JP4645187B2 - 冷熱輸送媒体 - Google Patents
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Description
しかしながら、氷は、これを製造するためには、水をその凝固点より十分に低い温度に冷却する必要がある一方、水の凝固点が低いので、冷凍機の成績係数が低下する。また、氷はその取り扱いや輸送等が困難であるので、装置が複雑かつ大型化するという問題点もある。
しかしながら、この公報に記載された技術は、気体水和物を生成するための冷媒としてフロン系冷媒R11を使用している。このフロン系冷媒R11は、オゾン破壊係数が大きい物質であり、また大気圧下では、気体であるので、密閉容器を用いる必要があり、蓄熱装置が高価になるという問題がある。
しかし、この臭化テトラn−ブチルアンモニウムは、その溶液中にハロゲンイオンである臭素などの腐食成分が存在するため、その循環系統を構成する金属配管や設備を腐食する恐れがある。特に高温で使用した場合は腐食が厳しく、現状の配管材料で適応することが難しい。
亜硫酸塩としては、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸リチウム、亜硫酸カルシウムが好ましく、チオ硫酸塩としては、チオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸リチウム、チオ硫酸カルシウムが好ましい。また、水酸化アルカリとしては、水酸化カルシウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウムが好ましい。
以下、この腐食の抑制、軽減のメカニズムについて説明する。まず、亜硫酸塩、チオ硫酸塩の作用効果について説明する。
しかし、TBAB水和物スラリーのpHが中性域であるため、ハロゲンイオンより溶存酸素のカソード反応が腐食の主駆動反応となっている。
そのため、本冷熱輸送媒体を循環する系統は基本的に密閉系として、ガス置換脱気や中空糸真空脱気などを行うことで極力媒体中の溶存酸素の低下を図っている。
さらに、通常、これらの腐食防止剤には、臨界濃度があり、ある濃度未満では無添加と比較してむしろ腐食を促進させたり、局部腐食(孔食や隙間腐食)を発生させたりすることがある。
なお、亜硫酸塩やチオ硫酸塩の含有量は多いほど継続的な効果が期待できる。
しかし、室温において冷熱輸送媒体を飽和溶存酸素状態から完全脱気状態にするために自己酸化に必要な量である亜硫酸イオン換算で30重量ppmを下限とし、冷却媒体として使用する温度(7℃)における最大溶解量である20000重量ppmを上限とすることが好ましい。
上限を規定したのは、過剰に含有すると使用時(7℃)に析出して配管の閉塞が生じたり、金属表面に皮膜を形成し、すき間腐食を発生させる原因になる可能性があるからである。
TBAB水溶液に亜硫酸塩、チオ硫酸塩から選ばれた少なくとも1種の腐食防止剤を含有することにより、上記のように水溶液中の溶存酸素を低減して、全面腐食を抑制することができる。さらに、水酸化アルカリを添加してTBAB水溶液のpHを適切な範囲とすることにより、すき間腐食や孔食などの局所腐食を抑制することができる。
また、水酸化アルカリを含有することにより、冷熱輸送媒体の循環系統を構成する金属材料として鉄、鉄系合金とともに銅や銅系合金が使用されている場合において、TBAB水和物スラリー中における銅イオンの溶出を抑制、軽減させて、鉄、鉄系合金の腐食を抑制することができる。
以下、この腐食抑制のメカニズムについて説明する。
そして、溶け出した銅イオンは循環系内の鉄や鉄系合金に対してカソード反応を示す物質となり、腐食を促進する。
したがって、腐食を抑制するには銅イオンの溶出を抑制、軽減することが必要である。
この点、銅、銅系合金の銅イオンの溶出は、水溶液のpHを弱アルカリ性にシフトすることにより低減が図れ、pH8〜10の範囲が最も溶出を抑制する効果が大きい。ところが、通常、TBABを溶解した水溶液のpHは7〜8程度であり、銅イオン溶出の抑制には十分でない。
そこで、本発明においては、水酸化アルカリを含有させることにより、TBABを含む冷熱輸送媒体の水溶液のpHを8〜10としている。
これによって、銅、銅系合金の溶出を抑制でき、結果として鉄、鉄系合金の銅イオンによる腐食促進を低減できるのである。
なお、pHが11以上になると銅、銅系合金の自己溶解性が高くなるため、水酸化アルカリのその含有量はpHが10になる添加量である200重量ppmを上限とすることが好ましい。
水酸化アルカリとしては、水酸化カルシウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウムを用いるのが好ましい。
このようにTBAB水溶液のpHを8〜10とすることにより、上述した局部腐食抑制や、銅、銅系合金材が用いられている循環系の鉄、鉄系合金の腐食抑制が可能である。pHを8〜10に調整するには、水酸化アルカリを添加することにより可能であるが、他のアルカリ材を添加することにより調整するようにしてもよい。
熱交換器12と蓄熱槽13は、ラインL3により接続されている。
蓄熱槽13と熱交換器12は、ラインL4により接続され、その途中には循環ポンプP2が設けられている。
TBABを濃度25重量%となるように水に溶解し、このTBAB水溶液に亜硫酸ナトリウム1000ppmと水酸化カルシウム100ppmを添加した(実施例1、2)。得られた溶液に炭素鋼試料または銅試料を35℃または50℃で15日間浸漬した後、試料を取り出し、水洗、乾燥して重量を測定した。そして、この測定値に基づき、1年間での各試料の全面腐食の年間腐食速度を算出した。
比較例として、水酸化カルシウムを添加せずに亜硫酸ナトリウム1000ppm添加した例(比較例1、4)、TBAB水溶液単独(比較例2、5)、TBAB水溶液単独をN2ガス置換により脱気した例(比較例3、6)についても同様の実験を行った。
この実験について、炭素鋼の結果を表1、銅の結果を表2に示す。
なお、亜硫酸塩に代えてチオ硫酸ナトリウムを添加した場合も同様の結果を示した。
TBABを濃度25重量%となるように水に溶解し、このTBAB水溶液に亜硫酸ナトリウム2000ppmと水酸化カルシウム100ppmを添加し、50℃の流水環境におけるステンレス鋼の局部腐食発生電位と自然電位をポテンシオスタットにより測定した。
また、TBAB水溶液単独と、TBAB水溶液に亜硫酸ナトリウムだけを2000ppm添加した場合についても同様に測定した。
これらの結果を表3に示す。
TBABを濃度25重量%となるように水に溶解し、このTBAB水溶液に亜硫酸ナトリウム2000ppmと水酸化カルシウム100ppmを添加し、30、40、50、60℃の流水環境でステンレス鋼と銅の試験板材に塩ビ板を当て板として接触させ、人工的にすき間構造を作製した試験片を30日間浸漬した後に試験後の各試験板材のすき間腐食および孔食の発生状況を観察した。
この実験によりすき間腐食および孔食の発生臨界温度が判る。
また、2000重量ppmの亜硫酸ナトリウムのみを添加して同様の実験を行った。
この実験について、ステンレス鋼の結果を表4、銅の結果を表5に示す。
Claims (5)
- 臭化テトラn−ブチルアンモニウムの水溶液であり、亜硫酸塩、チオ硫酸塩、の中から選ばれた少なくとも1種の腐食防止剤と水酸化アルカリを含有することを特徴とする冷熱輸送媒体。
- 臭化テトラn−ブチルアンモニウムの水溶液であり、亜硫酸塩、チオ硫酸塩、の中から選ばれた少なくとも1種の腐食防止剤を含有し、水溶液のpHが8〜10であることを特徴とする冷熱輸送媒体。
- 腐食防止剤が亜硫酸イオン換算で30重量ppm以上20000重量ppm以下の濃度で含有されていることを特徴とする請求項1または2に記載の冷熱輸送媒体。
- 水酸化アルカリが200重量ppm以下の濃度で含有されていることを特徴とする請求項1に記載の冷熱輸送媒体。
- 腐食防止剤が亜硫酸イオン換算で30重量ppm以上20000重量ppm以下の濃度で含有され、かつ水酸化アルカリが200重量ppm以下の濃度で含有されていることを特徴とする請求項1に記載の冷熱輸送媒体。
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