JP4506918B2 - 反射防止膜、反射防止膜を含む積層体、および反射防止膜の製造方法 - Google Patents
反射防止膜、反射防止膜を含む積層体、および反射防止膜の製造方法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、硬化性組成物から得られる反射防止膜および反射防止膜を含む積層体に関する。より詳細には、優れた反射防止効果や耐汚染性などを有するとともに、熱硬化および/または酸素存在下において光硬化反応により形成可能である反射防止膜およびその反射防止膜を含む積層体、ならびにその反射防止膜の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
反射防止膜の形成材料として、例えば、熱硬化型ポリシロキサン組成物が知られており、特開昭61−2477453号公報、特開平6−25599号公報、特開平7−331115号公報および特開平10−232301号公報などに開示されている。
しかしながら、この熱硬化型ポリシロキサン組成物から得られる反射防止膜は、高温で長時間にわたって加熱処理をする必要があり、生産性が低かったり、あるいは適用基材の種類が限定されるという問題が見られる。
【0003】
また、反射防止膜の形成材料として、紫外線などの光を利用して硬化させる光硬化性樹脂組成物も知られており、特開平1−197570号公報、特開平6−136062号公報、特開平9−203861号公報および特開平10−239502号公報などに開示されている。
しかしながら、光硬化性樹脂組成物における主成分は、フッ素含有ビニル系樹脂であり、光硬化に際してラジカル重合を利用しているため、大気中の酸素による活性ラジカルの失活が生じやすく、しばしば硬化不良を生じる場合が見られる。特に、本発明が対象とする反射防止膜のような薄膜用途においては、大気中の酸素の影響を受けやすく、実質的に光硬化性樹脂組成物を光硬化できないという問題が見られる。また、フッ素含有ビニル系樹脂からなる反射防止膜は、硬度が低く、耐擦傷性に乏しかったり、あるいは、耐候性や耐汚染性に劣るという問題点を有している。
【0004】
以上述べたように、従来の反射防止膜の形成材料として、熱硬化型ポリシロキサン組成物は、硬化時間が長く、高温加熱処理を必要とするため、適用できる基材が限定され、さらには保存安定性に乏しいという問題点を有している。一方、従来のフッ素含有ビニル系樹脂からなる光硬化性組成物は、酸素の影響を受けやすく、また、得られた反射防止膜における耐擦傷性や耐候性あるいは耐汚染性に劣るという問題点を有している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは、鋭意検討した結果、反射防止膜の形成材料として、特定の加水分解性シラン化合物と特定のフッ素含有重合体を組み合わせた熱硬化性組成物、および/またはこれにさらに光酸発生剤とを組み合わせた光硬化性組成物を使用することにより、上述した問題を解決できることを見出した。
本発明は、優れた反射防止効果や耐汚染性などを有するとともに、熱硬化、あるいは酸素存在下においても光硬化反応により形成可能である反射防止膜およびその反射防止膜を含む積層体、ならびにその反射防止膜の製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、(A)下記一般式(1)
(R1 )n Si(OR2 )4-n ・・・・・(1)
(式中、R1 は、2個存在するときは同一または異なり、炭素数1〜8の1価の有機基を示し、R2 は、同一または異なり、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜6のアシル基を示し、nは0〜2の整数である。)
で表されるオルガノシラン、該オルガノシランの加水分解物および該オルガノシランの縮合物の群から選ばれる少なくとも1種、ならびに
(B−1)加水分解性基および/または水酸基と結合したケイ素原子を有するシリル基を有するフッ素含有アクリル系重合体(以下「(B−1)フッ素含有アクリル系重合体」ともいう)
を含有するコーティング組成物を硬化してなる反射防止膜に関する。
また、本発明は、上記(A)成分、ならびに
(B−2)加水分解性基および/または水酸基と結合したケイ素原子を有するシリル基を有するフッ素含有ビニルエーテル系重合体(以下「(B−2)フッ素含有ビニルエーテル系重合体」ともいう)
を含有するコーティング組成物を硬化してなる反射防止膜に関する。
以上の本発明の反射防止膜に使用されるコーティング組成物中には、さらに、(B−3)加水分解性基および/または水酸基と結合したケイ素原子を有するシリル基を有するアクリル系重合体(以下「(B−3)シリル基含有アクリル系重合体」ともいう)を含有させてもよい。
また、本発明の反射防止膜に使用されるコーティング組成物中には、さらに、(G)光酸発生剤や、(H)脱水剤を含有させることにより、この組成物を光硬化性組成物として用いることができる。
次に、本発明は、上記コーティング組成物を成形する工程と、成形したコーティング組成物を熱硬化および/または光硬化する工程を含むことを特徴とする反射防止膜の製造方法に関する。
次に、本発明は、上記反射防止膜を基材上に含むことを特徴とする反射防止膜を含む積層体に関する。
本発明の反射防止膜は、大気中においても酸素の影響を受けることなく形成することが可能であり、例えば、ガラス、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂またはアクリル系樹脂からなる基材を含む積層体とすることにより、カメラのレンズ部、テレビ(CRT)の画面表示部、あるいは液晶表示装置におけるカラーフィルターなどの広範な反射防止膜の利用分野において、優れた反射防止効果や耐久性、耐汚染性を得ることができる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に用いられるコーティング組成物を構成する各成分について、順次説明する。
(A)成分
本発明のコーティング組成物に配合される(A)成分は、上記一般式(1)で表されるオルガノシラン(以下「オルガノシラン(1)」という)、オルガノシラン(1)の加水分解物、およびオルガノシラン(1)の縮合物から選択された少なくとも1種である。すなわち、(a)成分は、これら3種のうちの1種だけでもよいし、任意の2種の混合物であってもよいし、3種類すべてを含んだ混合物であってもよい。
ここで、上記オルガノシラン(1)の加水分解物は、オルガノシラン(1)に2〜4個含まれるOR2 基がすべて加水分解されている必要はなく、例えば、1個だけが加水分解されているもの、2個以上が加水分解されているもの、あるいはこれらの混合物であってもよい。
また、上記オルガノシラン(1)の縮合物は、オルガノシラン(1)の加水分解物のシラノール基が縮合してSi−O−Si結合を形成したものであるが、本発明では、シラノール基がすべて縮合している必要はなく、僅かな一部のシラノール基が縮合したもの、縮合の程度が異なっているものの混合物などをも包含した概念である。
【0008】
一般式(1)において、R1 の炭素数1〜8の1価の有機基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基などのアルキル基や、ビニル基、アリル基、シクロヘキシル基、フェニル基、アシル基、グリシジル基、(メタ)アクリルオキシ基、ウレイド基、アミド基、フルオロアセトアミド基、イソシアナート基などのほか、これらの基の置換誘導体などを挙げることができる。
【0009】
R1 の置換誘導体における置換基としては、例えば、ハロゲン原子、置換もしくは非置換のアミノ基、水酸基、メルカプト基、イソシアナート基、グリシドキシ基、3,4−エポキシシクロヘキシル基、(メタ)アクリルオキシ基、ウレイド基、アンモニウム塩基などを挙げることができる。ただし、これらの置換誘導体からなるR1 の炭素数は、置換基中の炭素原子を含めて8以下である。
一般式(1)中に、R1 が2個存在するときは、相互に同一でも異なってもよい。
【0010】
また、R2 の炭素数1〜5のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基などを挙げることができ、炭素数1〜6のアシル基としては、例えば、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、バレリル基、カプロイル基などを挙げることができる。
一般式(1)中に複数個存在するR2 は、相互に同一でも異なってもよい。
【0011】
このようなオルガノシラン(1)の具体例としては、
テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−i−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシランなどのテトラアルコキシシラン類;メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、i−プロピルトリメトキシシラン、i−プロピルトリエトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、n−ペンチルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、n−ヘプチルトリメトキシシラン、n−オクチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、2−ヒドロキシエチルトリメトキシシラン、2−ヒドロキシエチルトリエトキシシラン、2−ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、2−ヒドロキシプロピルトリエトキシシラン、3−ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、3−ヒドロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−イソシアナートプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアナートプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アタクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシランなどのトリアルコキシシラン類;ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジ−n−プロピルジメトキシシラン、ジ−n−プロピルジエトキシシラン、ジ−i−プロピルジメトキシシラン、ジ−i−プロピルジエトキシシラン、ジ−n−ブチルジメトキシシラン、ジ−n−ブチルジエトキシシラン、ジ−n−ペンチルジメトキシシラン、ジ−n−ペンチルジエトキシシラン、ジ−n−ヘキシルジメトキシシラン、ジ−n−ヘキシルジエトキシシラン、ジ−n−ヘプチルジメトキシシラン、ジ−n−ヘプチルジエトキシシラン、ジ−n−オクチルジメトキシシラン、ジ−n−オクチルジエトキシシラン、ジ−n−シクロヘキシルジメトキシシラン、ジ−n−シクロヘキシルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシランなどのジアルコキシシラン類のほか、メチルトリアセチルオキシシラン、ジメチルジアセチルオキシシランなどを挙げることができる。
【0012】
これらのうち、トリアルコキシシラン類、ジアルコキシシラン類が好ましく、また、トリアルコキシシラン類としては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシランが好ましく、さらに、ジアルコキシシラン類としては、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシランが好ましい。
【0013】
本発明において、オルガノシラン(1)としては、特に、トリアルコキシシランのみ、あるいは、トリアルコキシシラン40〜95モル%とジアルコキシシラン60〜5モル%との組み合わせが好ましい。ジアルコキシシランをトリアルコキシシランと併用することにより、得られる塗膜を柔軟化し、耐アルカリ性を向上させることができる。
【0014】
オルガノシラン(1)は、そのまま、あるいは加水分解物および/または縮合物として使用される。オルガノシラン(1)を加水分解物および/または縮合物として使用する場合は、予め加水分解・縮合させて(A)成分として使用することもできるが、後述するように、オルガノシラン(1)を残りの成分と混合して組成物を調製する際に、適量の水を添加することにより、オルガノシラン(1)を加水分解・縮合させて、(A)成分とすることが好ましい。
(A)成分が縮合物として使用されるとき、該縮合物のポリスチレン換算重量平均分子量(以下「Mw」という)は、好ましくは、800〜100,000、さらに好ましくは、1,000〜50,000である。
【0015】
また、(A)成分の市販品には、三菱化学(株)製のMKCシリケート、コルコート社製のエチルシリケート、東レ・ダウコーニング社製のシリコンレジン、東芝シリコーン(株)製のシリコンレジン、信越化学工業(株)製のシリコンレジン、日本ユニカ(株)製のシリコンオリゴマーなどがあり、これらをそのまま、または縮合させて使用してもよい。
【0016】
本発明において、(A)成分は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0017】
(B)成分
本発明における(B)成分は、加水分解性基および/または水酸基と結合したケイ素原子を有するシリル基(以下「特定シリル基」という)を有するフッ素系重合体である。これらのフッ素系重合体としては、上記(B−1)成分および(B−2)成分が挙げられる。
なお、(B)成分としては、上記(B−1)成分および/または(B−2)成分に、さらに上記(B−3)シリル基含有アクリル系重合体を併用することができる。
このような(B)成分は、本発明の組成物から得られる塗膜を硬化させる際に、そのシリル基の加水分解性基および/または水酸基が、上記(A)成分と共縮合することにより、優れた塗膜性能をもたらすことができる。
また、(B)成分〔(B−1)〜(B−2)成分〕は、フッ素原子を含有することから、優れた撥水性および撥油性による防汚性機能のほか、剥離・非粘着機能を有する高硬度の塗膜を形成することができる。
【0018】
(B)成分における特定シリル基の含有量は、ケイ素原子の量に換算して、特定シリル基の導入前の重合体に対して、通常、0.001〜20重量%、好ましくは0.005〜18重量%である。
【0019】
(B−1)フッ素含有アクリル系重合体;
(B−1)成分は、加水分解性基および/または特定シリル基を有し、好ましくは、特定シリル基が重合体分子鎖の末端および/または側鎖に有するフッ素含有アクリル系重合体である。
【0020】
特定シリル基は、好ましくは下記一般式(2)
(式中、Xはハロゲン原子、アルコキシ基、アシロキシ基、アミノキシ基、フェノキシ基、チオアルコキシ基、アミノ基などの加水分解性基または水酸基を示し、R3 は水素原子、炭素数1〜10のアルキル基または炭素数1〜10のアラルキル基を示し、iは1〜3の整数である)で表される。
【0021】
(B−1)成分は、例えば、(B−a)フッ素原子を含有する単量体(以下「(B−a)単量体」という)、(B−b)アルキル(メタ)アクリレート(以下「(B−b)単量体」という)、(B−c)シリル基を有する単量体(以下「(B−c)単量体」という)を重合して得られ、また、必要に応じて、(B−d)これらの単量体と共重合可能な他の単量体(以下「(B−d)単量体」という)をさらに含めて重合して得てもよい。
【0022】
上記(B−a)単量体としては、例えば、少なくとも1個の重合性の不飽和二重結合基および少なくとも1個のフッ素原子を有する化合物を挙げることができる。
具体的には、
(イ)テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、フッ化ビニリデン、クロロトリフルオロエチレン、3,3,3−トリフルオロプロピレン、テトラフルオロエチレンなどのフルオロオレフィン類;
(ロ)CH2 =CH−O−Rf
(Rfは、フッ素原子を含むアルキル基もしくはアルコキシアルキル基を示す)で表される(フルオロアルキル)ビニルエーテル、または、(フルオロアルコキシアルキル)ビニルエーテル類;
(ハ)パーフルオロ(メチルビニルエーテル)、パーフルオロ(エチルビニルエーテル)、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)、パーフルオロ(ブチルビニルエーテル)、パーフルオロ(イソブチルビニルエーテル)などのパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)類;
(ニ)パーフルオロ(プロポキシプロピルビニルエーテル)などのパーフルオロ(アルコキシアルキルビニルエーテル)類;
(ホ)2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロブチル)エチル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロヘキシル)エチル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロオクチル)エチル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロデシル)エチル(メタ)アクリレート、1H,1H,5H−オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、1H,1H,2H,2H−ヘプタデカフルオロデシル(メタ)アクリレートなどのフッ素含有(メタ)アクリル酸エステル類;
などを挙げることができる。
【0023】
これらのフッ素原子を含有する単量体は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて使用してもよい。好ましくは、(ホ)群の単量体単独、または、(ホ)群の単量体と(イ)〜(ニ)群から選ばれる単量体との組み合わせが使用される。特に、フッ素含有単量体として、ヘキサフルオロプロピレンとパーフルオロアルキルパーフルオロビニルエーテルまたはパーフルオロアルコキシアルキルパーフルオロビニルエーテルとを組み合わせて使用することが好ましい。
なお、(B−a)フッ素原子を含有する単量体の使用量は、(B)成分を構成する全単量体中に、好ましくは5〜95重量%、さらに好ましくは10〜90重量%程度である。
【0024】
上記(B−b)単量体としては、炭素数4〜12のものが好ましく、具体的には、メチル(メタ)アクリレート、 エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、アミル(メタ)アクリレート、i−アミル(メタ)アクリレート、へキシル(メタ)アクリレート、2−エチルへキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシルメタクリレートなどが挙げられる。
これらは、1種単独あるいは2種以上を併用して用いることができる。
なお、(B−b)単量体の使用量は、(B)成分を構成する全単量体中に、好ましくは5〜95重量%、さらに好ましくは10〜90重量%程度である。
【0025】
上記(B−c)単量体としては、例えば、
下記一般式(3)
〔式中のX,R3 ,iは、上記一般式(2)におけるそれぞれX,R3 ,iと同義であり、R4 は、重合性二重結合を有する有機基を示す)で表されるシラン化合物(以下「不飽和シラン化合物」という)などを挙げることができる。
【0026】
上記不飽和シラン化合物の具体例としては、
CH2 =CHSi(CH3)(OCH3)2 、
CH2 =CHSi(OCH3)3 、CH2 =CHSi(OC2 H5 )3 、
CH2 =CHSi(CH3)Cl2 、CH2 =CHSiCl3 、
CH2 =CHCOO(CH2)2 Si(CH3)(OCH3)2 、
CH2 =CHCOO(CH2)2 Si(OCH3)3 、
CH2 =CHCOO(CH2)3 Si(CH3)(OCH3)2 、
CH2 =CHCOO(CH2)3 Si(OCH3)3 、
CH2 =CHCOO(CH2)2 Si(CH3)Cl2 、
CH2 =CHCOO(CH2)2 SiCl3 、
CH2 =CHCOO(CH2)3 Si(CH3)Cl2 、
CH2 =CHCOO(CH2)3 SiCl3 、
CH2 =C(CH3)COO(CH2)2 Si(CH3)(OCH3)2 、
CH2 =C(CH3)COO(CH2)2 Si(OCH3)3 、
CH2 =C(CH3)COO(CH2)3 Si(CH3)(OCH3)2 、
CH2 =C(CH3)COO(CH2)3 Si(OCH3)3 、
CH2 =C(CH3)COO(CH2)2 Si(CH3)Cl2 、
CH2 =C(CH3)COO(CH2)2 SiCl3 、
CH2 =C(CH3)COO(CH2)3 Si(CH3)Cl2 、
CH2 =C(CH3)COO(CH2)3 SiCl3 、
【0027】
【化1】
【化2】
【化3】
【化4】
【0028】
を挙げることができる。
これらは、1種単独あるいは2種以上を併用して用いることができる。
なお、(B−c)単量体の使用量は、(B)成分を構成する全単量体中に、好ましくは0.1〜95重量%、さらに好ましくは1〜90重量%程度である。
【0029】
(B−d)単量体としては、例えば、
(イ)スチレン、α−メチルスチレン、4−メチルスチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メトキシスチレン、2−ヒドロキシメチルスチレン、4−エチルスチレン、4−エトキシスチレン、3,4−ジメチルスチレン、3,4−ジエチルスチレン、2−クロロスチレン、3−クロロスチレン、4−クロロ−3−メチルスチレン、4−t−ブチルスチレン、2,4−ジクロロスチレン、2,6−ジクロロスチレン、1−ビニルナフタレンなどの芳香族ビニル単量体;
【0030】
(ロ)ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアミル(メタ)アクリレート、ヒドロキシへキシル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;
アリルグリシジルエーテル、グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレートなどのエポキシ化合物;
【0031】
(ハ)ジビニルベンゼン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、 テトラプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートなどの多官能性単量体;
【0032】
(ニ)(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N′−メチレンビスアクリルアミド、ダイアセトンアクリルアミド、マレイン酸アミド、マレイミドなどの酸アミド化合物;
(ホ)塩化ビニル、塩化ビニリデン、脂肪酸ビニルエステルなどのビニル化合物;
(ヘ)1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−ネオペンチル−1,3−ブタジエン、2−クロロ−1,3−ブタジエン、2−シアノ−1,3−ブタジエン、イソプレン、アルキル基、ハロゲン原子、シアノ基などの置換基で置換された置換直鎖共役ペンタジエン類、直鎖状および側鎖状の共役ヘキサジエンなどの脂肪族共役ジエン;
(ト)(メタ)アクリル酸、フマル酸、イタコン酸、モノアルキルイタコン酸、マレイン酸、クロトン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸などのエチレン性不飽和カルボン酸;
【0033】
(チ)アクリロニトリル、メタアクリロニトリルなどのシアン化ビニル化合物;
トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、ペンタデカフルオロオクチル(メタ)アクリレートなどのフッ素原子含有単量体;
(リ)4−(メタ)アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルオキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジンなどのピペリジン系モノマー;
そのほかジカプロラクトンなどが挙げられる。
【0034】
これらは、1種単独あるいは2種以上を併用して用いることができる。
なお、(B−d)単量体の使用量は、(B)成分を構成する全単量体中に、好ましくは0.1〜80重量%、さらに好ましくは0.5〜60重量%程度である。
【0035】
上記(B−1)成分を製造する際の重合方法としては、例えば、一括して単量体を添加して重合する方法、単量体の一部を重合したのち、その残りを連続的にあるいは断続的に添加する方法、もしくは、単量体を重合の始めから連続的に添加する方法などが挙げられる。また、これらの重合方法を組み合わせた重合方法を採用することもできる。好ましい重合方法としては、溶液重合が挙げられる。溶液重合に使用される溶媒は、通常のものを使用できるが、そのうち、ケトン類、アルコール類が好ましい。この重合において、重合開始剤、分子量調整剤、キレート化剤、無機電解質は、公知のものを使用することができる。
【0036】
(B−1)成分のポリスチレン換算数平均分子量(以下「Mn」という)は、好ましくは、1,000〜50,000、さらに好ましくは、3,000〜30,000である。
【0037】
本発明において、(B−1)成分は、単独でまたは上記のようにして得られた2種以上を混合して使用することができる。
【0038】
本発明における(B−1)成分の使用量は、(A)成分におけるオルガノシラン(1)100重量部に対して、通常、30〜500重量部、好ましくは、40〜400重量部、さらに好ましくは、50〜300重量部である。この場合、(B−1)成分の使用量が30重量部未満では、得られる塗膜の耐アルカリ性、耐クラック性が低下するがある。一方、500重量部を超えると、塗膜の耐候性、耐熱性、耐摩耗性などが低下する傾向がある。
【0039】
(B−2)フッ素含有ビニルエーテル系重合体;
本発明における(B−2)成分は、上記特定シリル基を重合体分子鎖の末端および/または側鎖に有するフッ素含有ビニルエーテル系重合体である。
【0040】
(B−2)成分は、上記の(B−a)単量体、上記の(B−c)単量体、(B−e)ビニルエーテル単量体(以下「(B−e)単量体」という)を重合して得られ、また、必要に応じて、(B−f)これらの単量体と共重合可能な他の単量体(以下「(B−f)単量体」という)をさらに含めて重合して得てもよい。
【0041】
上記(B−e)単量体としては、例えば、
(イ)ビニルグリシジルエーテル、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、3−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、2−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、3−ヒドロキシブチルビニルエーテル、5−ヒドロキシペンチルビニルエーテル、6−ヒドロキシヘキシルビニルエーテルなどのビニルエーテル類;
【0042】
(ロ)アリルグリシジルエーテル、2−ヒドロキシエチルアリルエーテル、4−ヒドロキシブチルアリルエーテル、グリセロールモノアリルエーテルなどのアリルエーテル類;
(ハ)メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、tert−ブチルビニルエーテル、n−ペンチルビニルエーテル、n−ヘキシルビニルエーテル、n−オクチルビニルエーテル、n−ドデシルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテルなどのアルキルビニルエーテルもしくはシクロアルキルビニルエーテル類;
などを挙げることができる。
これらは、1種単独であるいは2種以上を併用して用いることができる。
なお、(B−e)単量体の使用量は、(B)成分を構成する全単量体中に、好ましくは0.1〜95重量%、さらに好ましくは0.5〜90重量%程度である。
【0043】
なお、(B−a)単量体および(B−c)単量体の種類および使用量は、(B−1)フッ素含有アクリル系重合体におけるものと同様である。また、(B−f)単量体の種類は、(B−1)成分において示した(B−d)成分のほかに、(B−b)成分も適用することができ、(B−f)成分のその使用量も、これらの単量体の使用量と同様である。
【0044】
(B−2)成分を製造する際の重合方法は、(B−1)成分において例示した重合方法を適用することができ、好ましい重合方法としては、溶液重合が挙げらる。溶液重合の際に用いられる溶媒は、通常のものを使用することができ、好ましくは、ケトン類、アルコール類を挙げることができる。また、この重合においても、重合開始剤、分子量調整剤、キレート化剤および無機電解質は、公知のものを使用することができる。
【0045】
(B−2)成分のMnは、好ましくは、1,000〜70,000、さらに好ましくは、3,000〜30,000である。
【0046】
本発明において、(B−2)成分は、単独でまたは上記のようにして得られた2種以上を混合して使用することができる。
【0047】
本発明における(B−2)成分の使用量は、(A)成分におけるオルガノシラン(1)100重量部に対して、通常、50〜800重量部、好ましくは、60〜700重量部、さらに好ましくは、80〜500重量部である。この場合、(B−2)成分の使用量が50重量部未満では、得られる塗膜の耐アルカリ性、耐クラック性が低下する傾向がある。一方、800重量部を超えると、塗膜の耐候性が低下する傾向がある。
【0048】
なお、本発明において、上記(B−1)成分と上記(B−2)成分とを組み合わせて、本発明の組成物を得てもよい。
【0049】
(B−3)シリル基含有アクリル系重合体;
(B−3)成分は、加水分解性基および/または水酸基と結合したケイ素原子を有するシリル基を有するアクリル系重合体である。
(B−3)成分は、例えば、上記(B−b)アルキル(メタ)アクリレート、および(B−c)シリル基を有する単量体を重合して得られ、また、必要に応じて、(B−d)これらの単量体と共重合可能な他の単量体をさらに含めて重合して得てもよい。
(B−3)成分における各単量体の組成比は、上記(B−1)成分や(B−2)成分における各単量体の組成比と同様である。
【0050】
なお、(B−3)成分を製造する際の重合方法は、(B−1)成分において例示した重合方法を適用することができ、好ましい重合方法としては、溶液重合が挙げられる。溶液重合の際に用いられる溶媒は、通常のものを使用することができ、好ましくは、ケトン類、アルコール類を挙げることができる。また、この重合においても、重合開始剤、分子量調整剤、キレート化剤および無機電解質は、公知のものを使用することができる。
【0051】
(B−3)成分のポリスチレン換算数平均分子量(以下「Mn」という)は、好ましくは、1,000〜50,000、さらに好ましくは、3,000〜30,000である。
【0052】
本発明において、(B−3)成分は、単独でまたは上記のようにして得られた2種以上を混合して使用することができる。
【0053】
本発明における(B−3)成分の使用量は、(A)成分におけるオルガノシラン(1)100重量部に対して、0〜800重量部、好ましくは、0.5〜700重量部、さらに好ましくは、1〜600重量部である。この場合、(B−3)成分の使用量が800重量部を超えると、塗膜の硬度や耐候性、耐熱性、耐摩耗性などの塗膜強度や耐久性が低下する傾向がある。
【0054】
さらに、本発明の組成物には、下記の(C)〜(F)成分を配合することができる。以下、これらの成分につき説明する。
【0055】
(C)成分
(C)成分は、水および/または有機溶剤からなる。
本発明の組成物は、上記(A)成分および(B)成分を必須とし、後述する(D)〜(F)成分などを含有するものであり、通常、組成物を調製する際に、水がオルガノシラン(1)や(B)成分を加水分解・縮合反応させ、あるいは、粒子状成分を分散させるために添加される。
本発明における水の使用量は、(A)成分におけるオルガノシラン(1)1モルに対して、通常、0.5〜3モル、好ましくは、0.7〜2モル程度である。
【0056】
また、上記有機溶剤は、主として、(A)〜(B)成分や、(D)〜(F)成分などを均一に混合させ、組成物の全固形分濃度を調整すると同時に、種々の塗装方法に適用できるようにし、かつ組成物の分散安定性および保存安定性をさらに向上させるために使用される。
【0057】
このような有機溶剤としては、上記各成分を均一に混合できるものであれば特に限定されないが、例えば、アルコール類、芳香族炭化水素類、エーテル類、ケトン類、エステル類などを挙げることができる。
これらの有機溶剤のうち、アルコール類の具体例としては、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール、n−ヘキシルアルコール、n−オクチルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテートなどを挙げることができる。
【0058】
また、芳香族炭化水素類の具体例としては、ベンゼン、トルエン、キシレンなどを、エーテル類の具体例としては、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどを、ケトン類の具体例としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトンなどを、エステル類の具体例としては、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、炭酸プロピレンなどを挙げることができる。
これらの有機溶剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0059】
本発明の組成物の全固形分濃度は、好ましくは、50重量%以下であり、使用目的に応じて適宜調整される。例えば、薄膜形成基材への含浸を目的とするときには、通常、20重量%以下であり、また厚膜形成を目的で使用するときには、通常、20〜50重量%、好ましくは30〜45重量%である。組成物の全固形分濃度が50重量%を超えると、保存安定性が低下する傾向がある。
【0060】
(D)成分
(D)成分は、(A)成分、(B)成分などの加水分解・縮合反応を促進する触媒である。
(D)成分を使用することにより、得られる塗膜の硬化速度を高めるとともに、使用されるオルガノシラン成分の重縮合反応により生成されるポリシロキサン樹脂の分子量が大きくなり、強度、長期耐久性などに優れた塗膜を得ることができ、かつ塗膜の厚膜化や塗装作業も容易となる。
【0061】
このような(D)成分としては、酸性化合物、アルカリ性化合物、塩化合物、アミン化合物、有機金属化合物および/またはその部分加水分解物(以下、有機金属化合物および/またはその部分加水分解物をまとめて「有機金属化合物等」という)が好ましい。
上記酸性化合物としては、例えば、酢酸、塩酸、硫酸、リン酸、アルキルチタン酸、p−トルエンスルホン酸、フタル酸などを挙げることができ、好ましくは、酢酸である。
また、上記アルカリ性化合物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどを挙げることができ、好ましくは、水酸化ナトリウムである。
また、上記塩化合物としては、例えば、ナフテン酸、オクチル酸、亜硝酸、亜硫酸、アルミン酸、炭酸などのアルカリ金属塩などを挙げることができる。
【0062】
また、上記アミン化合物としては、例えば、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ピペリジン、ピペラジン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、エタノールアミン、トリエチルアミン、3−アミノプロピル・トリメトキシシラン、3−アミノプロピル・トリエトキシシラン、3−(2−アミノエチル)−アミノプロピル・トリメトキシシラン、3−(2−アミノエチル)−アミノプロピル・トリエトキシシラン、3−(2−アミノエチル)−アミノプロピル・メチル・ジメトキシシラン、3−アニリノプロピル・トリメトキシシランや、アルキルアミン塩類、四級アンモニウム塩類のほか、エポキシ樹脂の硬化剤として用いられる各種変性アミンなどを挙げることができ、好ましくは、3−アミノプロピル・トリメトキシシラン、3−アミノプロピル・トリエトキシシラン、3−(2−アミノエチル)−アミノプロピル・トリエトキシシランである。
【0063】
また、上記有機金属化合物等としては、例えば、下記一般式(4)で表される化合物(以下「有機金属化合物(4)」という)、同一のスズ原子に結合した炭素数1〜10のアルキル基を1〜2個有する4価スズの有機金属化合物(以下「有機スズ化合物」という)、あるいは、これらの化合物の部分加水分解物などを挙げることができる。
【0064】
M(OR5)p (R6 COCHCOR7)q ・・・(4)
〔式中、Mはジルコニウム、チタンまたはアルミニウムを示し、R5 およびR6 は、同一または異なって、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、フェニル基などの炭素数1〜6の1価の炭化水素基を示し、R7 は、R5 およびR6 と同様の炭素数1〜6の1価の炭化水素基のほか、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基、ラウリルオキシ基、ステアリルオキシ基などの炭素数1〜16のアルコキシル基を示し、pおよびqは0〜4の整数で、(p+q)=(Mの原子価)である。〕
【0065】
有機金属化合物(4)の具体例としては、
(イ)テトラ−n−ブトキシジルコニウム、トリ−n−ブトキシ・エチルアセトアセテートジルコニウム、ジ−n−ブトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、n−ブトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(n−プロピルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(アセチルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(エチルアセトアセテート)ジルコニウムなどの有機ジルコニウム化合物;
【0066】
(ロ)テトラ−i−プロポキシチタニウム、ジ−i−プロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタニウム、ジ−i−プロポキシ・ビス(アセチルアセテート)チタニウム、ジ−i−プロポキシ・ビス(アセチルアセトン)チタニウムなどの有機チタン化合物;
(ハ)トリ−i−プロポキシアルミニウム、ジ−i−プロポキシ・エチルアセトアセテートアルミニウム、ジ−i−プロポキシ・アセチルアセトナートアルミニウム、i−プロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、i−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナート)アルミニウム、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、トリス(アセチルアセトナート)アルミニウム、モノアセチルアセトナート・ビス(エチルアセトアセテート)アルミニウムなどの有機アルミニウム化合物
などを挙げることができる。
【0067】
これらの有機金属化合物(4)およびその部分加水分解物のうち、トリ−n−ブトキシ・エチルアセトアセテートジルコニウム、ジ−i−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタニウム、ジ−i−プロポキシ・エチルアセトアセテートアルミニウム、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、あるいは、これらの化合物の部分加水分解物が好ましい。
【0068】
また、有機スズ化合物の具体例としては、
(C4 H9 )2 Sn(OCOC11H23)2 、
(C4 H9 )2 Sn(OCOCH=CHCOOCH3 )2 、
(C4 H9 )2 Sn(OCOCH=CHCOOC4 H9 )2 、
(C8 H17)2 Sn(OCOC8 H17)2 、
(C8 H17)2 Sn(OCOC11H23)2 、
(C8 H17)2 Sn(OCOCH=CHCOOCH3 )2 、
(C8 H17)2 Sn(OCOCH=CHCOOC4 H9 )2 、
(C8 H17)2 Sn(OCOCH=CHCOOC8 H17)2 、
(C8 H17)2 Sn(OCOCH=CHCOOC16H33)2 、
(C8 H17)2 Sn(OCOCH=CHCOOC17H35)2 、
(C8 H17)2 Sn(OCOCH=CHCOOC18H37)2 、
(C8 H17)2 Sn(OCOCH=CHCOOC20H41)2 、
【0069】
などのカルボン酸型有機スズ化合物;
【0070】
(C4 H9 )2 Sn(SCH2 COOC8 H17)2 、
(C4 H9 )2 Sn(SCH2 CH2 COOC8 H17)2 、
(C8 H17)2 Sn(SCH2 COOC8 H17)2 、
(C8 H17)2 Sn(SCH2 CH2 COOC8 H17)2 、
(C8 H17)2 Sn(SCH2 COOC12H25)2 、
(C8 H17)2 Sn(SCH2 CH2 COOC12H25)2 、
(C4 H9 )Sn(SCOCH=CHCOOC8 H17)3 、
(C8 H17)Sn(SCOCH=CHCOOC8 H17)3 、
【0071】
などのメルカプチド型有機スズ化合物;
【0072】
などのスルフィド型有機スズ化合物;
【0073】
などのクロライド型有機スズ化合物;
(C4 H9 )2 SnO、(C8 H17)2 SnOなどの有機スズオキサイドや、これらの有機スズオキサイドとエチルシリケート、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、フタル酸ジオクチルなどのエステル化合物との反応生成物
などを挙げることができる。
【0074】
(D)成分は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができ、また亜鉛化合物やその他の反応遅延剤と混合して使用することもできる。
【0075】
(D)成分は、組成物を調製する際に配合してもよく、また、塗膜を形成する段階で組成物に配合してもよく、さらには、組成物の調製と塗膜の形成との両方の段階で配合してもよい。
(D)成分の使用量は、有機金属化合物等以外の場合、上記(A)成分におけるオルガノシラン(1)100重量部に対して、通常、0〜100重量部、好ましくは、0.01〜80重量部、さらに好ましくは、0.1〜50重量部であり、有機金属化合物等の場合、上記(A)成分におけるオルガノシラン(1)100重量部に対して、通常、0〜100重量部、好ましくは、0.1〜80重量部、さらに好ましくは、0.5〜50重量部である。この場合、(D)成分の使用量が100重量部を超えると、組成物の保存安定性が低下したり、塗膜にクラックが発生しやすくなる傾向がある。
【0076】
(E)成分
(E)成分は、下記一般式(5)
R6 COCH2 COR7 ・・・(5)
〔式中、R6 およびR7 は、有機金属化合物(4)における上記各一般式のそれぞれR6 およびR7 と同義である〕で表されるβ−ジケトン類およびβ−ケトエステル類、カルボン酸化合物、ジヒドロキシ化合物、アミン化合物、およびオキシアルデヒド化合物からなる群から選択される少なくとも1種である。
このような(E)成分は、特に、上記(D)成分として有機金属化合物等を使用する場合に併用することが好ましい。
【0077】
(E)成分は、組成物の安定性向上剤として作用するものである。すなわち、(E)成分が上記有機金属化合物等の金属原子に配位して、該有機金属化合物等による上記(A)成分と(B)成分の共縮合反応を促進する作用を適度にコントロールすることにより、得られる組成物の保存安定性をさらに向上させる作用をなすものと推定される。
【0078】
(E)成分の具体例としては、アセチルアセトン、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸−n−プロピル、アセト酢酸−i−プロピル、アセト酢酸−n−ブチル、アセト酢酸−sec−ブチル、アセト酢酸−t−ブチル、ヘキサン−2,4−ジオン、ヘプタン−2,4−ジオン、ヘプタン−3,5−ジオン、オクタン−2,4−ジオン、ノナン−2,4−ジオン、5−メチルヘキサン−2,4−ジオン、マロン酸、シュウ酸、フタル酸、グリコール酸、サリチル酸、アミノ酢酸、イミノ酢酸、エチレンジアミン四酢酸、グリコール、カテコール、エチレンジアミン、2,2−ビピリジン、1,10−フェナントロリン、ジエチレントリアミン、2−エタノールアミン、ジメチルグリオキシム、ジチゾン、メチオニン、サリチルアルデヒドなどを挙げることができる。これらのうち、アセチルアセトン、アセト酢酸エチルが好ましい。
(E)成分は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0079】
(E)成分の使用量は、上記有機金属化合物等における有機金属化合物1モルに対して、通常、2モル以上、好ましくは3〜20モルである。この場合、(E)成分の使用量が2モル未満では、得られる組成物の保存安定性の向上効果が不充分となる傾向がある。
【0080】
(F)成分
(F)成分は、無機化合物の粉体および/またはゾルもしくはコロイドからなり、塗膜の所望の特性に応じて配合される。
【0081】
(F)成分をなす化合物の具体例としては、SiO2 、Al2 O3 、AlGaAs、Al(OH)3 、Sb2 O5 、Si3 N4 、SnO2 、Sn−In2 O3 、In2 O3 、Sb−In2 O3 、InP、InSb、InAs、InGaAlP、MgF、CeF3 、CeO2 、3Al2 O3 ・2SiO2 、BeO、SiC、AlN、Fe、Fe2 O3 、Co、Co−FeOx 、CrO2 、Fe4 N、BaTiO3 、BaO−Al2 O3 −SiO2 、Baフェライト、SmCO5 、YCO5 、CeCO5 、PrCO5 、Sm2 CO17、Nd2 Fe14B、ZrO2 、Al4 O3 、AlN、SiC、α−Si、SiN4 、CoO、Sb−SnO2 、MnO2 、MnB、Co3 O4 、Co3 B、LiTaO3 、MgO、MgAl2 O4 、BeAl2 O4 、ZrSiO4 、ZnO、ZnS、ZnSe、ZnSb、ZnTe、PbTe、PbS、PbSe、GeSi、FeSi2 、CrSi2 、CoSi2 、MnSi1.73、Mg2 Si、β−B、BaC、BP、TiB2 、ZrB2 、HfB2 、Ru2 Si3 、RuO2 、TiO2 、TiO3 、SrTiO3 、FeTiO3 、PbTiO3 、Al2 TiO5 、Zn2 SiO4 、Zr2 SiO4 、2MgO2 −Al2 O3 −5SiO2 、WO3 、Bi2 O3 、CdO、CdS、CdSe、GaP、GaAs、CdFeO3 、MoS2 、LaRhO3 、GaN、CdP、Nb2 O5 、GaAsP、Li2 O−Al2 O3 −4SiO2 、Mgフェライト、Niフェライト、Ni−Znフェライト、Liフェライト、Srフェライトなどを挙げることができる。
これら(F)成分は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0082】
(F)成分の存在形態には、粉体、水に分散した水系のゾルもしくはコロイド、イソプロピルアルコールなどの極性溶媒や、トルエンなどの非極性溶媒中に分散した溶媒系のゾルもしくはコロイドがある。溶媒系のゾルもしくはコロイドの場合、半導体の分散性によってはさらに水や溶媒にて希釈して用いてもよく、また分散性を向上させるために表面処理して用いてもよい。
【0083】
(F)成分が水系のゾルもしくはコロイド、あるいは溶媒系のゾルもしくはコロイドである場合、固形分濃度は40重量%以下が好ましい。
【0084】
(F)成分を組成物中に配合する方法としては、組成物の調製後に添加してもよく、あるいは、組成物の調製時に添加して、(F)成分を、上記(A)成分、(B)成分などと共加水分解・縮合させてもよい。
【0085】
(F)成分の使用量は、上記(A)成分におけるオルガノシラン(1)100重量部に対して、固形分で、通常、0〜500重量部、好ましくは、0.1〜400重量部である。
【0086】
他の添加剤
また、本発明の組成物には、得られる塗膜の着色、厚膜化などのために、別途充填材を添加・分散させることもできる。
このような充填材としては、例えば、非水溶性の有機顔料や無機顔料、顔料以外の、粒子状、繊維状もしくは鱗片状のセラミックス、金属あるいは合金、ならびにこれらの金属の酸化物、水酸化物、炭化物、窒化物、硫化物などを挙げることができる。
【0087】
上記充填材の具体例としては、鉄、銅、アルミニウム、ニッケル、銀、亜鉛、フェライト、カーボンブラック、ステンレス鋼、二酸化ケイ素、顔料用酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化クロム、酸化マンガン、酸化鉄、酸化ジルコニウム、酸化コバルト、合成ムライト、水酸化アルミニウム、水酸化鉄、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化ホウ素、クレー、ケイソウ土、消石灰、石膏、タルク、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、ベントナイト、雲母、亜鉛緑、クロム緑、コバルト緑、ビリジアン、ギネー緑、コバルトクロム緑、シェーレ緑、緑土、マンガン緑、ピグメントグリーン、群青、紺青、ピグメントグリーン、岩群青、コバルト青、セルリアンブルー、ホウ酸銅、モリブデン青、硫化銅、コバルト紫、マルス紫、マンガン紫、ピグメントバイオレット、亜酸化鉛、鉛酸カルシウム、ジンクエロー、硫化鉛、クロム黄、黄土、カドミウム黄、ストロンチウム黄、チタン黄、リサージ、ピグメントエロー、亜酸化銅、カドミウム赤、セレン赤、クロムバーミリオン、ベンガラ、亜鉛白、アンチモン白、塩基性硫酸鉛、チタン白、リトポン、ケイ酸鉛、酸化ジルコン、タングステン白、鉛亜鉛華、バンチソン白、フタル酸鉛、マンガン白、硫酸鉛、黒鉛、ボーン黒、ダイヤモンドブラック、サーマトミック黒、植物性黒、チタン酸カリウムウィスカー、二硫化モリブデンなどを挙げることができる。
これらの充填材は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
充填材の使用量は、組成物の全固形分100重量部に対して、通常、300重量部以下である。
【0088】
さらに、本発明の組成物には、所望により、オルトギ酸メチル、オルト酢酸メチル、テトラエトキシシランなどの公知の脱水剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリカルボン酸型高分子界面活性剤、ポリカルボン酸塩、ポリリン酸塩、ポリアクリル酸塩、ポリアミドエステル塩、ポリエチレングリコールなどの分散剤;メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどのセルロース類や、ひまし油誘導体、フェロけい酸塩などの増粘剤;炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、亜硝酸アンモニウム、水素化ホウ素ナトリウム、カルシウムアジドなどの無機発泡剤や、アゾビスイソブチロニトリルなどのアゾ化合物、ジフェニルスルホン−3,3′−ジスルホヒドラジンなどのヒドラジン化合物、セミカルバジド化合物、トリアゾール化合物、N−ニトロソ化合物などの有機発泡剤のほか、界面活性剤、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、染料などの他の添加剤を配合することもできる。
【0089】
また、組成物のコーティング性をより向上させるためにレベリング剤を配合することができる。このようなレベリング剤のうち、フッ素系のレベリング剤(商品名。以下同様)としては、例えば、ビーエムヘミー(BM−CHEMIE)社のBM1000、BM1100;エフカケミカルズ社のエフカ772、エフカ777;共栄社化学(株)製のフローレンシリーズ;住友スリーエム(株)のFCシリーズ;東邦化学(株)のフルオナールTFシリーズなどを挙げることができ、シリコーン系のレベリング剤としては、例えば、ビックケミー社のBYKシリーズ;シュメグマン(Sshmegmann)社のSshmegoシリーズ;エフカケミカルズ社のエフカ30、エフカ31、エフカ34、エフカ35、エフカ36、エフカ39、エフカ83、エフカ86、エフカ88などを挙げることができ、エーテル系またはエステル系のレベリング剤としては、例えば、日信化学工業(株)のカーフィノール;花王(株)のエマルゲン、ホモゲノールなどを挙げることができる。
【0090】
このようなレベリング剤を配合することにより、塗膜の仕上がり外観が改善され、薄膜としても均一に塗布することができる。
レベリング剤の使用量は、全組成物に対して、好ましくは、0.01〜5重量%、さらに好ましくは0.02〜3重量%である。
【0091】
レベリング剤を配合する方法としては、組成物を調製する際に配合してもよく、また塗膜を形成する段階で組成物に配合してもよく、さらには組成物の調製と塗膜の形成との両方の段階で配合してもよい。
【0092】
本発明の組成物を調製するに際しては、(D)成分と(E)成分とを使用しない場合は、各成分の混合方法は特に限定されないが、(D)成分と(E)成分とを使用する場合は、好ましくは、(A)〜(F)成分のうち(E)成分を除いた混合物を得たのち、これに(E)成分を添加する方法が採用される。
【0093】
組成物の調製法の具体例としては、下記(i)〜(iv)の方法などを挙げることができる。
(i)(A)成分を構成するオルガノシラン(1)、(B)成分、(C)成分、(D)成分および必要量の有機溶剤からなる混合物に、所定量の水を加えて加水分解・縮合反応を行ったのち、(E)成分を添加する方法。
(ii)(A)成分を構成するオルガノシラン(1)、および必要量の有機溶剤からなる混合物に、所定量の水を加えて加水分解・縮合反応を行い、次いで(B)成分および(D)成分を加えて混合して、さらに縮合反応を行ったのち、(E)成分を添加する方法。
【0094】
(iii)(A)成分を構成するオルガノシラン(1)、(D)成分および必要量の有機溶剤からなる混合物に、所定量の水を加えて加水分解・縮合反応を行い、次いで(B)成分を加えて混合して、さらに部分縮合反応を行ったのち、(E)成分を添加する方法。
(iv)(A)成分を構成するオルガノシラン(1)の一部、(B)成分、(D)成分および必要量の有機溶剤からなる混合物に、所定量の水を加えて加水分解・縮合反応を行い、次いでオルガノシラン(1)の残部を添加して、さらに加水分解・部分縮合反応を行なったのち、(E)成分を添加する方法。
【0095】
なお、本発明においては、(A)〜(E)成分以外の成分は、組成物を調製する適宜の段階で添加することができる。
【0096】
以上の本発明の組成物は、保存安定性に優れ、優れた反射防止効果、耐汚染性を有するとともに熱硬化により形成可能である反射防止膜およびその反射防止膜を含む積層体ならびにその反射防止膜を提供することができる。
【0097】
本発明の組成物を基材に塗布する際には、刷毛、ロールコーター、フローコーター、遠心コーター、超音波コーターなどを用いたり、ディップコート、流し塗り、スプレー、スクリーンプロセス、電着、蒸着などの塗布方法により、1回塗りで厚さ0.05〜100μm程度、2〜3回塗りでは厚さ0.1〜200μm程度の塗膜を形成することができる。その後、常温で乾燥するか、あるいは、30〜200℃程度の温度で数秒〜数十分程度加熱して乾燥(熱硬化)することにより、各種の基材に塗膜を形成することができる。
【0098】
本発明の組成物を適用しうる基材としては、例えば、鉄、アルミニウム、ステンレスなどの金属;セメント、コンクリート、ALC、フレキシブルボード、モルタル、スレート、石膏、セラミックス、レンガなどの無機窯業系材料;フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ABS樹脂(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂)などのプラスチック成型品;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルアルコール、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリウレタン、ポリイミドなどのプラスチックフィルムや、木材、紙、ガラスなどを挙げることができる。また、本発明の組成物は、劣化塗膜の再塗装にも有用である。
【0099】
これらの基材には、下地調整、密着性向上、多孔質基材の目止め、平滑化、模様付けなどを目的として、予め表面処理を施すこともできる。
金属系基材に対する表面処理としては、例えば、研磨、脱脂、メッキ処理、クロメート処理、火炎処理、カップリング処理などを挙げることができ、プラスチック系基材に対する表面処理としては、例えば、ブラスト処理、薬品処理、脱脂、火炎処理、酸化処理、蒸気処理、コロナ放電処理、紫外線照射処理、プラズマ処理、イオン処理などを挙げることができ、無機窯業系基材に対する表面処理としては、例えば、研磨、目止め、模様付けなどを挙げることができ、木質基材に対する表面処理としては、例えば、研磨、目止め、防虫処理などを挙げることができ、紙質基材に対する表面処理としては、例えば、目止め、防虫処理などを挙げることができ、さらに劣化塗膜に対する表面処理としては、例えば、ケレンなどを挙げることができる。
【0100】
本発明の組成物による塗布操作は、基材の種類や状態、塗布方法によって異なる。例えば、金属系基材の場合、防錆の必要があればプライマーを用い、無機窯業系基材の場合、基材の特性(表面荒さ、含浸性、アルカリ性など)により塗膜の隠ぺい性が異なるため、通常はプライマーを用いる。また、劣化塗膜の再塗装の場合、旧塗膜の劣化が著しいときはプライマーを用いる。
それ以外の基材、例えば、プラスチック、木材、紙、ガラスなどの場合は、用途に応じてプライマーを用いても用いなくてもよい。
【0101】
プライマーの種類は特に限定されず、基材と組成物との密着性を向上させる作用を有するものであればよく、基材の種類、使用目的に応じて選択する。プライマーは、単独でまたは2種以上を混合して使用することができ、また顔料などの着色成分を含むエナメルでも、該着色成分を含まいクリヤーでもよい。
【0102】
プライマーの種類としては、例えば、アルキド樹脂、アミノアルキド樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、フッ素樹脂、アクリルシリコン樹脂、アクリルエマルジョン、エポキシエマルジョン、ポリウレタンエマルジョン、ポリエステルエマルジョンや、本発明における(A)成分からなる組成物、(A)成分と(B−3)成分とからなる組成物などを挙げることができる。また、これらのプライマーには、厳しい条件での基材と塗膜との密着性が必要な場合、各種の官能基を付与することもできる。このような官能基としては、例えば、水酸基、カルボキシル基、カルボニル基、アミド基、アミン基、グリシジル基、アルコキシシリル基、エーテル結合、エステル結合などを挙げることができる。
なお、これらのプライマー成分は、密着性を向上させるための密着性向上成分として、本発明に用いられるコーティング組成物中に添加することもできる。
【0103】
以上の本発明に用いられるコーティング組成物は、熱硬化性組成物として用いられるが、この組成物に、さらに(G)光酸発生や、(H)脱水剤を配合することにより、光硬化性組成物として用いることができる。以下、光硬化性組成物について説明する。
【0104】
(G)光酸発生剤
▲1▼定義
本発明に用いられる組成物に添加する(G)光酸発生剤は、光などのエネルギー線を照射することにより、(A)成分である加水分解性のオルガノシランを光硬化(架橋)可能な酸性活性物質を放出することができる化合物と定義される。
なお、光酸発生剤を分解させて、カチオンを発生するするために照射する光エネルギー線としては、可視光、紫外線、赤外線、X線、α線、β線、γ線などを挙げることができる。ただし、一定のエネルギーレベルを有し、硬化速度が大(速く)であり、しかも照射装置が比較的安価で、小型な観点から、紫外線を使用することが好ましい。
【0105】
なお、本発明の積層体を形成するにおいて、組成物に、光酸発生剤とともに後述するラジカル発生剤を併用することも好ましい。中性の活性物質であるラジカルは、シラノール基の縮合反応を促進することはないが、(A)成分中にラジカル重合性の官能基を有する場合に、この官能基の重合を推進させることができる。したがって、光硬化性組成物をより効率的に硬化させることができる。
【0106】
▲2▼光酸発生剤の種類
次に、本発明に用いられる光酸発生剤の種類を説明する。この光酸発生剤としては、一般式(6)で表される構造を有するオニウム塩(第1群の化合物)や一般式(7)で表される構造を有するスルホン酸誘導体(第2群の化合物)を挙げることができる。
【0107】
〔R8 a R9 b R10 c R11 d W〕+m〔MZm+n 〕-m (6)
〔一般式(6)中、カチオンはオニウムイオンであり、WはS,Se,Te,P,As,Sb,Bi,O,I,Br,Clまたは−N≡Nであり、R8 〜R11は同一または異なる有機基であり、a,b,cおよびdはそれぞれ0〜3の整数であって、(a+b+c+d)はWの価数に等しい。また、Mはハロゲン化物錯体〔MXm+n 〕の中心原子を構成する金属またはメタロイドであり、例えば、B,P,As,Sb,Fe,Sn,Bi,Al,Ca,In,Ti,Zn,Sc,V,Cr,Mn,Coである。Zは、例えば、F,Cl,Brなどのハロゲン原子またはアリール基であり、mはハロゲン化物錯体イオンの正味の電荷であり、nはMの原子価である。〕
【0108】
Qs −〔S(=O)2 −R12〕t (7)
〔一般式(7)中、Qは一価もしくは二価の有機基、R12は炭素数1〜12の一価の有機基、添え字sは0または1、添え字tは1または2である。〕
【0109】
まず、第1群の化合物であるオニウム塩は、光を受けることにより酸性活性物質を放出することができる化合物である。このような第1群の化合物のうち、より有効なオニウム塩は芳香族オニウム塩であり、特に好ましくは下記一般式(8)で表されるジアリールヨードニウム塩である。
[R13−Ar1 −I+ −Ar2 −R14][Y- ] (8)
〔一般式(8)中、R13およびR14は、それぞれ1価の有機基であり、同一でも異なっていてもよく、R13およびR14の少なくとも一方は炭素数が4以上のアルキル基を有しており、Ar1 およびAr2 はそれぞれ芳香族基であり、同一でも異なっていてもよく、Y- は1価の陰イオンであり、周期律表3族,5族のフッ化物陰イオン、もしくはClO4 - ,CF3 - およびSO3 - から選ばれる陰イオンである。〕
【0110】
また、第2群の化合物としての一般式(7)で表されるスルホン酸誘導体の例を示すと、ジスルホン類、ジスルホニルジアゾメタン類、ジスルホニルメタン類、スルホニルベンゾイルメタン類、イミドスルホネート類、ベンゾインスルホネート類、1−オキシ−2−ヒドロキシ−3−プロピルアルコールのスルホネート類、ピロガロールトリスルホネート類、ベンジルスルホネート類を挙げることができる。
また、一般式(7)で表されるスルホン酸誘導体のうち、より好ましくはイミドスルホネート類であり、さらに好ましくはイミドスルホネートのうち、トリフルオロメチルスルホネート誘導体である。
【0111】
▲3▼光酸発生剤の添加量
次に、光硬化性組成物に使用される光酸発生剤の添加量(含有割合)について説明する。
この光酸発生剤の添加量は特に制限されるものではないが、(A)成分を構成するオルガノシラン(1)100重量部に対して、通常、0.1〜15重量部の範囲内の値とするのが好ましい。光酸発生剤の添加量が0.1重量部未満となると、光硬化性が低下し、充分な硬化速度が得られない場合がある。一方、光酸発生剤の添加量が15重量部を超えると、得られる硬化物の耐候性や耐熱性が低下する場合がある。
したがって、光硬化性と得られる硬化物の耐候性などとのバランスがより良好な観点から、光酸発生剤の添加量を、オルガノシラン(1)100重量部に対して1〜10重量部の範囲内の値とすることがより好ましい。
【0112】
(H)脱水剤
▲1▼定義
本発明の光硬化性組成物に使用される脱水剤は、化学反応により水以外の物質に変換する化合物、物理吸着または包接により、光硬化性および保存安定性に影響を与えなくする化合物と定義される。
すなわち、このような脱水剤を含有することにより、光硬化性組成物の耐候性や耐熱性を損なうことなく、保存安定性や光硬化性という相反する特性を向上させることができる。この理由として、外部から侵入してくる水を、脱水剤が有効に吸収するために光硬化性組成物の保存安定性が向上し、一方、光硬化反応である縮合反応においては、生成した水を順次に脱水剤が有効に吸収するために光硬化性組成物の光硬化性が向上するものと考えられる。
【0113】
▲2▼脱水剤の種類
次に、光硬化性組成物に使用される脱水剤の種類を説明する。この脱水剤の種類は特に制限されるものでないが、有機化合物として、カルボン酸エステル、アセタール類(ケタール類を含む)、およびカルボン酸無水物からなる群から選択される少なくとも一つの化合物であることが好ましい。また、無機化合物として、脱水機能を有するセラミック粉体の使用も好ましい。これらの脱水剤は、優れた脱水効果を示し、少量の添加で脱水剤の機能を効率的に発揮することができる。
【0114】
また、脱水剤としてのカルボン酸エステルは、カルボン酸オルトエステルやカルボン酸シリルエステルなどの中から選ばれる。
ここで、好ましいカルボン酸オルトエステルとしては、オルトギ酸メチル、オルトギ酸エチル、オルトギ酸プロピル、オルトギ酸ブチル、オルト酢酸メチル、オルト酢酸エチル、オルト酢酸プロピル、オルト酢酸ブチル、オルトプロピオン酸メチルおよびオルトプロピオン酸エチルなどが挙げられる。また、これらのカルボン酸オルトエステルのうち、より優れた脱水効果を示し、保存安定性や光硬化性をより向上させることができる観点から、オルトギ酸エステルが、本発明における脱水剤として特に好ましい。
また、好ましいカルボン酸シリルエステルとしては、酢酸トリメチルシリル、酢酸トリブチルシリル、ギ酸トリメチルシリル、シュウ酸トリメチルシリルなどが挙げられる。
【0115】
また、好ましいアセタール類としては、例えば、アセトンジメチルアセタール、アセトンジエチルアセタール、メチルエチルケトンジメチルアセタール、メチルエチルケトンジメチルアセタール、シクロヘキサノンジメチルアセタールおよびシクロヘキサノンジエチルアセタールが挙げられる。これらのアセタール類は、優れた脱水効果を示し、光硬化性組成物の保存安定性や光硬化性をより向上させることができる。
【0116】
また、好ましいカルボン酸無水物としては、例えば、ギ酸無水物、無水酢酸、無水コハク酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、安息香酸無水物、酢酸安息香酸無水物などが挙げられる。特に、無水酢酸および無水コハク酸は、脱水効果に特に優れており好ましい。
【0117】
また、好ましい脱水機能を有するセラミック粉体としては、シリカゲル粒子、アルミナ粒子、シリカアルミナ粒子、活性白土、ゼオライトなどが挙げられる。これらのセラミック粉体は、水に対して、強い親和力を有しており、優れた脱水効果を発揮することができる。
【0118】
▲3▼脱水剤の添加量
次に、光硬化性組成物に使用される脱水剤の添加量について説明する。脱水剤の添加量は特に制限されるものではないが、(A)成分を構成するオルガノシラン(1)100重量部に対して、通常、0.1〜100重量部の範囲内の値とするのが好ましい。この理由は、脱水剤の添加量が0.1重量部未満となると、添加効果の発現に乏しく、保存安定性や光硬化性の向上効果が低い場合があるためであり、一方、脱水剤の添加量が100重量部を超えると、保存安定性や光硬化性の向上効果が飽和する場合がある。
したがって、より好ましくは、脱水剤の添加量を、オルガノシラン(1)100重量部に対して、0.5〜50重量部の範囲内の値とすることであり、さらに好ましくは、1〜10重量部の範囲内の値とすることである。
【0119】
(G)〜(H)成分以外のその他の添加剤
光硬化性組成物には、本発明の目的や効果を損なわない範囲において、ラジカル性光重合開始剤、光増感剤、有機溶剤、重合禁止剤、重合開始助剤、レベリング剤、濡れ性改良剤、界面活性剤、可塑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電防止剤、シランカップリング剤、無機充填剤、顔料、染料などの添加剤をさらに含有させることも好ましい。
【0120】
反射防止膜
▲1▼反射防止膜の形成方法
光硬化性組成物から反射防止膜を形成する場合、コーテイングする方法を採ることが好ましい。このようなコーテイング方法としては、ディッピング法、スプレー法、バーコート法、ロールコート法、スピンコート法、カーテンコート法、グラビア印刷法、シルクスクリーン法、またはインクジェット法などの方法を用いることができる。これらのうち、基材が板状の場合には、特にディッピング法を用いることが好ましい。
【0121】
また、光硬化性組成物を光硬化する手段も特に制限されるものではないが、例えば、高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、エキシマーランプなどの光源を用いて、波長150〜400nmの光を照射することが好ましい。また、レーザ光、あるいはレンズ、ミラーなどを用いて得られた収束光などを走査させながら光硬化性組成物に光照射することも好ましい。さらに、所定のパターンの光透過部を有するマスクを用い、このマスクを介して非収束光を組成物に光照射したり、あるいは、多数の光ファイバーを束ねてなる導光部材を用い、この導光部材における所定のパターンに対応する光ファイバーを介して光照射することも好ましい。
【0122】
▲2▼厚さ
反射防止膜の厚さは特に制限されるものではないが、例えば一層の場合、0.05〜50μmの範囲内の値であることが好ましい。この理由は、厚さが0.05μm未満となると、反射防止効果や基材に対する密着力が低下する場合があるためであり、一方、厚さが50μmを超えると、光干渉が生じて反射防止効果が低下する場合があるためである。
したがって、反射防止膜が一層の場合、その厚さを0.05〜50μmの範囲内の値とするのがより好ましく、0.6〜20μmの範囲内の値とするのがさらに好ましい。
【0123】
なお、反射防止膜を複数層設けて多層構造とする場合には、その厚さを反射防止膜が一層の場合の好ましい厚さに層数を掛けた値とするのが良い。例えば、反射防止膜を2層設ける場合には、合計した厚さを0.1〜200μmの範囲内の値とするのが好ましい。
【0124】
▲3▼屈折率
反射防止膜の屈折率の値は、低いほど優れた反射防止効果が得られるものの、具体的に、1.7(−)以下の値が好ましく、より好ましくは1.3〜1.6(−)の範囲内の値であり、1.3〜1.5(−)の範囲内の値であることがさらに好ましい。この理由は、屈折率が1.3(−)未満となると、使用可能な材料の種類が過度に制限される場合があるためであり、一方、屈折率が1.7(−)を超えると、反射防止効果が著しく低下する場合があるためである。
【0125】
なお、反射防止膜を複数層設ける場合には、そのうちの少なくとも一層が上述した範囲内の屈折率の値を有していれば良く、したがって、その他の反射防止膜は1.7(−)を超える屈折率の値を有していても良い。
【0126】
積層体
次に、本発明の積層体は、上記反射防止膜を基材表面に有する積層体である。なお、積層体は、少なくとも基材と、反射防止膜とを含んでいれば良く、種々の変形例が含まれる。なお、以下の積層体の構成例は、(G)〜(H)成分を含まない、上記の熱硬化性組成物にも適用可能である。
以下、本発明の積層体を、図1〜図3を参照しつつ具体的に説明する。
図1は、基材上12に直接形成された反射防止膜10を含む積層体14の断面図であり、図2は、基材12と反射防止膜10との間にハードコート層16を介在させた積層体18の断面図である。また、図3は、下側から、基材12と、ハードコート層16と、第1の高屈折率層20と、第1の反射防止膜22と、第2の高屈折率層24と、第2の反射防止膜26とを順次に形成して構成した多層構造の積層体28の断面図である。
【0127】
図1に示す積層体14の場合、反射防止膜10を直接基材12上に形成することができるので、構成が単層とシンプルであり、しかも精度良く形成することができる。
また、図2に示す積層体18のように、反射防止膜10と基材12との間に、ハードコート層16を介在させると、反射防止膜10の基材12に対する密着力をより向上させることができ、また、ハードコート層16の機械的特性に起因して積層体18としての耐久性がより向上する。なお、ハードコート層16は、例えば、SiO2 、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、メラミン系樹脂などの材料から構成するのが好ましく、さらには、その厚さを1〜50μmの範囲内の値とするのが好ましく、より好ましくは5〜10μmの範囲内の値とする。
【0128】
また、図3に示す積層体28のように、第1および第2の反射防止層22,26のほかに、比較的高い屈折率の値、例えば、1.5〜2.0(−)の範囲内の値を有する、厚さ50〜200nmの第1および第2の高屈折率層20,24を、それぞれ第1および第2の反射防止層22,26と接して設けることも好ましい。このように、本発明の反射防止層に接して高屈折率層20,24を設け、しかも複数層設けることにより、より優れた反射防止効果を得ることができる。
また、高屈折率層20,24を設ける場合、より優れた反射防止効果が得られることから、反射防止層22,26と、高屈折率層20,24との間の屈折率差を0.05(−)以上の値とするのが好ましく、0.1〜0.5(−)の範囲内の値とするのがより好ましく、0.15〜0.5(−)の範囲内の値とするのがさらに好ましい。
【0129】
また、図2〜図3の積層体18,28に示すように、ハードコート層16や高屈折率層20,24あるいはプライマー層(図示しない)を設ける場合にも、その上に本発明の光硬化性組成物をコーティングしたのち、紫外線などを照射することにより、反射防止膜10,22,26を容易に形成することができる。その場合、反射防止効果の一端を担う高屈折率層20,24を含めて、本発明の反射防止膜(反射防止層)と称する場合がある。
【0130】
また、図1〜図3に示す積層体14,18,28における基材12の種類は、光が透過する際に反射防止効果が所望されるものであれば特に制限されるものではないが、例えば、ガラス、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂またはアクリル系樹脂などを挙げることができる。基材12がガラスの場合には、具体的な積層体として、カメラのレンズ部やテレビ(CRT、LCD)の画面表示部あるいは窓ガラスなどが挙げられる。また、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂またはアクリル系樹脂からなる基材12の場合には、液晶表示装置におけるカラーフィルターなどが挙げられる。
【0131】
反射防止膜の製造方法
本発明の反射防止膜の製造方法は、その第1の工程は、上述した光硬化性組成物を基材上で成形する工程(成形工程と称する場合がある)であり、第2の工程は、露光機を用いて露光することにより、光硬化性組成物を光硬化させる工程(露光工程と称する場合がある)である。
【0132】
(1)第1の工程
光硬化性組成物の成形方法は特に制限されるものではないが、例えば、ディップコータやスピンコータ、あるいはバーコータを用いて、光硬化性組成物を塗布、形成することが好ましい。具体的に、スピンコータを用いた場合、スピンコータ内に、基材を固定したのち、一例として、回転数1,000rpmの条件で、予め粘度調整した光硬化性組成物を回転塗布することが好ましい。
また、光硬化性組成物の成形後(光硬化前)の厚さは特に制限されるものではないが、例えば、50〜1,000nmの範囲内の値であることが好ましい。この理由は、成形後の厚さが50nm未満では、光硬化性組成物を所定形状に保持することが困難となる場合があり、一方、1,000nmを超えると、光干渉などが生じて、反射防止膜としたときに、反射防止効果が乏しくなる場合があるためである。
【0133】
また、第1の工程において、光硬化性組成物の成形後に、100〜150℃の温度で予備加熱(プリベイク)することが好ましい。このような条件で光硬化性組成物を予備加熱することにより、光硬化性組成物における揮発部分を有効に除去することができ、光硬化性組成物の成形品が型崩れすることがなくなる。また、(A)成分を構成するオルガノシラン(1)のシラノールの一部を反応させることができ、基材に対する密着力や現像時における耐薬品(現像剤)性を向上させることもできる。
ただし、過度に加熱して、現像特性が逆に低下しないように、110〜140℃の温度で加熱することがより好ましく、115〜130℃の温度で加熱することがより好ましい。
【0134】
さらに、加熱時間については、加熱温度を考慮して定めるのが好ましいが、100〜150℃の温度で予備加熱する場合、1〜20分の加熱時間とするのが好ましい。この理由は、加熱時間が1分未満となると、シラノールの反応が不均一となる場合があり、一方、加熱時間が10分を超えると、シラノールが過度に反応して、現像液を用いて精度良く現像することが困難となる場合があるためである。したがって、加熱時間を2〜15分の範囲内の値とするのが好ましく、3〜10分の範囲内の値とするのがさらに好ましい。
なお、加熱手段については特に制限されるものではなく、例えば、オーブンや赤外線ランプを用いることができる。
【0135】
(2)第2の工程
また、第2の工程における光硬化方法は、全面露光して光硬化させることはもちろんのこと、所定パターンを有するフォトマスク介して非収束光を光硬化性組成物にパターン露光したり、あるいは、多数の光ファイバーを束ねた導光部材を用い、フォトマスクのパターンに対応する光ファイバーからのみ光照射して、パターン露光することも好ましい。
このようにパターン露光することにより、露光して硬化させた光硬化物部分と、露光せず未硬化の光硬化性組成物部分とを精度良く形成することができる。具体的に、マスクパターンのライン/スペース(比率50/50)が10μm以上の範囲、より好ましくは30μm以上の範囲、さらに好ましくは、50μm以上の範囲において、光硬化させたのち、現像により基材の露出部を再現性良く形成できることが確認されている。
したがって、未硬化の光硬化性組成物部分のみを、現像液を用いて容易にウエット現像(除去)することができ、基材の露出部、すなわち反射防止膜が設けられていない部分を短時間かつ容易に形成することができる。よって、このような基材の露出部を利用して、所望の部材を強固に接着固定などをすることができる。
【0136】
さらに、第2の工程において、光硬化物である反射防止膜をさらに加熱することも好ましい。その場合、基材もしくは塗膜の分解開始温度以下である温度25〜200℃、5分〜72時間の条件で加熱するのが好ましい。このように反射防止膜を加熱することにより、より耐熱性や耐候性に優れた反射防止膜(積層体)を得ることができる。
【0137】
【実施例】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明の範囲はこれら実施例の記載に限定されるものではない。また、実施例中、各成分の配合量は特に記載のない限り重量部を意味している。
【0138】
参考例1〔フッ素含有アクリル系重合体(B−1)の調製〕
還流冷却器、撹拌機を備えた反応器に、表1に示す単量体成分と、イソブチルアルコール105部、メチルエチルケトン70部、メタノール35部を加えて混合したのち、撹拌下で80℃に加温し、この混合物に、アゾビスイソバレロニトリル4部をキシレン10部に溶解した溶液を30分かけて滴下し、さらに80℃で5時間反応させて、固形分濃度40%のフッ素含有アクリル系重合体〔(B−1)成分〕を得た。
【0139】
【表1】
【0140】
(*1)1H,1H,5H−オクタフルオロペンチルメタクリレート
(*2)4−メタクリロイルオキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン
【0141】
参考例2〔フッ素含有ビニルエーテル系重合体(B−2)の調製〕
(1)フッ素含有ビニルエーテル系重合体の重合
内容積1.0リットルの電磁攪拌機を備えたステンレス製のオートクレーブを窒素ガスを用いて充分に置換した。次いで、このオートクレーブ内に、メチルイソブチルケトン(重合溶剤)150部と、エチルビニルエーテル30部とビニルトリメトキシシラン5部、ノニオン性反応性乳化剤NE−30〔旭電化工業(株)製〕10部と、ラジカル発生剤としてアゾ基含有ポリジメチルシロキサンVPS−1001〔和光純薬工業(株)製〕1部と、過酸化ラウロイル0.5部とを収容した。そして、共重合成分などを充分に攪拌したのち、ドライアイスおよびメタノールを用いて−50℃まで冷却し、再度窒素ガスを用いて系内の酸素を除去した。
次いで、ヘキサフルオロプロピレン(ガス)65部をオートクレーブ内に導入したのち、オートクレーブ内の温度を70℃に昇温した。なお、70℃に達した時点での、オートクレーブ内の圧力は5.9kgf/cm2 であった。
【0142】
次いで、オートクレーブ内の共重合成分などを攪拌しながら、温度を70℃に保持したまま20時間かけてラジカル重合反応を行った。そして、オートクレーブ内の圧力が2.5kgf/cm2 まで低下した時点で、オートクレーブを水冷し て反応を停止させた。オートクレーブ内の温度が室温まで降下したのを確認したのち、オートクレーブを開放し、未反応モノマーを系外に放出させるとともに、フッ素含有共重合体溶液(ポリマー溶液)を取り出した。
得られたフッ素含有共重合体溶液を、多量のメタノールに投入し、フッ素含有共重合体を析出させた。その後、多量のメタノールを用いてフッ素含有共重合体を洗浄し、さらに温度50℃の真空乾燥を行い、水酸基を有するフッ素含有重合体の精製物を得た。得られた共重合体について、以下のような評価項目をそれぞれ5回測定し平均した。
【0143】
▲1▼重量平均分子量の測定
得られたフッ素含有共重合体の精製物を、濃度0.5%となるようにTHF(テトラヒドロフラン)に溶解させた。次いで、GPC装置HLC−8020〔東ソー(株)製〕を用いて、フッ素含有共重合体のGPCカラムからの溶出時間を屈折率計(RI)で検出し、得られた溶出時間から、ポリスチレン換算分子量として、フッ素含有共重合体の重量平均分子量を算出した。その結果、得られたフッ素含有共重合体の重量平均分子量は、30,000であった。
【0144】
▲2▼フッ素含量の測定
得られたフッ素含有共重合体のフッ素含量を、アリザリンコンプレクソン法に準拠して測定した。その結果、得られたフッ素含有共重合体のフッ素含量は、46.1%であった。結果を表2に示す。
【0145】
参考例3〜5
参考例2と同様にして、フッ素含有共重合体(B−2’)、(B−2'')、(B−2''' )を得た。結果を表2に示す。
【0146】
【表2】
【0147】
参考例6〔シリル基含有アクリル系重合体(B−3)の調製〕
還流冷却器、攪拌機を備えた反応器に、メチルメタクリレート63部、2−エチルヘキシルアクリレート5.7部、n−ブチルアクリレート4.3部、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン11.3部、アクリル酸3.9などを混合し、1,1−トリメチルアミンメタクリルイミド2部およびi−プロピルアルコール150部、メチルエチルケトン50部、メタノール25部を加えて混合したのち、攪拌しながら80℃に加温し、この混合物にアゾビスイソバレロニトリル4部をキシレン10部に溶解した溶液を30分間かけて滴下したのち、80℃で5時間反応させて固形分40%のシリル基含有アクリル系重合体〔(B−3)成分〕を得た。結果を表3に示す。
【0148】
【表3】
【0149】
(*1)1H,1H,5H−オクタフルオロペンチルメタクリレート
(*2)4−メタクリロイルオキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン
【0150】
合成例1〜19
(熱硬化性組成物の調製)
攪拌機および蒸留装置を備えた容器内に、メチルトリメトキシシラン70部、参考例1で得られたB成分、ジ−iプロポキシエチルアセトアセテートトリス(エチルアセトアセテート)アルミニウム5部と、電気伝導率が8×10-5S・cm-1のイオン交換水10部、メチルエチルケトン、イソプロピルアルコールとを収容したのち、温度60℃、5時間の条件で加熱攪拌したのち、アセチルアセトンを加えて熱硬化性組成物Aを得た。得られたポリシロキサン溶液1について、GPCを用いてポリスチレン換算の重量平均分子量を測定したところ、16,000という値が得られた。
また、表4〜6に示すように、同様にして、組成物B〜Sを得た。結果を表4〜6に示す。
なお、表5中、「MTMS」は「メチルトリメトキシシラン」を、「PTMS」は「フェニルトリメトキシシラン」を、「γ−MPTMS」は「γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン」を、「GPTMS」は「グリシドキシプロピルトリメトキシシラン」を、「DMDMS」は「ジメチルジメトキシシラン」を示す。
【0151】
【表4】
【0152】
【表5】
【0153】
【表6】
【0154】
(*1):トルエン分散酸化亜鉛(固形分濃度30%)
(*2):水分散(pH4)アナターゼ型酸化チタン(固形分30%)
(*3):メチルエチルケトン分散シリカゾル(固形分30%)
(*4);下記合成例20の組成物
(*5);下記合成例21の組成物
【0155】
合成例20<コーティング組成物の合成>
還流冷却器、撹拌機を備えた反応器に、メチルトリメトキシシラン70部、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン30部、水20部、i−プロピルアルコール150部および10-2mol/L塩酸水溶液20部を加えてよく攪拌し、60℃で4時間反応させた。次いで、室温まで冷却し、トルエン分散酸化亜鉛(固形分濃度30%)20部を添加して、固形分濃度20%の組成物を得た。得られた組成物100部に、ジ−i−プロポキシ・ビス(アセチルアセテート)チタニウムのイソプロピルアルコール溶液20%品を30部添加、よく攪拌し、コーティング組成物(ii−1)を得た。表7に示す。
【0156】
合成例21<コーティング組成物の合成>
還流冷却器、撹拌機を備えた反応器に、表7に記載した種類、部数の各成分(後添加成分以外)を加えてよく攪拌し、60℃で4時間反応させた。次いで、室温まで冷却し、後添加成分を添加して固形分濃度20%の組成物を得た。
【0157】
【表7】
【0158】
(*1):i−プロピルアルコール分散コロイダルシリカ(固形分濃度30%)(*2):トルエン分散酸化亜鉛(固形分濃度30%)
【0159】
実施例1〜19
(1)反射防止性
上記合成例で得られた熱硬化性組成物100部に対し、ジ−i−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタニウムのi−プロピルアルコール溶液(固形分濃度20%)を15部添加しよく混合したのち、ポリカーボネート板上にディップコートし、100℃×10分加熱乾燥して0.1μmの反射防止膜を含む積層体を形成した。得られた積層体(反射防止膜)の反射防止効果を分光反射率測定装置〔大型試料室積分球付属装置150−09090を組み込んだ自記分光光度計U−3410、日立製作所(株)製〕により、図4に示すように波長400〜800nmの範囲で反射率を測定して評価した。すなわち、アルミの蒸着膜における反射率を基準(100%)として、各波長における積層体(反射防止膜)の反射率を測定し、そのうち波長550nmにおける光の反射率から以下の基準で反射防止効果を評価した。結果を表8〜10に示す。
◎:反射率が1%以下の値である。
○:反射率が2%以下の値である。
△:反射率が3%以下の値である。
×:反射率が3%を超える値である。
【0160】
(2)透明性
上記(1)と同様に、熱硬化性組成物を石英板上にスピンコートし加熱乾燥したのち、厚さ10μmの透明性測定用の光硬化物(反射防止膜)を形成した。次いで、分光光度計を用いて、得られた光硬化物における波長550nmの光透過率(T/%)を測定し、得られた光透過率から以下の基準で透明性を評価した。結果を表8〜10に示す。
○:光透過率が95%以上の値である。
△:光透過率が80〜95%未満の値である。
×:光透過率が80%未満の値である。
【0161】
(3)屈折率
上記(1)と同様に、熱硬化性組成物をポリテトラフルオロエチレン製フィルムにバーコーターを用いて塗布し加熱硬化したのち、厚さ20μmの屈折率測定用の反射防止膜を形成した。得られた光硬化物におけるNa−D線の屈折率を、測定温度25℃の条件で、アッベ屈折率計を用いて測定した。結果を表8〜10に示す。
【0162】
(4)耐候性
上記(1)と同様に、熱硬化性組成物を石英板上にスピンコートし加熱硬化したのち、厚さ2μmの反射防止膜)を形成した。得られた硬化物についてJISD0205に準拠して(湿度50%、温度63℃、降雨18分/120分照射の条件)、サンシャインカーボンアーク灯式耐光性試験機を用い、促進耐候試験を実施した。そして、促進耐候試験1,000時間後および2,000時間後における光硬化物の外観を目視で観察し、以下の基準で以て耐候性を評価した。また、同時に、JIS K7103に準拠した黄変度を△YI値で以て測定し、同様に光硬化物の耐候性を評価した。結果を表8〜10に示す。
○:外観変化(クラックなど)が無く、また△YI値が0.1以下である。
△:外観変化(クラックなど)がほとんど無く、また△YI値が2以下である。
×:外観変化(クラックなど)が認められるか、△YI値が2を超えている。
【0163】
(5)耐擦傷性
上記(1)と同様に、熱硬化性組成物をポリカーボネート板上にディップコートし加熱硬化したのち、厚さ0.1μmの反射防止膜を含む積層体を形成した。得られた積層体における反射防止膜の表面を、ペーパー(キムワイプ、十条キンバリー(株)製)により、荷重1kg/cm2 の条件で25回こすり、傷の発生具合 や剥離具合および鉛筆硬度試験から、以下の基準に照らして反射防止膜の耐擦傷性を評価した。結果を表8〜10に示す。
◎:反射防止膜に傷の発生や剥離は観察されず、鉛筆硬度が2H以上である。
○:反射防止膜に傷の発生や剥離は観察されず、鉛筆硬度が2H未満である。
△:反射防止膜の剥離は観察されないが、微細な傷の発生が観察される。
×:反射防止膜の一部が剥離したり、筋状の傷の発生が多数観察される。
【0164】
(6)耐汚染性
上記(1)と同様に、熱硬化性組成物をポリカーボネート板上にディップコートし加熱硬化したのち、厚さ0.1μmの反射防止膜を含む積層体を形成した。得られた積層体における反射防止膜の耐汚染性を、汚染物質(指紋および黒マジック)を用いてスポット試験を行い、以下の基準で判断した。結果を表8〜10に示す。
◎:指紋および黒マジックについて、それぞれ乾布を用いて1回で拭き取ることができる。
○:指紋については、乾布を用いて10回未満で拭き取ることができ、黒マジックについては、エチルアルコールを用いて10回未満で拭き取ることができる。
△:指紋については、乾布を用いて10回以上で拭き取ることができ、黒マジックについては、エチルアルコールを用いて10回以上で拭き取ることができる。
×:指紋については、乾布を用いて拭き取ることができず、黒マジックについては、エチルアルコールを用いて拭き取ることができない。
【0165】
【表8】
【0166】
【表9】
【0167】
【表10】
【0168】
合成例22〜28
(光硬化性組成物の調製)
攪拌機および蒸留装置を備えた容器内に、メチルトリメトキシシラン70部、参考例1で得られたB成分30部、、ジ−iプロポキシエチルアセトアセテートトリス(エチルアセトアセテート)アルミニウム5部と、電気伝導率が8×10-5S・cm-1のイオン交換水10部、メチルエチルケトン100部とを収容したのち、温度60℃、5時間の条件で加熱攪拌することにより加水分解縮合を行った。次いで、容器内の温度を80℃に昇温させたのち、メチルイソブチルケトン(以下「MIBK」と略記)を滴下しながら、加水分解により副生したメタノールを蒸留除去した。そして、最終的に固形分を22%に調整し、(A)成分であるポリシロキサンを含有する溶液(以下「ポリシロキサン溶液2」と称する)を得た。得られたポリシロキサン溶液2について、GPCを用いてポリスチレン換算の重量平均分子量を測定したところ、12,000という値が得られた。
次いで、得られたポリシロキサン溶液2(固形分および溶剤の合計)100部あたり、(B)成分の光酸発生剤として、SI−100L〔三新化学(株)製〕を3部、脱水剤として、オルト蟻酸メチル〔和光純薬工業(株)製〕5部をそれぞれ添加して、光硬化性組成物Tを得た。
同様にして、光硬化性組成物U〜Zを調製した。結果を表11に示す。
なお、表11中、「MTMS」は「メチルトリメトキシシラン」を、「PTMS」は「フェニルトリメトキシシラン」を、「γ−MPTMS」は「γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン」を、「GPTMS」は「グリシドキシプロピルトリメトキシシラン」を、「DMDMS」は「ジメチルジメトキシシラン」を示す。
【0169】
【表11】
【0170】
実施例20〜26
(光硬化性組成物からの反射防止膜の形成および評価)
(1)光硬化性1
得られた光硬化性組成物(溶液)に、MIBKとn−ブタノールとの等量混合溶媒を添加して、固形分濃度を3%に調整した。次いで、大気条件下に、ポリカーボネート板〔厚さ1mm、帝人化成(株)製〕上に、ディップコータを用いて塗膜を形成した。
次いで、室温(25℃)、2分の条件で乾燥して、厚さ0.1μmの塗膜を得たのち、大気下、温度25℃、露光量が100mJ/cm2 (照射時間1秒)、200mJ/cm2 (照射時間2秒)および300mJ/cm2 (照射時間3秒)となるように、オーク製作所(株)製のコンベア式高圧水銀ランプ(2kW)を用いて紫外線を照射し、反射防止膜を形成した。また、窒素中、温度25℃の条件で、同様に紫外線を照射して、反射防止膜を形成した。得られた反射防止膜につき、指触で表面タックを測定し、以下の基準で光硬化性を評価した。結果を表12に示す。
◎:100mJ/cm2 露光後、反射防止膜の表面タックがない。
○:200mJ/cm2 露光後、反射防止膜の表面タックがない。
△:300mJ/cm2 露光後、反射防止膜の表面タックがない。
×:300mJ/cm2 露光後、反射防止膜の表面タックがある。
【0171】
(2)光硬化性2
得られた光硬化性組成物(溶液)を温度40℃で1ヶ月間および3ヶ月間保管したのち、目視で外観変化(粘度増加)を測定し、さらに上記(1)の光硬化性を測定して、以下の基準で長期保存後の光硬化性を評価した。得られた結果を表12に、保存安定性として示す。
◎:3ヶ月経過後も、外観変化や光硬化性の変化は観察されない。
○:1ヶ月経過後も、外観変化や光硬化性の変化は観察されない。
×:1ヶ月経過後に、外観変化あるいは光硬化性の低下が観察される。
【0172】
(3)反射防止性
光硬化性組成物をポリカーボネート板上にディップコートしたのち、前記コンベア式高圧水銀ランプを用いて、大気中で露光量が200mJ/cm2 となるように紫外線を照射して、厚さ0.1μmの反射防止膜を含む積層体を形成した。得られた積層体(反射防止膜)の反射防止効果を分光反射率測定装置〔大型試料室積分球付属装置150−09090を組み込んだ自記分光光度計U−3410、日立製作所(株)製〕により図4に示すように波長400〜800nmの範囲で反射率を測定して評価した。すなわち、アルミの蒸着膜における反射率を基準(100%)として、各波長における積層体(反射防止膜)の反射率を測定し、そのうち波長550nmにおける光の反射率から以下の基準で反射防止効果を評価した。結果を表12に示す。
◎:反射率が1%以下の値である。
○:反射率が2%以下の値である。
△:反射率が3%以下の値である。
×:反射率が3%を超える値である。
【0173】
(4)透明性
光硬化性組成物を石英板上にスピンコートしたのち、前記コンベア式高圧水銀ランプを用いて、大気中で露光量が200mJ/cm2 となるように紫外線を照射し、厚さ10μmの透明性測定用の光硬化物(反射防止膜)を形成した。次いで、分光光度計を用いて、得られた光硬化物における波長550nmの光透過率(T/%)を測定し、得られた光透過率から以下の基準で透明性を評価した。結果を表12に示す。
○:光透過率が95%以上の値である。
△:光透過率が80〜95%未満の値である。
×:光透過率が80%未満の値である。
【0174】
(5)屈折率
光硬化性組成物をポリテトラフルオロエチレン製フィルム上にバーコータを用いて塗布したのち、前記コンベア式高圧水銀ランプを用いて、大気中で露光量が200mJ/cm2 となるように紫外線を照射し、厚さ20μmの屈折率測定用の 光硬化物(反射防止膜)を形成した。得られた光硬化物におけるNa−D線の屈折率を、測定温度25℃の条件で、アッベ屈折率計を用いて測定した。結果を表12に示す。
【0175】
(6)耐候性
光硬化性組成物を石英板上にスピンコートしたのち、前記コンベア式高圧水銀ランプを用いて、大気中で露光量が200mJ/cm2 となるように紫外線を照射し、厚さ2μmの耐候性測定用の光硬化物(反射防止膜)を形成した。得られた光硬化物についてJIS D0205に準拠して(湿度50%、温度63℃、降雨18分/120分照射の条件)、サンシャインカーボンアーク灯式耐光性試験機を用い、促進耐候試験を実施した。そして、促進耐候試験1,000時間後および2,000時間後における光硬化物の外観を目視で観察し、以下の基準で以て耐候性を評価した。また、同時に、JIS K7103に準拠した黄変度を△YI値で以て測定し、同様に光硬化物の耐候性を評価した。結果を表12に示す。
○:外観変化(クラックなど)が無く、また△YI値が0.1以下である。
△:外観変化(クラックなど)がほとんど無く、また△YI値が2以下である。
×:外観変化(クラックなど)が認められるか、△YI値が2を超えている。
【0176】
(7)耐擦傷性
光硬化性組成物をポリカーボネート板上にディップコートしたのち、前記コンベア式高圧水銀ランプを用いて、大気中で露光量が200mJ/cm2 となるように紫外線を照射し、厚さ0.1μmの反射防止膜を含む積層体を形成した。得られた積層体における反射防止膜の表面を、ペーパー〔キムワイプ、十条キンバリー(株)製〕により、荷重1kg/cm2 の条件で25回こすり、傷の発生具合や剥離具合および鉛筆硬度試験から、以下の基準に照らして反射防止膜の耐擦傷性を評価した。結果を表12に示す。
◎:反射防止膜に傷の発生や剥離は観察されず、鉛筆硬度が2H以上である。
○:反射防止膜に傷の発生や剥離は観察されず、鉛筆硬度が2H未満である。
△:反射防止膜の剥離は観察されないが、微細な傷の発生が観察される。
×:反射防止膜の一部が剥離したり、筋状の傷の発生が多数観察される。
【0177】
(8)耐汚染性
光硬化性組成物をポリカーボネート板上にディップコートしたのち、前記コンベア式高圧水銀ランプを用いて、大気中で、露光量が200mJ/cm2 となるように紫外線を照射し、厚さ0.1μmの反射防止膜を含む積層体を形成した。得られた積層体における反射防止膜の耐汚染性を、汚染物質(指紋および黒マジック)を用いてスポット試験を行い、以下の基準で判断した。結果を表12に示す。
◎:指紋および黒マジックについて、それぞれ乾布を用いて1回で拭き取ることができる。
○:指紋については、乾布を用いて10回未満で拭き取ることができ、黒マジックについては、エチルアルコールを用いて10回未満で拭き取ることができる。
△:指紋については、乾布を用いて10回以上で拭き取ることができ、黒マジックについては、エチルアルコールを用いて10回以上で拭き取ることができる。
×:指紋については、乾布を用いて拭き取ることができず、黒マジックについては、エチルアルコールを用いて拭き取ることができない。
【0178】
【表12】
【0179】
実施例27
実施例20におけるポリカーボネート板の替わりに、ポリエチレンテレフタレートフィルム〔厚さ188μm、東洋紡(株)製〕を基材として用いたほかは、実施例20の組成物Tを用いて反射防止膜を形成して、図5に示すように反射率などを測定し、評価した。得られた結果を表13に示す。ただし、透明性、屈折率および耐候性については、実施例1の繰り返し試験となるため、実施例27ではこれらの評価試験を省略し、表には実施例20で得られた結果を示してある。
【0180】
実施例28
(高屈折率膜の形成)
金属酸化物微粒子含有コート剤No.1352〔住友大阪セメント(株)製〕100部と、シランカップリング剤TESOX〔東亜合成(株)製〕5部と、光ラジカル発生剤イルガキュア184〔チバスペシャリティケミカルズ(株)製〕3部とを混合後、さらにMIBKとt−ブチルアルコールとの等量混合溶液を添加して、固形分3%の高屈折率膜溶液を光硬化性組成物T′として調製した。
得られた光硬化性組成物T′を、ディップコータを用いてポリカーボネート板に塗布したのち、高圧水銀ランプを用いて、窒素中で、露光量が200mJ/cm2 となるように紫外線を照射し、厚さが0.1μmであり、屈折率の値が1.7(−)である高屈折率膜を形成した。
【0181】
(反射防止膜の形成および評価)
得られた高屈折率膜上に、実施例20で調製した光硬化性組成物Tと同様の光硬化性組成物から反射防止膜(評価用の光硬化物を含む)を形成して評価した。なお、透明性、屈折率および耐候性については、実施例20の繰り返し試験となるため、実施例28ではこれらの評価試験を省略し、表13には実施例20で得られた結果を示してある。
【0182】
実施例29
実施例29において、前記で調製した光硬化性組成物Tを用いたほかは同様に、高屈折率膜および反射防止膜を形成して評価した。結果を表13に示す。なお、透明性、屈折率および耐候性については前記の繰り返し試験となるため、これらの評価試験を省略し、表には前記実施例で得られた結果を示してある。
【0183】
実施例30
(ハードコート層の形成)
アクリルモノマーであるDPHA40部と、アロニックスTO−756〔東亜合成(株)製〕60部と、前述したイルガキュア184を3部混合してハードコート層用の光硬化性組成物U′を調製した。得られた光硬化性組成物U′を、バーコータを用いてポリカーボネート板に塗布したのち、高圧水銀ランプを用いて、窒素中で、露光量が500mJ/cm2 となるように紫外線を照射し、厚さが5.0μmであるハードコート層を形成した。
【0184】
(反射防止膜の形成および評価)
得られたハードコート層上に、上記実施例20と同様に、高屈折率膜および反射防止膜を形成して評価した。結果を表13に示す。
【0185】
【表13】
【0186】
【発明の効果】
本発明の反射防止膜あるいはその反射防止膜を含む積層体によれば、反射防止膜の形成材料として特定の加水分解性シラン化合物とフッ素系重合体を含む熱硬化性組成物、あるいは、これにさらに光酸発生剤を含む光硬化性組成物を使用することから、熱硬化により、あるいは酸素存在下においても光硬化反応により、反射防止膜が形成可能であり、しかも得られた反射防止膜あるいは当該反射防止膜を含む積層体において、優れた反射防止効果や耐汚染性を得ることが可能となった。
【0187】
また、反射防止膜の形成材料として、特定の加水分解性シラン化合物とフッ素系重合体、さらにはこれに光酸発生剤と、脱水剤とを組み合わせることにより、保存安定性や光硬化性に優れた光硬化性組成物を得ることができ、したがって、熱硬化により、あるいは酸素存在下においてもより速い光硬化反応により、反射防止膜が形成可能であり、しかも得られた反射防止膜あるいは当該反射防止膜を含む積層体において、優れた反射防止効果や耐汚染性を得ることが可能となった。
【0188】
さらに、本発明の反射防止膜の製造方法によれば、反射防止膜の形成材料として特定の加水分解性シラン化合物とフッ素系重合体を含む熱硬化性組成物、あるいはこれにさらに光酸発生剤とからなる光硬化性組成物を使用して、基材上に反射防止膜を形成することから、優れた反射防止効果や耐汚染性を有する反射防止膜を、熱硬化により、あるいは酸素存在下においても光硬化反応を利用として形成することが可能となった。そのほか、本発明の反射防止膜の製造方法によれば、パターン露光することにより、任意の箇所に反射防止膜を形成することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の積層体の断面を示す図である(その1)。
【図2】本発明の積層体の断面を示す図である(その2)。
【図3】本発明の積層体の断面を示す図である(その3)。
【図4】実施例1の反射防止膜(大気中硬化)および使用した基板(ポリカーボネート板)における反射率測定チャートである。
【図5】実施例2の反射防止膜(大気中硬化)および使用した基板(PETフィルム)における反射率測定チャートである。
【符号の説明】
10,22,26 反射防止膜
12 基材
14,18,28 積層体
16 ハードコート層
20,22 高屈折率層
Claims (4)
- (A)下記一般式(1)
(R1 )nSi(OR2 )4-n・・・・・(1)
(式中、R1 は、2個存在するときは同一または異なり、炭素数1〜8の1価の有機基を示し、R2 は、同一または異なり、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜6のアシル基を示し、nは0〜2の整数である。)で表されるオルガノシラン、該オルガノシランの加水分解物および該オルガノシランの縮合物の群から選ばれる少なくとも1種、
(B−2)(B−a)(イ)テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、フッ化ビニリデン、クロロトリフルオロエチレン、3,3,3−トリフルオロプロピレン、テトラフルオロエチレンから選ばれたフルオロオレフィン類、および/または、(ハ)パーフルオロ(メチルビニルエーテル)、パーフルオロ(エチルビニルエーテル)、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)、パーフルオロ(ブチルビニルエーテル)、パーフルオロ(イソブチルビニルエーテル)から選ばれたパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)類、であるフッ素原子を含有する単量体、(B−c)シリル基を有する単量体、ならびに(B−e)ビニルエーテル単量体を重合して得られる、加水分解性基および/または水酸基と結合したケイ素原子を有するシリル基を有するフッ素含有ビニルエーテル系重合体、ならびに
(C)水および有機溶剤
を含有し、ここで水の使用量は(A)成分におけるオルガノシラン(1)1モルに対し0.5〜3モルであり、また有機溶剤の使用量は全固形分濃度が20〜50重量%であるように該有機溶剤を含有してなり、かつ(A)成分と(B−2)成分とを混合して縮合反応させてなる、コーティング組成物を硬化してなる反射防止膜。 - コーティング組成物中、(A)成分におけるオルガノシラン(1)100重量部に対し、(B−2)の使用量が50〜800重量部であり、かつ(B−2)成分を構成する、(B−a)が5〜90重量%、(B−c)が1〜90重量%、(B−e)が0.5〜90重量%である請求項1記載の反射防止膜。
- 請求項1または2記載のコーティング組成物を成形する工程と、成形したコーティング組成物を熱硬化する工程を含むことを特徴とする反射防止膜の製造方法。
- 請求項1または2記載の反射防止膜を基材上に含むことを特徴とする反射防止膜を含む積層体。
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