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JP4588239B2 - アルミナセメント、アルミナセメント組成物、及びそれを用いた不定形耐火物 - Google Patents

アルミナセメント、アルミナセメント組成物、及びそれを用いた不定形耐火物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、主に、高炉出銑樋、混銑車、取鍋、及びタンディッシュなどの内張材に使用される不定形耐火物で、気温の変動による硬化時間の変動が少ないアルミナセメント、アルミナセメント組成物、及びそれを用いた不定形耐火物に関する。
なお、本発明で使用する(部)や(%)は特に規定しない限り質量基準である。
【0002】
【従来の技術とその課題】
従来より、アルミナセメントを配合した不定形耐火物は、気温の変動により、可使時間や硬化時間が変動しやすく、結果として養生した後の強度発現が安定しないという課題があった。
具体的には、アルミナセメントを配合した不定形耐火物は、冬場等、気温が低い場合、硬化時間が遅くなり、強度発現が遅れるため、24時間養生後の強度が低いという課題があった。
一方、夏場等、気温が高い場合、可使時間や硬化時間が早くなるため、強度発現は遅れないが、作業性が取れないという課題があった。
【0003】
そこでこれらの課題を解決するため、冬場は不定形耐火物に硬化促進剤を添加し、夏場は硬化遅延剤を添加し、作業性、可使時間、硬化時間、及び強度のバランスを取ることが行われていた。
しかしながら、冬場に使用するために硬化促進剤を添加して硬化時間を調整した不定形耐火物を、例えば、春頃のように、想定より高い気温の時に施工すると、作業性が取れなかったり、可使時間が短くなったり、場合によっては混練中、ミキサ内で硬化するという課題もあった。
また、夏場に使用するために硬化遅延剤を添加して、硬化時間を調整した不定形耐火物を、例えば、秋頃のように、想定より低い気温の時に施工すると、硬化時間が長くなり、脱枠や乾燥等、養生後のスケジュールが遅れるなどの課題があった。
【0004】
本発明者は、前記課題を解決すべく鋭意検討した結果、リチウムアルミネートを含有したアルミナセメントを不定形耐火物として配合すれば、季節等、気温の変動によっても硬化調整をする必要がなく、一年中同じ配合で施工可能となるということを知見して本発明を完成するに至った。
【0005】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明は、リチウムアルミネートを含有してなるアルミナセメントであり、リチウムアルミネートが、アルミナセメント100部中、0.1〜10部である該アルミナセメントであり、その比表面積がブレーン値で3,000〜9,000cm2/gである該アルミナセメントであり、該アルミナセメントとセメント添加剤とを含有してなるアルミナセメント組成物であり、さらに、超微粉を含有してなる該アルミナセメント組成物であり、該アルミナセメントと耐火骨材とを含有してなる不定形耐火物であり、該アルミナセメント組成物と耐火骨材とを含有してなる不定形耐火物である。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0007】
本発明にかかるリチウムアルミネートとは、酸化リチウムとアルミナが1:1のモル比で反応したものである。
本発明では、リチウムアルミネートの存在形態は、アルミナセメント中に固定化されていても、また、リチウムアルミネートを作製し、アルミナセメントにあらかじめ添加することも可能である。
【0008】
リチウムアルミネートは、炭酸リチウムなどの酸化リチウム原料と、水酸化アルミニウム又はアルミナなどのアルミナ原料を、酸化リチウムとアルミナが1:1のモル比になるように配合し、1,400℃以上の温度で、溶融又は焼成することによって得られる。
リチウムアルミネートをアルミナセメント中に固定化する方法としては、アルミナ原料とカルシア原料を所定の割合になるように混合したものを溶融又は焼成してクリンカーを製造する際に、酸化リチウム原料を加えてアルミナセメントの鉱物中に固定化させることが可能である。
【0009】
アルミナセメントに含有するリチウムアルミネートの量は、アルミナセメント100部中、0.1〜10部が好ましい。0.1部未満では、凝結・硬化促進作用が弱く、気温が低い場合、硬化遅延を起こす場合があり、10部を超えると流動性が低下する場合がある。
【0010】
ここで、アルミナセメントとは、赤ボーキサイトなどの天然原料をバイヤープロセスなどの精製法により精製して得られた高純度アルミナや、ボーキサイトなどのアルミナ原料と、石灰石や生石灰等のカルシア原料等を、混合若しくは混合粉砕し、又は、一部混合後、さらに混合粉砕して、所定の成分割合になるように配合し、溶融法で製造する場合は、電気炉、反射炉、縦型炉、及び平炉等の設備で、また、焼成法で製造する場合は、シャフトキルンやロータリーキルンなどの設備で、1,300〜1,800℃の温度で、溶融及び/又は焼成して得られるクリンカーを、例えば、通常、粉塊物の微粉砕用に使用される、ローラーミル、ジェットミル、チューブミル、ボールミル、及び振動ミルなどの粉砕機によって、粉砕して製造されるものである。
アルミナセメントの比表面積は、ブレーン値で3,000〜9,000cm2/gが好ましい。この範囲以外では、不定形耐火物として配合したときの可使時間や硬化時間が短くなったり、流動性、強度、耐食性、及び耐スポーリング抵抗性等の特性が低下する場合がある。
【0011】
本発明では、夏場でのアルミナセメントの流動性を向上させたり、可使時間を延長させるためにセメント添加剤を使用することが好ましい。
【0012】
本発明で使用するセメント添加剤(以下、単に添加剤という)としては、ポリエーテル系化合物、ポリアクリル酸類、糖類、リグニンスルホン酸類、オキシカルボン酸類、ホウ酸類、リン酸類、硫酸塩、炭酸塩、及びケイフッ化物のうちの一種又は二種以上が挙げられ、これらのうち、ポリアクリル酸類、オキシカルボン酸類、及びホウ酸類が好ましい。
添加剤の種類の組合わせは、適宜選択できるもので特に限定されるものではなく、材料配合に合わせて組合わせを変えることが可能である。
【0013】
ポリエーテル系化合物とは、カルボキシル基を持つモノマー、エチレンオキサイド鎖を持つモノマー、及びスルホン酸基を持つモノマーの3元重合物である。また、カルボキシル基やスルホン酸基が、酸や、ナトリウム、カリウム、及びカルシウムなどの塩でも良く、これら以外のモノマーを有していても良い。
【0014】
また、ポリアクリル酸類とは、ポリアクリル酸やその誘導体又はそれらの塩類であって、具体的には、ポリアクリル酸やポリアクリル酸エステル共重合体又はそれらのナトリウム塩、カリウム塩、及びカルシウム塩等が使用可能であるが、入手しやすさからナトリウム塩の使用が好ましく、共重合体としては架橋分岐型が好ましい。
特に、本発明では、ポリアクリル酸ナトリウム、中でも低重合度の水に可溶な重合体で、固形分が90%以上、25℃における40%濃度のスラリー粘度が10,000cps以下の可溶性重合度タイプのものの使用が、アルミナセメント組成物の流動性を向上する面から好ましく、50〜2,000cpsの粘度のものがより好ましい。
ポリアクリル酸類の水性スラリーのイオン性やpHは特に限定されるものではないが、アルミナセメントと配合した際、より大きな流動性を得るために、ポリアクリル酸類がアニオン性で、かつ、25℃における1%濃度のスラリーのpHが中性からアルカリ性であることが好ましく、特に、pHが7.5〜11のものがより好ましい。
【0015】
また、糖類としては、多価アルコールのアルデヒド、ケトン、並びに、多価アルコールの酸、多価アルコール自体、及びそれらの誘導体や置換体であり、具体的にはグルコース、フルクトース、デキストリン、及びショ糖が挙げられる。
【0016】
また、リグニンスルホン酸類としては、リグニンスルホン酸又はそのナトリウム塩、カリウム塩、及びカルシウム塩等が挙げられ、入手しやすさからナトリウム塩の使用が好ましい。
【0017】
また、オキシカルボン酸類としては、クエン酸、グルコン酸、酒石酸、リンゴ酸、及び乳酸又はそれらのナトリウム塩、カリウム塩、及びカルシウム塩等が挙げられ、入手しやすさからナトリウム塩の使用が好ましい。
【0018】
また、ホウ酸類としては、ホウ酸又はそのナトリウム塩、カリウム塩、及びカルシウム塩等が挙げられ、入手しやすさからホウ酸の使用が好ましい。
【0019】
また、リン酸類としては、ヘキサメタリン酸、トリポリリン酸、ウルトラリン酸、ピロリン酸、及びオルトリン酸又はそれらのナトリウム塩、カリウム塩、及びカルシウム塩等が挙げられ、入手しやすさからナトリウム塩の使用が好ましい。
【0020】
また、硫酸塩としては、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、及び硫酸カルシウムなどが挙げられ、入手しやすさから硫酸ナトリウムの使用が好ましい。
【0021】
また、炭酸塩としては、無機炭酸塩のいずれも使用可能であり、炭酸ナトリウムや炭酸カリウムなどが挙げられ、入手しやすさから炭酸ナトリウムの使用が好ましい。
【0022】
そして、ケイフッ化物としては、ケイフッ化ナトリウム、ケイフッ化カリウム、及びケイフッ化マグネシウムなどが挙げられ、入手しやすさからケイフッ化ナトリウムの使用が好ましい。
【0023】
本発明に使用する添加剤の純度は特に限定されるものではないが、現在、工業的に精製されているものの使用が可能であり、純度が80%以上のものの使用が好ましい。
また、これらの添加剤の粒度は、水に溶解しやすいように細かい程好ましく、100メッシュ以下が好ましく、200メッシュ以下がより好ましい。
添加剤の配合量は、硬化時間の温度依存性が少ないという本発明の効果を低下させないために、アルミナセメント100部に対して、0.1〜10部が好ましく、0.5〜2.5部がより好ましい。0.1部未満ではアルミナセメント組成物の流動性が向上しなかったり、可使時間が短かったりする場合があり、10部を超えると硬化時間の温度依存性の維持が難しくなる場合がある。
【0024】
本発明で使用する添加剤は、あらかじめアルミナセメントにプレミックスすることが可能であり、施工時に別途に投入したり、混合したりする手間が省けることから、粉末タイプであることが好ましい。
また、本発明において、添加剤の混合方法は特に限定されるものではなく、各添加剤を所定の割合になるように配合し、あらかじめ粉砕したアルミナセメントとV型ブレンダー、コーンブレンダー、ナウターミキサ、パン型ミキサ、及びオムニミキサなどの混合機を用いて均一混合するか、あるいは、所定の割合でアルミナセメントに配合後、振動ミル、チューブミル、ボールミル、及びローラーミルなどの粉砕機で混合粉砕することが可能である。
【0025】
本発明の添加剤は、GC−MS、C13−NMR、HPLC、イオンクロマト、及びFT−IRなどの機器分析や放射化学分析等で分析することが可能である。
【0026】
本発明では、凝結・硬化促進作用を有するリチウムアルミネートをアルミナセメントに含有させることによって、アルミナセメントが本来持っている冬場に硬化時間が遅れるという性質を改善するものである。
【0027】
また、本発明では、流動性の向上、高温での強度を付与する目的で、超微粉を併用することは好ましい。
超微粉としては、アルミナ、マグネシア、スピネル、及びシリカなどの超微粉が挙げられ、これらのうち、アルミナやシリカの超微粉は、流動性や高温強度が向上する面から好ましい。
超微粉の粒度は、平均粒子径で20μm以下が好ましく、10μm以下がより好ましい。
超微粉の配合量は、アルミナセメント100部に対して、100部以下が好ましい。100部を超えると、流動性が低下したり、可使時間が短くなったり、養生後の強度が低下する場合がある。
【0028】
本発明では、アルミナセメントと耐火骨材、又は、アルミナセメント組成物と耐火骨材、必要に応じてこれらに水を混合したものを不定形耐火物とする。
【0029】
耐火骨材としては、溶融マグネシア、焼結マグネシア、天然マグネシア、及び軽焼マグネシアなどのマグネシア、溶融マグネシアスピネルや焼結マグネシアスピネルなどのマグネシアスピネル、並びに、溶融アルミナ、焼結アルミナ、軽焼アルミナ、及び易焼結アルミナなどのアルミナ、その他、溶融シリカ、焼成ムライト、酸化クロム、ボーキサイト、アンダルサイト、シリマナイト、シャモット、ケイ石、ロー石、粘土、ジルコン、ジルコニア、ドロマイト、パーライト、バーミキュライト、煉瓦屑、陶器屑、窒化珪素、窒化ホウ素、炭化珪素、及び窒化珪素鉄等が挙げられる。
【0030】
マグネシアとしては、水酸化マグネシウムや炭酸マグネシウムを溶融又は焼成した溶融マグネシア又は焼成マグネシアや、軽焼マグネシア、仮焼マグネシアなどを所定のサイズに粉砕し、篩い分けしたものなどが挙げられる。
【0031】
マグネシアスピネルとしては、水酸化マグネシウムや仮焼マグネシアなどのマグネシア原料と、水酸化アルミニウムや仮焼アルミナなどのアルミナ原料を、所定の割合になるように調合し、ロータリーキルンなどの焼成装置を用いて、約1,800〜1,900℃の温度で反応・焼結させたものや、電気炉等の溶融装置で溶融したものを、所定のサイズに粉砕し、篩い分けしたもの、さらには、これら焼成したものと溶融したものを混合したものなどが挙げられる。
マグネシアスピネルにおけるMgO/Al2O3の質量比は、1/1〜0.1/1が好ましく、0.4/1〜0.2/1が不定形耐火物として配合した際、耐久性に優れる面からより好ましい。
【0032】
アルミナとは、水酸化アルミニウムや仮焼アルミナなどのアルミナ原料を、ロータリーキルンなどの焼成装置や電気炉等の溶融装置によって、焼結及び/又は溶融し、所定のサイズに粉砕し、篩い分けしたものであって、鉱物組成として、α−Al2O3やβ−Al2O3などと示される酸化アルミニウムであり、焼結アルミナ、仮焼アルミナ、及び易焼結アルミナなどと呼ばれるものであって、通常、Al2O3を90%以上含有するα−アルミナの使用が最も好ましい。
【0033】
また、アルミナとジルコニアを溶融することで得られる、耐熱スポーリング性を向上させたアルミナ・ジルコニアクリンカーなどの使用も可能である。
【0034】
耐火骨材は、通常、5〜3mm、3〜1mm、1〜0mm、200メッシュ下、及び325メッシュ下等のサイズのものを、要求物性に応じて配合することが好ましい。
耐火骨材の使用量は、施工場所によって適宜決定すべきものであり特に限定されるものではないが、不定形耐火物100部中、耐火骨材50〜99.5部であることが好ましく、耐食性と強度発現性の面から、耐火骨材85〜98部がより好ましい。
【0035】
アルミナセメントと耐火骨材、又は、アルミナセメント組成物と耐火骨材を混合した不定形耐火物の製造方法は特に限定されるものではなく、通常の製造方法に準じ、各材料を所定の割合になるように配合し、V型ブレンダー、コーンブレンダー、ナウタミキサ、パン型ミキサ、及びオムニミキサなどの混合機を用いて均一混合するか、あるいは、所定の割合で混練り施工する際、混練り機に直接秤込むことも可能である。
【0036】
また、不定形耐火物に、アルカリ水と反応し水素ガスを発生する金属アルミニウムや金属マグネシウムなどの発泡材や、ビニロンファイバー、ポリプロピレンファィバー、及び塩化ビニールファイバーなどの有機繊維、窒素ガス発生分解繊維、乳酸アルミニウムなどの塩基性コロイド、並びに、フミン酸類等の爆裂防止材を必要に応じて、硬化体乾燥時の爆裂防止の目的で、配合することも可能である。
【0037】
また、従来からセメントの流動性、可使時間、硬化時間、及び強度発現性等の性状を改善する目的で使用されている、メラミン類、ナフタレンスルホン酸類、ポリカルボン酸類、及びホルムアルデヒドの縮合物等の界面活性剤、並びに、AE減水剤等を必要に応じて配合することも可能である。
【0038】
不定形耐火物が水分と耐火骨材に分離する材料分離を避けるため、メチルセルロース、カルボキシルメチルセルロース、ポリアクリルアミド変性物又はその共重合体、及びポリビニルアルコールなどの増粘剤を配合することも可能である。
【0039】
不定形耐火物を製造する際に使用する水の量は、通常の流し込みが可能な程度に設定されるもので、粒度構成や耐火骨材の気孔率等によって大きく影響を受けるが、概ね、アルミナセメントと耐火骨材、又は、アルミナセメント組成物と耐火骨材の合計100部に対して、10部以下が硬化体の強度が向上の面から好ましい。
【0040】
【実施例】
以下、実験例に基づいて本発明をさらに説明する。
【0041】
実験例1
アルミナ原料、カルシア原料、及び酸化リチウム原料を所定の割合で混合し、試験電気炉で1,600℃で溶融し、表1に示すリチウムアルミネートを含有するクリンカーを得た。
このクリンカーをブレーン値が5,000cm2/gになるように試験粉砕機で粉砕し、リチウムアルミネートを含有したアルミナセメントを調製した。
調製したアルミナセメント12部、耐火骨材88部、及び水8部を加え、3分間混練して不定形耐火物を作製し、その5℃と30℃のフロー値、硬化時間、養生圧縮強度、及び乾燥圧縮強度を測定した。材料の混練から養生までは5℃と30℃の恒温恒湿室内で行った。
比較のため、市販のアルミナセメント(市販品)を用いて同様に実験を行った。結果を表1に併記する。
【0042】
<使用材料>
アルミナ原料:焼結アルミナ粉、市販品
カルシア原料:生石灰、市販品
酸化リチウム原料:炭酸リチウム、市販品
市販品 :アルミナセメント、市販品、ブレーン値5,000cm2/g
耐火骨材 :市販焼結アルミナの粒度5〜3mm品10部、3〜1mm品15部、1〜0mm品13部、200メッシュ下品10部、325メッシュ下品10部、平均粒子径15μmの微粉アルミナ10部、及び平均粒子径15μmの微粉スピネル20部の混合品
水 :上水道水
【0043】
<物性の測定方法>
フロー値 :作製した不定形耐火物をJIS R 2521記載の方法に準じて、混練直後、30分後、及び60分後のフロー値を測定。
硬化時間 :不定形耐火物を容器に移し取り、クラフト硬度計で不定形耐火物の硬度を測定、40になった時点で硬化と判断。5℃と30℃の硬化時間の差が小さいと硬化時間の温度依存性が少ないといい、4時間以内が好ましい。
養生圧縮強度:注水後、4cm×4cm×16cmの型枠に流し込み、24時間養生した後、脱枠した供試体の圧縮強度を油圧測定機で測定。
乾燥圧縮強度:供試体を110℃で24時間乾燥後、室温まで放冷し、圧縮強度を油圧測定機にて測定。
【0044】
【表1】
Figure 0004588239
【0045】
表1から明らかなように、本発明のアルミナセメントを用いた不定形耐火物は、比較例と比べて硬化時間の温度依存性が少なく、フロー値が良好で、養生圧縮強度や乾燥圧縮強度が高かった。
【0046】
実験例2
リチウムアルミネート0.5%含有のアルミナセメントを、表2に示すように粉砕したこと以外は実験例1と同様に行った。結果を表2に併記する。
【0047】
【表2】
Figure 0004588239
【0048】
表2から明らかなように、本発明のアルミナセメントを用いた不定形耐火物は、硬化時間の温度依存性が少なく、フロー値が良好で、養生圧縮強度や乾燥圧縮強度が高かった。
【0049】
実験例3
リチウムアルミネート0.5%含有のアルミナセメント100部に、添加剤を0.5部配合してアルミナセメント組成物を調製した。
調製したアルミナセメント組成物100部に、水7部を加えたこと以外は実験例1と同様に行った。結果を表3に併記する。
【0050】
<使用材料>
添加剤イ :クエン酸、市販品
添加剤ロ :ポリエーテル系分散剤、市販品
添加剤ハ :ホウ酸ナトリウム、市販品
添加剤ニ :ポリアクリル酸、市販品
添加剤ホ :硫酸カリウム、市販品
添加剤ヘ :ヘキサメタリン酸ナトリウム、市販品
添加剤ト :炭酸カリウム、市販品
添加剤チ :デキストリン、市販品
添加剤リ :ケイフッ化マグネシウム、市販品
添加剤ヌ :リグニンスルホン酸カルシウム、市販品
【0051】
【表3】
Figure 0004588239
【0052】
表3から明らかなように、本発明のアルミナセメント組成物を用いた不定形耐火物は、硬化時間の温度依存性が少なく、フロー値が良好で、養生圧縮強度や乾燥圧縮強度が高かった。
【0053】
実験例4
表4に示す、リチウムアルミネート0.5%含有のアルミナセメントと超微粉に、その合計100部に対して、0.5部の添加剤イを混合し、アルミナセメント組成物調製したこと以外は実験例3と同様に行った。結果を表4に併記する。
<使用材料>
超微粉a :α−アルミナ、平均粒子径3μm、市販品
超微粉b :スピネル、平均粒子径5μm、市販品
超微粉c :マグネシア、平均粒子径5μm、市販品
超微粉d :シリカ、平均粒子径0.5μm、市販品
【0054】
【表4】
Figure 0004588239
【0055】
表4から明らかなように、本発明のアルミナセメント組成物を用いた不定形耐火物は、硬化時間の温度依存性が少なく、フロー値が良好で、養生圧縮強度や乾燥圧縮強度が高かった。
【0056】
【発明の効果】
本発明のアルミナセメント又はアルミナセメント組成物を用いた不定形耐火物を使用すれば、季節の差によって硬化調整をする必要がない。
即ち、硬化時間の温度依存性が少なく、フロー値が良好で、養生圧縮強度や乾燥圧縮強度が高い良好な硬化体が得られるなどの効果を奏する。

Claims (3)

  1. リチウムアルミネートを含有してなるアルミナセメント。
  2. リチウムアルミネートが、アルミナセメント100部中、0.1〜10部であることを特徴とする請求項1記載のアルミナセメント。
  3. 比表面積がブレーン値で3,000〜9,000cm/gであることを特徴とする請求項1又は2記載のアルミナセメント。
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