JP4562092B2 - 電子写真装置 - Google Patents
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Description
近年、上記プリンタや複写機は装置の小型化、高画質化が望まれている。
具体的には少なくとも感光体と、この感光体の表面を一様に帯電する接触方式の帯電装置と、一様帯電後に像露光を行い静電潜像を形成する像露光装置と、前記静電潜像を現像する現像装置と、現像像を転写する装置とを有する電子写真装置において、前記感光体が少なくとも導電性支持体上に感光層を有し、該感光層中に少なくとも電荷発生材料と下記一般式1で表される電子輸送材料を含むことを特徴とする電子写真装置を用いることで、コンパクトで長期にわたり高品位な画像を出力することができる。
接触方式はワイヤ方式のコロナ帯電に比べ、帯電効率が高く、またオゾンなどの酸化性ガスの発生量が少ないため、酸化性ガスによる感光体劣化を低減することができる。
またワイヤ方式では、感光体で500〜700Vの表面電位を得るためには、ワイヤ電極にD.C.4kV以上の高電圧を印加する必要があり、シールド板や装置本体へのリークを防止すべくワイヤ電極とシールド板の距離を大きく維持する等の処置が必要になり、装置自体も大型化してしまうが、接触方式の場合はこのような必要は無く、コンパクトな帯電装置とすることができる。
その中でも特に中心金属としてチタンを有する下記構造式(1)に示すようなチタニルフタロシアニンとすることによって、特に感度が高い感光体とすることが出来、電子写真装置として小型化、高速化をよりいっそうはかることが可能となる。
チタニルフタロシアニンの平均粒子径が大きいと、チタニルフタロシアニン粒子の表面積が小さくなり、電荷輸送材料との接触量が少なくなるためキャリア注入効率が小さくなってしまう。また平均粒子径が大きいと感光層(電荷発生層)の塗膜欠陥の確率が高くなり、地汚れなどの画像欠陥が発生しやすくなるといった問題点が発生する。そのため平均粒子径が小さいほど、更に高感度であり、また地汚れに対する安定性も高い電子写真感光体を得ることができる。特に平均粒子径が0.25μm以下の場合にこの効果は顕著である。
(1)少なくとも感光体と、この感光体の表面を一様に帯電する接触方式の帯電装置と、一様帯電後に像露光を行い静電潜像を形成する像露光装置と、前記静電潜像を現像する現像装置と、現像像を転写する装置とを有する電子写真装置において、前記感光体が少なくとも導電性支持体状に感光層を有し、該感光層中に少なくとも電荷発生材料と下記一般式1で表される電子輸送材料を含むことを特徴とする電子写真装置。
(3)前記フタロシアニンがチタニルフタロシアニンであることを特徴とする(2)記載の電子写真装置。
(4)前記チタニルフタロシアニンがCu−Kα線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも27.2°に最大回折ピークを有し、更に9.4゜、9.6゜、24.0゜に主要なピークを有し、かつ最も低角側の回折ピークとして7.3゜にピークを有し、7.3゜のピークと9.4゜のピークの間にピークを有さないことを特徴とする(3)に記載の電子写真装置。
(5)前記チタニルフタロシアニンの平均粒子径が0.25μm以下であることを特徴とする(4)に記載の電子写真装置。
(7)前記電子写真装置が複数の感光体を具備してなり、それぞれの感光体上に現像された単色のトナー画像を順次重ね合わせてカラー画像を形成することを特徴とする(1)〜(6)のいずれか1項に記載の電子写真装置。
(8)少なくとも感光体を具備してなる電子写真装置用プロセスカートリッジであって、(1)〜(7)のいずれか1項に記載の電子写真装置に用いられる電子写真装置用プロセスカートリッジ。
図1は、本発明の電子写真装置を説明するための概略図であり、後述するような変形例も本発明の範疇に属するものである。
図1において感光体11は少なくとも導電性支持体上に感光層有し、該感光層中に少なくとも電荷発生材料と前記一般式1で表される電子輸送材料を含む。感光体11はドラム状の形状を示しているが、シート状、エンドレスベルト状のものであっても良い。
帯電手段12は、接触方式の帯電部材が用いられる。ここでいう接触方式の帯電部材とは、感光体表面に帯電部材の表面が接触するタイプのものであり、帯電ローラ、帯電ブレード、帯電ブラシなどがある。なかでも帯電ローラが良好に使用される。
本発明においては帯電の極性は感光体の構成により正負いずれも使用できるが、正帯電の方が負帯電に比べ、帯電性が安定しており、またオゾン、NOxといった酸化性ガスの発生量も少ないため望ましい。
露光手段13、除電手段1A等に用いられる光源には、蛍光灯、タングステンランプ、ハロゲンランプ、水銀灯、ナトリウム灯、発光ダイオード(LED)、半導体レーザー(LD)、エレクトロルミネッセンス(EL)などの発光物全般を挙げることができる。そして、所望の波長域の光のみを照射するために、シャープカットフィルター、バンドパスフィルター、近赤外カットフィルター、ダイクロイックフィルター、干渉フィルター、色温度変換フィルターなどの各種フィルターを用いることもできる。
駆動手段1Cにより駆動され、帯電手段12による帯電、露光手段13による像露光、現像(図示せず)、転写手段16による転写、クリーニング前露光手段1Bによるクリーニング前露光、クリーニング手段17によるクリーニング、除電手段1Aによる除電が繰返し行なわれる。図2においては、感光体(この場合は支持体が透光性である)の支持体側よりクリーニング前露光の光照射が行なわれる。
本発明における電子写真感光体の感光層は、電荷発生材料を含有する電荷発生層と電荷輸送材料を含有する電荷輸送層とをこの順に積層させた積層型感光層と、単一の層中に電荷発生材料と電荷輸送材料を含有する単層型感光層がある。
図7、図8は本発明の電子写真装置で用いられる電子写真感光体の一例を模式的に示す断面図であり、図7は積層型感光層の感光体の例、図8は単層型感光層の感光体の例である。
この例では導電性支持体21と電荷発生層22との間に下引き層24が設けられ、電荷発生層22の上に電荷輸送層23が設けられている感光層の構成である。
導電性支持体21としては、体積抵抗1010Ω・cm以下の導電性を示すもの、例えばアルミニウム、ニッケル、クロム、ニクロム、銅、銀、金、白金、鉄などの金属、酸化スズ、酸化インジウムなどの酸化物を、蒸着又はスパッタリングによりフィルム状又は円筒状のプラスチック、紙などに被覆したもの、或いはアルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレスなどの板、及び、それらを、Drawing Ironing法、Impact Ironing法、Extruded Ironing法、Extruded Drawing法、切削法等の工法により素管化後、切削、超仕上げ、研磨などにより表面処理した管などを使用することが出来る。
積層型感光体における各層のうち、まず電荷発生層22について説明すると、電荷発生層は電荷発生材料を主成分とする層で、必要に応じてバインダー樹脂を用いることもある。本発明に用いられる電荷発生材料としては、公知の材料を用いることができる。例えば、金属フタロシアニン、無金属フタロシアニンなどのフタロシアニン系顔料、アズレニウム塩顔料、スクエアリック酸メチン顔料、カルバゾ−ル骨格を有するアゾ顔料、トリフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料、ジフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料、ジベンゾチオフェン骨格を有するアゾ顔料、フルオレノン骨格を有するアゾ顔料、オキサジアゾ−ル骨格を有するアゾ顔料、ビススチルベン骨格を有するアゾ顔料、ジスチリルオキサジアゾ−ル骨格を有するアゾ顔料、ジスチリルカルバゾ−ル骨格を有するアゾ顔料、ペリレン系顔料、アントラキノン系または多環キノン系顔料、キノンイミン系顔料、ジフェニルメタン及びトリフェニルメタン系顔料、ベンゾキノン及びナフトキノン系顔料、シアニン及びアゾメチン系顔料、インジゴイド系顔料、ビスベンズイミダゾ−ル系顔料などが挙げられる。これらの電荷発生材料は、単独または2種以上の混合物として用いることができる。
その中でも特に中心金属としてチタンを有するチタニルフタロシアニンであることによって、特に感度が高い感光層とすることが出来、電子写真装置として高速化をよりいっそうはかることが可能となる。さらに各種の結晶形のうち、ブラッグ角2θの27.2°に最大回折ピークを有するチタニルフタロシアニンが特に優れた感度特性を示し、良好に使用される。特に、特開2001−19871号公報に記載されている27.2°に最大回析ピークを有し、更に9.4゜、9.6゜、24.0゜に主要なピークを有し、かつ最も低角側の回析ピークとして7.3°にピークを有し、該7.3゜のピークと9.4゜のピークの間にピークを有さないチタニルフタロシアニンを用いることで、高感度を失うことなく、繰り返し使用しても帯電性の低下を生じない安定した電子写真感光体を得ることができる。
これらのバインダー樹脂は、単独でも2種以上の混合物として用いてもよい。
バインダー樹脂は電荷発生材料100重量部に対し0〜500重量部、好ましくは10〜300重量部が適当である。
また、電荷発生層のバインダー樹脂として、高分子電荷輸送物質を用いることが出来る。更に、必要に応じて電荷輸送材料添加してもよい。
以上のようにして設けられる電荷発生層の膜厚は、通常は0.01μm〜5μm、好ましくは0.1μm〜2μmである。
次に、電荷輸送層23について説明する。
電荷輸送層は、電荷輸送成分とバインダー成分を主成分とする混合物又は共重合体を適当な溶剤に溶解又は分散し、これを塗布、乾燥することにより形成する。
電荷輸送層のバインダー成分として用いることのできる高分子化合物としては、例えば、ポリスチレン、スチレン/アクリロニトリル共重合体、スチレン/ブタジエン共重合体、スチレン/無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキド樹脂などの熱可塑性又は熱硬化性樹脂が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
これらの高分子化合物は、単独又は2種以上の混合物として、或いはそれらの原料モノマー2種以上からなる共重合体として、更には、電荷輸送物質と共重合化して用いることができる。
ここで、電気的に不活性な高分子化合物とは、トリアリールアミン構造のような光導電性を示す化学構造を含まない高分子化合物を指す。
これらの樹脂を添加剤としてバインダー樹脂と併用する場合、光減衰感度の制約から、その添加量は50wt%以下とすることが好ましい。
電子輸送材料としては、例えばクロルアニル、ブロムアニル、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロキサントン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、2,6,8−トリニトロ−4H−インデノ〔1,2−b〕チオフェン−4−オン、1,3,7−トリニトロジベンゾチオフェン−5,5−ジオキサイドなどの電子受容性物質が挙げられる。
これらの電子輸送物質は、単独でも2種以上の混合物として用いてもよい。
その例としては、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、トリフェニルアミン誘導体、9−(p−ジエチルアミノスチリルアントラセン)、1,1−ビス−(4−ジベンジルアミノフェニル)プロパン、スチリルアントラセン、スチリルピラゾリン、フェニルヒドラゾン類、α−フェニルスチルベン誘導体、チアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、フェナジン誘導体、アクリジン誘導体、ベンゾフラン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、チオフェン誘導体などが挙げられる。
これらの正孔輸送材料は、単独でも2種以上の混合物として用いてもよい。
電荷輸送材料の添加量は樹脂成分100重量部に対して40〜200重量部、好ましくは70〜150重量部程度が適当であり、電荷輸送材料全体に対し、一般式1で表される電子輸送材料が50〜100重量%であることが好ましい。
電荷輸送層の膜厚は、15〜40μm程度が適当であり、好ましくは15〜30μm程度、解像力が要求される場合、25μm以下が適当である。
本発明に用いられる電子写真感光体には、導電性支持体と混合型感光層又は電荷発生層との間に下引き層24を設けることもできる。下引き層は、接着性の向上、モワレの防止、上層の塗工性の改良、残留電位の低減、導電性支持体からの電荷注入の防止などの目的で設けられる。下引き層は一般に樹脂を主成分とするが、これらの樹脂はその上に溶剤を用いて感光層を塗布することを考慮すると、一般の有機溶剤に対して耐溶解性の高い樹脂であることが望ましく、このような樹脂としては、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリアクリル酸ナトリウムなどの水溶性樹脂、共重合ナイロン、メトキシメチル化ナイロンなどのアルコール可溶性樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、アルキッド−メラミン樹脂、エポキシ樹脂など三次元網目構造を形成する硬化型樹脂などが挙げられる。また、下引き層には、酸化チタン、シリカ、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化インジウムなどの金属酸化物、或いは金属硫化物、金属窒化物などの微粉末を加えてもよい。これらの下引き層は、前述の感光層と同様、適当な溶媒及び塗工法を用いて形成することが出来る。
下引き層の膜厚は0.1〜10μmが適当であり、さらに好ましくは1〜5μmである。
図8は本発明の電子写真装置で用いられる電子写真感光体の一例を模式的に示す断面図であり、導電性支持体21の上に、少なくとも電子発生材料と、前記一般式1で表される電子輸送材料を含む感光層25が設けられている。
また図示していないが導電性支持体21と感光層25の間に下引き層を設けることも可能である。
その中でも前述のように特に中心金属としてチタンを有するチタニルフタロシアニンであることによって、特に感度が高い感光層とすることが出来、電子写真装置として高速化をよりいっそうはかることが可能となる。さらに積層同様に各種の結晶形のうち、ブラッグ角2θの27.2°に最大回折ピークを有するチタニルフタロシアニンが特に優れた感度特性を示し、良好に使用される。特に、特開2001−19871号公報に記載されている27.2°に最大回析ピークを有し、更に9.4゜、9.6゜、24.0゜に主要なピークを有し、かつ最も低角側の回析ピークとして7.3°にピークを有し、該7.3゜のピークと9.4゜のピークの間にピークを有さないチタニルフタロシアニンを用いることで、高感度を失うことなく、繰り返し使用しても帯電性の低下を生じない安定した電子写真感光体を得ることができる。
上記単層構成の感光層において、電荷発生材料は感光層全体に対して0.1〜30重量%、好ましくは0.5〜10重量%が適当である。電子輸送材料はバインダー樹脂成分100重量部に対して5〜300重量部、好ましくは10〜150重量部が適当である。ただし電子輸送材料全体に対し、一般式1で表される電子輸送材料が50〜100重量%であることが好ましい。また正孔輸送材料は、バインダー樹脂成分100重量部に対して5〜300重量部、好ましくは20〜150重量部が適当である。電子輸送材料と正孔輸送材料を併用する場合は、電子輸送材料と正孔輸送材料の総量が、バインダー樹脂成分100重量部に対して20〜300重量部、好ましくは30〜200重量部が適当である。
感光層の膜厚は、10〜45μm程度が適当であり、好ましくは15〜32μm程度、解像力が要求される場合、25μm以下が適当である。
該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
ナフタレンカルボン酸は公知の合成方法(例えば、米国特許6794102号公報、Industrial Organic Pigments 2nd edition, VCH,485(1997)など)に従い、下記反応式より合成される。
電子輸送材料合成例1
第一工程
200ml4つ口フラスコに、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物5.0g(18.6mmol)、DMF50mlを入れ、加熱還流させた。これに、2−アミノヘプタン2.14g(18.6mmol)とDMF25mlの混合物を攪拌しながら滴下した。滴下終了後、6時間加熱還流させた。反応終了後、容器を冷却し、減圧濃縮した。残渣にトルエンを加え、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製した。更に回収品をトルエン/ヘキサンにより再結晶し、モノイミド体Aを2.14g(収率31.5%)得た。
第二工程
100ml4つ口フラスコに、モノイミド体A 2.0g(5.47mmol)と、ヒドラジン一水和物0.137g(2.73mmol)、p−トルエンスルホン酸10mg、トルエン50mlを入れ、5時間加熱還流させた。反応終了後、容器を冷却し、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製した。更に回収品をトルエン/酢酸エチルにより再結晶し、構造式(2)で表される電子輸送材料を0.668g(収率33.7%)得た。(電子輸送材料1とする)
第一工程
200ml4つ口フラスコに、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物10g(37.3mmol)とヒドラジン一水和物0.931g(18.6mmol)、p−トルエンスルホン酸20mg、トルエン100mlを入れ、5時間加熱還流させた。反応終了後、容器を冷却し、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製した。更に回収品をトルエン/酢酸エチルにより再結晶し、二量体C 2.84g(収率28.7%)を得た。
第二工程
100ml4つ口フラスコに、二量体C 2.5g(4.67mmol)、DMF30mlを入れ、加熱還流させた。これに、2−アミノプロパン0.278g(4.67mmol)とDMF10mlの混合物を攪拌しながら滴下した。滴下終了後、6時間加熱還流させた。反応終了後、反応容器を冷却し、減圧濃縮した。残渣にトルエンを加え、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、モノイミド体C 0.556g(収率38.5%)を得た。
第三工程
50ml4つ口フラスコに、モノイミド体C 0.50g(1.62mmol)、DMF10mlを入れ、加熱還流させた。これに、2−アミノヘプタン0.186g(1.62mmol)とDMF5mlの混合物を攪拌しながら滴下した。滴下終了後、6時間加熱還流させた。反応終了後、反応容器を冷却し、減圧濃縮した。残渣にトルエンを加え、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製した。更に回収品をトルエン/ヘキサンにより再結晶し、構造式(3)で表される電子輸送材料0.243g(収率22.4%)を得た。(電子輸送材料2とする)
第一工程
200ml4つ口フラスコに、上述した二量体C 5.0g(9.39mmol)、DMF50mlを入れ、加熱還流させた。これに、2−アミノヘプタン 1.08g(9.39mmol)DMF25mlの混合物を攪拌しながら滴下した。滴下終了後、6時間加熱還流させた。反応終了後、反応容器を冷却し、減圧濃縮した。残渣にトルエンを加え、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、モノイミド体D 1.66g(収率28.1%)を得た。
第二工程
100ml4つ口フラスコに、モノイミド体D 1.5g(2.38mmol)、DMF50mlを入れ、加熱還流させた。これに、2−アミノオクタン0.308g(2.38mmol)とDMF10mlの混合物を攪拌しながら滴下した。滴下終了後、6時間加熱還流させた。反応終了後、反応容器を冷却し、減圧濃縮した。残渣にトルエンを加え、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製した。更に回収品をトルエン/ヘキサンにより再結晶し、構造式(5)で表される電子輸送物質0.328g(収率18.6%)を得た。(電子輸送材料3とする)
(顔料合成例1)
特開2001−19871号公報に準じて、顔料を作製した。即ち、1,3−ジイミノイソインドリン29.2gとスルホラン200mlを混合し、窒素気流下でチタニウムテトラブトキシド20.4gを滴下する。滴下終了後、徐々に180℃まで昇温し、反応温度を170℃〜180℃の間に保ちながら5時間撹拌して反応を行った。反応終了後、放冷した後、析出物を濾過し、クロロホルムで粉体が青色になるまで洗浄し、次にメタノールで数回洗浄し、更に80℃の熱水で数回洗浄した後乾燥し、粗チタニルフタロシアニンを得た。粗チタニルフタロシアニンを20倍量の濃硫酸に溶解し、100倍量の氷水に撹拌しながら滴下し、析出した結晶を濾過し、次いで、洗浄液が中性になるまでイオン交換水(pH:7.0、比伝導度:1.0μS/cm)により水洗いを繰り返し(洗浄後のイオン交換水のpH値は6.8、比伝導度は2.6μS/cmであった)、チタニルフタロシアニン顔料のウェットケーキ(水ペースト)を得た。得られたこのウェットケーキ(水ペースト)40gをテトラヒドロフラン200gに投入し、4時間攪拌を行った後、濾過を行い、乾燥して、チタニルフタロシアニン粉末を得た。これを顔料1とする。
前記ウェットケーキの固形分濃度は、15質量%であった。結晶変換溶媒は、前記ウェットケーキに対する質量比で33倍の量を用いた。なお、顔料合成例1の原材料には、ハロゲン含有化合物を使用していない。
X線管球:Cu
電圧:50kV
電流:30mA
走査速度:2°/分
走査範囲:3°〜40°
時定数:2秒
−チタニルフタロシアニン結晶の合成−
顔料合成例1の方法に従って、チタニルフタロシアニン顔料の水ペーストを合成し、次のように結晶変換を行い、顔料合成例1よりも一次粒子の小さなフタロシアニン結晶を得た。
特開2004−83859号公報、実施例1に準じて、顔料合成例1で得られた結晶変換前の水ペースト60質量部にテトラヒドロフラン400質量部を加え、室温下でホモミキサー(ケニス、MARKIIfモデル)により強烈に撹拌(2000rpm)し、ペーストの濃紺色の色が淡い青色に変化したら(撹拌開始後20分)、撹拌を停止し、直ちに減圧濾過を行った。濾過装置上で得られた結晶をテトラヒドロフランで洗浄し、顔料のウェットケーキを得た。これを減圧下(5mmHg)、70℃で2日間乾燥して、チタニルフタロシアニン結晶8.5質量部を得た。これを顔料2とする。顔料合成例1の原材料には、ハロゲン含有化合物を使用していない。前記ウェットケーキの固形分濃度は、15質量%であった。結晶変換溶媒は、前記ウェットケーキに対する質量比で44倍の量を用いた。
上述のように観察されたTEM像をTEM写真として撮影し、映し出されたチタニルフタロシアニン粒子(針状に近い形)を30個任意に選び出し、それぞれの長径の大きさを測定する。測定した30個体の長径の算術平均を求めて、一次粒子の平均粒子サイズとした。以上の方法により求められた顔料合成例1における水ペースト中の一次粒子の平均粒子サイズは、0.06μmであった。
特開平2−8256号(特公平7−91486号)公報の製造例に記載の方法に準じて、顔料を作製した。
すなわち、フタロジニトリル9.8gと1−クロロナフタレン75mlを撹拌混合し、窒素気流下で四塩化チタン2.2mlを滴下する。滴下終了後、徐々に200℃まで昇温し、反応温度を200℃〜220℃の間に保ちながら3時間撹拌して反応を行なった。反応終了後、放冷し130℃になったところ熱時ろ過し、次いで1−クロロナフタレンで粉体が青色になるまで洗浄、次にメタノールで数回洗浄し、さらに80℃の熱水で数回洗浄した後、乾燥し顔料を得た。これを顔料3とする。
得られたチタニルフタロシアニン粉末を、前記の条件によりX線回折スペクトル測定し、公報に記載のスペクトルと同様であることを確認した。
下記組成の下引き層用塗工液、電荷発生層用塗工液及び電荷輸送層用塗工液をそれぞれ作製した。
(下引き層用塗工液)
アルキッド樹脂(大日本インキ製:ベッコゾール M−6401−50): 60部
メラミン樹脂(大日本インキ製:スーパーベッカミン L−121−60):40部
酸化チタン(石原産業社製:CR−EL): 400部
メチルエチルケトン: 500部
これらをボールミル装置(メディアとしてφ10mmのアルミナボールを使用)にて5日間ボールミルをおこない下引き層用塗工液とした。
(電荷発生層用塗工液)
無金属フタロシアニン顔料
(大日本インキ工業株式会社:Fastogen Blue8120B):12部
ポリビニルブチラール樹脂(積水化学工業株式会社:エスレックBX−1): 5部
2−ブタノン: 200部
シクロヘキサノン: 400部
これらをφ9cmのガラスポットにφ0.5mmのPSZボールを用い、回転数100rpmで5時間分散を行い電荷発生層用塗工液とした。
(電荷輸送層用塗工液)
電子輸送材料1: 10部
Z型ポリカーボネート樹脂(帝人化成製:パンライトTS−2050): 10部
シリコーンオイル(信越化学工業社製:KF50): 0.01部
テトラヒドロフラン: 80部
これらを撹拌、溶解し電荷輸送層用塗工液とした。
なおそれぞれの層の乾燥温度は135℃で20分、80℃で15分、120℃で20分とした。
無金属フタロシアニンを下記組成の処方、条件にて分散を行い顔料分散液を作製した。
無金属フタロシアニン顔料
(大日本インキ工業株式会社:Fastogen Blue8120B): 3部
シクロヘキサノン: 97部
φ9cmのガラスポットにφ0.5mmのPSZボールを用い、回転数100rpmで5時間分散を行った。
上記分散液を用いて下記組成の感光体用塗工液を作製した。
上記分散液: 60部
下記構造式(9)の正孔輸送材料: 25部
電子輸送材料1: 25部
Z型ポリカーボネート樹脂(帝人化成製:パンライトTS−2050): 50部
シリコーンオイル(信越化学工業社製:KF50): 0.01部
テトラヒドロフラン: 350部
感光体作製例1において電荷発生材料をX型無金属フタロシアニン(Fastogen Blue8120B)に代えて顔料1のチタニルフタロシアニンを用いた以外は感光体作製例1と全く同様にして感光体を作製した。(感光体3とする)
なお顔料1のチタニルフタロシアニンを用いた電荷発生層用塗工液中での体積平均粒径を堀場製作所製CAPA−700で測定したところ0.31μmであった。
感光体作製例4
感光体作製例2において電荷発生材料をX型無金属フタロシアニン(Fastogen Blue8120B)に代えて顔料1のチタニルフタロシアニンを用いた以外は感光体作製例2と全く同様にして感光体を作製した。(感光体4とする)
なお顔料1のチタニルフタロシアニンを用いた顔料分散液中での体積平均粒径を堀場製作所製CAPA−700で測定したところ0.35μmであった。
感光体作製例1において電荷発生材料をX型無金属フタロシアニン(Fastogen Blue8120B)に代えて顔料2のチタニルフタロシアニンを用いた以外は感光体作製例1と全く同様にして感光体を作製した。(感光体5とする)
なお顔料2のチタニルフタロシアニンを用いた電荷発生層用塗工液中での体積平均粒径を堀場製作所製CAPA−700で測定したところ0.19μmであった。
感光体作製例6
感光体作製例2において電荷発生材料をX型無金属フタロシアニン(Fastogen Blue8120B)に代えて顔料2のチタニルフタロシアニンを用いた以外は感光体作製例2と全く同様にして感光体を作製した。(感光体6とする)
なお顔料2のチタニルフタロシアニンを用いた顔料分散液中での体積平均粒径を堀場製作所製CAPA−700で測定したところ0.20μmであった。
感光体作製例1において電荷発生材料をX型無金属フタロシアニン(Fastogen Blue8120B)に代えて顔料3のチタニルフタロシアニンを用いた以外は感光体作製例1と全く同様にして感光体を作製した。(感光体7とする)
感光体作製例8
感光体作製例2において電荷発生材料をX型無金属フタロシアニン(Fastogen Blue8120B)に代えて顔料3のチタニルフタロシアニンを用いた以外は感光体作製例2と全く同様にして感光体を作製した。(感光体8とする)
感光体作製例3において電子輸送材料1に代えて電子輸送材料2を用いた以外は感光体作製例1と全く同様にして感光体を作製した。(感光体9とする)
感光体作製例10
感光体作製例4において電子輸送材料1に代えて電子輸送材料2を用いた以外は感光体作製例2と全く同様にして感光体を作製した。(感光体10とする)
感光体作製例3において電子輸送材料1に代えて電子輸送材料3を用いた以外は感光体作製例1と全く同様にして感光体を作製した。(感光体11とする)
感光体作製例12
感光体作製例4において電子輸送材料1に代えて電子輸送材料3を用いた以外は感光体作製例2と全く同様にして感光体を作製した。(感光体12とする)
感光体作製例4において電子輸送材料1に代えて上記構造式(10)の化合物を用いた以外は感光体作製例2と全く同様にして感光体を作製した。(感光体14とする)
感光体作製例4において電子輸送材料1に代えて上記構造式(11)の化合物を用いた以外は感光体作製例2と全く同様にして感光体を作製した。(感光体16とする)
以上のように作製した感光体1〜16を実装用にした後、接触方式の帯電ローラを用いた電子写真装置(リコー製imgio Neo 270改造機、パワーパックを交換し正帯電となるよう改造した装置)に搭載し、書き込み率5%チャート(A4全面に対して、画像面積として5%相当の文字が平均的に書かれている)を用い通算1万枚印刷する耐刷試験を行った。
トナーと現像剤はimgio Neo 270専用のものから極性が逆となるトナーと現像剤に交換し使用した。
また電子写真装置の帯電手段は外部電源を用いて、帯電ローラの印加電圧はAC成分としてピーク間電圧1.9kV、周波数1.35kHzとした。また、DC成分は試験開始時の感光体の帯電電位が+600Vとなるようなバイアスを設定し、試験終了に至るまでこの帯電条件で試験を行った。また現像バイアスは+450Vとした。試験環境は23℃、55%RHである。
画像評価:
評価用画像を出力し、目視にて地汚れ、かぶり、画像濃度などを総合的に評価した。評価ランクは以下のとおりである
◎:非常に良好
○:良好
△:やや劣る
×:非常に悪い
暗部電位:
一次帯電の後、現像部位置まで移動した際の感光体表面電位とし、初期において+600Vとするように帯電器の印加電圧を調整し、その後は試験終了後まで一定の印加電圧とした。また現像バイアスは+450Vとした。
明部電位:
一次帯電の後、画像露光(全面露光)を受け、現像部位置まで移動した際の感光体表面電位。
以上実施例1〜12及び比較例1〜4の結果を表2に示す。
感光体2,4,6,8,10,12を実装用にした後、接触方式の帯電ローラを用いた電子写真装置(リコー製 imgio Neo 270)に搭載し、書き込み率5%チャート(A4全面に対して、画像面積として5%相当の文字が平均的に書かれている)を用い通算1万枚印刷する耐刷試験を行った。
電子写真装置の帯電手段は外部電源を用いて、帯電ローラの印加電圧はAC成分としてピーク間電圧1.9kV、周波数1.35kHzとした。また、DC成分は試験開始時の感光体の帯電電位が−600Vとなるようなバイアスを設定し、試験終了に至るまでこの帯電条件で試験を行った。また現像バイアスは−450Vとした。試験環境は23℃、55%RHである。
画像評価:
評価用画像を出力し、目視にて地汚れ、かぶり、画像濃度などを総合的に評価した。評価ランクは以下のとおりである
◎:非常に良好
○:良好
△:やや劣る
×:非常に悪い
暗部電位:
一次帯電の後、現像部位置まで移動した際の感光体表面電位とし、初期において−600Vとするように帯電器の印加電圧を調整し、その後は試験終了後まで一定の印加電圧とした。また現像バイアスは−450Vとした。
明部電位:
一次時帯電の後、画像露光(全面露光)を受け、現像部位置まで移動した際の感光体表面電位。
以上実施例13〜18の結果を表3に示す。
作製した感光体1〜16を実装用にした後、タンデム機構を有するフルカラー電子写真装置(リコー製IPSiO Color8100改造機、パワーパックを交換し正帯電となるよう改造し、さらに書込みに用いるLDの波長を780nmのものに換装し、さらに帯電部材を接触方式の帯電ローラに交換した装置)に搭載し、書き込み率5%チャート(A4全面に対して、画像面積として5%相当の文字が平均的に書かれている)を用い通算1万枚印刷する耐刷試験を行った。
トナーと現像剤はIPSiO Color8100専用のものから極性が逆となるトナーと現像剤に交換し使用した。
また電子写真装置の帯電手段は外部電源を用いて、帯電ローラの印加電圧はAC成分としてピーク間電圧1.9kV、周波数1.35kHzを選択した。また、DC成分は試験開始時の感光体の帯電電位が+600Vとなるようなバイアスを設定し、試験終了に至るまでこの帯電条件で試験を行なった。また、現像バイアスは+450Vとした。試験環境は23℃、55%RHである。
画像評価:
評価用画像を出力し、目視にて地汚れ、かぶり、画像濃度などを総合的にランク評価した。
色再現性:
ISO/JIS−SCID画像N1(ポートレート)を出力して、カラー色の再現性について評価した。
いずれの場合も評価ランクは以下のとおりである
◎:非常に良好
○:良好
△:やや劣る
×:非常に悪い
以上実施例19〜30及び比較例5〜8の結果を表4に示す。
一方、本発明の要件を満たさない比較例では繰り返しの使用により感光体の明部電位が上昇し、異常画像が発生し、フルカラー画像の場合には色合いの変化が見られた。
12・・・帯電手段
13・・・露光手段
14・・・現像手段
15・・・トナー
16・・・転写手段
17・・・クリーニング手段
18・・・受像媒体
19・・・定着手段
1A・・・除電手段
1B・・・クリーニング前露光手段
1C・・・駆動手段
1D・・・第1の転写手段
1E・・・第2の転写手段
1F・・・中間転写体
1G・・・受像媒体担持体
21・・・導電性支持体
22・・・電荷発生層
23・・・電荷輸送層
24・・・下引き層
25・・・感光層
Claims (8)
- 少なくとも感光体と、この感光体の表面を一様に帯電する接触方式の帯電装置と、一様帯電後に像露光を行い静電潜像を形成する像露光装置と、前記静電潜像を現像する現像装置と、現像像を転写する装置とを有する電子写真装置において、前記感光体が少なくとも導電性支持体上に感光層を有し、該感光層中に少なくとも電荷発生材料と下記一般式1で表される電子輸送材料を含むことを特徴とする電子写真装置。
- 前記電荷発生材料がフタロシアニンであることを特徴とする請求項1記載の電子写真装置。
- 前記フタロシアニンがチタニルフタロシアニンであることを特徴とする請求項2記載の電子写真装置。
- 前記チタニルフタロシアニンがCu−Kα線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも27.2°に最大回折ピークを有し、更に9.4゜、9.6゜、24.0゜に主要なピークを有し、かつ最も低角側の回折ピークとして7.3゜にピークを有し、7.3゜のピークと9.4゜のピークの間にピークを有さないことを特徴とする請求項3に記載の電子写真装置。
- 前記チタニルフタロシアニンの平均粒子径が0.25μm以下であることを特徴とする請求項4に記載の電子写真装置。
- 正帯電で帯電プロセスを行うことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の電子写真装置。
- 前記電子写真装置が複数の感光体を具備してなり、それぞれの感光体上に現像された単色のトナー画像を順次重ね合わせてカラー画像を形成することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の電子写真装置。
- 少なくとも感光体を具備してなる電子写真装置用プロセスカートリッジであって、請求項1〜7記載の電子写真装置に用いられる電子写真装置用プロセスカートリッジ。
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