JP4517699B2 - 樹脂組成物、プリプレグおよび積層板 - Google Patents
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このため、以前にも増してインターポーザ用リジッド基板が注目されるようになり、高耐熱、低熱膨張、低誘電基板の要求が高まってきている。
しかし、イミダゾール化合物は一般的に昇華温度が低いため、樹脂組成物を基材に含浸・乾燥させてプリプレグを製造する際に昇華しやすく、シアネート樹脂等の硬化反応の促進作用が得られない場合があった。
(1)基材に含浸させてシート状のプリプレグを形成するために用いる樹脂組成物であって、シアネート樹脂および/またはそのプレポリマーと、実質的にハロゲン原子を含まないアリールアルキレン型エポキシ樹脂と、1-ベンジル-2-フェニルイミダゾールと、無機充填材とを含有することを特徴とする樹脂組成物。
(2)上記シアネート樹脂は、ノボラック型シアネートである上記(1)に記載の樹脂組成物。
(3)上記1-ベンジル-2-フェニルイミダゾールの含有量は、シアネート樹脂とエポキシ樹脂の合計重量に対して0.05〜5重量%である上記(1)又は(2)に記載の樹脂組成物。
(4)上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の樹脂組成物を基材に含浸させてなることを特徴とするプリプレグ。
(5)上記(4)に記載のプリプレグを成形してなることを特徴とする積層板。
本発明の樹脂組成物は、基材に含浸させてシート状のプリプレグを形成するために用いる樹脂組成物であって、シアネート樹脂および/またはそのプレポリマーと、実質的にハロゲン原子を含まないエポキシ樹脂と、200℃における昇華、分解による重量減少が15%以下であるイミダゾール化合物と、無機充填材とを含有することを特徴とする。
また、本発明のプリプレグは、上記本発明の樹脂組成物を基材に含浸させてなることを特徴とする。
そして、本発明の積層板は、上記本発明のプリプレグを成形してなることを特徴とする。
本発明の樹脂組成物では、シアネート樹脂を用いる。これにより、低誘電特性、低熱膨張性を向上させることができる。
上記シアネート樹脂としては、シアネート基を有する樹脂であれば特に限定されるものではないが、例えば、ノボラック型シアネート樹脂、ビスフェノールA型シアネート樹脂、ビスフェノールE型シアネート樹脂、ビスフェノールF型シアネート樹脂等が挙げられる。これらの中でも、下記一般式(I)で示されるノボラックシアネート樹脂を含むことが好ましい。これにより、ガラス転移温度を高くすることができ、硬化後の樹脂特性や難燃性をより向上することができる。
る場合があり、上記上限値を超えると樹脂組成物の硬化速度が速いため保存性が低下する場合がある。
上記ノボラック型シアネート樹脂は、例えばノボラック樹脂と塩化シアン、臭化シアン等の化合物とを反応させることで得ることができる。また、このようにして調製された市販品を用いることもできる。
プレポリマー化は、通常加熱溶融して行われる。本発明でプレポリマーとは、例えば3量化率が20〜50%のものをいう。
上記3量化率は、例えば赤外分光分析装置を用いて求めることができる。なお、シアネート樹脂と上記シアネート樹脂をプレポリマー化したものとを併用しても構わない。
エポキシ樹脂としては、例えばフェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、アリールアルキレン型エポキシ樹脂等が挙げられる。これらの中でもアリールアルキレン型エポキシ樹脂が好ましい。これにより、難燃性、吸湿半田耐熱性を向上することができる。
200℃で昇華、分解による重量減少が15%以下であるイミダゾール化合物としては、例えば、1−ベンジルー2−フェニルイミダゾール、2,4−ジアミノ−6−(2’−ウンデシルイミダゾリル)−エチル−s−トリアジン、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドルキシメチルイミダゾール等を挙げることができる。
これらの中でも、特に1−ベンジルー2−フェニルイミダゾールが好ましい。これにより、樹脂組成物を含浸し、乾燥させる際にイミダゾールの昇華を抑制することができ、樹脂組成物の耐熱性を向上させ、得られる絶縁層の熱膨張率、誘電率を低下させることができる。
上記の方法で測定した場合、上記イミダゾール化合物の重量減少率はそれぞれ、1−ベンジルー2−フェニルイミダゾール(7.3重量%)、2,4−ジアミノ−6−(2’−ウンデシルイミダゾリル)−エチル−s−トリアジン(12.0重量%)、2−フェニルイミダゾール(7.1重量%)、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドルキシメチルイミダゾール(2.8重量%)である。
また、上記シアネート樹脂及び/またはそのプレポリマー(特にノボラック型シアネート樹脂)と無機充填材との組合せにより、弾性率を向上することができる。
上記無機充填材としては特に限定されないが、例えば、タルク、アルミナ、ガラス、シリカ、マイカ等を挙げることができる。これらの中でもシリカが好ましく、溶融シリカが低膨張性に優れる点で好ましい。その形状は破砕状、球状があるが、ガラス基材への含浸性を確保するために樹脂組成物の溶融粘度を下げるには球状シリカを使うなど、その目的にあわせた使用方法が採用される。
本発明の樹脂組成物においては、特に、上記平均粒径を有する球状溶融シリカを用いることが好ましい。これにより、無機充填剤の充填性を向上させることができる。
本発明のプリプレグは、上記本発明の樹脂組成物を基材に含浸させてなるものである。これにより、誘電特性、高温多湿下での機械的特性、電気的接続信頼性等の各種特性に優れたプリプレグを得ることができる。
これらの中でも、基材を樹脂ワニスに浸漬する方法が好ましい。これにより、基材に対する樹脂組成物の含浸性を向上することができる。なお、基材を樹脂ワニスに浸漬する場
合、通常の含浸塗布設備を使用することができる。
上記樹脂ワニス中の固形分は特に限定されないが、40〜80重量%が好ましく、特に50〜65重量%が好ましい。これにより、樹脂ワニスの基材への含浸性を更に向上させることができる。
本発明のプリプレグは、上記基材に上記樹脂ワニスを含浸させ、所定温度、例えば80〜200℃等で乾燥させることにより得ることができる。
本発明の積層板は、上記本発明のプリプレグを少なくとも1枚成形してなるものである。これにより、低誘電特性、高温多湿下での機械的特性、電気的接続信頼性に優れた積層板を得ることができる。
プリプレグ1枚を用いるときは、その上下両面もしくは片面に金属箔あるいはフィルムを重ねる。また、プリプレグを2枚以上積層して用いることもできる。プリプレグを2枚以上用いるときは、積層したプリプレグの最も外側の上下両面もしくは片面に金属箔あるいはフィルムを重ねる。次に、プリプレグと金属箔等とを重ねたものを加熱、加圧することで積層板を得ることができる。
加熱する温度は、特に限定されないが、120〜220℃が好ましく、特に150〜200℃が好ましい。また、加圧する圧力は、特に限定されないが、2〜5MPaが好ましく、特に2.5〜4MPaが好ましい。
(1)樹脂ワニスの調製
ノボラック型シアネート樹脂(ロンザジャパン株式会社製、プリマセット PT−30、重量平均分子量約700)30重量部、ノボラック型シアネート樹脂(ロンザジャパン株式会社製、プリマセット PT−60、重量平均分子量約2600)5重量部、ビフェニルジメチレン型エポキシ樹脂(日本化薬株式会社製、NC−3000H、エポキシ当量275)35重量部、およびエポキシシラン型カップリング剤(日本ユニカー株式会社製、A187)0.2重量部をメチルエチルケトンに常温で溶解し、球状溶融シリカ(株式会社アドマテックス社製、球状溶融シリカ SO−32R、平均粒径1.5μm)30重量部を添加し、高速攪拌機を用いて10分間攪拌した。これに、イミダゾール化合物として、1−ベンジルー2−フェニルイミダゾール(四国化成工業株式会社製・キュアゾール「1B2PZ」)をシアネート樹脂とエポキシ樹脂との合計100重量部に対して1.0重量部添加し、高速攪拌機を用いて10分間攪拌して、固形分65重量%の樹脂ワニスを得た。
上記樹脂ワニスをガラス織布(日東紡績製、WEA−2319)に含浸し、150℃の
加熱炉で3.5分間乾燥して、プリプレグ中に占める樹脂ワニス中の固形分が50重量%のプリプレグを得た。
上述のプリプレグを4枚、及び、8枚重ね、それぞれ両面に18μmの銅箔を重ねて、圧力4MPa、温度200℃で2時間加熱加圧成形することによって、厚さ0.4mm、及び、0.8mmの両面銅張積層板を得た。
樹脂ワニスの配合を以下のようにした以外は、実施例1と同様にして、樹脂組成物、プリプレグ、及び積層板を得た。
イミダゾール化合物として、1−ベンジルー2−フェニルイミダゾールをシアネート樹脂とエポキシ樹脂との合計100重量部に対して0.7重量部用いた。その他は実施例1と同様にした。
樹脂ワニスの配合を以下のようにした以外は、実施例1と同様にして、樹脂組成物、プリプレグ、及び積層板を得た。
イミダゾール化合物として、1−ベンジルー2−フェニルイミダゾールをシアネート樹脂とエポキシ樹脂との合計100重量部に対して0.4重量部用いた。その他は実施例1と同様にした。
樹脂ワニスの配合を以下のようにした以外は、実施例1と同様にして、樹脂組成物、プリプレグ、及び積層板を得た。
イミダゾール化合物として、1−ベンジルー2−フェニルイミダゾールをシアネート樹脂とエポキシ樹脂との合計100重量部に対して2.0重量部用いた。その他は実施例1と同様にした。
樹脂ワニスの配合を以下のようにした以外は、実施例1と同様にして、樹脂組成物、プリプレグ、及び積層板を得た。
イミダゾール化合物として、2−フェニル−4−メチル−イミダゾール(四国化成工業株式会社製・キュアゾール「2P4MZ」、200℃における重量減少21%)を、シアネート樹脂とエポキシ樹脂との合計100重量部に対して1.0重量部用いた。その他は実施例1と同様にした。
樹脂ワニスの配合を以下のようにした以外は、実施例1と同様にして、樹脂組成物、プリプレグ、及び積層板を得た。
イミダゾール化合物として、2−フェニル−4−メチル−イミダゾールを、シアネート樹脂とエポキシ樹脂との合計100重量部に対して2.0重量部用いた。その他は実施例1と同様にした。
樹脂ワニスの配合を以下のようにした以外は、実施例1と同様にして、樹脂組成物、プリプレグ、及び積層板を得た。
ノボラック型シアネート樹脂としてPT−30を17重量部、PT−60を3重量部、ビフェニルジメチレン型エポキシ樹脂としてNC−3000Hを11重量部、ビフェニルジメチレン型フェノール樹脂(明和化成社製、MEH−7851−HHH)を9重量部、
およびエポキシシラン型カップリング剤としてA187を0.2重量部、球状溶融シリカとしてSO−32Rを60重量部用いた。その他は実施例1と同様にした。
(1)プリプレグ製造時(塗布乾燥時)のイミダゾール化合物の昇華の有無
樹脂組成物を基材に含浸させ、乾燥させる際に、乾燥装置内にイミダゾールの昇華による白煙が見られるか否かを目視で確認した。
プリプレグ中の樹脂組成物を採取し、これをDSC(示差走査熱量分析装置)を用いて、10℃/minで昇温し、反応開始の温度を測定し、これを5℃単位で読み取った。
プリプレグ中の樹脂組成物を採取し、これをDSC(示差走査熱量分析装置)を用いて、10℃/minで昇温し、反応ピークの温度を測定した。
積層板製造時の樹脂流れ量を、積層板端部からの樹脂フロー量を測定し、樹脂の流動性を確認した。また、両面積層板を両面全面エッチングして、成形性を確認した。符号は下記の通りである。
◎:プレス成形時のフロー量が1ミリ以上5ミリ以下であり、成形性良好
○:プレス成形時のフロー量が1ミリ未満であり、成形性良好
厚さ0.8mmの両面銅張積層板を全面エッチングし、得られた積層板から5mm×5mmのテストピースを切り出し、TMA(熱機械分析装置)を用いて、厚み方向(Z方向
)の線膨張係数を10℃/分で測定した。
厚さ0.4mmの両面銅張積層板を全面エッチングし、得られた積層板から60mm×60mmのテストピースを切り出し、誘電率、誘電正接の測定をJIS C 6481に準拠して行った。
厚さ0.8mmの両面銅張積層板を全面エッチングし、得られた積層板から5mm×5mmのテストピースを切り出し、TMAを用いて10℃/分で測定した。
また、比較例3は硬化剤としてイミダゾール化合物の代わりにフェノール樹脂を用い、無機充填材の配合量を多くしたものであるが、実施例はいずれも、これより誘電率を向上させることができた。
Claims (5)
- 基材に含浸させてシート状のプリプレグを形成するために用いる樹脂組成物であって、シアネート樹脂および/またはそのプレポリマーと、実質的にハロゲン原子を含まないアリールアルキレン型エポキシ樹脂と、1-ベンジル-2-フェニルイミダゾールと、無機充填材とを含有することを特徴とする樹脂組成物。
- 前記シアネート樹脂は、ノボラック型シアネートである請求項1に記載の樹脂組成物。
- 前記1-ベンジル-2-フェニルイミダゾールの含有量は、シアネート樹脂とエポキシ樹脂の合計重量に対して0.05〜5重量%である請求項1または2に記載の樹脂組成物。
- 請求項1ないし3のいずれかに記載の樹脂組成物を基材に含浸させてなることを特徴とするプリプレグ。
- 請求項4に記載のプリプレグを成形してなることを特徴とする積層板。
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