JP3821728B2 - プリプレグ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、プリプレグに関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体の分野では高密度実装技術の進歩により、半導体素子を従来の面実装からエリア実装に移行していくトレンドが進行している。かかる高密度実装技術に対応すべく、ボールグリッドアレイ(BGA)やチップスケールパッケージ(CSP)など新しいパッケージが登場、増加しつつある。そのため以前にもましてインターポーザ用リジッド基板が注目されるようになり、高耐熱、低熱膨張基板の要求が高まってきている。
【0003】
さらに近年、電子機器の高機能化等の要求に伴い、電子部品の高密度集積化、高密度実装化等が進んでいる。そのため、これらに使用される高密度実装対応のプリント配線板等は、従来にも増して、小型化かつ高密度化されている。このようなプリント配線板等の高密度化への対応として、ビルドアップ多層配線板が多く採用されている。
ビルドアップ多層配線板を小型化かつ高密度化するには、微細なビアにより層間接続する必要がある。そのため、ビルドアップ多層配線板のビアは、レーザ加工により形成される。しかし、ガラスクロスを基材としたプリプレグでは、レーザ加工が困難なため、均一で微細なビアを形成できなかった。
また、同時に情報処理用機器の高速化が要求されており、CPUの高クロック周波数化が進んでいる。このため信号伝搬速度の高速化が要求されており、これを実現するために低誘電率、低誘電正接のプリント配線板が必要とされる。
【0004】
また、半導体に用いられる樹脂部材は難燃性が求められることが多い。従来、難燃性を付与するため、エポキシ樹脂の場合は臭素化エポキシなどのハロゲン系難燃剤を用いることが一般的であった。しかし、ハロゲン含有化合物は、ダイオキシン発生等の問題から使用することが回避されるようになってきている。そのため、ハロゲンフリーの難燃化システムが求められ、リン酸エステルや赤リン等のリン系難燃剤が検討された。しかし、これらのリン系難燃剤は、加水分解しやすく、樹脂との反応性に乏しいため半田耐熱性が低下する等の問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、誘電特性、レーザ加工性および難燃性に優れたプリプレグを提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
このような目的は、下記(1)〜(9)記載の本発明により達成される。(1)シアネート樹脂及び/またはそのプレポリマーと、エポキシ樹脂と、イミダゾール化合物と、および無機充填材を含む樹脂組成物を有機繊維で構成される不織布に含浸してなることを特徴とするプリプレグであって、該エポキシ樹脂は、第1のエポキシ樹脂と、第1のエポキシ樹脂より重量平均分子量の高い第2のエポキシ樹脂の混合物であり、該第1のエポキシ樹脂は、アリールアルキレン型エポキシ樹脂であり、該第2のエポキシ樹脂は、重量平均分子量が5,000以上である、プリプレグ。
(2)前記有機繊維を構成する樹脂のガラス転移点は、200℃以上である上記(1)に記載のプリプレグ。
(3)前記有機繊維を構成する樹脂は、全芳香族ポリアミド樹脂を主成分とするものである上記(1)または(2)に記載のプリプレグ。
(4)前記有機繊維を構成する樹脂は、全芳香族ポリエステル樹脂を主成分とするものである上記(1)または(2)に記載のプリプレグ。
(5)前記シアネート樹脂及び/またはそのプレポリマーは、ノボラック型シアネート樹脂及び/またはそのプレポリマーである上記(1)ないし(4)のいずれかに記載のプリプレグ。
(6)前記シアネート樹脂及び/またはそのプレポリマーの含有量は、樹脂組成物全体の5〜60重量%である上記(1)ないし(5)のいずれかに記載のプリプレグ。
(7)前記イミダゾール化合物は、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドルキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾールおよびトリアジン付加型イミダゾールから選ばれた1種または2種以上のイミダゾール化合物である上記(1)ないし(6)のいずれかに記載のプリプレグ。
(8)前記無機充填材は、平均粒径5μm以下の球状溶融シリカである上記(1)ないし(7)のいずれかに記載のプリプレグ。
(9)前記無機充填材の含有量は、樹脂組成物全体の30〜80重量%である上記(1)ないし(8)のいずれかに記載のプリプレグ。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のプリプレグについて詳細に説明する。本発明のプリプレグは、シアネート樹脂及び/またはそのプレポリマーと、エポキシ樹脂と、イミダゾール化合物と、無機充填材とを含む樹脂組成物を有機繊維で構成される不織布に含浸してなり、該エポキシ樹脂は、第1のエポキシ樹脂と、第1のエポキシ樹脂より重量平均分子量の高い第2のエポキシ樹脂の混合物であり、該第1のエポキシ樹脂は、アリールアルキレン型エポキシ樹脂であり、該第2のエポキシ樹脂は、重量平均分子量が5,000以上であることを特徴とするものである。
【0008】
以下、プリプレグに関して説明する。
本発明のプリプレグでは、シアネート樹脂及び/またはそのプレポリマーを用いる。これにより、本発明のプリプレグをプリント配線板にした場合に、高耐熱、かつ低熱膨張とすることができる。
前記シアネート樹脂及び/またはそのプレポリマーは、例えばハロゲン化シアン化合物とフェノール類とを反応させ、必要に応じて加熱等の方法でプレポリマー化することにより得ることができる。具体的には、ノボラック型シアネート樹脂、ビスフェノールA型シアネート樹脂、ビスフェノールE型シアネート樹脂、テトラメチルビスフェノールF型シアネート樹脂等のビスフェノール型シアネート樹脂等を挙げることができる。これらの中でもノボラック型シアネート樹脂が好ましい。これにより、架橋密度増加による耐熱性向上と、樹脂組成物等の難燃性を向上することができる。ノボラック型シアネート樹脂は、その構造上ベンゼン環の割合が高く、炭化しやすいためと考えられる。
【0009】
ノボラック型シアネート樹脂としては、例えば式(I)で示されるものを使用することができる。
【化1】
前記式(I)で示されるノボラック型シアネート樹脂のnは、特に限定されないが、1〜10が好ましく、特に1〜7が好ましい。これより少ないとノボラック型シアネート樹脂は結晶化しやすくなり、汎用溶媒に対する溶解性が比較的低下するため、取り扱いが困難となる場合がある。また、これより多いと架橋密度が高くなりすぎ、耐水性の低下や、硬化物が脆くなるなどの現象を生じる場合がある。
【0010】
前記シアネート樹脂及び/またはそのプレポリマーの重量平均分子量は、特に限定されないが、重量平均分子量500〜4500が好ましく、特に600〜3000が好ましい。これより小さいとプリプレグを作製した場合にタック性が生じ、プリプレグ同士が接触したとき互いに付着したり、樹脂の転写が生じたりする場合がある。また、これより大きいと反応が速くなりすぎ、銅張り積層板とした場合に、成形不良を生じたり、層間ピール強度が低下したりする場合がある。
【0011】
前記シアネート樹脂の含有量は、特に限定されないが、樹脂組成物全体の5〜60重量%が好ましく、特に10〜50重量%が好ましい。シアネート樹脂及び/またはそのプレポリマーの含有量が前記下限値未満では、耐熱性や低熱膨張化する効果が低下する場合があり、前記上限値を超えると架橋密度が高くなり自由体積が増えるため耐湿性が低下する場合がある。
【0012】
本発明のプリプレグでは、エポキシ樹脂を用いる。これにより、吸水率を低下させることができる。エポキシ樹脂としては、例えばフェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、アリールアルキレン型エポキシ樹脂等を挙げることができる。
また、前記エポキシ樹脂は、特に限定されないが、第1のエポキシ樹脂と、前記第1のエポキシ樹脂よりも重量平均分子量の高い第2のエポキシ樹脂を用いることが好ましい。これにより、プレス成形時の回路埋め込み性とフロー制御との両立を図ることができる。
【0013】
前記第1のエポキシ樹脂は、例えばフェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、アリールアルキレン型エポキシ樹脂等が挙げられる。これらの中でもアリールアルキレン型エポキシ樹脂が好ましい。これにより、吸湿半田耐熱性を向上することができる。
【0014】
アリールアルキレン型エポキシ樹脂とは、繰り返し単位中に一つ以上のアリールアルキレン基を有するエポキシ樹脂をいう。例えばキシリレン型エポキシ樹脂、ビフェニルジメチレン型エポキシ樹脂等が挙げられる。これらの中でもビフェニルジメチレン型エポキシ樹脂が好ましい。ビフェニルジメチレン型エポキシ樹脂は、例えば式(II)で示すことができる。
【化2】
前記式(II)で示されるビフェニルジメチレン型エポキシ樹脂のnは、特に限定されないが、1〜10が好ましく、特に2〜5が好ましい。これより少ないとビフェニルジメチレン型エポキシ樹脂は結晶化しやすくなり、汎用溶媒に対する溶解性が比較的低下するため、取り扱いが困難となる場合がある。また、これより多いと樹脂の流動性が低下し、成形不良等の原因となる場合がある。
【0015】
前記エポキシ樹脂の含有量は、特に限定されないが、樹脂組成物全体の1〜55重量%が好ましく、特に2〜40重量%が好ましい。樹脂が前記下限値未満では、シアネート樹脂の反応性が低下したり、得られる製品の耐湿性が低下したり場合があり、前記上限値を超えると耐熱性が低下する場合がある。
前記エポキシ樹脂の重量平均分子量は、特に限定されないが、重量平均分子量4,000以下が好ましく、特に重量平均分子量500〜4,000が好ましく、最も800〜3,000が好ましい。重量平均分子量が前記範囲より小さいとプリプレグにタック性が生じるなどの問題が起こる場合が有り、これより大きいとプリプレグ作製時、基材への含浸性が低下し、均一な製品が得られないなどの問題が起こる場合がある。
【0016】
前記第2のエポキシ樹脂は、例えばフェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、アリールアルキレン型エポキシ樹脂等が挙げられる。これらの中でもビスフェノール型エポキシ樹脂が好ましい。これにより、銅箔等との密着性を向上することができる。
【0017】
ビスフェノール型エポキシ樹脂は、例えば式(II)で示すことができる。
【化3】
前記式(II)で示されるビスフェノール型エポキシ樹脂のnは、特に限定されないが、10〜100が好ましく、特に20〜70が好ましい。これより少ないと、第1のエポキシ樹脂であるビフェニルジメチレン型エポキシ樹脂の成形時におけるフローを押さえることが出来ず成形不良等の原因となる場合がある。また、これより多いと汎用溶媒に対する溶解性が比較的低下するため、取り扱いが困難となり、また樹脂の流動性が低下し、成形不良等の原因となる場合がある。
【0018】
前記第2のエポキシ樹脂の含有量は、特に限定されないが、樹脂組成物全体の1〜20重量%が好ましく、特に2〜15重量%が好ましい。第2のエポキシ樹脂が前記下限値未満では成形性が低下する場合があり、前記上限値を超えると基材への含浸性などが低下する場合がある。
第2のエポキシ樹脂の重量平均分子量は、特に限定されないが、重量平均分子量5,000以上が好ましく、重量平均分子量5,000〜100,000がより好ましく、特に8,000〜80,000が好ましい。重量平均分子量が前記範囲より少ないとレス成形時のフローを押さえる事が出来ない場合が有り、これより多いとプリプレグ作製時、基材への含浸性が低下し、均一な製品が得られないなどの問題が起こる場合がある。
【0019】
本発明のプリプレグでは、硬化促進剤としてイミダゾール化合物を用いる。イミダゾール化合物としては公知の物を用いることが出来る。たとえば、イミダゾール化合物が2−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドルキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4、5−ジヒドロキシメチルイミダゾールおよびトリアジン付加型イミダゾール等、またはこの混合物が挙げられる。これらの中でもイミダゾール化合物が2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドルキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4、5−ジヒドロキシメチルイミダゾールおよびトリアジン付加型イミダゾールから選ばれた1種または2種以上のイミダゾール化合物が好ましい。これにより、ワニス状態でのライフを向上することができる。ワニス状態のライフとは、ある一定の期間保存したワニスを用いてプリント配線板を製造した際に、吸湿半田試験時に膨れの無い状態の事を言い、この保存期間が長い状態をワニス状態でのライフが長いと言う。
【0020】
本発明のプリプレグでは、無機充填材を用いる。これにより、低熱膨張化、及び難燃性の向上が図られる。
また、前述したシアネート樹脂及び/またはそのプレポリマー(特にノボラック型シアネート樹脂)と無機充填材との組合せにより、弾性率を向上することができる。
前記無機充填材としては、例えばタルク、アルミナ、ガラス、シリカ、マイカ等を挙げることができる。これらの中でもシリカが好ましく、溶融シリカが低膨張性に優れる点で好ましい。その形状は破砕状、球状があるが、ガラス基材への含浸性を確保するために樹脂組成物の溶融粘度を下げるには球状シリカを使うなど、その目的にあわせた使用方法が採用される。
【0021】
前記無機充填材の平均粒径は、特に限定されないが、0.01〜5μmが好ましく、特に0.2〜2μmが好ましい。無機充填材の粒径が前記下限値未満であるとワニスの粘度が高くなるため、プリプレグ作製時の作業性に影響を与える場合がある。また、前記上限値を超えると、ワニス中で無機充填剤の沈降等の現象が起こる場合がある。
更に平均粒径5μm以下の球状溶融シリカが好ましく、特に平均粒径0.01〜2μmの球状溶融シリカが好ましい。これにより、無機充填剤の充填性を向上させることができる。
前記無機充填材の含有量は、樹脂組成物全体の30〜80重量%が好ましく、特に40〜70重量%が好ましい。無機充填材が前記範囲内であると低熱膨張、低吸水とすることができる。
【0022】
本発明のプリプレグでは、特に限定されないが、カップリング剤を用いることが好ましい。カップリング剤は樹脂と無機充填剤の界面の濡れ性を向上させることにより、基材に対して樹脂および充填剤を均一に定着させ、耐熱性、特に吸湿後の半田耐熱性を改良するために配合する。カップリング剤としては通常用いられるものなら何でも使用できるが、これらの中でもエポキシシランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、アミノシランカップリング剤及びシリコーンオイル型カップリング剤の中から選ばれる1種以上のカップリング剤を使用することが無機充填剤界面との濡れ性が高く、耐熱性向上の点で好ましい。本発明でカップリング剤は、無機充填剤に対して0.05重量部以上、3重量部以下が望ましい。これより少ないと充填剤を十分に被覆できず十分な耐熱性が得られない場合があり、これより多いと反応に影響を与え、曲げ強度等が低下するようになるためこの範囲での使用が望ましい。
【0023】
本発明のプリプレグでは、必要に応じて、上記成分以外の添加物を添加することが出来る。これらの各樹脂および各添加物で構成される樹脂組成物を、後述する有機繊維で構成される不織布に含浸する。
【0024】
本発明のプリプレグでは、上述の樹脂組成物を有機繊維で構成される不織布に含浸する。
前記有機繊維を構成する樹脂としては、例えば芳香族ポリアミド樹脂、ポリアミド樹脂、芳香族ポリエステル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、フッ素樹脂等が挙げられる。これらの中でも芳香族ポリエステル樹脂(特に全芳香族ポリエステル樹脂)、芳香族ポリアミド樹脂(特に全芳香族ポリアミド樹脂)から選ばれる1種以上の樹脂を主成分とすることが好ましい。これにより、プリプレグをプリント配線板としたときにレーザ加工性を向上することができる。また、特に芳香族ポリエステル樹脂(全芳香族ポリエステル樹脂)が好ましい。これにより、プリプレグの電気特性(誘電特性)をより向上することができる。
【0025】
前記有機繊維を構成する樹脂のガラス転移点は、特に限定されないが、200℃以上が好ましく、特に250〜400℃が好ましい。ガラス転移点が前記下限値未満であるとフリップチップ実装性が低下する場合がある。
【0026】
前記樹脂組成物を前記基材に含浸させる方法は、例えば基材を樹脂ワニスに浸漬する方法、各種コーターによる塗布する方法、スプレーによる吹き付ける方法等が挙げられる。これらの中でも、基材を樹脂ワニスに浸漬する方法が好ましい。これにより、基材に対する樹脂組成物の含浸性を向上することができる。なお、基材を樹脂ワニスに浸漬する場合、通常の含浸塗布設備を使用することができる。
【0027】
前記樹脂ワニスに用いられる溶媒は、前記樹脂組成物に対して良好な溶解性を示すことが望ましいが、悪影響を及ぼさない範囲で貧溶媒を使用しても構わない。良好な溶解性を示す溶媒としては、例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等が挙げられる。
前記樹脂ワニスの固形分は、特に限定されないが、前記樹脂組成物の固形分30〜80重量%が好ましく、特に40〜70重量%が好ましい。これにより、樹脂ワニスの基材への含浸性を向上できる。
前記基材に前記樹脂組成物を含浸させ、所定温度、例えば90〜180℃で乾燥させることによりプリプレグを得ることが出来る。
【0028】
次に、プリント配線板について説明する。
本発明のプリント配線板は、上記のプリプレグに金属箔を積層して加熱加圧成形してなるものである。これにより、耐熱性、低膨張性および難燃性に優れたプリント配線板を得ることができる。
プリプレグ1枚のときは、その上下両面もしくは片面に金属箔を重ねる。また、プリプレグを2枚以上積層することもできる。プリプレグ2枚以上積層するときは、積層したプリプレグの最も外側の上下両面もしくは片面に金属箔あるいはフィルムを重ねる。
次に、プリプレグと金属箔とを重ねたものを加熱加圧成形することでプリント配線板を得ることができる。前記加熱する温度は、特に限定されないが、120〜220℃が好ましく、特に150〜200℃が好ましい。前記加圧する圧力は、特に限定されないが、1.5〜5MPaが好ましく、特に2〜4MPaが好ましい。また、必要に応じて高温漕等で150〜300℃の温度で後硬化を行ってもかまわない。
【0029】
前記金属箔を構成する金属は、例えば銅または銅系合金、アルミまたはアルミ系合金、鉄または鉄系合金が挙げられる。
【0030】
以下、本発明を実施例および比較例により詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【実施例】
実施例1
▲1▼樹脂ワニスの調製
ノボラック型シアネート樹脂(ロンザジャパン株式会社製、プリマセット PT−60、重量平均分子量約2600)20重量%(以下、%と略す)、ビフェニルジメチレン型エポキシ樹脂(日本化薬株式会社製、NC−3000P、エポキシ当量275)15%、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン株式会社製、エピコート1256、重量平均分子量約50000)5%およびイミダゾール化合物(四国化成工業株式会社製、2−フェニル−4−メチルイミダゾール)固形分100重量部に対して0.2重量部(以下、部と略す)、及びエポキシシラン型カップリング剤(日本ユニカー株式会社製、A−187)0.3部をメチルエチルケトンに常温で溶解し、球状溶融シリカSFP−10X (電気化学工業株式会社製、平均粒径0.3μm)10%及び球状溶融シリカSO−32R(株式会社アドマテックス社製、平均粒径1.5μm)50%を添加し、高速攪拌機を用いて10分攪拌して樹脂ワニスを調製した。
【0031】
▲2▼プリプレグの製造
上述の樹脂ワニスを芳香族ポリエステル不織布(厚さ40μm、三菱製紙製、G7−280T)に含浸し、120℃の加熱炉で2分乾燥してワニス固形分(プリプレグ中に樹脂とシリカの占める割合)が約70%のプリプレグを得た。
【0032】
▲3▼プリント配線板の製造
上述のプリプレグを12枚数重ね、両面に18μmの銅箔を重ねて、圧力4MPa、温度200℃で2時間加熱加圧成形することによって0.6mmの両面プリント配線板用基板を得た。他の厚みのプリント配線板用基板は、プリプレグをそれに応じた枚数積層する事によって得た。
【0033】
(実施例2)
有機不織布として、以下のものを用いた以外は、実施例1と同様にした。芳香族ポリエステルに代えて、芳香族ポリアミド不織布(厚さ40μm、王子製紙製、APT−22)を用いた。
【0034】
(実施例3)
配合量を以下の通りにした以外は、実施例1と同様にした。ノボラック型シアネート樹脂(プリマセット PT−60)5%、ビフェニルジメチレン型エポキシ樹脂(NC−3000P)30%、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エピコート1256)5%、イミダゾール化合物(2−フェニル−4−メチルイミダゾール)0.2部、及びエポキシシラン型カップリング剤(A−187)0.3部をメチルエチルケトンに常温で溶解し、球状溶融シリカ(SFP−10X )10%及び球状溶融シリカ(SO−32R)50%を添加した。
【0035】
(実施例4)
配合量を以下の通りにした以外は、実施例1と同様にした。ノボラック型シアネート樹脂(プリマセット PT−30)30%、ノボラック型シアネート樹脂(プリマセット PT−60)30%、ビフェニルジメチレン型エポキシ樹脂(NC−3000P)5%、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エピコート1256)5%、イミダゾール化合物(2−フェニル−4−メチルイミダゾール)0.2部、及びエポキシシラン型カップリング剤(A−187)0.3部をメチルエチルケトンに常温で溶解し、球状溶融シリカ(SFP−10X)5%及び球状溶融シリカ(SO−32R)25%を添加した。
【0036】
(実施例5)
球状溶融シリカを以下の通りにした以外は、実施例1と同様にした。球状溶融シリカSFP−10X及びSO−32Rに代えて、FB−5SDX(電気化学工業株式会社製)を用いた。
【0037】
(実施例6)
配合量を以下の通りにした以外は、実施例1と同様にした。ノボラック型シアネート樹脂(プリマセット PT−60)11%、ビフェニルジメチレン型エポキシ樹脂(NC−3000P)6%、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エピコート1256)3%、イミダゾール化合物(2−フェニル−4−メチルイミダゾール)0.2部、及びエポキシシラン型カップリング剤(A−187)0.3部をメチルエチルケトンに常温で溶解し、球状溶融シリカ(SFP−10X )30%及び球状溶融シリカ(SO−32R)50%を添加した。
【0038】
(実施例7)
配合量を以下の通りにした以外は、実施例1と同様にした。ノボラック型シアネート樹脂(プリマセット PT−60)40%、ビフェニルジメチレン型エポキシ樹脂(NC−3000P)20%、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エピコート1256)10%、イミダゾール化合物(2−フェニル−4−メチルイミダゾール)0.2部、及びエポキシシラン型カップリング剤(A−187)0.3部をメチルエチルケトンに常温で溶解し、球状溶融シリカ(SFP−10X )4%及び球状溶融シリカ(SO−32R)26%を添加した。
【0039】
(比較例1)
配合量を以下の通りにした以外は、実施例1と同様にした。ビフェニルジメチレン型エポキシ樹脂(NC−3000P)23%、ビフェニルジメチレン型フェノール樹脂(MEH−7851−S)17%、硬化助剤2−メチルイミダゾール(四国化成工業株式会社製、2MZ)0.4部、及びエポキシシラン型カップリング剤(A−187)0.3部をメチルエチルケトンに常温で溶解し、球状溶融シリカ(SFP−10X )10%及び球状溶融シリカ(SO−32R)50%を添加した。
【0040】
(比較例2)
配合量を以下の通りにした以外は、実施例1と同様にした。ノボラック型シアネート樹脂(プリマセット PT−60)40%、イミダゾール化合物(2−フェニル−4−メチルイミダゾール)0.2部、及びエポキシシラン型カップリング剤(A−187)0.3部をメチルエチルケトンに常温で溶解し、球状溶融シリカ(SFP−10X )10%及び球状溶融シリカ(SO−32R)50%を添加した。
【0041】
(比較例3)
配合量を以下の通りにした以外は、実施例1と同様にした。ノボラック型シアネート樹脂(プリマセット PT−60)60%、ビフェニルジメチレン型エポキシ樹脂(NC−3000P)20%、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン株式会社製、エピコート1256、重量平均分子量約50000)20%、イミダゾール化合物(四国化成工業株式会社製、2−フェニル−4−メチルイミダゾール)0.2部を添加した。
【0042】
(比較例4)
芳香族ポリエステル不織布の代わりに、ガラス繊維(厚さ50μm、日東紡株式会社績製、WEA−1080)を用いた以外は、実施例1と同様にした。
【0043】
実施例および比較例で得られた両面プリント配線板用基板について、以下の評価を行った。評価項目を、評価方法と共に示す。得られた結果を表1に示す。
▲1▼ガラス転移温度
厚さ0.6mmの両面プリント配線板を全面エッチングし、得られた積層板から10mm×60mmのテストピースを切り出し、TAインスツルメント社製動的粘弾性測定装置DMA983を用いて3℃/分で昇温し、tanδのピーク位置をガラス転移温度とした。
【0044】
▲2▼誘電率・誘電正接
厚さ1.0mmの両面プリント配線板を全面エッチングし、得られた積層板から97mm×25mm、53mm×25mm、37mm×25mmのテストピースを切り出し、トリプレート線路共振法により比誘電率、誘電正接を測定した。
【0045】
▲3▼難燃性
UL−94規格に従い、1.0mm厚のテストピースを垂直法により測定した。
【0046】
▲4▼吸水率
厚さ0.6mmの両面プリント配線板を全面エッチングし、得られた積層板から50mm×50mmのテストピースを切り出し、JIS C 6481に従い測定した。
【0047】
▲5▼レーザ加工性
厚さ0.05mmの両面プリント配線板を全面エッチングし、得られた積層板をUV YAGレーザ(三菱電機製)で加工し上部及び断面を顕微鏡観察した。
【0048】
▲6▼吸湿半田耐熱性
厚さ0.6mmの両面プリント配線板から50mm×50mmに切り出し、JIS C 6481に従い半面エッチングを行ってテストピースを作成した。125℃のプレッシャークッカーで処理した後、260℃のはんだ槽に銅箔面を下にして浮かべ、180秒後にフクレが発生する処理時間を計測した。
【0049】
▲7▼膨張率
厚さ1.2mmの両面プリント配線板を全面エッチングし、得られた積層板から4mm×4mmのテストピースを切り出し、TMAを用いて縦・横方向(X・Y方向)の線膨張係数を5℃/分で測定した。
【0050】
【表1】
【0051】
表から明らかなように実施例1〜10は、誘電率が低く、レーザ加工性、難燃性に優れていた。
また、実施例1、2、5〜8および10は、特に縦方向の膨張率が低くなっていた。
また、実施例1〜3は、特に吸湿半田耐熱性に優れていた。
【0052】
【発明の効果】
本発明によれば、誘電特性、レーザ加工性および難燃性に優れたプリプレグおよびプリント配線板を得ることができる。
また、特定のエポキシ樹脂を用いる場合、特に吸湿半田耐熱性に優れたプリプレグおよびプリント配線板を得ることができる。
また、特定の無機充填材を用いる場合、特に膨張率の低いプリプレグおよびプリント配線板を得ることができる。
Claims (9)
- シアネート樹脂及び/またはそのプレポリマーと、エポキシ樹脂と、イミダゾール化合物と、および無機充填材を含む樹脂組成物を有機繊維で構成される不織布に含浸してなることを特徴とするプリプレグであって、該エポキシ樹脂は、第1のエポキシ樹脂と、第1のエポキシ樹脂より重量平均分子量の高い第2のエポキシ樹脂の混合物であり、該第1のエポキシ樹脂は、アリールアルキレン型エポキシ樹脂であり、該第2のエポキシ樹脂は、重量平均分子量が5,000以上である、
プリプレグ。 - 前記有機繊維を構成する樹脂のガラス転移点は、200℃以上である請求項1に記載のプリプレグ。
- 前記有機繊維を構成する樹脂は、全芳香族ポリアミド樹脂を主成分とするものである請求項1または2に記載のプリプレグ。
- 前記有機繊維を構成する樹脂は、全芳香族ポリエステル樹脂を主成分とするものである請求項1または2に記載のプリプレグ。
- 前記シアネート樹脂及び/またはそのプレポリマーは、ノボラック型シアネート樹脂及び/またはそのプレポリマーである請求項1ないし4のいずれかに記載のプリプレグ。
- 前記シアネート樹脂及び/またはそのプレポリマーの含有量は、樹脂組成物全体の5〜60重量%である請求項1ないし5のいずれかに記載のプリプレグ。
- 前記イミダゾール化合物は、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドルキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾールおよびトリアジン付加型イミダゾールから選ばれた1種または2種以上のイミダゾール化合物である請求項1ないし6のいずれかに記載のプリプレグ。
- 前記無機充填材は、平均粒径5μm以下の球状溶融シリカである請求項1ないし7のいずれかに記載のプリプレグ。
- 前記無機充填材の含有量は、樹脂組成物全体の30〜80重量%である請求項1ないし8のいずれかに記載のプリプレグ。
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