JP4511154B2 - エンジン油用潤滑油組成物 - Google Patents
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Description
ところで、近年の環境問題を背景に、自動車等のエンジンには、酸化触媒、三元触媒、NOx吸蔵型還元触媒等が使用されており、最近になってDPF等のディーゼルパティキュレート除去装置の装着が義務付けられるなど、排出ガス規制がより強化されていく状況にある。
このような状況の中、上記のような排出ガス後処理装置に対し、エンジン用の潤滑油が与える影響について多くの検討がなされている。例えば、特許文献1〜15において、排出ガス後処理装置への負荷を低減するために、低リン又は無リンエンジン油、低灰又は無灰エンジン油あるいは低硫黄又は無硫黄エンジン油が検討されている。
しかしながら、無リンエンジン油においては、上記ジチオリン酸亜鉛の代わりに摩耗防止性能を維持するための硫黄含有添加剤を多量に配合するために高温清浄性が悪化し、また、低灰エンジン油においては、ジチオリン酸亜鉛が必須として配合され、低リン化やさらなる高温清浄性の向上が困難である。また、金属系清浄剤を多量に配合したエンジン油組成物は高温清浄性に優れるが、逆にこれを低減した又は配合しない低灰エンジン油は、高温清浄性が不十分である。
従って、高温清浄性に極めて優れる、リン、硫黄、金属のいずれか1〜3種の含有量が低減された又は実質的に含有しないエンジン油用潤滑油組成物の開発が望まれている。
本発明の別の課題は、リン、金属あるいは硫黄のいずれか又は全部を低減又は実質的に含有させなくても高温清浄性に極めて優れ、その特性維持を更に向上させたエンジン油用潤滑油組成物を提供することにある。
すなわち、本発明によれば、潤滑油基油に、組成物全量基準で、無灰分散剤(A)0.1〜20質量%と、無灰酸化防止剤(B)0.01〜20質量%と、式(1)で表されるアミン化合物(C 1 )からなるアミン化合物(C)0.01〜3質量%とを含む添加剤及び、金属清浄剤(E)を更に含み、
前記金属清浄剤(E)が、中性アルカリ土類金属のサリシレートを含み、かつ以下の(a)〜(c)の要件を満たすことを特徴とするエンジン油用潤滑油組成物が提供される。
(a)リン含有量が0.02質量%以下、
(b)硫酸灰分量が0.5質量%以下、
(c)硫黄含有添加剤の有効成分に起因する硫黄の含有量が0.15質量%以下。
本発明のエンジン油用潤滑油組成物に用いる潤滑油基油は、特に制限はなく、通常の潤滑油に使用される鉱油系基油及び/又は合成系基油が使用できる。
鉱油系基油としては、具体的には、原油を常圧蒸留して得られる常圧残油を減圧蒸留して得られた潤滑油留分を、溶剤脱れき、溶剤抽出、水素化分解、溶剤脱ろう、水素化精製等の処理を1つ以上行って精製したもの、あるいはワックス異性化鉱油、フィッシャートロプシュプロセス等により製造されるGTL WAX(ガストゥリキッドワックス)を異性化する手法で製造される潤滑油基油等が例示できる。
ここで全芳香族含有量とは、ASTM D2549に準拠して測定した芳香族留分(aromatic fraction)含有量を意味する。通常この芳香族留分には、アルキルベンゼン、アルキルナフタレンの他、アントラセン、フェナントレン、及びこれらのアルキル化物、ベンゼン環が四環以上縮合した化合物、又はピリジン類、キノリン類、フェノール類、ナフトール類等のヘテロ芳香族を有する化合物等が含まれる。
鉱油系基油中の硫黄分量は、特に制限はないが、好ましくは0.5質量%以下、より好ましくは0.1質量%以下、さらに好ましくは0.05質量%以下、特に好ましくは0.005質量%以下である。鉱油系基油の硫黄分を低減することで、より高温清浄性に優れる組成物が得られる。
本発明に用いる潤滑油基油の動粘度は特に制限はないが、その100℃での動粘度は、1mm2/s以上、20mm2/s以下が好ましく、2mm2/s以上、10mm2/s以下がより好ましい。潤滑油基油の100℃での動粘度が20mm2/sを越える場合は、低温粘度特性が悪化し、一方、その動粘度が1mm2/s未満の場合は、潤滑箇所での油膜形成が不十分であるため潤滑性に劣り、また潤滑油基油の蒸発損失が大きくなるためそれぞれ好ましくない。
前記含窒素化合物又はその誘導体のアルキル基又はアルケニル基の炭素数が40未満の場合は、潤滑油基油に対する溶解性が低下し、一方、アルキル基又はアルケニル基の炭素数が400を越える場合は、潤滑油組成物の低温流動性が悪化するためそれぞれ好ましくない。このアルキル基又はアルケニル基は、直鎖状でも分枝状でもよいが、好ましいものとしては、例えば、プロピレン、1−ブテン、イソブチレン等のオレフィンのオリゴマーやエチレンとプロピレンとのコオリゴマーから誘導される分枝状アルキル基や分枝状アルケニル基等が挙げられる。
(A1)炭素数40〜400のアルキル基又はアルケニル基を分子中に少なくとも1個有するコハク酸イミド、あるいはその誘導体、
(A2)炭素数40〜400のアルキル基又はアルケニル基を分子中に少なくとも1個有するベンジルアミン、あるいはその誘導体、
(A3)炭素数40〜400のアルキル基又はアルケニル基を分子中に少なくとも1個有するポリアミン、あるいはその誘導体。
これら(A1)成分であるコハク酸イミドの製法は特に制限はなく、例えば、炭素数40〜400のアルキル基又はアルケニル基を有する化合物を、無水マレイン酸と100〜200℃で反応させて得たアルキル又はアルケニルコハク酸をポリアミンと反応させることにより得られる。
ポリアミンとしては、具体的には、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、及びペンタエチレンヘキサミン等が例示できる。
この(A2)成分であるベンジルアミンの製法は特に制限はなく、例えば、プロピレンオリゴマー、ポリブテン、又はエチレン−α−オレフィン共重合体等のポリオレフィンを、フェノールと反応させてアルキルフェノールとした後、これにホルムアルデヒドと、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、又はペンタエチレンヘキサミン等のポリアミンとをマンニッヒ反応により反応させることにより得られる。
R24‐NH−(CH2CH2NH)k−H (6)
式(6)中、R24は炭素数40〜400、好ましくは60〜350のアルキル基又はアルケニル基を示し、kは1〜5、好ましくは2〜4の整数を示す。
この(A3)成分であるポリアミンの製法は特に制限はなく、例えば、プロピレンオリゴマー、ポリブテン、及びエチレン−α−オレフィン共重合体等のポリオレフィンを塩素化した後、これにアンモニアやエチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、又はペンタエチレンヘキサミン等のポリアミンを反応させることにより得られる。
(B)成分としてのフェノール系酸化防止剤としては、例えば、4,4'−メチレンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、4,4'−ビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、4,4'−ビス(2−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2'−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2'−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4'−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4'−イソプロピリデンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2'−メチレンビス(4−メチル−6−ノニルフェノール)、2,2'−イソブチリデンビス(4,6−ジメチルフェノール)、2,2'−メチレンビス(4−メチル−6−シクロヘキシルフェノール)、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェノール、2,4−ジメチル−6−tert−ブチルフェノール、2,6−ジ−tert−α−ジメチルアミノ−p−クレゾール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−(N,N'−ジメチルアミノメチルフェノール)、4,4'−チオビス(2−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4'−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2'−チオビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルベンジル)スルフィド、ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)スルフィド、2,2'−チオ−ジエチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、トリデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクチル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、オクチル−3−(3−メチル−5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート等を好ましい例として挙げることができる。これらは二種以上を混合して使用してもよい。
(B)成分としては、上記フェノール系酸化防止剤とアミン系酸化防止剤とを組合せて配合することが好ましい。
式(1)中、R1は炭素数6〜30、好ましくは炭素数8〜20のアルキル基又はアルケニル基を示し、R2及びR3はそれぞれ個別に炭素数1〜30、好ましくは炭素数1〜8、特に好ましくは炭素数1〜4のアルキル基を示す。
式(1)において炭素数6〜30のアルケニル基としては、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニル基、ヘキサデセニル基、ヘプタデセニル基、オクタデセニル基、ノナデセニル基、イコセニル基、ヘンイコセニル基、ドコセニル基、トリコセニル基、テトラコセニル基、ペンタコセニル基、ヘキサコセニル基、ヘプタコセニル基、オクタコセニル基、ノナコセニル基、トリアコンテニル基等(これらは直鎖状でも分枝状でもよく、また二重結合の位置も任意である)等が例示できる。
式(1)において炭素数1〜4のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基又はブチレン基等(これらは直鎖状でも分枝状でもよい)が例示できる。
これらの中では、特に炭素数8〜20のアルキル基又はアルケニル基と、炭素数1〜8のアルキル基2つを有する3級アミンが好ましい。
本発明のエンジン油用潤滑油組成物において(C)成分の含有量は、組成物全量基準で通常0.01〜3質量%、好ましくは0.1〜2質量%である。
他の潤滑油添加剤としては、例えば、炭素数6〜30の炭化水素基を有する、脂肪族1級又は2級アミン系無灰摩擦調整剤(D1)(以下、(D1)成分ということがある)、脂肪酸エステル系無灰摩擦調整剤(D2)(以下、(D2)成分ということがある)、脂肪酸アミド系無灰摩擦調整剤(D3)(以下、(D3)成分ということがある)、脂肪族エーテル系無灰摩擦調整剤(D4)(以下、(D4)成分ということがある)及び脂肪族アルコール系無灰摩擦調整剤(D5)(以下、(D5)成分ということがある)の少なくとも1種からなる無灰摩擦調整剤(D)(以下、(D)成分ということがある)、金属系清浄剤(E)(以下、(E)成分ということがある)、硫黄及び/又はリン系摩耗防止剤(F)(以下、(F)成分ということがある)及びこれらの混合物からなる群より選択される1種又は2種以上が好ましく挙げられる。
(D)成分を配合することにより、リン、硫黄、金属を増加させることなく高温清浄性を維持又は更に向上させると共に、省燃費性、摩耗防止性を更に付与することができる。
(D2)成分としては、炭素数6〜30の直鎖状又は分枝状、好ましくは直鎖状の脂肪酸と、脂肪族1価アルコール又は脂肪族多価アルコールとのエステル等が挙げられ、具体的には、グリセリン(モノ、ジ又はトリ)エステル、ソルビタン(モノ、ジ又はトリ)エステル等が例示できる。
(D3)成分としては、炭素数6〜30の直鎖状又は分枝状、好ましくは直鎖状の脂肪酸と、脂肪族モノアミン又は脂肪族ポリアミンとのアミド等が挙げられ、具体的には、オレイン酸アミド等が例示できる。
(D4)成分としては、炭素数6〜30の直鎖状又は分枝状、好ましくは直鎖状の炭化水素基を有する脂肪族エーテル等が挙げられ、具体的には、オレイルエーテル、ステアリルエーテル等が例示できる。
(D5)成分としては、炭素数6〜30の直鎖状又は分枝状、好ましくは直鎖状の脂肪族1価アルコール又は脂肪族多価アルコール等が挙げられ、具体的には、オレイルアルコール、ステアリルアルコール、ジオール類、アルキレングリコール類等が例示できる。
(E)成分としては、例えば、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の、スルホネート、サリシレート、フェネート、ホスホネート等の公知の金属系清浄剤が挙げられる。ここで、アルカリ金属としては、ナトリウム、カリウム等が挙げられ、アルカリ土類金属としては、カルシウム、マグネシウム等が挙げられ、特にカルシウム、マグネシウムが好ましく、更にはカルシウムが好ましい。
(E)成分の全塩基価(過塩素酸法)は特に制限はなく、通常0〜500mgKOH/gである。従って、(E)成分としては、中性、塩基性又は過塩基性の金属系清浄剤から選ばれる1種又は2種以上が使用できる。
本発明のエンジン油用潤滑油組成物において(E)成分を配合する場合の含有量は、特に制限はないが、組成物全量基準で、金属元素換算量で好ましくは0.005〜0.3質量%、より好ましくは0.01〜0.15質量%である。(E)成分の金属元素換算量での含有量が0.3質量%を超える場合は、組成物の硫酸灰分量が高くなり、排出ガス後処理装置への影響が懸念されるため好ましくない。また、0.005質量%未満の場合、(E)成分併用の意味がない。
(F)成分は、潤滑油に一般に使用される公知のものが使用でき、例えば、亜リン酸エステル、チオ亜リン酸エステル類、ジチオ亜リン酸エステル類、トリチオ亜リン酸エステル類、リン酸エステル、チオリン酸エステル類、ジチオリン酸エステル類、トリチオリン酸エステル類、これらのアミン塩、これらの金属塩、及びこれらの誘導体、ジチオカーバメート、亜鉛ジチオカーバメート、モリブデンジチオカーバメート、チアゾール類、チアジアゾール類、ジスルフィド類、ポリスルフィド類、硫化オレフィン類、硫化エステル類、硫化油脂類等又はこれらの2種以上の混合物等が挙げられる。
本発明のエンジン油用潤滑油組成物において(F)成分を配合する場合の含有量は、特に制限はないが、組成物全量基準で、硫黄を含有する化合物の場合、その有効成分に起因する硫黄含有量は、硫黄元素換算量で0.15質量%以下が好ましく、0.1質量%以下がより好ましく、0.05質量%以下が特に好ましい。また、リンを含有する化合物の場合は、リン元素換算量で0.06質量%以下が好ましく、0.04質量%以下が更に好ましく、0.02質量%以下が特に好ましい。
(B)成分以外の酸化防止剤としては、例えば、油溶性の銅オレート系、モリブデンアミン系等の金属系酸化防止剤が挙げられる。
(D)成分以外の摩擦調整剤としては、例えば、ジチオカルバミン酸モリブデン、ジチオリン酸モリブデン、二硫化モリブデン等が挙げられる。
粘度指数向上剤としては、例えば、ポリメタクリレート系粘度指数向上剤、オレフィン共重合体系粘度指数向上剤、スチレン−ジエン共重合体系粘度指数向上剤、スチレン−無水マレイン酸エステル共重合体系粘度指数向上剤又はポリアルキルスチレン系粘度指数向上剤等が挙げられる。これらの粘度指数向上剤の重量平均分子量は、通常800〜1000000、好ましくは100000〜900000である。
腐食防止剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系、トリルトリアゾール系、チアジアゾール系、又はイミダゾール系化合物等が挙げられる。
抗乳化剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、及びポリオキシエチレンアルキルナフチルエーテル等のポリアルキレングリコール系非イオン系界面活性剤等が挙げられる。
金属不活性化剤としては、例えば、イミダゾリン、ピリミジン誘導体、アルキルチアジアゾール、メルカプトベンゾチアゾール、ベンゾトリアゾール又はその誘導体、1,3,4−チアジアゾールポリスルフィド、1,3,4−チアジアゾリル−2,5−ビスジアルキルジチオカーバメート、2−(アルキルジチオ)ベンゾイミダゾール、又はβ−(o−カルボキシベンジルチオ)プロピオンニトリル等が挙げられる。
消泡剤としては、例えば、シリコーン、フルオロシリコール、又はフルオロアルキルエーテル等が挙げられる。
(a)リン含有量が0.02質量%以下、好ましくは0.01質量%、特に好ましくはリンを実質的に含有しない。
(b)硫酸灰分量が0.5質量%以下、好ましくは0.1質量%以下、特に好ましくは金属を実質的に含有しない。
(c)硫黄含有添加剤の有効成分に起因する硫黄の含有量が0.15質量%以下、好ましくは0.1質量%以下、さらに好ましくは0.05質量%以下、特に好ましくは実質的に当該硫黄を含有しない。
ここで、(b)要件における硫酸灰分量とは、JIS K2272の5.「硫酸灰分の試験方法」に規定される方法により測定される値を示し、主として金属含有添加剤に起因する値である。
尚、表中の各成分は以下のとおりである。
1)潤滑油基油:水素化分解鉱油(100℃動粘度:4.2mm2/s、硫黄分:0.001質量%、粘度指数:120)
2)無灰分散剤(A):ポリブテニルコハク酸イミド及びホウ素化ポリブテニルコハク酸イミド
3)無灰酸化防止剤(B):フェノール系及びアミン系酸化防止剤
4)アミン化合物(C)
アミン化合物(C1-a):C12H25-N(CH3)2
アミン化合物(C1-b):R-N(CH3)2(ここで、Rは炭素数8〜18(主成分は炭素数12及び/又は14のアルキル基)のヤシアルキル基を示す)
アミン化合物(C1-c):C18H37-N(CH3)2
アミン化合物(C2-a):ポリエチレングリコールラウリルアミン(C12H25-N(C2H4O)xH・(C2H4O)yH)
アミン化合物(C2-b):ポリエチレングリコールステアリルアミン(C18H37-N(C2H4O)xH・(C2H4O)yH)
5)比較のためのアミン化合物
1級アミン化合物(a):C12H25-NH2
1級アミン化合物(b):R-NH2(ここで、Rは炭素数8〜18(主成分は炭素数12及び/又は14のアルキル基)のヤシアルキル基を示す)
1級アミン化合物(c):C18H35-NH2
アルケニルポリエーテルアミン(d):ポリエチレングリコールオレイルアミン(C18H35-N(C2H4O)xH・(C2H4O)yH)
無灰摩擦調整剤(D1):オレイルアミン
無灰摩擦調整剤(D2):オレイン酸グリセライド(モノ、ジ、トリの混合物)
無灰摩擦調整剤(D3):オレイン酸アミド
7)金属系清浄剤(E)
金属系清浄剤(E1):過塩基性カルシウムスルホネート(全塩基価:300mgKOH/g)
金属系清浄剤(E2):過塩基性カルシウムフェネート(全塩基価:250mgKOH/g)
金属系清浄剤(E3):過塩基性カルシウムサリシレート(全塩基価:170mgKOH/g)
金属系清浄剤(E4):中性カルシウムサリシレート(全塩基価:70mgKOH/g)
8)硫黄及び/又はリン含有摩耗防止剤(F)
摩耗防止剤(F3):硫化油脂
摩耗防止剤(F4):硫化オレイン酸メチルエステル
摩耗防止剤(F5):ジtert−ドデシルポリスルフィド
摩耗防止剤(F8):酸性リン酸エステルのアミン塩
9)その他の添加剤:粘度指数向上剤及び消泡剤
表1に示す組成のエンジン油用潤滑油(参考例1〜7)、比較用のエンジン油用潤滑油(比較例1〜7)をそれぞれ調製した。これらは無リン、無灰(金属不含有、硫酸灰分:0.1質量%以下)、無硫黄(硫黄系添加剤不含有)のエンジン油用潤滑油である。
得られた各エンジン油用潤滑油に対し、JPI−5S−5599に準拠し、300℃においてホットチューブ試験を行った。評点は無色透明(汚れなし)を10点、黒色不透明を0点とし、この間をあらかじめ1刻みで作成した標準チューブを参照して評価した。結果を表1に示す。
また、(C)成分の変わりに1級アミンを使用した場合(比較例4〜6)、アルケニル基を有するポリエーテルアミンを使用した場合(比較例7)でも同様に効果が全く得られないことがわかる。
表2に示す組成のエンジン油用潤滑油(参考例8〜10)、比較用のエンジン油用潤滑油(比較例8〜10)をそれぞれ調製した。これらは上記表1の潤滑油に、更に(D)成分を併用したものであり、同様に無リン、無灰(金属不含有、硫酸灰分:0.1質量%以下)、無硫黄(硫黄系添加剤不含有)のエンジン油用潤滑油である。得られた各エンジン油用潤滑油に対し、参考例1〜7と同様にホットチューブ試験を行った。結果を表2に示す。
表3に示す組成の本発明にかかるエンジン油用潤滑油(実施例1)、比較用のエンジン油用潤滑油(比較例11〜13)及び参考のエンジン油用潤滑油(参考例11〜16)をそれぞれ調製した。これらは上記表1の潤滑油に、更に(E)成分を併用したものであり、無リン、低灰(硫酸灰分:0.5質量%以下)、低硫黄又は無硫黄(硫黄系添加剤不含有)のエンジン油用潤滑油である。
得られた各エンジン油用潤滑油に対し、JPI−5S−5599に準拠し、280℃においてホットチューブ試験を行った。評点は無色透明(汚れなし)を10点、黒色不透明を0点とし、この間をあらかじめ1刻みで作成した標準チューブを参照して評価した。尚、高性能ディーゼルエンジン油の規格であるJASO DH−1規格では、280℃における評点が7.0以上であれば合格レベルであるので、評点が7.0以上であれば優れたエンジン油用潤滑油といえる。
表4に示す組成のエンジン油用潤滑油(参考例17〜27)、比較用のエンジン油用潤滑油(比較例14)をそれぞれ調製した。これらは上記表1の潤滑油に、更に(F)成分を併用したものであり、低リン又は無リン、低灰又は無灰(硫酸灰分:0.1質量%以下)、低硫黄(硫黄系添加剤起因の硫黄含有量:0.15質量%以下)のエンジン油用潤滑油である。得られた各潤滑油に対し、実施例1と同様にホットチューブ試験を行った。結果を表4に示す。
本発明にかかるエンジン油用潤滑油は、上記性能以外にも酸化安定性に極めて優れており、長期の使用に耐えうるロングドレイン油としても有用である。
Claims (2)
- 潤滑油基油に、組成物全量基準で、無灰分散剤(A)0.1〜20質量%と、無灰酸化防止剤(B)0.01〜20質量%と、式(1)で表されるアミン化合物(C 1 )からなるアミン化合物(C)0.01〜3質量%とを含む添加剤及び、金属清浄剤(E)を更に含み、
前記金属清浄剤(E)が、中性アルカリ土類金属のサリシレートを含み、かつ以下の(a)〜(c)の要件を満たすことを特徴とするエンジン油用潤滑油組成物。
(a)リン含有量が0.02質量%以下、
(b)硫酸灰分量が0.5質量%以下、
(c)硫黄含有添加剤の有効成分に起因する硫黄の含有量が0.15質量%以下。
- 前記添加剤が、炭素数6〜30の炭化水素基を有する、脂肪族1級又は2級アミン系無灰摩擦調整剤(D1)、脂肪酸エステル系無灰摩擦調整剤(D2)、脂肪酸アミド系無灰摩擦調整剤(D3)、脂肪族エーテル系無灰摩擦調整剤(D4)及び脂肪族アルコール系無灰摩擦調整剤(D5)の少なくとも1種からなる無灰摩擦調整剤(D)、硫黄及び/又はリン系摩耗防止剤(F)及びこれらの混合物からなる群より選択される1種又は2種以上を更に含むことを特徴とする請求項1記載の組成物。
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