JP4586353B2 - 記録方法 - Google Patents
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これらは、ロイコ染料タイプ、すなわち樹脂母材中に電子供与性の呈色性化合物であるロイコ染料と、顕・減色剤とが分散された記録層を有する記録媒体、及びこれを用いた記録方法に関するものである。これらにおいて、顕・減色剤としては、ロイコ染料を発色させる酸性基と、発色したロイコ染料を消色させる塩基性基を有する両性化合物、または長鎖アルキルをもつフェノール化合物等が用いられている。
上記のような記録媒体及び記録方法は、ロイコ染料自体の発色を利用するものであるため、低分子分散タイプに比較してコントラスト、視認性が良好であり、近年広く実用化されつつある。
しかしながら、上記各特許文献により開示されている従来技術においては、母材の材料の色、すなわち地肌の色と、熱により変色した色の2種類の色のみしか表現することができないという欠点を有しており、近年においては、視認性やファッション性向上のために、多色画像の表示や各種データを色識別して記録したりすることへの要求が非常に高まっている。
しかしながら、このような構成の記録媒体においては、現実的に記録層が下層の色を完全に隠蔽することはできず、母材の色が透けてしまい、高いコントラストが得られないという欠点を有している。
しかしながら、各色相において、実際に記録される面積比が小さくなってしまい、記録した画像は非常に暗い、または薄い画像しか得ることはできないという欠点を有している。
しかしながら、これらにおいてはサーマルヘッド等の記録熱源による温度コントロールが困難な上、良好なコントラストが得られず、色のかぶりを避けられないという問題を有している。さらには、三色以上の多色化をサーマルヘッド等による加熱温度及び/または加熱後の冷却速度の違いのみでコントロールするのは現実的に非常に困難である。
この方法によれば、光−熱変換層の波長選択性の効果により任意の記録層のみを発色させることができ、従来の可逆性多色記録媒体で特に問題とされていた色のかぶりを回避できる可能性がある。
しかしながら、適用する赤外線吸収剤の光吸収特性や、記録に用いるレーザー光の波長との関係、さらには記録層の積層順と照射するレーザー光との関係については何ら検討されておらず、未だ所望の色のみを鮮明に発色させ、色がぶりの問題を完全に解決するに至っておらず、記録感度については、更なる向上が求められていた。
また、色の三原色以外の中間色については色再現性をさらに向上させることが求められており、鮮明なフルカラー表示を可能とした多色記録媒体についての要望が高まってきている。
さらには、特許文献20に開示されている記録媒体においては、光−熱変換層(レーザー光の吸収層)が、バインダーを含有せずに有機溶剤に溶解した光吸収材料を被着させることにより形成することを好適なものとしているため、極めて広い波長領域においてレーザー光の吸収を有するようになってしまい、表示精度が劣化するという欠点を有している。また、かかる方法において成膜されたレーザー光の吸収層は、可視域においても光吸収を有しているため、消去状態において記録層の透明性が劣化し、記録精度が悪化を招来するという問題も有している。
すなわち、従来においては、可逆性多色記録媒体に対して、熱モードで記録を行うことが主たる記録方法として考えられていたため、記録濃度の向上を図るためには、それに応じて記録時間を長くしなければならず、記録効率を向上させることが課題となっていた。
そこで本発明らは鋭意研究の結果、より少ない書き込みエネルギーで、高速記録を達成し、かつ実用上充分な記録濃度を得るために、適切な記録の条件を検討し、その記録方法を提供することとした。
図1に本発明の記録方法に適用する可逆性多色記録媒体の一例の概略断面図を示す。
この可逆性多色記録媒体10は、支持基板1上に、n層(この例においては、三層)の記録層、すなわち第1の記録層11、第2の記録層12、及び第3の記録層13が、それぞれ断熱層14、15を介して積層されており、最上層に保護層18が形成された構成を有している。
但しオーバーヘッドプロジェクター等の透過用途以外では、支持基板1は最終的に得られる可逆性多色記録媒体10に対して情報の記録を行った際の視認性の向上を図るため、白色、あるいは金属色を有する可視光に対する反射率の高い材料を適用することが好ましい。
可逆性感熱発色組成物21と光−熱変換組成物22とを、互いに分離された状態とするには、図3に示すように、可逆性感熱発色組成物21と光−熱変換組成物22とを、それぞれ互いに溶解しない樹脂バインダー中に含有させて混合する方法や、可逆性感熱発色組成物21、光−熱変換組成物22のいずれかを、例えばマイクロカプセル23中に封入して層中に含有させる方法が挙げられる。
また、図4、図5に示すように、可逆性感熱発色組成物21、光−熱変換組成物22をそれぞれ含有する層を別個に積層形成した構成としてもよい。
一方、顕・減色剤としては、長鎖アルキル基を有する有機酸(特開平5−124360号公報、特開平7−108761号公報、特開平7−188294号公報、特開2001−105733号公報、特開2001−113829号公報等に記載)等を適用することができる。
但し、記録光としてレーザー光を適用するため波長範囲は750nm≦波長≦1500nmとし、後述するように、色かぶりを防止し記録感度を向上させるため、上記各記録層に含有されている光−熱変換組成物の吸収ピーク波長は、支持基板1側に形成されている層が最も長波長であり、積層順に表層に向かうに従って短波長となるものとする。すなわち、1500nm>λmax1>λmax2>λmax3>750nmであるものとする。
また、図4及び図5に示すように、可逆性感熱発色組成物21と光−熱変換組成物22とを含有する層24、25を、それぞれ分離独立した状態で積層形成する場合には、光−熱変換組成物22を所定の樹脂バインダー等に均一に溶解させた状態とすることが望ましい。これは、樹脂バインダーを用いずに光−熱変換組成物22を結晶状態や薄膜状態として層を構成させると、色素の凝集や二量化により、近赤外域における吸収スペクトルがつぶれてしまい、好ましい光吸収特性を得ることができないためである。
曲線31は、樹脂バインダー中にシアニン色素を溶解させて層を形成した場合の吸収特性を示し、曲線32は、シアニン色素を有機溶剤中に溶解させて塗布しその後有機溶媒を蒸発させ薄膜状態として層を形成した場合の吸収特性を示す。
これらを比較すると、曲線31に示すように、樹脂バインダー中に色素を溶解させた場合には、極めて急峻な光吸収特性が得られたが、曲線32に示すように、シアニン色素を薄層状態とした場合には、広い波長領域において高い吸収を有しているため、色かぶりを生じて鮮明な記録を行うことができず、また可視領域にも吸収を有しているため、消去状態においても充分な透明性が得られないという不都合が生じる。
これら、一重項酸素失活剤の添加量は、光−熱変換組成物に含有されるシアニン系色素に対して、重量比で0.05≦重量比≦4倍が好ましく、さらに0.1≦重量比≦2倍がより好ましい。
先ず、図2に示したような構成の場合には、上記ロイコ染料、顕・減色剤を主成分とする可逆性感熱発色性組成物、光−熱変換組成物、及び各種添加剤を、所定の樹脂中に溶解あるいは分散させて塗料を作製し、これを所定の面上に塗布することによって記録層11〜13を形成することができる。
第1〜第3の記録層11〜13は、膜厚1μm≦膜厚≦15μm程度に形成することが望ましく、さらには1.5μm≦膜厚≦8μm程度が好ましい。これらの膜厚が薄すぎると充分な発色濃度が得られず、逆に厚過ぎると記録層の熱容量が大きくなることによって記録感度すなわち発色性や、消色性が劣化するためである。
このとき、互いの層24、25を構成する樹脂として互いに相溶性を有さないものを選定して用いるか、最初に塗布した層を熱あるいは光により硬化させた後に上層を形成することによって層間の混合を防ぐようにすることが望ましい。
また、断熱層14、15は透光性の無機膜を用いて形成することもできる。例えば、多孔質のシリカ、アルミナ、チタニア、カーボン、またはこれらの複合体等を用いると、熱伝導率の低減化効果が得られるので好ましい。これらは液層から膜形成できるゾル−ゲル法によって形成することができる。
断熱層14、15は、膜厚2μm≦膜厚≦100μm程度に形成することが望ましく、さらには4μm≦膜厚≦50μm程度が好ましい。断熱層の膜厚が薄すぎると充分な断熱効果が得られず、膜厚が厚すぎると、後述する記録方法において記録媒体全体を均一加熱する際に熱伝導性が劣化したり、透光性が低下したりするためである。
また、同公報に記載されているように、記録層間にスペーサーを介して空気断熱層を形成した場合は、スペーサーがある位置と無い部分とでは、極端に記録の感度が異なるようになるため、情報を記録する際にムラや抜け等の欠陥ができてしまうという不都合が生じる。
保護層18の膜厚が薄すぎると充分な保護効果が得られず、厚すぎると伝熱しにくくなるという不都合が生じるためである。
先ず、図1に示した可逆性多色記録媒体10を用いて、多色記録、及び消去を行う原理について説明する。
先ず、各記録層が消色する程度の温度、例えば120℃程度の温度で全面加熱し、第1〜第3の記録層11〜13を予め消色状態にする。すなわちこの状態においては、支持基板1の色が露出している状態となっているものとする。次に可逆性多色記録媒体10の任意の部分に、波長及び出力を任意に選択した赤外線を半導体レーザー等により照射する。
例えば第1の記録層11を発色させる場合には、波長λmax1付近の赤外線を第1の記録層11が発色温度に達する程度のエネルギーで照射し、光−熱変換組成物を発熱させて、電子供与性呈色化合物と電子受容性顕・減色剤との間の発色反応を起こさせ、照射部分を発色させる。
同様に、第2の記録層12及び第3の記録層13についても、それぞれ波長λmax2、λmax3付近のレーザー光を、対応する記録層が発色温度に達する程度のエネルギーで照射して、それぞれの光−熱変換組成物を発熱させ、照射部分を発色させる。
このようにして可逆性多色記録媒体10の任意の部分を、所望の色相に発色させることができる。このとき、発振波長帯が異なるレーザー光源を、光−熱変換材料を含む記録層の数と同数使用することにより、すべての色相の記録が可能となる。
なお、この上層記録層17は、光−熱変換組成物を含有させないものとしてもよい。この場合には、例えばサーマルヘッド等による接触型の熱源を用いることにより、情報の記録及び消去を行うことができる。
図1に示した可逆性多色記録媒体10に対し、任意の面積の記録を行う場合、図8に示すように、可逆性多色記録媒体10に対してレーザー光を相対的に一方向(図中A方向)に走査しながら照射する(この走査を主走査といい、A方向を主走査方向とする。)。
また、このレーザー光走査に対して可逆性多色記録媒体面内で垂直な方向(図中B方向)へ、レーザー光と可逆性多色記録媒体10を相対的に走査させる(この走査を副走査といい、B方向を副走査方向とする。)。
これら、主走査と副走査を交互に、または同時に行いながら、可逆性多色記録媒体10へレーザー光を照射すれば、可逆性多色記録媒体10上へ任意の面積の記録を行うことができる。
また、副走査方向Bの速度が小さくなると、記録線mの間隔Wが狭くなって記録が行われない面積が小さくなり、記録画像が濃くなる。
逆に副走査方向の速度Bが大きくなると、記録線mの間隔Wが広くなり、記録が行われない面積が大きくなるため、全体として記録画像が薄くなる。
記録装置の走査効率R(実際に記録を行うことができる時間効率)が一定であるとすると、この記録装置の記録速度(単位時間に記録できる面積)は、R×V1×Wである。また、Wは、(V2/V1)に比例する。
従って、同じ記録速度を達成するためには、(V1×W)、言い換えるとV2が一定の条件であればよいため、V1を大きくしてWを小さくし、細い記録線を狭い間隔で形成したり、またはV1を小さくしてWを大きくし、太い記録線を広い間隔で形成したりすればよい。
そこで、本発明においては、記録条件を下記のように特定することにより、同じ記録速度であっても、形成画像の記録濃度を大きくすることができるようにした。
0.2D≦L≦0.8D・・・(1)
但し、1/e2スポット径Dとは、照射するレーザー光のピーク強度をI0としたとき、
I0/e2=(13.5/100)I0となるときの、レーザー光のスポット径である。
すなわち、L>0.8Dとなるような、主走査方向の速度V1が小さいときには、記録線の幅Lは太くなり、濃く記録されるが、副走査方向の速度V2を大きくしなくてはならず、記録線間隔Wが大きくなり、すなわち記録が行われない面積が増大し、全体の記録画像の濃度が低下してしまう。また、主走査方向の速度V1が小さいときには、記録線mの中央部が過熱されることにより記録層が劣化してしまうおそれがある。
一方において、L<0.2Dとなるような、主走査方向の速度V1が大きいときには、記録線mの間隔Wが小さくなるが、記録線mは細く、薄くなるので、全体の記録画像の濃度が低下してしまう。
上述したことから、本発明においては、上記式(1)のように、0.2D≦L≦0.8Dの条件で記録を行うこととした。
記録を行う主走査方向の速度と、副走査方向の速度については、好適な値を上記の説明を元に算出する。
そして、主走査方向の速度と副走査方向の速度を変化させずに、照射するレーザー光の出力を低下させ、記録される記録線mの記録線幅Lを細くし、記録濃度を低下させる。
すなわち、レーザー光を照射している時間は一定として、照射するレーザー出力を変化させることにより、形成画像の濃度を制御することができる。
記録を行う主走査方向の速度と、副走査方向の速度については、好適な値を上記の説明を元に算出する。
そして、主走査方向の速度と副走査方向の速度を変化させずに、照射するレーザー光の照射時間を短縮して、記録線mの長さを短くすることにより記録濃度を低下させる。
すなわち、照射するレーザー光の出力を一定として、レーザー光の照射時間を短縮し、例えば、記録線mを断続的に形成することにより、形成画像の濃度を制御することができる。
記録を行う主走査方向の速度と、副走査方向の速度については、好適な値を上記の説明を元に算出する。
そして、主走査方向の速度と副走査方向の速度を変化させずに、照射するレーザー光の出力を低下させ、かつ照射するレーザー光の照射時間を短くすることにより、記録線幅W、記録線の長さを制御して記録濃度を低下させる。
すなわち、照射するレーザー出力を変化させ、かつレーザー光の照射時間を短縮し、例えば、記録線mを断続的に形成することにより、形成画像の濃度を制御することができる。
塗料10〜13については、各材料を混合することによって塗料を作製した。
なお、Etはエチル基、Meはメチル基を表し、nはノルマル(直鎖状)を表す。
なお、Meはメチル基を表す。
なお、各層は塗料をワイヤーバーによって塗布し、乾燥させることにより作製した。
但し、保護層には紫外線硬化樹脂を用いた。
〔光学特性の評価〕
実施例1〜3の可逆性多色記録媒体を構成する記録層に対し、記録に用いるレーザー光の波長における記録層単独の吸光度を測定し、また分光光度計で吸収曲線を測定した。その結果、すべての記録層の、記録に用いるレーザー光の波長における記録層単独の吸光度は、1.0≦吸光度≦1.1程度であり、実用上充分な評価が得られた。なお、吸収曲線は可逆性多色記録媒体作製と同じ方法で一つの記録層のみを吸光度測定用透明PETフィルム上に形成し、これを用いて評価した。
次に、実施例1〜3の可逆性多色記録媒体に対して、発振中心波長が、800nm、860nm、940nmの半導体レーザー光を照射すると、それぞれのレーザー光に対して、イエロー、マゼンタ、シアンに発色した。また、複数のレーザー光を同じ位置に照射すると、中間色が記録できた。
下記表3に示すように、照射レーザー光の出力を、200mW、400mW、600mWとし、可逆性多色記録媒体に対する副走査方向の1/e2スポット径Dを、25μm、40μmとし、記録速度を32、80、135mm2/sとし、これらを任意に組み合わせて照射条件を設定し、記録された記録線幅Lと、形成画像の反射濃度を評価した(実験1〜18)。なお、表3においては、記録速度は走査効率を100%として算出した。
これらの結果から、照射レーザー光の副走査方向の1/e2スポット径Dと、記録線幅Lとが、0.2D≦L≦0.8Dとなるように、レーザー光の主走査方向の速度を選定して記録を行うことにより、図に示すように記録画像の反射濃度を高い範囲にすることができ、効率の良い画像形成を行うことができることが確認された。
Claims (4)
- 支持基板の面方向に、互いに発色色相の異なる可逆性感熱発色組成物を含む、第1〜第nの記録層が、支持基板側から順次、分離・独立して形成されてなり、前記第1〜第nの記録層は、それぞれ異なる波長域の近赤外光を吸収して発熱する、光−熱変換組成物を含有している可逆性多色記録媒体に対し、レーザー光を照射するとき、
前記可逆性多色記録媒体に対する副走査方向の1/e2 スポット径がDであるレーザー光を用いて、
前記レーザー光について波長が750nm≦波長≦1500nm、出力が200mW≦出力≦600mW、前記1/e2 スポット径Dが25μm≦D≦40μmであって、前記レーザー光に対応する記録層の該レーザー光の波長における吸光度が1.0≦吸光度≦1.1である場合、
前記記録層に最も濃い色調で記録を行うための出力で前記レーザー光を照射したときに記録される記録線の線幅Lが、
0.2D≦L≦0.8D
となるように、前記レーザー光の主走査方向の速度を選定する記録方法。 - 前記主走査方向の速度と、前記副走査方向の速度とを一定値として、照射するレーザー光の出力を変化させることにより、記録画像の色調を変化させる請求項1に記載の記録方法。
- 前記主走査方向の速度と、前記副走査方向の速度と、照射するレーザー光の最大パワーとを一定値として、レーザー光の照射時間を変化させることにより、記録画像の色調を変化させる請求項1に記載の記録方法。
- 前記主走査方向の速度と、前記副走査方向の速度とを一定として、照射するレーザー光の出力と、レーザー光の照射時間とを変化させることにより、記録画像の色調を変化させる請求項1に記載の記録方法。
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