JP4581323B2 - 電池及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、絶縁性の芯材を有する巻回型の発電要素を備えた電池及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
非水電解質二次電池には、軽量薄型化のために、長円筒形の巻回型の発電要素を袋状のアルミラミネートシートに収納したものがある。このような非水電解質二次電池の発電要素の従来の構成を図4に示す。この発電要素1は、図4(a)に示すような芯材11の周囲に、図4(b)に示すように、正極12と負極13をセパレータ14を介して巻回したものである。芯材11は、図4(a)に示すように、PET(ポリエチレンテレフタレート)やPP(ポリプロピレン)等のある程度腰のある絶縁性の短い帯状の樹脂シート材を1回から数回巻いて、端部を粘着テープ15で止めたものを用いる。なお、この芯材11は、例えば長円筒形に成形した樹脂成形品を用いることもある。
【0003】
上記発電要素1の正極12は、芯材11よりも少し幅広の帯状のアルミニウム箔の表面に正極活物質を担持させたものであり、負極13は、この正極12とほぼ同じ幅の帯状の銅箔の表面に負極活物質を担持させたものである。ただし、正極12は、帯状の一方の側端部(図4の上部)に正極活物質を塗布しない未塗工部を設けて、この未塗工部ではアルミニウム箔が露出するようにしている。また、負極13も、帯状の他方の側端部(図4の下部)に負極活物質を塗布しない未塗工部を設けて、この未塗工部では銅箔が露出するようにしている。セパレータ14は、正極12や負極13よりも少し幅の狭い帯状のPE(ポリエチレン)の微多孔膜からなる。
【0004】
上記正極12と負極13は、芯材11を中心にこの周囲にセパレータ14を介して巻回される。この際、正極12を一方の側端部側にずらすと共に、負極13を他方の側端部側にずらして巻回するので、図4(b)に示すように、発電要素1の一方の端面(図4の上端面)には正極12の側端部のアルミニウム箔のみがはみ出し、他方の端面(図4の下端面)には負極13の側端部の銅箔のみがはみ出すことになる。また、セパレータ14は、これらアルミニウム箔や銅箔がはみ出した発電要素1の両端部を除く中央の大部分に巻回され、正極12と負極13とが重なる間には確実に介在するようにしている。そして、このセパレータ14は、正極12と負極13の巻回が完了した後も1回以上の巻回を行い、端部を粘着テープ16で止め付けることにより巻回が解けないようにしている。
【0005】
上記構成の発電要素1は、図4(c)に示すように、芯材11の一方の端部(図4の上端部)に正極リード2を挿入すると共に、他方の端部(図4の下端部)に負極リード3を挿入する。正極リード2は、アルミニウム板からなり、負極リード3は、銅板からなる。この正極リード2には、発電要素1の一方の端面からはみ出した正極12のアルミニウム箔が重ね合わされて超音波溶接により接続され、負極リード3には、発電要素1の他方の端面からはみ出した負極13の銅箔が重ね合わされて超音波溶接により接続される。また、これらの正極リード2と負極リード3には、図示しない正極端子と負極端子が接続される。そして、袋状のアルミラミネートシートにこの発電要素1を収納して電解液を充填し、正極端子と負極端子の一部をそれぞれ外部に突出させた状態で封口することにより非水電解質二次電池となる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記従来の非水電解質二次電池は、正極リード2と負極リード3を発電要素1の芯材11に挿入して超音波溶接により接続するまでの間に、これらの正極リード2と負極リード3がずれて正確な位置に接続できなかったり、この接続が不十分になるという問題があった。また、これらの正極リード2と負極リード3は、正極12や負極13のアルミニウム箔や銅箔にのみ接続されるので、非水電解質二次電池が衝撃や振動を受けると、内部の発電要素1が動いてアルミニウム箔や銅箔が正極リード2や負極リード3との接続部で破断するおそれがあるという問題もあった。
【0007】
本発明は、かかる事情に対処するためになされたものであり、リードを発電要素の芯材に固着することにより、このリードと電極との接続部の電極が破断するようなことがなくなり、このリードを予め発電要素の芯材に固着しておいた場合には、このリードと電極との接続も確実となる電池を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、絶縁性の芯材を有する巻回型の発電要素を備えた電池の製造方法において、絶縁性の芯材にリードを固着する工程と、前記工程の後に前記リードを前記発電要素の電極と接続する工程とを有することを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、リードが芯材に固着されるので、電池が衝撃や振動を受けたとしても、このリードに芯材が支持されることにより発電要素だけが内部で動くのを抑制することができ、衝撃や振動が強い場合には、このリードが発電要素と共に動くこともある。従って、衝撃や振動によりリードと電極との接続部分に強い力が加わるのを防止することができるので、この接続部分の電極が破断するようなことがなくなる。また、リードを予め芯材に固着しておけば、巻回した電極との接続作業の際にこのリードがずれて正確な位置に接続できなかったり接続が不十分になるというようなこともなくなる。なお、このリードは、正極側のものだけでもよいし負極側のものだけでもよく、正負極双方のものであってもよい。
【0010】
本発明は、例えば樹脂シートを1回以上巻いた芯材の周囲に正負の電極をセパレータを介して巻回した巻回型の発電要素を備えた電池において、正極端子に接続された正極リードが発電要素の一方の端面からはみ出した正極に接続されると共に芯材の樹脂シートの一方の側端部にも固着され、負極端子に接続された負極リードが発電要素の他方の端面からはみ出した負極に接続されると共に芯材の樹脂シートの他方の側端部にも固着されているように構成することができる。そして、この場合には、発電要素が芯材の両端部を正極リードと負極リードにより確実に支持されるようになり、しかも、これらの正極リードと負極リードは、予め樹脂シートからなる芯材の両側端部に固着しておくことができるので、巻回した電極との接続作業の際にこれらのリードがずれて正確な位置に接続できなかったり接続が不十分になるというようなことも確実に防止できるようになる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0012】
図1〜図3は本発明の一実施形態を示すものであって、図1は非水電解質二次電池の発電要素の構成を示す斜視図、図2は正極リードと負極リードを固着した芯材を示す斜視図、図3は芯材の他の実施例を示す斜視図である。なお、図4に示した従来例と同様の機能を有する構成部材には同じ番号を付記する。
【0013】
本実施形態は、従来例と同様に、長円筒形の巻回型の発電要素を袋状のアルミラミネートシートに収納した非水電解質二次電池について説明する。この非水電解質二次電池の発電要素1は、図1に示すように、芯材11の周囲に正極12と負極13とをセパレータ14を介して巻回したものである。
【0014】
上記芯材11は、図2に示すように、短い帯状の樹脂シート材11aを1回から数回巻いたものである。樹脂シート材11aは、PETやPP等の絶縁性のシート材であり、巻いたときに芯材11として長円筒形の形状を維持するために、ある程度腰のある材質の樹脂が用いられる。この樹脂シート材11aには、図2(a)に示すように、予め帯状の一方の側端部(図2の上部)に正極リード2の下端部が固着されると共に、他方の側端部(図2の下部)に負極リード3の上端部が固着される。正極リード2は、短冊状のアルミニウムやアルミニウム合金等の金属板からなり、負極リード3は短冊状の銅や銅合金等の金属板からなる。そして、これらの正極リード2と負極リード3を図示しない両面粘着テープや接着剤等を用いたり熱溶着させることにより樹脂シート材11aの側端部に固着する。このようにして正極リード2と負極リード3が固着された樹脂シート材11aは、図2(b)に示すように、1回から数回巻き、端部を粘着テープ15で止めることにより芯材11とする。従って、正極リード2は、上端部がこの芯材11の上端面から上方に向けて突出し、負極リード3は、下端部がこの芯材11の下端面から下方に向けて突出することになる。
【0015】
本実施形態の非水電解質二次電池の発電要素1は、図1に示すように、上記芯材11の周囲に長尺な帯状の正極12と負極13をセパレータ14を介して巻回したものである。正極12と負極13とセパレータ14の構成は、図4で示した従来例のものと同じである。そして、この従来例と同様に、芯材11を中心に、セパレータ14を介して正極12と負極13をずらして巻回することにより発電要素1の一方の端面(図1の上端面)には正極12の側端部のアルミニウム箔のみがはみ出し、他方の端面(図1の下端面)には負極13の側端部の銅箔のみがはみ出すようにしている。また、セパレータ14も、従来例と同様に、最外周で1回以上余分に巻回して、端部を粘着テープ16で止め付ける。
【0016】
本実施形態の発電要素1は、上記巻回により長円筒形に形成される。即ち、横断面が長円形の巻軸に長円筒形にした芯材11を嵌めて、この周囲に正極12と負極13を長円筒形に巻回することにより、長円筒形の発電要素1が作製される。また、横断面が円形の巻軸に芯材11を嵌めて、この周囲に正極12と負極13を円筒形に巻回し、この巻回後に巻軸を抜いて発電要素1の側面を両側から圧迫することにより長円筒形に潰して変形させるようにすることもできる。正極リード2と負極リード3は、この発電要素1の長円筒形の端面における両湾曲部の間の直線部のほぼ中央部から上下方向に突出するように配置される。
【0017】
上記正極リード2は、芯材11から上方に突出した部分を発電要素1の上端面からはみ出した正極12のアルミニウム箔と重ね合わせて超音波溶接により接続される。また、負極リード3は、芯材11から下方に突出した部分を発電要素1の下端面からはみ出した負極13の銅箔と重ね合わせて超音波溶接により接続される。これらのアルミニウム箔や銅箔は、巻回の中心から片側の最外周までのもののみを重ね合わせて正極リード2や負極リード3の片方の面に接続するようにしてもよいし、両側の最外周までのものを重ね合わせて、これらの間に配置される正極リード2や負極リード3の両方の面に接続するようにしてもよい。
【0018】
上記のようにして発電要素1の正極12と負極13に接続された正極リード2と負極リード3には、図示しない正極端子と負極端子が溶接やかしめ、ねじ止め等によって接続される。そして、袋状のアルミラミネートシートにこの発電要素1を収納して電解液を充填し、正極端子と負極端子の一部をそれぞれ外部に突出させた状態で封口することにより非水電解質二次電池となる。
【0019】
上記構成の非水電解質二次電池は、正極リード2や負極リード3が発電要素1の正極12や負極13に接続されるだけでなく、芯材11にも固着されている。このため、非水電解質二次電池が外部から衝撃や振動を受けた場合に、従来であればアルミラミネートシートの外装体内部で重量のある発電要素1のみが動くことがあるが、本実施形態では、芯材11の両端部が正極リード2と負極リード3によって支持されるので、この外装体内部での発電要素1の動きを抑制することができる。即ち、正極リード2や負極リード3は、アルミラミネートシートの封口部で固定された端子に接続されているので、これによってアルミラミネートシート内部での発電要素1の位置を固定してほとんど動くことがないようにすることができる。ただし、非水電解質二次電池が受けた衝撃や振動が強かったり、正極リード2や負極リード3による支持が不十分なために、発電要素1がアルミラミネートシート内部で動いてしまう場合もある。しかしながら、このような場合であっても、これらの正極リード2や負極リード3は、端子との接続部分や中央部分で折れ曲がることになり、少なくとも芯材11との固着部は発電要素1と共に動くので、その直ぐ近傍の正極12や負極13との接続部も、アルミニウム箔や銅箔から引き剥がされたりするようなことがなくなる。従って、非水電解質二次電池が衝撃や振動を受けても、正極リード2や負極リード3と正極12や負極13との接続部分に強い力が加わるのを防止することができるので、この接続部分のアルミニウム箔や銅箔が破断するようなことがなくなる。
【0020】
しかも、正極リード2と負極リード3は、予め芯材11の樹脂シート材11aに固着しておくことができるので、巻回工程の後に正極12や負極13との接続作業を行う際に、これらの正極リード2や負極リード3が斜めになったり芯材11から飛び出す等してずれることにより正確な位置に接続できなかったり接続が不十分になるようなこともなくなる。
【0021】
なお、上記実施形態では、樹脂シート材11aを巻いた芯材11を用いる場合を示したが、この芯材11は、図3に示すように、長円筒形の樹脂成形品を用いることもできる。そして、このような樹脂成形品からなる芯材11を用いる場合には、正極リード2や負極リード3をこの樹脂成形品の表面に固着してもよいが、図3に示すように、インサート成形等によって一部を埋め込むことにより固着することもできる。即ち、芯材11は、ある程度の腰や剛性を有する絶縁性のものであれば樹脂に限定されるものではなく、また、シート材を巻いたものや成形品等の他、どのような構成のものであってもよい。しかも、この芯材11への正極リード2や負極リード3の固着手段も、粘着テープを用いたり埋め込み一体成形する等の他、どのような方法で固着してもよい。
【0022】
また、上記実施形態では、正極リード2や負極リード3が正極端子や負極端子とは別部品である場合を示したが、これら正極端子や負極端子の一部を構成し一体的に接続されたものであってもよい。さらに、これらの正極リード2や負極リード3は、直接正極端子や負極端子に接続されるのではなく、中間接続体を介して正極端子や負極端子に接続されるようになっていてもよい。さらに、上記実施形態では、これら正極リード2や負極リード3を超音波溶接により発電要素1の正極12と負極13に接続する場合を示したが、レーザ溶接やかしめ、ねじ等による締め付け、その他の任意の手段で接続することができる。
【0023】
また、上記実施形態では、発電要素1の正極12と負極13に活物質の未塗工部を形成しセパレータ14を介してずらして巻回する場合を示したが、この発電要素1の構成は、このようなものに限らず任意である。例えば正極12や負極13の側端部にタブ状の接続部を形成しておき、巻回によってこの接続部を発電要素1の端面から突出させるようにして、この接続部を正極リード2や負極リード3に接続するようにすれば、これら正極12や負極13を巻回軸方向にずらして巻回する必要はなくなる。さらに、セパレータ14の材質も任意であり、電解質層等を介して正極12と負極13が確実に分離されるならば、このセパレータ14を介在させる必要もなくなる。
【0024】
また、上記実施形態では、正極リード2と負極リード3の双方を芯材11に固着する場合を示したが、いずれか一方のリードを芯材11に固着するだけでも同様の効果を得ることができる。特に、他方の電極を例えば発電要素1の最外周から集電するような場合には、この発電要素1の端面から集電を行うのは一方の電極だけでよいので、この一方の電極に接続するリードだけを芯材11に固着すれば足りる。
【0025】
また、上記実施形態では、長円筒形の発電要素1を用いる場合を示したが、芯材11を用いる巻回型の発電要素1であれば形状は任意であり、横断面が長円形のものに限らず、楕円形やその他の形状であってもよく、一般的な円筒形の発電要素1であっても同様に実施可能である。しかも、この発電要素1を収納する電池外装体も、袋状のアルミラミネートシートには限定されず、金属製の電池缶や樹脂製の電池容器等を用いることができる。さらに、上記実施形態では、非水電解質二次電池について説明したが、この電池の種類も特に限定されない。そして、このような電池の種類に応じて、発電要素1の各構成要素や正極リード2、負極リード3の材質や構成を任意に定めることができる。
【0026】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、電池が衝撃や振動を受けたとしても、芯材に固着されたリードが発電要素と共に動くか、この発電要素を動かないように支持するので、リードと電極との接続部分に強い力が加わらないようにして電極の破断を防止することができるようになる。また、リードを予め芯材に固着しておけば、電極との接続作業の際にこのリードがずれて正確な位置に接続できなかったり接続が不十分になるというようなこともなくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態を示すものであって、非水電解質二次電池の発電要素の構成を示す斜視図である。
【図2】 本発明の一実施形態を示すものであって、正極リードと負極リードを固着した芯材を示す斜視図である。
【図3】 本発明の一実施形態を示すものであって、芯材の他の実施例を示す斜視図である。
【図4】 従来例を示すものであって、芯材と発電要素と電極に接続した正極リードと負極リードを示す斜視図である。
【符号の説明】
1 発電要素
11 芯材
11a 樹脂シート材
12 正極
13 負極
2 正極リード
3 負極リード
Claims (1)
- 絶縁性の芯材を有する巻回型の発電要素を備えた電池の製造方法において、
絶縁性の芯材にリードを固着する工程と、
前記工程の後に前記リードを前記発電要素の電極と接続する工程とを有することを特徴とする、電池の製造方法。
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