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JP4595191B2 - 分離可能な蓋材 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は芳香剤、吸湿剤等の容器の蓋材に関するものであり、特に使用する際基材フィルムのみを容器より剥離して、シーラントフィルム側を容器蓋材として残すことのできる分離可能な蓋材に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、トイレ等の屋内で消臭用等の目的で使用されている芳香剤は、除湿剤、香料等の内容物をプラスチック成形容器に収納し、その開口部をヒートシール性の不織布、有孔フィルム、あるいはヒートシールニスを処理した紙等から構成される通気性蓋材で覆うことにより、内容物がこぼれず、かつ水分あるい芳香成分が該通気性蓋材を通過し得るようにしてある。また、使用時まで前記通気性蓋材による通気性を封印するため、この通気性蓋材をさらにポリエチレンテレフタレート(PET)/ポリエチレン(PE)/アルミニウム箔(Al)/PE、PETフィルムに珪素酸化物、またはアルミニウム酸化物の透明蒸着薄膜層を設けた蒸着フィルム(VMPET)/ヒートシールニス、延伸ナイロン(ONy)/ポリ塩化ビニリデン(PVDC)/ONy/PEのようなバリア性蓋材で覆うということが行われている。
【0003】
しかしながら、この方法は、通気性蓋材とバリア性蓋材の2種類の蓋材をヒートシール等のシール方法を用いて容器に密封シールすることになり、シールを2工程行わなければならず加工費が高い、2種類の蓋材を使用することによる蓋材のコスト高、内容物が液体の場合、転倒させると内蓋を通して内容物がこぼれてしまう等の問題がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、最内層がPE樹脂からなるフランジ付き芳香剤容器の蓋材に関する以上のような問題点に着目してなされたもので、1工程のシールで密封が可能で、転倒しても内容物がこぼれ出ない、通気層とバリア層に分離が可能な蓋材を提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1の発明は、基材フィルムにバリア層が積層された複合フィルムのバリア層面にシーラントフィルムが溶融ポリエチレンを介して積層された蓋材をフランジ付きプラスチック成形容器の開口部に被せ、前記蓋材と成形容器周縁に設けられたフランジ部分とを線状シールバーを用いてヒートシールした後、蓋材をフランジから剥離する時、シール部分のシーラントフィルムとその上に位置する溶融ポリエチレンはエッジ切れにより二分され、バリア層を含む基材フィルムと、溶融ポリエチレンを含むシーラントフィルムとに分離されることを特徴とする分離可能な蓋材である。
【0006】
このように、アンカーコート剤等を介在させずに直接に溶融ポリエチレンを接着層としてシーラントフィルムと接着させているので、蓋材を容器から剥がそうとすると、基材フィルムとバリア層は剥がれるが、溶融ポリエチレンとシーラントフィルムは容器に残った状態になり、蓋材はバリア層と溶融ポリエチレンの間で分離した状態になる。
また、蓋材と成形容器周縁に設けられたフランジ部分とを線状シールバーを用いてヒートシールした後、蓋材をフランジから剥離すると、シール部分のシーラントフィルムとその上に位置する溶融ポリエチレンはエッジ切れにより二分され、バリア層を含む基材フィルムと溶融ポリエチレンを含むシーラントフィルムとは容易に分離できる。
【0007】
また、請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記シーラントフィルムが、ポリエチレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)樹脂またはアイオノマーのいずれか1種類のフィルムであることを特徴とする分離可能な蓋材である。
【0008】
このように、シーラントフィルムが、ポリエチレン、EVA樹脂またはアイオノマーのいずれか1種類のフィルムであるので、蓋材は容器と完全に密封シールされ、シーラントフィルムは容器から容易に剥がすことができない。
【0009】
また、請求項3の発明は、請求項1の発明において、前記ポリエチレンフィルムは未延伸フィルムであることを特徴とする分離可能な蓋材である。
【0010】
このように、ポリエチレンフィルムとして未延伸のポリエチレンフィルムを使用しているので、シーラントフィルムは、容器と完全に密封シールされる。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の分離可能な蓋材を一実施形態に基づいて詳細に説明する。
本発明の分離可能な蓋材は、例えば図1に示すように、基材フィルム(11)にバリア層(12)が積層された複合フィルム(13)のバリア層面に、シーラントフィルム(14)が溶融ポリエチレン(15)を介して積層された構成からなる。
【0012】
基材フィルム(11)は、特に規定しないが、PETフィルム、二軸延伸ポリプロピレン(OPP)フィルム、ONyフィルム、VMPETフィルム等が好ましく使用できる。
また、基材フィルムは単層でも、上述したプラスチックフィルムや紙等を適宜に組み合わせ複合した多層構成であっても良い。
さらに基材フィルムには必要に応じて印刷層(図示せず)を設けても良い。なお印刷層は、基材フィルムの外側、内側のいずれの側に設けても構わない。
【0013】
基材フィルムの内側に設けられるバリア層(12)は、アルミニウム箔、VMPETフィルム等バリア性に優れたフィルムが使用できる。
【0014】
シーラントフィルム(14)は、蓋材の最内層に設けられるフィルムで、成形容器のフランジとの密封シール性が必要で、ポリエチレン、EVA、アイオノマー等のポリエチレン系フィルムが好ましく使用できる。なお、ポリエチレンフィルムを使用する場合、未延伸フィルムとすることがより好ましい。厚さは15〜120μm程度が好ましい。
【0015】
複合フィルム(13)のバリア層(12)とシーラントフィルム(14)とを積層させる方法は、押出しラミネート法が良く、押出し樹脂となる溶融ポリエチレン(15)を介在させて積層される。
その際、バリア層(12)の、蓋材を成形容器に載置した際、フランジ(21)と重なる部分のみには、接着を補強するためのアンカーコート剤をパターンコートしながら押出しラミネートを行う。
このことにより、バリア層のフランジ(21)と重ならない部分はアンカーコート剤なしでシーラントフィルムと積層されることになる。
【0016】
このようにして作製された蓋材(10)は、図2(a)、(b)に示すように、液体芳香剤等の内容液の入ったプラスチック成形容器(20)の開口部に載置され、容器周縁に設けられたフランジ(21)を用いて密封シールされる。
密封シールは、フランジ部分全体をフラットバーでヒートシールする(第1次シール)と共に、開封箇所のみは、フラットシールした部分の外側にフラットシール部(a)に近接して線状シールバーによるヒートシール(第2次シール)を施すことにより行われる。
【0017】
なお、蓋材を複合フィルムとシーラントフィルムの間で容易に分離させるためのきっかけを与える方法として、線状シールバーでヒートシールを行うこと以外に、バリア層の溶融ポリエチレンと接する箇所のフランジと重なる部分にのみアクリル樹脂系等の剥離ニス層を設ける方法を採っても良い。
【0018】
成形容器(20)は、例えば、〔容器外側〕PET/EVA/未延伸ナイロン(CNy)/EVA〔容器内側〕、〔容器外側〕PP/エチレンビニルアルコール共重合樹脂(EVOH)/PP/PE〔容器内側〕等の複合シートをシート成形した成形トレーが好ましく使用できる。
いずれの場合においても、成形容器の最内面は、蓋材のシーラントフィルムと同材質構成であることが必要である。
【0019】
密封シールは、蓋材のシーラントフィルムと成形容器の最内面とを融着して行われるが、密封シールの方法は、ヒートシール法、インパルスシール法、超音波シール法等の一般的に公知のシール方法を用いれば良い。
なお、蓋材にはあらかじめ摘み片等を設けておくと使用時に便利である。
【0020】
蓋材がシールされた成形容器の摘み片を持って引き剥がそうとすると、図3に示すように、シーラントフィルム(14)と溶融ポリエチレン(15)の層はフランジ(21)に融着しているが、複合フィルム(13)の層は、アンカーコート層が設けられていない上に、溶融ポリエチレンを含むシーラントフィルム(14)は、線状シール部(b)で2分されるので、2分された箇所がきっかけとなって、溶融ポリエチレン(15)の層から簡単に剥離して容器から分離する。
【0021】
【実施例】
以下実施例により本発明をさらに具体的に説明する。
〈実施例1〉
先ず、基材フィルム11として厚さ12μmのPETフィルムを、バリア層12として厚さ7μmのAlを、シーラントフィルム14として厚さ150μmのCPEフィルムを、それぞれ準備した。
【0022】
つぎに、基材フィルムであるPETフィルムと、バリア層であるAlとを、ドライラミネート法により貼り合わせ、PETフィルム(12μm)/Al(7μm)構成の二層フィルムを作製した。
【0023】
最後に、この二層フィルムとシーラントフィルムであるCPEフィルム(150μm)とを、溶融ポリエチレン(15μm)を介在させて押出しラミネート法により貼り合わせ、PETフィルム(12μm)/Al(7μm)溶融ポリエチレン(15μm)/CPEフィルム(150μm)構成の実施例1の蓋材を作製した。
【0024】
つぎに、A;PET(200μm)/EVA(20μm)/CNy(20μm)/EVA(20μm)、B;PP(180μm)/EVOH(30μm)/PP(170μm)/PE(30μm)、2種類の材質構成の複合シートから成形したフランジ付き容器に液体芳香剤を入れ、上記実施例1の蓋材を被せて、先ず、フランジ部分全体をフラットシールバーで第1次シール、ついで、開封箇所となる部分(摘み片)は、フラットシールした部分の外側にフラットシール部分に近接して幅1mmの線状シールバーによる第2次シール、をヒートシール法により、温度;180°C、圧力;2.0×105 Pa、時間;2秒の条件で密封シールした。
そして各容器から蓋材を剥がす際の、剥離強度と、バリア層を取り除いた後の香料の透過と転倒時のもれを下記する方法により測定、観察した。その結果を表1に示す。
剥離強度 ‥ 定速伸長型引張試験機を使用して、300mm/min.の速度で、90°と180°の2条件で蓋材を剥がした時の剥離強さを測定、単位はN/15mm幅
香料透過 ‥ バリア層を取り除いた後の香料の透過を官能検査
転倒もれ ‥ バリア層剥離後の溶融ポリエチレン/シーラントフィルムだけの蓋材で密封された状態の容器を横に倒して内容液のもれを目視観察
【0025】
【表1】
Figure 0004595191
【0026】
蓋材を実際に剥離する際には、180°に近い角度で剥離するため、通気性内蓋とバリア性外蓋を分離する際の剥離強度は、2〜4N/15mm幅程度と推測される。
バリア層を取り除いた後のシーラント層を通した香料の透過チェックでは、適度の香料透過が確認された。
バリア層剥離後の内蓋により密封された状態の容器を横に倒して転倒チェックした結果、内容物の液状芳香剤のもれはなかった。
【0027】
【発明の効果】
上記のように本発明の蓋材は、従来の二重蓋構成と比較してコストダウンが可能である。すなわち、蓋材が1枚にできるため生産コストの低下と充填ラインの簡易化が可能である。
シーラント層や溶融ポリエチレンの厚みを調整することにより、容器内部からの香料の揮発量、水蒸気透過量を調整できる。
開封予定箇所を線状シールバーでヒートシールすることにより、通気性内蓋とバリア性外蓋の分離が容易にできる。
シーラントフィルムが使用時の内容物保護蓋となるため、従来の不織布や有孔フィルムの蓋材と比較して内容物の形態を選ばない。特に内容物が液ものでも外部に流出する危険性が少ない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の分離可能な蓋材の一実施例を示す、断面説明図である。
【図2】本発明の分離可能な蓋材を成形容器に被せて密封シールした状態を示す、(a)は部分断面説明図であり、(b)は斜視説明図である。
【図3】蓋材を成形容器から剥がそうとしている状態を示す、部分断面説明図である。
【符号の説明】
10‥‥蓋材
11‥‥基材フィルム
12‥‥バリア層
13‥‥複合フィルム
14‥‥シーラントフィルム
15‥‥溶融ポリエチレン
20‥‥成形容器
21‥‥フランジ
a‥‥フラットシール部
b‥‥線状シール部

Claims (3)

  1. 基材フィルムにバリア層が積層された複合フィルムのバリア層面にシーラントフィルムが溶融ポリエチレンを介して積層された蓋材であって、フランジ付きプラスチック成形容器の開口部に被せ、フランジ部全体をフラットシールすると共に、このフラットシール部の外側にフラットシール部に近接して線状シールバーによる第2次シールを施して使用する蓋材において、
    前記第2次シールを施す部分の外側に位置する部分にのみ、バリア層と溶融ポリエチレンとの間にアンカーコート剤がコートされており、
    この蓋材をフランジ付きプラスチック成形容器の開口部に被せ、前記蓋材と成形容器周縁に設けられたフランジ部全体をフラットシールすると共に、フランジ部分とを線状シールバーを用いて第2次シールした後、蓋材をフランジから剥離する時、シール部分のシーラントフィルムとその上に位置する溶融ポリエチレンはエッジ切れにより二分され、アンカーコート剤がコートされていない部位では、バリア層を含む基材フィルムと、溶融ポリエチレンを含むシーラントフィルムとに分離される、
    ことを特徴とする分離可能な蓋材。
  2. 前記シーラントフィルムが、ポリエチレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体樹脂またはアイオノマーのいずれか1種類のフィルムであることを特徴とする請求項1記載の分離可能な蓋材。
  3. 前記ポリエチレンフィルムは未延伸フィルムであることを特徴とする請求項2記載の分離可能な蓋材。
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