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JP4565424B2 - 排気ガス浄化触媒 - Google Patents

排気ガス浄化触媒 Download PDF

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JP4565424B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、排気ガス浄化触媒に係り、更に詳細には、炭化水素(HC)を効率よく浄化する排気ガス浄化触媒に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、内燃機関のエンジン始動時の低温域で大量に排出されるHC(コールドHC)の浄化を目的とし、HC吸着材としてゼオライトを用いたHC吸着型三元触媒(HC吸着機能付き三元触媒)が開発されている。
かかる触媒は、三元触媒が活性化しないエンジン始動時の低温域において、大量に排出されるHCを一時的に吸着、保持し、その後、排気ガス温度の上昇により三元触媒が活性化した時に、HCを徐々に脱離し、しかも浄化するものである。
吸着材から脱離するHCの浄化触媒としては、従来よりロジウム(Rh)、白金(Pt)及びパラジウム(Pd)等の貴金属種を同一層に共存させた仕様や、Rh層とPd層を塗り分けた仕様のものなどが提案されている。例えば、特開平2−56247号公報には、ゼオライトを主成分とする第一層の上に、Pt,Pd及びRh等の貴金属を主成分とする第二層を設けた排気ガス浄化用触媒が提案されている。
【0003】
かかるHC吸着材を用いた発明としては、例えば、特開平6−74019号公報、特開平7−144119号公報、特開平6−142457号公報、特開平5−59942号公報及び特開平7−102957号公報等に開示されているものがある。
これらのうち、特開平6−74019号公報には、排気流路にバイパスを設け、エンジン始動直後のコールド時に排出されるHCをバイパス流路に配置したHC吸着材に一旦吸着させ、その後流路を切換え、下流の三元触媒が活性化した後、排気ガスの一部をHC吸着触媒に通じ、脱離したHCを後段の三元触媒で徐々に浄化するシステムが提案されている。
【0004】
また、特開平7−144119号公報では、コールド時に前段の三元触媒に熱を奪わせ中段のHC吸着触媒の吸着効率を向上し、前段の三元触媒が活性化した後は、タンデム配置した中段のHC吸着触材を介して後段の三元触媒に反応熱を伝熱し易くし、後段の三元触媒の浄化を促進するシステムを提案している。
更に、特開平6−1421457号公報には、低温域で吸着したHCが脱離する際に、脱離HCを含む排気ガスを熱交換器で予熱し三元触媒での浄化を促進するコールドHC吸着除去システムが提案されている。
一方、特開平5−59942号公報には、触媒配置とバルブによる排気ガスの流路を切換えによって、HC吸着材の昇温を緩慢にし、コールドHCの吸着効率を向上するシステムが提案されている。
また、特開平7−102957号公報には、後段の酸化・三元触媒の浄化性能を向上するため、前段の三元触媒と中段のHC吸着材の間に空気を供給し、後段の酸化・三元触媒の活性化を促進するシステムが提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、吸着材としてゼオライトを用いる場合、良好なコールドHC吸着性能を実現するには、排気ガス中のHC種組成とゼオライトの有する細孔径との間に相関があるので、最適な細孔径と分布、骨格構造を持つゼオライトを使用する必要がある。
従来は、MFI型ゼオライトをメインに、他の細孔径を有するゼオライト(例えば、USY)を単独で、あるいはこれらを混合して細孔径分布を調整していたが、耐久後にはゼオライト種によって細孔径の歪みや吸着・脱離特性が異なってしまうため、排気ガスHC種の吸着が不十分であるという問題点があった。
【0006】
また、従来のHC吸着材層と浄化触媒層を設けた排気ガス浄化用触媒では、内燃機関の始動直後の排気ガス低温域において、HC吸着材に吸着したコールドHCが、排気ガス温度の上昇する前に脱離して浄化できず、更に、吸着HCが脱離する際、浄化触媒層の雰囲気は酸素不足状態になるため、理論空燃比域での浄化に有効な三元触媒では、HC、一酸化炭素(CO)及び窒素酸化物(NOx)のバランスの良い浄化ができなくなり、吸着HCの浄化が十分にできないという問題点があった。
【0007】
このため、排気流路の切換えによって、三元触媒が十分に活性化した後に吸着HCを脱離させ、三元触媒で浄化する方法や電熱ヒーターによって三元触媒の早期活性化を図る方法、外部から空気を導入して三元触媒の活性化開始を早める方法なども検討されているが、システム構成が煩雑化し、しかも十分なコールドHCの低減効果が得られない、コストが高い、長期間の使用に耐えられない、などの問題点があった。
【0008】
本発明は、このような従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、コールドHCの浄化効率に優れ、しかも簡易な構成で製造の容易な排気ガス浄化触媒を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、一端が閉塞されたセルを有する触媒担体を用い、特定の層構造を形成することなどにより、上記課題が解決されることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
即ち、本発明の排気ガス浄化触媒は、内燃機関の冷間始動時に排出される炭化水素を効率良く浄化する排気ガス浄化触媒であって、
延在方向の一端が閉塞された一端閉塞セルを一部に有するハニカム構造型担体に、炭化水素吸着材層と、浄化触媒成分層を形成して成ることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の排気ガス浄化触媒の好適形態では、上記ハニカム構造型担体は、隣接する上記一端閉塞セル同士の閉塞端が逆転して配置されている閉塞セル対部分を有することを特徴とする。
この場合、上記ハニカム構造型担体のセル全部が上記一端閉塞セルで構成され、隣接する上記一端閉塞セル同士では、それぞれの閉塞端が逆転して配置されていることが望ましい。
【0012】
更に、本発明の排気ガス浄化触媒の他の好適形態は、上記一端閉塞セルの壁部内に、炭化水素吸着材又は浄化触媒成分を含有させて成ることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の排気ガス浄化触媒の更に他の好適形態は、少なくとも上記一端閉塞セルの壁部に、上記炭化水素吸着材層又は浄化触媒成分層を積層して成り、上記閉塞セル対部分では、一方の一端閉塞セルの壁部に該炭化水素吸着材層が、他方の一端閉塞セルの壁部に該浄化触媒成分層が積層されていることを特徴とする。
【0014】
更にまた、本発明の排気ガス浄化触媒の他の好適形態は、少なくとも上記一端閉塞セルの壁部に、上記炭化水素吸着材層及び浄化触媒成分層の双方を積層して成ることを特徴とする。
この場合、上記閉塞セル対部分を有し、この閉塞セル対部分では、一方のセルの壁部と他方のセルの壁部とにおける上記炭化水素吸着材層及び浄化触媒成分層の積層順が逆転していてもよい。
【0015】
【作用】
本発明においては、一端が閉塞されたセル(「一端閉塞セル」という)を有するハニカム構造型担体を用い、かかる担体にHC吸着材層と浄化触媒成分層を形成することにした。
このような構成を有する本発明の排気ガス浄化触媒では、一端閉塞セルのセル流路を通過する排気ガスは、流入したセル流路の出口が目詰めによって塞がれているため、開口率の大きいセル壁内を通過して、出口が開いている隣接したセル流路から流出する。この際、HC吸着材層内を通過するガス量は増加するが、通過する流速(拡散速度)が遅くなり、しかも隣接する一端閉塞セル同士の閉塞端がセルの延在方向において逆転配置されている閉塞セル対部分を有するか、又は特にセル全部が該閉塞セル対で構成されている場合には、排気ガスが交互目詰めしたセル流路を行き交うため、HC吸着材層に吸着したHCの滞留時間を長くでき、コールドHCの保持力が向上するとともに、脱離遅延化が図れるので、浄化効率を向上できる。
なお、本明細書において、「浄化効率」又は「脱離浄化効率」は、主に吸着材から脱離する吸着HC(コールドHC)の浄化効率のことを意味する。
【0016】
また、本発明においては、セル壁内にHC吸着材又は浄化触媒成分を含有させてもよく、HC吸着材を含有させた場合には、セル壁を通過するガス流速を制御して吸着HCの脱離を遅延化することができ、一方、浄化触媒成分を含有させた場合には、浄化触媒成分と吸着HCとの接触頻度を増大できるので、浄化効率をいっそう向上できる。
更に、本発明では、HC吸着材層と浄化触媒成分層との積層配置を制御することにより、上記ハニカム構造型担体を通過する排気ガスが、HC吸着材層及び浄化触媒成分層に対し、HC吸着材層−浄化触媒成分層、又は浄化触媒成分層−HC吸着材層の順で接触するようにすることができ、HC吸着材層−浄化触媒成分層の順にすれば、吸着HCの脱離を有効に遅延させ、浄化触媒成分層−HC吸着材層の順とすれば、浄化触媒成分層を迅速に活性化できる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の排気ガス浄化触媒について詳細に説明する。なお、本明細書において、「%」は特記しない限り質量百分率を示す。
上述の如く、本発明の排気ガス浄化触媒は、一端閉塞セルを一部に有するハニカム構造型担体と、これに形成したHC吸着材層と浄化触媒成分層を有する。
【0018】
ここで、上記ハニカム構造型担体としては、隣接する一端閉塞セル同士であって、その閉塞端がセルの延在方向において相互に逆転配置されているセル対(「閉塞セル対」という)を有することが好ましく、更には、かかる閉塞セル対で全部のセルが構成されている、いわゆるウォールフロー型ハニカム担体やチェッカードハニカムと称されるものであることが更に好ましい。
このような閉塞セル対の採用により、上述したように、吸着HCの滞留時間を長時間化でき、HCの浄化効率を十分に向上させることができるようになる。
【0019】
また、HC吸着材層及び浄化触媒成分層は、従来の排気ガス浄化触媒と同様に、セルの内壁に被着・積層されるが、本発明においては、両層の配置を調整することにより、排気ガスとの接触順を変化させることができ、それぞれ好適な効果を得ることができる。
【0020】
本発明の触媒におけるHC吸着材層及び浄化触媒成分層の配置例を図1〜図3に示す。図1〜図3は、ウォールフロー型ハニカム担体を用いて成る本発明の触媒例を示す部分断面図である。
図1において、この触媒部位では、上段、中段及び下段の順で端部が交互に目詰めされ、セルの左端、右端及び左端が閉塞されている。そして、中段のセルでは、その内壁表面に対して浄化触媒成分層10、HC吸着材層20の順で両層が積層されており、この中段セルと隣接する上段セル及び下段セルでは、それぞれの内壁に対してHC吸着材層20、浄化触媒成分層10の順で積層されており、中段セルでの積層順とは逆順になっている。
【0021】
このような構造を有する触媒において、左方から中段セルに流入した排気ガスは、矢印で示すように、まずHC吸着材層20と接触し、次いで浄化触媒成分層10と接触した後、セル壁を通過し、それぞれ上段セル及び下段セルのHC吸着材層20、浄化触媒成分層10に接触し、更に右端の開口端から流出して行く。
このように、この触媒構造では、排気ガスは順次HC吸着材層と浄化触媒成分層とに吸着−保持−浄化の一連の過程を繰り返すことができ、しかもセル壁がガス拡散を阻害するので脱離を遅延させることができるため、吸着HCの浄化効率を向上させることができる。
【0022】
図2に示す触媒構造は、中段セルにおける触媒成分層10とHC吸着材層20の積層順が図1の触媒構造と逆順になっている以外は、図1の触媒構造と同様の構成を有する。
この触媒構造では、排気ガスは、矢印で示したように、まず浄化触媒成分層10と接触し、その後にHC吸着材層20と接触する。HC吸着材層間にガス拡散を阻害するセル壁を挟むことで、吸着HCの脱離遅延が図れ、浄化効率を向上できる。
【0023】
図3に示す触媒構造では、上段〜下段のセルに被着されているのは、浄化触媒成分層10又はHC吸着材層20のいずれか一方であり、中段セルがHC吸着材層10なのに対し、上段セル及び下段セルは浄化触媒成分層20であり、隣接するセル同士では被着されている層の種類が逆転している。
この触媒構造でも、排気ガスは最初にHC吸着材層と接触するので、吸着HCの脱離を有効に遅延させることができる。
【0024】
なお、本発明の排気ガス浄化触媒においては、セル壁内にHC吸着材又は浄化触媒成分を含有(担持)させることが可能であり、これにより、浄化効率を向上することができる。
そして、HC吸着材を担持した場合には、セル壁を通過するガス流速を制御して吸着HCの脱離を遅延化することができ、一方、浄化触媒成分を担持した場合には、浄化触媒成分と吸着HCとの接触頻度を増大できるので、浄化効率をいっそう向上できる。
このようなセル壁内にHC吸着材又は浄化触媒成分を担持した触媒構造の例を図4及び図5に示す。
【0025】
かかるHC吸着材又は浄化触媒成分のセル壁中への担持方法については、特に限定されるものではないが、HC吸着材については、平均粒子径が2mm以下のHC吸着材を含むスラリーにウォールフロー型ハニカム担体を浸漬し、その後に乾燥・焼成することなどにより行うことができる。
一方、浄化触媒成分、代表的には貴金属については、平均粒子径が2mm以下のアルミナなどの無機酸化物を含むスラリーにウォールフロー型ハニカム担体を浸漬し、更に貴金属を含む溶液に浸漬した後、乾燥・焼成することなどにより行うことができる。また、貴金属を担持した無機酸化物を製造した後、これを平均粒子径2mm以下に粉砕して用いてもよい。
【0026】
次に、本発明の排気ガス浄化触媒に用いるハニカム構造型担体やHC吸着材、触媒成分の材質や性質などにつき説明する。
まず、ハニカム構造型担体、代表的には、ウォールフロー型ハニカム担体については、炭化ケイ素(SiC)製やコーディエライト製のものを好適に用いることができる。また、SiC製のものの場合には、その気孔径が5〜30μm、気孔率が35〜50%、気孔容積が0.8〜1.4cm/gであることが好ましい。
気孔径や気孔率、気孔容積が上記範囲内であると、排ガスの通過抵抗が大きくなっても運転性が悪化せず、また通過抵抗が小さくても十分な効果が得られる。
一方、コーディエライト製のものの場合には、その気孔径が5〜50μm、気孔率が20〜50%、気孔容積が0.3〜0.6cm/gであることが好ましく、気孔径や気孔率、気孔容積が上記範囲内にあると良好な理由は、上記同様である。
【0027】
また、HC吸着材層を形成するHC吸着材としては、Si/2Al比が10〜1000のH型β−ゼオライト、又はこのβ−ゼオライトと、MFI、Y型、USY、モルデナイト若しくはフェリエライト及びこれらの混合物を用いることができる。かかる材料を採用すれば、細孔径の分布を広くできるので、HCの吸着効率を更に向上できる。
【0028】
一方、浄化触媒成分層を形成する触媒成分としては、パラジウム、白金又はロジウム及びこれらの混合物を用いることができるが、かかる貴金属と、セリウム、ジルコニウム又はランタン及びこれらの混合物を金属換算で1〜10モル%含むアルミナと、ジルコニウム、ネオジウム、プラセオジウム又はランタン及びこれらの混合物を金属換算で1〜50モル%含むセリウム酸化物とを併用して、浄化触媒成分層を形成することが好ましい。
このような材料を選定することにより、吸着HCが脱離する際にセリウム酸化物が酸素を放出するため、浄化触媒層の脱離浄化効率を向上できる。
また、上述した触媒成分層には、更に、セリウム、ジルコニウム又はランタン及びこれらの混合物を金属換算で1〜40モル%含むジルコニウム酸化物を添加することができ、これにより、浄化触媒層の脱離浄化効率を更に向上できる。
【0029】
なお、本発明の触媒における触媒成分層は、上述の貴金属と、アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属とを用いて形成することも可能であり、この場合には、浄化触媒層の耐熱性が改善され、脱離浄化効率も向上できる。
【0030】
【実施例】
以下、本発明を実施例及び比較例により更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0031】
(実施例1)
β−ゼオライト粉末(H型、Si/2Al=25)2125g、シリカゾル(固形分20%)1875g、純水3000gを磁性ボールミルに投入し、混合粉砕してスラリー液を得た。このスラリー液をモノリス担体(200セル/10ミル、触媒容量1.3L)に付着させ、空気流にてセル内の余剰のスラリーを取り除いて乾燥し、400℃で1時間焼成した。このときの塗布量として、焼成後に250g/Lになるまでコーティング作業を繰り返し、触媒−aを得た。
【0032】
Ce3mol%を含むアルミナ粉末(Al97mol%)に、硝酸パラジウム水溶液を含浸し又は高速撹拌中で噴霧し、150℃で24時間乾燥した後、400℃で1時間、次いで、600℃で1時間焼成し、Pd担持アルミナ粉末(粉末a)を得た。この粉末aのPd濃度は4.0重量%であった。
また、La1mol%とZr32mol%含有セリウム酸化物粉末(Ce67mol%)に、硝酸パラジウム水溶液を含浸し又は高速撹拌中で噴霧し、150℃で24時間乾燥した後、400℃で1時間、次いで、600℃で1時間焼成し、Pd担持セリウム酸化物粉末(粉末b)を得た。この粉末bのPd濃度は2.0重量%であった。
【0033】
上記Pd担持アルミナ粉末(粉末a)314g、Pd担持セリウム酸化物粉末(粉末b)314g、硝酸酸性アルミナゾル320g(ベーマイトアルミナ10重量%に10重量%の硝酸を添加することによって得られたゾルでAl換算で32g)及び炭酸バリウム51.5g(BaOとして40g)を純水2000gを磁性ボールミルに投入し、混合粉砕してスラリー液を得た。このスラリー液を上記コート触媒−aに付着させ、空気流にてセル内の余剰のスラリーを取り除いて乾燥し、400℃で1時間焼成し、コート層重量70g/Lを塗布し、触媒−bを得た。
【0034】
Zr3mol%を含むアルミナ粉末(Al97mol%)に、硝酸ロジウム水溶液を含浸し又は高速撹拌中で噴霧し、150℃で24時間乾燥した後、400℃で1時間、次いで、600℃で1時間焼成し、Rh担持アルミナ粉末(粉末c)を得た。この粉末cのRh濃度は2.0重量%であった。
また、Ce3mol%を含むアルミナ粉末(Al97mol%)に、ジニトロジアンミン白金水溶液を含浸し又は高速撹拌中で噴霧し、150℃で24時間乾燥した後、400℃で1時間、次いで、600℃で1時間焼成し、Pt担持アルミナ粉末(粉末d)を得た。この粉末dのPt濃度は4.0重量%であった。
【0035】
上記Rh担持アルミナ粉末(粉末c)118g、Pt担持アルミナ粉末(粉末d)177g、La1モル%とCe20モル%を含有するジルコニウム酸化物粉末175g、硝酸酸性アルミナゾル300gを磁性ボールミルに投入し、混合粉砕してスラリー液を得た。このスラリー液を上記コート触媒−bに付着させ、空気流にてセル内の余剰のスラリーを取り除いて乾燥し、400℃で1時間焼成し、コート層重量50g/Lを塗布し、触媒を得た。触媒の貴金属担持量は、Pt0.71g/L、Pd1.88g/L、Rh0.24g/Lであった。
こうして得た触媒の排気ガス上流側と下流側のセル開口部を交互に目詰めし、図1に示す構造を有する本例の触媒No.1を得た。
本例の触媒の成分組成及び構造、用いた担体の性質などを表1及び表2にまとめて示す。
【0036】
(実施例2)
上記Pd担持アルミナ粉末(粉末a)432g、Pd担持セリウム酸化物粉末(粉末b)314g、硝酸酸性アルミナゾル140g(ベーマイトアルミナ10重量%に10重量%の硝酸を添加することによって得られたゾルでAl換算で32g)及び炭酸バリウム51.5g(BaOとして4g)を純水2000gを磁性ボールミルに投入し、混合粉砕してスラリー液を得た。このスラリー液をモノリス担体(1200セル/2ミル、1.0L)に付着させ、空気流にてセル内の余剰のスラリーを取り除いて乾燥し、400℃で1時間焼成し、コート層重量80g/Lを塗布し、触媒−eを得た。
【0037】
上記Rh担持アルミナ粉末(粉末c)118g、Pt担持アルミナ粉末(粉末h)177g、La1モル%とCe20モル%を含有するジルコニウム酸化物粉末175g、硝酸酸性アルミナゾル300gを磁性ボールミルに投入し、混合粉砕してスラリー液を得た。このスラリー液を上記コート触媒−bに付着させ、空気流にてセル内の余剰のスラリーを取り除いて乾燥し、400℃で1時間焼成し、コート層重量50g/Lを塗布し、触媒を得た。
こうして得た触媒の貴金属担持量は、Pt0.24g/L、Pd2.35g/L、Rh0.24g/Lであった。
得られた触媒のセル開口部を実施例1と同様に交互に目詰めし、図1に示す構造を有する本例の触媒No.2を得た。
本例の触媒の成分組成及び構造、用いた担体の性質などを表1及び表2にまとめて示す。
【0038】
(実施例3〜19)
表1及び表2に示す成分組成や担体、触媒構造(図1〜図5に示す構造に相当)を採用して実施例1と同様の操作を繰り返し、各例の触媒である触媒No.3〜No.19を得た。
なお、表1及び表2中、触媒No.20としたものは、後述する触媒性能の評価に用いる通常の三元触媒である。
【0039】
(比較例1〜5)
表1及び表2に示す成分組成や担体、触媒構造を採用して実施例1と同様の操作を繰り返し、各例の触媒である触媒No.21〜No.25を得た。
なお、触媒構造1’〜5’については、これら比較例ではセル開口部の交互目詰めを実施していないが、これ以外については触媒構造1〜5と同じ構成を有する。
【0040】
【表1】
Figure 0004565424
【0041】
【表2】
Figure 0004565424
【0042】
(実施例20〜38)
上述のようにして得られた触媒No.1〜No.19と、触媒No.20を用いて、図6に示すような排気ガス浄化システムを構築した。
この場合、表3に示すように、触媒位置1には触媒No.20を配置し、触媒位置2には触媒No.1〜No.19を配置した。
【0043】
(比較例6〜10)
触媒No.1の代わりに触媒No.21〜No.25を用いた以外は、実施例20と同様の構成を採用し、各例の排気ガス浄化システムを構築した。表3に触媒位置を示す。
【0044】
[性能評価]
以上で得られた実施例20〜38、及び比較例6〜10の排気ガス浄化システムにつき、下記の条件で性能評価を実施した。得られた結果を表3に併記する。
なお、この性能評価では、上流(位置1)の三元触媒が活性化する前に排出されるコールドHCの浄化率のことを脱離HC浄化率と称することにする。
【0045】
(評価方法)
耐久条件
エンジン排気量 3000cc
燃料 ガソリン(日石ダッシュ)
触媒入口ガス温度 650℃
耐久時間 100時間
車両性能試験
エンジン排気量 日産自動車株式会社製 直列4気筒 2.0Lエンジン
評価方法 北米排ガス試験法のLA4−CHのA−bag
【0046】
【表3】
Figure 0004565424
【0047】
表3に示すように、本発明の範囲に属する実施例20〜38の浄化システムは、本発明範囲外の比較例6〜10の浄化システムに比し、HC吸着率及び脱離浄化効率が良好で、特に両者のバランスが良いことが分かる。
なお、現時点においては、HC吸着率及び脱離HC浄化効率の観点から、実施例11の触媒を用いた実施例30が最も良好であると言い得る。
【0048】
以上、本発明を好適実施例により詳細に説明したが、本発明はこれら実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々の変形が可能である。
例えば、本発明の骨子の1つは、HC吸着材層に吸着したHCが放出される際の滞留時間を長くすることにあるので、かかる滞留時間の適切な長時間化を実現できるのであれば、一端閉塞セルを有する担体、代表的にはウォールフロー型の担体を用いる必要はなく、担体の材質などを適宜に調整することによっても本発明が意図する効果を得られる可能性がある。
【0049】
【発明の効果】
以上説明してきたように、本発明によれば、一端が閉塞されたセルを有する触媒担体を用い、特定の層構造を形成することなどとしたため、コールドHCの浄化効率に優れ、しかも簡易な構成で製造の容易な排気ガス浄化触媒を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ウォールフロー型ハニカム担体を用いて成る本発明の触媒例を示す部分断面図である。
【図2】ウォールフロー型ハニカム担体を用いて成る本発明の触媒例を示す部分断面図である。
【図3】ウォールフロー型ハニカム担体を用いて成る本発明の触媒例を示す部分断面図である。
【図4】セル壁内にHC吸着材又は浄化触媒成分を担持した本発明の触媒構造の例を示す部分断面図である。
【図5】セル壁内にHC吸着材又は浄化触媒成分を担持した本発明の触媒構造の例を示す部分断面図である。
【図6】本発明の触媒を用いて成る排気ガス浄化システムの一例を示すシステム構成図である。
【符号の説明】
10 HC吸着材層
20 浄化触媒成分層

Claims (14)

  1. 内燃機関の冷間始動時に排出される炭化水素を効率良く浄化する排気ガス浄化触媒であって、
    延在方向の一端が閉塞された一端閉塞セルを一部に有するハニカム構造型担体に、炭化水素吸着材層と、浄化触媒成分層を形成して成ることを特徴とする排気ガス浄化触媒。
  2. 上記ハニカム構造型担体は、隣接する上記一端閉塞セル同士の閉塞端が逆転して配置されている閉塞セル対部分を有することを特徴とする請求項1に記載の排気ガス浄化触媒。
  3. 上記ハニカム構造型担体のセル全部が上記一端閉塞セルで構成され、隣接する上記一端閉塞セル同士では、それぞれの閉塞端が逆転して配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の排気ガス浄化触媒。
  4. 上記一端閉塞セルの壁部内に、炭化水素吸着材及び/又は浄化触媒成分を含有させて成ることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つの項に記載の排気ガス浄化触媒。
  5. 上記炭化水素吸着材又は浄化触媒成分は、平均粒子径が2mm以下の炭化水素吸着材、無機酸化物又は無機酸化物に当該触媒成分を担持したものを用いることにより、上記一端閉塞セル壁部内に含有されたことを特徴とする請求項4に記載の排気ガス浄化触媒。
  6. 少なくとも上記一端閉塞セルの壁部に、上記炭化水素吸着材層又は浄化触媒成分層を積層して成り、上記閉塞セル対部分では、一方の一端閉塞セルの壁部に該炭化水素吸着材層が、他方の一端閉塞セルの壁部に該浄化触媒成分層が積層されていることを特徴とする請求項2〜5のいずれか1つの項に記載の排気ガス浄化触媒。
  7. 少なくとも上記一端閉塞セルの壁部に、上記炭化水素吸着材層及び浄化触媒成分層の双方を積層して成ることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つの項に記載の排気ガス浄化触媒。
  8. 上記閉塞セル対部分を有し、この閉塞セル対部分では、一方のセルの壁部と他方のセルの壁部とにおける上記炭化水素吸着材層及び浄化触媒成分層の積層順が逆転していることを特徴とする請求項7に記載の排気ガス浄化触媒。
  9. 上記ハニカム構造型担体は、その気孔径が5〜30μm、気孔率が35〜50%、気孔容積が0.8〜1.4cm/gであることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1つの項に記載の排気ガス浄化触媒。
  10. 上記ハニカム構造型担体は、その気孔径が5〜50μm、気孔率が20〜50%、気孔容積が0.3〜0.6cm/gであることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1つの項に記載の排気ガス浄化触媒。
  11. 上記炭化水素吸着材層が、Si/2Al比が10〜1000のH型β−ゼオライト、又はこのβ−ゼオライトと、MFI、Y型、USY、モルデナイト及びフェリエライトから成る群より選ばれた少なくとも1種のものを含有して成ることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1つの項に記載の排気ガス浄化触媒。
  12. 上記触媒成分層が、パラジウム、白金及びロジウムから成る群より選ばれた少なくとも1種の貴金属と、セリウム、ジルコニウム及びランタンから成る群より選ばれた少なくとも1種のものを金属換算で1〜10モル%含むアルミナと、ジルコニウム、ネオジウム、プラセオジウム及びランタンから成る群より選ばれた1種ものを金属換算で1〜50モル%含むセリウム酸化物とを含有して成ることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1つの項に記載の排気ガス浄化触媒。
  13. 上記触媒成分層に、更に、セリウム、ジルコニウム及びランタンから成る群より選ばれた少なくとも1種のものを金属換算で1〜40モル%含むジルコニウム酸化物を添加して成ることを特徴とする請求項12に記載の排気ガス浄化触媒。
  14. 上記触媒成分層が、パラジウム、白金及びロジウムから成る群より選ばれた少なくとも1種の貴金属と、アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属とを含有して成ることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1つの項に記載の排気ガス浄化触媒。
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