以下、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明では、同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
図1は、本発明の画像形成装置の好適な一実施形態の基本構成を概略的に示す断面図である。図1に示す画像形成装置200は、電子写真感光体7と、電子写感光体7を帯電させる非接触帯電方式の帯電手段8と、帯電手段8に接続された電源9と、帯電手段8により帯電した電子写真感光体7を露光して静電潜像を形成させる露光手段10と、形成された静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成させる現像手段11と、トナー像を電子写真感光体7から用紙20に転写する転写手段12と、転写後の電子写真感光体7の表面に残存したトナー及び用紙20からの紙粉を、ブレード部材13aにより除去するクリーニング手段13と、除電器14と、定着手段15とを備える。
画像形成装置200において、電子写真感光体7は、導電性支持体、及び、該導電性支持体上に設けられており、導電性支持体から最も遠い側に配置された最表面層を有する感光層を備える構成を有している。そして、上記最表面層はフッ素系化合物を含有している。また、クリーニング手段13におけるクリーニング部材であるブレード部材13aとしては、ブレード部材本体中にフッ素系化合物を含有させたもの、又は、フッ素系化合物を含有する表面被覆層でベースとなるブレード部材を被覆したものが用いられる。更に、ブレード部材13a表面におけるフッ素原子の含有割合が、感光体7の最表面層におけるフッ素原子の含有割合よりも大きくなっており、上記最表面層、上記ブレード部材13a表面及び上記用紙の帯電列の関係が、プラス側から順に用紙、最表面層、ブレード部材13a表面となっている。
また、図2は、図1に示す本発明の画像形成装置の別の実施形態の基本構成を概略的に示す断面図である。図2に示す画像形成装置210は、電子写真感光体7を接触帯電方式により帯電させる帯電手段8と、転写後の電子写真感光体7の表面に残存したトナー及び用紙20からの紙粉を、ブラジ部材13bにより除去するクリーニング手段13とを備えていること以外は、図1に示した画像形成装置200と同様の構成を有する。このとき、帯電手段8としては、直流電圧に交流電圧を重畳した接触式の帯電手段が、優れた耐磨耗性を有するため好ましく使用できる。なお、この場合には、除電器14が設けられていないものもある。
画像形成装置210においても、クリーニング手段13におけるクリーニング部材であるブラシ部材13bは、ブラシ部材本体中にフッ素系化合物を含有させたもの、又は、フッ素系化合物を含有する表面被覆層でベースとなるブラシ部材を被覆したものが用いられる。更に、ブラシ部材13b表面におけるフッ素原子の含有割合が、感光体7の最表面層におけるフッ素原子の含有割合よりも大きくなっており、上記最表面層、上記ブラシ部材13b表面及び上記用紙の帯電列の関係が、プラス側から順に用紙、最表面層、ブレード部材13a表面となっている。
上記構成を有することにより、画像形成装置200及び210によれば、感光体表面に付着した紙粉及びトナー等の付着物を、クリーニング手段13により容易に除去することが可能となり、長期間にわたって像流れ等の画像欠陥の発生が十分に抑制された良好な画質を得ることが可能となる。また、付着物の除去を容易に行うことができることから、クリーニング手段13により紙粉等を感光体とともに磨耗除去する必要がなく、感光体7にキズや磨耗等が発生することを十分に抑制することが可能となる。
以下、画像形成装置200及び210の各構成要素について説明する。まず、電子写真感光体7について詳述する。
図3(a)は、電子写真感光体7の好適な一例を示す模式断面図である。図3(a)に示した電子写真感光体100はいわゆる機能分離型感光体(又は積層型感光体)であり、導電性支持体3上には、電荷発生層1及び電荷輸送層2をこの順序で積層して形成された感光層6が設けられている。そして、電子写真感光体100において、導電性支持体3から最も遠い側に位置する最表面層は電荷輸送層2であり、この電荷輸送層2はフッ素系化合物を含有している。
導電性支持体3は、特に限定されるものはなく、例えば、アルミニウム、ニッケル、クロム、ステンレス鋼等の金属類;アルミニウム、チタニウム、ニッケル、クロム、ステンレス鋼、金、バナジウム、酸化錫、酸化インジウム、ITO等の薄膜を設けたプラスチックフィルム等;導電性付与剤を塗布又は含浸させた紙もしくはプラスチックフィルム等、からなるドラム状、シート状、プレート状の支持体が挙げられる。更に、必要に応じて導電性支持体3の表面は、画質に影響のない範囲で各種の処理を行うことができ、例えば、陽極酸化処理、薬品処理、着色処理、又は、砂目立て若しくは液体ホーニング等の乱反射処理等を行うことができる。
電荷発生層1は、電荷発生材料及び結着樹脂を含んで構成される。電荷発生材料としては、既知のものを特に制限無く使用することができるが、金属及び無金属フタロシアニン顔料が好ましく用いられる。金属及び無金属フタロシアニン顔料の中でも、特定の結晶を有するヒドロキシガリウムフタロシアニン、クロロガリウムフタロシアニン、ジクロロスズフタロシアニン、チタニルフタロシアニンがより好ましい。これらの中でも特に好ましいものとしては、CuKα特性X線に対するブラッグ角(2θ±0.2゜)の少なくとも7.4゜、16.6゜、25.5゜及び28.3゜に強い回折ピークを有するクロロガリウムフタロシアニン顔料、CuKα特性X線に対するブラッグ角(2θ±0.2゜)の少なくとも7.7゜、9.3゜、16.9゜、17.5゜、22.4゜及び28.8゜に強い回折ピークを有する無金属フタロシアニン顔料、CuKα特性X線に対するブラッグ角(2θ±0.2゜)の少なくとも7.5゜、9.9゜、12.5゜、16.3゜、18.6゜、25.1゜及び28.3゜に強い回折ピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料、並びに、CuKα特性X線に対するブラッグ角(2θ±0.2゜)の少なくとも9.6゜、24.1゜及び27.2゜に強い回折ピークを有するチタニルフタロシアニン顔料が挙げられる。
また、他の電荷発生材料としては、キノン顔料、ペリレン顔料、インジゴ顔料、ビスベンゾイミダゾール顔料、アントロン顔料、キナクリドン顔料等が挙げられる。これらの電荷発生材料は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
電荷発生層1における結着樹脂としては、例えば、ビスフェノールAタイプ若しくはビスフェノールZタイプ等のポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体樹脂、塩化ビニリデン−アクリルニトリル共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾール等が挙げられる。これらの結着樹脂は、単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
電荷発生材料と結着樹脂との配合比(質量比)は、10:1〜1:10の範囲が好ましい。また、これらの分散は、ロールミル、ボールミル、振動ボールミル、アトライター、サンドミル、コロイドミル、高圧ホモジナイザー等により行うことができる。この際、電荷発生材料として上述した特定の結晶を有するフタロシアニン顔料を用いる場合には、分散によってその結晶型が変化しない条件が必要とされる。なお、上述した分散法のいずれについても分散前と結晶型が変化していないことが確認されている。また、これらの分散に用いる溶剤としては、結着樹脂を溶解するものを適当に選択することができる。
電荷発生層1は上述した各構成材料と溶剤とを含有する電荷発生層形成用塗布液を上記導電性支持体3上に塗布し、乾燥させることにより形成することができる。電荷発生層1を形成する際に用いる塗布方法としては、ブレードコーティング法、マイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等の通常の方法を用いることができる。
電荷発生層1の膜厚は、0.01〜5μmであることが好ましく、0.05〜2.0μmであることがより好ましい。
電荷輸送層2は、感光体100における最表面層であり、フッ素系化合物と電荷輸送材料と結着樹脂とを含有して構成される。
フッ素系化合物は、フッ素樹脂及びフッ素含有カップリング剤からなる群より選択される少なくとも一種であることが好ましく、フッ素樹脂粒子であることがより好ましい。
フッ素樹脂粒子としては、4フッ化エチレン樹脂、3フッ化塩化エチレン樹脂、6フッ化プロピレン樹脂、フッ化ビニル樹脂、フッ化ビニリデン樹脂、2フッ化2塩化エチレン樹脂及びそれらの共重合体からなる樹脂粒子が挙げられ、これらの中でも、4フッ化エチレン樹脂、フッ化ビニリデン樹脂からなる樹脂粒子が好ましい。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
フッ素樹脂粒子の平均一次粒径は0.05〜1μmであることが好ましく、0.1〜0.5μmであることがより好ましい。平均一次粒径が0.05μm未満であると分散時の凝集が進みやすくなる傾向にあり、1μmを超えると画質欠陥が発生しやすくなる傾向にある。
また、フッ素含有カップリング剤としては、パーフルオロオクチルエチルトリメトキシシラン等のパーフルオロアセチルエチルトリアセテートシランなどが挙げられる。
電荷輸送層2におけるフッ素系化合物の含有量は、電荷輸送層2全量を基準として0.1〜40質量%であることが好ましく、1〜30質量%であることがより好ましい。フッ素系化合物の含有量が1質量%未満であると、フッ素系化合物の分散による改質効果が不十分となる傾向にあり、一方、40質量%を越えると、光通過性の低下及び膜強度の低下が起こりやすくなる傾向にある。なお、本発明の画像形成装置においては、上述したように、クリーニング部材におけるフッ素原子の含有割合が、最表面層である電荷輸送層2におけるフッ素原子の含有割合よりも大きいことが必要である。したがって、かかる条件を満たすように電荷輸送層2におけるフッ素系化合物の含有量を調節することが必要である。
電荷輸送層2における電荷輸送材料としては、例えば、2,5−ビス(p−ジエチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール等のオキサジアゾール誘導体、1,3,5−トリフェニル−ピラゾリン、1−[ピリジル−(2)]−3−(p−ジエチルアミノスチリル)−5−(p−ジエチルアミノスチリル)ピラゾリン等のピラゾリン誘導体、トリフェニルアミン、トリ(p−メチルフェニル)アミニル−4−アミン、ジベンジルアニリン等の芳香族第3級アミノ化合物、N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ジフェニルベンジジン等の芳香族第3級ジアミノ化合物、3−(4’−ジメチルアミノフェニル)−5,6−ジ−(4’−メトキシフェニル)−1,2,4−トリアジン等の1,2,4−トリアジン誘導体、4−ジエチルアミノベンズアルデヒド−1,1−ジフェニルヒドラゾン等のヒドラゾン誘導体、2−フェニル−4−スチリル−キナゾリン等のキナゾリン誘導体、6−ヒドロキシ−2,3−ジ(p−メトキシフェニル)ベンゾフラン等のベンゾフラン誘導体、p−(2,2−ジフェニルビニル)−N,N−ジフェニルアニリン等のα−スチルベン誘導体、エナミン誘導体、N−エチルカルバゾール等のカルバゾール誘導体、ポリ−N−ビニルカルバゾールおよびその誘導体などの正孔輸送物質、クロラニル、ブロアントラキノン等のキノン系化合物、テトラアノキノジメタン系化合物、2,4,7−トリニトロフルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン等のフルオレノン化合物、キサントン系化合物、チオフェン化合物等の電子輸送物質、並びに、上記した化合物からなる基を主鎖または側鎖に有する重合体などが挙げられる。これらの電荷輸送材料は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
電荷輸送層2における結着樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ポリアリレート、ポリエステル樹脂、ビスフェノールAタイプ若しくはビスフェノールZタイプ等のポリカーボネート樹脂、ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリスルホン、ポリアクリルアミド、ポリアミド、塩素ゴム等の絶縁性樹脂、およびポリビニルカルバゾール、ポリビニルアントラセン、ポリビニルピレン等の有機光導電性ポリマー等が挙げられる。
電荷輸送層2における電荷輸送材料と結着樹脂との配合比(質量比)は、10:1〜1:5の範囲が好ましい。
電荷輸送層2には、更に無機粒子を含有させてもよい。無機粒子の材質としては、例えば、アルミナ、シリカ、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、硫化亜鉛、酸化マグネシウム、硫酸銅、炭酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化ナトリウム、硫酸ニッケル、アンチモン、二酸化マンガン、酸化クロム、酸化錫、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、硫酸アルミニウム、炭化ケイ素、炭化チタン、炭化ホウ素、炭化タングステン、炭化ジルコニウム等が挙げられる。これらの中でも、無機シリカが特に好ましい。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
無機シリカ粒子としては、化学炎CVD法により製造されるものが好ましく、具体的には、クロルシランガスを酸素−水素混合ガス又は炭化水素−酸素混合ガスの高温火炎中で気相反応させてシリカ微粒子を得る方法が好ましい。
また、無機粒子としては、粒子表面を疎水化されたものが好ましい。疎水化処理剤としては、例えばシロキサン化合物、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、高分子脂肪酸又はその金属塩等が用いられる。
シロキサン化合物としては、例えば、ジヒドロキシポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、又、シランカップリング剤としては、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩、ヘキサメチルジシラザン、メチルトリメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、o−メチルフェニルトリメトキシシラン、p−メチルフェニルトリメトキシシランなどが挙げられる。
また、無機粒子の平均一次粒径は、0.005〜2.0μmが好ましく、0.01〜1.0μmがより好ましい。無機粒子の平均一次粒径が0.005μm未満であると、感光体表面の十分な機械的強度が得られ難くなる傾向があり、分散時に凝集しやすくなる傾向がある。一方、無機粒子の平均一次粒径が2μmを超えると、感光体の表面粗さが大きくなり、クリーニング部材としてブレード部材13aを用いた場合にブレードが磨耗、損傷してクリーニング特性が悪化し、画像ボケが発生し易くなる傾向がある。
電荷輸送層2中の無機粒子の含有量は、電荷輸送層2全量を基準として0.1〜30質量%であることが好ましく、1〜20質量%であることがより好ましい。この含有量が1質量%未満であると無機粒子の分散による改質効果が不十分となる傾向にあり、一方、30質量%を越えると繰返し使用による残留電位の上昇が生じやすくなる傾向にある。
電荷輸送層2は、上述した各構成材料と溶剤とを含有する電荷輸送層形成用塗布液を用いて形成される。ここで、塗布液中でフッ素系樹脂粒子、及び、必要に応じて添加される無機粒子を分散させる方法としては、ロールミル、ボールミル、振動ボールミル、アトライター、サンドミル、高圧ホモジナイザー、超音波分散機、コロイドミル等による分散方法を用いることができる。また、塗布液の分散方法として、溶剤に溶解した結着樹脂、電荷輸送材料などの溶液中にフッ素系樹脂粒子や無機粒子を分散させる方法が挙げられる。また、塗布液の分散安定性を向上させるため、及び、塗膜形成時の凝集を防止するために、塗布液中に分散助剤を少量添加することも有効である。分散助剤として、フッ素系界面活性剤、フッ素系ポリマー、シリコーン系ポリマー、シリコーンオイル等が挙げられる。
電荷輸送層形成用塗布液に使用される溶媒としては、例えば、トルエン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素系溶剤、メタノール、エタノール、n−ブタノール等の脂肪族アルコール系溶剤、アセトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、2−ブタノン等のケトン系溶剤、塩化メチレン、クロロホルム、塩化エチレン等のハロゲン化脂肪族炭化水素溶剤、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコール、ジエチルエーテル等の環状若しくは直鎖状エーテル系溶剤、或いはこれらの混合溶剤などを用いることができる。
電荷輸送層形成用塗布液の塗布方法としては、浸漬塗布法、突き上げ塗布法、スプレイ塗布法、ロールコータ塗布法、グラビアコータ塗布法などが挙げられる。
電荷輸送層2の膜厚は、5〜50μmであることが好ましく、10〜40μmであることがより好ましい。
また、画像形成装置中で発生するオゾンや酸化性ガス、或いは光、熱による感光体の劣化を防止する目的で、感光層6中に酸化防止剤、光安定剤、熱安定剤などの添加剤を添加することができる。これらの添加剤は、感光層6を構成する電荷発生層1又は電荷輸送層2の少なくとも一層に添加することができる。
酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール、ヒンダードアミン、パラフェニレンジアミン、アリールアルカン、ハイドロキノン、スピロクロマン、スピロインダノン及びそれらの誘導体、有機硫黄化合物、有機燐化合物等が挙げられる。
光安定剤としては、例えば、ベンゾフェノン、ベンゾトリアゾール、ジチオカルバメート、テトラメチルピペリジン等の誘導体が挙げられる。
また、感光体表面の平滑性を向上させる目的で、最表面層である電荷輸送層2中にシリコーンオイル等のレベリング剤を添加することができる。
図3(b)は、本発明の画像形成装置に搭載される電子写真感光体の他の好適な一例を示す模式断面図である。図3(b)に示した電子写真感光体110は、導電性支持体層3と感光層6との間に下引層4を備えること以外は図3(a)に示した電子写真感光体100と同様の構成を有する。
下引層4は、感光層6の帯電時において、導電性支持体3から感光層6への電荷の注入を阻止する機能を有する。また、この下引層4は、感光層6を導電性支持体層3に対して一体的に接着保持せしめる接着層としても機能する。更に、この下引層4は、導電性支持体3の光反射を防止する機能を有する。
下引層4は、例えば、ポリビニルブチラール等のアセタール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ゼラチン、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂などの高分子樹脂化合物、並びに、ジルコニウム、チタニウム、アルミニウム、マンガン、シリコン原子などを含有する有機金属化合物を含んで構成される。これらの化合物は単独で又は複数の化合物の混合物若しくは重縮合物として用いることができる。これらの中でも、ジルコニウムもしくはシリコンを含有する有機金属化合物は、残留電位が低いこと、環境による電位変化が少ないこと、及び、繰り返し使用による電位の変化が少ないことなどの電気特性に優れているので好ましい。
更に、導電性支持体3上の欠陥被覆、あるいは導電性支持体3の保護のため、下引層4を導電層としてもよい。この場合、下引層4の構成材料としては、例えば、アルミニウム、銅、ニッケル、銀などの金属粉体や、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛などの導電性金属酸化物や、カーボンファイバ、カーボンブラック、グラファイト粉末などの導電性物質、またはこれら導電性物質で表面を被覆した導電性粉体などの導電性材料を、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルブチラール樹脂などの熱可塑性樹脂や、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂などの熱硬化樹脂や光硬化樹脂などのバインダ樹脂に分散したもの、さらに必要に応じた添加剤を加えたものを支持体上に塗布したものが挙げられる。
図3(c)は、本発明の画像形成装置に用いられる電子写真感光体の他の好適な一例を示す模式断面図である。図3(c)に示す電子写真感光体120は、電荷輸送層2上(電荷輸送層2の導電性支持体3から遠い側の面上)に保護層5を備えること以外は図3(a)に示した電子写真感光体100と同様の構成を有する。なお、感光層6が保護層5を有する場合、この保護層5が最表面層となるため、保護層5は上述したフッ素系化合物を含んで構成される。なお、保護層5にフッ素系化合物を含有させる場合の好ましい条件等は、電荷輸送層2にフッ素系化合物を含有させる場合と同様である。
保護層5は、フッ素系化合物を適当な結着樹脂中に含有させた塗布液を、電荷輸送層2上に塗布し、乾燥させることにより形成することができる。
保護層5に用いる結着樹脂としては、ポリアミド樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリケトン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルケトン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂等の公知の樹脂が用いられる。また、これらは必要に応じて互いに架橋させて使用することもできる。
また、保護層5は導電性材料を更に含有してもよい。導電性材料は特に限定されないが、例えば、N,N’−ジメチルフェロセン等のメタロセン化合物、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン等の芳香族アミン化合物、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化アンチモン、酸化錫、酸化チタン、酸化インジウム、酸化錫とアンチモン、硫酸バリウムと酸化アンチモンとの固溶体の担体、上記金属酸化物の混合物、酸化チタン、酸化スズ、酸化亜鉛又は硫酸バリウムの単一粒子中に上記の金属酸化物を混合したもの、或いは、酸化チタン、酸化スズ、酸化亜鉛、又は硫酸バリウムの単一粒子中に上記の金属酸化物を被覆したもの等が挙げられる。
また、この保護層5としては、低分子の電荷輸送材料をエポキシ樹脂やフェノール樹脂、メラミン樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂などの硬化性の結着樹脂中に含有させた架橋層を用いることも可能である。
保護層5の厚みは1〜20μmであることが好ましく、2〜10μmであることがより好ましい。この保護層5を形成するための保護層形成用塗布液の塗布方法としては、ブレードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等の通常の方法を用いることができる。また、保護層5を形成するための塗布液に用いる溶剤としては、アルコール、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロルベンゼン、トルエン等の通常の有機溶剤を単独あるいは2種以上混合して用いることができるが、できるだけこの塗布液が塗布される電荷輸送層2を溶解しにくい溶剤を用いることが好ましい。
以上、本発明の画像形成装置に搭載される電子写真感光体の好適な例について詳細に説明したが、電子写真感光体は上記の例に限定されるものではない。例えば、図4(a)に示す電子写真感光体130のように、導電性支持体3と感光層6との間に下引層4を備え、更に感光層6が保護層5を含むものであってもよい。
また、図4(b)に示す電子写真感光体140のように、感光層6が単層構造であってもよい。この場合、感光層6が最表面層となるため、感光層6は上述したフッ素系化合物を含有して構成される。
次に、クリーニング手段13について説明する。
クリーニング手段13は、転写後の電子写真感光体7の表面には残存する未転写のトナーや用紙20から発生した紙粉等を除去する手段である。なお、クリーニング手段13は、除去したトナーを現像手段11へ供給するトナー搬送手段を組み込んだものであってもよい。クリーニング手段13としては、ブレード、磁気ブラシ、導電性ファイバーブラシなどのクリーニング部材を備えるものが好ましく使用される。ここで、クリーニング部材としては、画像形成装置200におけるブレード部材13a又は画像形成装置210におけるブラシ部材13bが好ましく用いられる。そして、本発明の画像形成装置において、クリーニング部材としては、クリーニング部材本体中にフッ素系化合物を含有させたもの、又は、フッ素系化合物を含有する表面被覆層でベースとなるクリーニング部材を被覆したものが用いられる。以下、クリーニング手段13がブレード部材13aを備える場合とブラシ部材13bを備える場合とについて詳述する。
ブレード部材13aを備えるクリーニング手段13は、電子写真感光体7に当接するゴムブレード等のブレード部材13aによってトナー及び紙粉を感光体7から機械的に掻き取る方式のものである。ブレード部材13aのベースとなる材質としては、ウレタンゴム、シリコンゴム、フッ素ゴム、エチレンプロピレンジエンメチレンゴム(EPDM)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、イソプレンゴム(IR)、クロロプレンゴム(CR)、アクリルゴム(ACM)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、エピクロルヒドリンゴム等のエラストマーや、ポリスチレン系、ポリアミド系、ポリエステル系及びポリオレフィン系等の熱可塑性エラストマーが挙げられる。
ブレード部材の厚さは、感光体7表面の残存トナー及び紙粉を除去するために十分な強度を有するような程度であればよく、特に限定されないが、通常1〜3mm程度であることが好ましい。また、ブレード部材のゴム硬度は、電子写真感光体7の表面の残存トナー及び紙粉を除去するために十分な強度を有するような程度であればよく、特に限定されないが、通常65〜80(JIS K6253に準ずる Aタイプ硬度計による測定値)程度であることが好ましい。
ブラシ部材13bを備えるクリーニング手段13は、ローラ状芯材の表面上にある複数の起毛を電子写真感光体7に摺擦させるクリーニングブラシ等の起毛摺擦体を有している。電子写真感光体7との摺擦によって起毛摺擦体に捕捉されたトナー及び紙粉は、クリーニングバイアスの供給を受けながら表面を無端移動させる回収ローラ等の静電回収体によって静電的に回収された後、クリーニングブレード等の除去手段によって静電回収体から除去される。かかるブラシ方式を用いた場合には、柔軟に撓み得る起毛を電子写真感光体7に摺擦させることで、ブレード部材13aを当接させるブレード方式に比べて電子写真感光体7の磨耗を抑えることができる。
ブラシ部材13bの材質としては、例えば、ポリエステル、ナイロン、アクリルなどの樹脂にカーボン等の導電材料を添加したものや、導電材料をブラシ表面に被覆したものなどが挙げられる。
これらブレード部材13a及びブラシ部材13b等で構成されるクリーニング部材は、その表面の帯電列を制御するために、帯電制御剤であるフッ素系化合物をクリーニング部材のベースとなる材質中に分散させるか、又は、フッ素系化合物を含有する表面被覆層でベース表面を被覆した構成を有している。
フッ素系化合物をクリーニング部材のベースとなる材質中に分散させる方法としては、例えば、先に説明したようなポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系化合物の微粒子をベース材質中に分散させてなる組成物を用いてクリーニング部材を形成する方法が挙げられる。このとき、クリーニング部材中のフッ素系化合物の含有量は、クリーニング部材全量を基準として5質量%以上であることが好ましい。フッ素系化合物の含有量が5質量%未満であると、クリーニング部材と紙粉との間の静電的な付着力が、クリーニング部材と感光体表面との間の静電的な付着力よりも弱くなる傾向にある。なお、本発明の画像形成装置においては、クリーニング部材におけるフッ素原子の含有割合が、最表面層である電荷輸送層2におけるフッ素原子の含有割合よりも大きいことが必要である。したがって、かかる条件を満たすようにクリーニング部材におけるフッ素系化合物の含有量を調節することが必要である。また、ベース材質自体にフッ素樹脂を用いてクリーニング部材を作製してもよい。
また、フッ素系化合物を含有する表面被覆層でベース表面を被覆する方法としては、フッ素系化合物の微粒子を分散したビヒクルや、フッ素含有カップリング剤等をベースとなる材質表面に被覆して表面被覆層を形成する方法が挙げられる。このとき、表面被覆層中のフッ素系化合物の含有量は、表面被覆層全量を基準として5質量%以上であることが好ましい。フッ素系化合物の含有量が5質量%未満であると、クリーニング部材と紙粉との間の静電的な付着力が、クリーニング部材と感光体表面との間の静電的な付着力よりも弱くなる傾向にある。なお、本発明の画像形成装置においては、クリーニング部材が表面被覆層を有する場合、該表面被覆層におけるフッ素原子の含有割合が、最表面層である電荷輸送層2におけるフッ素原子の含有割合よりも大きいことが必要である。したがって、かかる条件を満たすように表面被覆層におけるフッ素系化合物の含有量を調節することが必要である。
本発明で用いられる非接触帯電方式の帯電手段8としては、コロナ放電を利用したコロトロン、スコロトロンなどが挙げられる。また、接触帯電方式の帯電手段8としては、帯電ローラや帯電ブラシなどの接触帯電用部材を用いた帯電器が挙げられる。
露光手段10としては、電子写真感光体7の表面に、半導体レーザー、LED(light emitting diode)、液晶シャッター等の光源を所望の像様に露光できる光学系装置等を用いることができる。これらの中でも、非干渉光を露光可能な露光装置を用いると、電子写真感光体7の導電性支持体と感光層との間での干渉縞を防止することができる。
また、露光光源としてレーザー光を用いる場合、その発振波長としては350〜850nmが好ましく、短波長のものほど解像度に優れるため好ましい。
現像手段11としては、従来公知の現像装置等を用いることができる。また、使用される現像剤の種類及びその製造方法は特に制限されず、例えば結着樹脂と着色剤、離型剤、必要に応じて帯電制御剤等を混練、粉砕、分級する混練粉砕法、混練粉砕法にて得られた粒子を機械的衝撃力または熱エネルギーにて形状を変化させる方法、結着樹脂の重合性単量体を乳化重合させ、形成された分散液と、着色剤、離型剤、必要に応じて帯電制御剤等の分散液とを混合し、凝集、加熱融着させ、トナー粒子を得る乳化重合凝集法、結着樹脂を得るための重合性単量体と着色剤、離型剤、必要に応じて帯電制御剤等の溶液を水系溶媒に懸濁させて重合する懸濁重合法、結着樹脂と着色剤、離型剤、必要に応じて帯電制御剤等の溶液を水系溶媒に懸濁させて造粒する溶解懸濁法等が使用できる。また、上記方法で得られたトナーをコアにして、さらに凝集粒子を付着、加熱融合してコアシェル構造をもたせる製造方法など、公知の方法を使用することができるが、形状制御、粒度分布制御の観点から水系溶媒にて製造する懸濁重合法、乳化重合凝集法、溶解懸濁法が好ましく、乳化重合凝集法が特に好ましい。乳化重合凝集法を用いる場合には、少なくとも樹脂粒子と着色剤粒子とを水系媒体中において融着させることで着色粒子を作製し、外添剤と合わせることでトナーを作製することができる。
転写手段12としては、ローラ状の接触帯電部材の他、ベルト、フィルム、ゴムブレード等を用いた接触型転写帯電器、あるいはコロナ放電を利用したスコロトロン転写帯電器やコロトロン転写帯電器等が挙げられる。
電子写真感光体7の磨耗量及び表面粗さは、適正に制御することが好ましい。この制御手段としては、クリーニング部材を電子写真感光体7に当接し、その当接圧や角度の調整、電子写真感光体7の最表面層の材料の適正化、クリーニング部材の材質による制御、研磨ロールやブラシ部材との併用による調整、電子写真感光体7の表面層の材料による強度制御、トナーに酸化アルミニウム、酸化セリウム、硫酸バリウムなどの無機微粒子を添加することによる制御、などの方法が挙げられ、これらの制御を組み合わせることによって適正な範囲に制御することが好ましい。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
酸化亜鉛(SMZ−017N、テイカ社製)100質量部をトルエン500質量部と攪拌混合し、シランカップリング剤(A1100、日本ユニカー社製)2質量部を添加し、5時間攪拌した。その後、トルエンを減圧蒸留にて留去し、120℃で2時間焼き付けを行った。得られた表面処理酸化亜鉛を蛍光X線により分析した結果、Si元素強度の亜鉛元素強度に対する比は1.8×10−4であった。
上記の表面処理を施した酸化亜鉛35質量部、硬化剤としてのブロック化イソシアネート(スミジュール3175、住友バイエルンウレタン社製)15質量部、ブチラール樹脂(BM−1、積水化学社製)6質量部、及び、2−ブタノン44質量部を混合し、1mmφのガラスビーズを用いてサンドミルにて2時間の分散を行い、分散液を得た。得られた分散液に、触媒としてのジオクチルスズジラウレート0.005質量部、及び、トスパール130(GE東芝シリコーン社製)17質量部を添加し、下引層形成用塗布用液を得た。この塗布液を、浸漬塗布法にて直径84mmφのアルミニウム基材上に塗布し、160℃、100分間の乾燥硬化を行い、膜厚20μmの下引層を形成した。
次に、電荷発生材料としての塩化ガリウムフタロシアニン15質量部、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂(VMCH、日本ユニオンカーバイト社製)10質量部、及び、n−ブチルアルコール300質量部からなる混合物をサンドミルにて4時間分散させ、電荷発生層形成用塗布液を得た。この塗布液を、上記下引層上に浸漬塗布し、乾燥して、膜厚0.2μmの電荷発生層を形成した。
次に、4フッ化エチレン樹脂粒子(ルブロンL−2、ダイキン工業社製)8質量部、及び、分散助剤としてのフッ素系グラフトポリマー0.16質量部を、テトロヒドロフラン49質量部、及び、トルエン21質量部に十分に攪拌混合して、4フッ化エチレン樹脂粒子懸濁液を作製した。
次に、N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ジフェニルベンジジン20質量部、N,N’−ビス(3、4−ジメチルフェニル)ビフェニル−4−アミン20質量部、及び、ビスフェノールZポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量40,000)60質量部を、テトロヒドロフラン231質量部、及び、トルエン99質量部に十分に溶解混合した。この溶液に、上記の4フッ化エチレン樹脂粒子懸濁液78質量部を加えて攪拌混合した後、微細な流路を持つ貫通式チャンバーを装着した高圧ホモジナイザー(LA−33S、ナノマイザー社製)を用いて、500kgf/cm2まで昇圧しての分散処理を4回繰返すことで、電荷輸送層形成用塗布液を調製した。得られた塗布液を上記電荷発生層上に浸漬塗布し、乾燥することにより、膜厚26μmの電荷輸送層(最表面層)を形成した。これにより、電子写真感光体を得た。
このようにして得られた電子写真感光体を、クリーニング部材としてフッ化ビニリデン樹脂からなる弾性ブレード部材を備えた富士ゼロックス社製のDocuCentre 750I改造機に装着した。クリーニング部材は、電子写真感光体に当接するように配置した。これにより、画像形成装置を得た。
得られた画像形成装置における、クリーニング部材表面と感光体の最表面層である電荷輸送層について、X線光電子分光装置にてフッ素原子の含有割合を測定したところ、クリーニング部材表面におけるフッ素原子の含有割合が33原子%、最表面層におけるフッ素原子の含有割合が5原子%であった。
また、クリーニング部材、感光体の最表面層、及び、画像形成に用いる用紙(P紙、富士ゼロックスオフィスサプライ社製)の帯電列を、摩擦帯電圧測定機を用いて、JIS L1094に基づいて以下の手順で測定した。すなわち、まず、測定器にオシロスコープを接続し、除電した摩擦布(綿製)を測定器に取り付け、4.9Nの荷重を加えて回転体に取り付けた試験片(クリーニング部材、最表面層及び用紙)表面が摩擦されるように取り付けた。次に、回転ドラムを回転させることで、試験片を摩擦布により摩擦し、摩擦開始から60秒後の帯電圧を測定した。その結果、これら三者の帯電列は、プラス側から順に、用紙、最表面層、クリーニング部材表面となっていることが確認された。
[実施例2]
実施例1と同様の手順で作製した電子写真感光体を、クリーニング部材として、ポリウレタン樹脂からなるブレードにフッ化アルキルシランカップリング剤を表面処理して作製した弾性ブレード部材を備えた富士ゼロックス社製のDocuCentre 550改造機に装着した。クリーニング部材は、電子写真感光体に当接するように配置した。これにより、画像形成装置を得た。
得られた画像形成装置における、クリーニング部材表面と感光体の最表面層である電荷輸送層について、X線光電子分光装置にてフッ素原子の含有割合を測定したところ、クリーニング部材表面におけるフッ素原子の含有割合が39原子%、最表面層におけるフッ素原子の含有割合が5原子%であった。
また、クリーニング部材、感光体の最表面層、及び、画像形成に用いる用紙(P紙、富士ゼロックスオフィスサプライ社製)の帯電列を、実施例1と同様の手順で測定した。その結果、これら三者の帯電列は、プラス側から順に、用紙、最表面層、クリーニング部材表面となっていることが確認された。
[実施例3]
実施例1と同様の手順で作製した電子写真感光体を、クリーニング部材として、ローラ状芯材の表面がブラシで覆われ、そのブラシが複数のカーボンを添加したポリエステル繊維からなり、ブラシにフッ化アルキルシランカップリング剤を表面処理して作製したブラシ部材を備えた富士ゼロックス社製のDocuCentre 750I改造機に装着した。クリーニング部材は、電子写真感光体に当接するように配置した。これにより、画像形成装置を得た。
得られた画像形成装置における、クリーニング部材表面と感光体の最表面層である電荷輸送層について、X線光電子分光装置にてフッ素原子の含有割合を測定したところ、クリーニング部材表面におけるフッ素原子の含有割合が41原子%、最表面層におけるフッ素原子の含有割合が5原子%であった。
また、クリーニング部材、感光体の最表面層、及び、画像形成に用いる用紙(P紙、富士ゼロックスオフィスサプライ社製)の帯電列を、実施例1と同様の手順で測定した。その結果、これら三者の帯電列は、プラス側から順に、用紙、最表面層、クリーニング部材表面となっていることが確認された。
[比較例1]
実施例1と同様の手順で作製した電子写真感光体を、クリーニング部材としてポリウレタン樹脂からなる弾性ブレード部材を備えた富士ゼロックス社製のDocuCentre 750I改造機に装着した。クリーニング部材は、電子写真感光体に当接するように配置した。これにより、画像形成装置を得た。
得られた画像形成装置における、クリーニング部材表面と感光体の最表面層である電荷輸送層について、X線光電子分光装置にてフッ素原子の含有割合を測定したところ、クリーニング部材表面におけるフッ素原子の含有割合が0原子%、最表面層におけるフッ素原子の含有割合が5原子%であった。
また、クリーニング部材、感光体の最表面層、及び、画像形成に用いる用紙(P紙、富士ゼロックスオフィスサプライ社製)の帯電列を、実施例1と同様の手順で測定した。その結果、これら三者の帯電列は、プラス側から順に、用紙、クリーニング部材表面、最表面層となっていることが確認された。
[比較例2]
実施例1と同様の手順で作製した電子写真感光体を、クリーニング部材として、ローラ状芯材の表面がブラシで覆われ、そのブラシが複数のカーボンを添加したポリエステル繊維からなるブラシ部材を備えた富士ゼロックス社製のDocuCentre 750I改造機に装着した。クリーニング部材は、電子写真感光体に当接するように配置した。これにより、画像形成装置を得た。
得られた画像形成装置における、クリーニング部材表面と感光体の最表面層である電荷輸送層について、X線光電子分光装置にてフッ素原子の含有割合を測定したところ、クリーニング部材表面におけるフッ素原子の含有割合が0原子%、最表面層におけるフッ素原子の含有割合が5原子%であった。
また、クリーニング部材、感光体の最表面層、及び、画像形成に用いる用紙(P紙、富士ゼロックスオフィスサプライ社製)の帯電列を、実施例1と同様の手順で測定した。その結果、これら三者の帯電列は、プラス側から順に、用紙、クリーニング部材表面、最表面層となっていることが確認された。
(画像形成試験)
実施例1〜3及び比較例1〜2で得られた画像形成装置を用いて、28℃、85%RHの高温高湿環境下にて、上述した用紙(P紙、富士ゼロックスオフィスサプライ社製、A4サイズ)を被転写媒体としてモノクロで50,000枚プリントし、画質欠陥の有無を評価した。また、50,000枚プリント後の感光体表面の外観を評価した。これらの評価結果を表1に示す。
表1に示した結果から明らかなように、実施例1〜3の画像形成装置によれば、比較例1〜2の画像形成装置と比較して、50,000枚プリント後にも、感光体表面にトナーや紙粉等のフィルミングが見られず、像流れ等の画質欠陥の発生が十分に抑制されていることが確認された。また、実施例1〜3の画像形成装置によれば、50,000枚プリント後にも、感光体表面に傷が認められず、感光体の磨耗が十分に抑制されていることが確認された。
以上より、本発明の画像形成装置によれば、感光体に付着した紙粉(タルク等)やトナー等をクリーニング手段により十分に除去することができ、長期間にわたって像流れ等の画像欠陥を十分に抑制することができるとともに、電子写真感光体にキズや磨耗等が発生することを十分に抑制することができることが確認された。
1…電荷発生層、2…電荷輸送層、3…導電性支持体、4…下引層、5…保護層、6…感光層、7…電子写真感光体、8…帯電手段、9…電源、10…露光手段、11…現像手段、12…転写手段、13…クリーニング手段、14…除電器、15…定着手段、18…露光のための開口部、20…用紙、100,110,120,130,140…電子写真感光体、200,210…画像形成装置。