JP4538776B2 - 電磁サスペンション装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電磁力による振動抑制用アクチュエータ、ダンパに係り、特に、自動車、鉄道車両、構造物及び建造物などに用いて好適な電磁サスペンション装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の電磁サスペンション装置の一例として、油圧ダンパのオリフィス等の減衰力発生機構に代えて、回転型モータ及びこの回転型モータのロータの回転動を直線動に変換する直動―回転動変換機構を用いたり、あるいは直動型モータを用いた電磁サスペンション装置がある。この電磁サスペンション装置は、通電することにより可動部を変位させモータを本来のモータ(アクチュエータ)としてアクティブに動作させる一方、モータを発電機として使用することにより(パッシブに)減衰力を発生させるようにしている。
【0003】
また、モータを発電機として使用した場合の減衰力は、コイルに流れる電流の大きさに比例するので、減衰力を可変とするためには、コイルに流れる電流の大きさを調整できればよい。コイルに流れる電流を調整するには、回路に可変抵抗を設けたり、回路をオン、オフするスイッチのオン、オフ時間を制御することなどで容易に実現できる。
【0004】
そのため、電磁サスペンション装置の減衰力をストローク速度やストローク位置に応じて可変制御したり、制御対象の振動を抑制するようにリアルタイムに可変制御する、いわゆるセミアクティブダンパとして構成することは比較的容易である。また、このようにセミアクティブダンパとして構成する(発電機として使用する)場合、電磁サスペンション装置に電気エネルギーを与える必要はなく、消費電力を非常に低く抑えることができる。
【0005】
また、電磁サスペンション装置に電気エネルギーを与えてモータとして使用すれば、容易に任意の力を発生させることができるため、力を加えて減衰力を大きくしたり、任意の力を発生させてアクティブサスペンションとして動作させ、振動抑制効果を高めることが可能であり、このようにして振動抑制効果を高める方法も提案されている。
【0006】
上述した発電機及びモータとして作用する電磁サスペンション装置の一例として、3相同期形の同軸円筒形リニアモータによって構成したものがある。
その一例として特開平4−197813号の装置がある。この装置は、磁性体で形成された二重筒状の車体側部材と、車体側部材の外筒及び車体側部材の内筒間の隙間に挿入される車軸側部材とを備えている。さらに、この装置は、車体側部材の外筒の内周面及び車体側部材の内筒の外周面のそれぞれに永久磁石を設け、車軸側部材の外周側にコイルを設けている。
【0007】
また、上述した電磁サスペンション装置の他の例として、図7に示すものがある。図7に示す装置(電磁サスペンション装置)1は、車両の車体側に保持される磁性材料製で筒状の外ヨーク2と、この外ヨーク2に相対変位可能に挿嵌され一端側が車両の車軸側に保持される磁性材料製で筒状の内ヨーク3とを備えている。外ヨーク2の内側には複数のコイル4が軸方向に所定長さにわたって設けられている。内ヨーク3の外周側には、永久磁石5が軸方向に所定長さにわたって設けられている。また、内ヨーク3には、コイル4を覆うようにガイドパイプ6が保持されている。
【0008】
この装置1では、永久磁石5は内周、外周側がそれぞれN極、S極あるいはその逆となるように着磁されており、かつ、隣り合った磁極が交互にN極、S極となるように配置される。
そして、図7に示すように、永久磁石5のN極から発生する磁束のうち、コイル4を通過する磁束の流れ(図7上側の磁束の流れ)は、永久磁石5のN極 →ガイドパイプ6 → エアギャップ7a → コイル4 → 外ヨーク2 →コイル4 → エアギャップ7a →ガイドパイプ6 → 永久磁石5のS極という経路を辿る。また、コイル4を通過しない側の磁束の流れ(図7下側の磁束の流れ)は、永久磁石5のN極 → 内ヨーク3 → 永久磁石5のS極という経路を辿る。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した図7に示す装置1では、外ヨーク2から磁束が装置外に漏洩する。そして、磁束が装置外に漏洩すると、車両の走行中に鉄粉、鉄屑等を装置に引き寄せることとなり、カジリ等による不具合の発生を誘起する。又、永久磁石5の磁気エネルギーをモータ推力として有効に用いることが望まれるが、磁束が漏洩することにより、その分、利用できる磁気エネルギーが少なくなり、磁気エネルギーの有効利用が阻害されることになる。
磁束の漏洩を招くことは、前記特開平4−197813号の装置も同様に言えることであり、磁気エネルギーの有効利用を果たすことが望まれている。
【0010】
なお、前記特開平4−197813号の装置では、上述した車体側部材の外筒が磁気回路を構成するが、この外筒からの磁束の漏洩を抑えるために、仮に磁性材料製の外筒部材を設けようとすると、装置が大型化する上、車体側部材には外筒に加えて外筒部材が付加されることになり、車軸側部材との間の重量バランスの適正化が図れず、ひいては制御性の低下を招きやすくなり、適切な改善策になり得なかった。
【0011】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、磁束の漏洩防止を、装置の大型化及び重量増加を招くことなく果たすことができる電磁サスペンション装置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、磁性材料よりなる筒体に対して長手状部材が相対的に変位可能に挿嵌され、前記筒体の内周部又は前記長手状部材のいずれか一方に、磁石部材を軸方向に複数個設け、いずれか他方に、コイル部材を軸方向に複数個設け、前記筒体に対する前記長手状部材の相対変位によって起電力又は推進力を生じる電磁サスペンション装置において、前記筒体を挿通する大きさの磁性材料よりなる外筒部材を有し、該外筒部材は、一端側が前記長手状部材に保持され、他端側と前記長手状部材との間に形成される環状空間に、前記磁石部材又はコイル部材を設けた前記筒体を変位可能に挿入し、前記筒体と共に磁気回路を形成するように設けたことを特徴とする。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の構成において、前記外筒部材を、前記筒体及び前記長手状部材を弾性的に支持するばねの一端側を支持するばね受けとしたことを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の第1実施の形態に係る電磁サスペンション装置を図1及び図2に基づいて説明する。なお、図7に示す部分及び部材と同等の部分及び部材については、その説明は適宜省略する。
【0014】
図1及び図2において、電磁サスペンション装置1Aは、筒状で磁性材料製の外ヨーク2(筒体)を有している。外ヨーク2は、有蓋筒状のロッド部材10の開口側(図1下側)に嵌合されロッド部材10を介して車両の車体側に保持されている。ロッド部材10の蓋部11には内側と外側を連通する連通孔(便宜上、第1連通孔という。)12aが形成されている。外ヨーク2の内周部には複数個のコイル4が軸方向に並べて設けられている。
【0015】
外ヨーク2及びロッド部材10には、磁性材料製で有底筒状の内ヨーク3(長手状部材)が相対変位可能に挿嵌されている。内ヨーク3は、この内ヨーク3に比して大径で有底のガイドパイプ6に収納されている。内ヨーク3は、その底部3aがガイドパイプ6の底部6aに接合されて、ガイドパイプ6に固定されている。ガイドパイプ6は、ロッド部材10の開口部内側に設けた摺動部材13a及び外ヨーク2の開口部内側に設けた摺動部材13bを介してロッド部材10及び外ヨーク2に対して相対的に変位し得るようになっている。
【0016】
内ヨーク3は、底部3a側部分が所定の厚さに形成されていると共に、この底部3a側部分に連接して先端部まで所定長さにわたって延びる部分が底部3a側部分に比して厚い寸法とされており、磁気回路の磁気抵抗を小さくするようにしている。この厚い寸法とされた部分を、以下、便宜上、厚肉部3bという。厚肉部3bの外周部には、ガイドパイプ6に収まるようにして永久磁石(磁石部材)5が軸方向に複数個固定されている。内ヨーク3の底部3a側部分には、連通孔(便宜上、第2連通孔という。)12bが形成されている。ガイドパイプ6ひいては内ヨーク3(永久磁石5)は、ガイドパイプ6の底部6a側に取付けられたブラケット14を介して車軸側に固定されている。
【0017】
複数個の永久磁石5は、図2に示すように、外周部(図2上側)、内周部(図2下側)がそれぞれ、N極、S極、あるいはその逆となるように着磁されており、かつ、隣り合った磁極が交互にとされ、N極、S極となるように配置されている。内ヨーク3における永久磁石5が設けられた部分は磁気回路の一部を構成している。
【0018】
ガイドパイプ6の底部6a側部分には、ばね受けである磁性材料製のばね受け部20が取付けられている。このばね受け部20と車体側に設けた図示しないばね受け部〔ひいてはロッド部材10及び外ヨーク2(コイル4)〕との間には、コイルばね21が介装されており、外ヨーク2(筒体)及び内ヨーク3(長手状部材)を弾性的に支持するようにしている。
【0019】
ばね受け部20は、ガイドパイプ6に嵌合してこれに保持される筒状の基端部(以下、ばね受け部基端部という。)22と、ばね受け部基端部22から拡径して延設される外筒部材を構成する筒部(以下、ばね受け部筒部という。)23と、ばね受け部筒部23の先端側に連接して略漏斗状に形成され、前記コイルばね21を支持する支持部(以下、ばね支持部という。)24と、から大略構成されている。
【0020】
ばね受け部筒部23とガイドパイプ6との間には、環状空間25が形成されている。この環状空間25には、外ヨーク2及びこの外ヨーク2に保持されるコイル4が変位可能に挿入されるようになっている。この場合、外ヨーク2の外径寸法とばね受け部筒部23の内径寸法は近い値であり、外ヨーク2及びばね受け部筒部23は、近接して変位し、両者が対面した状態で、共に磁気回路を形成するようになっている。
ばね受け部筒部23は、内ヨーク3及び外ヨーク2が相対的に最も縮み込んだ状態(図1に示す状態)で、ガイドパイプ6の底部6aからロッド部材10の蓋部11までの長さ(装置全長)の2/3程度の長さとされている。
【0021】
なお、このように外ヨーク2及びばね受け部筒部23が共に磁気回路を形成することから、コイル4の外側にばね受け部筒部23がなくて外ヨーク2のみが存在する場合に比して、コイル4の外側部分の磁気回路の断面積が大きくなり、磁束を容易に通して、装置からの磁束の漏洩を必要最小限に抑えることができる。
さらに、装置からの磁束の漏洩を必要最小限のものにすることから、永久磁石5の磁気エネルギーを充分適切に利用でき、その分、永久磁石5の小型化ひいては装置の小型化及び軽量化を図ることができる。
【0022】
ガイドパイプ6におけるばね受け部基端部22の近傍部分には、ガイドパイプ6の内側と環状空間25とを連通する連通孔(便宜上、第3連通孔という。)12cが形成されている。ばね受け部筒部23とばね支持部24との連接部分には、ガイドパイプ6に摺動するシール部材26が設けられており、環状空間25への水、ゴミ、埃などの侵入を防止するようにしている。
また、上述したように第1連通孔12a、第2連通孔12b及び第3連通孔12cを設け、これらを通して装置外部、ロッド部材10の内部空間、内ヨーク3の内部空間及び環状空間25が連通している。そして、ガイドパイプ6(内ヨーク3)とロッド部材10(外ヨーク2)とが相対的に変位して環状空間25の体積が変化した際、第1連通孔12aを通して装置外との空気の授受が行なわれ、環状空間25の体積変化に対処し得るようにされている。
【0023】
この電磁サスペンション装置1Aでは、内ヨーク3(すなわち永久磁石5)が外ヨーク2(すなわちコイル4)に対してストロークすれば、フレミングの右手則によりコイル4には起電力が発生する。
すなわち、電磁サスペンション装置1Aは、発電機として作用し、コイル4の端子を仮に短絡し、コイル4を含む閉回路を形成すればコイル4に電流が流れる。この結果、この電磁サスペンション装置1Aは、内ヨーク3(すなわち永久磁石5)の外ヨーク2(すなわちコイル4)に対する相対速度に応じた抵抗力、すなわち減衰力を発生することになる。
【0024】
また、コイル4と永久磁石5との相対的な位置関係(電気角)に応じて、コイル4に電流を流せば、電磁サスペンション装置1Aは、モータ(アクチュエータ)として作用する。本実施の形態では、コイル4をU,V,W相の3相に分割し、永久磁石5との相対的な位置関係(電気角)に応じて、コイル4に電流を流し、この電磁サスペンション装置1Aがモータ(アクチュエータ)〔3相同期モータ〕として機能するようにしている。
【0025】
この電磁サスペンション装置1Aは、さらに、3相(U,V,W相)に対応して設けられた3個のホール素子(図示省略)を備えている。3相の同期型リニアモータを用いた電磁サスペンション装置1Aでは、アクチュエータとして動作させる場合には、3相(U,V,W相)を構成する各コイル4への通電を、ストロークに応じて変化するコイル4−永久磁石5の相対位置(電気角)に合わせて制御する必要がある。前記ホール素子は、電気角を検出するための位置センサとして用いられ、ホール素子(位置センサ)によって検出されるコイル4−永久磁石5の相対位置(電気角)に応じてコイル4への通電制御を行なうようにしている。
【0026】
ここで、ホール素子によりコイル4と永久磁石5との相対的な位置関係を検出する原理を説明する。
【0027】
ホール素子は、永久磁石5により発生する磁界の強度に応じて、ホール電圧を発生するものである。そして、外筒部材3に固定されるコイル4が、永久磁石5に対して相対的に軸方向に移動したとき、このホール素子を通過する磁界強度は、永久磁石5の並びに応じて周期的に変化する。すなわち、ホール素子の出力電圧は、コイル4と永久磁石5との相対的な位置関係に応じて変化し、かつその変化のパターンはコイル4と永久磁石5との相対的な位置関係に対して繰り返し再現される。そのため、コイル4と永久磁石5との相対的な位置関係を検出することが可能である。
【0028】
そして、例えばホール素子の出力電圧を正弦波状に補正し、R/D変換器などでパルス列やディジタルデータに変換することで、市販の3相同期モータ駆動用のドライバ装置を用いて電磁サスペンション装置1Aをモータ(アクチュエータ)〔3相同期モータ〕として動作させることができる。
【0029】
上述したように構成した電磁サスペンション装置1Aでは、発電機又はモータとして作用させる際、図2に示すように磁気回路が構成される。すなわち、永久磁石5のN極から発生する磁束のうち、コイル4を通過する磁束の流れ(図2上側の磁束の流れ)は、永久磁石5のN極 → ガイドパイプ6 → エアギャップ7a → コイル4 → 外ヨーク2 → コイル4 → エアギャップ7a→ガイドパイプ6 → 永久磁石5のS極という経路を辿る。また、コイル4を通過しない側の磁束の流れ(図2下側の磁束の流れ)は、永久磁石5のN極 → 内ヨーク3 → 永久磁石5のS極という経路を辿る。
【0030】
前記外ヨーク2に入った磁束のうち一部が外ヨーク2から漏洩するものの、この外ヨーク2から漏洩した磁束は、外ヨーク2 → 外ヨーク2とばね受け部筒部23との間のエアギャップ7b → ばね受け部筒部23 → 前記エアギャップ7b → 外ヨーク2 という経路を辿って外ヨーク2に戻り、起電力等の発生に寄与することになる。すなわち、上述したように、装置外部への磁束の漏洩を必要最小限に抑えられ、永久磁石5の磁気エネルギーを充分適切に利用できる。そして、このように永久磁石5の磁気エネルギーを充分適切に利用できることから、所望の起電力等を発生させる上で、永久磁石5として小型のもので対処可能であり、ひいては装置の小型化を図ることができる。
装置外への磁束の漏洩防止が図れることから、鉄粉、鉄屑等の異物を吸引するようなことが抑制されるので、異物のカジリ等による信頼性、耐久性の低下を回避できる。
【0031】
なお、装置外への磁束の漏洩防止を図るために、外ヨーク2を覆うように車体側に筒状の磁性体を設けたり、あるいは外ヨーク2の肉厚を厚くしたりすることが考えられる。しかし、この場合、車体側(外ヨーク2側)の重量と車軸側(内ヨーク3側)の重量とのバランスが崩れ、その分、サスペンション制御性が低下しやすくなる。これに対し、本実施の形態では、装置外への磁束の漏洩防止を、車体側に保持される外ヨーク2及び車軸側に保持されるばね受け部筒部23が協働して果たしている。このため、上述したように仮に外ヨーク2を覆うように車体側に筒状の磁性体を設けたり、あるいは外ヨーク2の肉厚を厚くしたりして、装置外への磁束の漏洩防止を図る場合に比して、相対変位する外ヨーク2側及び内ヨーク3側の重量バランスをとりやすくなり、ひいてはサスペンション制御性(追従性)の向上を図ることができる。
【0032】
また、車体側に保持される外ヨーク2に対して車軸側にばね受け部筒部23(外筒部材)を設けており、外ヨーク2とばね受け部筒部23(外筒部材)との間には空隙部(環状空間25)が形成されると共に、外ヨーク2及びばね受け部筒部23が対面しない部分が形成されるので、放熱性が、良好なものになり、熱膨張を抑制できる。このように熱膨張を抑制できることから、コイル4−永久磁石5間のエアギャップ7aを小さくし、推力の向上を図ることができる。
また、上述したように放熱性が良好なものになることから、膨張、収縮の繰り返しによる疲労を抑制できるため、装置の耐久性を向上できる。
【0033】
なお、本実施の形態では、ばね受け部20が外筒部材を兼ねており、その分、部品数および組付け工数が低減されて生産性の向上を図ることができると共に、重量の増加を抑制することができる。
また、ガイドパイプ6に嵌合するばね受け部基端部22から延設してばね受け部筒部23を設け、ガイドパイプ6とばね受け部筒部23との間に環状空間25を形成しており、ばね受け部筒部23のばね受け部基端部22側部分(延設部分)は閉塞されており、当該延設部分を通して水、ゴミ、埃等が環状空間25に侵入することがない。
【0034】
外筒部材であるばね受け部筒部23は、上述したように内ヨーク3及び外ヨーク2が相対的に最も縮み込んだ状態(図1に示す状態)で、ガイドパイプ6の底部6aからロッド部材10の蓋部11までの長さ(装置全長)の2/3程度の長さとされている。このため、装置全長にわたって外筒部材を設ける場合に比して、小型化及び軽量化を図ることができる。
【0035】
上記第1実施の形態では、ばね受け部20は外筒部材を兼ねているが、これに代えて図3に示すように構成してもよい(第2実施の形態)。この第2実施の形態では、第1実施の形態に比して、ばね受け部20に代えて、ガイドパイプ6に嵌合される磁性材料製の外筒部材30及びこの外筒部材30に嵌合するばね受け31を設けたことが主に異なっている。
外筒部材30は、ガイドパイプ6に嵌合してこれに保持される筒状の基端部(以下、外筒部材基端部という。)と、外筒部材基端部32から拡径して延設される外筒部材本体33とからなっている。
【0036】
外筒部材本体33とガイドパイプ6との間には、環状空間25が形成されている。この環状空間25には、上述したのと同様に外ヨーク2及びこの外ヨーク2に保持されるコイル4が変位可能に挿入されるようになっている。この場合、外ヨーク2の外径寸法と外筒部材本体33の内径寸法は近い値であり、外ヨーク2及び外筒部材本体33は、近接して変位し、両者が対面した状態で、共に磁気回路を形成するようになっている。
ばね受け31は、外筒部材本体33における外筒部材基端部32側部分に嵌合されており、第1実施の形態のばね支持部24に比して低い位置に設けられている。
【0037】
この第2実施の形態では、ばね受け31は必ずしも磁性材料製としなくてもよく、その分、設計自由度が大きくなる。また、ばね受け31を、外筒部材本体33における外筒部材基端部32側部分に設けているので、外筒部材本体33における先端側に設ける場合に比して、外筒部材本体33の先端側部分(図3上側)が大きな荷重を受けなくて済み、その分、外筒部材本体33の肉厚を薄くすることが可能であり、これに伴い重量の軽減を図ることができる。
【0038】
また、上記第1実施の形態では、ばねがコイルばね21である場合を例にしたが、これに代えて、図4に示すようにエアばね装置40を用いるようにしてもよい(第3実施の形態)。第3実施の形態は、第1実施の形態のばね受け部20のばね支持部24及びコイル4ばねを廃止し、エアばね装置40を設けたことが主に異なっている。
エアばね装置40は、一端側が内側に折り返された二重筒状の可撓性部材41と、ばね受け部筒部23の先端側に設けられ、可撓性部材41の一端側を保持する筒状の支持体(以下、便宜上、第1支持体という。)42と、ロッド部材10を覆うように車体側に設けられ、可撓性部材41の他端側を保持する筒状の支持体(以下、便宜上、第2支持体という。)43と、から構成され、可撓性部材41の内側に形成される室内の空気を利用して弾性力を発生するようにしている。
【0039】
また、上記第1実施の形態において、図5及び図6に示すように、第3連通孔12cに、ガイドパイプ6の内側から環状空間25への流れを許容する逆止弁50を設けるように構成してもよい(第4実施の形態)。この場合、第1実施の形態でばね受け部筒部23とばね支持部24との連接部分に設けたシール部材26は廃止されている。
【0040】
この第4実施の形態では、図5に示すように、伸び行程時には、第1連通孔12a、第2連通孔12bを通して空気が流れ、さらに、ガイドパイプ6の内側から逆止弁50を通って環状空間25に案内され、環状空間25の逆止弁50側から開口側(ばね支持部24側)に向かう空気流が発生する。一方、縮み行程時には、図6に示すように、外ヨーク2の先端側が環状空間25の逆止弁50側に近付くことに伴い、環状空間25の逆止弁50側から開口側(ばね支持部24側)に向かう空気流が発生する。
【0041】
この第4実施の形態では、伸び行程時及び縮み行程時において、環状空間25の逆止弁50側から開口側(ばね支持部24側)に向かう空気流を発生するので、仮に環状空間25にゴミ等などが存在していたとしても、そのゴミ等を排出することが可能になる。このため、第1実施の形態で用いたシール部材26を廃止しても、カジリなどの発生を抑制することができることになる。また、上述したように環状空間25からゴミ等を排出できることから、第1実施の形態で用いたシール部材26に比して簡易なシール部材を用いても、カジリなどの発生を抑制することができ、その分、装置の簡素化及び生産コストの低減を図ることができる。
【0042】
なお、上記第1ないし第4実施の形態において、伸び行程及び縮み行程のストローク端で相対的に変位する部材〔ロッド部材10―ガイドパイプ6、第1、第2実施の形態の外ヨーク2ーばね受け部20等)〕が大きな力で衝突しないようにバンプラバー等を設けるように構成してもよい。
【0043】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、外筒部材は、一端側が長手状部材に保持され、他端側と前記長手状部材との間に形成される環状空間に、磁石部材又はコイル部材を設けた筒体を変位可能に挿入し、前記筒体と共に磁気回路を形成するように設けたので、筒体から磁束が漏洩しても、その磁束は筒体と共に磁気回路を形成する外筒部材を流れ、外筒部材から漏洩する磁束を必要最小限に抑えることができる。このため、磁石部材の磁気エネルギーを充分適切に利用できると共に、これに伴い、所望の起電力等を発生させる上で、磁石部材として小型のもので対処可能であり、ひいては装置の小型化及び軽量化を図ることができる。
【0044】
さらに、装置外への磁束の漏洩防止が図れることから、鉄粉、鉄屑等の異物を吸引するようなことが抑制されるので、異物のカジリ等による信頼性、耐久性の低下を回避できる。
また、装置外への磁束の漏洩防止を、筒体及び外筒部材が協働して果たしているが、外筒部材は、筒体に対して相対変位する長手状部材に保持しているので、筒体側に外筒部材を設ける場合に比して、相対変位する筒体及長手状部材の重量バランスをとりやすくなり、サスペンション制御性(追従性)の向上を図ることができる。
【0045】
請求項2記載の発明によれば、ばね受けは、外筒部材を兼ねるので、部品数および組付け工数が低減されて生産性の向上を図ることができると共に、重量の増加を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施の形態に係る電磁サスペンション装置を示す断面図である。
【図2】図1の装置における磁気回路を模式的に示す断面図である。
【図3】本発明の第2実施の形態に係る電磁サスペンション装置を示す断面図である。
【図4】本発明の第3実施の形態に係る電磁サスペンション装置を示す断面図である。
【図5】本発明の第4実施の形態に係る電磁サスペンション装置の伸び行程時における空気の流れの一部を模式的に示す断面図である。
【図6】図5の電磁サスペンション装置の縮み行程時における空気の流れの一部を模式的に示す断面図である。
【図7】従来の電磁サスペンション装置における磁気回路の一例を模式的に示す断面図である。
【符号の説明】
1A 電磁サスペンション装置
2 外ヨーク
3 内ヨーク
4 コイル
5 永久磁石(磁石部材)
20 ばね受け部(ばね受け)
23 ばね受け部筒部(外筒部材)
Claims (2)
- 磁性材料よりなる筒体に対して長手状部材が相対的に変位可能に挿嵌され、前記筒体の内周部又は前記長手状部材のいずれか一方に、磁石部材を軸方向に複数個設け、いずれか他方に、コイル部材を軸方向に複数個設け、前記筒体に対する前記長手状部材の相対変位によって起電力又は推進力を生じる電磁サスペンション装置において、
前記筒体を挿通する大きさの磁性材料よりなる外筒部材を有し、該外筒部材は、一端側が前記長手状部材に保持され、他端側と前記長手状部材との間に形成される環状空間に、前記磁石部材又はコイル部材を設けた前記筒体を変位可能に挿入し、前記筒体と共に磁気回路を形成するように設けたことを特徴とする電磁サスペンション装置。 - 請求項1記載の構成において、前記外筒部材を、前記筒体及び前記長手状部材を弾性的に支持するばねの一端側を支持するばね受けとしたことを特徴とする電磁サスペンション装置。
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