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JP4525886B2 - 高圧放電ランプ、高圧放電ランプ点灯装置および照明装置 - Google Patents

高圧放電ランプ、高圧放電ランプ点灯装置および照明装置 Download PDF

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JP4525886B2
JP4525886B2 JP2001041769A JP2001041769A JP4525886B2 JP 4525886 B2 JP4525886 B2 JP 4525886B2 JP 2001041769 A JP2001041769 A JP 2001041769A JP 2001041769 A JP2001041769 A JP 2001041769A JP 4525886 B2 JP4525886 B2 JP 4525886B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、紫外線発生手段を備えた高圧放電ランプ、これを用いた高圧放電ランプ点灯装置および照明装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
メタルハライドランプは、水銀灯に較べて高効率であるとともに、高演色である。しかし、メタルハライドランプは、たとえば希土類金属などの発光金属のハロゲン化物を放電媒体として発光管内に封入しているため、その封入時に放電を妨げるHOといった不純物が混入しやすく、水銀灯に較べて始動しにくい。
【0003】
このような事情から、メタルハライドランプを始動するためには、イグナイタや点灯管などの始動補助手段を用いるのが一般的である。しかし、いずれにおいてもなるべく低い電圧で良好に始動することが望まれている。
【0004】
水銀灯安定器適合形のメタルハライドランプは、相対的に小形で安価な水銀灯安定器を用いて点灯でき、しかも水銀灯に較べて高効率であるとともに、高演色であることから、近時徐々に増加してきている。このタイプのメタルハライドランプにおいては、水銀灯安定器で始動するために、発光管を収納する外管の内部にグロースタータを発光管に対して並列的に接続してなる始動器を内蔵し、始動に際してグロースタータの動作によって水銀灯安定器から始動パルス電圧を発生させて、これを発光管に印加することによって始動するように構成している。しかし、グロースタータのスイッチ動作により安定器から発生する始動パルス電圧を印加するだけでは始動電圧が低くて、放電の遅れが短い始動のためには不十分であることから、初期電子源として147Pmなどの放射性同位元素を発光管内に封入することが知られている。ところが、放射性同位元素は、その管理および破棄などが容易でないという問題がある。
【0005】
一方、発光管に紫外線を照射すると、発光管内に光電効果により電子が発生して初期電子を供給するため、高圧放電ランプの始動性が向上することが従来から知られている。たとえば、特開平1−134848号公報には、紫外線源すなわち紫外線エンハンサを発光管に近接させて外管内に配置することが記載されている。この紫外線エンハンサは、ホウケイ酸ガラスまたは高シリカガラスからなる紫外光透過物質製の容器の内部に紫外線放射性の媒体を封入するとともに、一方の電極を封装してなり、たとえば紫外光透過物質製の容器の一部に容量結合された発光管の戻りリード線を他方の電極として、一対の電極間で高圧放電ランプの始動中に紫外線透過物質製の容器内で紫外線を発生させ、この紫外線を容器を透過させて外部へ導出し、発光管に照射して始動性を向上させている。(従来技術1)
また、特表平11−513182号公報には、セラミック材料から作られている壁を備えたUVエンハンサすなわち紫外線エンハンサを外管内に収納した高圧放電ランプが記載されている。(従来技術2)
従来技術2によれば、従来技術1より低い電圧でメタルハライドランプを始動できる旨記載されている。
【0006】
さらに、実公昭63−3086号公報には、グロースタータの内部に水銀を封入し、グロースタータの動作によって比較的低い始動パルス電圧を発生してメタルハライドランプを始動させるとともに、水銀蒸気放電によって紫外線を発生させ、この紫外線を発光管に照射して始動電圧を低下させることが記載されている。(従来技術3)
従来技術3を採用することによって、放射性同位元素に代えて、メタルハライドランプの始動補助を行わせることが意図されている。
【0007】
他方、発光管の放電容器に透光性セラミックスを用いることにより、高効率、高演色および長寿命な水銀灯安定器適合形のメタルハライドランプも開発されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記した従来技術1ないし3は、そのいずれも発光管の不特定部分に対して紫外線を照射して光電効果により発光管内に電子放出を行わせて初期電子を供給することを目指しているが、発光管の放電容器自体を光電効果により電子放出を行わせて初期電子を多量に供給しようとする点に対する着眼は未だなされていない。
【0009】
本発明は、少なくとも主要部が透光性セラミックスからなる放電容器を用いることにより、高効率、高演色および長寿命であるとともに、発光管の放電容器から光電効果による電子を放出させて多量の初期電子を供給することにより、放電開始電圧が低くて、しかも、放電遅れ時間が短い高圧放電ランプ、これを用いた高圧放電ランプ点灯装置および照明装置を提供することを目的とする。
【0010】
また、本発明は、水銀灯安定器適合形のメタルハライドランプに好適な高圧放電ランプおよびこれを用いた高圧放電ランプ点灯装置を提供することを他の目的とする。
【0011】
【課題を達成するための手段】
請求項1の発明の高圧放電ランプは、少なくともMgOおよびCaOのいずれか1種を含有する透光性セラミックスによって少なくとも主要部が構成されている放電容器、放電容器に封装された一対の電極、および放電容器内に封入された放電媒体を備えた発光管と;内部に発光管を収納した外管と;紫外線を透過し得るグロー放電容器、グロー放電容器内に封装され少なくとも一方がグロー放電による発生熱で変位して互いに接触し得る一対の電極、およびグロー放電容器内に封入されてグロー放電により紫外線を放射する放電媒体を備得たグロースタータを構成しているとともに、始動時に作動して発生した紫外線を発光管の放電容器に照射するように外管内に配設された紫外線発生手段と;を具備していることを特徴としている。
【0012】
本発明および以下の各発明において、特に指定しない限り用語の定義および技術的意味は次による。
【0013】
本発明の高圧放電ランプは、発光管、外管および紫外線発生手段を具備して構成されている。以下、各構成要件について分説する。
【0014】
<発光管について>
発光管は、少なくとも放電容器、一対の電極および放電媒体を含んで構成されている。
【0015】
(放電容器について)
放電容器は、少なくともその主要部が、少なくともMgOおよびCaOのいずれか1種を含有する透光性セラミックスによって構成されている。なお、MgOおよびCaOは、微量たとえば透光性セラミックス成分に対して1質量%以下でもよい。透光性セラミックスとしては、アルミナ、YAG、YOX、AlNなどの多結晶セラミックスまたは単結晶を用いることができる。アルミナセラミックスにおいて、MgOおよびCaOの少なくともいずれか一種は、これをアルミナセラミックスの結晶粒径を制御するための添加剤として用いているものでよい。この場合、MgOおよびCaOは、アルミナの結晶粒界に析出している。しかし、MgOおよびCaOは、透光性セラミックスの内部に、たとえば不純物として含有するなど、どのような形で含有されていてもよい。また、MgO、CaOまたはMgOおよびCaOを目的の如何にかかわらず含有していればよいし、さらに他の微量成分が並存していてもよい。
【0016】
また、放電容器の「主要部」とは、放電空間を包囲する包囲部の主としてアーク放電による発光を外部に導出する部分をいう。なお、包囲部は、円筒状、球状、回転楕円体状、紡錘状など所望の形状であることを許容する。
【0017】
さらに、放電容器は、両端封止および片端封止のいずれの構成であってもよい。
【0018】
(電極について)
電極は、放電容器の両端の一対の封止部または片端の単一の封止部に少なくとも一対が離間して封装され、主要部が放電容器の包囲部内に臨在している。
【0019】
また、要すれば、一方の主電極の近傍に補助電極を封装することができる。電極の構造は、特に限定されないが、一般的にはタングステンまたはドープドタングステンの軸とその先端部に巻装された同材質のコイルとによって構成される。
【0020】
(放電媒体について)
放電媒体は、少なくとも発光金属のハロゲン化物および希ガスを含んでいる。さらに好適には、水銀またはこれに代えてZn、Fe、Al、Snなどからなる金属の第2のハロゲン化物が主としてバッファガスとして放電媒体に含まれる。また、発光金属としては、Naと希土類金属たとえばDy、Scなどが用いられる。ハロゲンとしては、一般的にはIが用いられ、要すればさらに適量のBrが添加される。
【0021】
<外管について>
外管は、その内部に発光管などを気密に収納して発光管および短波長放射発生手段などを機械的に保護し、また発光管の作動温度を所望の範囲に維持する。そのために外管内は、必要に応じて排気されて真空ないし低圧または不活性ガスたとえば希ガスや窒素を封入することができる。外管は、適当な透光性、気密性、耐熱性および加工性を備えている材料たとえば硬質ガラスを用いて構成することができる。
【0022】
また、外管には放電容器および導入導体の封止のために用いているセラミックス封止用コンパウンドのシールとの相対的な熱的関係において、所定の条件を満足するようにその材料、封止構造およびサイズなどを設定する。
【0023】
さらに、外管を気密に封止する場合は、片封止および両端封止のいずれの構造をも所望により採用することができる。なお、「片封止」とは、外管の一端にのみピンチシールなどによる封止部が形成されていて、他端が封止部を形成しないで閉塞されている構造をいう。これに対して、「両端封止」とは、外管の両端にピンチシールなどによる封止部が形成されている構造をいう。
【0024】
さらにまた、外管には電源の供給を受けるとともに、高圧放電ランプを支持するためのねじ口金などの口金を封止端側に装着することができる。
【0025】
<紫外線発生手段について>
紫外線発生手段は、高圧放電ランプの始動時に作動して紫外線を発生生した紫外線を発光管に照射するように外管内に配設されている。なお、「紫外線」とは、好ましくは波長300nm以下の紫外線である。本発明において、紫外線発生手段、たとえば波長300nmにおける透過率が15%以上の放電容器を備えたグロースタータ用いるもので、により、所要量の紫外線を発光管に照射できるように、紫外線を発生することができる。
【0026】
紫外線発生手段としてグロースタータ、そのグロー放電容器内に封入される放電媒体がグロー放電時に紫外線を発生するようなものでなけれならない。また、グロー放電容器は、発光管を照射するのに有効な紫外線の波長範囲の少なくとも一部領域に対して透過性でなければならない。さらに、少なくとも一方がグロー放電による発生熱で変位して互いに接触し得る一対の電極をグロー放電容器内に封装して具備している。
【0027】
次に、紫外線発生手段は、高圧放電ランプの始動時に作動するように配設するために、好ましくは発光管と並列的に接続される。いったん高圧放電ランプが始動して点灯した後には、紫外線を継続する必要がないので、紫外線発生手段の動作を停止させる方がよい。その停止を確実に行わせるために、たとえば発光管からの発生熱に応動して開路するバイメタルスイッチなどの熱応動スイッチを紫外線発生手段と直列に挿入することができる。しかし、発光管の両端電圧は、いったん点灯すると、大幅に低下するので、紫外線発生手段を発光管に対して並列接続するだけでもよい。
【0028】
また、紫外線発生手段は、発生した紫外線が有効に発光管を照射する一方、発光管から放射する可視光の配光特性を不所望に乱さないような位置、すなわち発光管に対して適切な方向および距離離間して配置する。そして、所定の位置に紫外線発生手段を定置するには、金属バンドや金属線を紫外線発生手段の放電容器の周囲に巻き付けて発光管の支持枠に固定したり、紫外線発生手段および金属バンドや金属線をさらにセラミックス基板に固定し、セラミックス基板を介して支持枠に固定したりすることができる。なお、上記の適切な距離は、紫外線発生手段の放電容器から透過する紫外線量の多寡により変化する。十分な量の紫外線が透過されるのであれば、紫外線発生手段を発光管から10cm程度離間させても、光電効果によって発光管の放電容器の壁面から所要の電子を放出させることができる。
【0029】
本発明においては、グロースタータのスイッチ動作に伴って安定器から発生する始動パルス電圧が発光管に対して印加されるとともに、紫外線を発光管に照射することによって透光性セラミックスの壁面から多量に放出される電子が初期電子として供給されることにより、高圧放電ランプの始動電圧が大幅に低減するとともに、放電遅れ時間が著しく短縮するため、始動性が向上する。以下、グロースタータの構成要素について分説する。
【0030】
(グロー放電容器について)
グロー放電容器は、放電媒体のグロー放電により発生する紫外線、好適には波長300nm以下の紫外線、を実質的に透過し得るとともに、耐火性および気密性を備えた材料であって、好ましくは可視光透過性であれば、どのようなものであってもよい。なお、波長300nm以下の紫外線を実質的に透過し得るためには、波長300nmの紫外線を15%以上透過すればよい。すなわち、波長300nmの紫外線の透過率が15%以上であれば、波長300nm以下の紫外線がグロー放電容器を透過して、発光管を照射することで光電効果により、発光管の放電容器の主要部を構成する透光性セラミックスから多くの電子が放出され、これらの電子が初期電子として供給されて高圧放電ランプの始動を容易にする。なお、上記の光学特性を有する材料が軟質ガラスである場合には、比較的製造が容易で安価に得ることができる。さらに、波長300nmの紫外線の透過率が、好ましくは20%以上、最適には40%以上であると、グロー放電容器を透過する紫外線の量が多くなるので、高圧放電ランプの始動が一層容易になるとともに、発光管からの離間距離を相対的に大きくすることができる。したがって、たとえば配光特性を低下させないためなどに対する高圧放電ランプ内におけるグロースタータの配置の自由度が大幅に増加する。また、「可視光透過性」とは、利用しようとする波長の可視光に対して実質的な透過率を有していることを意味し、したがって必ずしも一般的な可視光の波長域である380〜780nmの全域にわたって実質的に透過しなければならないというようなものではない。
【0031】
次に、上記のような所要の光学的特性を備えたグロー放電容器用の材料の一例を以下に示す。すなわち、組成を特別に調整した軟質ガラス、ハイシリカガラス、石英ガラスおよび透光性セラミックスなどである。組成を特別に調整した軟質ガラスとしては、たとえばNa O・CaO・5SiOを主成分とした組成を有するソーダライムガラスが好適し、Al 、MgO、K Oなどの副成分を含むことができる。しかし、Fe などの不純物成分を少なく、たとえばFe を0.001質量%以下にすれば、十分な紫外線透過性を示す。実用的には、Fe は0.01質量%程度であってもよい。さらに、20ppm程度にまで低減すれば、紫外線透過性は極めて良好になる。また、PbO成分も紫外線透過性を阻害するので、実質的に含まないようにするとよい。
【0032】
(一対の電極について)
一対の電極は、グロー放電容器内に封装されていて、少なくとも一方がグロー放電による発生熱で変位して互いに接触し得るように構成されている。電極がグロー放電の発生熱で変位するように構成するためには、たとえば変位部分にバイメタルを用いることができる。
【0033】
また、一対の電極は、グロー放電の持続時間がなるべく短くなるような適当な電極間距離に設定する。
【0034】
さらに、一対の電極を所定の電極間距離を保持してグロー放電容器内の所定の位置に封装するために、ステムを用いて予め所定の電極間距離に組み立てたマウントを使用することができる。ステムは、フレアステム、ビードステムなど適宜用いることができる。
【0035】
さらにまた、BaOなどの2次電子放出性の電子放射性物質およびまたはBa、Laなどの電極活性剤を必要に応じて電極の表面に被着させることができる。
【0036】
(放電媒体について)
放電媒体は、グロー放電により紫外線、好ましくは波長300nm以下を含む紫外線を放射する希ガスまたは希ガスおよび水銀を主体とするもので、放電容器内に封入される。なお、「少なくとも波長300nm以下を含む紫外線」とは、波長300nm以下の紫外線を含んでいれば、波長300nm超の波長域の紫外線を含んでいてもよいし、波長300nm以下の紫外線のみであってもよいという意味である。
【0037】
また、希ガスとしては、一般的にはアルゴンを用いるのが好適であるが、グロー放電電流を増加させる目的でアルゴンに水素またはプロパンなどの有機ガスなどを混合することができる。あるいは、アルゴンにネオンを加えた混合ガスにより、ペニング効果を利用することもできる。
【0038】
放電媒体がアルゴンを含む希ガスを主体としている場合、アルゴンは、波長300nm以下の紫外線としてアルゴンイオンスペクトルであるところの296nmを主として放射する。この波長域の紫外線は、グロー放電容器を実質的に透過して、高圧放電ランプの発光管内の透光性セラミックスや電極などに照射されると、電極などを構成するタングステンの仕事函数は4.55eVであるから、光電効果により電子を放出する。また、前述したように発光管の透光性セラミックスから光電効果により電子を放出する。さらに加えて、波長296nmの紫外線が発光管内の放電媒体のアルゴンを照射すると、アルゴンは共鳴により励起される。このため、発光管内が非常に放電しやすくなり、高圧放電ランプの始動性を一層向上させる。このため、高圧放電ランプ始動用のグロースタータにおいて、アルゴンを含む希ガスを主体とする放電媒体は、波長300nm以下の紫外線発生源として甚だ効果的である。これに対して、水銀蒸気によって発生する紫外線は、波長がアルゴンの波長と一致しないため発光管内のアルゴンを励起することができない。
【0039】
<その他の構成について>
以上説明した構成に対して、必要に応じて以下に示す各構成を選択的に付加することができる。
【0040】
1.安価な安定器に適合させる構成について
高圧放電ランプがメタルハライドランプであって、水銀灯安定器のように相対的に安価な安定器に適合するように構成することができる。そのためには、ランプ力率をある程度高い値にする必要がある。これは、上記のように二次電圧をあまり高くしない安定器は、一般に小形ではあるが、寿命中のアーク立ち消えの懸念があり、これを克服するためである。ランプ力率を高くするには、たとえば放電媒体の発光金属にSc−Naを主成分として用いることにより実現可能になる。また、紫外線発生手段として高圧放電ランプ始動用に構成したグロースタータを用いるのがよい。
【0041】
2.専用安定器点灯形の構成について
高圧放電ランプがメタルハライドランプであって、ランプ電圧が高い従来の専用安定器点灯形に構成する場合は、発光金属はSc−Na以外であってもよい。したがって、発光金属として一般的には希土類金属およびNaを用いることができる。
【0042】
3.紫外線発生手段のその他の構成について
(1)ケースについて
機械的に保護したり、高圧放電ランプの外管内の所定の位置に支持したりするために、所望によりグロースタータをケースに収納することができる。ただし、放電媒体のグロー放電によって生じた紫外線を外部に導出できるように窓や孔隙などを配設するなどの適当な手段を講じる必要がある。
【0043】
(2)支持手段について
放電容器を金属のバンド材や線材により抱持することにより、グロースタータを高圧放電ランプ内の所定の位置に支持しやすくなる。ただし、放電媒体のグロー放電によって放射された紫外線を外部に導出できるように構成されている必要がある。
【0044】
<本発明の作用について>
本発明においては、MgOを含有している透光性セラミックスによって発光管の放電容器の主要部を構成することにより、紫外線発生手段から紫外線が放電容器にその外部から照射されると、驚くべきことに放電容器を構成している透光性セラミックスの壁面から多くの電子が光電効果により放電容器の内部に放出されることが分かった。そのため、放出された電子が初期電子として供給されて、高圧放電ランプの迅速な始動が容易になり、したがって始動電圧が低減するとともに、放電遅れ時間が短縮する。また、CaOを含有している透光性セラミックスの場合においても、上記と同様の顕著な効果が認められた。
【0045】
これに対して、MgOおよびCaOのいずれか一種に代えてLaを含有する透光性アルミナセラミックスの場合には、上記のような顕著な作用が得られなかった。
【0046】
また、本発明においては、発光管の放電容器の少なくとも主要部が透光性セラミックスにより構成しているため、高効率、高演色および長寿命の高圧放電ランプを得ることができる。
【0047】
さらに、本発明においては、高圧放電ランプの始動時に紫外線発生手段であるグロースタータに対して安定器の二次開放電圧が印加されると、グロー放電容器内において、一対の電極間にグロー放電が生起する。そして、グロー放電に伴なって発生した熱により一対の電極が加熱されて、その少なくとも一方が変位するので、やがて一対の電極が接触する。このとき、電源から安定器を介してグロースタータの電極間に電流が流れる。しかし、一対の電極の接触によりグロー放電が停止し、熱の発生がなくなるので、一対の電極が冷却しだすのに伴なって、変位がなくなる方向の力が生じて元に戻ろうとする動きが生じる。やがて、一対の電極は速動的に解離するので、流れていた電流が遮断される。その際に、安定器内において逆起電力による始動パルス電圧が発生し、これが高圧放電ランプの電極間に印加されるので、高圧放電ランプは始動しやすくなる。
【0048】
以上の動作に加えて、グロー放電容器内にグロー放電が発生すると、放電媒体から紫外線が放射される。そして、紫外線がグロー放電容器を実質的に透過するので、グロー放電容器を透過した紫外線が発光管の放電容器の主要部を構成している透光性セラミックスの少なくとも一部を照射する位置に高圧放電ランプ始動用のグロースタータを配置しておけば、発光管内には光電効果によって透光性セラミックスおよび電極などから電子が放出される。そして、放出された電子が初期電子として供給されるため、高圧放電ランプは、始動パルス電圧の印加と相まって極めて始動しやすくなる。すなわち、紫外線発生手段としてグロースタータを用いることにより、高圧放電ランプの始動性が著しく向上して、始動電圧が低減するとともに、放電遅れ時間が短縮する。
【0049】
また、グロー放電容器を波長300nm以下の紫外線を透過し得る軟質ガラスを用いて形成する場合には、ガラスを相対的に安価に入手できる。また、従来、一般に使用されている高圧放電ランプ始動用のグロースタータの製造設備および製造方法を基本的な変更なしに使用して製造することができる。このため、高圧放電ランプ始動用グロースタータを安価に供給することができる。
【0050】
請求項の発明の高圧放電ランプは、少なくともMgOおよびCaOのいずれか1種を含有する透光性セラミックスによって少なくとも主要部が構成されている放電容器、放電容器に封装された一対の電極、および放電容器内に封入された放電媒体を備えた発光管と;内部に発光管を収納した外管と;紫外線を透過し得るグロー放電容器、少なくとも一方がグロー放電容器内に封装された一対の電極、およびグロー放電容器内に封入されてグロー放電により紫外線を放射する放電媒体を具備した紫外線エンハンサを構成しているとともに、始動時に作動して発生した紫外線を発光管の放電容器に照射するように外管内に配設された紫外線発生手段と;を具備していることを特徴としている。
【0051】
本発明において、請求項1の発明の高圧放電ランプと同一の構成部分については、請求項1の発明についての前記記載を援用する。
【0052】
紫外線エンハンサは、紫外線透過性のグロー放電容器内に紫外線放射性の放電媒体たとえば希ガスを封入するとともに、一対の電極により当該グロー放電容器内に放電を生起して紫外線を発生する。また、要すれば、紫外線エンハンサとして従来技術1および2に記載されている構成を採用することができる。
【0053】
すなわち、紫外線発生手段を構成する紫外線エンハンサは、グロー放電容器、グロー放電容器内部に封装された少なくとも一つの電極および放電媒体を備えているので、以下各構成要素についてさらに説明する。
【0054】
グロー放電容器は、紫外線に対して透過性であればどのような材料であってもよく、たとえば石英ガラス、ハイシリケートガラス、紫外線透過性の軟質ガラス、透光性セラミックスなどを用いることができる。
【0055】
一対の電極は、その少なくとも一方の電極がグロー放電容器内に封装される。したがって、一対の電極がともにグロー放電容器の内部に適当な距離を隔てて封装されていてもよい。また、一方の電極のみが封装されていてもよい。後者の構成においては、他方の電極は、放電容器の外部に配設されて、グロー放電容器と容量結合していてもよい。したがって、他方の電極は、高圧放電ランプの外管内において、グロー放電容器の近傍に位置する発光管に接続する導体たとえば枠形導体が兼用することができる。
【0056】
そうして、本発明においては、請求項1の発明の作用(グロースタータに関する記載を除く)に加えて、紫外線発生手段として紫外線エンハンサを用いることにより、始動電圧が低減し、かつ、放電遅れ時間が短縮するとともに、紫外線発生手段の構造がグロースタータに比較して簡単なので、高圧放電ランプを相対的に安価にすることが可能になる。
【0057】
請求項の発明の高圧放電ランプ点灯装置は、請求項1または2記載の高圧放電ランプと;定格電圧が100Vで、かつ二次電圧が200〜220Vであるか、あるいは定格電圧が200Vであり、交流電源および高圧放電ランプの間に直列に介在して、高圧放電ランプを安定に点灯する安定器と;を具備していることを特徴としている。
【0058】
本発明は、水銀灯安定器のように相対的に安価な安定器に適合するように構成された高圧放電ランプと、これを点灯する水銀灯安定器のように安価な安定器とによって構成される高圧放電ランプ点灯装置を規定している。
【0059】
本発明において、「二次電圧」とは、出力端間に高圧放電ランプを接続しないで安定器の入力端間に定格電圧を印加したときに、出力端間に現れる出力電圧をいう。また、「定格電圧」とは、安定器の入力端間に印加すべき入力電圧の定格値をいう。
【0060】
一方、周知のように高圧放電ランプ用の安定器には、チョークコイル形と漏れ変圧器形とがある。そして、前者はチョークコイルを主体とする構成なので、二次電圧は定格電圧と同じになる。このため、定格電圧が200Vの場合に採用される。これに対して、後者は漏れ変圧器を主体とする構成なので、昇圧作用により定格電圧より高い200〜220Vの二次電圧を得ることが可能である。このため、定格電圧が100Vの場合に採用される。
【0061】
そうして、本発明においては、水銀灯安定器のように安価な安定器を用いて高圧放電ランプを安定に点灯することができるので、高ランプ効率の高圧放電ランプ点灯装置を低いトータルコストで得ることができる。
【0062】
請求項の発明の照明装置は、照明装置本体と;照明装置本体に配設された請求項1または2記載の高圧放電ランプと;交流電源および高圧放電ランプの間に直列に介在して、高圧放電ランプを安定に点灯する安定器と;を具備していることを特徴としている。
【0063】
本発明において、照明装置は、高圧放電ランプの発光を何らかの目的で用いるあらゆる装置を含む広い概念である。たとえば、照明器具、画像投射装置、光化学装置などに適用することができる。
【0064】
「照明装置本体」とは、上記照明装置から高圧放電ランプを除いた残余の部分をいう。
【0065】
なお、照明装置が照明器具である場合においては、その照明装置本体に安定器およびランプソケットを備えていて、そのランプソケットに高圧放電ランプを装着するようにした構成にすることができる。しかし、安定器は、照明器具から離間した位置に別置きにすることもできる。
【0066】
また、本発明において、安定器は、水銀灯安定器および専用形安定器のいずれであってもよい。水銀灯安定器の場合には、高圧放電ランプを水銀灯安定器に適合するように構成するものとする。
【0067】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0068】
図1は、本発明の高圧放電ランプの第1の実施形態としてのメタルハライドランプを示す正面図である。
【0069】
図2は、同じく発光管を示す拡大縦断面図である。
【0070】
図3は、同じく紫外線発生手段を示す拡大要部断面正面図である。
【0071】
本実施形態は、紫外線発生手段がグロースタータによって構成されている。すなわち、高圧放電ランプHPLは、発光管11、外管12、口金13、支持構体14、接続導体15、始動器16、始動補助導体17およびゲッタ18を備えて構成されている。
【0072】
<発光管11について>
発光管11は、図2に示すように、放電容器11a、一対の電極11b、11b、給電導体11c、シール部11dおよび放電媒体からなる。
【0073】
放電容器11aは、透光性アルミナセラミックスからなり、包囲部11a1および一対の小径筒部11a2、11a2を一体的に備えている。包囲部11a1は、外径14mm、肉厚1.1mmの円筒部の両端に円盤状の端板を焼き嵌めした構造であり、内部に放電空間が形成される。一対の小径筒部11a2、11a2は、外径2.6mm、肉厚0.8mmであり、包囲部11a1の端板に焼き嵌めすることにより包囲部11a1に一体化され、内部に包囲部11a1の内部に連通する小径の貫通孔が形成されている。そうして、放電容器11aは、全長が60mmである。透光性アルミナセラミックスには、MgOが0.3質量%添加されていて、しかも、MgOは結晶粒界に析出している構成のものである。
【0074】
一対の電極11b、11bは、それぞれ軸部11b1、先端コイル部11b2および中間コイル部11b3からなる。軸部11b1は、直径0.3mmの細長いタングステン棒からなり、その基端部および中間部が小径筒部11a2内の貫通孔内に挿通され、先端が包囲部11a1内に突出している。先端コイル部11b2は、直径0.2mmのタングステン線を軸部11b1の先端部に6ターン密巻きして構成されている。中間コイル部11b3は、直径0.2mmのタングステン線を、小径筒部11a2内の貫通孔内において、軸部11b1の中間部から基端部に向けて25ターン巻装して構成されている。そうして、中間コイル部11b3と小径筒部11a2の内面との間にわずかな隙間すなわちキャピラリーが形成されている。そして、電極の基端部は、給電導体11cの先端にTIG溶接により接続している。
【0075】
給電導体11cは、直径0.9mmのニオブ棒からなり、基端部を残して放電容器11aの小径筒部11a2の貫通孔に挿入され、シール11dにより小径筒部11a2に封着されている。そして、給電導体11cの基端部は、発光管11の外部に露出して、後述するように電極11b、11bへの給電および発光管11の機械的支持に寄与する。
【0076】
シール11dは、セラミックス封止用コンパウンドを加熱することにより、セラミックス封止用コンパウンドの溶融体が放電容器11aの小径筒部11a2の貫通孔と給電導体11cとの間に進入し、さらに小径筒部11a2の貫通孔内に挿入されている給電導体11cの先端部および電極11bの基端部までを包囲した状態おいて、冷却して固化することによって形成されている。これにより、シール11dは、放電容器11aを封止するとともに、電極11bを給電導体11cを介して支持し、かつ、固定することによって電極11bを封装するとともに、給電導体11cの小径筒部11a2内に挿入された部分が放電空間内に露出しないように被覆する。
【0077】
放電媒体は、発光金属のハロゲン化物として、たとえばNa、Tl、Dy、Inのヨウ化物と、水銀およびアルゴンとからなる。
【0078】
<外管12について>
外管12は、硬質ガラスからなり、中央部に紡錘状の膨出部、上端にネック部、下端に短円筒状の頭部を有するBT形の形状をなしていて、ネック部にフレアステム12aを封着して備えている。フレアステム12aは、一対の導入線12a1、12a2を気密に導入している。
【0079】
<口金13について>
口金3は、E39形口金であり、外管2のネック部に固着され、外管12から外部へ露出した一対の導入線12a1、12a2の一方がシェル部に、他方がセンターコンタクトに、それぞれ接続している。
【0080】
<支持構体14について>
支持構体14は、枠形導体14a、第1のブリッジ導体14b、絶縁子14c、14d、第1の金属バンド14e、第2のブリッジ導体14f、第2の金属バンド14gおよびスプリング片14hからなる。
【0081】
枠形導体14aは、縦長のロ字状をなしていて、フレアステム12aに封着されている導入線12a1に、その上部が溶接されることによって電気的に接続し、かつ、機械的に支持されている。そして、枠形導体14aの内部に発光管11が位置している。
【0082】
第1のブリッジ導体14bは、その両端が絶縁子14c、14dを介して枠形導体14aのやや上部部分に絶縁して掛け渡されていて、中央部が上方へ湾曲している。
【0083】
第1の金属バンド14eは、その中間部で発光管11の上部の給電導体11cを溶接により挟持し、両端を第1のブリッジ導体14bに溶接している。これにより発光管11の上部は、支持構体14に支持されている。
【0084】
第2のブリッジ導体14fは、その両端が枠形導体14aの下部部分に直接溶接されることによって掛け渡されていて、中央部が下方へ湾曲している。
【0085】
第2の金属バンド14gは、その中間部で発光管11の上部の給電導体11cを溶接により挟持し、両端を第1のブリッジ導体14bに溶接している。これにより発光管11の下部は、支持構体14に支持されている。
【0086】
スプリング片14hは、その一対が枠形導体14aの下端部の両側に溶接され、外管12の下端にある短円筒状の頭部の内面に弾性的に接触している。これにより、枠形導体14aの下端部が外管12に対して支持されている。
【0087】
<接続導体15について>
接続導体15は、リボン状導体からなり、導入線12a2と第1のブリッジ導体14bとの間を接続している。これにより、導入線12a2は、接続導体15、第1のブリッジ導体14bおよび第1の金属バンド14eを介して発光管11の上部の給電導体11cに接続する。なお、導入線12a1は、枠形導体14a、第2のブリッジ導体14fおよび金属バンド14gを介して発光管11の下部の給電導体11cに接続する。
【0088】
<始動器16について>
始動器16は、紫外線発生手段16aとしてグロースタータ、バイメタル接点16b、接続導体16c、16d、16e、セラミックス基板16fおよび金属リング16gを備えて構成されている。
【0089】
(紫外線発生手段16aについて)
紫外線発生手段16aは、図3に示すように、グロー放電容器1、一対の電極2、2、放電媒体、外部導入線3、4を備えて構成されている。
【0090】
グロー放電容器1は、Feを少なくして希ガス放電による波長300nm以下の紫外線を実質的に透過する軟質ガラスからなり、T形バルブ1aおよびフレアステム1bを封着して製作されている。すなわち、T形バルブ1aは、一端が開口し、他端が閉鎖している。フレアステム1bは、ピンチシール部1b1、フレア部1b2、細管1b3および内部導入線1b4を備えている。ピンチシール部1b1およびフレア部1b2とは、上記軟質ガラスにより一体に形成されている。細管1b3は、ピンチシール部1b1の基部にガラス溶着され、グロー放電容器1内に連通している。そして、グロー放電容器1内を排気し、放電媒体をグロー放電容器1内に封入するのに用いられ、封入後にフレアステム1bから外部に突出している部分で封止切られている。そうして、フレアステム1bのフレア部分とT形バルブ1aの開口端とを加熱溶融して封着することにより、グロー放電容器1が形成されている。内部導入線1b4は、その一対が互いに離間した状態でピンチシール部1b1内に封着されたジュメット線(図示しない。)に接続して、グロー放電容器1内に突出している。
【0091】
一対の電極2、2は、バイメタル板からなり、基端がフレアステム1bの内部導入線1b4の先端に溶接されて、互いに離間対向しているが、加熱されたときに互いに接近する方向に偏倚して接触する。
【0092】
グロー放電容器1内には、放電媒体としてアルゴンが封入されている。
【0093】
外部導入線3、4は、その一対が互いに離間した状態でグロー放電容器1のピンチシール部1b1内に封止されたジュメット線に接続して、グロー放電容器1から外部へ突出している。そして、外部導入線3は枠形導体14aに接続され、外部導入線4は接続導体16cに接続されている。
【0094】
(バイメタル接点16bについて)
バイメタル接点16bは、その基端が接続導体16cに溶接され、自由端が接続導体16dに接離する。
【0095】
(接続導体16c、16d、16eについて)
接続導体16c、16d、16eは、セラミックス基板16fに互いに絶縁関係に固着されている。接続導体16dは、さらに第1のブリッジ導体14bに溶接されている。接続導体16eは、さらに枠形導体14aに溶接されている。
【0096】
(セラミックス基板16fについて)
セラミックス基板16fは、その板面が外管12の管軸に直交するように配設され、接続導体16eおよび16dにより支持構体14に支持されている。
【0097】
(金属リング16gについて)
金属リング16gは、枠形導体14aに溶接されるとともに、紫外線発生手段16aを包持している。
【0098】
<始動補助導体17について>
始動補助導体17は、発光管11の始動を補助するために配設されている。すなわち、発光管11は、前述のように一対の電極を備えていて、補助電極を備えていないが、始動補助導体17を備えている。始動補助導体17は、金属細線からなり、図において上端が枠形導体14aに溶接され、中間が放電容器11aの上側の小径筒部11a2に2回巻き付けてから包囲部11a1の図1における右側に接近して下方へ延在し、さらに先端が下側の小径筒部11a2に1回巻き付けて固定されている。
【0099】
<ゲッタ18について>
ゲッタ18は、外管12内を清浄化するもので、枠形導体14aの下部に溶接されている。
【0100】
図4は、本発明の高圧放電ランプの第1の実施形態における内部の電気接続および本発明の高圧放電ランプ点灯装置の一実施形態を示す回路図である。
【0101】
図において、ASは低周波交流電源、Bは水銀灯安定器である。なお、図1と同一部分については同一符号を付して説明は省略する。
【0102】
高圧放電ランプHPLは、水銀灯安定器Bを介して低周波交流電源ASに接続している。
【0103】
始動器16は、紫外線発生手段16aおよび常開形のバイメタル接点16bの直列回路からなり、高圧放電ランプHPLの内部において、発光管11と並列に接続されている。常開形のバイメタル接点16bは、冷却時に閉路し、温度上昇時に開路する。
【0104】
また、始動補助導体17の基端が図において下側の電極11bに接続し、中間が発光管11の包囲部11a1に近接し、先端が上側の電極11b側において、小径筒部11a2の周囲に2ターン巻回されている。
【0105】
図5は、本発明の高圧放電ランプの第1の実施形態および比較例における発光管の光照射の有無に対する初期電子供給の程度を測定した結果を示すラウエプロットである。
【0106】
なお、比較例は、Laをアルミナセラミックスに対して3質量%添加した透光性セラミックスを用いて放電容器を形成している以外は、本実施形態と同一仕様である。測定は、25℃の暗黒中で発光管に光照射をした場合および光照射をしない場合に対して放電遅れ時間および不点確率について行った。光照射は、75Wのハロゲン電球を1/10に減光して50mmの距離から発光管の中心部において、直径10mmの範囲の面積に対して行った。また、発光管の一対の電極間には3kVの低周波交流電圧を印加した。
【0107】
図において、横軸は放電遅れ時間(秒)を、縦軸は不点確率(%)を、それぞれ示す。また、直線Aは本実施形態で光照射をした場合であり、PQ値が52である。直線Bは同じく光照射しない場合であり、PQ値が10.9である。これに対して、直線Cは、比較例で光照射をした場合であり、PQ値が7.6である。直線Dは、同じく光照射をしない場合であり、PQ値が7.4である。
【0108】
図中の各直線の勾配は、初期電子数Qと放電確率Pとの積PQに比例しており、また不点確率が1/eになった時点での放電遅れ時間の逆数がPQとなる。ここで、放電確率Pは、その高圧放電ランプの最小放電開始電圧Vminの2倍以上でほぼ1になることから、高圧放電ランプの最小放電開始電圧Vminの2倍以上として求めた図の直線の勾配は、初期電子数を表す。
【0109】
図から理解できるように、直線C、Dに示す比較例は、光照射の有無で初期電子数に殆ど差が認められないとともに、放電遅れ時間が長い。これに対して、本発明においては、光照射により初期電子数が約10倍に増加するとともに、放電遅れ時間が短い。
【0110】
次に、図6ないし図9を参照して、本発明の高圧放電ランプの第1の実施形態および比較例の放電開始電圧および放電遅れ時間についての測定結果を対比しながら説明する。なお、いずれの図面においても、100回繰り返し測定した結果のばらつきの分布を示している。
【0111】
図6は、本発明の高圧放電ランプの第1の実施形態における放電開始電圧の測定値の分布を示すグラフである。
【0112】
図7は、比較例における放電開始電圧の測定値の分布を示すグラフである。
【0113】
本実施形態の場合、始動電圧は概ね696Vであり、しかも、ばらつきが極めて小さい。これに対して、比較例は、952Vを中心として、その前後に30V近くもばらついている。このことから、本発明においては、始動電圧が比較例に対して約30%低いばかりでなく、しかも、そのばらつきが小さいことが理解できる。
【0114】
図8は、本発明の高圧放電ランプの第1の実施形態における放電遅れ時間の測定値の分布を示すグラフである。
【0115】
図9は、比較例おける放電遅れ時間の測定値の分布を示すグラフである。
【0116】
本実施形態の場合、放電遅れ時間は殆ど認められないのに対して、比較例は放電遅れ時間が殆ど認められないものから0.54秒まで広範囲にばらついている。
【0117】
図10は、本発明の高圧放電ランプの第2の実施形態を示す正面図である。図11は、同じく紫外線発生手段を示す拡大断面図である。
【0118】
各図において、図1と同一部分については同一符号を付して説明は省略する。本実施形態は、紫外線発生手段20が紫外線エンハンサによって構成されている。
【0119】
すなわち、紫外線発生手段20を構成する紫外線エンハンサは、グロー放電容器20a、一方の電極20b、給電線20c、他方の電極15および放電媒体を備えている。
【0120】
グロー放電容器20aは、透光性セラミックスからなる一端閉塞の円筒体20a1およびシール20a2からなり、円筒体20a1の開口端が後述するが給電線21cとともにシール20a2により封止されている。
【0121】
一方の電極20bは、タングステン棒からなり、グロー放電容器20a内に封装されている。
【0122】
給電線20cは、ニオブ棒からなり、グロー放電容器20aの内端側の先端に一方の電極20bの基端を溶接している。また、給電線20cの他端は、支持構体14の枠形導体14aに溶接により機械的に支持されているとともに、一方の電極20bが電気的に接続している。
【0123】
他方の電極15は、接続導体15が兼ねていて、グロー放電容器20aを介して放電空間とは容量結合している。
【0124】
放電媒体は、アルゴンからなり、グロー放電容器20a内に封入されている。
【0125】
そうして、紫外線発生手段20は、枠形導体14a、給電線21cおよび接続導体15を介して発光管11に並列接続している。そして、高圧放電ランプHPLの始動時に、まず一方および他方の電極20b、15の間に安定器の二次開放電圧が印加されると、グロー放電容器20aの内部にグロー放電が生起して紫外線が発生する。発生した紫外線は、グロー放電容器20aを透過して発光管11を照射する。発光管11は、紫外線の照射を受けて透光性セラミックスの壁面から多量の電子が放電容器11aの内部に放出されるため、高圧放電ランプHPLは容易に始動して点灯する。
【0126】
高圧放電ランプHPLが点灯すると、発光管11の両端電圧はランプ電圧まで低下するので、紫外線発生手段21はグロー放電を維持できないで消灯する。
【0127】
図12は、本発明の高圧放電ランプの第2の実施形態における内部の電気接続および本発明の高圧放電ランプ点灯装置の第2の実施形態を示す回路図である。図において、図4および図10と同一部分については同一符号を付して説明は省略する。
【0128】
図13は、本発明の照明装置の一実施形態としての埋込ダウンライトを示す一部中央断面正面図である。
【0129】
図において、図1と同一部分については同一符号を付して説明は省略する。
【0130】
本実施形態の埋込ダウンライトは、埋込ダウンライト本体21および高圧放電ランプHPLからなる。なお、安定器(図示しない。)は、埋込ダウンライト本体21から離間した位置に別置きとする構成である。
【0131】
埋込ダウンライト本体21は、支持枠21a、ランプソケット21b、反射鏡21c、反射鏡支持金具21dおよび化粧枠21eを備えている。
【0132】
支持枠21aは、環状枠21a1およびコ字状枠21a2からなる。環状枠21a1は、その下部外周に係止フランジfを備えていて、図示しない取付手段により天井ボードの取付穴BBに嵌合した状態で配設される。係止フランジfは、環状枠21a1を天井ボードの取付穴BBに嵌合した際に、天井ボードに当接する。コ字状枠21a2は、環状枠21a1の上に跨座するように環状枠21a1に固定されている。
【0133】
ランプソケット21bは、支持枠21aにおいて、そのコ字状枠21a2の上部下面の中央に配設されている。
【0134】
反射鏡21cは、その反射面が回転放物面形状をなしていて、頂部中央にランプ挿入口を、また、下面に投光開口を、それぞれ有している。そして、投光開口が環状枠21a1内に位置する。
【0135】
反射鏡支持金具21dは、ランプソケット21bの両側に位置して反射鏡21cのランプ挿入口に隣接する部位をコ字状枠21a2に固定している。
【0136】
化粧枠21eは、環状枠21a1に取り付けられていて、天井ボードの取付穴BBの体裁を整える。
【0137】
高圧放電ランプHPLは、図3に示すのと同じものであり、天井ボードの下方からランプソケットに装着することができる。
【0138】
【発明の効果】
請求項1および2の各発明によれば、少なくともMgOおよびCaOのいずれか1種を含有する透光性セラミックスからなる主要部を有する放電容器、一対の電極および放電媒体を備えた発光管と、発光管を収納した外管と、始動時に作動して発生した紫外線を発光管の放電容器に照射するように外管内に配設された紫外線発生手段とを具備していることにより、透光性セラミックスの壁面から多量の電子が放出されて初期電子を供給するので、始動電圧が低減するとともに、放電遅れ時間が短縮する高圧放電ランプを提供することができる。
【0139】
請求項の発明によれば、加えて紫外線発生手段がグロースタータであることにより、透光性セラミックスの壁面から多量の電子を放出させて初期電子を供給するのに加えて、始動電圧パルスを印加して始動を層貴信するので、始動電圧の低減と放電遅れ時間の短縮とが一層顕著な高圧放電ランプを提供することができる。
【0140】
請求項の発明によれば、加えて紫外線発生手段がグロー放電容器、少なくとも一方がグロー放電容器内に封装された一対の電極および放電媒体からなる紫外線エンハンサを構成していることにより、構造が簡単で、安価な高圧放電ランプを提供することができる。
【0141】
請求項3の発明によれば、請求項1または2に規定した高圧放電ランプと、定格電圧が100V、二次電圧が200〜220Vであるか、あるいは定格電圧が200Vで、高圧放電ランプおよび交流電源の間に直列に介在する安定器とを具備していることにより、請求項1ないし3の効果を有するとともに、水銀灯安定器のように安価な安定器を用いて高圧放電ランプを安定に点灯することができるので、高ランプ効率で、しかもトータルコストが安価な高圧放電ランプ点灯装置を提供することができる。
【0142】
請求項5の発明によれば、請求項1または2の効果を有する照明装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の高圧放電ランプの第1の実施形態としてのメタルハライドランプを示す正面図
【図2】 同じく発光管を示す拡大縦断面図
【図3】 同じく紫外線発生手段を示す拡大要部断面正面図
【図4】 本発明の高圧放電ランプの第1の実施形態における内部の電気接続および本発明の高圧放電ランプ点灯装置の一実施形態を示す回路図
【図5】 本発明の高圧放電ランプの第1の実施形態および比較例における発光管の光照射の有無に対する初期電子供給の程度を測定した結果を示すラウエプロット
【図6】 本発明の高圧放電ランプの第1の実施形態における放電開始電圧の測定値の分布を示すグラフ
【図7】 比較例における放電開始電圧の測定値の分布を示すグラフ
【図8】 本発明の高圧放電ランプの第1の実施形態における放電遅れ時間の測定値の分布を示すグラフ
【図9】 比較例おける放電遅れ時間の測定値の分布を示すグラフ
【図10】 本発明の高圧放電ランプの第2の実施形態を示す正面図
【図11】 同じく紫外線発生手段を示す拡大断面図
【図12】 本発明の高圧放電ランプの第2の実施形態における内部の電気接続および本発明の高圧放電ランプ点灯装置の第2の実施形態を示す回路図
【図13】 本発明の照明装置の一実施形態としての埋込ダウンライトを示す一部中央断面正面図
【符号の説明】
3…外部導入線
4…外部導入線
11…発光管
11a…放電容器
11a1…包囲部
11a2…小径筒部
11c…給電導体
12…外管
12a…フレアステム
12a1…導入線
12a2…導入線
13…ねじ口金
14…支持構体
14a…枠形導体
14b…第1のブリッジ導体
14c…絶縁子
14d…絶縁子
14e…第1の金属バンド
14f…第2のブリッジ導体
14g…第2の金属バン
14h…スプリング片
15…接続導体
16…始動器
16a…紫外線発生手段
16b…バイメタル接点
16c…接続導体
16d…接続導体
16e…接続導体
16f…セラミックス基板
16g…金属リング
17…始動補助導体
18…ゲッタ
HPL…高圧放電ランプ

Claims (4)

  1. 少なくともMgOおよびCaOのいずれか1種を含有する透光性セラミックスによって少なくとも主要部が構成されている放電容器、放電容器に封装された一対の電極、および放電容器内に封入された放電媒体を備えた発光管と;
    内部に発光管を収納した外管と;
    紫外線を透過し得るグロー放電容器、グロー放電容器内に封装され少なくとも一方がグロー放電による発生熱で変位して互いに接触し得る一対の電極、およびグロー放電容器内に封入されてグロー放電により紫外線を放射する放電媒体を備えたグロースタータを構成しているとともに、始動時に作動して発生した紫外線を発光管の放電容器に照射するように外管内に配設された紫外線発生手段と;
    を具備していることを特徴とする圧放電ランプ。
  2. 少なくともMgOおよびCaOのいずれか1種を含有する透光性セラミックスによって少なくとも主要部が構成されている放電容器、放電容器に封装された一対の電極、および放電容器内に封入された放電媒体を備えた発光管と;
    内部に発光管を収納した外管と;
    紫外線を透過し得るグロー放電容器、少なくとも一方がグロー放電容器内に封装された一対の電極、およびグロー放電容器内に封入されてグロー放電により紫外線を放射する放電媒体を備えた紫外線エンハンサを構成しているとともに、始動時に作動して発生した紫外線を発光管の放電容器に照射するように外管内に配設された紫外線発生手段と;
    を具備していることを特徴とする圧放電ランプ。
  3. 請求項1または2記載の高圧放電ランプと;定格電圧が100Vで、かつ二次電圧が200〜220Vであるか、あるいは定格電圧が200Vであり、交流電源および高圧放電ランプの間に直列に介在して、高圧放電ランプを安定に点灯する安定器と;を具備していることを特徴とする高圧放電ランプ点灯装置。
  4. 照明装置本体と;照明装置本体に配設された請求項1または2記載の高圧放電ランプと;交流電源および高圧放電ランプの間に直列に介在して、高圧放電ランプを安定に点灯する安定器と;
    を具備していることを特徴とする照明装置。
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