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JP4535528B2 - サスペンションシートの体重調整機構 - Google Patents

サスペンションシートの体重調整機構 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁気ばねを利用したサスペンションシートに関し、さらに詳しくは、サスペンションシートの着座者の体重を調整するための体重調整機構に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年になり、高保持力、高残留磁束密度を有する永久磁石が実用化されるに伴い、磁気浮上、磁気軸受、磁性流体を用いたダンパー等の磁気制御系の研究が盛んに行われている。磁気浮上制振技術は物体を非接触で支持することが可能となるため、摩擦や磨耗の問題も少なく、高速運動させることが可能であり、振動や騒音も少ないという利点を持つ。
最近では、同一磁極が対向する磁気ばねを利用したサスペンションシートも提案され、その研究も進んでいる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
サスペンションシートにおいては、着座者の体重差を吸収する体重調整機構が設けられているが、磁気ばねを利用したサスペンションシートの場合、細部の構成についてはまだまだ研究の余地があり、体重調整機構についても十分な研究がなされていないのが現状である。
【0004】
また、従来の金属ばねを利用したサスペンションシートにおける体重調整は、金属ばねの張力を変えるダイヤル式が一般的であり、調整範囲が広く、体重調整に手間がかかるという問題があった。
【0005】
本発明は、従来技術の有するこのような問題点に鑑みてなされたものであり、操作性に優れた簡素な構成のサスペンションシートの体重調整機構を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明のうちで請求項1に記載の発明は、下部フレームと、該下部フレームに対しリンク機構を介して上下動自在に取り付けられた上部フレームとを有し、上部及び下部フレームに同一磁極が対向する永久磁石を取り付けたサスペンションシートにおいて、上記上部フレームに揺動自在に取り付けられた操作部材を有し、上記リンク機構の一部に一端が係止された金属ばねの他端を上記操作部材に係止させることにより上記上部フレームの持ち上げ力を発生させるとともに、上記金属ばねの弾性力を変化させることにより体重調整を行い、上記操作部材をロックするロック部材を上記操作部材に回動自在に取り付ける一方、上記上部フレームに当接部材を設け、上記ロック部材によりロックされたロック位置とロック解除されたロック解除位置との間で上記操作部材を揺動させ、ロック解除位置にある上記操作部材をロック位置に向かって揺動させ、上記ロック部材を上記当接部材に当接させて上記ロック部材を所定角度回転させることにより上記操作部材をロックするとともに、ロック位置にある上記操作部材のロック解除は、上記ロック部材をさらに上記当接部材に当接させて上記ロック部材を回転させることにより行い、ロック位置における上記上部フレームの持ち上げ力をロック解除位置における持ち上げ力よりも大きくしたことを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明にかかる体重調整機構Mを有するサスペンションユニットSを示しており、振動源側の車体フロア等に取り付けられる下部フレーム2と、リンク機構を介して下部フレーム2に上下動自在に取り付けられた上部フレーム4とを備えている。この上部フレーム4にはシート(図示せず)が取り付けられ、サスペンションシートを構成する。
【0010】
図2及び図3に示されるように、体重調整機構Mは、上部フレーム4の前部に螺着されたベースプレート6の上面に取り付けられており、ベースプレート6の下面には、上部永久磁石8が傾斜した状態で取り付けられた上部磁石ホルダ10が螺着されている。体重調整機構Mの詳細については後述する。
【0011】
一方、下部フレーム2の前部には下部磁石ホルダ12が螺着されており、この下部磁石ホルダ12に下部永久磁石14が、上部永久磁石8と同一磁極が対向するとともに傾斜した状態で取り付けられている。上部及び下部永久磁石8,14の端面は互いに平行に延在し、その反発力により上部フレーム4の持ち上げ力を発生している。
【0012】
リンク機構は、前部リンク機構及び後部リンク機構からなる。前部リンク機構は、サスペンションユニットSの両側に設けられた一対の平行リンク16,18を有し、リンク16,18の上端は、ベースプレート6に回動自在に取り付けられるとともに、リンク16,18の下端は、下部磁石ホルダ12に回動自在に取り付けられたシャフト20に取り付けられている。
【0013】
一方、後部リンク機構も、サスペンションユニットSの両側に設けられた一対の平行リンク22,24を有し、リンク22,24の上端は、シャフト26に取り付けられるとともに、リンク22,24の下端は、下部フレーム2に回動自在に取り付けられたシャフト28に取り付けられている。
【0014】
図2及び図4に示されるように、シャフト26の各端部は、上部フレーム4に穿設された円弧状開口部4a,4aに遊挿されるとともに、一対のレバー30,32の上端に回動自在に取り付けられており、レバー30,32の下端は、レバーシャフト34を介して上部フレーム4に回動自在に取り付けられている。
【0015】
リンク22,24の中間部には、レバー36,38の下端が回動自在に取り付けられており、レバー36,38の上端は、上部フレーム4に回動自在に取り付けられたシャフト40に固定されている。シャフト40の両端には、レバー42,44(44のみ図3に示す)の下端が回動自在に取り付けられており、レバー42,44の上端に立設されたレバーシャフト46,48(48のみ図3に示す)とシャフト26の両端はコネクトリンク50,52により互いに連結されている。
【0016】
また、シャフト26とシャフト40には、複数の金属ばね(例えば、コイルスプリング)54,…,54の両端が係止され、金属ばね54,…,54の引張力を上部フレーム4の持ち上げ力に利用している。なお、複数の金属ばね54,…,54の1本54aはシャフト26と体重調整機構Mの一部に係止されており、金属ばね54aの弾性力(引張力)を変化させることにより体重調整を行っている。この体重調整については後述する。
【0017】
上記構成のサスペンションユニットSは、上部及び下部磁石8,14により構成される磁気ばねのばね力と、複数の金属ばね54,…,54のばね力とが合成された非線形のバネ特性を持ち、振動源側からの入力を一定振幅に減衰させるとともに、減衰された振動をさらにリンク機構を利用して微小振動に変換し、吸収する。
【0018】
衝撃力が入力された場合や、振幅が増大する共振域においては、リンク機構のばね機能を超えて、下部フレーム2の両側に取り付けられたストッパラバー56,56や、上部磁石ホルダ10に取り付けられたストッパラバー58に直接作用し、衝撃力が減衰される。
なお、サスペンションユニットSは、本発明の主題ではないので、その詳細説明は省略する。
【0019】
次に、本発明にかかる体重調整機構Mにつき、図1及び図3を参照しながら以下説明する。
体重調整機構Mは、ベースプレート6に立設されたピン60に二つのブッシュ62,64を介して揺動自在に取り付けられた操作レバー66を有している。ピン60の上端は、プレート68の中央部に穿設された開口部68aに挿入されており、プレート68は、ベースプレート6に形成された凸部6aに接合されている。操作レバー66は、1枚の鉄板あるいは鋼板を成形したもので、中間部に形成された段部66aを境として、前方及び後方に高部66b及び低部66cがそれぞれ形成されている。
【0020】
操作レバー66の低部66cにおけるピン60より所定距離離間した部位には丸孔70が形成されており、この丸孔70に挿入されたボルト72は、ベースプレート6に穿設された円弧状ガイド孔6bに遊挿され、さらにナット74と螺合している。後述するように、ボルト72は円弧状ガイド孔6bに沿って移動するので、円弧状ガイド孔6bの曲率半径は、ボルト72の回転半径(ボルト72とピン60との距離)に等しく設定されている。
【0021】
丸孔70の後方には、ピン60とほぼ同一直線状に延びる長孔76が穿設されており、シャフト26に一端が係止された金属ばね54aの他端は、長孔76を介して操作レバー66の低部66cに係止されるとともに、円弧状ガイド孔6bに隣接してベースプレート6に穿設された長孔6cに遊挿されている。
【0022】
操作レバー66の先端には操作ノブ78が取り付けられ、段部66aと操作ノブ78の中間部にはロック部材80が回動自在に取り付けられたブラケット82が螺着されている。また、ロック部材80の両端にはV字状の凹部80a,80aが形成されており、ブラケット82の先端の折曲部82aには長孔80bが穿設されている。(図6乃至図9参照)。
【0023】
なお、操作レバー66は、ブラケット82の近傍の高部66bに形成された折曲部66dとベースプレート6の凸部6aとに両端が係止されたコイルスプリング84の弾性力により図1の矢印P方向に付勢されている。
【0024】
また、円弧状ガイド孔6bの外側から前方にかけて円弧状に延び、略L字状断面を有するガイド部材86がベースプレート6に螺着されており、図5に示されるように、ガイド部材86の前端側側壁86aには、ブラケット82に穿設された長孔80bと略同一形状の長孔86bが穿設されるとともに、その底壁86cには、底壁86cの一部を切り起こした突起86dが当接部材として形成されている。
【0025】
上記構成の体重調整機構Mの作動について、図6乃至図9を参照しながら説明する。
【0026】
ボルト72がベースプレート6の円弧状ガイド孔6bの後端部に位置し、金属ばね54aの弾性力によりコイルスプリング84が引っ張られたロック解除位置では、金属ばね54aはフリーの状態となり、サスペンションシートが上下しても金属ばね54aの弾性力は持ち上げ力に影響を及ぼさない。
【0027】
体重調整が必要な場合には、金属ばね54aの弾性力に抗して操作ノブ78を手前(矢印Q方向)に押圧すると、ボルト72が円弧状ガイド孔6bに沿って前方に移動するとともに、ロック部材80も円弧状ガイド部材86に沿って前方に移動する。
【0028】
図6の一点鎖線で示されるように、ロック部材80の角部の一つ(この角部を第1角部と称し、他の角部を時計廻りに第2角部、第3角部及び第4角部と称する)がガイド部材86の突起86dと当接すると、ロック部材80は矢印R方向に所定角度回転し、突起86dはロック部材80のV字状凹部80aの谷部に嵌入するとともに、ロック部材80の第3角部はガイド部材側壁86aの長孔86bに嵌入する。
【0029】
この時、操作ノブ78から手を離すと、金属ばね54aの弾性力により、図7に示されるように、操作レバー66が後方(矢印Qの逆方向)に移動し、ロック部材80の第3角部が長孔86bの後縁部86eと当接してロック部材80が矢印R方向に所定角度回転する。その結果、ロック部材80の第4角部がガイド部材側壁86aの内面と当接して、この位置(ロック位置)で、操作レバー66がロックされる。
【0030】
ロック位置では、金属ばね54aは所定の引張力(例えば、約7kg)を発現し、サスペンションシートが上下すると、上部フレーム4の持ち上げ力を発生するので、金属ばね1本分の体重調整(例えば、約25kg)が可能となる。
【0031】
操作レバー66のロック解除を行う必要がある場合には、図8に示されるように、操作ノブ78を矢印Q方向に押圧すると、ロック部材80の側部が突起86dと当接してロック部材80は矢印R方向に所定角度回転する。
【0032】
この状態で、操作ノブ78から手を離すと、金属ばね54aの弾性力により、図9に示されるように、操作レバー66が後方(矢印Qの逆方向)に移動し、ロック部材80の第4角部が長孔86bの後縁部86eと当接してロック部材80が矢印R方向に所定角度回転する。その結果、ロック部材80とガイド部材側壁86aとの係合が解除され、金属ばね54aの弾性力により操作レバー66はロック解除位置に向かって移動する。
【0033】
なお、操作レバー66がロック位置とロック解除位置との間を移動するに際し、操作レバー66の低部66cに係止された金属ばね54aの端部は、低部66c及びベースプレート6にそれぞれ穿設された長孔76,6cに沿って摺動する。
【0034】
【発明の効果】
本発明は、以上説明したように構成されているので、以下に記載されるような効果を奏する。
本発明のうちで請求項1に記載の発明によれば、リンク機構の一部に一端が係止された金属ばねの他端を操作部材に係止させることにより上部フレームの持ち上げ力を発生させるとともに、金属ばねの弾性力を変化させることにより体重調整を行うようにしたので、操作部材を揺動させるだけの簡単な操作で、体重調整を行うことができ、操作性に優れた簡素な構成の体重調整機構を提供することができる。
【0035】
また、ロック部材によりロックされたロック位置とロック解除されたロック解除位置との間で操作部材を揺動させ、ロック位置における上部フレームの持ち上げ力をロック解除位置における持ち上げ力よりも大きくしたので、操作部材を揺動させ、ロックあるいはロック解除をおこなうだけで体重調整を行うことができる。
【0036】
さらに、ロック部材を当接部材に当接させてロック部材を回転させることにより操作部材をロックするとともに、操作部材を再び当接部材に当接させてロック部材をさらに回転させることにより操作部材のロック解除を行うようにしたので、操作部材のロック及びロック解除の操作が極めて簡単で操作性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明にかかる体重調整機構を有するサスペンションユニットの斜視図である。
【図2】 図1のサスペンションユニットの一部を示す分解斜視図である。
【図3】 図1のサスペンションユニットの別の一部を示す分解斜視図である。
【図4】 図1のサスペンションユニットの他の一部を示す分解斜視図である。
【図5】 本発明にかかる体重調整機構の部分拡大斜視図である。
【図6】 図5の体重調整機構の部分断面平面図であり、操作ノブを操作して操作レバーをロックする場合の動作を示している。
【図7】 図5の体重調整機構の部分断面平面図であり、操作レバーのロック状態を示している。
【図8】 図5の体重調整機構の部分断面平面図であり、操作ノブを操作して操作レバーをロック解除する場合の動作を示している。
【図9】 図5の体重調整機構の部分断面平面図であり、ロック解除後の操作レバーの動作を示している。
【符号の説明】
2 下部フレーム
4 上部フレーム
6 ベースプレート
8 上部永久磁石
14 下部永久磁石
54,54a 金属ばね
60 ピン
66 操作レバー
72 ボルト
78 操作ノブ
80 ロック部材
86 ガイド部材
M 体重調整機構
S サスペンションユニット

Claims (1)

  1. 下部フレームと、該下部フレームに対しリンク機構を介して上下動自在に取り付けられた上部フレームとを有し、上部及び下部フレームに同一磁極が対向する永久磁石を取り付けたサスペンションシートにおいて、
    上記上部フレームに揺動自在に取り付けられた操作部材を有し、上記リンク機構の一部に一端が係止された金属ばねの他端を上記操作部材に係止させることにより上記上部フレームの持ち上げ力を発生させるとともに、上記金属ばねの弾性力を変化させることにより体重調整を行い、上記操作部材をロックするロック部材を上記操作部材に回動自在に取り付ける一方、上記上部フレームに当接部材を設け、上記ロック部材によりロックされたロック位置とロック解除されたロック解除位置との間で上記操作部材を揺動させ、ロック解除位置にある上記操作部材をロック位置に向かって揺動させ、上記ロック部材を上記当接部材に当接させて上記ロック部材を所定角度回転させることにより上記操作部材をロックするとともに、ロック位置にある上記操作部材のロック解除は、上記ロック部材をさらに上記当接部材に当接させて上記ロック部材を回転させることにより行い、ロック位置における上記上部フレームの持ち上げ力をロック解除位置における持ち上げ力よりも大きくしたサスペンションシートの体重調整機構。
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