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JP4599649B2 - データ通信ネットワークにおける課金処理装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は車両等の移動体とセンタとの間でデータの送受信を行うデータ通信ネットワークシステム、特に通信ナビゲーションシステムに関し、より詳しくは同システムにおいてセンタ側に設けられる課金処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
GPS等によって検出された車両の現在位置からユーザの指定する目的地までの経路を自動探索し、探索された経路に沿って車両を誘導するナビゲーションシステムにおいて、近年、いわゆる通信ナビゲーションシステムが開発されている。
【0003】
この通信ナビゲーションシステムにおいては、車載器とセンタとを携帯電話等のデータ通信手段によって接続してこれらの間で必要なデータの送受信を行っている。すなわち、車両の現在地から目的地までの推奨経路を探索するよう求めるリクエストを当該車両より受信すると、センタは、センタに備えたデータベースを参照して、経路探索や探索した推奨経路の地図表示等の処理のために必要なデータを作成して、車載器側に送信する。車載器は受信したこれらデータに基づいて、音声による経路案内や推奨経路のディスプレイ表示等の処理を行って運転者に必要な情報を報知する。このように、通信ナビゲーションシステムでは車両とセンタとの間でデータの送受信が行われている。
【0004】
さらに、通信ナビゲーションシステムでは、推奨経路や地図表示等のデータを作成するために必要な膨大なデータベースをセンタ側で一元的に管理するものであるため、各車両から送信されたデータを同データベースに蓄積し、その中から必要なデータを抽出して他の車両に対する経路案内に活用することが可能となる。たとえば、ある車両が走行している道路が同データベースには未蓄積である場合、センタはこれを新規道路として同データベースに蓄積する。これにより、同新規道路は、その後の経路案内において車両が走行する道路の一候補として参照される。また、ある車両が走行している道路において事故が発生したり渋滞中である場合、センタはこの情報を受けて、他の車両に対する経路案内においてこの道路を迂回した経路を探索することができる。
【0005】
このような実施形態によると、センタと通信接続される車両の台数が増大すればするだけ、センタ側のデータベースを最小のタイムラグでアップデートすることができ、且つ、すべての車両に対してその時点で最適な経路を瞬時に探索することができることになり、データベースをセンタにおいて一元的に蓄積管理する構成を有する通信ナビゲーションシステムの利点を最大限に発揮することができるきわめて有用な実施形態であると言える。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、通信ナビゲーションシステムにおいては車載器とセンタとの間でデータの送受信を行うものであるから、データ送受信のための通信手段としての携帯電話を所有するユーザは、データ通信量に応じた通信コストを負担しなければならない。
【0007】
従来の通信ナビゲーションシステムでは、車載器からのリクエストに応じて作成された推奨経路や地図表示等のデータをセンタから受信する際の受信データ量に応じて通信コストを負担していた。
【0008】
上述のように、通信ナビゲーションシステムにおいては、ユーザ(システム加入者)は単にセンタからデータを受信するだけでなく、システム運営・運用に必要なデータをセンタに対して与えることができる。しかしながら、従来の通信ナビゲーションシステムにおいては、このようにしてユーザが積極的に有用な情報を提供しても、通信コスト上全く評価されない
【課題を解決するための手段】
そこで本発明は、従来技術における上記問題を解決し、特に、通信ナビゲーションシステムにおいてユーザ側からの有用な情報提供に対して通信コスト上のメリットを与えることを目的とする。
【0009】
また、本発明は、上記のようにして通信コスト上のメリットを情報提供者に与えることを通じて、有用な情報が多数センタに寄せられるようにし、センタ側における情報収集の負担およびコストを軽減すると共に、あらゆるユーザに対してリアルタイムでアップデートな情報を提供できるようにシステム構成することを目的とする。
【0010】
この目的を達成するため、請求項1にかかる本発明は、移動体とセンタとの間でデータの送受信を行うデータ通信ネットワークにおいてセンタ側に設けられる課金処理装置であって、前記移動体に送信した情報に基づいてプラス課金ポイントを算出するプラス課金ポイント算出手段と、前記移動体から受信した情報の種類と内容に基づいて所定の計算式から貢献ポイントを算出する貢献ポイント算出手段と、前記移動体から受信した情報が所定期間内に実際に使用された使用量に応じた係数を前記貢献ポイント算出手段が算出した貢献ポイントに乗してマイナス課金ポイントを算出するマイナス課金ポイント算出手段と、これら課金ポイント算出手段により算出されたプラス課金ポイントとマイナス課金ポイントとを相殺して前記移動体のユーザに対する課金額を算出する精算手段とを備えた課金処理装置である。
【0011】
請求項2にかかる本発明は、請求項1記載の課金処理装置において、前記貢献ポイントが算出される受信情報は、特定の道路区間において渋滞が発生していることに関する渋滞情報、特定の道路区間において発生していた渋滞が解消したことに関する渋滞解消情報、特定の地点において事故が発生したことに関する事故情報、特定の地点において発生した事故の処理が完了したことに関する事故処理完了情報、および、センタに備えられる道路データベースに登録されていない新規道路に関する新規道路情報よりなる群から選ばれる一以上の情報であることを特徴としている。
【0015】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の一実施形態による通信ナビゲーションシステムの構成を示す説明図である。図中、10は車載器、20は情報センタであり、これらは携帯電話(PHS、自動車電話を含む)等の通信手段30を介してデータ送受信可能に接続されている。
【0016】
車載器10は、各種データ処理および各部の動作制御を行う中央処理装置(CPU)11を有しており、このCPU11にデータバスや制御バス等のバスラインで接続されたROM、RAM、タイマ等を備えている。ROMはCPU11で制御を行うための各種データやプログラムがあらかじめ格納されたリードオンメモリであり、RAMはCPU11がワーキングメモリとして使用するランダムアクセスメモリである。
【0017】
記憶装置12にはCPU11が実行する各種データ処理および各部の動作制御のために必要なデータやプログラムが格納され、具体的には、現在地から目的地までの推奨経路を自動探索する経路探索処理その他の各種ナビゲーション機能の実行に用いられるナビゲーションプログラム121、目的地として設定可能な施設や地点の絶対座標ならびにその名称、電話番号、住所、郵便番号等を格納する目的地データ122、後述する通信制御装置15の機能を制御するための通信制御プログラム123、後述する渋滞発生や事故発生あるいはそれらが解消したことを運転者の減速操作や平均車速等に基づいて判定するためのプログラム、その他のプログラムないしデータ124が格納されている。
【0018】
記憶装置12はフロッピーディスク、ハードディスク、CD−ROM、光ディスク、磁気テープ、ICカード、光カード、DVD等の各種記憶媒体とその駆動装置から構成されるが、単一の記憶媒体に上記各種のプログラムまたはデータを格納してもよく、あるいは一または複数のプログラムまたはデータごとに複数種類の異なる記憶媒体を用いてもよい。特に各種データ125としてユーザに固有のデータが格納されている場合は、これを持ち運び容易なICカードやフロッピーディスクのような記憶媒体に格納し、その他のプログラムおよびデータをハードディスクに格納することができる。
【0019】
センサ13は車両の絶対位置を検出するものであり、人工衛星を利用して車両位置を測定するGPS受信装置、方位センサ、舵角センサ、距離センサ、路上に配置されたビーコンからの位置情報を得るビーコン受信装置等が単独または任意組み合わせて用いられる。GPS受信装置とビーコン受信装置は単独で位置測定が可能であるが、これらによる受信が不可能な場所での位置測定を可能にするために方位センサ(地磁気センサ、ジャイロ、車輪センサ等)、蛇角センサ、距離センサ等を組み合わせて用いることが好ましい。また、より正確な現在位置検出のために、所定の基地局から送信される測位誤差に対する補正信号を受信して現在位置を補正するD−GPS(ディファレンシャルGPS)を使用してもよい。これらの受信装置やセンサはいずれも公知であるので、これ以上の詳細な説明を省略する。なお、センサ13として、ほかに、車両各部(エンジン、トランスミッション、ドア、ウィンドウ、ワイパー、エアコン等)の状況や車両内外の状況(車室内温度、室外温度、天候、路面状況等)を検出するためのセンサを各種備えることができる。
【0020】
入力装置14は特にユーザが車両の目的地を設定するために用いられ、具体的にはタッチパネル、キーボード、マウス、ライトペン、ジョイスティック、赤外線リモコン、音声認識装置等により構成される。
【0021】
通信制御装置15は通信制御プログラム123に基づいてCPU11により制御されて、前記通信手段30を介して情報センター20との間のデータ送受信を可能にするものであり、具体的にはモデムとして構成され得る。
【0022】
表示装置(ディスプレイ)16はCPU11による処理の結果をユーザに視認可能な情報として表示するためのものであり、具体的には液晶表示装置やCRT等が用いられる。また、表示装置16をタッチパネルとして構成した場合には入力装置14としての機能をも兼ね備えたものとすることができる。
【0023】
CPU11の処理結果として、たとえば、ナビゲーションプログラム121に基づいて探索された現在地から目的地までの推奨経路が表示装置16に表示される。その他、現在地や任意地点周辺の地図や、目的地入力等のユーザが希望する操作を選択するための選択メニュー画面、あるいはCCDカメラ(センサ13の一種と考えられる)によって撮像された車室内外の画像も表示装置16に表示される。
【0024】
一方、情報センタ20にも同様に中央処理装置(CPU)21およびこのCPUにデータバスや制御バス等のバスラインで接続されたROM、RAM、タイマ等が備えられて各種データ処理を行う。本発明においては、このCPU21はさらに、後述する課金処理を実行する手段として機能する。
【0025】
CPU21に接続される記憶装置22は、車載器10側の記憶装置12と同様に単一または複数種類の記憶媒体によって構成され、車載器10から受信した後述する経路探索リクエストに基づいて現在地から目的地に至る推奨経路を自動探索するための経路探索プログラム221、後述する課金処理を行うための課金処理プログラム222、後述する通信制御装置23の機能を制御するための通信制御プログラム223、目的地として設定可能な施設や地点の絶対座標ならびにその名称、電話番号、住所、郵便番号等を格納する目的地データ224、道路データや交差点データ等経路探索に必要な各種データを含む経路探索用データ225、その他CPU21による処理に必要な各種プログラムないしデータが格納されている。
【0026】
また、記憶装置22は、通信手段30を介して情報センタ20と通信可能な車載器10が持つ固有のIDに対応する記憶領域として、ポイントレジスタ226と精算レジスタ227を有している。これらの作用については後述する。
【0027】
通信制御装置23は通信制御プログラム223に基づいてCPU21により制御され、具体的にはモデムとして構成され得るものであって、前記通信手段30を介して車載器10との間のデータ送受信を可能にしている。
【0028】
この実施形態による通信ナビゲーションシステムにおいて目的地を設定するには、公知のように、表示装置16に表示される選択メニュー画面の中から「目的地設定」を選択し、希望する目的地の名称、住所、電話番号等を入力装置14を介して入力することで目的地設定を行うことができる。CPU11は、指定された目的地の位置データ(座標)を目的地データ122から読み出してナビゲーション装置の案内目的地として設定する。
【0029】
図2は、図1の通信ナビゲーションシステムにおける各車載器10と情報センタ20との間のデータ送受信の具体例を概念的に示す図であり、矢印Aは車載器10aから情報センタ20に対して現在地から目的地までの経路探索を求めるリクエスト送信を示す。情報センタ20は該リクエストに応答して、経路探索プログラム221に従い、経路探索用データ225を参照して、現在地から目的地に至る推奨経路を探索し、この推奨経路およびそれに関連する地図表示等のデータをリクエスト送信元である車載器10aに対して送信する(矢印B)。これら経路探索リクエストおよび推奨経路等データの送受信は従来の通信ナビゲーションシステムにおいても同様であるので、これ以上の詳細な説明を省略する。
【0030】
システム加入者であるユーザの車両が走行中に渋滞に巻き込まれたとき、その車載器10bからは当該道路のある区間に渋滞が発生していることを知らせる渋滞情報が情報センタ20に対して送信される(矢印C)。また、事故を起こしたときには、その車載器10cから当該事故に関する事故情報が情報センタ20に対して送信される(矢印D)。情報センタ20が渋滞情報や事故情報を通信手段30および通信制御装置23を介して受信したとき、CPU21は、他の車両からの経路探索リクエスト(矢印A)を受けて経路探索を行う際に、これら渋滞や事故が発生した道路区間を通る経路が通常の場合の推奨経路(たとえば現在地から目的地に至る最短経路)であったとしても、当該道路区間を迂回した経路を推奨経路として決定し、これを関連する地図表示データと共にリクエスト元の車載器に対して送信する(矢印B)。
【0031】
渋滞情報や事故情報は、それを知ったユーザからの能動的・自発的行動として情報センタ20に発信することができる。これを簡便に行わせるために、車載器10に図示されない渋滞報知手段および事故報知手段を設け、これら手段をユーザが操作したときに、そのときの車両現在地を示す位置データと共に「渋滞」または「事故」を知らせるデータが情報センタ20に送信されるようにすることが好適である。
【0032】
あるいは、運転者による減速操作(アクセルオフ、ブレーキオン、シフトレバー位置のニュートラルへの移動、サイドブレーキオン等)の間隔が短くなってその平均値が所定の閾値以下となったときや、所定時間内での平均車速が当該走行道路について予め決定されている所定の閾値速度以下になったときに、車載器のCPU11は現在走行中の区間に渋滞が生じているものと判断し、この判断結果を通信手段30および通信制御装置23を介して情報センタ20に自動送信するように構成してもよい。
【0033】
さらに、渋滞が解消したときや事故処理が完了したときには、これらの情報を情報センタ20が取得できるような構成とすることが好ましい。渋滞解消情報や事故処理完了情報についても、それを知ったユーザからが自発的に情報センタ20に発信することができ、たとえば車載器10に設けられる前記渋滞報知手段や事故報知手段を渋滞が解消したとき、または事故処理が完了したときに再度操作するものとし、これによって渋滞解消情報や事故処理完了情報が情報センタ20に対して送信されるように構成することができる。あるいは、渋滞報知手段や事故報知手段とは別に渋滞解消や事故処理完了を報知するための手段を設け、これをユーザが操作したときに渋滞解消情報や事故処理完了情報が送信されるように構成してもよい。
【0034】
また、運転者の減速操作や平均車速に基づいて渋滞の発生を判断する構成を採用した場合は、運転者の減速操作の間隔が長くなって所定の閾値以上に復帰したときや、平均車速が所定の閾値速度以上に復帰したときに、車載器のCPU11は渋滞が解消したものと判断して、この判断結果を渋滞解消情報として情報センタ20に自動送信するように構成することができる。
【0035】
図2に戻り、矢印Eは、ユーザの車両が走行中の道路が情報センタ20側の記憶装置22に記憶される経路探索用データ225の道路データに含まれていないときに当該走行中の道路を新規道路として道路データに追加するために、車載器10から情報センタ20に対して送信される新規道路情報を示している。これを受けた情報センタ20のCPU21は、この道路を含むよう経路探索用データ225を更新する。すなわち、情報センタ20側からすれば、ユーザからのリアルタイムの情報提供により経路探索用データ225が自動的にアップデートされる。従って、このアップデート後に行われる経路探索においては、それがいずれのユーザからのリクエストに対するものであれ、新規に追加された道路も走行経路となり得る一候補として参照することができる。
【0036】
新規道路情報の送信についても、走行中の道路がデータベースにないことを知ったユーザが自発的に発信してもよいが、より実際的には、そのことを車載CPU11が判断したときに自動送信するように構成される。すなわち、CPU11は、センサ13からの現在地情報と既存の道路データとの間でマップマッチング処理を行い、その結果、所定距離以上にわたって現在地がいずれの既存道路からも外れていると判定したときに、当該走行中の道路を新規道路として情報センタ20に自動送信する。この場合には、車載器10側も情報センタ20における経路探索用データ225と同一内容のデータを保有しておく必要があり、情報センタ20側のデータ225が更新される都度、その更新内容を車載器10に送信して車載器10側のデータを同様に更新する。
【0037】
ユーザから情報センタ20への情報提供は必ずしも車載器10を発信源とするものではなく、たとえばユーザの家庭や職場に設置されたパソコンからの情報提供を許容するようにシステム構成してもよい(矢印F)。これによれば、たとえばユーザが帰宅した後に、○○道路の××区間が△時頃に渋滞していたというような渋滞情報を情報センタ20に送信することも可能となる。このようにして提供された情報はリアルタイムな情報ではないため、それを受信した直後の経路探索において参照することはできないが、同種の情報を多数集積することによって特定の道路区間が渋滞しやすい曜日や時間帯等を予測し、経路探索等情報センタ20から提供されるサービスにおいて将来的に有効に活用できる可能性がある。
【0038】
情報センタ20は、渋滞情報(図2:矢印C)、事故情報(図2:矢印D)、新規道路情報(図2:矢印E)等の経路探索に有用な情報を車載器10から通信手段30を介して受信すると、記憶装置22に記憶されている課金処理プログラム222に従って課金処理する。図3は、この課金処理の第一段階としての情報受信ルーチンを示す。
【0039】
車載器10からの情報提供があったことが確認されると(ステップS10:Y)、CPU21は、提供された情報の種類を判別する(ステップS11)。すなわち、渋滞情報であるか、事故情報であるか、新規情報であるか、その他の情報であるかを判別する。
【0040】
次に、その情報の内容を判別する(ステップS12)。たとえば、提供された情報が渋滞情報または事故情報であるときには、渋滞や事故が発生したとされる道路および地点、情報提供時の天候、日時等が参照される。また、提供された情報が新規道路情報であるときには、既存の道路(経路探索用データ225に道路データが登録されている道路)から分岐する地点(新規道路の始点)と既存の道路に合流する地点(新規道路の終点)ならびにこれら両地点間の複数のノードデータ、各ノードにおける勾配データ等が情報内容として収集される。これらの情報内容は送信元のユーザから直接的に与えられ、あるいは、センサ13により検出された現在地データ等を情報センタ20が上記情報の一部として車載器10から受信し、これをCPU21で判定して得られるものである。
【0041】
次に、ステップS11で判別した情報の種類とS12で判別した情報の内容とに基づき、予め定められた計算式に従い、ポイントを算出する(ステップS13)。このポイントは、ユーザから提供された情報の種類と内容とによって定められる貢献度、すなわちその情報が通信ナビゲーションシステムの運用に対してどの程度貢献する内容を持つものであるかを示しており、たとえば渋滞情報については、渋滞に巻き込まれた直後に提供されたリアルタイム情報の方が、帰宅後に提供された場合(図2:矢印F)よりも一般に貢献度が大きいものと考えられるので、より高いポイントが与えられるようになっている。
【0042】
ステップS13で算出したポイントは、その情報提供日をつけて、記憶装置22の車載器用ID記憶領域として設けられたポイントレジスタ226に一時的に収納しておく(ステップS14)。
【0043】
そして、次のステップS15において、現在(図3のルーチンによる処理日)がポイントレジスタ226に収納したポイントの日付から1ヶ月以上経過しているか否かを確認する。すなわち、本実施形態では、情報提供日から1ヶ月間の猶予期間を見て、提供された情報がこの期間内に実際に通信ナビゲーションシステムの運用において有効に使用されたか否かを確認するものであり、1ヶ月以上経過していれば(ステップS15:Y)、当該提供情報が1ヶ月以内に実際に使用された使用量に応じた一定の係数を算出し(ステップS16)、この係数をポイントレジスタ226に収納したポイントにかけて精算ポイントを算出し、これを精算レジスタ227に移動する(ステップS17)。ポイントレジスタ226に収納したポイントの日付が1ヶ月以内のものであるとき(ステップS15:N)は、以降のステップS16およびS17の処理は行われず、ステップS10に戻って次の情報提供を待つ。
【0044】
ステップS17で精算レジスタ227に移動された精算ポイントは、各車載器10から情報センタ20に有用な情報が提供されたことによってユーザに与えられる特典であり、具体的には各ユーザごとに精算ポイントを所定の精算期間(本例では1ヶ月単位)ごとに集計し、その集計ポイントに応じた金額をマイナス課金することによってユーザが負担する通信コストを軽減しようとするものである。この精算ルーチンが図4に示されている。
【0045】
ステップS20において、所定の開始日と最終日とによって定められる精算期間(たとえば毎月15日から翌月14日までの1ヶ月間)に、ユーザが情報センタ20から受けたサービスに伴うデータ使用量を計算する。このデータ使用量は、主として、経路探索リクエスト(図2:矢印A)に応答して情報センタ20から推奨経路およびそれに伴う地図表示等のデータを受信する(図2:矢印B)ことに伴うものであるが、そのほか、現在地や目的地あるいは途中経由地周辺のレストラン、宿泊施設、娯楽施設等の検索サービスの提供を受けたような場合には、そのデータ使用量が付加される。ステップS20で計算された当該精算期間内のデータ使用量は、従来の通信ナビゲーションシステムにおいてユーザが負担すべき通信コストに対応するものであって、ユーザに対するプラス課金となる。
【0046】
次に、ステップS21において、上記ステップS20で計算したデータ使用量(プラス課金ポイント)と、図3のステップS17で精算レジスタ227に収納した精算ポイントを同一の精算期間内で集計して得た累積精算ポイント(マイナス課金ポイント)とを相殺して差額を算出し、プラス課金ポイントの方が大きければ差額をユーザに請求して所定口座からの自動引落等の手段によって徴収し(ステップS22)、マイナス課金ポイントの方が大きければ差額を口座振込等の手段によってユーザに支払う(ステップS23)。つまり、ユーザからの提供情報が通信ナビゲーションシステム運用上の有用性が大きければ大きいほど、それに見合ったマイナス課金ポイントが得られ、ユーザの負担する通信コストが軽減され、場合によってはキャッシュバックという金銭的メリットを享受することも可能となる。ステップS20〜S23による処理結果はユーザに通知され、たとえば明細書として車載器10に対して電子メールとして送信する(ステップS24)。
【0047】
以上に本発明の好適な実施形態について詳述したが、本発明はこれに限定されることなく、特許請求の範囲に記載された事項の範囲内において数多くの実施形態を取り得るものである。
【0048】
たとえば、前述の実施形態では、現在地から目的地に至る経路探索を求める車載器側からの経路探索リクエスト、および情報センタ側からの推奨経路等のデータをいずれも各一回で送信するようにしているが、これらを各々分割して複数回にわたって送信するようにしてもよい。このように送信データをセグメント化することで、車両と情報センタとの間の通信が中断した場合であっても、通信中断以前に既に送信を終了したデータセグメントはそのまま経路案内等に利用することができ、また、再送信するときは通信中断後のデータセグメントから再送信すればよいため、ユーザの負担すべき通信コスト(プラス課金されるもの)を低減することが可能となる。
【0049】
また、前述の実施形態では移動体を車両として説明したが、そのほか、たとえば携帯用の移動端末等、各種の移動体に適用可能である。
【0050】
また、前述の実施形態では本発明を通信ナビゲーションシステムに適用しているが、ユーザ(移動体)とセンタとの間でデータの送受信を行うあらゆるデータ通信ネットワークシステムにおいて適用可能である。
【0051】
ユーザに対するプラス課金よりもマイナス課金の方が大きくなったときに、前述の実施形態では差額をユーザに振り込むようにしているが、このようなキャッシュバックに代えて、商品券等金券の類やその他の任意の特典を与えるようにしてもよい。
【0052】
【発明の効果】
本発明によれば、ユーザは、自ら提供する情報の有用性に応じてマイナス課金の特典が得られ、これによりユーザが負担すべき通信コストをトータルとして軽減することができるので、コスト面でのメリットが大きい。
【0053】
システム運営を行う側にとっても、上記のようにユーザにコストメリットを与えることによって、幅広いユーザの獲得が期待できるとともに、有用なリアルタイム情報を数多く入手できることが期待され、通信ナビゲーションシステム等のネットワークシステムを円滑且つ効率的に運用することができる。
【0054】
本発明の課金システムによれば、ユーザにとってもシステム運営者にとっても多大なメリットが期待できる。また、ユーザ参加型のネットワークシステムを形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態としての通信ナビゲーションシステムの概略構成図である。
【図2】 図1の通信ナビゲーションシステムにおける各車載器と情報センタとの間のデータ送受信の具体例を概念的に示す図である。
【図3】 課金処理プログラムに従って行われる課金処理の第一段階としての情報受信ルーチンを示すフローチャートである。
【図4】 課金処理の第2段階としての精算ルーチンを示すフローチャートである。
【符号の説明】
10 車載器
11 中央処理装置(CPU)
12 記憶装置
13 センサ
14 入力装置
15 通信制御装置
20 情報センタ
21 中央処理装置(CPU)
22 記憶装置
226 ポイントレジスタ
227 精算レジスタ
23 通信制御装置
30 通信手段

Claims (2)

  1. 移動体とセンタとの間でデータの送受信を行うデータ通信ネットワークにおいてセンタ側に設けられる課金処理装置であって、前記移動体に送信した情報に基づいてプラス課金ポイントを算出するプラス課金ポイント算出手段と、前記移動体から受信した情報の種類と内容に基づいて所定の計算式から貢献ポイントを算出する貢献ポイント算出手段と、前記移動体から受信した情報が所定期間内に実際に使用された使用量に応じた係数を前記貢献ポイント算出手段が算出した貢献ポイントに乗してマイナス課金ポイントを算出するマイナス課金ポイント算出手段と、これら課金ポイント算出手段により算出されたプラス課金ポイントとマイナス課金ポイントとを相殺して前記移動体のユーザに対する課金額を算出する精算手段とを備えた課金処理装置。
  2. 前記貢献ポイントが算出される受信情報は、特定の道路区間において渋滞が発生していることに関する渋滞情報、特定の道路区間において発生していた渋滞が解消したことに関する渋滞解消情報、特定の地点において事故が発生したことに関する事故情報、特定の地点において発生した事故の処理が完了したことに関する事故処理完了情報、および、センタに備えられる道路データベースに登録されていない新規道路に関する新規道路情報よりなる群から選ばれる一以上の情報であることを特徴とする請求項1記載の課金処理装置。
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