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JP4535430B2 - 空気入りラジアルタイヤ - Google Patents

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JP4535430B2 JP2004174592A JP2004174592A JP4535430B2 JP 4535430 B2 JP4535430 B2 JP 4535430B2 JP 2004174592 A JP2004174592 A JP 2004174592A JP 2004174592 A JP2004174592 A JP 2004174592A JP 4535430 B2 JP4535430 B2 JP 4535430B2
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Description

本発明は、空気入りラジアルタイヤに関し、詳しくは、タイヤの耐久性を損なうことなく軽量化を達成した空気入りラジアルタイヤ、特には、乗用車用として好適な空気入りラジアルタイヤに関する。
近年、自動車の燃費を向上させるために、タイヤを軽量化する要求は益々高まってきている。従来の撚りスチールコードを用いるベルト部での軽量化を考える際、引張強度を一定以上確保することを前提とすると、スチールベルト層のゲージを薄くするしかない。
このような観点から、金属モノフィラメントを撚らずにベルト用コードとして使用する技術が開発され、これまでに種々提案がなされている。例えば、特許文献1では、燃費の向上および乗り心地の改良を目的として、金属線材(モノフィラメント)の3または4本を撚り合わせることなくベルトの幅方向に並べて引き揃えた束を単位としてゴムに埋設して成るベルトを備える空気入りラジアルタイヤが提案されている。また、特許文献2には、タイヤの軽量化ニーズに対応するためと、金属線の折れによる耐久性の低下等の不具合を解決するために、ベルト層が、金属モノフィラメントがベルトプライ幅方向に所定の条件下で並べられて被覆ゴム中に埋設されている3枚のベルトプライで構成されている空気入りラジアルタイヤが提案されている。
特開平11−208210号公報 特開2001−334810号公報
これまでに提案されているように金属モノフィラメントをベルトに使用しつつ金属モノフィラメント間のゲージを確保し、かつ、併せてベルト層間のゲージを適正に設計することで、タイヤの軽量化が可能となるが、その一方で、次のような問題があった。先ず、タイヤ径方向のコード間隔が密になるため、隣接コードからの亀裂進展が起き易いという問題である。次に、ベルト面内に占めるスチールコード使用量が大きいため、層間せん断歪みが増加するという問題である。このような問題がある結果として、ベルト端セパレーションは通常の撚りコードを使用した場合に比べ起こり易くなっていた。なお、コーティングゴムのゲージを増加させることで、ベルト端セパレーションは抑制されるが、当然、重量増となり、所期の目的であるタイヤの軽量化には背反することとなる。
そこで本発明の目的は、ベルト端セパレーションの発生を抑制し、ベルト耐久性の改善と、タイヤ重量の軽量化とを両立した空気入りラジアルタイヤを提供することにある。
本発明者は、金属モノフィラメントをベルト用コードとして適用した場合におけるベルト端セパレーションの発生状況に着目し、鋭意検討を行った。その結果、従来よりベルト層間のゴムゲージを厚くすることが耐久性向上に効果があるとの知見はあったものの、金属モノフィラメント適用ベルトにおいてベルト層間のゴムゲージを厚くした場合、従来の問題点であった隣接コードからの亀裂進展と、層間せん断歪みの大きなタイヤでのベルト端セパレーションに対し、極めて効果的であることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の空気入りラジアルタイヤは、左右一対のビードコア間に亙ってトロイド状をなして跨る少なくとも1枚のラジアルカーカス層からなるカーカスと、該カーカスのクラウン領域のタイヤ径方向外側に配設されて接地部を形成するトレッド部と、該トレッド部と前記カーカスのクラウン領域との間に配置されて補強部を形成する、少なくとも2枚のベルト層からなるベルトと、を備えた空気入りラジアルタイヤにおいて、
前記ベルトの1層目の第1ベルト層と2層目の第2ベルト層がともに、モノフィラメントコードがベルト幅方向に並置されてコーティングゴム中に埋設されてなり、第2ベルト層端部における第1ベルト層と第2ベルト層のモノフィラメントコード間のゴム層のゲージがタイヤ中央部における当該ゲージの1.39〜1.95倍であることを特徴とするものである。
本発明によれば、モノフィラメントコードをベルトに適用することでタイヤ重量の低減が可能となり、その一方で生じるベルト耐久性の懸念については、モノフィラメントコード間のゴム層のゲージを適正化することにより、ベルト端が起点となるベルト端歪が抑制され、ベルト端セパレーション発生を抑制することが可能となる。その結果、タイヤ重量の軽量化とベルト耐久性とを両立させることが可能となる。
本発明の実施形態を図面に基づき具体的に説明する。
図1に、本発明の一実施の形態に係るラジアルタイヤを示す。
図示するラジアルタイヤは、トレッド部1と、このトレッド部1の両側部に連続してタイヤ半径方向内方へ延びる一対のサイドウォール部2と、各サイドウォール部2の内周側に連続するビード部3とを備えている。
トレッド部1、サイドウォール部2およびビード部3は、一方のビード部3から他方のビード部3にわたってトロイダル状に延びる一枚のラジアルカーカス層からなるカーカス4により補強されている。また、トレッド部1は、以下で詳述する、カーカス4のクラウン部の外周側に配設した2層の第1ベルト層5aと第2ベルト層5bとにより補強されている。
ここで、カーカス4のラジアルカーカス層は複数枚としてもよく、タイヤ周方向に対してほぼ直交する方向、例えば70〜90°の角度で延びる有機繊維コードを好適に用いることができる。
本発明においては、1層目の第1ベルト層5aと2層目の第2ベルト層5bが、モノフィラメントコードがベルト幅方向に並置されてコーティングゴム中に埋設されてなる。モノフィラメントコードを並置するにあたり、複数本、好ましくは3〜4本を引き揃えた束を単位として、この束をコーティングゴム中に埋設することができる。ベルト端の幅方向断面を拡大して示す図2では、3本のモノフィラメントコード6が引き揃えられて束になってコーティングゴム8中に埋設されている。
第2ベルト層5b端部における第1ベルト層5aと第2ベルト層5bのモノフィラメントコード6間のゴム層のゲージHEは、タイヤ中央部における当該ゲージHCの1.3〜3.0倍、好ましくは1.8〜2.6倍である。薄ゲージでコーティングしたモノフィラメントコードに、ベルト端において厚ゲージのベルト間ゴムを適用することで、タイヤの軽量化とベルト耐久性を両立させることができる。この値が1.3倍未満であるとベルト端セパレーションの抑制が十分ではなく、一方、3.0倍を超えるとタイヤの軽量化が十分とはいえなくなる。
上記のように、ベルト端における第1ベルト層5aと第2ベルト層5bのモノフィラメントコード6間のゴム層のゲージHEをタイヤ中央部のゲージHCに比し厚くするには、第2ベルト層5b端部における第1ベルト層5aと第2ベルト層5bとの間にベルト間ゴム7を配設すればよい。ベルト間ゴム7の弾性率は、好ましくはベルトコーティングゴム8の弾性率の1.02〜2.0倍、特には1.1〜1.8倍とする。この弾性率の範囲内とするとき、ベルト端の歪が良好に抑制され、高次元にタイヤ重量の軽量化とベルト耐久性とを両立させることができる。
また、ベルト間ゴム7の正接損失tanδ(25℃)は、好ましくは0.20以下であり、特には、ベルトコーティングゴム8のtanδ(25℃)の0.85〜0.98倍である。ベルト間ゴム7として、このように低ロスのゴムを使用することにより、ベルト端の歪が抑制されるとともに、タイヤ温度の上昇が抑制される。
さらに、本発明においては、ベルト間ゴム7にビスマレイミドをゴム成分100重量部に対し0.5〜3.0配合することが好ましい。これにより弾性率を向上させながら、正接損失tanδ(25℃)を低く抑えることができる。ビスマレイミドとしては、下記の一般式(1)、
Figure 0004535430
(式中、Rは炭素数6〜18の芳香族基、または炭素数7〜24のアルキル芳香族基を表し、xおよびyは0〜3のいずれかの整数をそれぞれ独立に表す)で表されるビスマレイミドを好適に用いることができる。具体的には例えば、N,N′−1,2−フェニレンビスマレイミド、N,N′−1,3−フェニレンビスマレイミド、N,N′−1,4−フェニレンビスマレイミド、N,N’−(4,4’−ジフェニルメタン)ビスマレイミド、2,2−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン、ビス(3−エチル−5−メチル−4−マレイミドフェニル]メタン等を例示することができ、特に好ましいのは、N,N’−(4,4’−ジフェニルメタン)ビスマレイミドであり、ゴム配合中に、これらを1種以上含むことができる。
カーカス4側のベルト層である第1ベルト層5aおよび第2ベルト層5bは、そのコード打込み角度をタイヤ周方向に対して、好ましくは10°〜30°とし、かつ、第1ベルト層5aおよび第2ベルト層5bを互いに交錯させる。
本発明に適用し得るモノフィラメントコード6の径は、好ましくは0.17〜0.35mm、より好ましくは0.19〜0.27mmである。この径が0.17mm未満では、ベルトの剛性を確保するのが困難となり、一方、0.35mmを超えると、剛性が大きくなり過ぎ、乗り心地性が悪化する。また、モノフィラメントコード6の引張り強さは、好ましくは2700N/mm2以上である。高い抗張力を有するモノフィラメントコードとしては、少なくとも0.7質量%、好ましくは少なくとも0.8質量%の炭素を含有するものが望ましい。
本発明のラジアルタイヤはベルト構造の改良に係るものであり、その他の構造および材質は特に制限されるべきものではなく、既知の構造および材料を採用することができる。
以下、本発明を、実施例を用いて具体的に説明する。
下記表2に示す条件で、図1に示す2層のスチールベルトを備える構造の空気入りラジアルタイヤを作製した。タイヤサイズは185/70R14とし、第1ベルト層5aと第2ベルト層5bのモノフィラメントコード6の打込み角度はタイヤ周方向に対して夫々+22°および−22°とした。また、ベルト間ゴム7としては、下記表1に示す配合ゴムA、Bをそれぞれ用いた。得られた各実施例および比較例のタイヤを、比較例1を基準とした重量増加の度合いと、耐ベルトエンドセパレーション性(以下、耐BES性と称する)について評価した。その結果を、下記の表2および図3、4中に併せて示す。
(tanδ測定(25℃))
東洋精機社製スペクトロメータを用いて、幅5mm、厚さ2mm、長さ20mmの試験片につき、初期荷重150g、振動数50Hz、動的歪1%、温度25℃にて測定した。
(耐BES性の評価)
各供試タイヤをJATMAで規定する正規リムに組みつけ、220kPaの内圧を充填してテスト用乗用車に装着し、BESドラム上を、SF一定で横力をかけて走行させた後、タイヤを解剖してベルト層端部に発生している亀裂の長さを測定した。各供試タイヤの亀裂長さを、比較例1のタイヤの亀裂長さを100とした指数にて示した。この指数の値が小さいほど耐BES性が良好である。
Figure 0004535430
1)ナフテン酸コバルト
2)N,N’−ジシクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(大内新興化学工業(株)製、ノクセラ−DZ)
3)N,N’−(4,4’−ジフェニルメタン)ビスマレイミド
Figure 0004535430
4)スチールベルト層のゲージ(モノフィラメントコードのゲージとベルトコーティングゴムのゲージの総和)である。
5)ベルトコーティングゴムの弾性率またはtanδ(25℃)を100とした場合の指数値である。
6)比較例1をゼロとした場合の重量差を示す。
7)◎:大幅改良、○:改良、△:同等、×:悪化
上記表2に示すように、2層のベルト層に夫々モノフィラメントコードを適用すると共に第2ベルト層端部におけるモノフィラメントコード間のゴム層のゲージをタイヤ中央部における当該ゲージよりも所定の割合で厚くした実施例1〜4のタイヤにおいては、いずれも撚りコードを用いた比較例1のタイヤに比して、軽量化を図りつつ、耐BES性の向上が図られている。これに対し、ベルト間ゴム層間ゲージを厚くしたのみの比較例2のタイヤでは、耐BES性は向上したものの、重量増の弊害が生じている。また、ベルト間ゴム層間ゲージを厚くせずにモノフィラメントコードを適用した比較例3のタイヤでは、軽量化は図れたものの、耐BES性が低下していることが分かる。
本発明の一好適例の空気入りラジアルタイヤの断面図である。 ベルト層の端部近傍の拡大部分断面図である。 実施例における耐BES性と重量差との関係を示すグラフである。 実施例における耐BES性とベルト間ゴムゲージとの関係を示すグラフである。
符号の説明
1 トレッド部
2 サイドウォール部
3 ビード部
4 カーカス
5a 第1ベルト層
5b 第2ベルト層
6 モノフィラメントコード
7 ベルト間ゴム
8 ベルトコーティングゴム

Claims (7)

  1. 左右一対のビードコア間に亙ってトロイド状をなして跨る少なくとも1枚のラジアルカーカス層からなるカーカスと、該カーカスのクラウン領域のタイヤ径方向外側に配設されて接地部を形成するトレッド部と、該トレッド部と前記カーカスのクラウン領域との間に配置されて補強部を形成する、少なくとも2枚のベルト層からなるベルトと、を備えた空気入りラジアルタイヤにおいて、
    前記ベルトの1層目の第1ベルト層と2層目の第2ベルト層がともに、モノフィラメントコードがベルト幅方向に並置されてコーティングゴム中に埋設されてなり、第2ベルト層端部における第1ベルト層と第2ベルト層のモノフィラメントコード間のゴム層のゲージがタイヤ中央部における当該ゲージの1.39〜1.95倍であることを特徴とする空気入りラジアルタイヤ。
  2. 前記第2ベルト端における第1ベルト層と第2ベルト層との間にベルト間ゴムが配設され、該ベルト間ゴムの弾性率が前記コーティングゴムの弾性率の1.02〜2.0倍である請求項1記載の空気入りラジアルタイヤ。
  3. 前記ベルト間ゴムの弾性率が前記コーティングゴムの弾性率の1.1〜1.8倍である請求項2記載の空気入りラジアルタイヤ。
  4. 前記ベルト間ゴムのtanδ(25℃)が0.20以下である請求項2または3記載の空気入りラジアルタイヤ。
  5. 前記ベルト間ゴムのtanδ(25℃)が、前記ベルトコーティングゴムのtanδ(25℃)の0.85〜0.98倍である請求項2〜4のうちいずれか一項記載の空気入りラジアルタイヤ。
  6. 前記ベルト間ゴムにビスマレイミドがゴム成分100重量部に対し0.5〜3.0重量部配合されている請求項2〜5のうちいずれか一項記載の空気入りラジアルタイヤ。
  7. 前記モノフィラメントコードが、3〜4本にて引き揃えた束を単位としてベルト幅方向に並置されて前記コーティングゴム中に埋設されてなる請求項1〜6のうちいずれか一項記載の空気入りラジアルタイヤ。
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