形成用基板の余熱処理を行うこともできる。感光性樹脂組成物層が積層される基板の表面は、通常金属面であるが、特に制限されない。
感光性エレメントを用いた形成方法では、回路形成用基板上に、感光性樹脂組成物層と支持体とが順次積層される。支持体が透明性を有する場合には、照射工程において、支持体上から活性光線を照射して感光性樹脂組成物を露光してもよい。また、支持体の透明性が低い場合には、支持体を可能性樹脂組成物層上から除去し、直接感光性樹脂組成物に活性光線を照射してもよい。
照射工程では、例えば、アートワークと呼ばれるネガ又はポジマスクパターンを通じて活性光線を画像状に照射する。活性光線の光源としては、例えば、カーボンアーク灯、水銀蒸気アーク灯、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、キセノンランプ等の紫外線を有効に放射するもの、あるいは、写真用フラッド電球、太陽ランプ等の可視光を有効に放射するものを用いることができる。
活性光線の照射方法としては、DLP(Digital Light Processing)露光法等のレーザ直接描画法により活性光線を画像状に照射する方法を採用してもよい。このような方法では、活性光線の光源として、YAGレーザ、半導体レーザ及び窒化ガリウム系青紫色レーザ等の光源を用いることができる。
除去工程では、感光性樹脂組成物層の活性光線を照射した部分以外の部分を、上記基板上から除去する。除去工程では、感光性樹脂組成物層上に支持体が存在している場合には支持体を除去した後、ウエット現像、ドライ現像等の方法で未露光部を除去してレジストパターンを製造することができる。ウエット現像としては、アルカリ性水溶液、水系現像液、有機溶剤等の現像液を用いて、スプレー、揺動浸漬、ブラッシング、スクラッピング等の方法により現像を行うことができる。ウエット現像で用いられる現像液としては、アルカリ性水溶液等の安全性及び安定性が高く、操作性が良好なものが用いられる。
アルカリ性水溶液は、塩基を含有する水溶液であり、当該塩基としては、リチウム、ナトリウム又はカリウムの水酸化物等の水酸化アルカリ;リチウム、ナトリウム、カリウム若しくはアンモニウムの炭酸塩又は重炭酸塩等の炭酸アルカリ;リン酸カリウム、リン酸ナトリウム等のアルカリ金属リン酸塩;ピロリン酸ナトリウム、ピロリン酸カリウム等のアルカリ金属ピロリン酸塩などを用いることができる。
また、現像に用いるアルカリ性水溶液としては、0.1〜5質量%炭酸ナトリウムの希薄溶液、0.1〜5質量%炭酸カリウムの希薄溶液、0.1〜5質量%水酸化ナトリウムの希薄溶液、0.1〜5質量%四ホウ酸ナトリウムの希薄溶液等が好ましい。また、現像に用いるアルカリ性水溶液のpHは9〜11であることが好ましく、その温度は、感光性樹脂組成物層の現像性に合わせて調節される。また、アルカリ性水溶液中には、表面活性剤、消泡剤、現像を促進させるための少量の有機溶剤等を混入させてもよい。
上記水系現像液としては、水又はアルカリ性水溶液と一種以上の有機溶剤とからなるものが用いられる。ここでアルカリ性水溶液が含有する塩基としては、上記の塩基、ホウ砂、メタケイ酸ナトリウム、水酸化テトラメチルアンモニウム、エタノールアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール、1,3−ジアミノプロパノール−2、モルホリン等が挙げられる。水系現像液のpHは、レジストの現像が充分にできる範囲でできるだけ小さくすることが好ましく、pH8〜12とすることが好ましく、pH9〜10とすることがより好ましい。
上記有機溶剤としては、3−アセトンアルコール、アセトン、酢酸エチル、炭素数1〜4のアルコキシ基をもつアルコキシエタノール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等が挙げられる。これらは、単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。有機溶剤の濃度は、通常、2〜90重量%とすることが好ましく、その温度は、現像性にあわせて調整することができる。また、水系現像液中には、界面活性剤、消泡剤等を少量混入することもできる。単独で用いる有機溶剤系現像液としては、1,1,1−トリクロロエタン、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン、γ−ブチロラクトン等が挙げられる。これらの有機溶剤は、引火防止のため、1〜20重量%の範囲で水を添加することが好ましい。
また、必要に応じて上述した2種以上の現像方法を併用してもよい。現像の方式には、ディップ方式、バトル方式、スプレー方式、ブラッシング、スラッピング等があり、高圧スプレー方式が解像度向上のためには最も適している。現像後の処理として、必要に応じて60〜250℃程度の加熱又は0.2〜10mJ/cm2程度の露光を行うことによりレジストパターンをさらに硬化して用いてもよい。
(プリント配線板の製造法)
次に、本実施形態に係るプリント配線板の製造法について説明する。本実施形態に係るプリント配線板の製造法は、上述したレジストパターンの形成方法によりレジストパターンが形成された回路形成用基板を、エッチング又はめっきすることを特徴とする。
上記の製造法では、現像されたレジストパターンをマスクとして、回路形成用基板の表面をエッチング又はめっきする。これにより、回路形成用基板上にレジストパターンに基づく導体パターンが形成される。
上記エッチングには、塩化第二銅溶液、塩化第二鉄溶液、アルカリエッチング溶液、過酸化水素系エッチング液等を用いることができる。これらのうち、エッチファクターが良好な点から塩化第二鉄溶液を用いることが望ましい。上記めっき法としては、硫酸銅めっき及びピロリン酸銅めっき等の銅めっき;ハイスローはんだめっき等のはんだめっき;ワット浴(硫酸ニッケル−塩化ニッケル)めっき及びスルファミン酸ニッケルめっき等のニッケルめっき;ハード金めっき及びソフト金めっき等の金めっきなどが挙げられる。これらは公知の方法を適宜用いることができる。
エッチング又はめっき終了後、レジストパターンは、例えば、現像に用いたアルカリ性水溶液よりさらに強アルカリ性の水溶液で剥離することができる。この強アルカリ性の水溶液としては、1〜10質量%水酸化ナトリウム水溶液、1〜10質量%水酸化カリウム水溶液等が用いられる。剥離方式としては、浸漬方式又はスプレー方式等が挙げられ、これらを単独で使用してもよいし、併用してもよい。
なお、上記プリント配線板の製造法は、単層プリント配線板のみならず多層プリント配線板の製造にも適用可能であり、小径スルーホールを有するプリント配線板等の製造にも適用可能である。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではない。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。
まず、表1に示すバインダーポリマーを、合成例1に従って合成した。
(合成例1)
撹拌機、還流冷却器、温度計、滴下ロート及び窒素ガス導入管を備えたフラスコに、質量比6/4(メチルセロソルブ/トルエン)であるメチルセロソルブ及びトルエンの配合物400gを加え、窒素ガスを吹き込みながら撹拌して、80℃まで加熱した。一方、共重合単量体としてメタクリル酸100g、メタクリル酸メチル250g、アクリル酸エチル100g及びスチレン50gと、アゾビスイソブチロニトリル0.8gとを混合した溶液(以下、「溶液a」という)を用意し、80℃に加熱された質量比6/4であるメチルセロソルブ及びトルエンの上記配合物に溶液aを4時間かけて滴下した後、80℃で撹拌しながら2時間保温した。さらに、質量比6/4であるメチルセロソルブ及びトルエンの配合物100gにアゾビスイソブチロニトリル1.2gを溶解した溶液を、10分かけて上記フラスコ内に滴下した。滴下後の溶液を撹拌しながら80℃で3時間保温した後、30分間かけて90℃に加温した。90℃で2時間保温した後、冷却して(A)成分であるバインダーポリマー溶液を得た。このバインダーポリマー溶液に、アセトンを加えて不揮発成分(固形分)が50質量%になるように調整した。バインダーポリマーの重量平均分子量は80000であった。なお、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法によって測定し、標準ポリスチレンの検量線を用いて換算することにより導出した。GPCの条件を、以下に示す。
(GPC条件)
ポンプ:日立 L−6000型[株式会社日立製作所製]
カラム:Gelpack GL−R420+Gelpack GL−R430+Gelpack GL−R440(計3本)[以上、日立化成工業株式会社製、製品名]
溶離液:テトラヒドロフラン
測定温度:25℃
流量:2.05mL/分
検出器:日立 L−3300型RI[株式会社日立製作所製、製品名]
(実施例1〜5、比較例1〜3)
表1に示す配合量(g)で材料を配合し、感光性樹脂組成物の溶液を得た。
Figure 0004645776
表中、各(B)成分の配合量は固形分(g)を示す。
*1:メタクリル酸/メタクリル酸メチル/アクリル酸エチル/スチレン=20/50/20/10(質量比)、重量平均分子量=80000、50質量%メチルセロソルブ/トルエン=6/4(質量比)溶液
*2:2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリエトキシ)フェニル)プロパン[日立化成工業株式会社製、製品名]
*3:トリス(メタクリロイルオキシテトラエチレングリコールイソシアネートヘキサメチレン)イソシアヌレート[新中村化学株式会社製、製品名]
*4:γ−クロロ−β−ヒドロキシプロピル−β’−メタクリロイルオキシエチル−o−フタレート[日立化成工業株式会社製、製品名]
*5:ノニルフェノキシテトラエチレンオキシアクリレート[東亞合成株式会社製、製品名]
*6:ノニルフェノキシオクタエチレンオキシアクリレート[共栄社化学株式会社製、製品名]
*7:1,7−ビス(9,9−アクリジニル)ヘプタン[旭電化工業株式会社製、製品名]
*8:9−フェニルアクリジン[新日鐵化学株式会社製、製品名]
*9:N−フェニルグリシン[三井化学株式会社製、製品名]
次いで、得られた感光性樹脂組成物の溶液を、16μm厚のポリエチレンテレフタレートフィルム(帝人株式会社製、製品名「G2−16」)上に均一に塗布し、100℃の熱風対流式乾燥機で10分間乾燥した後、ポリエチレン製保護フィルム(タマポリ株式会社製、製品名「NF−13」)で保護し、感光性樹脂組成物積層体(感光性エレメント)を得た。感光性樹脂組成物層の乾燥後の膜厚は、30μmであった。
次いで、銅箔(厚み35μm)を両面に積層したガラスエポキシ材である銅張積層板(日立化成工業株式会社製、製品名「MCL−E−67」)の銅表面を、#600相当のブラシを持つ研磨機(三啓株式会社製)を用いて研磨し、水洗後、空気流で乾燥した。得られた銅張積層板を80℃に加温し、その銅表面上に、上記感光性樹脂組成物積層体の保護フィルムを剥がしながら、感光性樹脂組成物層を110℃のヒートロールを用いて1.5m/分の速度でラミネートし、試験基板を得た。
<光感度の評価>
上記試験基板の上に日立41段ステップタブレットを置いて、半導体レーザを光源とした波長355nmのLDI露光機(日本オルボテック株式会社製、製品名「Paragon−9000m」)を用いて、17mJ/cm2で露光した。次いでポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離し、30℃で1.0質量%炭酸ナトリウム水溶液を60秒間スプレーし、未露光部分を除去した後、銅張積層板上に形成された光硬化膜のステップタブレットの段数を測定することにより、感光性樹脂組成物の光感度を評価した。光感度は、ステップタブレットの段数で示され、このステップタブレットの段数が高いほど、光感度が高いことを示す。
<解像度の評価>
上記ラミネート後の試験基板上に、解像度評価用パターンとしてライン幅/スペース幅が5/5〜47/47(単位:μm)の配線パターンを有する描画データを使用し、日立41段ステップタブレットの現像後の残存ステップ段数が20.0となるエネルギー量で露光を行った。上記光感度の評価と同様の条件で現像処理を行った後、光学顕微鏡を用いてレジストパターンを観察し、未露光部が完全に除去することができ、なおかつラインが蛇行、カケを生じることなく生成されたライン幅間のスペース幅の最小値を解像度として評価した。この数値が小さいほど解像度が良好であることを示す。
<テンティング性の評価>
テンティング性の評価には、直径6mmの穴が24個空いている1.6mm厚の銅張積層板を使用した。上記銅張積層板は、銅箔(厚さ35μm)を両面に積層したガラスエポキシ材である銅張積層板(日立化成工業株式会社製、製品名「MCL−E−67」)に型抜き機で直径6mmの穴を24個作製し、穴を作製した際に生じたバリを#600相当のブラシを持つ研磨機(三啓株式会社製)を用いて取り除き、これをテンティング性評価用基板とした。上記テンティング性評価用基板の両面に上記感光性エレメントをラミネートし、上記LDI露光機を用いて、17mJ/cm2で全面露光した。次いでポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離し、30℃で1.0質量%炭酸ナトリウム水溶液にて60秒間のスプレー現像を2回行った。現像後、穴破れ個数を目視で測定し、テント破れ率として評価し、これをテンティング性とした。テント破れ率は、低いほどテンティング性が高いことを示し、ゼロであることが望ましい。
<剥離性の評価>
上記ラミネート後の試験基板上に、剥離性評価用パターンとして60mm×45mmのパターンを有する描画データを使用し、日立41段ステップタブレットの現像後の残存ステップ段数が20.0となるエネルギー量で露光を行った。上記光感度及び解像度の評価と同様の条件で現像処理を行った後、50℃、3.0質量%水酸化ナトリウム水溶液にてビーカー浸漬し、レジストが基板表面から完全に剥離されるまでの時間(単位:秒)を剥離時間として評価し、これを剥離性とした。剥離時間は、短いほど剥離性が良好であることを示す。
<レジスト形状の評価>
上記ラミネート後の試験基板上に、レジスト形状評価用パターンとしてライン幅/スペース幅が5/5〜47/47(単位:μm)の配線パターンを有する描画データを使用し、日立41段ステップタブレットの現像後の残存ステップ段数が20.0となるエネルギー量で露光を行った。上記光感度の評価と同様の条件で現像処理を行った後、株式会社日立製作所製のS−2100A型走査型電子顕微鏡を用いてレジスト形状を観察した。
レジスト形状において、パターン断面が台形又は逆台形であると、エッチング又はめっき処理後に設計幅の配線パターンが得られない等の不都合が生じるため、パターン断面は矩形であることが好ましい。
実施例1〜5、比較例1〜3の感光性エレメント又は試験基板について行った上記評価結果を、表2に示す。
Figure 0004645776
表2に示すように、実施例1〜5では、光感度、解像度及びレジスト形状に優れ、且つ十分な剥離性を有することが確認された。また、実施例1、3〜5ではさらに、優れたテンティング性を示した。
1…感光性エレメント、10…支持体、14…感光性樹脂組成物層。

Claims (9)

  1. (A)バインダーポリマーと、(B)エチレン性不飽和結合を少なくとも一つ有する光重合性化合物と、(C)光重合開始剤と、を含有する感光性樹脂組成物であって、
    前記(C)光重合開始剤が、下記一般式(I)で表される化合物及び下記一般式(II)で表される化合物を含む、感光性樹脂組成物。
    Figure 0004645776
    [一般式(I)中、Rは炭素数2〜20のアルキレン基、炭素数2〜20のオキサジアルキレン基又は炭素数2〜20のチオジアルキレン基を示す。]
    Figure 0004645776
    [一般式(II)中、Rは置換基を有していてもよいアリール基を示す。]
  2. 前記(C)光重合開始剤は、下記式(III)で表される化合物をさらに含む、請求項1記載の感光性樹脂組成物。
    Figure 0004645776
  3. 前記(B)エチレン性不飽和結合を少なくとも一つ有する光重合性化合物は、ビスフェノールA系(メタ)アクリレート化合物を含む、請求項1又は2に記載の感光性樹脂組成物。
  4. 前記(B)エチレン性不飽和結合を少なくとも一つ有する光重合性化合物は、ウレタンモノマーを含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物。
  5. 前記(B)エチレン性不飽和結合を少なくとも一つ有する光重合性化合物は、ノニルフェノキシポリアルキレンオキシ(メタ)アクリレートを含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物。
  6. 支持体と、該支持体上に形成された請求項1〜5のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物からなる感光性樹脂組成物層とを備える、感光性エレメント。
  7. 回路形成用基板上に形成された請求項1〜5のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物からなる感光性樹脂組成物層の所定部分に活性光線を照射し、露光部を光硬化させる照射工程と、
    前記感光性樹脂組成物層の所定部分以外の部分を前記基板上から除去する除去工程とを含む、レジストパターンの形成方法。
  8. 回路形成用基板上に形成された請求項1〜5のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物からなる感光性樹脂組成物層の所定部分に、直接描画法により活性光線を画像状に照射し、露光部を光硬化させる照射工程と、
    前記感光性樹脂組成物層の所定部分以外の部分を前記基板上から除去する除去工程とを含む、レジストパターンの形成方法。
  9. 請求項7又は8に記載のレジストパターンの形成方法によりレジストパターンが形成された回路形成用基板を、エッチング又はめっきする、プリント配線板の製造法。
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