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JP4576832B2 - 重合性化合物およびその重合体 - Google Patents

重合性化合物およびその重合体 Download PDF

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JP4576832B2 JP2003421916A JP2003421916A JP4576832B2 JP 4576832 B2 JP4576832 B2 JP 4576832B2 JP 2003421916 A JP2003421916 A JP 2003421916A JP 2003421916 A JP2003421916 A JP 2003421916A JP 4576832 B2 JP4576832 B2 JP 4576832B2
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Description

本発明は、重合性および液晶性を有する化合物、その重合体および重合体の用途に関する。この重合体は光学異方性を有する成形体、液晶表示素子などに利用できる。
近年、偏光板、位相差板などの光学異方性を有する成形体に重合性の液晶性化合物が利用されている。この化合物が液晶状態において光学異方性を有し、重合によりこの化合物の配列が固定化されるためである。光学異方性を有する成形体に必要な光学的特性は目的によって異なるので、目的にあった特性を有する化合物が必要である。この化合物は重合して重合体とし、それを成形して利用することが一般的である。このような目的に使用される化合物は、前記の異方性に加えて重合体に関する特性も重要である。この特性は、化合物の重合速度、重合体の透明性、機械的強度、塗布性、溶解度、結晶化度、収縮性、透水度、吸水度、融点、ガラス転移点、透明点、耐薬品性などである。
アクリレートは重合反応性が大きく、得られる重合体が高い透明性を有するので、このような目的に用いられる(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3および特許文献4参照。)。
特開平7−17910号公報 特開平8−3111号公報(米国特許第5863457号明細書) 特開平9−316032号公報 米国特許第5622648号明細書
本発明の第一の目的は、液晶相の広い温度範囲を有し、他の化合物との優れた相溶性を有し、さらに、光学異方性などの必要な特性を有する重合性の液晶性化合物、およびこの化合物を含有する液晶組成物を提供することである。第二の目的は、透明性、機械的強度、塗布性、溶解度、結晶化度、収縮性、透水度、吸水度、融点、ガラス転移点、透明点、耐薬品性などの特性の多くに優れた重合体、およびこの重合体から製造した光学異方性を有する成形体を提供することである。第三の目的は、この重合体を含有する液晶表示素子を提供することである。
上記目的を達成するための手段は次の項のとおりである。
[1] 下記の式(1)または式(2)で表される化合物。
−Z−(A−Z)−R (1)
−Z−(A−Z)−R (2)
Figure 0004576832
式中、Rは、式(3−1)〜(3−5)の重合性基のいずれか1つであり;Rは水素、ハロゲン、−CN、−NCO、−NCS、または炭素数1〜20のアルキルであり、このアルキルにおいて任意の−CH2−は−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CH=CH−、または−C≡C−で置き換えられてもよく、そして任意の水素はハロゲンまたは−CNで置き換えられてもよく;Aは、1,4−シクロヘキシレン、1,4−シクロヘキセニレン、1,4−フェニレン、ナフタレン−2,6−ジイル、テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル、フルオレン−2,7−ジイル、ビシクロ[2.2.2]オクト−1,4−ジイル、またはビシクロ[3.1.0]ヘキス−3,6−ジイルであり、これらの環において任意の−CH−は−O−で置き換えられてもよく、任意の−CH=は−N=で置き換えられてもよく、これらの環において任意の水素はハロゲン、炭素数1〜5のアルキルまたは炭素数1〜5のハロゲン化アルキルで置き換えられてもよく、これらの置換基が隣接しているときには、互いに結合して環の炭素−炭素結合と共に環を形成してもよいが、少なくとも1つのAは式(4−1)または式(4−2)で表される置換された1,4−フェニレンであり、;Zは、単結合または炭素数1〜20のアルキレンであり、このアルキレンにおいて任意の−CH2−は−O−、−S−、−COO−、−OCO−、−CH=CH−、−CF=CF−または−C≡C−で置き換えられてもよく、そして任意の水素はハロゲンで置き換えられてもよく;Rは水素、ハロゲン、−CF3、または炭素数1〜5のアルキルであり;mは1〜6の整数であり、qは0または1である。
[2] 式(1)および(2)においてRが式(3−1)または(3−5)である[1]項に記載の化合物。
[3] 式(1)および(2)においてRが式(3−1)または(3−5)であり、式(4−1)または式(4−2)で表される環以外のAが、1,4−シクロヘキシレン、任意の水素がハロゲンで置き換えられた1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレン、または任意の水素がハロゲンで置き換えられた1,4−フェニレンである[1]項に記載の化合物。
[4] 式(1)および(2)においてRが式(3−1)または(3−5)であり、式(4−1)または式(4−2)で表される環以外のAが、1,4−シクロヘキシレン、任意の水素がハロゲンで置き換えられた1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレン、または任意の水素がハロゲンで置き換えられた1,4−フェニレンであり、Zが、単結合、−(CH2−、−O(CH2−、−(CH2O−、−O(CH2O−、−CH=CH−、−C≡C−、−COO−、−OCO−、−CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−、−CHCH−COO−、−OCO−CHCH−、−OCF−、または−CFO−であり、aは1〜20の整数である[1]項に記載の化合物。
[5] 式(1)および(2)においてRが式(3−2)〜(3−4)のいずれか1つである[1]項に記載の化合物。
[6] 式(1)および(2)においてRが式(3−2)〜(3−4)のいずれか1つであり、式(4−1)または式(4−2)で表される環以外のAが、1,4−シクロヘキシレン、任意の水素がハロゲンで置き換えられた1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレン、または任意の水素がハロゲンで置き換えられた1,4−フェニレンである[1]項に記載の化合物。
[7] 式(1)および(2)においてRが式(3−2)〜(3−4)のいずれか1つであり、式(4−1)または式(4−2)で表される環以外のAが、1,4−シクロヘキシレン、任意の水素がハロゲンで置き換えられた1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレン、または任意の水素がハロゲンで置き換えられた1,4−フェニレンであり、Zが、単結合、−(CH2−、−O(CH2−、−(CH2O−、−O(CH2O−、−CH=CH−、−C≡C−、−COO−、−OCO−、−OCF−、または−CFO−であり、aは1〜20の整数である[1]項に記載の化合物。
[8] 式(1)および(2)においてmが2である[1]項に記載の化合物。
[9] 式(1)および(2)においてmが3である[1]項に記載の化合物。
[10] 式(1)および(2)においてmが4である[1]項に記載の化合物。
[11] 式(1)および(2)においてRが式(3−1)または(3−5)であり、Aの1つが式(4−1)であり、それ以外のAが、1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレンまたは任意の水素がハロゲンで置き換えられた1,4−フェニレンであり、Zが、単結合、−COO−、−OCO−、−(CH2−、−CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−、−CHCH−COO−、−OCO−CHCH−、−O(CH2−、−(CH2O−または−O(CH2O−であり、aは1〜20の整数である[1]項に記載の化合物。
[12] 式(1)および(2)においてRが式(3−1)または(3−5)であり、Aの1つが式(4−2)であり、それ以外のAが、1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレンまたは任意の水素がハロゲンで置き換えられた1,4−フェニレンであり、Zが、単結合、−COO−、−OCO−、−(CH2−、−O(CH2−、−(CH2O−または−O(CH2O−であり、aは1〜20の整数である[1]項に記載の化合物。
[13] 式(1)および(2)においてRが式(3−1)または(3−5)であり、Aの1つが式(4−1)であり、それ以外のAが、1,4−フェニレンであり、Zが−COO−、−OCO−、−(CH2−、−O(CH2−、−(CH2O−または−O(CH2O−であり、aは1〜20の整数である[1]項に記載の化合物。
[14] 式(1)および(2)においてRが式(3−2)〜(3−4)のいずれか1つであり、Aの1つが式(4−1)であり、それ以外のAが、1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレンまたは任意の水素がハロゲンで置き換えられた1,4−フェニレンであり、Zが、単結合、−COO−、−OCO−、−(CH2−、−O(CH2−、−(CH2O−または−O(CH2O−であり、aは1〜20の整数である[1]項に記載の化合物。
[15] 式(1)および(2)においてRが式(3−2)〜(3−4)のいずれか1つであり、Aの1つが式(4−2)であり、それ以外のAが、1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレンまたは任意の水素がハロゲンで置き換えられた1,4−フェニレンであり、Zが、単結合、−COO−、−OCO−、−(CH2−、−O(CH2−、−(CH2O−または−O(CH2O−であり、aは1〜20の整数である[1]項に記載の化合物。
[16] 式(1)および(2)においてRが式(3−2)〜(3−4)のいずれか1つであり、Aの1つが式(4−1)であり、それ以外のAが、1,4−フェニレンであり、Zが−COO−、−OCO−、−(CH2−、−O(CH2−、−(CH2O−または−O(CH2O−であり、aは1〜20の整数である[1]項に記載の化合物。
[17] 下記の式(a)〜(r)のいずれか1つで表される化合物。
−Z−B−R (a)
−Z−B−Z−A−R (b)
−Z−B−Z−A−Z−A−R (c)
−Z−A−Z−B−Z−A−R (d)
−Z−B−Z−A−Z−A−Z−A−R (e)
−Z−A−Z−B−Z−A−Z−A−R (f)
−Z−B−Z−A−Z−A−Z−A−Z−A−R (g)
−Z−A−Z−B−Z−A−Z−A−Z−A−R (h)
−Z−A−Z−A−Z−B−Z−A−Z−A−R (i)
−Z−B−Z−R (j)
−Z−B−Z−A−Z−R (k)
−Z−B−Z−A−Z−A−Z−R (l)
−Z−A−Z−B−Z−A−Z−R (m)
−Z−B−Z−A−Z−A−Z−A−Z−R (n)
−Z−A−Z−B−Z−A−Z−A−Z−R (o)
−Z−B−Z−A−Z−A−Z−A−Z−A−Z−R (p)
−Z−A−Z−B−Z−A−Z−A−Z−A−Z−R (q)
−Z−A−Z−A−Z−B−Z−A−Z−A−Z−R (r)
Figure 0004576832
式中、Rは、式(3−1)〜(3−5)の重合性基のいずれか1つであり;Rは水素、ハロゲン、−CN、−NCO、−NCS、または炭素数1〜20のアルキルであり、このアルキルにおいて任意の−CH2−は−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CH=CH−、または−C≡C−で置き換えられてもよく、そして任意の水素はハロゲンまたは−CNで置き換えられてもよく;Aは、1,4−シクロヘキシレン、1,4−シクロヘキセニレン、1,4−フェニレン、ナフタレン−2,6−ジイル、テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル、フルオレン−2,7−ジイル、ビシクロ[2.2.2]オクト−1,4−ジイル、またはビシクロ[3.1.0]ヘキス−3,6−ジイルであり、これらの環において任意の−CH−は−O−で置き換えられてもよく、任意の−CH=は−N=で置き換えられてもよく、これらの環において任意の水素はハロゲン、炭素数1〜5のアルキルまたは炭素数1〜5のハロゲン化アルキルで置き換えられてもよく、これらの置換基が隣接しているときには、互いに結合して環の炭素−炭素結合と共に環を形成してもよく;Bは式(4−1)または式(4−2)で表される置換された1,4−フェニレンであり;Zは、単結合または炭素数1〜20のアルキレンであり、このアルキレンにおいて任意の−CH2−は−O−、−S−、−COO−、−OCO−、−CH=CH−、−CF=CF−または−C≡C−で置き換えられてもよく、そして任意の水素はハロゲンで置き換えられてもよく;Rは水素、ハロゲン、−CF3、または炭素数1〜5のアルキルであり;qは0または1である。
[18] 式(a)〜(r)においてAが、1,4−シクロヘキシレンまたは1,4−フェニレンであり、これらの環において任意の水素がハロゲンで置き換えられてもよく;Zが、単結合、−CH=CH−、−C≡C−、−COO−、−OCO−、−(CF22−、−CF=CF−、−OCF−、−CFO−、−(CH2−、−CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−、−CHCH−COO−、−OCO−CHCH−、−O(CH2−、−(CH2O−または−O(CH2O−であり、aは1〜20の整数である[17]項に記載の化合物。
[19] 式(a)〜(i)においてAが、1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレンまたは任意の水素がハロゲンで置き換えられた1,4−フェニレンであり、Zが、単結合、−COO−、−OCO−、−(CH2−、−O(CH2−、−(CH2O−または−O(CH2O−であり、aは1〜20の整数である[17]項に記載の化合物。
[20] 少なくとも2つの重合性化合物を含有し、少なくとも1つの重合性化合物が[1]〜[19]項のいずれか1項に記載の化合物である液晶組成物。
[21] 重合性化合物のすべてが[1]〜[19]項のいずれか1項に記載の化合物である[20]項に記載の液晶組成物。
[22] [1]〜[19]項のいずれか1項に記載の化合物の少なくとも1つと、該化合物以外の重合性化合物の少なくとも1つとを含有する[20]項に記載の液晶組成物。
[23] [1]〜[19]項のいずれか1項に記載の化合物の少なくとも1つと、式(A)、式(B)および式(C)のそれぞれで表される化合物の群から選択された少なくとも1つの重合性化合物とを含有する[20]項に記載の液晶組成物。
Figure 0004576832
式中、Rは水素、メチル、エチルまたはプロピルであり;Rは−CN、炭素数1〜20のアルキルまたは炭素数1〜20のアルコキシであり;環A、AおよびAは独立して、1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレンまたは任意の水素がフッ素で置き換えられた1,4−フェニレンであり;環Aは、1,4−フェニレン、または2−メチル−1,4−フェニレンであり;ZおよびZは独立して、単結合、−(CH22−、−CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−、−CHCH−COO−、−OCO−CHCH−、−COO−、または−OCO−であり;αは、0〜20の整数であり;sは0または1である。
[24] 液晶組成物が、さらに光学活性化合物を含有する[20]〜[23]項のいずれか1項に記載の液晶組成物。
[25] [1]〜[19]項のいずれか1項に記載の化合物の少なくとも1つを重合させて得られる重合体。
[26] [1]〜[19]項のいずれか1項に記載の化合物の1つを単独重合させて得られる重合体。
[27] [20]〜[24]項のいずれか1項に記載の組成物を重合させて得られる重合体。
[28] 重量平均分子量が500〜100,000である[25]項に記載の重合体。
[29] 重量平均分子量が1,000〜50,000である[25]項に記載の重合体。
[30] 重合体が光学活性である[25]〜[27]項のいずれか1項に記載の重合体。
[31] [25]〜[30]項のいずれか1項に記載の重合体から得られるフィルム。
[32] [25]〜[30]項のいずれか1項に記載の重合体を含有する、光学異方性を有する成形体。
[33] [25]〜[30]項のいずれか1項に記載の重合体を含有する位相差膜。
[34] [25]〜[30]項のいずれか1項に記載の重合体を含有する液晶配向膜。
[35] [25]〜[30]項のいずれか1項に記載の重合体を含有する反射防止膜。
[36] [25]〜[30]項のいずれか1項に記載の重合体を含有する視野角補償膜。
[37] [25]〜[30]項のいずれか1項に記載の重合体を含有する偏光素子。
[38] [25]〜[30]項のいずれか1項に記載の重合体を含有する選択反射機能を有する膜。
[39] [31]項に記載のフィルム、[32]項に記載の光学異方性を有する成形体、[33]項に記載の位相差膜、[34]項に記載の液晶配向膜、[35]項に記載の反射防止膜、[36]項に記載の視野角補償膜、[37]項に記載の偏光素子、および[38]項に記載の選択反射機能を有する膜の群から選択された少なくとも1つを含有する液晶表示素子。
[40] [20]〜[24]項のいずれか1項に記載の組成物を含有する液晶表示素子。
ここで、「これらの環において任意の−CH−は−O−で置き換えられてもよい」の句の意味を一例で示す。−C−において任意の−CH−を−O−で置き換えた基の一部は、−CO−、−CH−O−(CH−および−CH−O−CH−O−である。このように「任意の」は、「区別なく選択された少なくとも1つの」を意味する。化合物の安定性を考慮して、酸素と酸素とが隣接した−CH−O−O−CH−よりも、酸素と酸素とが隣接しない−CH−O−CH−O−の方が好ましい。
「これらの環において任意の−CH−は−O−で置き換えられてもよく、任意の−CH=は−N=で置き換えられてもよく、これらの環において任意の水素はハロゲン、炭素数1〜5のアルキルまたは炭素数1〜5のハロゲン化アルキルで置き換えられてもよい。」において、後者の「これらの環」は、任意の−CH−が−O−で置き換えられた環、および任意の−CH=が−N=で置き換えられ環をも含む。
好ましいRは、水素、ハロゲン、−CN、−CF、−CFH、−CFH、−OCF、−OCFH、炭素数1〜20のアルキル、炭素数1〜19のアルコキシ、および炭素数2〜21のアルケニルである。特に好ましいRは、−CN、炭素数1〜20のアルキルおよび炭素数1〜19のアルコキシである。これらの基において、アルキルおよびアルケニルは分岐よりも直鎖の方が好ましい。
独立したAの少なくとも1つは式(4−1)または式(4−2)で表される置換された1,4−フェニレンであり、好ましいそれ以外のAは、1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレン、2−フルオロ−1,4−フェニレン、2、3−ジフルオロ−1,4−フェニレン、2,5−ジフルオロ−1,4−フェニレン、2,6−ジフルオロ−1,4−フェニレン、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、ピリジン−2,5−ジイル、6−フルオロピリジン−2,5−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイル、ピリダジン−3,6−ジイル、ナフタレン−2,6−ジイル、テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル、およびフルオレン−2,7−ジイルである。特に好ましいそれ以外のAは、1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレン、2−フルオロ−1,4−フェニレン、2、3−ジフルオロ−1,4−フェニレン、2,5−ジフルオロ−1,4−フェニレン、および2,6−ジフルオロ−1,4−フェニレンである。1,4−シクロヘキシレンおよび1,3−ジオキサン−2,5−ジイルはシスよりもトランスの方が好ましい。2−フルオロ−1,4−フェニレンは、3−フルオロ−1,4−フェニレンと構造的に同一であるので、後者は例示しなかった。この規則は、2,5−ジフルオロ−1,4−フェニレンと3,6−ジフルオロ−1,4−フェニレンの関係などにも適用される。
大きな光学異方性を有する化合物は、式(4−1)または式(4−2)で表される置換された1,4−フェニレンである以外のAが、任意の水素がハロゲンで置き換えられてもよい1,4−フェニレン、ピリジン−2,5−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイル、ピリダジン−3,6−ジイル、ナフタレン−2,6−ジイル、テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル、またはフルオレン−2,7−ジイルであることが好ましい。小さな光学異方性を有する化合物は、それ以外のAが1,4−シクロヘキシレン、1,4−シクロヘキセニレンまたは1,3−ジオキサン−2,5−ジイルであることが好ましい。
好ましいZは単結合、−(CH2−、−O(CH2−、−(CH2O−、−O(CH2O−、−CH=CH−、−C≡C−、−COO−、−OCO−、−(CF22−、−CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−、−CHCH−COO−、−OCO−CHCH−、−C≡C−COO−、−OCO−C≡C−、−CH=CH−(CH22−、−(CH22−CH=CH−、−CF=CF−、−C≡C−HC=CH−、−CH=CH−C≡C−、−OCF−、または−CFO−であり、aは1〜20の整数である。
より好ましいZは、単結合、−(CH22−、−(CH24−、−OCH2−、−O(CH23−、−CH2O−、−(CH23O−、−O(CH22O−、−CH=CH−、−C≡C−、−COO−、−OCO−、−(CF22−、−CF=CF−、−CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−、−CHCH−COO−、−OCO−CHCH−、−OCF−、または−CFO−である。特に好ましいZは、単結合、−(CH22−、−OCH2−、−CH2O−、−O(CH22O−、−CH=CH−、−(CH24−、−CF=CF−、−CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−、−CHCH−COO−、−OCO−CHCH−、−OCF−、または−CFO−である。小さな粘度を有する化合物は、Zが単結合、−(CH22−、−CH=CH−、−CF=CF−、−OCF−、または−CFO−であることが好ましい。これらの結合基において、二重結合はシスよりもトランスの方が好ましい。
またはRに隣接するZにおいて、アルキレンの好ましい炭素数は1〜9であり、より好ましい炭素数は3〜7であり、特に好ましい炭素数は2〜6である。アルキレンの好ましい例は、(Z−1)〜(Z−7)および(Z−1)〜(Z−7)である。
Figure 0004576832
(Z−1)〜(Z−7)において、rは2〜6の整数であり、sおよびtは独立して、1または2である。また(Z−1)〜(Z−7)において、uは2〜6の整数であり、vおよびwは独立して、1または2である。ただし、s+t≦8、v+w≦8である。
好ましいRは、水素、ハロゲンおよびメチルである。特に好ましいRは、水素、フッ素およびメチルである。
mは1〜6の整数である。好ましいmは、2〜4の整数である。本発明の化合物は、mが2のとき、六員環などの環を2つ有する二環の化合物である。mが3と4のときは、それぞれ三環と四環の化合物である。mが1であるとき、2つのZは同一であってもよいし、または異なってもよい。mが2であるとき、3つのZ(または2つのA)は同一であってもよいし、または異なってもよい。mが3〜6であるときについても同様である。RおよびRの基についても同様である。液晶相の温度範囲を低温側に設定したい場合は二環を、比較的高温側に設定したい場合は三環または四環化合物を選択すればよい。より高温側に液晶相の温度範囲を設定したい場合は、mが4、5または6である化合物を選択すればよい。
本発明の化合物は、液晶相の広い温度範囲を有し、他の化合物との優れた相溶性を有し、さらに、光学異方性などの必要な特性を有する重合性の液晶性化合物およびこの化合物を含有する液晶組成物に使用できる。本発明の重合体は、透明性、機械的強度、塗布性、溶解度、結晶化度、収縮性、透水度、吸水度、融点、ガラス転移点、透明点、耐薬品性などの特性の多くに優れ、この重合体から光学異方性を有する成形体を製造でき、またこの重合体を含有する液晶表示素子を製造できる。
この明細書における用語の使い方は次のとおりである。用語「液晶性化合物」は、液晶相を有する化合物、および液晶相を有しないが液晶組成物の成分として有用な化合物の総称として用いる。重合性の用語はこの技術分野において光、熱、触媒などの方法により重合し、重合体を与える能力を意味する。液晶性化合物と液晶組成物の用語は、それぞれ化合物と組成物とで表記することがある。式(1)、式(2)で表される化合物を、それぞれ化合物(1)、化合物(2)と表記することがある。化合物(1)、化合物(2)から得られる重合体を、それぞれ重合体(1)、重合体(2)と表記することがある。アクリレートとメタアクリレートとを(メタ)アクリレートと表記することがある。
化合物(1)、(2)およびそれらの重合体は次の特徴を有する。
(1)化合物(1)および(2)は一環〜六環を有し、重合性と液晶性を有する。
(2)化合物(1)および(2)は、通常使用される条件下において物理的および化学的に極めて安定であり、他の化合物との相溶性がよい。
(3)化合物(1)および(2)を構成する環、結合基または側鎖を適切に選ぶことによって、大きい誘電率異方性、小さい誘電率異方性、大きい光学異方性、小さい光学異方性、小さい粘度などの物性値を調整することができる。
(4)化合物(1)および(2)の構造を適切に選択することで、その重合体は最適な透明性、機械的強度、塗布性、溶解度、結晶化度、収縮性、透水度、吸水度、融点、ガラス転移点、透明点、耐薬品性などの特性を有する。これらの特性はJISなどに定義された測定方法に従って求めることができる。
化合物(1)および(2)の物性は次のとおりである。
二環および三環の化合物(1)および(2)は小さな粘度を有する。三環以上の化合物(1)および(2)は高い透明点(液晶相−等方性液体の相転移温度)を有する。化合物(1)および(2)は三環以上の化合物であっても、溶媒に溶解した場合、濡れ性が良好なので、組成物の調製、基板上への塗布および薄膜化において有利である。三環以上の化合物(1)および(2)は液晶相の非常に広い温度範囲を有する。特に、三環以上の化合物(1)および(2)は高温度範囲に液晶相を有するので、二環の化合物(1)または(2)と混合することで、低温度範囲までを液晶相の温度範囲でカバーされた液晶組成物を調製できる。
少なくとも2つのシクロヘキサン環を有する化合物(1)および(2)は、高い透明点、小さな光学異方性および小さな粘度を有する。少なくとも2つのベンゼン環を有する化合物(1)および(2)は、比較的大きな光学異方性および大きな液晶配向秩序度(orientational order parameter)を有する。少なくとも3つのベンゼン環を有する化合物(1)および(2)は、特に大きな光学異方性、液晶相の広い温度範囲および高い化学的安定性を有する。
1,4−フェニレンの2位または3,5位がフッ素である化合物(1)および(2)は、化学的に安定であり、誘電率異方性が特に大きい。Aが2,3−ジフルオロ−1,4−フェニレンである化合物(1)および(2)は、化学的に安定であり、誘電率異方性が負である。
が水素、ハロゲンまたは炭素数1〜5のアルキルである化合物(1)および(2)は、重合性が大きいので好適である。Rが水素またはフッ素である化合物(1)および(2)は、重合性が最も大きい。Rが炭素数1〜5のアルキルである化合物(1)および(2)は、炭素数が増えるに従い重合性が低下する。従って、Rがアルキルのときはメチルが好ましい。
Zのすべてが単結合である化合物(1)および(2)は、特に高い透明点を有する。結合基が二重結合を有する化合物(1)および(2)は、液晶相の広い温度範囲を有する。結合基が三重結合を有する化合物(1)および(2)は、特に大きな光学異方性を有する。
これらのことから環、側鎖および結合基を適切に選択することにより、目的の物性を有する化合物(1)および(2)を得ることができる。化合物(1)および(2)を構成する原子がその同位体であっても同様の特性を示すので好ましく用いることができる。
化合物(1)および(2)において化合物の中央基「−Z−(A−Z)−」の好ましい例は、中央基(1−1)〜(1−78)である。これらの化合物において、Zの意味は式(1)および(2)と同一であり、複数のZは同じであっても異なっていても良い。また、環C(2)は式(4−1)または式(4−2)で表される置換された1,4−フェニレンのいずれかを表す。中央基(1−1)〜(1−78)において1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレン、1,4−シクロヘキセニレン、ピリジン−2,5−ジイル、ナフタレン−2,6−ジイル、テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル、およびフルオレン−2,7−ジイルは、下記式で表すようにフッ素またはメチルで置換されてもよい。
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化合物(1)および(2)のさらに好ましい例は、中央基(1−2)〜(1−3)、中央基(1−13)〜(1−16)、中央基(1−23)〜(1−37)、中央基(1−44)、中央基(1−45)、中央基(1−48)、中央基(1−63)、中央基(1−65)、中央基(1−69)、または中央基(1−70)を有する化合物である。
次に、化合物(1)および(2)の製造方法について説明する。
化合物(1)および(2)は、ホーベン・ワイル(Houben Wyle, Methoden der Organischen Chemie, Georg Thieme Verlag, Stuttgart)、オーガニック・リアクションズ(Organic Reactions, John Wily & Sons Inc.)、オーガニック・シンセシーズ(Organic Syntheses, John Wily & Sons, Inc.)、コンプリヘンシブ・オーガニック・シンセシス(Comprehensive Organic Synthesis, Pergamon Press)、新実験化学講座(丸善)などに記載された有機化学における合成方法を適切に組み合わせることにより製造できる。
式(4−1)で表される環構造は次の方法で構築できる。化合物(a)と1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブチン(b)とをDiels-Alder反応によって化合物(c)としたのち、酸性条件下にて開環、脱保護を行うことで化合物(4−1−a)を製造できる。そしてトリフェニルホスフィンの存在下で、化合物(4−1−a)にハロゲン(塩素、臭素、ヨウ素)を作用させることにより、水酸基をハロゲンに変換した化合物(4−1−b)を製造できる。化合物(4−1−b)への変換が困難な場合は、トシレートやトリフレートを化合物(4−1−b)の等価体として使用できる。なお、化合物(a)は、公知の方法(Gui-Ding Zhu, et al, Organic Letters, 2(21), 3345 [2000])で合成することができる。
式(4−2)で表される環構造は次の方法で構築できる。化合物(d)にノルマルブチルリチウムを作用させ、次にホウ酸トリイソプロピルを作用させたのち、過酸化水素にて酸化させることで化合物(e)を得る。ピリジウムp−トルエンスルホネート存在下、化合物(e)にジヒドロピランを作用させ化合物(f)を得る。これにノルマルブチルリチウムを作用させ、次にホウ酸トリイソプロピルを作用させたのち、過酸化水素にて酸化させることで化合物(4−2−a)を製造できる。そしてトリフェニルホスフィンの存在下で、化合物(4−2−a)にハロゲン(塩素、臭素、ヨウ素)を作用させることにより水酸基をハロゲンに変換した化合物(4−2−b)を製造できる。前述と同様、トシレートやトリフレートを化合物(4−2−b)の等価体として使用できる。
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化合物(1)および(2)の主骨格(液晶残基)は次に示す方法で、またはそれらを適切に組み合わせることで構築できる。すなわち、結合基Zを生成する方法の一例に関して、最初にスキームを示し、次にスキームの製造方法を説明する。このスキームにおいて、MSGまたはMSGは少なくとも1つの環を有する1価の有機基である。スキームで用いた複数のMSG(またはMSG)は、同一であってもよいし、異なってもよい。化合物(1A)〜(1K)は化合物(1)および(2)に相当する。

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(I)単結合の生成
ホウ酸誘導体(5)と公知の方法で合成されるハライド(6)とを、炭酸塩水溶液とテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムのような触媒の存在下で反応させて化合物(1A)を合成する。この化合物(1A)は、公知の方法で合成される化合物(7)にn−ブチルリチウムを、次いで塩化亜鉛を反応させ、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウムのような触媒の存在下で化合物(6)を反応させることによっても合成される。ホウ酸誘導体(5)は化合物(7)をグリニヤール試薬またはリチウム試薬に誘導し、トリアルキルホウ酸エステルを作用することで製造できる。
(II)−COO−と−OCO−の生成
化合物(7)にn−ブチルリチウムを、続いて二酸化炭素を反応させてカルボン酸(8)を得る。カルボン酸(8)と、公知の方法で合成されるフェノール(9)とをDCC(1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド)とDMAP(4−ジメチルアミノピリジン)の存在下で脱水させて−COO−を有する化合物(1B)を合成する。この方法によって−OCO−を有する化合物も合成できる。
(III)−CFO−と−OCF−の生成
化合物(1B)をローソン試薬のような硫黄化剤で処理して化合物(10)を得る。化合物(10)をフッ化水素ピリジン錯体とNBS(N−ブロモスクシンイミド)でフッ素化し、−CFO−を有する化合物(1C)を合成する。M. Kuroboshi et al., Chem. Lett., 1992,827.を参照。化合物(1C)は化合物(10)を(ジエチルアミノ)サルファ トリフルオリドでフッ素化しても合成される。William H. Bunnelle et al., J. Org. Chem. 1990, 55, 768.を参照。この方法によって−OCF−を有する化合物も合成できる。
(IV)−CH=CH−の生成
化合物(6)をn−ブチルリチウムで処理したのち、N,N−ジメチルホルムアミドなどのホルムアミドと反応させてアルデヒド(11)を得る。公知の方法で合成されるホスホニウム塩(12)をカリウムt−ブトキシドのような塩基で処理して発生させたリンイリドを、アルデヒド(11)に反応させて化合物(1D)を合成する。反応条件によってはシス体が生成するので、必要に応じて公知の方法によりシス体をトランス体に異性化する。
(V)−(CH−の生成
化合物(1D)をパラジウム炭素のような触媒の存在下で水素化することにより、化合物(1E)を合成する。
(VI)−(CH−の生成
ホスホニウム塩(12)の代わりにホスホニウム塩(13)を用い、項(IV)の方法に従って−(CH−CH=CH−を有する化合物を得る。これを接触水素化して化合物(1F)を合成する。
(VII)−C≡C−の生成
ジクロロパラジウムとハロゲン化銅との触媒存在下で、化合物(7)に2−メチル−3−ブチン−2−オールを反応させたのち、塩基性条件下で脱保護して化合物(14)を得る。ジクロロビストリフェニルホスフィンパラジウムとハロゲン化銅との触媒存在下、化合物(14)を化合物(6)と反応させて、化合物(1G)を合成する。
(VIII)−CF=CF−の生成
化合物(7)をn−ブチルリチウムで処理したあと、テトラフルオロエチレンを反応させて化合物(15)を得る。化合物(15)をn−ブチルリチウムで処理したあと、化合物(6)と反応させて化合物(1H)を合成する。
(IX)−CHO−または−OCH−の生成
化合物(11)を水素化ホウ素ナトリウムなどの還元剤で還元して化合物(16)を得る。これを臭化水素酸などでハロゲン化して化合物(17)を得る。炭酸カリウムなどの存在下で、化合物(17)を化合物(9)と反応させて化合物(1J)を合成する。
(X)−(CH23O−または−O(CH23−の生成
化合物(11)の代わりに化合物(18)を用いて、項(IX)の方法に従って化合物(1K)を合成する。
(XI)−(CF22−の生成
J. Am. Chem. Soc., 2001, 123, 5414.に記載された方法に従い、ジケトン(21)をフッ化水素触媒の存在下、四フッ化硫黄でフッ素化して−(CF22−を有する化合物(1L)を得る。
本発明の組成物の第1は、化合物(1)または(2)の少なくとも1つと重合性でない液晶性化合物とを含有する組成物である。以下の説明では、「重合性でない液晶性化合物」を「非重合性液晶」で表記する。化合物(1)および(2)は、適正な液晶相の温度範囲や他の液晶性化合物との好適な相溶性など、液晶としての高い特性を有する。従って、化合物(1)または(2)と非重合性液晶とを含む液晶組成物は、液晶表示素子を製造するときに封入される組成物として用いることができる。かかる組成物を適切な重合条件に付す事で、組成物中の化合物(1)または(2)が重合し高分子化による網目構造が形成される。従って、この組成物の第1は、PDLCおよびPNLC用の材料として使用できる。
化合物(1)または(2)が光学活性である場合、組成物のらせんピッチの調整に有用である。この液晶組成物は、本発明の重合体を得るための原料として用いることもできる。その際には、本発明の重合体と液晶性化合物との複合体とすることもできる。非重合性液晶の例は、液晶化合物データベースLiqCryst(登録商標)(LCI Publisher GmbH (Hamburg, Germany))などに記載されている液晶性化合物である。この液晶組成物は、更に二色性色素などの添加物を含有してもよい。
本発明の組成物の第2は、化合物(1)または(2)の少なくとも1つと化合物(1)または(2)でない重合性化合物とを含有する組成物である。以下の説明では、「化合物(1)または(2)でない重合性化合物」を「その他の重合性化合物」と称し、「化合物(1)または(2)の少なくとも1つとその他の重合性化合物とを含有する組成物」を、「重合性組成物」と称する。重合性組成物は液晶相を有することが好ましいが、目的によっては液晶相を有さなくてもよい。この重合性組成物に関する説明は、次の重合体に関する説明に含まれる。
本発明の重合体は、化合物(1)または(2)の少なくとも1つを重合させて得られる重合体である。化合物(1)、化合物(2)を重合することで、それぞれ重合体(1)、重合体(2)を製造できる。本発明の重合体の第1は、化合物(1)または(2)の1つを単独重合させて得られる単独重合体である。本発明の重合体の第2は、化合物(1)または(2)の少なくとも2つを共重合させて得られる共重合体である。本発明の重合体の第3は、化合物(1)または(2)の少なくとも1つとその他の重合性化合物とを含有する組成物、すなわち重合性組成物を共重合させて得られる共重合体である。これらのいずれの重合体も、重合性基(3−1)〜(3−5)に由来する構成単位(3−1−p)〜(3−5−p)を有する。
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重合性基(3−1)を有する化合物(1)は、高いラジカル重合性を有する。アゾビスイソブチロニトリルなどのラジカル重合開始剤の存在下、重合が可能である。構成単位(3−1−p)を有する重合体(1)は、高い透明性を有する。
重合性基(3−2)を有する化合物(1)および重合性基(3−4)を有する化合物(1)は、高いラジカル重合性を有する。これらの化合物(1)は、紫外線によるラジカル重合性が特に高い。構成単位(3−2−p)または構成単位(3−4−p)を有する重合体(1)を光重合によって製造したときは、機械的強度が大きく、表面硬度が高い。
重合性基(3−3)を有する化合物(1)および重合性基(3−5)を有する化合物(1)は、高いカチオン重合性を有する。重合反応を阻害する物質(例えば、酸素)の存在下でも重合できる。構成単位(3−5−p)を有する重合体(1)は、各種の基板材料との密着性に優れる。硬化収縮率が小さいので、各種の光学機能薄膜に好適に用いることができる。
化合物(1)は重合性基を1つ有する。化合物(2)は重合性基を2つ有する。本質的に化合物(2)は、対応する重合性基を有する化合物(1)と同様な基本的特徴を有する。加えて、化合物(2)は化合物(1)に比べ、より高い重合性を有する。化合物(2)は重合速度が大きく短時間で重合が完了する。化合物(2)は重合度の大きな重合体を与える。得られた重合体(2)は、耐熱性が高く、透水度、吸水度およびガス透過度が低く、機械的強度(特に、ヤング率、引張強度、引き裂き強度、曲げ強度、曲げ弾性率、衝撃強度など)、硬度、化学的安定性(耐薬品性)などに優れる。
化合物(1)または(2)の少なくとも2つ、または重合性組成物を重合させると、共重合体が得られる。化合物(1)または(2)の少なくとも2つ、または重合性組成物の組成を適宜選択することによって、目的とする特性を有する重合体(1)または重合体(2)を製造することができる。例えば、重合性基(3−1)を有する化合物(2)および重合性基(3−2)を有する化合物(2)を重合させると、機械的強度、表面硬度、耐熱性、および透明性に優れた重合体(2)が得られる。これは、重合性基(3−1)を有する化合物(2)、重合性基(3−2)を有する化合物(2)をそれぞれ単独重合して得られる各重合体(2)の特性を併せ持つ共重合体が得られることを示す。
化合物(1)または化合物(2)を使用して熱可塑性樹脂を製造できる。熱可塑性樹脂の好ましい重量平均分子量は500〜100,000であり、より好ましくは1,000〜50,000、さらに好ましくは2,000〜10,000である。熱可塑性樹脂を製造するとき、重合度を大きくしない、または重量平均分子量を前述の範囲に調整する必要がある。重合性基を1つ有する化合物(1)が有利である。
本発明の化合物を使用して熱硬化性樹脂を製造できる。熱硬化性を有する重合体(1)および(2)は、三次元の架橋構造を有し、不溶不融となり、分子量の測定が不可能である。熱硬化性樹脂を製造するとき、重合速度の大きな重合性基を2つ有する化合物(2)が有利である。
重合性組成物に含有されるその他の重合性化合物は、薄膜形成性、機械的強度および熱的強度を最適化するために用いられ、化合物(1)または(2)と共重合し得るものであれば特に限定されず、また液晶性を有さなくてもよい。液晶性を有さない重合性化合物は、ビニル誘導体、スチレン誘導体、(メタ)アクリル酸誘導体、ソルビン酸誘導体、フマル酸誘導体、イタコン酸誘導体などである。
好ましいビニル誘導体は、塩化ビニル、フッ化ビニル、酢酸ビニル、ピバリン酸ビニル、2,2−ジメチルブタン酸ビニル、2,2−ジメチルペンタン酸ビニル、2−メチル−2−ブタン酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、2−エチル−2−メチルブタン酸ビニル、N−ビニルアセトアミド、p−t−ブチル安息香酸ビニル、N,N−ジメチルアミノ安息香酸ビニル、安息香酸ビニル、エチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルモノビニルエーテル、t−アミルビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールメチルビニルエーテル、α,β−ビニルナフタレン、メチルビニルケトン、イソブチルビニルケトンなどである。好ましいスチレン誘導体は、スチレン、o−クロロスチレン、m−クロロスチレン、p−クロロスチレン、o−クロロメチルスチレン、m−クロロメチルスチレン、p−クロロメチルスチレン、α−メチルスチレンなどである。
好ましい(メタ)アクリル酸誘導体は、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールEO付加トリアクリレート、ペンタエリストールトリアクリレート、トリスアクリロイルオキシエチルフォスフェート、ビスフェノールA EO付加ジアクリレート、ビスフェノールA グリジジルジアクリレート(商品名:大阪有機化学株式会社製 ビスコート700)、ポリエチレングリコールジアクリレートジメチルイタコネートなどである。
好ましいソルビン酸誘導体は、ソルビン酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、ソルビン酸リチウム、ソルビン酸1−ナフチルメチルアンモニウム、ソルビン酸ベンジルアンモニウム、ソルビン酸ドデシルアンモニウム、ソルビン酸オクタデシルアンモニウム、ソルビン酸メチル、ソルビン酸エチル、ソルビン酸プロピル、ソルビン酸イソプロピル、ソルビン酸ブチル、ソルビン酸t−ブチル、ソルビン酸ヘキシル、ソルビン酸オクチル、ソルビン酸オクタデシル、ソルビン酸シクロペンチル、ソルビン酸シクロヘキシル、ソルビン酸ビニル、ソルビン酸アリル、ソルビン酸プロパギルなどである。
好ましいフマル酸誘導体は、フマル酸ジメチル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジイソプロピル、フマル酸ジブチル、フマル酸ジシクロペンチル、フマル酸ジシクロヘキシルなどである。好ましいイタコン酸誘導体は、ジエチルイタコネート、ジブチルイタコネート、ジイソプロピルイタコネートなどである。この他、ブタジエンやイソプレンなどを用いることもできる。なお、液晶性を示さない重合性化合物は、上記の例によって制限されない。
液晶性を有するその他の重合性化合物は、官能基としてアクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、フマロイルオキシ基、マレイミジル基、オキシラン環、またはオキセタン環などを有する液晶性化合物であって、化合物(1)または(2)ではないものを挙げることができる。これらのうち液晶性アクリル酸誘導体は、透明で機械的強度の大きい重合体を与えるので好ましい。この化合物は、重合性組成物の液晶相の温度範囲を調整するために用いることもできる。
また、上記の液晶性を有するその他の重合性化合物のうち、液晶性アクリル酸誘導体を除く化合物は、その重合に要する時間がアクリル酸誘導体より長い場合がある。しかしながら、これらの重合性化合物は、副生物の生成を抑制し、重合体の機械強度および熱安定性を向上させるので有用である。本発明の重合体の特徴を維持し、且つ、この様な共重合体の特徴を顕著に発現させるためには式(3−1−p)〜(3−5−p)以外の構成単位を好ましくは5〜95モル%、より好ましくは60〜95モル%含有させることが必要である。式(3−1−p)〜(3−5−p)で表される構成単位以外の構成単位のうち、液晶性を有する構成単位および液晶性を有さない構成単位それぞれについてはこの範囲内で自由に変更することができ、それらの合計量が上述する範囲内であれば良い。また、どちらか一方だけでも良い。
液晶性を有する化合物(1)または(2)以外の重合性化合物として、例えば、式(BRM−1)〜(BRM−16)をあげる事ができる。
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式(BRM−1)〜(BRM−16)において、Pは、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、フマロイルオキシ基、マレイミジル基、オキシラン環、またはオキセタン環を有する重合性基であり、γは、炭素数2〜15のアルキレンであり、δは0または1であり、Xは、炭素数1〜15のアルキルまたは炭素数1〜15のアルコキシ、ハロゲン、炭素数1〜3のハロゲン化アルキルまたは炭素数1〜3のハロゲン化アルコキシ、−CN、または−O(CH2γであり、L、L、LおよびLは独立に、水素、ハロゲン、炭素数1〜15のアルキル、炭素数1〜15のアルコキシ、炭素数1〜3のハロゲン化アルキル、炭素数1〜3のハロゲン化アルコキシであるが、L=L=トリフルオロメチル、およびL=水素かつL=トリフルオロメチルであることはない。
中でも特に好適な液晶性を有する化合物(1)または(2)以外の重合性化合物を、下記の式(BRM−a−1)〜(BRM−a−11)および式(BRM−b−1)〜(BRM−b−11)に例示する。同様な物性を有する液晶性化合物であれば、いずれも好適に使用できるので、この例示が本発明の組成物の構成を制限するものではない。
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本発明の重合体は、化合物(1)または(2)の1つ、化合物(1)または(2)の少なくとも2つ、または化合物(1)または(2)の少なくとも1つを含有する重合性組成物に、必要に応じて開始剤、触媒、溶媒などを加えて重合させることによって得られる。共重合体は、ランダム共重合体、交互共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体等のいずれであってもよい。また、配置繰返し単位は、イソタクチック、シンジオタクチック、アタクチックのいずれでも良い。
化合物(1)または(2)から本発明の重合体を得るには、種々の重合反応形式を用いることができる。利用できる重合反応形式は、フリーラジカル重合法、アニオン重合法、カチオン重合法、配位重合法などである。本発明の重合体を製造するには、その用途に適した重合法を選択することが好ましい。例えば、位相差フィルム、偏光素子などの光学異方性膜を製造するには、液晶相を保持した状態で敏速に重合させることが必要なため、紫外線または電子線等を照射する重合法が好ましい。その際には、化合物(1)または(2)と任意成分としてのその他の重合性化合物とを、必要に応じて光ラジカル重合開始剤の存在下で重合させる。
光ラジカル重合法の開始剤の一例は、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン(商品名:ダロキュアー1173)、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(商品名:イルガキュアー184)、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(商品名:イルガキュアー651)、イルガキュアー500(商品名)、イルガキュアー2959(商品名)、イルガキュアー907(商品名)、イルガキュアー369(商品名)、イルガキュアー1300(商品名)、イルガキュアー819(商品名)、イルガキュアー1700(商品名)、イルガキュアー1800(商品名)、イルガキュアー1850(商品名)、ダロキュアー4265(商品名)、イルガキュアー784(商品名)、p−メトキシフェニル−2,4−ビス(トリクロロメチル)トリアジン、2−(p−ブトキシスチリル)−5−トリクロロメチル−1,3,4−オキサジアゾール、9−フェニルアクリジン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1、2,4−ジエチルキサントン/p−ジメチルアミノ安息香酸メチル混合物などである。
熱重合法や光重合法により得られる重合体は、各種の保護膜や液晶配向膜、視野角補償膜などへの応用が可能である。光重合法においては、偏光、特に偏光UV光を用いることにより、重合性分子を偏光の方向に揃えた状態で重合させることができる。従って、光重合法により得られる重合体は、各種の保護膜や液晶配向膜などの他、ラビングを必要としない配向膜などへの応用も可能である。本発明の重合体は光学異方性を有するため、単独で位相差フィルムとして使用するか、または他の位相差フィルムと組み合わせることにより、偏光素子、円偏光素子、楕円偏光素子、反射防止膜、色補償板、選択反射フィルム、視野角補償板等への応用が可能である。
光学活性を有する化合物(1)または(2)を適当量含有した組成物、または光学活性でない化合物(1)または(2)に光学活性化合物を適当量添加して得られた組成物を、配向処理した基板上に塗布し、重合することによって、らせん構造(ツイスト構造)を示す位相差フィルムが得られる。化合物(1)または(2)の重合によって、このらせん構造が固定される。得られた光学異方性を有する成形体の特性は、得られたらせん構造のらせんピッチに依存する。このらせんピッチ長は、光学活性化合物の種類および添加量により調整できる。添加する光学活性化合物は1つでもよいが、らせんピッチの温度依存性を相殺する目的で複数の光学活性化合物を用いてもよい。また、この化合物(1)または(2)と光学活性化合物の他に、化合物(1)または(2)以外の重合性化合物が組成物に含まれてもよい。
この光学異方性を有する成形体の特性である可視光の選択反射は、らせん構造が入射光に作用し、円偏光や楕円偏光を反射させるものである。選択反射特性はλ=n・Pitch(λは選択反射中心波長、nは平均屈折率、Pitchはらせんピッチ)で表されるため、n、Pitchによりλ、およびその帯域(Δλ)を適宜調整することができる。色純度を良くするにはΔλを小さくすればよいし、広帯域の反射を所望する際にはΔλを大きくすればよい。さらにこの選択反射はセル厚の影響も大きく受ける。色純度を保つためには、セル厚が小さくなりすぎないようにしなければならない。配向の均一性を保つためには、セル厚が大きくなりすぎないようにしなければならない。従って、適度なセル厚の調整が必要であり、0.5〜25μmが好ましく、0.5〜5μmがより好ましい。
らせんピッチを可視光よりさらに短くする事で、W. H. de Jeu, Physical Properties of Liquid Crystalline Materials, Gordon and Breach, New York(1980)に記載されているネガティブ型cプレート(c−plate)を調製できる。らせんピッチを短くするためには、ねじり力(HTP:ヘリカル・ツイスティング・パワー)の大きな光学活性化合物を用い、さらにその添加量を増やすことで達成できる。
具体的にはλを350nm以下、好ましくは200nm以下とすることで、ネガティブ型cプレートを調製できる。このネガティブ型cプレートは液晶表示素子のうちVAN型、VAC型、OCB型などの表示素子に適した光学補償膜となる。
添加する光学活性化合物は、らせん構造を誘起しベースとなる重合性組成物と適切に混合できればいずれの光学活性化合物を用いてもよい。例えば、下記の光学活性化合物(Op−1)〜(Op−13)が好適である。
Figure 0004576832


Figure 0004576832
Figure 0004576832

式中、Rfは炭素数1〜10のアルキルであり、*が付与された炭素は不斉炭素である。
添加する光学活性化合物は重合性化合物でも非重合性化合物のいずれでも良い。目的に応じて最適化できる。耐熱性、耐溶剤性を考慮した場合、重合性化合物の方が好適である。さらに添加する光学活性化合物はねじり力(HTP:ヘリカル・ツイスティング・パワー)が大きい方がらせんピッチを短くする上で好適である。ねじり力の大きな化合物の代表例がDE10221751号公報で開示されている。特に好適な化合物は下記の(Op−14)〜(Op−19)である。
(Op−14)〜(Op−16)は重合性化合物であり、(Op−17)〜(Op−19)は非重合性化合物である。ここで、(Op−17)〜(Op−19)の化合物の末端の−Cに重合性基を導入すれば、有用な重合性を持つ光学活性化合物となる。
Figure 0004576832
Figure 0004576832
配向膜、反射防止膜、視野角補償膜などを製造するには熱重合法が好ましい。熱重合に際しては、化合物(1)または(2)と任意成分としてのその他の重合性化合物とを、ラジカル重合開始剤の存在下で重合させる。熱によるラジカル重合の好ましい開始剤は、過酸化ベンゾイル、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシピバレート、ジ−t−ブチルパーオキシド(DTBPO)、t−ブチルパーオキシジイソブチレート、過酸化ラウロイル、2,2´−アゾビスイソ酪酸ジメチル(MAIB)、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル(ACN)などである。重合は、一般的に0〜150℃の反応温度で、1〜100時間で行う。
アニオン重合法および配位重合法の好ましい開始剤は、n−CLi、t−CLi−RAlなどのアルカリ金属アルキル、アルミニウム化合物、遷移金属化合物などである。
化合物(1)または(2)の少なくとも1つ、またはそれらを含有する重合性組成物はカチオン重合によっても重合できる。カチオン重合は、光照射または加熱によって開始できる。反応時間を短縮するため、および重合度を高めるためにカチオン重合開始剤を添加できる。光カチオンとしては、ブロンステッド酸、ハロゲン化金属化合物、オニウム塩が好適に使用できる。具体的な例は、Makromolekulare Chemie, VCH Verlag, Weinheimおよび An Introduction to Polymer Science, VCH Verlag, Weinheim を参照できる。
重合は窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下で行う事が好ましいが、開始剤および化合物の構造を最適化することで、空気中での重合も可能である。
重合性基が式(3−5)である場合、化合物(1)または(2)は、フェノール、アミン等の求核試薬と反応し2級のアルコール類を生成する。多官能性の求核試薬を用いる事で、重合体を製造できる。
重合に際しては、化合物(1)または(2)の少なくとも2つ、または重合性組成物に対して、開始剤や触媒の他に溶媒を添加してもよい。好ましい溶媒は、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、テトラヒドロフラン、γ−ブチロラクトン、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、PGMEAおよびこれらの混合溶媒である。配向膜、反射防止膜、視野角補償膜などの製造を光重合によって行う場合には、組成物の溶液を基板上にスピンコート法で塗布し、溶媒を除去したのち光を照射して重合させてもよい。基板上への組成物のコーティングには公知のコーター(ドクター・ブレード、コーティング装置等)を用いても良い。なお、重合時の溶媒の使用割合を限定することにはあまり意味がない。重合効率、溶媒コスト、エネルギーコスト等を考慮して、個々のケースごとに決定されればよい。
単離した重合体は溶媒に溶かして成形することができる。好ましい溶媒は、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドジメチルアセタール、テトラヒドロフラン、クロロホルム、1,4−ジオキサン、ビス(メトキシエチル)エーテル、γ−ブチロラクトン、テトラメチル尿素、トリフルオロ酢酸、トリフルオロ酢酸エチル、ヘキサフルオロ−2−プロパノール、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、PGMEAなどである。しかし、溶媒はこれらに制限されることはなく、アセトン、ベンゼン、トルエン、ヘプタン、塩化メチレンなど一般的な有機溶剤との混合物であってもよい。なお、成形時の溶媒の使用割合を限定することには重合時と同様あまり意味がない。製造する薄膜の膜厚、製造環境における溶媒の蒸気圧等を考慮して、個々のケースごとに決定されれば良い。用途によっては、本発明の重合体の少なくとも2つを混合して用いることができるし、積層させて用いることもできる。積層させて用いる場合には、重合体を単離させず、光重合によって直接薄膜を形成させてもよい。
本発明の重合体は光学的異方性を有するので、単独で位相差フィルムに使用できる。この重合体を他の位相差フィルムと組み合わせることにより、偏光板、円偏光板、楕円偏光板、反射防止膜、色補償板、視野角補償板などに利用できる。また、本発明の化合物は、接着剤、機械的異方性を持つ合成高分子、化粧品、装飾品、非線型光学材料および情報記憶材料としても利用できる。
本発明の重合体は、1.35〜1.60程度の屈折率を有する。屈折率は化合物(1)および(2)の構造を選択する事で最適化できる。即ち、不飽和結合を多くする事で大きな屈折率を、不飽和結合を少なくしハロゲンを導入する事で小さな屈折率を得る事ができる。屈折率の調整は、無機物の微粒子を添加する事でも調整できる。微粒子を添加することで、屈折率を2.50程度までに増加でき、同時に密着性、機械的強度が向上する。粒子の径が10nm〜1μm程度の、TiO2、SiO2、SnO2等の微粒子が、この目的に使用できる。
化合物(2)は両末端に重合性基を持つため、容易に大きな重合度および大きな分子量を持つ重合体を調製できる。化合物(2)および化合物(2)以外の化合物を含有する組成物において、化合物(2)以外の化合物が1つの重合性基を持つ化合物を多く含有する場合、得られる重合体の分子量は小さく、ガラス転移点および融点が低く成形性などの加工性に優れる。この様な特性が必要な用途に好ましい分子量の範囲は、重量平均分子量で500〜100,000である。化合物(2)以外の化合物が多官能性である場合、得られる重合体の分子量は大きく、耐薬品性および耐熱性に優れる。この様な特性が必要な用途には好ましい分子量の範囲は重量平均分子量で100,000以上である。基板上に本発明の組成物を塗布重合し分子の配向を固定し光学異方性を得る場合、更に加工を施すことがないので、分子量の大小は問題とならない。使用環境において条件を満足すれば良い。
より分子量を上げるために、架橋剤を本発明の組成物に添加することも可能である。この組成物は、分子量が無限大となる重合体を与える事が可能である。得られる重合体は耐薬品性および耐熱性に極めて優れる。架橋剤として、当該業者に公知のものであればいずれのものでも使用できるが、例えば、トリ(3−メチルメルカプトプロピオネート)があげられる。
本発明の化合物および組成物は高い重合性を有する。取扱いを容易にするために、安定剤を添加することも可能である。安定剤として、当該業者に公知のものであればいずれのものでも使用できるが、例えば、ハイドロキノン、4−エトキシフェノールおよび3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシトルエン(BHT)があげられる。
光学異方性薄膜を形成する場合、基板として、当該業者に公知のものであればいずれのものも好適に使用できる。例えば、ガラス、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリカーボナート(PC)、トリアセチルセルロース(TAC)、およびゼオノア(登録商標:日本ゼオン(株)製)およびゼオネックス(登録商標:日本ゼオン(株)製)、およびアートン(登録商標:JSR(株)製)等のノルボルネン系重合物があげられる。本発明の重合体はこれらの基板との密着性に優れ好適である。
基板上での本発明の化合物の配向は、基板上に塗布した配向膜をラビング処理し、その上に本発明の組成物を塗布することで得られる。配向を制御できるものであれば、当該業者にとり公知の配向膜のいずれを用いても目的を達成できるが、ポリイミド、ポリアミドおよびポリビニールアルコール系配向膜が好適である。または、基板自体をラビング布等でラビングし、直接本発明の組成物を塗布する事でも配向を得ることができる。配向した本発明の化合物を含有する組成物は、光照射等で重合し光学異方性を有する成形体を与えるので工業的に有利な手法である。
本発明の化合物、組成物および重合体は、カラーフィルター、ホログラフィック素子、PDLC(Polymer Dispersed Liquid Crystal)、およびPSCT(Polymer Stabilized Cholesteric Texture)等の液晶表示素子にも使用できる。
化合物(1)および(2)は、特に配向制御された高分子液晶薄膜に好適に使用される。これらは当該業者であれば容易に液晶表示素子へ応用できる。
また、化合物(1)または(2)は、強誘電性液晶または反強誘電性液晶と混合して重合することで、高分子化によって安定化された強誘電性液晶表示素子または反強誘電性液晶表示素子を形成することができる。表示素子自体の具体的な構築方法は文献等で公知である(J. of Photopoly. Sci. Technol., 2000, 13(2), 295-300)。
以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら制限されない。化合物の構造は核磁気共鳴スペクトル、質量スペクトルなどで確認した。相転移温度の単位は℃であり、Cは結晶を、Nはネマチック相を、Isoは等方性液体相を、かっこ内はモノトロピックの液晶相を表す。例えば、「C 100.0 N」の表示は、結晶からネマチック相への相転移温度が100.0℃であることを表す。相転移温度はDSCおよび偏光顕微鏡を用いて観察した。
重量平均分子量および数平均分子量の測定には、(株)島津製作所製の島津LC−9A型ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)および昭和電工(株)製のカラムShodex GF−7M HQ(展開溶媒はDMFまたはTHF)を用いた。鉛筆硬度はJIS規格「JIS−K−5400 8.4 鉛筆引掻試験」の方法に従って求めた。なお、単位記号Lはリットル(liter)を表す。
参考例
2,3−ビストリフルオロメチル−1,4−ジ(4−(6−アクリロイルオキシヘキシルオキシ)ベンゾイルオキシ)ベンゼン(化合物(1−13−7))の製造
下記の経路により化合物(1−13−7)を製造した。
Figure 0004576832
2,3−ビストリフルオロメチルハイドロキノン(g)(1.46g)、4−(6−アクリロイルオキシヘキシルオキシ)安息香酸(h)(4.66g)、4−ジメチルアミノピリジン(1.83g)、およびTHF(70mL)の混合物を氷浴で冷却した。ここへ1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(4.50g)を同温度で加え、一晩撹拌した。蒸留水を加え反応混合物を塩化メチレンで抽出した。有機層を合わせ、2M塩酸、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、目的物(3.36g:収率56.7%)をネマチック相を有する無色結晶として収得した。
相転移温度(℃):C 90.3 (N 91.3) Iso.
H−NMR(CDCl;δ ppm):8.14(d,4H),7.56(s,2H),6.99(d,4H),6.41(dd,2H),6.13(dd,2H),5.82(dd,2H),4.19(t、4H),4.07(t,4H),1.88−1.83(m、4H),1.76−1.71(m,4H),1.58−1.45(m,8H).
実施例1
5,8−ジ(4−(6−アクリロイルオキシヘキシルオキシ)ベンゾイルオキシ)−2,2−ジフルオロ−1,3−ベンゾジオキソール(化合物(1−23−7))の製造
下記の経路により化合物(1−23−7)を製造した。
Figure 0004576832
5,8−ジヒドロキシ−2,2−ジフルオロ−1,3−ベンゾジオキソール(i)(3.02g)、4−(6−アクリロイルオキシヘキシルオキシ)安息香酸(h)(9.24g)、4−ジメチルアミノピリジン(3.84g)、およびTHF(180mL)の混合物を氷浴で冷却した。ここへ1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(9.06g)を同温度で加え、一晩撹拌した。蒸留水を加え反応混合物を塩化メチレンで抽出した。有機層を合わせ、2M塩酸、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、目的物(7.66g:収率65.7%)を無色液体として収得した。
H−NMR(CDCl;δ ppm):8.01(d,4H),7.02(dd,2H),6.86(d,4H),6.39(dd,2H),6.12(dd,2H),5.81(dd,2H),4.17(t、4H),3.98(t,4H),1.83−1.78(m、4H),1.74−1.70(m,4H),1.56−1.42(m,8H).
参考例1および実施例1の方法に準じて、化合物(1−11−1)〜化合物(1−34−6)を製造する。
Figure 0004576832
Figure 0004576832
Figure 0004576832

Figure 0004576832
Figure 0004576832
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Figure 0004576832

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Figure 0004576832

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Figure 0004576832
Figure 0004576832
参考例2
参考例1で製造した化合物(1−13−7)27重量部、化合物(A)40重量部、化合物(B)30重量部、および光重合開始剤(チバスペシャリティー・ケミカルズ製のイルガキュアー907)3重量部を混合して重合性の液晶組成物(C)を調製した。得られた組成物は52℃〜100℃の温度範囲でネマチック相を有した。
化合物(A)
Figure 0004576832
化合物(B)
Figure 0004576832
参考例3
ラビング処理を施したポリイミド配向膜付きガラス基板2枚をラビング方向が180度の角度をなすように5μmの間隔をもって対向させ、セルを作製した。60℃に加熱したホットプレート上にて、このセルに参考例2で得られた重合性の液晶組成物(C)を注入した。この状態のものについて偏光顕微鏡を用いて観察したところ、欠陥もなく、均一にホモジニアス配向していることを確認した。また、ベレックコンペンセーターを用いてレタデーションを求めたところ890nmの値を得た。さらにこれを、60℃に加熱したホットプレート上に設置し、光源として250Wの超高圧水銀ランプを用いて,365nmの紫外線を30mW/cmの強度で10秒間照射して、組成物(C)を重合させた。得られた重合体について偏光顕微鏡を用いて観察したところ、欠陥もなく、均一にホモジニアス配向が保持されていた。また、ベレックコンペンセーターを用いてレタデーションを求めたところ重合前と変化しておらず、さらに150℃に10分間放置してもレタデーションの変化はほとんどないことを確認した。
参考例4
参考例2で得られた重合性の液晶組成物(C)をシクロペンタノン200重量部中に溶解し、約33重量%濃度の溶液を調製した。この溶液をウエット膜厚として約12μmが得られるバーコーターを用いてラビング配向処理を施したポリイミド配向膜付きガラス基板に塗布した。これを70℃に加熱したホットプレート上に120秒間置き、溶媒乾燥と液晶配向を行った。さらに、室温にて250W/cmの超高圧水銀灯を用いて、30mW/cm(中心波長365nm)の強度の光を20秒間照射して窒素雰囲気中にて重合させた。こうして得られた光学薄膜を偏光顕微鏡にて観察したところ配向欠陥のない均一な液晶配向が得られていることを確認した。ベレックコンペンセーターを用いてレタデーションを求めたところ、212nmの値を得た。さらにこの光学薄膜をクロスニコルの偏光子に、ラビング方向と偏光子の吸収軸のなす角度が45°となるように挟んでバックライト上にて光の透過の様子を観察した。ラビング方向に傾斜しながら光の透過の様子を観察したところ、正面を中心に左右で対称の変化であることが確認された。これはこの光学薄膜における液晶骨格の配向ベクトルがガラス基板に対して水平であり、すなわちホモジニアス配向していることを示唆するものである。
参考例5
化合物(1−3−7)25重量部、化合物(A)35重量部、化合物(B)25重量部、および化合物(OP−15)12重量部からなる重合性組成物に光重合開始剤イルガキュアー907(チバスペシャリティー・ケミカルズ製)3重量部を添加する。この光重合開始剤を含む重合性組成物をシクロペンタノン200重量部中に溶解し、約33重量%濃度の溶液を調製した。この溶液をウエット膜厚として約12μmが得られるバーコーターを用いてラビング配向処理を施したポリイミド配向膜付きガラス基板に塗布した。これを70℃に加熱したホットプレート上に120秒間置き、溶媒乾燥と液晶配向を行った。さらに、ホットプレートで70℃に加熱した状態で、250Wの超高圧水銀灯を用いて、30mW/cm(中心波長365nm)の強度の光を20秒間照射して窒素雰囲気中にて重合させた。その結果、赤色の選択反射を呈する光学薄膜を得た。
参考例6
参考例1で製造した化合物(1−13−7)(10mg)、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル(0.1mg)およびベンゼン(100μL)をガラスのアンプルに入れた。これを−60℃に冷却して、真空ポンプで十分脱気したのちに封管した。このアンプルを70℃の水浴で24時間加熱した。得られた反応混合物を、メタノール(15mL)から3回再沈殿して重合体(8.1mg)を得た。GPCで測定した重量平均分子量(Mw)は30,000であった。多分散度(Mw/Mn)は1.99であった。重合体(1.025mg)を純水(1mL)に浸し10日間50℃で放置した。重合体を取り出して十分に乾燥し重量を測定したところ1.028mgであった。本重合体の吸水率が小さいことがわかる。
参考例7
参考例6で製造した重合体5重量部をNMP(N−メチルピロリドン)100重量部に溶解した。この溶液を予め十分に洗浄した2枚のガラス基板にスピンコーターを用いてそれぞれ塗布した。これらのガラス基板を200 ℃で3時間加熱し、溶媒を除去することでガラス基板上に重合体の薄膜を作成した。これらのガラス基板上に形成された重合体の薄膜の表面をラビング布を装着したローラーで一方向に擦り、ラビング処理を施した。この2枚のガラス基板を重合体の薄膜が対面する向きで、厚み10 μmのスペーサーを挟んでラビング方向が同一になるように貼り合せ、セルを作成した。このセルにメルク社製の液晶組成物ZLI−1132を室温で注入した。液晶セル中の液晶組成物は均一なホモジニアス配向を示した。
参考例8
本発明の化合物を用いて調製できる組成物の好適例を、組成例1〜組成例6として示す。いずれもUV光の照射により重合し、光学異方性を有する成形体を与える。下記における(%)は重量%を表す。
組成例1
Figure 0004576832
組成例2
Figure 0004576832
組成例3
Figure 0004576832
組成例4
Figure 0004576832
組成例5
Figure 0004576832
組成例6
Figure 0004576832
比較例1
化合物(A)61重量部、化合物(B)26重量部および光重合開始剤(チバスペシャリティー・ケミカルズ製のイルガキュアー907)3重量部を混合して重合性の液晶組成物(E)を調製した。得られた組成物を徐々に加熱したところ、85℃付近で結晶が融解し始め95℃付近で全体がネマチック相を示した。重合性の液晶組成物(E)は、参考例2の重合性の液晶組成物(C)に比べ融点が極めて高く、本願の化合物(1)の融点降下効果が証明された。
化合物(A)
Figure 0004576832
化合物(B)
Figure 0004576832
以 上

Claims (36)

  1. 下記の式(2)で表される化合物
    −Z−(A−Z)−R (2)

    Figure 0004576832
    式中、Rは、式(3−1)〜(3−5)の重合性基のいずれか1つであり;Aは、1,4−シクロヘキシレン、1,4−シクロヘキセニレン、1,4−フェニレン、ナフタレン−2,6−ジイル、テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル、フルオレン−2,7−ジイル、ビシクロ[2.2.2]オクト−1,4−ジイル、またはビシクロ[3.1.0]ヘキス−3,6−ジイルであり、少なくとも1つのAは式(4−2)で表される置換された1,4−フェニレンであり;Zは、炭素数1〜20のアルキレンであり、このアルキレンにおいて任意の−CH2−は−O−、−S−、−COO−、−OCO−、−CH=CH−、−CF=CF−または−C≡C−で置き換えられてもよく、そして任意の水素はハロゲンで置き換えられてもよく;Rは水素、ハロゲン、−CF3、または炭素数1〜5のアルキルであり;mは1〜6の整数であり、qは0または1である。
  2. (2)においてRが式(3−1)または(3−5)である請求項1に記載の化合物。
  3. (2)においてRが式(3−1)または(3−5)であり、式(4−2)で表される環以外のAが、1,4−シクロヘキシレンまたは1,4−フェニレンである請求項1に記載の化合物。
  4. (2)においてRが式(3−1)または(3−5)であり、式(4−2)で表される環以外のAが、1,4−シクロヘキシレンまたは1,4−フェニレンであり、Zが、−(CH2−、−O(CH2−、−(CH2O−、−O(CH2O−、−CH=CH−、−C≡C−、−COO−、−OCO−、−CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−、−CHCH−COO−、−OCO−CHCH−、−OCF−、または−CFO−であり、aは1〜20の整数である請求項1に記載の化合物。
  5. (2)においてRが式(3−2)〜(3−4)のいずれか1つである請求項1に記載の化合物。
  6. (2)においてRが式(3−2)〜(3−4)のいずれか1つであり、式(4−2)で表される環以外のAが、1,4−シクロヘキシレンまたは1,4−フェニレンである請求項1に記載の化合物。
  7. (2)においてRが式(3−2)〜(3−4)のいずれか1つであり、式(4−2)で表される環以外のAが、1,4−シクロヘキシレンまたは1,4−フェニレンであり、Zが、−(CH2−、−O(CH2−、−(CH2O−、−O(CH2O−、−CH=CH−、−C≡C−、−COO−、−OCO−、−OCF−、または−CFO−であり、aは1〜20の整数である請求項1に記載の化合物。
  8. (2)においてmが2である請求項1に記載の化合物。
  9. (2)においてmが3である請求項1に記載の化合物。
  10. (2)においてmが4である請求項1に記載の化合物。
  11. (2)においてRが式(3−1)または(3−5)であり、Aの1つが式(4−2)であり、それ以外のAが、1,4−シクロヘキシレンまたは1,4−フェニレンであり、Zが、−COO−、−OCO−、−(CH2−、−O(CH2−、−(CH2O−または−O(CH2O−であり、aは1〜20の整数である請求項1に記載の化合物。
  12. (2)においてRが式(3−2)〜(3−4)のいずれか1つであり、Aの1つが式(4−2)であり、それ以外のAが、1,4−シクロヘキシレンまたは1,4−フェニレンであり、Zが、−COO−、−OCO−、−(CH2−、−O(CH2−、−(CH2O−または−O(CH2O−であり、aは1〜20の整数である請求項1に記載の化合物。
  13. 下記の式(j)〜(r)のいずれか1つで表される化合物
    −Z−B−Z−R (j)
    −Z−B−Z−A−Z−R (k)
    −Z−B−Z−A−Z−A−Z−R (l)
    −Z−A−Z−B−Z−A−Z−R (m)
    −Z−B−Z−A−Z−A−Z−A−Z−R (n)
    −Z−A−Z−B−Z−A−Z−A−Z−R (o)
    −Z−B−Z−A−Z−A−Z−A−Z−A−Z−R (p)
    −Z−A−Z−B−Z−A−Z−A−Z−A−Z−R (q)
    −Z−A−Z−A−Z−B−Z−A−Z−A−Z−R (r)
    Figure 0004576832
    式中、Rは、式(3−1)〜(3−5)の重合性基のいずれか1つであり;Aは、1,4−シクロヘキシレン、1,4−シクロヘキセニレン、1,4−フェニレン、ナフタレン−2,6−ジイル、テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル、フルオレン−2,7−ジイル、ビシクロ[2.2.2]オクト−1,4−ジイル、またはビシクロ[3.1.0]ヘキス−3,6−ジイルであり;Bは式(4−2)で表される置換された1,4−フェニレンであり;Zは、炭素数1〜20のアルキレンであり、このアルキレンにおいて任意の−CH2−は−O−、−S−、−COO−、−OCO−、−CH=CH−、−CF=CF−または−C≡C−で置き換えられてもよく、そして任意の水素はハロゲンで置き換えられてもよく;Rは水素、ハロゲン、−CF3、または炭素数1〜5のアルキルであり;qは0または1である。
  14. (j)〜(r)においてAが、1,4−シクロヘキシレンまたは1,4−フェニレンであり;Zが、−CH=CH−、−C≡C−、−COO−、−OCO−、−(CF22−、−CF=CF−、−OCF−、−CFO−、−(CH2−、−CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−、−CHCH−COO−、−OCO−CHCH−、−O(CH2−、−(CH2O−または−O(CH2O−であり、aは1〜20の整数である請求項13に記載の化合物。
  15. (j)(r)においてAが、1,4−シクロヘキシレンまたは1,4−フェニレンであり、Zが、−COO−、−OCO−、−(CH2−、−O(CH2−、−(CH2O−または−O(CH2O−であり、aは1〜20の整数である請求項13に記載の化合物。
  16. 少なくとも2つの重合性化合物を含有し、少なくとも1つの重合性化合物が請求項1〜15のいずれか1項に記載の化合物である液晶組成物。
  17. 重合性化合物のすべてが請求項1〜15のいずれか1項に記載の化合物である請求項16に記載の液晶組成物。
  18. 請求項1〜15のいずれか1項に記載の化合物の少なくとも1つと、該化合物以外の重合性化合物の少なくとも1つとを含有する請求項16に記載の液晶組成物。
  19. 請求項1〜15のいずれか1項に記載の化合物の少なくとも1つと、式(A)、式(B)および式(C)のそれぞれで表される化合物の群から選択された少なくとも1つの重合性化合物とを含有する請求項16に記載の液晶組成物。
    Figure 0004576832
    式中、Rは水素、メチル、エチルまたはプロピルであり;Rは−CN、炭素数1〜20のアルキルまたは炭素数1〜20のアルコキシであり;環A、AおよびAは独立して、1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレンまたは任意の水素がフッ素で置き換えられた1,4−フェニレンであり;環Aは、1,4−フェニレン、または2−メチル−1,4−フェニレンであり;ZおよびZは独立して、単結合、−(CH22−、−CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−、−CHCH−COO−、−OCO−CHCH−、−COO−、または−OCO−であり;αは、0〜20の整数であり;sは0または1である。
  20. 液晶組成物が、さらに光学活性化合物を含有する請求項16〜19のいずれか1項に記載の液晶組成物。
  21. 請求項1〜15のいずれか1項に記載の化合物の少なくとも1つを重合させて得られる重合体。
  22. 請求項1〜15のいずれか1項に記載の化合物の1つを単独重合させて得られる重合体。
  23. 請求項16〜20のいずれか1項に記載の組成物を重合させて得られる重合体。
  24. 重量平均分子量が500〜100,000である請求項21に記載の重合体。
  25. 重量平均分子量が1,000〜50,000である請求項21に記載の重合体。
  26. 重合体が光学活性である請求項21〜23のいずれか1項に記載の重合体。
  27. 請求項21〜26のいずれか1項に記載の重合体から得られるフィルム。
  28. 請求項21〜26のいずれか1項に記載の重合体を含有する、光学異方性を有する成形体。
  29. 請求項21〜26のいずれか1項に記載の重合体を含有する位相差膜。
  30. 請求項21〜26のいずれか1項に記載の重合体を含有する液晶配向膜。
  31. 請求項21〜26のいずれか1項に記載の重合体を含有する反射防止膜。
  32. 請求項21〜26のいずれか1項に記載の重合体を含有する視野角補償膜。
  33. 請求項21〜26のいずれか1項に記載の重合体を含有する偏光素子。
  34. 請求項21〜26のいずれか1項に記載の重合体を含有する選択反射機能を有する膜。
  35. 請求項27に記載のフィルム、請求項28に記載の光学異方性を有する成形体、請求項29に記載の位相差膜、請求項30に記載の液晶配向膜、請求項31に記載の反射防止膜、請求項32に記載の視野角補償膜、請求項33に記載の偏光素子、および請求項34に記載の選択反射機能を有する膜の群から選択された少なくとも1つを含有する液晶表示素子。
  36. 請求項16〜20のいずれか1項に記載の組成物を含有する液晶表示素子。
    以 上
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