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JP4561221B2 - 化合物、電荷輸送材料および有機電界発光素子 - Google Patents

化合物、電荷輸送材料および有機電界発光素子 Download PDF

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JP4561221B2 JP2004222509A JP2004222509A JP4561221B2 JP 4561221 B2 JP4561221 B2 JP 4561221B2 JP 2004222509 A JP2004222509 A JP 2004222509A JP 2004222509 A JP2004222509 A JP 2004222509A JP 4561221 B2 JP4561221 B2 JP 4561221B2
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Description

本発明は新規な電荷輸送材料及び新規な化合物に関するものであり、詳しくは電気的な酸化や還元を繰返し受けても安定な電荷輸送材料と、それを用いた高効率かつ長寿命の有機電界発光素子に関するものである。
従来、薄膜型の電界発光(EL)素子としては、無機材料のII−VI族化合物半導体であるZnS、CaS、SrS等に、発光中心であるMnや希土類元素(Eu、Ce、Tb、Sm等)をドープしたものが一般的であるが、上記の無機材料から作製したEL素子は、
1)交流駆動が必要(50〜1000Hz)、
2)駆動電圧が高い(〜200V)、
3)3)フルカラー化が困難(特に青色)、
4)周辺駆動回路のコストが高い、という問題点を有している。
しかし、近年、上記問題点の改良のため、有機薄膜を用いたEL素子の開発が行われるようになった。特に、発光効率を高めるため、電極からのキャリアー注入の効率向上を目的として電極の種類の最適化を行い、芳香族ジアミンから成る正孔輸送層と8−ヒドロキシキノリンのアルミニウム錯体から成る発光層とを設けた有機電界発光素子の開発(非特許文献1参照:Appl. Phys. Lett., 51巻, 913頁,1987年)により、従来のアントラセン等の単結晶を用いたEL素子と比較して発光効率の大幅な改善がなされている。また、例えば、8−ヒドロキシキノリンのアルミニウム錯体をホスト材料として、クマリン等のレーザー用蛍光色素をドープすること(非特許文献2参照:J. Appl. Phys., 65巻, 3610頁,1989年)で、発光効率の向上や発光波長の変換等も行われており、実用特性に近づいている。
上記の様な低分子材料を用いた電界発光素子の他にも、発光層の材料として、ポリ(p−フェニレンビニレン)、ポリ[2-メトキシ-5-(2-エチルヘキシルオキシ)-1,4-フェニレンビニレン]、ポリ(3-アルキルチオフェン)等の高分子材料を用いた電界発光素子の開発や、ポリビニルカルバゾール等の高分子に低分子の発光材料と電子移動材料を混合した素子の開発も行われている。
素子の発光効率を上げる試みとして、蛍光ではなく燐光を用いることも検討されている。燐光を用いる、即ち、三重項励起状態からの発光を利用すれば、従来の蛍光(一重項)を用いた素子と比べて、3倍程度の効率向上が期待される。この目的のためにクマリン誘導体やベンゾフェノン誘導体を発光層とすることが検討されたが(非特許文献3参照:第51回応用物理学会連合講演会、28a-PB-7、1990年)、極めて低い輝度しか得られなかった。その後、三重項状態を利用する試みとして、ユーロピウム錯体を用いることが検討されてきたが、これも高効率の発光には至らなかった。
最近、以下に示す白金錯体(T−1)を用いることで、高効率の赤色発光が可能なことが報告された(非特許文献4:Nature, 395巻,151頁,1998年)。その後、以下に示すイリジウム錯体(T−2)を発光層にドープすることで、さらに緑色発光で効率が大きく改善されている(非特許文献5:Appl. Phys. Lett., 75巻,4頁,1999年)。
Figure 0004561221
有機電界発光素子をフラットパネル・ディスプレイ等の表示素子に応用するためには、素子の発光効率を改善すると同時に駆動時の安定性を十分に確保する必要がある。
しかしながら、前述の文献に記載の燐光分子(T−2)を用いた有機電界発光素子は、高効率発光ではあるが、駆動安定性が実用には不十分であり(非特許文献6参照:Jpn. J. Appl. Phys., 38巻,L1502頁,1999年)、高効率な表示素子の実現は困難な状況である。
新しい材料系として、特許文献1(特開2003−123983号公報)では、有機電界発光素子の電子輸送層または発光層の材料として、下記化合物に代表されるピリジン系化合物が提案されている。
Figure 0004561221
しかしながら、これらはピリジン環上の窒素原子同士が共役可能な構造を有しているため、酸化還元電位差が比較的小さい。
一般に、青色蛍光発光や、燐光緑色〜青色発光を示す有機電界発光素子を作成するには、非常に大きな酸価還元電位差を有する発色性色素を使用し、該色素に効率よく電荷を供

給・集約させるためには、それを取りまく材料(発光層のホスト材料や、発光層隣接層を構成する電荷輸送材料)は、該色素以上に大きな酸化還元電位差を有する必要がある。よって、特許文献1に記載されたピリジン系化合物は、青色蛍光素子や燐光素子への適用は、困難であると考えられる。
また、ピリジン環上の活性部位である2,4,6−位のいずれかに水素原子を有しているために、電気化学的安定性に課題を有するため、有機電界発光素子などにおける電荷輸送材料として使用するには、更なる改善が必要であった。
さらに、ビピリジル基のように強い配位能を持つユニットを有する化合物を、発光層またはこれに接する層などに含有させると、発光色素が金属錯体である場合、長時間の電界印加により配位子交換を生じる危険性を有する。
また、非特許文献7(Collect. Czech. Chem. Commun.(Vol. 57)(1992))には、下記一般式で示される蛍光材料が提案されている。
Figure 0004561221
上記化合物は、主として青色発光を持つ蛍光色素としての提案があるのみで、それ以外の具体的な適用方法につき開示はない。
ところで、これまでに報告されている有機電界発光素子では、基本的には正孔輸送層と電子輸送層の組み合わせにより発光を得ている。陽極から注入された正孔は正孔輸送層を移動し、陰極から注入されて電子輸送層を移動してくる電子と、両層の界面近傍で再結合をし、正孔輸送層及び/または電子輸送層を励起させて発光させるのが原理であり、正孔輸送層と電子輸送層の間に発光層を設けることにより、発光効率を向上させている素子が一般的である。
さらに、発光層中での励起子生成を促進させ、発光の高効率化・発光色の高純度化を目的に、発光層の陰極側界面に接する正孔阻止層を設ける場合がある。特に、正孔注入/輸送層にトリアリールアミン系化合物を、電子注入/輸送層にアルミニウム錯体を用いた素子では、正孔の移動度が電子の移動度を上回る傾向にあり、正孔が発光に寄与せず陰極側へ通り抜けてしまうという問題があった。特に発光層の酸化電位が大きく、通常用いられるAlq3(8−ヒドロキシキノリンのアルミニウム錯体)などの電子輸送層では、発光 層へのホール封じ込めが困難である青色発光素子や燐光発光素子では、正孔阻止層の必要性が高い。
正孔阻止層に関しては、例えば、特許文献2(特開平2-195683号公報)には、発光層のイオン化ポテンシャルよりも大きなイオン化ポテンシャルを有する正孔阻止層を設ける旨

記載されており、その例として、トリス(5,7-ジクロル-8-ヒドロキシキノリノ)アルミ ニウムの使用が提案されている。また、特許文献3(特開平9- 87616号公報)では、シラシクロペンタジエンの使用が提案されている。しかし、これらはいずれも、駆動安定性が十分ではなかった。
この駆動劣化の要因としては、正孔阻止材料のガラス転移温度(Tg)が低い事に由来する熱劣化や、電子や正孔の注入により正孔阻止材料が還元・酸化されてしまう電気化学的要因などが指摘されている。
発光性色素としてイリジウム錯体などを用いる、高効率燐光発光素子には、Balq(aluminum(III) bis(2-methyl-8-quinolinato)4-phenylphenolate)やSAlq(aluminum(III) bis(2-methyl-8-quinolinato)triphenylsilanolate)などのアルミニウム錯体系正孔阻止材料が盛んに用いられ、一定の長寿命化に成功している(非特許文献8参照:Appl. Phys. Lett., 81巻,162頁,2002年)。
しかし、上記化合物では正孔阻止能が十分でないために、素子の発光効率が不十分であったり、正孔の一部が正孔阻止材料を通過して電子輸送層へ抜けてしまうことによって電子輸送層材料の酸化劣化が起こったりする問題があった。
上述の理由から、発光層中での速やかな電荷の再結合とドーパントの高発光効率の実現、あるいは発光層を通過する正孔が電子輸送層へ抜けるのを阻止すること、および正孔阻止材料自体が電気的酸化還元耐久性を有していることが必要であり、高発光効率かつ安定な素子を作製するための材料および素子構造に対して、更なる改良検討が望まれていた。
特開2003−123987号公報 特開平2−195683号公報 特開平9−87616号公報 Appl. Phys. Lett., 51巻, 913頁,1987年 J. Appl. Phys., 65巻, 3610頁,1989年 第51回応用物理学会連合講演会、28a-PB-7、1990年 Nature, 395巻,151頁,1998年 Appl. Phys. Lett., 75巻,4頁,1999年 Jpn. J.Appl. Phys., 38巻,L1502頁,1999年 Collect. Czech. Chem. Commun. (Vol.57) (1992) Appl. Phys. Lett., 81巻,162頁,2002年
本発明者は上記実状に鑑み、電子輸送性に優れ、優れた電気的酸化還元耐久性と広い酸化還元電位差を有する電荷輸送材料の提供、更には高発光効率かつ高い駆動安定性を有する有機電界発光素子を提供することを目的とする。
また、高い非晶質性、耐熱性、溶解性に優れた化合物を提供することを目的とする。
即ち本発明は、分子内に、2,4,6−位が置換されているピリジン環を2個以上含む化合物であって、該ピリジン環は互いに実質的に共役していないことを特徴とする化合物からなる電荷輸送材料、(但し、ピリジン環の3,5−位は置換されていてもよい。)
および該電荷輸送材料を用いてなる有機電界発光素子に存する。
また、本発明は、下記一般式(II)で表される化合物であって、該化合物が最安定化構造をとった時に、平面構造とならない化合物、及び、上記一般式(II)で表される化合物であって、該化合物が最安定化構造をとった時に、平面構造となる化合物であり、かつ、p=0である化合物に存する。
Figure 0004561221
最安定化構造をとった時に、平面構造とならない化合物とは、分子の最安定化構造として、実質的に単一平面構造を取りえない構造を有していることを意味し、これにより分子間でのπ−πスタッキング相互作用が抑制され、非晶質性、溶解性、昇華性に優れる。また、ひいては分子の集合体である膜としたとき、溶液状態(分子同士が散らばっている状態)に比べ、吸収極大波長や蛍光発光極大波長が増大してしまう現象を抑制することができる。更には、三重項励起準位が低下してしまう現象や電気酸化還元電位差が低下してしまう現象をも抑制することができると考えられる。
そのため、(光、電気、熱などの)大きなエネルギーを蓄積し、そして効率よく蓄積したエネルギーを(光、電気、熱などとして)放出することが可能となる化合物である。
また、最安定化構造をとった時に平面構造となるとは、分子の最安定化構造として、実質的に単一平面構造をとる構造を有することを意味する。上記一般式(II)で表される化合物であって、該化合物が最安定化構造をとった時に、平面構造となる化合物の中でも、p=0である化合物、即ち、4−ピリジル基からなる化合物は、繰り返し酸化耐久性が非常に高い。
特に、ピリジン環同士がm−フェニレン基を介して連結されると、ピリジン環の窒素原子上の非共有電子対同士が直接的に共役し得ない構造であり、かつ該m−フェニレン基とピリジン環の間では、共役構造をとり得るため、酸化還元電位差が大きく、かつ可逆性にもとりわけ優れている。また、ピリジン環の、対称性をくずすことにより非晶質性に優れ、有機溶媒などへの溶解性にも優れている。そのため、膜を形成したときに結晶化することなく安定な成膜性を示す。
また、ピリジン環が、1,3,5−置換フェニレン基(ベンゼン環由来の基)を介して連結されると、ピリジン環の窒素原子上の非共有電子対同士が直接的に共役し得ない構造となり、かつ該1,3,5−置換フェニレン基とピリジン環の間では、共役構造をとり得るため、酸化還元電位差が大きく、かつ可逆性にもとりわけ優れている。
また、電子輸送性のあるヘテロ環を3環以上有する事によりさらに電子輸送性、耐熱性が向上する。また、非晶質性に優れ、有機溶媒などへの溶解性にも優れているため、膜を形成したときに結晶化することなく安定な成膜性を示し、ガラス転移温度(Tg)が高いことにより耐熱性、耐久性に優れている。
本発明の電荷輸送材料を用いた有機電界発光素子によれば、高輝度・高効率で発光させることが可能となり、かつ素子の安定性が向上する。
また、本発明の電荷輸送材料は、優れた耐熱性、製膜性、電荷輸送性、発光特性から、
素子の層構成に合わせて、発光材料、ホスト材料、電子注入材料、電子輸送材料、正孔阻止材料などとしても適用可能である。
従って、本発明による有機電界発光素子はフラットパネル・ディスプレイ(例えばOAコンピュータ用や壁掛けテレビ)、車載表示素子、携帯電話表示や面発光体としての特徴を生かした光源(例えば、複写機の光源、液晶ディスプレイや計器類のバックライト光源)、表示板、標識灯への応用が考えられ、その技術的価値は大きいものである。
本発明の化合物は、本質的に優れた酸化還元安定性を有することから、有機電界発光素子に限らず、電子写真感光体に利用することも有用である。
更に、本発明の化合物は、上記本発明の電荷輸送材料が有する高い性能に加えて、非晶質性、溶解性、耐熱性、耐久性に優れている。従って、電荷輸送材料用としてだけでなく、発光材料用、太陽電池材料用、バッテリー材料(電解液、電極、分離膜、安定剤など)用、医療用、塗料材料用、コーティング材料用、有機半導体材料用、トイレタリー材料用、帯電防止材料用、熱電素子材料用などにおいても有用である。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、これらの内容に特定されない。
本発明の電荷輸送材料は、分子内に、2,4,6−位が置換されているピリジン環を2個以上含む化合物であって、該ピリジン環は互いに実質的に共役していないことを特徴とする化合物からなる電荷輸送材料に関する。但し、ピリジン環の3,5−位は置換されていてもよい。
本発明の電荷輸送材料は、分子内に、2,4,6−位が置換されているピリジン環を含有することにより、電気的に非常に安定である。従って、本発明の電荷輸送材料を有機電界発光素子等に使用すると、安定性の向上した素子を得ることが出来る。また、後述の通り、分子内のピリジン環が互いに共役していないことにより、化合物の酸化還元電位差が縮小しにくくなる。分子内のピリジン環が互いに共役していないとは、下記連結基Qの例で詳述する通りである。
該ピリジン環は、分子内に2個以上有していればよいが、昇華性や溶解性が下がりやすくなる恐れがあることや、高純度化が困難となる恐れがあることから、8個以下であることが好ましい。
このような電荷輸送材料の分子量は、通常、4000以下、好ましくは3000以下、より好ましくは2000以下であり、また通常200以上、好ましくは300以上、より好ましくは400以上である。分子量が上限値を越えると、昇華性が著しく低下して電界発光素子を制作する際に蒸着法を用いる場合において支障を来したり、あるいは有機溶媒などへの溶解性の低下や、合成工程で生じる不純物成分の増加に伴って、材料の高純度化(すなわち劣化原因物質の除去)が困難になる場合があり、また分子量が下限値を下回ると、ガラス転移温度および、融点、気化温度、製膜性などが低下するため、耐熱性が著しく損なわれるおそれがある。
また、本発明の電荷輸送材料を、例えば有機電界発光素子における正孔阻止層兼電子輸送層に使用する場合の、重要な特性の一つである正孔阻止性は、分子内のジアリールアミン骨格により損なわれる傾向があるので、正孔阻止性の観点からは、該骨格を含んでいない場合が好ましい。更に、ジアリールアミン骨格ほどではないが、強い正孔輸送性を有し、正孔阻止性を低下させてしまうとの理由から、アリールオキシド骨格やアリールスルフィド骨格をも含んでいない場合が、より好ましい。
本発明において、ジアリールアミン骨格とは、窒素原子上に置換基として任意の芳香環
(本発明では、芳香族炭化水素と芳香族複素環を総称して「芳香環」と呼ぶことがある)が少なくとも2つ置換されたアミン骨格を指し、例えばジフェニルアミン骨格、フェニルナフチル骨格、トリフェニルアミン骨格などが挙げられる。また、置換基同士が結合して環を成しているものも含み、例えばカルバゾール骨格、N−フェニルカルバゾール骨格、N−フェニルインドール骨格などが挙げられる(但し、二重結合によって窒素原子と置換基が結合している骨格を除く(例:アクリジン、フェナジンなど))。いずれも、強い正孔輸送性を有する骨格の一つである。
本発明において、アリールオキシド骨格とは、酸素原子上に置換基として芳香環が少なくとも1つ置換されたオキシド骨格を指し、例えばフェニルオキシド骨格、ジフェニルオキシド骨格等が挙げられる。また、置換基同士が結合して環を成しているものも含み、例えばベンゾフラン骨格、ジベンゾフラン骨格、ジベンゾ[1,4]ジオキシン骨格などが挙げられる。いずれも、強い正孔輸送性を有する骨格の一つである。
本発明において、アリールスルフィド骨格とは、硫黄原子上に置換基として芳香環が少なくとも1つ置換されたスルフィド骨格を指し、例えばフェニルスルフィド骨格、ジフェニルスルフィド骨格等が挙げられる。また、置換基同士が結合して環を成しているものも含み、例えばベンゾチオフェン骨格、ジベンゾチオフェン骨格、チアントレン骨格などが挙げられる。いすれも、強い正孔輸送性を有する骨格の一つである。
しかしながら、本発明の電荷輸送材料を、発光層を構成するホスト材料として使用する場合には、電子輸送性能および正孔輸送性能の両性能を有する化合物からなる事が適すると考えられる。その際においては正孔輸送性置換基が必要であるため、該化合物の分子内に正孔輸送性能を付与する置換基としてジアリールアミン骨格やカルバゾール環を有していることが好ましい。特に、本発明の電荷輸送材料に使用される化合物の主骨格であるピリジン環の電子輸送性能とのバランスを取るため、カルバゾール環を少なくとも1個有することが好ましく、2個以上がより好ましく、6個以下が好ましく、4個以下がより好ましく、3個以下が特に好ましい。分子内で、該カルバゾール環同士は互いに共役していてもよいが、分子内のピリジン環と該カルバゾール環は互いに共役していないことが好ましい。
本発明の電荷輸送材料は、分子内に、置換基を有していてもよい2−ピリジル基および4−ピリジル基からなる群より選択された、2〜8個のピリジル基を含み、該ピリジル基が、すべて連結基Qに結合しており、該ピリジル基は互いに、連結基Qを介して実質的に共役していないことを特徴とする化合物からなる電荷輸送材料であることが好ましい。
但し、該化合物は、1分子中に複数の2−ピリジル基が含まれる場合、各々が有する置換基は同一であってもよいし、異なっていてもよい。また、1分子中に複数の4−ピリジル基が含まれる場合、各々が有する置換基は同一であってもよいし、異なっていてもよい。さらに、1分子中に含まれる全てのピリジン環の2,4,6−位は、連結基Qまたは任意の置換基と結合している。
本発明の電荷輸送材料において、連結基Qとは「分子中のピリジル基が、すべて連結基Qに結合しており、該ピリジル基のうち、任意の2個のピリジル基がいずれも、連結基Qを介して実質的に共役していない」、2〜8価のものであればよく、これを満たす限り、特に制限はない。
ピリジル基同士が、連結基Qを介して共役している場合とは、例えば、分子中の2以上のピリジル基が、直接結合、
Figure 0004561221
、またはこれらを組み合わせてなる部分構造で連結されている場合が挙げられる。(G1 ないしG3は各々独立に、水素原子または任意の置換基を表すか、あるいは、芳香族炭化 水素環や芳香族複素環の一部を構成する。)すなわち、本発明は、前記共役している場合に該当しないものである。
但し、上記構造を含む連結基Qを介して、2以上のピリジル基が結合している場合でも、該連結基Qと、これを介して結合した2以上のピリジル基が、実質的に同一平面上に存在し得ない構造である場合(例えば、連結基Qがo−フェニレン基であり、これに2つのピリジル基が結合している場合など)は、「(ピリジル基同士が、連結基Qを介して)実質的に共役していない」場合に相当し、本発明に含まれる。
(Q)
この様な連結基Qとしては、後述する一般式(I)における−Z1−Q0−Z1−、−Z1−Q0−Z2−、および−Z2−Q0−Z2−等が挙げられるが、これらに限定されるもので はない。
本発明の電荷輸送材料において、化合物の分子中に含まれるピリジン環同士が共役可能であると、該化合物の酸化還元電位差が縮小してしまったり、ピリジン環上への正孔受容性が改善されてしまうため、酸化劣化を助長してしまうと考えられる。
本発明の電荷輸送材料として、より好ましくは、下記一般式(I)で表される化
合物が挙げられる。
Figure 0004561221
(式中、R1、R3,R5およびR8は、各々独立に、水素原子または任意の置換基を表し、R2、R4、R6およびR7は、各々独立に任意の置換基を表す。
1は、直接結合または環Aと共役可能な電子を有する2価の連結基を表す。
2は、直接結合または環Bと共役可能な電子を有する2価の連結基を表す。連結基Q0は1分子中に含まれる、環Aおよび環Bからなる群より選ばれた任意の2つを、実質的に共役不可能とすることができる、(m+n)価の連結基を表す。mは0〜8の整数であり、nは0〜8の整数であり、mとnの総和は2〜8の整数である。
なお、mおよび/またはnが2以上の場合、1分子中に含まれる複数個のR1ないしR8
は、各々、同一であっても異なっていてもよく、1分子中に含まれる複数個のZ1および Z2は、各々、同一であっても異なっていてもよい。)
一般式(I)において、1分子中に含まれる環Aおよび環Bからなる群より選ばれた任意の2つのピリジル基は、−Z1−Q0−Z1−、−Z1−Q0−Z2−、または−Z2−Q0−Z2−を介して、互いに共役していない。
(Z1,Z2
一般式(I)におけるZ1およびZ2は、直接結合であるか、連結基Q0と、環Aまたは 環Bとを結合する、共役可能な電子を有する連結基であれば任意のものを適用可能である。
具体的には、
置換基を有してもよいアルケン基(アルケン由来の基)、
置換基を有してもよいアルキン基(アルキン由来の基)、
置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、
置換基を有していてもよい芳香族複素環基、
或いはこれらが2以上結合してなる基等が挙げられる。
各々の具体例としては、R1〜R8の例として後述する1価の基に、対応する2価の基が挙げられる。これらが有しうる置換基としても、R1〜R8におけると同様の基が挙げられる。
1およびZ2として、電気的還元耐久性の観点から好ましくは直接結合、置換基を有していてもよいアルケン基、置換基を有していてもよいアルキン基、または置換基を有して

いてもよい芳香族炭化水素基であり、高い三重項励起準位および大きな酸化還元電位差の点から特に好ましくは、直接結合または置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基である。Z1及びZ2それぞれの分子量は、その置換基も含めて、好ましくは400以下、更に好ましくは250以下である。
連結基Z1またはZ2として、より好ましい例を以下に示す。
Figure 0004561221
Figure 0004561221
Figure 0004561221
Figure 0004561221
Figure 0004561221
(上記各構造中、L6ないしL8は各々独立に、アルキル基、芳香族炭化水素基、またはアルキル置換芳香族炭化水素基を表す。
具体的には、メチル基、エチル基、イソプロピル基、tert-ブチル基などの、炭素数1 〜6程度のアルキル基;フェニル基、ナフチル基、フルオレニル基などの、炭素数6〜18程度の芳香族炭化水素基;トリル基、メシチル基、2,6−ジメチルフェニル基などの、総炭素数7〜30程度のアルキル置換芳香族炭化水素基、などが挙げられる。
なお、上記構造はいずれもL6ないしL8の他にも置換基を有していてもよいが、自身が
結合するピリジン環等の電子状態に強く影響を及ぼしてしまうと、酸化還元電位差が狭くなってしまうおそれがあるため、電子供与性・電子吸引性が共に小さく、かつ、分子内共役長の広がりをもたらしにくい基を選択することが好ましい。このような基の具体例としても、やはりアルキル基、芳香族炭化水素基、アルキル置換芳香族炭化水素基等が挙げられ、具体例としては、上記L6〜L8として挙げた基と同様の基が挙げられる。なお、1分子中に上記構造を2個以上有する化合物の場合、1分子中に含まれる2個以上のL6〜L8は、同一であっても異なっていてもよい。)
上記例示構造のうち、酸化還元電位差を十分に広くする観点と繰返し電気酸化還元耐久性の観点から、Z−1(直接結合),Z−2〜21,28,29,31〜35,48〜52,56〜60が好ましく、Z−1(直接結合),Z−2,3,4,5,8,10,12,15,16,17,19,28,29,31,33,34,52,56〜58がより好ましく、Z−1(直接結合),Z−2,5,8,12,19,28,29が更に好ましく、Z−1(直接結合),Z−2,19が最も好ましい。
(Q0
連結基Q0は1分子中に含まれる、環Aおよび環Bからなる群より選ばれた任意の2つ を、実質的に共役不可能とする、(m+n)価の連結基を表す。具体的には、
置換基を有していてもよいアルカン基(アルカン由来の基)、
置換基を有していてもよいアルケン基、
置換基を有していてもよいアルキン基、
−NRa−(但し、Raは任意の置換基)、−O−、−CO−、−COO−、−SO− 、−SO2
置換基を有していてもよいアミド基、
置換基を有していてもよいシリル基、
置換基を有していてもよいボリル基、
置換基を有していてもよいホスフィノ基、
置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、
置換基を有していてもよい芳香族複素環基、
またはこれらが2以上結合してなる基などが挙げられる。
これらのうち、酸化還元電位差を十分に広くする観点と繰返し電気酸化還元耐久性の観点から、Q0として好ましくは、置換基を有していてもよいアルカン基、−NRa−、置 換基を有していてもよいシリル基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、または置換基を有していてもよい芳香族複素環基が挙げられ、更には、高い電子輸送性及び正孔阻止性を望めることからも、より好ましくは、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基或いはピリジレン基(ピリジン環由来の2価の基)が挙げられ、特に好ましくは、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基が挙げられる。Q0の分子量としては、その置換 基も含めて、好ましくは400以下、更に好ましくは250以下である。
尚、Q0がピリジレン基の場合は、Z1及び/又はZ2として、ピリジン環どうしを共役 させ得ない基を有することが好ましい。
各々の具体例としては、R1〜R8の例として後述する1価の基に対応する、(m+n)価の基が挙げられる。これらが有しうる置換基、および該置換基のうち好ましいものも、R1〜R8におけるものと同様である。
またRaとしても、R1〜R8として後述する基と同様の基が挙げられ、好ましいものも同様である。
以下に、連結基Q0の好ましい具体例を示すが、これらに限定されるものではない。
Figure 0004561221
Figure 0004561221
Figure 0004561221
Figure 0004561221
Figure 0004561221
(上記各構造中、L10およびL11は各々独立に、アルキル基、芳香族炭化水素基、またはアルキル置換芳香族炭化水素基を表す。
具体的には、メチル基、エチル基、イソプロピル基、tert-ブチル基などの、炭素数1 〜6程度のアルキル基;フェニル基、ナフチル基、フルオレニル基などの、炭素数6〜18程度の芳香族炭化水素基;トリル基、メシチル基、2,6−ジメチルフェニル基などの、総炭素数7〜30程度のアルキル置換芳香族炭化水素基、などが挙げられる。
なお、上記構造はいずれもL10ないしL11の他にも置換基を有していてもよいが、自身が結合するピリジン環等の電子状態に強く影響を及ぼしてしまうと、酸化還元電位差が狭くなってしまうおそれがあるため、電子供与性・電子吸引性が共に小さく、かつ、分子内共役長の広がりをもたらしにくい基を選択することが好ましい。このような基の具体例としても、やはりアルキル基、芳香族炭化水素基、アルキル置換芳香族炭化水素基等が挙げられ、具体例としては、上記L10およびL11として挙げた基と同様の基が挙げられる。なお、1分子中に上記構造を2個以上有する化合物の場合、1分子中に含まれる2個以上のL10およびL11は、同一であっても異なっていてもよい。)
中でも、十分に広い酸化還元電位差を得る観点、優れた電気酸化還元耐久性を発現する観点、および適度な電子輸送性の観点から、Q−1〜4,7〜13,19〜23,29,34〜43,45,51〜61が好ましく、Q−1,8〜13,19,20,21,23,34,35〜42,45,55〜61がより好ましく、Q−1,8〜12,20,21,23,34,35,45,58,61が更に好ましく、Q−1,11,12,23,35が最も好ましい。
(R1〜R8
一般式(I)におけるR1、R3,R5およびR8は、各々独立に、水素原子または任意の置換基を表し、R2、R4、R6およびR7は、各々独立に任意の置換基を表す。R1ないし R8に用いうる任意の基として、具体的には、例えば 置換基を有していてもよいアルキ ル基(好ましくは炭素数1から8の直鎖または分岐のアルキル基であり、例えばメチル、エチル、n-プロピル、2-プロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル基などが挙げら れる。)
置換基を有していてもよいアルケニル基(好ましくは、炭素数2から9のアルケニル基であり、例えばビニル、アリル、1-ブテニル基などが挙げられる。)、
置換基を有していてもよいアルキニル基(好ましくは、炭素数2から9のアルキニル基であり、例えばエチニル、プロパルギル基などが挙げられる。)、
置換基を有していてもよいアラルキル基(好ましくは、炭素数7から15のアラルキル基であり、例えばベンジル基などが挙げられる。)、
置換基を有していてもよいアミノ基[好ましくは、置換基を有していてもよい炭素数1

から8のアルキル基を1つ以上有するアルキルアミノ基(例えばメチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジベンジルアミノ基などが挙げられる。)、 置換基を有していてもよい炭素数6〜12の芳香族炭化水素基を有するアリールアミノ基(例えばフェニルアミノ、ジフェニルアミノ、ジトリルアミノ基などが挙げられる。)、
置換基を有していてもよい、5または6員環の芳香族複素環を有するヘテロアリールアミノ基(例えばピリジルアミノ、チエニルアミノ、ジチエニルアミノ基などが含まれる。)、
置換基を有していてもよい、炭素数2〜10のアシル基を有するアシルアミノ基(例えばアセチルアミノ、ベンゾイルアミノ基などが含まれる。)]、
置換基を有していてもよいアルコキシ基(好ましくは置換基を有していてもよい炭素数1〜8のアルコキシ基であり、たとえばメトキシ、エトキシ、ブトキシ基などが含まれる)、
置換基を有していてもよいアリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜12の芳香族炭化水素基を有するものであり、例えばフェニルオキシ、1−ナフチルオキシ、2−ナフチルオキシ基などが含まれる。)、
置換基を有していてもよいヘテロアリールオキシ基(好ましくは5または6員環の芳香族複素環基を有するものであり、例えばピリジルオキシ、チエニルオキシ基などが含まれる)、
置換基を有していてもよいアシル基(好ましくは、置換基を有していてもよい炭素数2〜10のアシル基であり、例えばホルミル、アセチル、ベンゾイル基などが含まれる)、

置換基を有していてもよいアルコキシカルボニル基(好ましくは置換基を有していてもよい炭素数2〜10のアルコキシカルボニル基であり、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニル基などが含まれる)、
置換基を有していてもよいアリールオキシカルボニル基(好ましくは置換基を有していてもよい炭素数7〜13のアリールオキシカルボニル基であり、例えばフェノキシカルボニル基などが含まれる)、
置換基を有していてもよいアルキルカルボニルオキシ基(好ましくは置換基を有していてもよい炭素数2〜10のアルキルカルボニルオキシ基であり、例えばアセトキシ基などが含まれる。)、
ハロゲン原子(特に、フッ素原子または塩素原子)、
カルボキシル基、
シアノ基、
水酸基、
メルカプト基、
置換基を有していてもよいアルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜8までのアルキルチオ基であり、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基などが含まれる。)、
置換基を有していてもよいアリールチオ基(好ましくは炭素数6〜12までのアリールチオ基であり、例えば、フェニルチオ基、1―ナフチルチオ基などが含まれる。)、
置換基を有していてもよいスルホニル基(例えばメシル基、トシル基などが含まれる)、
置換基を有していてもよいシリル基(例えばトリメチルシリル基、トリフェニルシリル基などが含まれる)、
置換基を有していてもよいボリル基(例えばジメシチルボリル基などが含まれる)、
置換基を有していてもよいホスフィノ基(例えばジフェニルホスフィノ基などが含まれる)、
置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基(例えばベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ペリレン環、テトラセン環、ピレン環、ベンズピレン環、クリセン環、トリフェニレン環、フルオランテン環などの、5または6員環の単環また
は2〜5縮合環由来の1価の基が含まれる)
または置換基を有していてもよい芳香族複素環基(例えばフラン環、ベンゾフラン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、オキサジアゾール環、インドール環、カルバゾール環、ピロロイミダゾール環、ピロロピラゾール環、ピロロピロール環、チエノピロール環、チエノチオフェン環、フロピロール環、フロフラン環、チエノフラン環、ベンゾイソオキサゾール環、ベンゾイソチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、トリアジン環、キノリン環、イソキノリン環、シノリン環、キノキサリン環、ベンゾイミダゾール環、ペリミジン環、キナゾリン環などの、5または6員環の単環または2〜4縮合環由来の1価の基が含まれる)
などが挙げられる。
1〜R8の分子量は、その置換基も含めて、それぞれ、好ましくは400以下、更に好ましくは250以下である。
(R1〜R8の置換基)
これらが有しうる置換基としては、本発明の電荷輸送材料の性能を損なわない限り特に制限はないが、好ましくはアルキル基、芳香族炭化水素基、またはアルキル置換芳香族炭化水素基である。各々の具体例としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基、tert-
ブチル基などの、炭素数1〜6程度のアルキル基;フェニル基、ナフチル基、フルオレニル基などの、炭素数6〜18程度の芳香族炭化水素基;トリル基、メシチル基、2,6−ジメチルフェニル基などの、総炭素数7〜30程度のアルキル置換芳香族炭化水素基、などが挙げられる。
2、R4、R6およびR7は、上記いずれの基であってもよいが、電気的酸化還元耐久性を向上させる観点および耐熱性を向上させるから、芳香環基(本発明では、芳香族炭化水素基と芳香族複素環基を総称して「芳香環基」と呼ぶことがある。)であるのが好ましい。
以下に、R1ないしR8が芳香環基である場合の具体例を示す。
Figure 0004561221
Figure 0004561221
Figure 0004561221
(上記各構造中、L1ないしL3は各々独立に、アルキル基、芳香族炭化水素基、またはアルキル置換芳香族炭化水素基を表す。L4およびL5は、各々独立に、水素原子、アルキル基、芳香族炭化水素基、またはアルキル置換芳香族炭化水素基を表す。
アルキル基、芳香族炭化水素基、またはアルキル置換芳香族炭化水素基として、具体的には、メチル基、エチル基、イソプロピル基、tert-ブチル基などの、炭素数1〜6程度 のアルキル基;フェニル基、ナフチル基、フルオレニル基などの、炭素数6〜18程度の芳香族炭化水素基;トリル基、メシチル基、2,6−ジメチルフェニル基などの、総炭素数7〜30程度のアルキル置換芳香族炭化水素基、などが挙げられる。
なお、上記構造はいずれも、L1ないしL5の他にも置換基を有していてもよいが、自身が結合しているピリジン環上の電子状態に強く影響を及ぼしてしまうと、酸化還元電位差が狭くなってしまうおそれがあるため、電子供与性・電子吸引性が共に小さく、かつ、分子内共役長の広がりをもたらしにくい基を選択することが好ましい。このような基の具体例としても、やはりアルキル基、芳香族炭化水素基、アルキル置換芳香族炭化水素基等が挙げられる。
なお、1分子中に上記構造を2個以上有する化合物の場合、1分子中に含まれる2個以上のL1〜L5は、同一であっても異なっていてもよい。)
前記例示構造のうち、広い酸化還元電位差を与える観点から、R−1〜6、10〜13、33、34、38、45、48が好ましく、R−1〜6、48がより好ましく、R−1、4〜6、48が最も好ましい。
1、R3、R5およびR8は、例えば本発明の電荷輸送材料を有機電界発光素子の発光層材料に適用する場合、分子振動を制限して発光効率を損なわないようにする観点から、置換基を有していてもよいアルキル基、または置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基(中でも炭素数6〜12程度の芳香族炭化水素基)が好ましく、大きな酸化電位あるいは、長寿命化(優れた酸化還元耐性)を持たせる観点からは、水素原子または芳香族炭化水素基がより好ましく、水素原子またはフェニル基が特に好ましい。
前記一般式(I)で表される化合物は、分子内の互いに実質的に共役し得ない位置にピリジン環を2つ以上有している点に最大の特徴があり、これによって優れた電子輸送性と広い酸化還元電位差を発現する。他方、ピリジン環が多すぎると化合物としての塩基性が強くなりすぎ、発光層やこれに接する層などに含まれる場合、長時間の電界印加により配位子交換を生じる危険性がある。そうした観点から、Q0と結合したZ1およびZ1に結
合した環Aの数を表すmと、Q0と結合したZ2およびZ2に結合した環Bの数を表すnと の総和は2〜8の整数が好ましく、2〜6がより好ましく、2〜4が更に好ましく、2〜3が最も好ましい。
尚、前記mは0〜8の整数であり、好ましくは0〜4の整数である。また、前記nは0〜8の整数であり、好ましくは0〜4の整数である。
また、酸化還元電位差を大きくする点、及び、繰り返しの酸化還元耐久性の点から、mは0または1、及び、nは1以上の整数であることが好ましい。
酸化還元電位差を大きくする観点からは、2−ピリジル基(即ち、環A)の方が好ましい。よってnが0である場合が好ましい。また、繰り返しの酸化還元耐久性あるいは耐熱性の観点からは、4−ピリジル基(即ち、環B)の方が好ましい。すなわち、mが0である場合が好ましい。
また、本発明の電荷輸送材料は、同一の電気化学的特性を持つピリジン環のみで構成される方が、基本的には酸化還元電位差を大きくしたり、電気的応力の集中による電気劣化の進行を抑制することができるため、nまたはmが0である場合が好ましい。但し、湿式製膜法などを適用して本発明の有機化合物の薄膜を形成する際に溶解性を向上させたい場合には、敢えて異なる置換基を有するピリジン環を用いる(即ち、mおよびnを、いずれも1以上の整数とする)ことも有効な手段である。
また、nまたはmが0であり、環Aまたは環Bの一方のみ有する化合物において、環Aまたは環B上の置換基(R1〜R4またはR5〜R8)だけが、環毎に異なる場合などは、置換基の選択を工夫して、多少異なる電気化学的特性を有する置換ピリジン環を分子内に共存させることも、有機EL素子としての素子構成最適化を行う際には材料特性の微調整手段として有効である。
尚、本発明の電荷輸送材料を有機電界発光素子に使用する場合、1)発光層を構成するホスト材料として用いるときは、適度に優れた正孔輸送性および電子輸送性を兼ね備えていることが望ましく、電子供与性置換基(例えば、アルキル基、アミノ基、アルコキシ基など)を分子内に持ち合わせているものが好ましく、とりわけ芳香族アミノ基を含んでいるのが更に好ましい。芳香族アミノ基、すなわちジアリールアミン骨格を有することが好ましいことは、前述の通りである。但し、このとき、ピリジン環と電子供与性のヘテロ原子とが、実質的に共役し得ない構造であることが好ましい。これらが共役することにより、分子内での電荷の分極現象が顕著になり、酸化還元電位差が小さくなったり、三重項励起準位が低下するおそれがある。なお、イリジウム錯体などに代表される金属錯体をドーパントとして含んだ系においては、通常、ドーパントが自ら正孔を受け入れ、かつ輸送することが可能なものがあり、ホスト材料に、敢えて正孔輸送能を付与する必要がないケースもある。この場合はむしろ、2)として以下に説明するように、電子輸送性を高めると考えられる構造とすることが好ましい。
2)電子輸送材料および/または正孔阻止材料として用いるときは、正孔輸送性を抑え、電子輸送性を強めるのが望ましく、電子供与性置換基(例えば、アルキル基、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基など)を分子内に持ち合わせていないものが好ましく、とりわけジアリールアミン骨格を含む基を有さないものが更に好ましい。
(Q0の置換基)
一般式(I)における連結基Q0は、任意の基で置換されていてもよい。
該置換基としては、例えば、R1〜R8として前述した基と同様の基が挙げられる。
一般式(I)で表される化合物に、適度に広い酸化還元電位差を持たせる目的においては、Q0は無置換であるか、もしくは炭化水素基で置換されている場合が好ましく、分子 振動を制限する観点から、より好ましくは、無置換(水素原子)、メチル基、フェニル基であり、最も好ましくは無置換(水素原子)である。
前記一般式(I)で表される化合物の分子量は、通常、4000以下、好ましくは3000以下、より好ましくは2000以下であり、また通常200以上、好ましくは300以上、より好ましくは400以上である。分子量が上限値を越えると、昇華性が著しく低下して電界発光素子を制作する際に蒸着法を用いる場合において支障を来す場合があり、また分子量が下限値を下回ると、ガラス転移温度および、融点、気化温度などが低下するため、耐熱性が著しく損なわれるおそれがある。
以下に、本発明の電荷輸送材料として好ましい具体的な例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 0004561221
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Figure 0004561221
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本発明の電荷輸送材料に用いられる化合物は、目的とする化合物の構造に応じて原料を選択し、公知の手法を用いて合成することができる。
例えば、
A)原料としてZ−(CHO)を用いた場合、
1) Angew. Chem. Int. Ed. Engl. (1962) 1, 626 や Synthesis (1976), 1-24 やJ. Heterocyclic Chem. (1977) 14, 147 や Collect. Czech. Chem. Commun. 57(1992) 2, 385
-392 やCS−262585号公報などで開示されている、1当量のアルデヒドと0.5 〜2当量のアセチリドとを、硫酸などの強酸存在下で酢酸、アルコール、ニトロベンゼン、トルエン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、シクロヘキサンなどの単独または混合溶媒中、室温で1〜10時間撹拌して、あるいは水酸化ナトリウムなどの強塩基存在下、アルコールおよび/または水溶媒中、加熱条件下で1〜10時間撹拌して、中間体(−CH=CR−CO−)を得、これを酢酸溶媒中、加熱条件下、酸素存在下、アシルピリジニウム塩と酢酸アンモニウムを作用させて合成する方法、
Figure 0004561221
2) Liebigs Ann. Chem. (1974), 1415-1422 や J. Org. Chem. 38, (2002) 6,830-832 や特開2000−186066号公報などで開示されている、ボロントリフルオリドや過塩素酸などの酸化剤存在下、加熱条件でトルエン溶媒中、アルデヒドとアセチリドとを反応させ、ピリリウム塩を生成し、それを水やアルコール溶媒中でアンモニアと反応させる方法、
Figure 0004561221
3) J. Am. Chem. Soc. (1952) 74, 200などに開示されている、酢酸、アルコール、ニ トロベンゼン、トルエン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、シクロヘキサンなどの単独または混合溶媒中、加熱条件下、酢酸アンモニウムとアルデヒドとアセチリドから一段階で合成する方法、
Figure 0004561221
4) Chem. Commun. (Cambridge) (2000) 22, 2199-2200などに開示されている、水酸化 ナトリウムなどの強塩基存在下、無溶媒でアルデヒドと2当量のアセチリドを室温で、乳鉢を用いてすり混ぜて中間体(ジケトン)を生成した後、酢酸、アルコール、ニトロベンゼン、トルエン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、シクロヘキサンなどの単独または混合溶媒中、加熱条件下で酢酸アンモニウムを作用させて合成する方法、
Figure 0004561221
5) J. Org. Chem. (1988), 53, 5960 などに開示されている、アルデヒドとエチリデンビニルアミンから一段階で合成する方法、
Figure 0004561221
などが適用可能である。
B)2,4,6−位の少なくとも一カ所に塩素や臭素やヨウ素などのハロゲン原子が置換されたピリジン環を原料に用いると、前記ハロゲン元素を任意の置換基に変換が可能である。
例えば、Org. Lett. 3 (2001) 26, 4263-4265 などに開示されている、パラジウム触媒存在下、加熱条件でジンクブロマイドやボロン酸を作用させることによって合成する方法が挙げられる。
Figure 0004561221
C) その他、各種置換基の導入、連結基Zの形成において、必要に応じ、任意に公知の手法を適用することができる。例えば、Zが直接結合の場合、
1) アルデヒドとしてパラホルムアルデヒド、アセチリドとして芳香族アシル化合物を 用い、2,6−位に芳香環基を有するピリジンを合成し、これをN−ブロモスクシンイミドなどのハロゲン化剤を用いてピリジン環の4−位をハロゲン化してハロゲン体を得、そのハロゲン原子を−B(OH)2基や−ZnCl基や−MgBr基に変換したものと、前 記ハロゲン体とをカップリング反応させて合成する方法、
2) 前記ハロゲン体を、n−ブチルリチウムなどでリチオ化後、N,N−ジメチルホル ムアミドで処理することで、2,6−位に芳香環基を有し、4−位に−CHO基を有するピリジンを合成した後、アセチリドと反応させて第二のピリジン環を合成する方法、
3) 前記B)の出発原料として挙げた2,6−ジクロロ−4−ヨードピリジンを塩基存 在下、銅粉末などの銅触媒を用いて、150〜250℃で加熱撹拌することにより、2,6,2‘,6’−テトラクロロ−[4,4‘]ビピリジルを合成し、これを前記Bと同様に処理することで合成する方法などが挙げられる。
尚、合成する際に用いられるアルデヒド(R−CHO)は、通常入手可能な試薬を適宜利用可能であるが、必要があれば、
1)
例えばハロゲン化物(R−X)や活性水素原子を有する炭化水素化合物(R−H)をブチルリチウムなどのアルキルリチウム、水素化ナトリウム、トリエチルアミン、tert−ブトキシカリウム、水酸化ナトリウムなどの強塩基(好ましくはブチルリチウムなどのアルキルリチウム)を作用させた後、N,N−ジメチルホルムアミドで処理する方法(Organic & Biomolecular Chemistry (2003) 1, 7, 1157-1170; Tetrahedron Lett. 42 (2001) 37, 6589-6592)、
2)
-CO2R基(Rは水素原子、塩素原子、アルキル基、芳香環基、アミノ基)をリチウムアルミニウムハイドライド、水素化硼素ナトリウム等で還元して、アルコール化後、ピリジニウムクロロクロメート、二酸化マンガン、アイオドキシベンゾイックアシッド、パーオキソジスルフェート、2,3-ジクロロ-5,6-ジシアノ-1,4-ベンゾキノン等で酸化して-CHO化する方法(J. Med. Chem. (1990) 33, 2408-2412; Angew. Chem., Int. Ed. 40 (2001) 23, 4395-4397; J. Am.Chem. Soc. (2002) 124, 10, 2245-58; J. Am. Chem. Soc. (1993) 115, 9, 3752-3759; J. Chem. Res., Synop. (2001) 7, 274-276; Synthesis (2001) 15, 2273-2276; Bull. Korean Chem. Soc. 20 (1999) 11, 1373-1374; Arzneim.-Forsch. 47 (1997) 1, 13-18; J. Org. Chem. 63 (1998) 16, 5658-5661; J. Chem. Soc. Sec. C; Organic (1968) 6, 630-632)、
3)
-CO2R基(Rは水素原子、塩素原子、アルキル基、芳香環基、アミノ基)をリチウムトリス(ジアルキルアミノ)アルミニウムハイドライド、ソディウムトリス(ジアルキルアミノ)アルミニウムハイドライドなどで還元し、一段階で-CHO化する方法(Bull. Korean Chem.Soc., 13 (1992) 6, 670-676; Bull. Korean Chem. Soc., 12 (1991) 1, 7-8; Org. Prep. Proced. Int. 24 (1992) 3,335-337)、
4)
-CO2R基(Rは水素原子、塩素原子、アルキル基、芳香環基、アミノ基)を水素とパラジウム触媒の存在下、一段階で-CHO化する方法(Chem. Ber. (1959) 92, 2532-2542; WO 00/12457; Bull. Chem. Soc. Jpn. (2001) 74, 1803-1815)、
5)
-CN基をリチウムトリス(ジアルキルアミノ)アルミニウムハイドライドなどで還元し、 一段階で-CHO化する方法(Bull. Korean Chem. Soc., 13 (1992) 6,670-676;
6)
Ar-CH3基(Arは芳香環基)にo-Iodylbenzoic acid, Dess-Martin periodinane, Acetoxyiodosylbenzoic acidなどを作用させて、直接、Ar-CHO化する方法(J. Am. Chem. Soc. (2002) 124, 10, 2245-58)、
7)
Ar-CH3基(Arは芳香環基)をAr-CH2Br、Ar-CH2OAcOを経由してAr-CH2OHに変換後、ピリジニウムクロロクロメート、二酸化マンガン、アイオドキシベンゾイックアシッド等で酸化して-CHO化する方法(J. Org. Chem. (1993) 58, 3582-3585)、
8)
1-エチル-1-アリールアリルアルコールにVilsmeier試薬を作用させて、アリールカルボキシアルデヒドを合成する方法(Indian Journal of Chemistry (1988) 27B, 213-216)、
9)
1,4-Cyclohexadiene類にVilsmeier試薬を作用させて、アリールカルボキシアルデヒドを 合成する方法(Synthesis (1987), 197-199; Synthesis (1985), 779-781)
10)
Ar-CH3基(Arは芳香環基)を臭素、N-ブロモ琥珀酸イミドなどを用いて臭素化してAr-CH2Brとした後、2-Nitropropane carboanion試薬、Hexamethylenetetramine等を作用させ てAr-CHO化する方法(Collect. Czech. Chem. Commun. (1996) 61, 1464-1472; Chem. Eur. J. (1996) 2, 12, 1585-1595; J. Chem. Research (S), (1999) 210-211)、
11)ポリメチニウム塩(ヘプタメチニウム塩など)からアリールアルデヒド(1,3,5-
トリホルミルベンゼンなど)を得る方法(Collect. Czech. Chem. Commun. (1965) 30, 53-60)、
12)
トリホルミルメタンのself-condensationにより、1,3,5-トリホルミルベンゼンを得る方 法(Collect. Czech. Chem. Commun. (1962) 27, 2464-2467)、
13)Ar-CHBr2基(Arは芳香環基)をジアルキルアミンを用いてAr-CHO化する方法(Bulletin de La Societe Chmique De France (1966) 9, 2966-2971)
などにより、容易に合成することが可能である。
該化合物を合成する際に用いられるケトン(R−CO−CH2−R)は、通 常入手可能な試薬を適宜利用可能であるが、必要があれば、
1)
Rc-CO2R基(Rは水素原子、塩素原子、アルキル基、芳香環基、アミノ基)を各種アルキル化剤(アルキルリチウム、ジメチル硫酸、ジメチルスルホキシドなど)で処理することにより、Rc-CO-CH2Rb化する方法(J. Am. Chem. Soc. (1959), 81, 935-939; J. Am. Chem. Soc. (1961) 83, 4668-; Tetrahedron Lett. (1967) 1073-; J. Chem. Soc. (1960) 360-;J. Chem. Soc., Perkin Trans. 1 (1977) 680; JP5-5062039)、
2)
塩化アルミニウムなどのルイス酸触媒存在下、酸クロライドなどのアシル化剤を作用させて合成する方法(極めて一般的な、フリーデルクラフツ反応)などにより、容易に合成することが可能である。
また、反応生成物から、目的物を常法に従って、ろ過または抽出後、濃縮することにより溶媒から分離し、適宜、再結晶化、カラムクロマトグラフィー等の手法により、精製して本発明の化合物を得ることができる。
連結基Z1,Z2,Q0,R1〜R8がヘテロ環である場合、その前駆体を通常入手可能な 試薬として、あるいは、「ヘテロ環の化学−医薬品の基礎」(2002年、國枝ら、化学同仁社)や「Heterocyclic Chemistry」(第4版、2000年、J.A.Jouleand K.Mills、Blackwell Science社)に記載または引用されている合成方法を用いて合成するなどして入手し、 得られた該前駆体らを、上述の合成方法や、あるいは
「Palladium in Heterocyclic Chemistry : A guide for the Synthetic Chemist」(第 二版(2002)、Jie Jack Li and Gordon W. Gribble、Pergamon社)や「遷移金属が拓く有 機合成 その多彩な反応形式と最新の成果」(1997年、辻二郎、化学同仁社)などに記載または引用されている環同士の結合(カップリング)反応を行うことで、目的物を合成することも可能である。
本発明の電荷輸送材料を有機電界発光素子に適用した場合、発光層にドーパントとして燐光発光性色素である有機金属錯体を用いるときに、特に優れた発光効率と駆動寿命をもたらす。中でも、前記有機金属錯体が、2−アリールピリジン系配位子と金属元素とが、炭素−金属シグマ結合および窒素−金属配位結合によって連結されているものであるときに、効果が顕著である。従って、有機金属錯体としては、2−アリールピリジン系配位子を有することが好ましい。
中心金属としては、生成する錯体の発光機構が少なくとも配位子軌道から金属原子軌道への電荷移動を伴うものを含んでいるものであるのが好ましい。
本発明の電荷輸送材料をドーパントと同一の層(発光層)および/またはそれに隣接した層(正孔阻止層および/または電子輸送層)に適用すると、前記電荷輸送材料は、2−アリールピリジン系配位子との物理化学的な類似性、電気化学的な類似性、三重項励起準位の類似性などが効果を発揮して、ドーパント上での電荷の再結合効率向上、ホスト分子
からドーパントへのエネルギー移動効率向上、発光層−正孔阻止層間での励起子失活確率低減などがもたらされるのである。
本発明の電荷輸送材料は、高い電荷輸送性を有するため、電荷輸送性材料として電子写真感光体、有機電界発光素子、光電変換素子、有機太陽電池、有機整流素子等に好適に使用できる。特に電子輸送性に優れることから電子輸送性の化合物として好適である。
また本発明の電荷輸送材料を用いることにより、耐熱性に優れ、長期間安定に駆動(発光)する有機電界発光素子が得られるため、有機電界発光素子材料として好適である。
次に、本発明の有機電界発光素子について説明する。
本発明の有機電界発光素子は、陽極、陰極、およびこれら両極間に設けられた有機発光層(以下、単に「発光層」と称する場合がある)を有し、本発明の電荷輸送材料を含む層を有することを特徴とする。本発明の素子は少なくとも、陽極、陰極、およびこれら両極間に設けられた発光層を有していればよい。
本発明の電荷輸送材料は、光学的バンドギャップが広く、また適度な電子輸送性を有するため、特に発光層の陰極側に接して設ける層(以下、「正孔阻止層」と称す)に使用すると有効である。
尚、本発明の電荷輸送材料は、有機電界発光素子を構成するいずれの層にも使用することができる。特に、前述の通り、有機発光層(以下、単に、発光層と言うことがある)及び発光層と陰極との間に設けられる電子輸送性の層に使用することが好ましい。また、発光層に必ずしも接している必要はないが、本発明の電荷輸送材料に用いられる化合物の特性を有効に生かすには、正孔阻止層の材料として使用することが好ましい。尚、通常は、発光層の陰極側界面に接する層を正孔阻止層と言う。
また、発光層の材料、特にホスト材料として使用する場合には、高い発光効率を示す有機電界発光素子を得ることが出来るため好ましい。特に、本発明の電荷輸送材料を、発光層に使用した場合、ピリジン環に由来する適度なLUMOレベルを有する為、発光層内に適度に電子が注入され、正孔輸送層から注入された正孔と発光層内で効果的に再結合が起こる。それ故、正孔阻止層を有さない有機電界発光素子の発光層としても使用することができる。
更には、複数の層に本発明の電荷輸送材料を使用してもよく、特に発光層と正孔阻止層の両層に使用することが好ましい。発光層と正孔阻止層の両層に、本発明の電荷輸送材料を使用することにより、更に素子の寿命を長くすることが出来る。また、各層に本発明の電荷輸送材料を複数種使用してもよく、本発明の電荷輸送材料以外の電荷輸送材料と組み合わせて使用してもよい。
また、2以上の層に本発明の電荷輸送材料が含有されている場合、これらの層に含有される電荷輸送材料は同一のものであっても異なるものであってもよい。
なお、本発明の有機電界発光素子において、陰極−発光層間を「電子輸送層」と称し、2つ以上の場合は陰極に接している層を「電子注入層」、それ以外の層を総称して「電子輸送層」と称す。また、陰極−発光層間に設けられた層のうち、発光層に接している層を、特に「正孔阻止層」と称する場合がある。
以下に、添付図面を参照して、本発明の電荷輸送材料を正孔阻止層に含有する場合を例に、本発明の有機電界発光素子の実施の形態を詳細に説明する。
図1は本発明に用いられる一般的な有機電界発光素子の構造例を模式的に示す断面図であり、1は基板、2は陽極、4は正孔輸送層、5は発光層、6は正孔阻止層、8は陰極を各々表わす。
基板1は有機電界発光素子の支持体となるものであり、石英やガラスの板、金属板や金属箔、プラスチックフィルムやシートなどが用いられる。特にガラス板や、ポリエステル、
ポリメタクリレート、ポリカーボネート、ポリスルホンなどの透明な合成樹脂の板またはフイルムが好ましい。合成樹脂基板を使用する場合にはガスバリア性に留意する必要がある。基板のガスバリア性が小さすぎると、基板を通過した外気により有機電界発光素子が劣化することがあるので好ましくない。このため、合成樹脂基板の少なくとも片面に緻密なシリコン酸化膜等を設けてガスバリア性を確保する方法も好ましい方法の一つである。
基板1上には陽極2が設けられるが、陽極2は正孔輸送層4への正孔注入の役割を果たすものである。陽極2は、通常、アルミニウム、金、銀、ニッケル、パラジウム、白金等の金属、インジウム及び/またはスズの酸化物などの金属酸化物、ヨウ化銅などのハロゲン化金属、カーボンブラック、あるいは、ポリ(3−メチルチオフェン)、ポリピロール、ポリアニリン等の導電性高分子などにより構成される。陽極2は通常、スパッタリング法、真空蒸着法などにより形成されることが多い。また、銀などの金属微粒子、ヨウ化銅などの微粒子、カーボンブラック、導電性の金属酸化物微粒子、導電性高分子微粉末などで陽極2を形成する場合には、適当なバインダー樹脂溶液中に分散させて、基板1上に塗布することにより形成することもできる。さらに、導電性高分子で陽極2を形成する場合には、電解重合により基板1上に直接重合薄膜を形成したり、基板1上に導電性高分子を塗布して形成することもできる(Appl.Phys.Lett.,60巻,2711頁,1992年)。
陽極2は通常は単層構造であるが、所望により複数の材料からなる積層構造とすることも可能である。
陽極2の厚みは、必要とする透明性により異なる。透明性が必要とされる場合は、可視光の透過率を、通常60%以上、好ましくは80%以上とすることが望ましい。この場合、陽極の厚みは通常5nm以上、好ましくは10nm以上であり、また通常1000nm以下、好ましくは500nm以下程度である。不透明でよい場合は陽極2の厚みは任意であり、所望により金属で形成して基板1を兼ねてもよい。
図1に示す構成の素子において、陽極2の上には正孔輸送層4が設けられる。正孔輸送層の材料に要求される条件としては、陽極からの正孔注入効率が高く、かつ、注入された正孔を効率よく輸送することができる材料であることが必要である。そのためには、イオン化ポテンシャルが小さく、可視光の光に対して透明性が高く、しかも正孔移動度が大きく、さらに安定性に優れ、トラップとなる不純物が製造時や使用時に発生しにくいことが要求される。また、発光層5に接するために発光層からの発光を消光したり、発光層との間でエキサイプレックスを形成して効率を低下させないことが求められる。上記の一般的要求以外に、車載表示用の応用を考えた場合、素子にはさらに耐熱性が要求される。従って、ガラス転移温度Tgとして85℃以上の値を有する材料が望ましい。
このような正孔輸送材料としては、例えば、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニルで代表される2個以上の3級アミンを含み2個以上の縮合芳香族環が窒素原子に置換した芳香族ジアミン(特開平5−234681号公報)、4,4’,4''−トリス(1−ナフチルフェニルアミノ)トリフェニルアミン等のスターバースト構造を有する芳香族アミン化合物(J. Lumin., 72−74巻、985頁、1997年)、トリフェニルアミンの四量体から成る芳香族アミン化合物(Chem. Commun.,2175頁、1996年)、2,2’,7,7’−テトラキス−(ジフェニルアミノ)−9,9’−スピロビフルオレン等のスピロ化合物(Synth. Metals, 91巻、209頁、1997年)等が挙げられる。これらの化合物は、単独で用いてもよいし、必要に応じて、複数種混合して用いてもよい。
上記の化合物以外に、正孔輸送層4の材料として、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルトリフェニルアミン(特開平7−53953号公報)、テトラフェニルベンジジンを含
有するポリアリーレンエーテルサルホン(Polym. Adv. Tech., 7巻、33頁、1996年)等の高分子材料が挙げられる。 正孔輸送層4は、スプレー法、印刷法、スピンコート法、ディップコート法、ダイコート法などの通常の塗布法や、インクジェット法、スクリーン印刷法など各種印刷法等の湿式成膜法や、真空蒸着法などの乾式成膜法で形成することができる。
塗布法の場合は、正孔輸送材料を1種または2種以上を、必要により正孔のトラップにならないバインダー樹脂や塗布性改良剤などの添加剤を添加し、適当な溶剤に溶解して塗布溶液を調製し、スピンコート法などの方法により陽極2上に塗布し、乾燥して正孔輸送層4を形成する。バインダー樹脂としては、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエステル等が挙げられる。バインダー樹脂は添加量が多いと正孔移動度を低下させるので、少ない方が望ましく、通常、50重量%以下が好ましい。
真空蒸着法の場合には、正孔輸送材料を真空容器内に設置されたルツボに入れ、真空容器内を適当な真空ポンプで10-4Pa程度にまで排気した後、ルツボを加熱して、正孔輸送材料を蒸発させ、ルツボと向かい合って置かれた、陽極2が形成された基板1上に正孔輸送層4を形成させる。
正孔輸送層4の膜厚は、通常5nm以上、好ましくは10nm以上であり、また通常300nm以下、好ましくは100nm以下である。この様に薄い膜を一様に形成するためには、一般に真空蒸着法がよく用いられる。
図1に示す素子において、正孔輸送層4の上には発光層5が設けられる。発光層5は、電界を与えられた電極間において、陽極から注入されて正孔輸送層を移動する正孔と、陰極から注入されて正孔阻止層6を移動する電子との再結合により励起されて強い発光を示す発光性化合物より形成される。
発光層5に用いられる発光性化合物としては、安定な薄膜形状を有し、固体状態で高い発光(蛍光または燐光)量子収率を示し、正孔および/または電子を効率よく輸送することができる化合物であることが必要である。さらに電気化学的かつ化学的に安定であり、トラップとなる不純物が製造時や使用時に発生しにくい化合物であることが要求される。
このような条件を満たし、蛍光を発する有機発光層を形成する材料としては、8−ヒドロキシキノリンのアルミニウム錯体などの金属錯体(特開昭59−194393号公報)、10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリンの金属錯体(特開平6−322362号公報)、ビススチリルベンゼン誘導体(特開平1−245087号公報、同2−222484号公報)、ビススチリルアリーレン誘導体(特開平2−247278号公報)、(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾチアゾールの金属錯体(特開平8−315983号公報)、シロール誘導体、等が挙げられる。これらの発光層材料は、通常は真空蒸着法により正孔輸送層上に積層される。また、前述の正孔輸送層材料のうち、発光性を有する芳香族アミン系化合物も発光層材料として用いることが出来る。
なお、本発明の電荷輸送材料は、この発光層材料として使用することも可能である。その場合には、正孔阻止層6または電子輸送層7に使用できる材料として前述した公知材料に代表される、その他の電子輸送性材料や正孔阻止材料の中から、本発明の電荷輸送材料よりも0.1eV以上大きなイオン化ポテンシャルを有する材料を選択して使用することが好ましい。
更に本発明の有機電界発光素子において、有機発光層(単に、発光層と呼ぶこともある)及び、有機発光層の陰極側界面に接する層の両層に、本発明の電子輸送材料を使用しても良く、駆動寿命の観点から、特に好ましい。陰極側界面に接する層は、通常、正孔阻止層であることが多い。
発光層にドーパントを含まない場合は、本発明で規定される電荷輸送材料の中から、イオン化ポテンシャルの差が0.1eV以上となる材料を選択し、発光層と正孔阻止層の各々に使用すればよい。発光層にドーパントを含む場合は、ドーパントのイオン化ポテンシャルより、0.1eV以上大きい化合物を、本発明で規定される電荷輸送材料の中から選択し、発光層と正孔阻止層に各々使用すればよい。
素子の発光効率を向上させるとともに発光色を変える目的で、例えば、8−ヒドロキシキノリンのアルミニウム錯体をホスト材料として、クマリン等のレーザー用蛍光色素をドープすること(J. Appl. Phys., 65巻, 3610頁, 1989年)等が行われている。このドーピング手法は、発光層5にも適用でき、ドープ用材料としては、クマリン以外にも各種の蛍光色素が使用できる。
青色発光を与える蛍光色素としては、ペリレン、ピレン、アントラセン、クマリンおよびそれらの誘導体等が挙げられる。緑色蛍光色素としては、キナクリドン誘導体、クマリン誘導体等が挙げられる。黄色蛍光色素としては、ルブレン、ペリミドン誘導体等が挙げられる。赤色蛍光色素としては、DCM系化合物、ベンゾピラン誘導体、ローダミン誘導体、ベンゾチオキサンテン誘導体、アザベンゾチオキサンテン等が挙げられる。
上記のドープ用蛍光色素以外にも、ホスト材料に応じて、レーザー研究,8巻,694頁,803頁,958頁(1980年);同9巻,85頁(1981年)、に列挙されている蛍光色素などが発光層用のドープ材料として使用することができる。
ホスト材料に対して上記蛍光色素がドープされる量は、10-3重量%以上が好ましく、0.1重量%以上がより好ましい。また10重量%以下が好ましく、3重量%以下がより好ましい。下限値を下回ると、素子の発光効率向上に寄与できない場合があり、上限値を越えると濃度消光が起き、発光効率の低下に至る可能性がある。
一方、燐光発光を示す発光層は、通常、燐光性ドーパントとホスト材料を含んで形成される。燐光性ドーパントとしては、例えば周期表7ないし11族から選ばれる金属を含む有機金属錯体が挙げられ、該金属錯体のT1(最低励起三重項準位)より高いT1を有する電荷輸送性有機化合物をホスト材料として使用することが好ましい。
周期表7ないし11族から選ばれる金属を含む燐光性有機金属錯体における、該金属として好ましくは、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金、および金が挙げられる。これらの有機金属錯体として、好ましくは下記一般式(X)または一般式(VI)で表される化合物が挙げられる。
MLq-jL’j(X)
(式中、Mは金属、qは該金属の価数を表す。LおよびL’は二座配位子を表す。jは0または1または2を表す。)
Figure 0004561221
(式中、M7は金属、Tは炭素または窒素を表わす。Tが窒素の場合はR94、R95は無く 、Tが炭素の場合はR94、R95は水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アラルキル基、アルケニル基、シアノ基、アミノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、アルコキシ基、アルキルアミノ基、アラルキルアミノ基、ハロアルキル基、水酸基、アリールオキシ基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基または芳香族複素環基を表わす。
92、R93は水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アラルキル基、アルケニル基、シアノ基、アミノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、アルコキシ基、アルキルアミノ基、アラルキルアミノ基、ハロアルキル基、水酸基、アリールオキシ基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基または芳香族複素環基を表わし、互いに連結して環を形成しても良い。)
一般式(X)中の二座配位子LおよびL’はそれぞれ以下の部分構造を有する配位子を示す。
Figure 0004561221
(環A1”および環A1’は各々独立に、芳香族炭化水素基または芳香族複素環基を表わし、置換基を有していてもよい。環A2および環A2’は含窒素芳香族複素環基を表わし、置換基を有していてもよい。R’、R’’およびR’’’はそれぞれハロゲン原子;アルキル基;アルケニル基;アルコキシカルボニル基;メトキシ基;アルコキシ基;アリー
ルオキシ基;ジアルキルアミノ基;ジアリールアミノ基;カルバゾリル基;アシル基;ハロアルキル基またはシアノ基を表す。)
一般式(X)で表される化合物として、さらに好ましくは下記一般式(Va)、(Vb)(Vc)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0004561221
(式中、M4は金属、wは該金属の価数を表す。環A1”は置換基を有していてもよい 芳香族炭化水素基を表わし、環A2は置換基を有していてもよい含窒素芳香族複素環基を表わす。)
Figure 0004561221
(式中、M5は金属、wは該金属の価数を表す。環A1″は置換基を有していてもよい 芳香族炭化水素基または芳香族複素環基を表わし、環A2は置換基を有していてもよい含窒素芳香族複素環基を表わす。)
Figure 0004561221
(式中、M6は金属、wは該金属の価数を表し、jは0または1または2を表す。環A 1”および環A1’は各々独立に、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基または芳香族複素環基を表わし、環A2および環A2’は各々独立に、置換基を有していてもよい含窒素芳香族複素環基を表わす。)
一般式(Va)、(Vb)、(Vc)で表される化合物の環A1および環A1’として
、好ましくは、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、アントリル基、チエニル基、フリル基、ベンゾチエニル基、ベンゾフリル基、ピリジル基、キノリル基、イソキノリル基、またはカルバゾリル基が挙げられる。
環A2および環A2’として、好ましくは、ピリジル基、ピリミジル基、ピラジル基、トリアジル基、ベンゾチアゾール基、ベンゾオキサゾール基、ベンゾイミダゾール基、キノリル基、イソキノリル基、キノキサリル基、またはフェナントリジル基が挙げられる。
一般式(Va)、(Vb)および(Vc)で表される化合物が有していてもよい置換基としては、フッ素原子等のハロゲン原子;メチル基、エチル基等の炭素数1〜6のアルキル基;ビニル基等の炭素数2〜6のアルケニル基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等の炭素数2〜6のアルコキシカルボニル基;メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基;フェノキシ基、ベンジルオキシ基などのアリールオキシ基;ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等のジアルキルアミノ基;ジフェニルアミノ基等のジアリールアミノ基;カルバゾリル基;アセチル基等のアシル基;トリフルオロメチル基等のハロアルキル基;シアノ基等が挙げられ、これらは互いに連結して環を形成しても良い。
なお、環A1''が有する置換基と環A2が有する置換基が結合、または環A1’が有する置換基と環A2’が有する置換基が結合して、一つの縮合環を形成してもよく、このような縮合環としては7,8−ベンゾキノリン基等が挙げられる。
環A1''、環A1’、環A2および環A2’の置換基として、より好ましくはアルキル基、アルコキシ基、芳香族炭化水素基、シアノ基、ハロゲン原子、ハロアルキル基、ジアリールアミノ基、またはカルバゾリル基が挙げられる。
式(Va)、(Vb)におけるM4ないしM5として好ましくは、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金または金が挙げられる。式(VI)におけるMとして好ましくは、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金または金が挙げられ、特に好ましくは、白金、パラジウム等の2価の金属が挙げられる。
前記一般式(X)、(Va)、(Vb)および(Vc)で示される有機金属錯体の具体例を以下に示すが、下記の化合物に限定されるわけではない。
Figure 0004561221
Figure 0004561221
前記一般式(X)、(Va)、(Vb)および(Vc)で表される有機金属錯体の中でも、特に配位子Lおよび/またはL’として2−アリールピリジン系配位子(2−アリールピリジン、これに任意の置換基が結合したもの、またはこれに任意の気が縮合してなるもの)を有する化合物が好ましい。
前記一般式(VI)で表わされる有機金属錯体の具体例を以下に示すが、下記の化合物に限定されるわけではない。
Figure 0004561221
燐光発光を示す発光層に使用されるホスト材料としては、蛍光発光を示す発光層に使用されるホスト材料(本発明の電子輸送材料も含む)として前述した材料の他に、4,4' −N,N'−ジカルバゾールビフェニルなどのカルバゾール誘導体(WO 00/706 55号公報)、トリス(8−ヒドロキシキノリン)アルミニウム(USP 6,303,238号公報)、2,2',2’’−(1,3,5−ベンゼントリル)トリス[1−フェ ニル−1H−ベンズイミダゾール](Appl. Phys. Lett., 78巻, 1622項, 2001)、ポリ ビニルカルバゾール(特開2001−257076号公報)等が挙げられる。
本発明の電荷輸送材料がホスト材料として使用できることは、前述の通りである。
さらに本発明の有機電界発光素子における発光層は、ホスト材料および燐光性ドーパントと共に、前述の蛍光色素を含有していてもよい。
発光層中にドーパントとして含有される有機金属錯体の量は、0.1重量%以上が好ましく、また30重量%以下が好ましい。下限値を下回ると素子の発光効率向上に寄与できない場合があり、上限値を上回ると有機金属錯体同士が2量体を形成する等の理由で濃度消光が起き、発光効率の低下に至る可能性がある。
燐光発光を示す発光層における燐光性ドーパントの量は、従来の蛍光(1重項)を用いた素子において、発光層に含有される蛍光性色素(ドーパント)の量より、若干多い方が好ましい傾向がある。また燐光性ドーパントと共に蛍光色素が発光層中に含有される場合、該蛍光色素の量は、0.05重量%以上が好ましく、0.1重量%以上がより好ましい
。また10重量%以下が好ましく、3重量%以下がより好ましい。
発光層5の膜厚は、通常3nm以上、好ましくは5nm以上であり、また通常200nm以下、好ましくは100nm以下である。
発光層も正孔輸送層と同様の方法で形成することができる。上述の蛍光色素および/または燐光色素(燐光性ドーパント)を発光層のホスト材料にドープする方法を以下に説明する。
塗布の場合は、前記発光層ホスト材料と、ドープ用色素、さらに必要により、電子のトラップや発光の消光剤とならないバインダー樹脂や、レベリング剤等の塗布性改良剤などの添加剤を添加し溶解した塗布溶液を調整し、スピンコート法などの方法により正孔輸送層4上に塗布し、乾燥して発光層5を形成する。バインダー樹脂としては、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエステル等が挙げられる。バインダー樹脂は添加量が多いと正孔/電子移動度を低下させるので、少ない方が望ましく、50重量%以下が好ましい。
真空蒸着法の場合には、前記ホスト材料を真空容器内に設置されたるつぼに入れ、ドープする色素を別のるつぼに入れ、真空容器内を適当な真空ポンプで1.0×10-4Torr程度にまで排気した後、各々のるつぼを同時に加熱して蒸発させ、るつぼと向かい合って置かれた基板上に層を形成する。また、他の方法として、上記の材料を予め所定比で混合したものを同一のるつぼを用いて蒸発させてもよい。
上記各ドーパントが発光層中にドープされる場合、発光層の膜厚方向において均一にドープされるが、膜厚方向において濃度分布があっても構わない。例えば、正孔輸送層との界面近傍にのみドープしたり、逆に、正孔阻止層界面近傍にドープしてもよい。
発光層も正孔輸送層と同様の方法で形成することができるが、通常は真空蒸着法が用いられる。
なお発光層5は、本発明の性能を損なわない範囲で上記以外の成分を含んでいてもよい。
図1に示す素子において、正孔阻止層6は発光層5の上に、発光層5の陰極側の界面に接するように積層される。
正孔阻止層は、正孔輸送層から移動してくる正孔を陰極に到達するのを阻止する役割と、陰極から注入された電子を効率よく発光層の方向に輸送することができる化合物より形成されることが好ましい。正孔阻止層を構成する材料に求められる物性としては、電子移動度が高く正孔移動度が低いことが必要とされる。正孔阻止層6は正孔と電子を発光層内に閉じこめて、発光効率を向上させる機能を有する。
この例においては、正孔阻止層は本発明の電荷輸送材料を用いる。
本発明の電荷輸送材料は正孔阻止層中に、単独で用いてもよいし、複数種併用してもよい。更に、本発明の電荷輸送材料の性能を損なわない範囲で、公知の正孔阻止機能を有する化合物を併用してもよい。
本発明で用いられる正孔阻止層のイオン化ポテンシャルは発光層のイオン化ポテンシャル(発光層がホスト材料とドーパントを含んでいる場合には、ドーパントのイオン化ポテンシャル)より0.1eV以上大きいことが好ましい(ホスト材料のイオン化ポテンシャルより、0.1eV以上大きいことが、より好ましい)。イオン化ポテンシャルは物質のHOMO(最高被占分子軌道)レベルにある電子を真空準位に放出するのに必要なエネルギーで定義される。イオン化ポテンシャルは光電子分光法で直接定義されるか、電気化学的に測定した酸化電位を基準電極に対して補正しても求められる。後者の方法の場合、例えば飽和甘コウ電極(SCE)を基準電極として用いたとき、
イオン化ポテンシャル=酸化電位(vs.SCE)+4.3eV
で定義される。(“Molecular Semiconductors”,Springer−Verlag,1985年、98頁)。
さらに、本発明で用いられる正孔阻止層の電子親和力(EA)は、発光層の電子親和力(発光層がホスト材料とドーパントを含んでいる場合にはホスト材料の電子親和力)と比較して同等以上であることが好ましい。電子親和力もイオン化ポテンシャルと同様に真空準位を基準として、真空準位にある電子が物質のLUMO(最低空分子軌道)レベルに落ちて安定化するエネルギーで定義される。電子親和力は、上述のイオン化ポテンシャルから光学的バンドギャップを差し引いて求められるか、電気化学的な還元電位から下記の式で同様に求められる。
電子親和力=還元電位(vs.SCE)+4.3eV
従って、本発明で用いられる正孔阻止層は、酸化電位と還元電位をもちいて、
(正孔阻止材料の酸化電位)−(発光材料の酸化電位)≧0.1V、
(正孔阻止材料の還元電位)≧(発光材料の還元電位)
と表現することも出来る。
さらに後述の電子輸送層を有する素子の場合には、正孔阻止層の電子親和力は電子輸送層の電子親和力と比較して同等以下であることが好ましい。
(電子輸送材料の還元電位)≧(正孔阻止材料の還元電位)≧(発光材料の還元電位)
正孔阻止層6の膜厚は、通常0.3以上、好ましくは0.5nm以上であり、また通常100nm以下、好ましくは50nm以下である。正孔阻止層も正孔輸送層と同様の方法で形成することができるが、通常は真空蒸着法が用いられる。
陰極8は、正孔阻止層6を介して発光層5に電子を注入する役割を果たす。陰極8として用いられる材料は、前記陽極2に使用される材料を用いることが可能であるが、効率よく電子注入を行なうには、仕事関数の低い金属が好ましく、スズ、マグネシウム、インジウム、カルシウム、アルミニウム、銀等の適当な金属またはそれらの合金が用いられる。具体例としては、マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、アルミニウム−リチウム合金等の低仕事関数合金電極が挙げられる。さらに、陰極と発光層または電子輸送層の界面にLiF、MgF2、Li2O等の極薄絶縁膜(0.1〜5nm)を挿入することも、素子の効率を向上させる有効な方法である(Appl. Phys. Lett.,70巻,152頁,1997年;特開平10−74586号公報;IEEE Trans. Electron. Devices,44巻,1245頁,1997年)。陰極8の膜厚は通常、陽極2と同様である。低仕事関数金属から成る陰極を保護する目的で、この上にさらに、仕事関数が高く大気に対して安定な金属層を積層することは素子の安定性を増す。この目的のために、アルミニウム、銀、銅、ニッケル、クロム、金、白金等の金属が使われる。
素子の発光効率をさらに向上させることを目的として、図2および図3に示すように、正孔阻止層6と陰極8の間に電子輸送層7が設けられていてもよい。電子輸送層7は、電界を与えられた電極間において陰極から注入された電子を効率よく正孔阻止層6の方向に輸送することができる化合物より形成される。
このような条件を満たす材料としては、8−ヒドロキシキノリンのアルミニウム錯体などの金属錯体(特開昭59−194393号公報)、10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリンの金属錯体、オキサジアゾール誘導体、ジスチリルビフェニル誘導体、シロール誘導体、3−または5−ヒドロキシフラボン金属錯体、ベンズオキサゾール金属錯体、ベンゾチアゾール金属錯体、トリスベンズイミダゾリルベンゼン(米国特許第 5,645,948号)、キノキサリン化合物(特開平6−207169号公報)、フェナントロリン誘導体(特開平5−331459号公報)、2−t−ブチル−9,10−N,N’−ジシア
ノアントラキノンジイミン、n型水素化非晶質炭化シリコン、n型硫化亜鉛、n型セレン化亜鉛などが挙げられる。
また、上述のような電子輸送材料に、アルカリ金属をドープする(特開平10−270171号公報、特願2000−285656号、特願2000−285657号などに記載)ことにより、電子輸送性が向上するため好ましい。
電子輸送層7は、正孔輸送層4と同様にして塗布法あるいは真空蒸着法により正孔阻止層6上に積層することにより形成される。通常は、真空蒸着法が用いられる。
なお、本発明の電荷輸送材料を、この電子輸送層7に使用しても良い。その場合、本発明の化合物のみを使用して電子輸送層7を形成しても良いし、前述した各種公知の材料と併用しても良い。
電子輸送層7に本発明の電荷輸送材料を使用した場合、前述の正孔阻止層6にも本発明の電荷輸送材料を使用しても良いし、また電子輸送層7のみに本発明の電荷輸送材料を使用し、正孔阻止層6には、それ以外の、公知の正孔阻止材料を使用しても良い。
電子輸送層6の膜厚は、通常5nm以上、好ましくは10nm以上であり、また、通常200nm以下、好ましくは100nm以下である。
電子輸送層7は、正孔輸送層4と同様にして塗布法あるいは真空蒸着法により正孔阻止層6上に積層することにより形成される。通常は、真空蒸着法が用いられる。
正孔注入の効率をさらに向上させ、かつ、有機層全体の陽極への付着力を改善させる目的で、正孔輸送層4と陽極2との間に陽極バッファ層3を挿入することも行われている(図3参照)。陽極バッファ層3を挿入することで、初期の素子の駆動電圧が下がると同時に、素子を定電流で連続駆動した時の電圧上昇も抑制される効果がある。陽極バッファ層に用いられる材料に要求される条件としては、陽極とのコンタクトがよく均一な薄膜が形成でき、熱的に安定、すなわち、融点及びガラス転移温度が高く、融点としては 300℃以上、ガラス転移温度としては 100℃以上であることが好ましい。さらに、イオン化ポテンシャルが低く陽極からの正孔注入が容易なこと、正孔移動度が大きいことが挙げられる。
この目的のために、陽極バッファ層3の材料として、これまでにポルフィリン誘導体やフタロシアニン化合物(特開昭63-295695号公報)、ヒドラゾン化合物、アルコキシ置換 の芳香族ジアミン誘導体、p-(9-アントリル)-N,N'-ジ-p-トリルアニリン、ポリチエニレ ンビニレンやポリ-p-フェニレンビニレン、ポリアニリン(Appl. Phys. Lett., 64巻、1245頁,1994年)、ポリチオフェン(OpticalMaterials, 9巻、125頁、1998年)、スターバ スト型芳香族トリアミン(特開平4-308688号公報)等の有機化合物や、スパッタ・カーボン膜(Synth. Met., 91巻、73頁、1997年)や、バナジウム酸化物、ルテニウム酸化物、 モリブデン酸化物等の金属酸化物(J.Phys. D, 29巻、2750頁、1996年)が報告されてい る。
また、正孔注入・輸送性の低分子有機化合物と電子受容性化合物を含有する層(特開平11−251067号公報、特開2000−159221号公報等に記載)や、芳香族アミノ基等を含有する非共役系高分子化合物に、必要に応じて電子受容性化合物をドープしてなる層(特開平11−135262号公報、特開平11−283750号公報、特開2000−36390号公報、特開2000−150168号公報、特開平2001−223084号公報、およびWO97/33193号公報など)、またはポリチオフェン等の導電性ポリマーを含む層(特開平10−92584号公報)なども挙げられるが、これらに限定されるものではない。
上記陽極バッファ層材料としては、低分子・高分子いずれの化合物を用いることも可能
である。
低分子化合物のうち、よく使用されるものとしては、ポルフィン化合物又はフタロシアニン化合物が挙げられる。これらの化合物は中心金属を有していても良いし、無金属のものでも良い。これらの化合物の好ましい例としては、以下の化合物が挙げられる:
ポルフィン、
5,10,15,20-テトラフェニル-21H,23H-ポルフィン、
5,10,15,20-テトラフェニル-21H,23H-ポルフィンコバルト(II)、
5,10,15,20-テトラフェニル-21H,23H-ポルフィン銅(II)、
5,10,15,20-テトラフェニル-21H,23H-ポルフィン亜鉛(II)、
5,10,15,20-テトラフェニル-21H,23H-ポルフィンバナジウム(IV)オキシド、
5,10,15,20-テトラ(4-ピリジル)-21H,23H-ポルフィン、
29H,31H-フタロシアニン、
銅(II)フタロシアニン、
亜鉛(II)フタロシアニン、
チタンフタロシアニンオキシド、
マグネシウムフタロシアニン、
鉛フタロシアニン、
銅(II)4,4'4'',4'''-テトラアザ-29H,31H-フタロシアニン
陽極バッファ層の場合も、正孔輸送層と同様にして薄膜形成可能であるが、無機物の場合には、さらに、スパッタ法や電子ビーム蒸着法、プラズマCVD法が用いられる。
以上の様にして形成される陽極バッファ層3の膜厚は、低分子化合物を用いて形成される場合、下限は通常3nm、好ましくは10nm程度であり、上限は通常100nm、好ましくは50nm程度である。
高分子化合物を用いる場合は、例えば、前記高分子化合物や電子受容性化合物、更に必要により正孔のトラップとならない、バインダー樹脂やレベリング剤等の塗布性改良剤などの添加剤を添加し溶解した塗布溶液を調製し、スプレー法、印刷法、スピンコート法、ディップコート法、ダイコート法などの通常のコーティング法や、インクジェット法等により陽極2上に塗布し、乾燥することにより陽極バッファ層3を薄膜形成することができる。バインダー樹脂としては、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエステル等が挙げられる。バインダー樹脂は該層中の含有量が多いと正孔移動度を低下させる虞があるので、少ない方が望ましく、陽極バッファ層3中の含有量で50重量%以下が好ましい。
また、フィルム、支持基板、ロール等の媒体に、前述の薄膜形成方法によって予め薄膜を形成しておき、媒体上の薄膜を、陽極2上に熱転写又は圧力転写することにより、薄膜形成することもできる。
以上のようにして、高分子化合物を用いて形成される陽極バッファ層3の、膜厚の下限は通常5nm、好ましくは10nm程度であり、上限は通常1000nm、好ましくは500nm程度である。
本発明の有機電界発光素子は、図1とは逆の構造、すなわち、基板上に陰極8、正孔阻止層6、発光層5、正孔輸送層4、陽極2の順に積層することも可能であり、既述したように少なくとも一方が透明性の高い2枚の基板の間に本発明の有機電界発光素子を設けることも可能である。同様に、図2または図3に示した前記各層構成とは逆の順に積層することも可能である。また、図1〜3のいずれの層構成においても、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上述以外の任意の層を有していてもよく、また上記複数の層の機能を併有する層を設けること等により、層構成を簡略化する等、適宜変形を加えることが可能である。
或いはまた、トップエミッション構造や陰極・陽極共に透明電極を用いて透過型とする
ことや、さらには、図1に示す層構成を複数段重ねた構造(発光ユニットを複数積層させた構造)とすることも可能である。その際には、段間(発光ユニット間)の界面層(陽極がITO、陰極がAlの場合はその2層)の代わりに、例えばV25等を電荷発生層(CGL)として用いると、段間の障壁が少なくなり、発光効率・駆動電圧の観点からより好ましい。
本発明は、有機電界発光素子が、単一の素子、アレイ状に配置された構造からなる素子、陽極と陰極がX−Yマトリックス状に配置された構造のいずれにおいても適用することができる。
本発明の有機電界発光素子によれば、電荷輸送材料として、特定の骨格を有する化合物を含有させることにより、発光効率が高く、色純度の良好で駆動安定性においても大きく改善された素子が得られる。特に、これまで材料選択の難しさ故に正孔阻止層の形成が困難であった青色(蛍光)発光素子や燐光発光素子において、発光効率、発光色純度及び駆動安定性に優れた素子が得られることから、フルカラーあるいはマルチカラーのパネルへの応用において優れた性能を発揮できる。
次に本発明の電荷輸送材料の中で、新規の化合物に相当するものについて説明する。本発明の電荷輸送材料のうち、下記一般式(II)で表される化合物であって、該化合物が最安定化構造をとった時に、平面構造とならない化合物、及び、一般式(II)で表される化合物であって、該化合物が最安定化構造をとった時に、平面構造となる化合物であり、かつ、p=0である化合物は、新規の化合物である。
Figure 0004561221
ただし、式中、
11,R13,R15およびR18は、各々独立に、水素原子或いは任意の置換基を表す。
12,R14,R16およびR17は、各々独立に、任意の置換基を表す。
11は、直接結合、または環A1と共役可能な電子を有する2価の連結基を表す。
12は、直接結合、または環B1と共役可能な電子を有する2価の連結基を表す。
01は、1分子中に含まれる、環A1及び環B1からなる群より選ばれた任意の2つを、実質的に共役不可能とする、(p+k)価の芳香族炭化水素基或いは芳香族複素環基を表す。
pは0〜8の整数である。kは0〜8の整数である。
pとkの総和は、2〜8の整数である。
尚、p及び/またはkが2以上の場合、
1分子中に含まれる複数個のR11〜R18は、各々同一であっても異なっていてもよく、
1分子中に含まれる複数個のZ11及びZ12は、各々同一であっても異なっていてもよい。上記一般式(II)で表される化合物の分子量は、通常、4000以下、好ましくは3000以下、より好ましくは2000以下であり、また通常200以上、好ましくは300以上、より好ましくは400以上である。
分子量が上限値を越えると、昇華性が著しく低下して電界発光素子を制作する際に蒸着法を用いる場合において支障を来したり、あるいは有機溶媒などへの溶解性の低下や、合成工程で生じる不純物成分の増加に伴って、材料の高純度化(すなわち劣化原因物質の除去)が困難になる場合がある。また分子量が下限値を下回ると、ガラス転移温度および、融点、気化温度などが低下するため、耐熱性が著しく損なわれるおそれがある。
上記一般式(II)で表される化合物の融点は、通常100℃以上、好ましくは120℃以上、通常600℃以下、好ましくは500℃以下である。上限を超えると、昇華性の低下や溶解性の低下を招く恐れがあり好ましくなく、下限を下回ると素子としての耐熱性を低下させる恐れがあり好ましくない。
上記一般式(II)で表される化合物のガラス転移点は、通常50℃以上、好ましくは60℃以上である。下限を下回ると、素子としての耐熱性を低下させる恐れがあり好ましくない。
上記一般式(II)で表される化合物の酸化電位は、通常+1.3V以上、好ましくは+1.5以上、通常+2.5V以下、好ましくは+2.0V以下である。上限を超えると、素子としての駆動電圧上昇を招く恐れがあり好ましくなく、下限を下回ると正孔阻止性が低下し、発光効率が低下する恐れがあり好ましくない。
尚、電極酸化反応における可逆性は、特に要求されず、不可逆でも可逆でもよいが、正電荷を輸送する用途に適用する場合、本発明に記載の可逆性に関する基準をクリアしていることが望ましい。
上記一般式(II)で表される化合物の還元電位は、通常−1.6〜−2.6V、好ましくは−1.8〜−2.4Vである。上限を超えると、電子輸送性が低下するため好ましくなく、下限を下回ると発光材料(燐光色素)への電子の受け渡しに支障がでる恐れがあり好ましくない。
尚、電極還元反応における可逆性は、重要な要素であり、本発明に記載の可逆性に関する基準をクリアしていることが重要である。
(Z11、Z12
11は、直接結合、または環A1と共役可能な電子を有する2価の連結基、Z12は、直 接結合、または環B1と共役可能な電子を有する2価の連結基であればよく、特に、環A1及び環B1上に、局在化しがちな電荷を、一部受け入れ、或いは、更に他の置換基へ移送 することで分子内の電荷を適度に非局在化させる性質を有するものが好ましい。
11及びZ12の具体例は、前記(Z1、Z2)の説明で記載したものと同様である。
本発明の化合物に用いられるZ11及びZ12としては、直接結合或いは置換基を有していてもよい2価の芳香族炭化水素基であることが、高い三重項励起準位及び酸化還元電位差の点で好ましく、特にZ−1(直接結合)が好ましい。
また、Z11およびZ12が、有していてもよい置換基は、前記Z1及びZ2が有していてもよい置換基と同様である。
11及びZ12の分子量としては、その置換基も含めて、好ましくは400以下、更に好ましくは250以下である。
(Q01
01は、1分子中に含まれる、環A1及び環B1からなる群より選ばれた任意の2つを、実質的に共役不可能とする、(p+k)価の連結基であればよく、特に、環A1及び環B1上に局在化しがちな電荷を一部受け入れ、電荷の隔たりを緩和できる性質を有するものが好ましい。
具体例は、前記(Q0)の説明で記載したものと同様である。
具体例の中で、本発明の化合物に用いられるQ01としては、Q−1,35が好ましい。
また、Q01が、有していてもよい置換基も、Q0が有していてもよい置換基と同様であ る。
01の分子量としては、その置換基も含めて、好ましくは400以下、更に好ましくは250以下である。
(R11〜R18
11,R13,R15およびR18は、各々独立に、水素原子或いは任意の置換基を表し、R12,R14,R16およびR17は、各々独立に、任意の置換基を表す。
11〜R18に使用し得る任意の置換基としては、前記(R1〜R8の置換基)に記載したものと同様であり、好ましい具体例も同様である。
また、R11〜R18の具体例も、前記(R1〜R8)に記載したものと同様であり、好ましい具体例も同様である。
11〜R18のそれぞれの分子量としては、その置換基も含めて、好ましくは400以下、更に好ましくは250以下である。
上記一般式(II)で表される化合物であって、該化合物が最安定化構造をとった時に、平面構造とならない化合物の場合、R12,R14,R16およびR17が、置換基を有していてもよい、芳香族炭化水素基或いは芳香族複素環基であることが、酸化還元耐久性を向上させる観点及び耐熱性を向上させるため、好ましい。
(平面構造をとらない場合)
上記一般式(II)で表される化合物であって、該化合物が最安定化構造をとった時に、平面構造とならない化合物は、分子構造として、実質的に単一平面構造を取りえない構造を有しているため、分子間でのπ−πスタッキング相互作用が抑制され、非晶質性、溶解性、昇華性に優れる。
また、ひいては分子の集合体である膜としたとき、溶液状態(分子同士が散らばっている状態)に比べ、吸収極大波長や蛍光発光極大波長が増大してしまう現象を抑制することができる。更には、三重項励起準位が低下してしまう現象や電気酸化還元電位差が低下してしまう現象をも抑制することができる。
そのため、(光、電気、熱などの)大きなエネルギーを蓄積し、そして効率よく蓄積したエネルギーを(光、電気、熱などとして)放出することが可能となる化合物である。
また該化合物は、電子輸送材料用としてだけでなく、発光材料用、太陽電池材料用、バッテリー材料(電解液、電極、分離膜、安定剤など)用、医療用、塗料材料用、コーティング材料用、有機半導体材料用、トイレタリー材料用、帯電防止材料用、熱電素子材料用などにおいても有用である。
ここで、本発明で言う、化合物の最安定化構造とは、通常のMM2計算手法(例えば、M.J.Dudek, J.W.Ponder共著、「J. Comput. Chem.」(16, 791−816 (1995))参照))を用いて、本発明の化合物の最安定構造を導くことによって得られる構造を指す。
最安定化構造を取ったときに、化合物が平面構造をとらない化合物、すなわち、化合物が最安定化構造をとった時に、実質的に単一平面構造を取りえない構造について説明する。
例を挙げて説明すると、分子を構成する任意の隣り合う2つの芳香環同士が、2−メチルビフェニル(図D)と同等程度の非平面性である化合物は、平面構造をとらない化合物である。
Figure 0004561221
更に詳しくは、最安定化構造において、分子を構成する任意の隣り合う2つの芳香環同士のなす面角が、厳密には15度以上、より厳密には20度以上、更に厳密には30度以上となるものは、平面構造とならないと言える。
更には、分子内の少なくとも1つの芳香環(Ar1とする)に結合する任意の芳香環(Ar2とする)と、Ar1の任意の置換基(Rrとする)とが、隣り合う置換位置に、置換されていることが望ましい。但し、Rrは、Ar1もしくは他の置換基と結合し、環を形成していてもよい。
Figure 0004561221
このような例としては、以下の様なものが挙げられる。
Figure 0004561221
好ましい例1)例えば、上記一般式(II)で表される化合物において、
環A1とそれに結合したZ11(=骨格A、とする)、
環B1とそれに結合したZ12(=骨格B、とする)のうち、
複数の骨格が、連結基Q01と実質的に同一平面上にあった方が、優れた電気的酸化還元耐久性と優れた電荷輸送性を損なわない観点から、好ましい。
このような、連結基Q01と実質的に同一平面上にある、環A1および環B1としては、以下のものが挙げられる。
Figure 0004561221
(ここで、R31,R33〜R35は任意の芳香環基であり、R32は水素原子または任意の置換基)である。この際の好ましいZ11及びZ12は、以下に記載の通りである。
好ましい例2)例えば、上記一般式(II)で表される化合物において、任意の環A1( または環B1)が、該環A1(または環B1)と連結した連結基Z11(またはZ12)および /または連結基Q01と実質的に同一平面上にないことが、広い電気酸化還元電位差の観点、高い三重項励起準位の観点からは好ましい。
このような、「任意の環A1(または環B1)が、該環A1(または環B1)と連結した連結基Z11(またはZ12)および/または連結基Q01と実質的に同一平面上にない」環A1 および環B1としては、以下のものが挙げられる。
Figure 0004561221
(ここで、R41,R43,R45およびR46は、任意の芳香環基であり、R42,R44,R47およびR48は水素原子または任意の置換基)である。この際の好ましいZ11及びZ12は、以下に記載の通りである。
(好ましい例1,2のZ11,Z12及びQ01
上記、好ましい例1)の様な構造とするためには、Z11及びZ12は、上記の、
Z−1(直接結合)Z−3,12,16,19,20〜30,37〜39,41,42,45,46,48,49,52,53,58〜60が好ましく、
Z−1(直接結合)Z−3,12,16,19,20,21がより好ましく、
Z−1(直接結合)Z−3が更に好ましく、
Z−1(直接結合)が最も好ましい。
また、好ましい例2)の場合には、Z11及びZ12は、上記の、
Z−1(直接結合),Z−2〜21,28,29,31〜35,48〜52,56〜60が好ましく、
Z−1(直接結合),Z−2,3,4,5,8,10,12,15,16,17,19,28,29,31,33,34,52,56〜58がより好ましく、
Z−1(直接結合),Z−2,5,8,12,19,28,29が更に好ましく、
Z−1(直接結合),Z−2が最も好ましい。
好ましい例1)の場合には、Q01は、上記の、
好ましくは、Q−1,23,29,34,35,45,58〜61であり、
より好ましくは、Q−1,23,29,35,45、58,61であり、
更に好ましくは、Q−1,35,45であり、
最も好ましくは、Q−1,35である。
好ましい例2)の場合には、Q01は、上記の、
好ましくは、Q−1,2,19〜23,29〜43,45,51〜53,58〜61であり、
より好ましくは、Q−1,2,19〜23,29,33,35〜42,45であり、
更に好ましくは、Q−1,2,19〜23,35〜42,45であり、
最も好ましくは、Q−1,2,23,35である。
具体例を挙げるが、以下の具体例に限定されるものではない。
Figure 0004561221
Figure 0004561221
Figure 0004561221
Figure 0004561221
Figure 0004561221
Figure 0004561221
Figure 0004561221
Figure 0004561221
Figure 0004561221
Figure 0004561221
Figure 0004561221
Figure 0004561221
Figure 0004561221
(平面構造をとる場合)
また、上記一般式(II)で表される化合物であって、該化合物が最安定化構造をとった時に、平面構造となる化合物の中でも、p=0である化合物、即ち、4−ピリジル基からなる化合物は、繰り返し酸化耐久性が非常に高い。
ここで、化合物が最安定化構造をとった時に、平面構造となるとは、上記平面構造とならないものに関して説明したものの、反対と考えればよい。
例を挙げて説明するならば、
分子を構成する任意の隣り合う2つの芳香環同士が、ビフェニル(図C)と同等程度の平面性を有するものは、平面構造をとっているという。
Figure 0004561221
上記一般式(II)で表される化合物であって、該化合物が最安定化構造をとった時に、平面構造となり、かつp=0である化合物のなかでも、特に、以下の一般式(III)で表される、ピリジン環同士がm−フェニレン基を介して連結されると、ピリジン環の窒素原子上の非共有電子対同士が直接的に共役し得ない構造となり、かつ該m−フェニレン基とピリジン環の間では、共役構造をとり得るため、酸化還元電位差が大きく、かつ可逆性にもとりわけ優れている。
また、ピリジン環の、対称性をくずすことにより非晶質性に優れ、有機溶媒などへの溶解性にも優れている。そのため、膜を形成したときに結晶化することなく安定な成膜性を示す。
Figure 0004561221
ここで、R15〜R18は、上記一般式(II)と同義である。環Cは置換基を有していて
もよい。また、一般式(III)中の、2つのR15〜R18は、各々同一であっても異なっていてもよい。
尚、上記一般式(III)で表される化合物の分子量は、通常200以上、好ましくは400以上、通常4000以下、好ましく1000以下である。分子量が大きすぎると精製操作の容易性の低下をまねき、分子量が下限値を下回るとガラス転移温度、気化温度が低下、結晶性が高くなる等の要因により、安定した成膜性が得られず、耐久性が不十分となるおそれがある。
上記一般式(III)で表される化合物のガラス転移温度(Tg)は70℃以上が好ましく、より好ましくは100℃以上である。
上記一般式(III)の酸化還元電位差については電気化学的に酸化電位を基準電極に対して測定した酸化電位は、通常1.3VvsSCE以上,還元電位は-1.7VvsSCE以下の範囲で、酸化電位が1.5VvsSCE以上、還元電位が-1.9V vsSCE以下が好ましく、特に好ましくは酸化
電位1.7VvsSCE以上、還元電位-2.0V vsSCE以下である。
また、上記一般式(II)で表される化合物であって、該化合物が最安定化構造をとった時に、平面構造となる化合物の中でも、p=0である化合物であり、
かつ、Q01が、1−、3−、及び5−位がすべて、Z11或いはZ12と結合している、以下の一般式(V)で表されるベンゼン環由来の基(1,3,5−置換フェニレン基)であることが好ましい。該化合物は、ピリジン環の窒素原子上の非共有電子対同士が直接的に共役し得ない構造となり、かつ該1,3,5−置換フェニレン基とピリジン環の間では、共役構造をとり得るため、酸化還元電位差が大きく、かつ可逆性にもとりわけ優れている。
また、電子輸送性のあるヘテロ環を3環を有する事によりさらに電子輸送性、耐熱性が向上する。また、非晶質性に優れ、有機溶媒などへの溶解性にも優れているため、膜を形成したときに結晶化することなく安定な成膜性を示し、ガラス転移温度(Tg)が高いことにより耐熱性、耐久性に優れている。
Figure 0004561221
中でも好ましくは、下記一般式(IV)で表される化合物である。
Figure 0004561221
但し、一般式(IV)中、
X及びYは、それぞれ、−CH= 或いは −N= を表す。
23及びR24は、各々独立に任意の置換基を表す。
環E1〜環E3は、R23及びR24の他に、置換基を有していてもよい。
一般式(IV)中に、複数個有するR23及びR24は、各々同一であっても異なっていてもよい。環Dは、置換基を有していてもよい。
(R23及びR24
23及びR24としては、上記(R1〜R8)として例示したものと同様のものが適用できる。R23及びR24は、置換基を有していてもよく、該置換基としては(R1〜R8)の置換基として例示したものが挙げられる。
23及びR24として、好ましくは、電気的酸化還元耐久性を向上させる観点および酸化還元電位差が大きくなるという観点から、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基である。
特に好ましくは置換基を有していてもよいフェニル基(ここで、置換基を有する場合は、メチル基等のアルキル基、フェニル基、トリル基、メシチル基等置換アリール基が好ましい)である。
23及びR24の他に、環E1〜環E3が有していてもよい置換基としては、上記(R1〜 R8)として例示したものと同様のものが適用できる。
好ましくは、分子振動を制限して発光効率を損なわない観点より、好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基であり、より好ましくは水素原子または置換基を有していてもよいフェニル基(ここで置換基を有する場合は、メチル基等アルキル基、フェニル基、トリル基、メシチル基等の置換アリール基が好ましい)である。
23及びR24の好ましい分子量としては、上記R11〜R18と同様である。
上記一般式(IV)で表される化合物の分子量は、通常300以上、好ましくは400以上、通常4000以下、好ましくは1500以下である。分子量が上限を超えると精製操作の容易性の低下をまねき、分子量が下限値を下回るとガラス転移温度、気化温度が低下、結晶性が高くなる等の要因により、安定した成膜性が得られず、耐久性が不十分となるおそれがある。
上記一般式(IV)で表される化合物のガラス転移温度(Tg)は90℃以上が好ましく、
より好ましくは100℃以上である。
上記一般式(IV)の酸化還元電位差については電気化学的に酸化電位を基準電極に対して測定した酸化電位は1.3VvsSCE以上,還元電位は-1.7VvsSCE以下の範囲で、酸化電位が1.5VvsSCE以上、還元電位が-1.9V vsSCE以下が好ましく、特に好ましくは酸化電位1.7VvsSCE以上、還元電位-2.0V vsSCE以下である。
具体例を挙げるが、以下の具体例に限定されるものではない。
Figure 0004561221
Figure 0004561221
Figure 0004561221
Figure 0004561221
本発明の化合物の合成法は前記の通りである。本発明の化合物は電荷輸送材料として有用である。また、本発明の化合物は、本質的に優れた酸化還元安定性を有することから、有機電界発光素子に限らず、電子写真感光体に利用することも有用である。
更に、本発明の化合物は、上記本発明の電荷輸送材料が有する高い性能に加えて、非晶質性、溶解性、耐熱性、耐久性に優れている。従って、電荷輸送材料用としてだけでなく、発光材料用、太陽電池材料用、バッテリー材料(電解液、電極、分離膜、安定剤など)用、医療用、塗料材料用、コーティング材料用、有機半導体材料用、トイレタリー材料用、帯電防止材料用、熱電素子材料用などにおいても有用である。
次に、本発明を実施例によって更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例の記載に限定されるものではない。
<合成例>
本発明の化合物及び本発明の電荷輸送材料として使用可能な化合物の合成例を、以下、合成例1〜26に示す。以下、ガラス転移温度はDSC測定、気化温度はTg−DTA測定、融点はDSC測定またはTg−DTA測定により求めた。
(合成例1)目的物1〜目的物2
Figure 0004561221
イソフタルアルデヒド(2.7g)、アセトフェノン(9.6g)、酢酸(57ml)の混合物に、大気中、室温で濃硫酸(8.0ml)を加え、室温で6時間撹拌した。得られた溶液にメタノール(50ml)を加えて撹拌した後、沈殿を濾過、メタノール洗浄し、目的物1(2.6g)を得た。
Figure 0004561221
窒素気流中、目的物1(2.6g)、1−フェナシルピリジニウムブロマイド
(6.3g)、酢酸アンモニウム(29g)、酢酸(130ml)、N,N−ジメ
チルホルムアミド(130ml)を加熱還流下、8.5時間撹拌し、得られた溶液
に水(80ml)、メタノール(80ml)を加えて撹拌した。析出した沈殿を濾
過、メタノール洗浄した後、トルエン−エタノールからの再結晶にて精製し、目的
物2(1.7g)を得た。EI−MS(m/z=536(M+))および1H−NM
Rから目的物2であることを確認した。
1H-NMR(270MHz, CDCl3), 8.25-8.21(m, 8H), 8.06(t, 1H), 7.96(s, 4H),
7.87-7.83(dd, 2H), 7.73-7.68(dd, 1H), 7.56-7.43(m, 12H)
この化合物のガラス転移温度は79℃、融点は205℃、気化温度は414℃であった。
(合成例2)目的物3〜目的物4
Figure 0004561221
1,3−ジアセチルベンゼン(3.2g)、ベンズアルデヒド(9.6g)、酢酸(57ml)の混合物に、大気中、室温で濃硫酸(8.0ml)を加え、室温で7時間撹拌した。得られた溶液に水(10ml)、メタノール(50ml)を加えて撹拌した後、沈殿を濾過、メタノールで洗浄し、目的物3(6.0g)を得た。
Figure 0004561221
窒素気流中、目的物3(3.4g)、1−フェナシルピリジニウムブロマイド(8.3g)、酢酸アンモニウム(39g)、酢酸(150ml)、N,N−ジメチルホルムアミド(150ml)を加熱還流下、5.7時間撹拌し、得られた溶液に水(200ml)、メタノール(100ml)を加えて撹拌した。析出した沈殿を濾過、メタノール洗浄した後、トルエン−エタノールからの再結晶にて精製し、目的物4(3.9g)を得た。DEI−MS(m/z=536(M+))および1H−NMRから目的物4であることを確認 した。
1H-NMR(270MHz, CDCl3), 9.01(s, 1H), 8.32-8.25(m, 6H), 8.019-8.015(d, 2H),
7.95-7.94(d, 2H), 7.81-7.78(m, 4H), 7.71-7.65(t, 1H), 7.59-7.46(m, 12H)
この化合物のガラス転移温度は71℃、融点は233℃、気化温度は449℃であった。
(合成例3)目的物5〜目的物6
Figure 0004561221
1,3,5−トリアセチルベンゼン(3.1g)、ベンズアルデヒド(8.0g)、酢酸(43ml)の混合物に、大気中、室温で濃硫酸(6.0ml)を加え、室温で21時間撹拌した。得られた溶液に水(100ml)を加えて撹拌した 後、沈殿を濾過、水、
メタノールで洗浄し、更に、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、目的物5(3.5g)を得た。
Figure 0004561221
窒素気流中、目的物5(0.47g)、1−フェナシルピリジニウムブロマイド1.3g)、酢酸アンモニウム(5.8g)、酢酸(37ml)、N,N−ジメ チルホルムア
ミド(37ml)を加熱還流下、6時間撹拌し、得られた溶液に水 (100ml)を加
えて撹拌した。析出した沈殿を濾過、水で洗浄した後、クロロ ホルム−エタノール中で
の加熱懸濁洗浄にて精製し、目的物6(0.38g)を得た。DEI−MS(m/z=765(M+))および1H−NMRから目的物6であることを確認した。
1H-NMR(270MHz, CDCl3), 9.11(s, 3H), 8.34-8.31(d, 6H), 8.133-8.128(d, 3H),
7.993-7.988(d, 3H), 7.84-7.82(d, 6H), 7.57-7.48(m, 18H)
この化合物の融点は384℃、気化温度は523℃、ガラス転移温度Tgは225℃であった。
(合成例4)目的物7〜目的物8
Figure 0004561221
イソフタルアルデヒド(2.7g)、α−テトラロン(8.8g)、酢酸(57ml)の混合物に、大気中、室温で濃硫酸(6.4ml)を加え、室温で6.5時間撹拌した。得られた溶液に水(100ml)、エタノール(100ml)を加えて撹拌した後、沈殿を濾過、エタノール洗浄し、目的物7(6.5g)を得た。
Figure 0004561221
窒素気流中、目的物7(6.5g)、1−フェナシルピリジニウムブロマイド (14
g)、酢酸アンモニウム(65g)、酢酸(240ml)、N,N−ジメチルホルムアミド(240ml)を加熱還流下、18時間撹拌し、得られた溶液を放冷して析出した沈殿を濾過、エタノール洗浄した後、加熱下でのエタノール中、懸濁洗浄、更に、トルエン−ピリジン−エタノールからの再結晶にて精製し、目的物8(2.0g)を得た。EI−MS(m/z=588(M+))及び1H−NMRから目的物8であることを確認した。
1H-NMR(270MHz, CDCl3), 8.60-8.57(dd, 2H), 8.21-8.18(td, 4H), 7.66(s, 2H),
7.64-7.61(d, H), 7.53-7.32(m, 13H), 7.27-7.16(m, 2H), 3.05-2.89(m, 8H)
(合成例5)目的物9〜目的物10
Figure 0004561221
イソフタルアルデヒド(4.0g)、1−アセトナフトン(15.3g)、濃硫酸(9.6ml)、酢酸(86ml)を大気中、室温で、6時間攪拌して得られた溶液に、攪拌しながら水(100ml)、メタノール(50ml)を加え、析出した油状物をトルエンを加えて溶解し、抽出後、トルエン層を炭酸水素ナトリウム水溶液、塩化ナトリウム水溶液、水で洗浄した。トルエン層を濃縮後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製後、油状の目的物9(13g)を得た。
目的物9(5.0g)、1−フェナシルピリジニウムブロマイド(9.5g)、酢酸アンモニウム(43.9g)、酢酸(110ml)、N,N−ジメチルホルムアミド(110ml)を、加熱環流下、8時間攪拌して得られた溶液を、水(250ml)に注ぎ、析出した沈殿物を濾過、メタノール(300ml)で洗浄後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、目的物10(1.75g)を得た。
DEI−MS(m/z=636(M+))から目的物10であることを確認した。この化合物の気化温度は486℃、ガラス転移温度Tgは106℃であった。
(合成例6)目的物11〜目的物13
Figure 0004561221
窒素雰囲気下、−78℃で、トリス(4−ブロモフェニル)アミン(4.8g)を無水テトラヒドロフラン(160ml)に溶解させた溶液に、ノルマルブチルリチウム(1.
58Mノルマルヘキサン溶液;21ml)の無水テトラヒドロフラン(15ml)溶液を15分かけて滴下した後、70分間撹拌した。ついで、無水N,N−ジメチルホルムアミド(7.7ml)を5分かけて滴下し、更に−78℃ で30分間、室温で3.3時間撹
拌した。得られた溶液に酢酸エチル(10ml)、メタノール(100ml)を加えた後、溶媒を留去し、これを塩化メチレン(150ml)で抽出、水(150ml)で洗浄した。得られた混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、目的物11(1.3g)を得た。FAB−MS(m/z=329(M+)、330(M+H+)から目的物11であることを確認した。
目的物11(1.3g)、α−テトラロン(2.6g)、酢酸(22ml)の混合物に、大気中、室温で濃硫酸(1.9ml)を加え、室温で7時間撹拌した。得られた溶液に水(150ml)、メタノール(50ml)を加えて撹拌した後、沈殿を濾過、メタノール洗浄し、目的物12(2.5g)を得た。
窒素気流中、目的物12(1.4g)、1−フェナシルピリジニウムブロマイド2.5g)、酢酸アンモニウム(11.6g)、酢酸(46ml)、N,N−ジメチルホルムアミド(46ml)を加熱還流下、8時間撹拌し、得られた溶液に水(50ml)、メタノール(50ml)を加えて撹拌した。析出した沈殿を濾過、水で洗浄した後、メタノール(80ml)中で懸濁洗浄した。更に、クロロホルム−メタノールからの再結晶後、その一部をGPCにて精製し、目的物13(0.1g)を得た。DEI−MS(m/z=1010(M+))及び1H-NMRから目的物13であることを確認した。
1H-NMR(270MHz, CDCl3), 8.60-8.57(d, 3H), 8.22-8.19(d, 6H), 7.68-7.65(m,
3H), 7.56-7.25(m, 30H)
(合成例7)目的物14〜目的物15
Figure 0004561221
1,3,5−トリアセチルベンゼン(5.2g)、o−トルアルデヒド(18.5g)、酢酸(71ml)の混合物に、大気中、室温で濃硫酸(16ml)を加え、室温で6.7時間撹拌した。得られた溶液に水(100ml)、メタノール(50ml)を加えて撹拌した後、沈殿を濾過、メタノールで洗浄し、更に、メタノール(150ml)中での懸濁洗浄、濾過、メタノール洗浄し、目的物14を含む混合物を得た。該混合物と、o−トルアルデヒド(9.0g)、酢酸(70ml)、ニトロベンゼン(20ml)の混合物に、大気中、室温で濃硫酸(8.0ml)を加え、室温で5時間撹拌した。得られた溶液に水(100ml)、エタノール(80ml)を加えてから10分間超音波照射した後、沈殿を濾過し、該沈殿をエタノール(200ml)−メタノール(100ml)の混合溶媒中で懸濁洗浄、濾過、エタノール洗浄し、目的物14(12.2g)を得た。
Figure 0004561221
窒素気流中、目的物14(12.2g)、1−フェナシルピリジニウムブロマイド(29.9g)、酢酸アンモニウム(166g)、酢酸(280ml)、N,N−ジメチルホルムアミド(250ml)、ニトロベンゼン(70ml)を加熱還流下、10.5時間撹拌し、得られた溶液に水(200ml)、エタノール(100ml)を加えて撹拌した。析出した沈殿を濾過、エタノールで洗浄した後、該沈殿をエタノール(500ml)中での加熱懸濁洗浄(2時間)、クロロホルム(200ml)−トルエン(250ml)中での加熱懸濁洗浄(1.5時間)にて精製し、目的物15(8.9g)を得た。DEI−MS(m/z=807(M+))より目的物15であることを確認した。このもののガラス転移温度は105℃、融点は280℃であった。また、気化温度は507℃であった。
(合成例8)目的物16〜目的物18
Figure 0004561221
イソフタルアルデヒド(4.0g)、4−フ゛ロモアセトフェノン(17.9g)、濃硫酸 (9.6ml)、酢酸(86ml)を大気中、室温で、6.5時間攪拌して得られた溶液に、攪拌しながら水(100ml)、メタノール(50ml)を加え、析出した結晶を濾過した。その後その結晶をメタノール100mlにて懸洗し、目的物16( 13.04g) を得た。
目的物16(10g)、1−フェナシルピリジニウムブロマイド(16.8g)、酢酸アンモニウム(77.8g)、酢酸(280ml)、N,N−ジメチルホルムアミド(430ml)を、加熱環流下、8時間攪拌して得られた溶液を、水(300ml)エタノール (80ml)に注ぎ、析出した沈殿物を濾過、メタノール(300ml)で洗浄後、塩化メチレン 50mlに溶解し、メタノール250mlに再沈し、目的物17(11.34g)を得 た。
Figure 0004561221
目的物17(5g)、フェニルホ゛ロン酸(2.25g)、炭酸カリウム(3.97g)、エチレンク゛リコールシ゛メチルエーテル(70ml)、水(23ml)を窒素気流下、80℃まで加熱、テトラキス(トリフェニルフォスフィン)ハ゜ラシ゛ウム(0.416g)添加し、80℃4時間反 応した。反応後、水/クロロホルムにて抽出し、有機層を得た。シリカケ゛ルカラムクロマトク゛ラフィーにて精製し、目的物18(2.97g)を得た。DEI-MS(m/Z=719)から目的物18であることを確認した。この化合物の気化温度は495度、ガラス転移温度Tgは109℃であった。
(合成例9)目的物19〜目的物20
Figure 0004561221
1,3,5−トリアセチルベンゼン(1.03g)、m−トルアルデヒド(3.63g)、酢酸(14ml)、ニトロベンゼン(8ml)の混合物に、空気中、室温で濃硫酸(3.2ml)を加え、43〜45℃で6時間撹拌した。得られた溶液に0℃でメタノール(70ml)を入れ、次いで水(30ml)を加えて撹拌、超音波照射した後、沈殿を濾過、メタノールふりかけ洗浄をした。得られた残渣をメタノール(50ml)中での懸濁洗浄およびエタノール(100ml)中、加熱環流条件での懸濁洗浄で精製し、目的物19(2.23g)を得た。
Figure 0004561221
窒素気流中、目的物19(2.21g)、1−フェナシルピリジニウムブロマイド(5.41g)、酢酸アンモニウム(30.0g)、酢酸(49ml)、N,N−ジメチルホルムアミド(40ml)、ニトロベンゼン(20ml)を加熱還流下、7.5時間撹拌し
、得られた溶液にメタノール(70ml)を入れ、次いで水(30ml)を加えて撹拌、超音波照射した後、析出した沈殿を濾過、エタノールで洗浄した後、クロロホルム−メタノールからの再結晶にて精製し、目的物20(2.00g)を得た。DEI−MS(m/ z=807(M+))から目的物20であることを確認した。このもののガラス転移温度は216℃、融点は304℃であった。
(合成例10)目的物21〜目的物23
Figure 0004561221
イソフタルアルデヒド(4.0g)、2'−ブロモアセトフェノン(17.9g)、酢 酸(86ml)の混合物に、空気中、室温で濃硫酸(14.7ml)を加え、室温で6.5時間撹拌した。得られた溶液に水(50ml)、エタノール(150ml)を加えて撹拌した後、沈殿を濾過、エタノール洗浄およびエタノール(350ml)中での懸濁洗浄で精製し、目的物21(10.0g)を得た。
Figure 0004561221
窒素気流中、目的物21(10.0g)、1−フェナシルピリジニウムブロマイド(16.9g)、酢酸アンモニウム(77.8g)、酢酸(230ml)、N,N−ジメチルホルムアミド(200ml)、ニトロベンゼン(70ml)を加熱還流下、6.5時間撹拌し、得られた溶液に水(150ml)、メタノール(100ml)を加えて撹拌した。析出した沈殿を濾過、メタノール洗浄した後、メタノール(100ml)−エタノール(100ml)混合溶媒中での懸濁洗浄で精製し、目的物22(10.5g)を得た。
Figure 0004561221
窒素気流中、目的物22(10.5g)、フェニルボロン酸(5.5g)、テトラキス(トリフェニルフォスフィン)パラジウム(1.4g)、燐酸三カリウム(12.8g)、トルエン(200ml)、イオン交換水(30ml)の混合物を、加熱還流下、5.5時間攪拌した後、トルエン(50ml)および水(120ml)を加え、よく混合した。有機層のみを分取し、これを水(100ml)で更に洗った後、無水硫酸マグネシウムに
て乾燥、濾過した。ろ液を濃縮後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、目的物23(2.9g)を得た。DEI−MS(m/z=688(M+))から目的物23 であることを確認した。このもののガラス転移温度は102℃、融点は検出されず気化温度は466℃であった。
(合成例11)目的物24〜目的物25
Figure 0004561221
2−ブロモ−4'−フェニルアセトフェノン(13.7g)、をトルエン(85ml) に70℃で加熱溶解し、次にピリジン(7.9g)を添加する。滴下と同時に結晶が析出してくる。滴下終了後、昇温し環流温度で攪拌、1時間後放冷する。濾過後、結晶をトルエン(250ml)で懸洗洗浄し、さらにn−ヘキサン(250ml)で懸洗洗浄し、乾燥後、目的物24(17.3g)を得た。
Figure 0004561221
実施例1の目的物1(3.0g)、上記より得られた目的物24(9.45g)、酢酸アンモニウム(34.2g)、酢酸(127ml)、N,N−ジメチルホルムアミド(100ml)を、加熱環流下、7時間攪拌して得られた溶液に、エタノール(80ml)添加し攪拌、その後水(160ml)に注ぎ析出した沈殿物を濾過、得られた結晶をエタノール(150ml)で加熱環流洗浄する。さらにトルエン(50ml)、メタノール(20ml)で再結晶を行い、さらに得られた結晶をクロロホルム(40ml)、メタノール(20ml)で再結晶を行い、目的物25(1.5g)を得た。
DEI−MS(m/z=688(M+))から目的物25であることを確認した。このものの気化温度は515.5℃、ガラス転移温度Tgは111℃であった。
(合成例12)目的物26〜目的物29
Figure 0004561221
窒素気流中、氷冷下、リチウムアルミニウムハイドライドのテトラヒドロフラン溶液(1mol/L)100mlとテトラヒドロフラン(脱水)100mlの混合溶液中に、トリメシックアシッド5.8gをテトラヒドロフラン(脱水)100mlに溶解させた溶液を、撹拌させながら、17分間かけて滴下した後、室温で27分間、加熱還流下で20分間、更に室温で3.5時間撹拌した。得られた溶液に酢酸エチル、氷水を加えて過剰のリチウムアルミニウムハイドライドを潰した後、濾過、エタノール振りかけ洗浄して得られた固形分を250mlの塩化メチレンに分散させ、有機物を抽出し、濾過した。得られた濾液を濃縮し、目的物26(1.8g)を得た。
乾燥空気中、目的物26(1.8g)、二酸化マンガン(活性化済み、11.3g)、クロロホルム(100ml)を、加熱還流下、8.3時間撹拌した後、濾過し、得られた濾液を濃縮後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、目的物27(0.6g)を得た。EI−MS(m/z=162(M+))より、目的物27の生成を確認した。
乾燥空気中、目的物27(0.53g)、アセトフェノン(1.8g)、酢酸(14ml)に、濃硫酸(1.6ml)を滴下した後、35℃で11時間撹拌した。これにエタノール、水を加えて沈殿を析出させ、濾過し、得られた固形分をエタノール中で懸濁洗浄して精製し、目的物28(0.63g)を得た。
Figure 0004561221
空気中、目的物28(0.47g)、1−フェナシルピリジニウムブロマイド(1.26g)、酢酸アンモニウム(7.1g)、酢酸(25ml)、N,N−ジメチルホルムアミド(25ml)を、加熱還流下、6.5時間撹拌した。得られた混合物にメタノール、水を加え、沈殿を析出させ、濾過し、濾液を濃縮して得られた残さをシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、目的物29(0.17g)を得た。MALDI−TOF−MS(m/z=766(MH+))より、目的物29であることを確認した。このものの 融点は344℃、ガラス転移温度は299℃、気化温度は524℃であった 。
(合成例13)目的物30〜目的物33
Figure 0004561221
窒素気流中、氷冷下、N−フェニルカルバゾール(10.2g)のN,N−ジメチルホルムアミド(80ml)溶液に、N−ブロモスクシンイミド(15.3g)のN,N−ジメチルホルムアミド(70ml)溶液を滴下し、室温で7時間撹拌した。得られた溶液に水50ml、メタノール100mlを加えて沈殿を析出させ、沈殿を濾過、メタノール洗浄により精製し、目的物30(14.8g)を得た。
Figure 0004561221
窒素気流中、−70℃で、目的物30(8.0g)のテトラヒドロフラン(100ml)溶液へ、1.6Mノルマルブチルリチウムのヘキサン溶液(30.2ml)を15分間かけて滴下し、1時間撹拌した。−60℃で、N,N−ジメチルホルムアミド(15.5ml)を滴下した後、室温で2時間撹拌した。析出した沈殿を濾過、ジクロロメタンで抽出し、濃縮して得た固形分をメタノール中で懸濁洗浄し、濾過し、目的物31(2.28g)を得た。最後に得た濾液に水を加え、析出した固体を濾別することにより、更に目的物31(1.01g;合計3.29g)を得た。
Figure 0004561221
乾燥空気中、目的物31(1.20g)、アセトフェノン(1.44g)、酢酸(23ml)の混合溶液に、濃硫酸(1.3ml)を加え、35〜40℃で8.5時間撹拌した後、メタノール(20ml)、水(50ml)を加え、析出した沈殿を濾過、メタノール洗浄した。これをメタノール中で超音波洗浄し、目的物32(1.90g)を得た。
乾燥空気中、目的物32(1.81g)、1−フェナシルピリジニウムブロマイド(3
.00g)、酢酸アンモニウム(14.0g)、酢酸(62ml)、N,N−ジメチルホルムアミド(62ml)を、加熱還流下、5時間撹拌した後、メタノール(20ml)、水(100ml)を加え、析出した沈殿を濾過、メタノール洗浄した。得られた固形分をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、目的物33(0.26g)を得た。
DEI−MS(m/z=701(M+))より、目的物33であることを確認した。このものの融点は285℃、気化温度は523℃であった。
(合成例14)目的物34
Figure 0004561221
大気中、目的物5(0.70g)、目的物24(2.39g)、酢酸アンモニウム(8.78g)、酢酸(43ml)、N,N−ジメチルホルムアミド(43ml)を加熱還流下、10時間撹拌し、得られた溶液にメタノール(20ml)を加えて撹拌した。析出した沈殿を濾過、メタノールで洗浄した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、目的物34(0.52g)を得た。
MALDI−TOF−MS(m/z=994([M+H]+))から、目的物34であ
ることを確認した。このもののガラス転移温度は138℃、融点は340℃、気化温度は571℃であった。
(合成例15)目的物35〜38
Figure 0004561221
乾燥空気中、イソフタルアルデヒド(6.71g)、3‘−ブロモアセトフェノン(20.9g)、酢酸(215ml)の混合溶液に、濃硫酸(16.1ml)を加え、35℃で9時間撹拌した後、エタノール(70ml)、水(150ml)を加え、析出した沈殿を濾過、メタノール洗浄した。これをメタノール中で超音波洗浄して精製し、目的物35(15.5g)を得た。
目的物35(9.92g)、1−フェナシルピリジニウムブロマイド(16.7g)、酢酸アンモニウム(78g)、酢酸(350ml)、N,N−ジメチルホルムアミド(350ml)を、加熱還流下、7.5時間撹拌した後、水(700ml)中に投入し、析出した沈殿を濾過、メタノール洗浄で精製し、目的物36(11.3g)を得た。
Figure 0004561221
窒素気流中、60℃条件下、9−ブロモフェナントレン(18.4g)、ビス(ピナコラート)ジボロン(20.0g)、酢酸カリウム(23.9g)、ジメチルスルホキシド(420ml)の混合溶液に、[1,1'-ビス(ジフェニルフォスフィノ)フェロセン]ジク
ロロパラジウム (II) , ジクロロメタン錯体 (1:1)(1.75g)を加え、80℃で8.2時間撹拌し、得られた溶液を、1Lの水中に投入し、沈殿を析出させた後、上澄みを除去して得られた残留固形物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、目的物37(13.3g)を得た。
Figure 0004561221
窒素気流中、目的物36(3.47g)、目的物37(4.26g)、ジメトキシエタン(50ml)の混合物に、テトラキス(トリフェニルフォスフィン)パラジウム(0.46g)、2M炭酸カリウム水溶液(10ml)を順次投入し、加熱還流下、5.5時間撹拌した。これをジクロロメタン(100ml)で抽出後、塩水(50ml)で洗浄、硫酸マグネシウム乾燥、濾過、濃縮して得られた固形分を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、目的物38(3.59g)を得た。
DEI−MS(m/z=888(M+))より、目的物38であることを確認した。このもののガラス転移温度は148℃、融点は検出されず、気化温度は558℃であった。
(合成例16)目的物39
Figure 0004561221
窒素気流中、目的物36(2.78g)、1−ナフチルボロン酸(1.79g)、ジメトキシエタン(40ml)の混合物に、テトラキス(トリフェニルフォスフィン)パラジ
ウム(0.37g)、2M炭酸カリウム水溶液(8ml)を順次投入し、加熱還流下、6.3時間撹拌した。これをジクロロメタンで抽出後、塩水(50ml)で洗浄、硫酸マグネシウム乾燥、濾過、濾液を濃縮して得られた固形分を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、目的物39(2.66g)を得た。
DEI−MS(m/z=788(M+))より、目的物39であることを確認した。このもののガラス転移温度は113℃、融点は検出されず、気化温度は530℃であった。(合成例17)目的物40〜43
Figure 0004561221
3‘−ブロモアセトフェノン(11.9g)、ベンズアルデヒド(3.18g)、酢酸アンモニウム(30.0g)、酢酸(75ml)の混合溶液を、乾燥空気をバブリングさせながら、加熱環流下、55分間撹拌し、得られた溶液を放冷後、析出物を濾過、酢酸/水(7/3;100ml)で洗浄、更に、メタノール懸洗、トルエン−エタノールからの再結晶により精製し、目的物40(3.20g)を得た。
窒素気流中、−77℃条件下、目的物40(3.19g)、ジエチルエーテル(160ml)、テトラヒドロフラン(115ml)の混合溶液に、1.58Mノルマルブチルリチウム−ヘキサン溶液(15.0ml)を10分間かけて滴下し、さらに4.7時間撹拌した後、N,N−ジメチルホルムアミド(5.3ml)を加えて、室温で2.8時間撹拌した。得られた溶液に1N塩酸水溶液(24ml)を加えて中和後、有機溶媒を減圧留去し、これにメタノール(100ml)を加え、析出物を濾過、メタノール洗浄して精製し、目的物41(1.80g)を得た。
Figure 0004561221
乾燥空気中、目的物41(1.80g)、アセトフェノン(1.25g)、酢酸(20ml)の混合溶液に、濃硫酸(1.6ml)を加え、35℃で9.5時間撹拌した後、メタノール(10ml)、水(40ml)を加え、デカンテーションにより上澄み液を留去することによって得られた固形分を、クロロホルム−メタノールからの再結晶により精製し、目的物42(1.78g)を得た。
目的物42(1.78g)、1−フェナシルピリジニウムブロマイド(2.62g)、酢酸アンモニウム(12.1g)、酢酸(75ml)、N,N−ジメチルホルムアミド(75ml)を、乾燥空気をバブリングさせながら、加熱還流下、8.5時間撹拌した後、メタノール50ml、水50mlを加え、析出した沈殿を濾過、シリカゲルカラムクロマトグラフィーおよびクロロホルム−メタノールからの再結晶で精製し、目的物43(0.87g)を得た。
DEI−MS(m/z=765(M+))より、目的物43であることを確認した。 このもののガス転移温度は111℃、融点は266℃、気化温度は528℃であった。
(合成例18)目的物44〜目的物46
Figure 0004561221
窒素気流中、目的物31(4.01g)、3−カルボキシフェニルボロン酸(3.90g)、ジメトキシエタン(100ml)の混合物に、テトラキス(トリフェニルフォスフィン)パラジウム(0.92g)、2M炭酸カリウム水溶液(20ml)を順次投入し、加熱還流下、7.5時間撹拌した。デカンテーションにより上澄み液を留去することによって得られた固形分を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、目的物44(3.70g)を得た。
Figure 0004561221
乾燥空気中、目的物44(3.70g)、アセトフェノン(2.07g)、酢酸(52ml)の混合溶液に、濃硫酸(2.6ml)を加え、35℃で9時間撹拌した後、メタノール(30ml)を加え、デカンテーションにより上澄み液を留去することによって得られた固形分を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、目的物45(1.56g)を得た。
目的物45(1.56g)、1−フェナシルピリジニウムブロマイド(1.99g)、酢酸アンモニウム(9.2g)、酢酸(57ml)、N,N−ジメチルホルムアミド(57ml)を、乾燥空気中、加熱還流下、6.9時間撹拌した後、メタノール50ml、水50mlを加え、析出した沈殿を濾過、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、目的物46(0.65g)を得た。
DEI−MS(m/z=853(M+))より、目的物46であることを確認した。このものの融点は検出されず、ガラス転移温度は140℃、気化温度は553℃であった。(合成例19)目的物47〜目的物50
Figure 0004561221
1,3,5-トリブロモベンゼン 11.6gの脱水ジエチルエーテル溶液(240mL)を窒素雰囲気下-78℃に冷却後、n-ブチルリチウムの1.6Mヘキサン溶液25mLを滴下した。1時間-78℃で攪
拌し、つづいてジメチルホルムアミド2.9mLを温度が上がらないよう注意して加え、1時
間攪拌を行った。さらにn-ブチルリチウムの1.6Mヘキサン溶液25mLをゆっくりと加え、1時間攪拌後、ジメチルホルムアミド9.1mLを加え、-78℃でさらに2時間攪拌した。その後反応溶液を0℃まで昇温し、3N塩酸200mLを加え、ジエチルエテール400mLで抽
出をおこなった。有機層を硫酸マグネシウムで処理し、溶媒を減圧留去した。得られた粗生成物にヘキサンを加え再結晶を行うことにより、4.9gの白色の固体として得た。得られた化合物のマス測定結果により目的物47であることを確認した。
M/e: 212(M+:EI-MS)
Figure 0004561221
目的物47(2.4g)の酢酸30mL溶液にアセトフェノン3.3g、硫酸3.5mLを加え、空気中40℃で9.5h攪拌した。その後反応系内に水100mL、メタノール30mLを加
え攪拌した後、濾過を行なった。得られた粗生成物をメタノールで洗浄することにより、4.5gの黄土色の固体として得た。 得られた化合物のマス測定結果により目的物48であることを確認した。
M/e: 416(M+:EI-MS)
Figure 0004561221
目的物48(4.16g)、1−フェナンシルピリジニウムブロマイド(8.34g)、無水酢酸アンモニウム(46g)に酢酸120mL、ジメチルホルムアミド60mLを加え、空気中8.5時間、
加熱環流をおこなった。その後、反応溶液に水100mLを加え、沈殿を炉別し、メタノ
ールで洗浄をおこなった。得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィーにより精製し、4.5gの黄土色の固体として得た。得られた化合物のマス測定結果により目的物49であることを確認した。
M/e: 614(M+:EI-MS)
Figure 0004561221
目的物49(468mg)、9−フェナントリルボロン酸(444mg)にトルエン20mL、エ
タノール1.5mL、2N炭酸ナトリウム水溶液1.5mLを入れ、窒素下、室温で30分攪拌後、
テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0)40mgを加え、さらに7時間加熱環流をおこなった。その後、反応溶液に水50mLを加え、塩化メチレンで数回抽出をおこなった。抽出液に炭酸カリウムを加え乾燥後、溶液を減圧留去したのち、得られた沈殿物をカラムクロマトグラフィーにより精製をおこない、黄白色の固体(462mg)を得た。
得られた化合物のマス測定結果により目的物50であることを確認した。
M/e : 712(M+DEI-MS)
このもののガラス転移温度は136℃、融点は278℃、気化温度は507℃であった。
(合成例20)目的物51〜目的物53
Figure 0004561221
1,3,5−トリブロモベンゼン(15.7g)、フェニルボロン酸(12.1g)にトルエン750mL、エタノール150 mL、2N炭酸ナトリウム水溶液100 mLを入れ、窒素下、室温で30
分攪拌後、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0)40mgを加え、さらに4時間加熱環流をおこなった。室温に冷ました後、反応溶液に水50mLを加え、塩化メチレンで数回抽出をおこなった。抽出液に炭酸カリウムを加え乾燥後、溶液を減圧留去したのち、得られた沈殿物をカラムクロマトグラフィーにより精製をおこない、白色の固体(7.3g)を得た。得られた化合物のマス測定結果により目的物51であることを確認した。
M/e: 308(M+:EI-MS)
Figure 0004561221
目的物51( 3.04g)の脱水テトラヒドロフラン溶液(25 mL)を窒素雰囲気下-78℃に冷却後、n-ブチルリチウムの1.6Mヘキサン溶液13.8mLをゆっくりと滴下し、45分間-78℃
で攪拌した。その後、トリイソプロポキシボラン(4.1g)を一気に加え、30分間−78℃で攪拌したのち、反応溶液を室温まで昇温し、さらに1時間攪拌をおこなった。得られた反応溶液に3N塩酸100mLを加え、ジエチルエテール200mLで抽出をおこなった
。有機層を水50mLで洗浄した後、硫酸ナトリウムで処理し、溶媒を減圧留去した。得
られた粗生成物にジエチルエーテルを加え再沈を行うことにより、1.97gの白色の固体(
目的物52)を得た。
Figure 0004561221
目的物49(936mg)、目的物52(685mg)にトルエン40mL、エタノール3.0 mL、
2N炭酸ナトリウム水溶液3.0mLを入れ、窒素下、室温で30分攪拌後、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0)40mgを加え、4時間加熱環流をおこなった。さらに目
的物52を400mg加えた後、1.5時間加熱環流をおこなった。その後、反応溶液に水50mLを加え、酢酸エチルで数回抽出をおこなった。抽出液に炭酸カリウムを加え乾燥後、溶液を減圧留去したのち、得られた沈殿物をカラムクロマトグラフィーにより精製をおこない、黄白色の固体(685mg)を得た。得られた化合物のマス測定結果により目的物53であ
ることを確認した。
M/e : 764(M+:DEI-MS)
このもののガラス転移温度は検出されず、融点は284℃、気化温度は524℃であった。
(合成例21)目的物54
Figure 0004561221
目的物49( 936mg)の脱水テトラヒドロフラン溶液(25 mL)を窒素雰囲気下-78℃に冷却後、n-ブチルリチウムの1.6Mヘキサン溶液2.6mLをゆっくりと滴下し、15分間-78℃で攪拌した。その後、トリフェニルクロロシラン(885mg)を一気に加え、室温まで昇温し
、3時間攪拌をおこなった。溶媒を減圧留去した後、カラムクロマトグラフィー、GPC精
製を行うことにより、700mgの白色の固体を得た。得られた化合物のマス測定結果により
目的物54であることを確認した。
M/e : 794(M+:DEI-MS)
このもののガラス転移温度は110℃、融点は228℃、気化温度は494℃であった。
(合成例22)目的物55〜目的物56
Figure 0004561221
目的物48(1.07g)、目的物24(2.7g)、無水酢酸アンモニウム(11.8g)に酢酸30mL、ジメチルホルムアミド15mLを加え、空気中8時間、加熱環流をおこなった。その後、
反応溶液に水50mL、メタノール20mLを加え、沈殿を炉別し、メタノールで洗浄をおこな
い、1.4gの黄土色の固体として得た。得られた化合物のマス測定結果により目的物55であることを確認した。
M/e: 766(M+:DEI-MS)
Figure 0004561221
目的物55(977mg)、フェニルボロン酸(242mg)にトルエン30mL、エタノール2.0mL、2N炭酸ナトリウム水溶液2.0mLを加え、窒素下、室温で30分攪拌後、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0)40mgを加え、さらに5時間加熱環流をおこなった。その後、反応溶液に水50mLを加え、クロロホルムで数回抽出をおこなった。抽出液に炭酸カリウムを加え乾燥後、溶液を減圧留去したのち、得られた沈殿物をカラムクロマトグラフィーにより精製をおこない、黄白色の固体(823mg)を得た。得られた化合物のマス
測定結果により目的物56であることを確認した。
M/e: 764(M+:DEI-MS)
このもののガラス転移温度は125℃、融点は268℃、気化温度は528℃であった。
(合成例23)目的物57
Figure 0004561221
目的物36(3.0g)、カルハ゛ソ゛ール(1.73g)、t-フ゛トキシナトリウム(1.8g)、トルエン(80ml)を60℃まで昇温攪拌した中に、トリス(シ゛ヘ゛ンシ゛リテ゛ンアセトン)シ゛ハ゜ラシ゛ウム(0.16g)、トリーt-フ゛チルフォスフィン(0.16g)をトルエン5mlに溶解した溶液を添加した。その後加熱環流下,8.5時間攪拌し、冷却後メタノール(400ml)に注ぎ、粗結晶を得た。次にメタノール(400ml)で加熱攪拌し、シリカケ゛ルカラムクロマトク゛ラフィーにて精製し、目的物3.43gを得た。
DEI−MS(m/z=866)から目的物57であることを確認した。このものの気化温度は554℃、ガラス転移温度は142℃であった。
(合成例24)目的物58
Figure 0004561221
目的物17(3.0g)、カルハ゛ソ゛ール(1.73g)、t-ブトキシナトリウム(1.8g)、トルエン(80ml)を60℃まで昇温攪拌した中に、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0.16g)、トリーt-ブチルフォスフィン(0.2g)をトルエン5mlに溶解した溶液を添加した。その後加熱環流下,5.5時間攪拌し、冷却後析出結晶を濾別し、メタノール(400ml)にて加熱攪拌し粗結晶を得た。次にシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精
製し、目的物2.27gを得た。
DEI−MS(m/z=866)から目的物58であることを確認した。このものの気化温度は556℃、融点317℃、ガラス転移温度は154℃であった。
(合成例25)目的物59
Figure 0004561221
目的物49(2.0g)、カルバゾール(0.65g)、t-ブトキシナトリウム(0.68g)、トルエ
ン(30ml)を60℃まで昇温攪拌した中に、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0.06g)、トリーt-ブチルフォスフィン(0.03g)をトルエン5mlに溶解した溶液
を添加した。その後加熱環流下,7.5時間攪拌し、冷却後析出結晶を濾別し、クロロホルム攪拌洗浄、メタノール(400ml)加熱攪拌し結晶を得た。再結晶することにより、目的物0.45gを得た。
DEI−MS(m/z=701)から目的物59であることを確認した。このものの気化温
度は507℃、融点360℃、カ゛ラス転移温度は130℃であった。
(合成例26)目的物60〜62
Figure 0004561221
イソフタルアルデヒド(2.73g)、4-アセチルビフェニル(7.98g)、濃硫酸(6.54ml)、酢酸(58ml)を大気中、50℃で、6.5時間攪拌した後、エタノール(60ml)、水(60ml)
を加え、析出した結晶を濾過した。その後、その結晶をエタノール150mlで加熱環流攪拌
し、濾別後、カラムクロマトグラフィーにて精製し、目的物60を1.8g得た。
Figure 0004561221
目的物60(1.2g)、目的物24(2.5g)、酢酸アンモニウム(9.4g)、酢酸(36.63g)N,N-ジメチルホルムアミド(40ml)を加熱環流下、7.5時間攪拌して得られた溶液に、エタノ
ール50ml添加、得られた結晶を濾別した。その結晶をメタノール50ml加熱攪拌を2回行い、目的物62(0.97g)を得た。DEI-MS(m/z=840)から目的物62であることを確認した。このものの融点は319℃、ガラス転移温度は142℃であった。
<実施例>
(実施例1)化合物の評価
(実施例1−1)化合物の酸化・還元電位測定
上記合成例で得られた目的物2(HB−1)、目的物6(HB−3)及び目的物15(HB−5)の酸化・還元電位測定を行った。測定条件は、以下の通りである。得られた電位を飽和甘コウ電極(SCE)を基準電極として換算した結果を表−1−1に示す。
参照電極:銀線(内部標準物質としてフェロセン使用)
作用電極:グラシックカーボン
対極:白金線
測定溶媒:0.1ml/L 過塩素酸テトラ(ノルマルブチル)アンモニウム塩化メチレ
ン溶液(アセトニトリル溶液)
掃引速度:100ml/sec
試料濃度:1mmol/L
(比較例1−1)比較化合物の酸化・還元電位測定
実施例1−1と同様にして、比較化合物として、以下に示す、ピリジン環の窒素原子同志が共役連結している下記構造化合物(HB−6)の酸化・還元電位測定を行った。結果を表−1−1に示す。
Figure 0004561221
Figure 0004561221
表−1−1より、本発明の化合物は、非共役に連結している構造であることにより、酸化還元電位差が、共役連結している構造(比較)に比べて大きいことを示している。
(実施例1−2)化合物の最大発光ピーク波長
本発明の一般式(II)の化合物に該当し、かつ、該化合物が最安定化構造をとった時に、平面構造とならない化合物(以下、化合物IIという)である、目的物18及び目的物15の薄膜(膜厚50nm)を、真空蒸着法によりガラス基板上に作成した。
得られた薄膜は透明なアモルファス膜であった。得られた薄膜の最大吸光波長で励起したときの蛍光発光スペクトルにおける最大発光ピーク波長を、表−1−2に示した。
(比較例1−2)比較化合物の最大発光ピーク波長
本発明の一般式(II)の化合物に該当し、かつ、該化合物が最安定化構造をとった時に、平面構造とならない化合物ではない、目的物6及び目的物25(HB−8)の薄膜を、(実施例1−2)と同様にして、作成した。得られた薄膜は透明なアモルファス膜であった。得られた薄膜の最大吸光波長で励起したときの蛍光発光スペクトルにおける最大発光ピーク波長を、表−1−2に示した。
Figure 0004561221
これらの結果から、一般式(II)の化合物(化合物II)は、薄膜状態での分子間相互作用が抑制されていることが明確である。
(実施例2)素子1〜8の作成と発光特性
(実施例2−1)素子1の作成
図3に示す構造を有する有機電界発光素子を以下の方法で作製した。
ガラス基板1の上にインジウム・スズ酸化物(ITO)透明導電膜2を 150nm堆積したもの(スパッター成膜品;シート抵抗15Ω)を通常のフォトリソグラフィ技術と塩酸エッチングを用いて 2mm幅のストライプにパターニングして陽極を形成した。パターン形成したITO基板を、アセトンによる超音波洗浄、純水による水洗、イソプロピルアルコールによる超音波洗浄の順で洗浄後、窒素ブローで乾燥させ、最後に紫外線オゾン洗浄を行っ
た。
陽極バッファ層3の材料として、下記に示す構造式の芳香族アミノ基を有する非共役系高分子化合物(PB−1)
Figure 0004561221
重量平均分子量 :29400
数平均分子量 :12600
を電子受容性化合物(A−1)
Figure 0004561221
と共に以下の条件でスピンコートした。
溶媒 安息香酸エチル
塗布液濃度 2[wt%]
PB−1:A−1 10:1
スピナ回転数 1500[rpm]
スピナ回転時間 30[秒]
乾燥条件 100℃1時間
上記のスピンコートにより膜厚30nmの均一な薄膜が形成された。
次に陽極バッファー層を成膜した基板を真空蒸着装置内に設置した。上記装置の 粗排
気を油回転ポンプにより行った後、装置内の真空度が1.1×10-6Torr(約1.5×10-4Pa)以下になるまで油拡散ポンプを用いて排気した。上記装置内に配置されたセラミックるつぼに入れた、下記に示すアリールアミン化合物(H−1)
Figure 0004561221
をるつぼの周囲のタンタル線ヒーターで加熱して蒸着を行った。この時のるつぼの温度は、318〜334℃の範囲で制御した。蒸着時の真空度1.1x10-6Torr(約1.4x10-4Pa)、蒸着速度は0.15nm/秒で膜厚60nmの正孔輸送層4を得た。
引続き、発光層5の主成分(ホスト材料)として下記に示すカルバゾール誘導体(E−1)を、副成分(ドーパント)として有機イリジウム錯体(D−1)を別々のセラミックるつぼに設置し、2元同時蒸着法により成膜を行った。
Figure 0004561221
化合物(E−1)のるつぼ温度は 184〜196℃、蒸着速度は 0.11nm/秒に、化合物(D−1)のるつぼ温度は 245〜 246℃にそれぞれ制御し、膜厚30nmで化合物(D−1)が6重量%含有された発光層5を正孔輸送層4の上に積層した。蒸着時の真空度は1.0×10-6Torr(約1.3×10-4Pa)であった。
さらに、正孔阻止層6として、上記合成例1で合成された目的物2(HB−1)
Figure 0004561221
をるつぼ温度を 190〜196℃として、蒸着速度0.13nm/秒で10nmの膜厚で積層した。
蒸着時の真空度は0.7×10-6Torr(約0.9×10-4Pa)であった。
正孔阻止層6の上に、電子輸送層7として下記に示すアルミニウムの8−ヒドロキシキノリン錯体(ET−1)
Figure 0004561221
を同様にして蒸着した。この時のアルミニウムの8−ヒドロキシキノリン錯体のるつぼ温度は 250〜 262℃の範囲で制御し、蒸着時の真空度は0.7×10-6Torr(約0.9×10-4Pa)、蒸着速度は0.21nm/秒で膜厚は35nmとした。
上記の正孔輸送層、発光層及び電子輸送層を真空蒸着する時の基板温度は室温に保持した。
ここで、電子輸送層6までの蒸着を行った素子を一度前記真空蒸着装置内より大気中に取り出して、陰極蒸着用のマスクとして 2mm幅のストライプ状シャドーマスクを、陽極2のITOストライプとは直交するように素子に密着させて、別の真空蒸着装置内に設置して有機層と同様にして装置内の真空度が2.7×10-6Torr(約2.0×10-4Pa)以下になるまで排気した。陰極8として、先ず、フッ化リチウム(LiF)をモリブデンボートを用いて、 蒸着速度0.01nm/秒、真空度3.0×10-6Torr(約4.0×10-4Pa)で、0.5nmの膜厚で電子輸 送層7の上に成膜した。次に、アルミニウムを同様にモリブデンボートにより加熱して、蒸着速度0.48nm/秒、真空度8.5×10-6Torr(約1.1×10-3Pa)で膜厚80nmのアルミニウム 層を形成して陰極8を完成させた。以上の2層型陰極8の蒸着時の基板温度は室温に保持した。
以上の様にして、2mm×2mm のサイズの発光面積部分を有する有機電界発光素子(素子 1)が得られた。
この素子の発光特性を表−2に示す。
表−2において、最大発光輝度は電流密度0.25A/cm2での値、発光効率・輝度/電流・ 電圧は 輝度100cd/m2での値を各々示す。
素子1の発光スペクトルの極大波長は510nmであり、有機イリジウム錯体(D−1)か らのものと同定された。色度はCIE(x,y)=(0.28,0.62)であった。
(実施例2−2)素子2の作成
発光層5の副成分(ドーパント)として有機イリジウム錯体(D−1)の代わり
に下記に示す混合配位子錯体(D−2)を用いた他は、(実施例2−1)と同様にして、素子2を作製した。
素子2の発光特性を表−2に示す。
素子2の発光スペクトルの極大波長は626nm、色度はCIE(x,y)=(0.68,0.32)であり、有 機イリジウム錯体(D−2)からのものと同定された。
Figure 0004561221
(実施例2−3)素子3の作成
発光層5の副成分(ドーパント)として有機イリジウム錯体(D−1)の代わりに下記に示す混合配位子錯体(D−3)を用いた他は、(実施例2−1)と同様にして素子3を作製した。
素子3の発光特性を表−2に示す。素子の発光スペクトルの極大波長は471nm、色度はCIE(x,y)=(0.16,0.35)であり、有機イリジウム錯体(D−3)からのものと同定された。
Figure 0004561221
(実施例2−4)素子4の作成
正孔阻止層の目的物2(HB−1)の代わりに、下記に示す、合成例3で得られた目的物6(HB−3)を用いた他は、(実施例2−1)と同様にして素子4を作製した。
素子4の発光特性を表−2に示す。素子の発光スペクトルの極大波長は512nm、色度はCIE(x,y)=(0.28,0.63)であり、有機イリジウム錯体(D−1)からのものと同定された。
初期の発光特性は、素子1よりも高効率であった。
Figure 0004561221
(実施例2−5)素子5の作成
正孔阻止層の目的物2(HB−1)の代わりに、下記に示す、合成例5で得られた目的物10(HB−4)を用いた他は、(実施例2−1)と同様にして素子5を作製した。
素子5の発光特性を表−2に示す。素子の発光スペクトルの極大波長は512nm、色度はCIE(x,y)=(0.28,0.62)であり、有機イリジウム錯体(D−1)からのものと同定された。
初期の発光特性は、素子1とほぼ同等であった。
Figure 0004561221
(実施例2−6)素子6の作成
正孔阻止層の目的物2(HB−1)の代わりに、下記に示す、合成例7で得られた目的物15(HB−5)を用いた他は、(実施例2−1)と同様にして素子6を作製した。
素子6の発光特性を表−2に示す。素子の発光スペクトルの極大波長は512nm、色度はCIE(x,y)=(0.29,0.61)であり、有機イリジウム錯体(D−1)からのものと同定された。 初期の発光特性は、素子1よりも高効率であった。
Figure 0004561221
(実施例2−7)素子7の作成
正孔阻止層の目的物2(HB−1)の代わりに、下記に示す、合成例8で得られた目的物18(HB−6)を用いた他は、(実施例2−1)と同様にして素子7を作製した。
素子7の発光特性を表−2に示す。素子の発光スペクトルの極大波長は512nm、色度はCIE(x,y)=(0.29,0.62)であり、有機イリジウム錯体(D−1)からのものと同定された。 初期の発光特性は、素子1よりも高効率であった。
Figure 0004561221
(実施例2−8)素子8の作成
正孔阻止層の目的物2(HB−1)の代わりに、下記に示す、目的物25(HB−8)を用いた他は、(実施例2−1)と同様にして素子8を作製した。
素子8の発光特性を表−2に示す。素子の発光スペクトルの極大波長は510nm、色度はCIE(x,y)=(0.28,0.60)であり、有機イリジウム錯体(D−1)からのものと同定された。
Figure 0004561221
(実施例2−9)素子11の作成
正孔阻止層の目的物2(HB−1)の代わりに、下記に示す、合成例2で得られた目的物4(HB−9)を用いた他は、(実施例2−1)と同様にして素子11を作製した。
素子11の発光特性を表−2に示す。素子の発光スペクトルの極大波長は509nm、色度
はCIE(x,y)=(0.27,0.58)であり、有機イリジウム錯体(D−1)からのものと同定された。
Figure 0004561221
(実施例2−10)素子12の作成
正孔阻止層の目的物2(HB−1)の代わりに、下記に示す、合成例19で得られた目的物50を用いた他は、(実施例2−1)と同様にして素子12を作製した。
素子×の発光特性を表−2に示す。素子の発光スペクトルの極大波長は512nm、色度はCIE(x,y)=(0.29,0.61)であり、有機イリジウム錯体(D−1)からのものと同定された。
初期の発光特性は、素子1よりも高効率であった。
Figure 0004561221
(実施例2−11)素子13の作成
陽極バッファ層3の材料として、下記に示す構造式の芳香族アミノ基を有する非共役系高分子化合物(PB−1)および電子受容性化合物(A−2)からなる材料を用い、有機低分子層(正孔輸送層4ないし電子輸送層7までの層)の膜厚を下記の通り変更した他は、(実施例2−1)と同様にして素子13を作製した。
芳香族アミノ基を有する非共役系高分子化合物(PB−1)
Figure 0004561221
重量平均分子量 :29400
数平均分子量 :12600
電子受容性化合物(A−2):特願2004−68958号の0059欄の表中に記載されている、番号A−1のイオン化合物
スピンコート条件
溶媒 安息香酸エチル
塗布液濃度 2[wt%]
PB−1:A−2 10:2
スピナ回転数 1500[rpm]
スピナ回転時間 30[秒]
乾燥条件 230℃ 15分
上記のスピンコートにより膜厚30nmの均一な薄膜が形成された。
有機低分子層
正孔輸送層4 アリールアミン化合物(H−1) 40nm
発光層5 ホスト材料:カルバゾール誘導体(E−1) 30nm
ドーパント:有機イリジウム錯体(D−1) 6重量%
正孔阻止層6 合成例1で合成された目的物2(HB−1) 5nm
電子輸送層7 Alの8−ヒドロキシキノリン錯体(ET−1) 30nm
素子13の発光特性を表−2に示す。素子の発光スペクトルの極大波長は512nm、色度はCIE(x,y)=(0.30,0.59)であり、有機イリジウム錯体(D−1)からのものと同定された。
(実施例2−12)素子14の作成
正孔阻止層の目的物2(HB−1)の代わりに、下記に示す、合成例15で得られた目的物38を用いた他は、(実施例2−11)と同様にして素子14を作製した。
素子14の発光特性を表−2に示す。素子の発光スペクトルの極大波長は513nm、色度
はCIE(x,y)=(0.30,0.59)であり、有機イリジウム錯体(D−1)からのものと同定された。
Figure 0004561221
(実施例2−13)素子15の作成
正孔阻止層の目的物2(HB−1)の代わりに、下記に示す、合成例16で得られた目的物39を用いた他は、(実施例2−11)と同様にして素子15を作製した。
素子15の発光特性を表−2に示す。素子の発光スペクトルの極大波長は512nm、色度はCIE(x,y)=(0.29,0.58)であり、有機イリジウム錯体(D−1)からのものと同定された。
Figure 0004561221
(比較例2)比較素子1〜3の作成と発光特性
(比較例2−1)比較素子1の作成
正孔阻止層の目的物2(HB−1)の代わりに、下記に示す、混合配位子錯体(HB−2)を用いた他は、(実施例2−1)と同様にして比較素子1を作製した。
比較素子1の発光特性を表−2に示す。素子の発光スペクトルの極大波長は510nm、色 度はCIE(x,y)=(0.28,0.62)であり、有機イリジウム錯体(D−1)からのものと同定された。初期の発光特性は、素子1とほぼ同等であった。
Figure 0004561221
(比較例2−2)比較素子2の作成
正孔阻止層の目的物2(HB−1)の代わりに、上記混合配位子錯体(HB−2)を用いた他は、(実施例2−2)と同様にして比較素子2を作製した。
比較素子2の発光特性を表−2に示す。素子の発光スペクトルの極大波長は626nm、色 度はCIE(x,y)=(0.67,0.32)であり、有機イリジウム錯体(D−1)からのものと同定された。初期の発光特性は、素子2とほぼ同等であった。
(比較例2−3)比較素子3の作成
正孔阻止層の目的物2(HB−1)の代わりに、上記混合配位子錯体(HB−2)を用いた他は、(実施例2−3)と同様にして比較素子3を作製した。
比較素子3の発光特性を表−2に示す。素子の発光スペクトルの極大波長は472nm、色 度はCIE(x,y)=(0.17,0.37)であり、有機イリジウム錯体(D−3)からのものと同定された。初期の発光特性は、素子3と比較して、発光効率および電流あたりの輝度が低かった。
Figure 0004561221
(実施例3)素子の評価
(実施例3−1)駆動寿命試験1
素子1、素子6、素子7、素子8及び素子12を、下記条件の下、駆動寿命試験を行った。
温度 室温
初期輝度 5,000cd/m2
駆動方式 直流駆動(DC駆動)
素子1の駆動特性を表−3−1に示す。寿命および電圧上昇は輝度/初期輝度=0.8となった時点の比較素子1の駆動時間を1.0とした場合の相対時間を示す。素子1、素子6、素子7、素子8及び12の方が、比較素子1に比べて、寿命が長いことがわかる。

(比較例3−1)
比較素子1を、実施例3−1と同様にして、駆動寿命試験を行った結果を、表−3−1に示す。
Figure 0004561221
(実施例3−2)駆動寿命試験2
素子4及び素子5を、下記条件の下、駆動寿命試験を行った。
温度 室温
初期輝度 1,000cd/m2
駆動方式 直流駆動(DC駆動)
駆動時間 100時間
この素子の駆動特性を表−3−2に示す。100時間後の輝度/初期輝度(L/L0)および
電圧上昇値(=電圧−初期駆動電圧)を示す。
(比較例3−2)
比較素子1を、実施例3−2と同様にして、駆動寿命試験を行った。結果を表−3−2に示す。
素子4及び素子5の方が、比較素子1に比べて、100時間後のL/L0が大きく寿命が長い 。
Figure 0004561221
(実施例3−3)駆動寿命試験3
素子1、素子8および素子11を、下記条件の下、駆動寿命試験を行った。
温度 室温
初期輝度 2,000cd/m2
駆動方式 直流駆動(DC駆動)
定電流で連続発光させ、輝度が4割減少する(L/L0=0.6)までの時間を比較した。比較例1素子の時間をを1.00とした場合の実施例の相対時間を表−3−3に示す。素子1、素子8および素子11の方が比較素子1に比べて、寿命が長いことがわかる。
(比較例3−3)
比較素子1を、実施例3−3と同様にして、駆動寿命試験を行った結果を、表−3−3に示す。
Figure 0004561221
(実施例3−4)駆動寿命試験4
素子13および素子14を、下記条件の下、駆動寿命試験を行った。
温度 室温
初期輝度 5,000cd/m2
駆動方式 直流駆動(DC駆動)
定電流で連続発光させ、輝度が半減する(L/L0=0.5)までの時間を比較した。表−3−4に示す。素子13および素子14の駆動寿命は同等である。
Figure 0004561221
(実施例4)
発光層及び正孔阻止層の両層に、本発明の電荷輸送材料を使用した素子の作成
(実施例4−1)素子9の作成
発光層5の主成分(ホスト材料)として、カルバゾール誘導体(E−1)の代わりに目的物2(HB−1)を用いた他は、実施例2−1と同様にして素子9を作製した。
素子9の発光特性を表−5に示す。
素子9の発光スペクトルの極大波長は512nm、色度はCIE(x,y)=(0.29,0.62)であり、有 機イリジウム錯体(D−1)からのものと同定された。
(実施例4−2)素子10の作成
発光層5の主成分(ホスト材料)として、カルバゾール誘導体(E−1)の代わりに目的物6(HB−3)を用い、正孔阻止層として目的物2(HB−1)の代わりに目的物6(HB−3)を用いた他は、実施例2−1と同様にして素子10を作製した。
素子10の発光特性を表−5に示す。
素子10の発光スペクトルの極大波長は514nm、色度はCIE(x,y)=(0.30,0.62)であり、 有機イリジウム錯体(D−1)からのものと同定された。
(実施例4−3)素子16の作成
発光層5の主成分(ホスト材料)として、カルバゾール誘導体(E−1)の代わりに目的物57を用い、正孔阻止層として目的物2(HB−1)の代わりに目的物38を用いた他は、実施例2−11と同様にして素子16を作成した。
素子16の発光特性を表−4に示す。素子16の発光スペクトルの極大波長は513nmで
あり、有機イリジウム錯体(D−1)からのものと同定された。色度はCIE(x,y)=(0.31,0.61)であった。
Figure 0004561221
(実施例4−4)素子9の駆動寿命試験
素子9および実施例2−1で作成した素子1を、下記条件の下、駆動寿命試験を行った。
温度 室温
初期輝度 1,000cd/m2
駆動方式 直流駆動(DC駆動)
定電流で連続発光させ、輝度が2割減少する(L/L0=0.8)までの時間を比較した。素子1の時間を1.00とした場合、素子9の相対時間は1.82であり、有機発光層および正孔阻止層の両層に目的物2(HB−1)を用いた素子9の方が、正孔阻止層のみに目的物2(HB−1)を用いた素子1よりも、さらに寿命が長いことがわかった。
(実施例5)本発明の電荷輸送材料を発光層に使用した素子の作成(正孔阻止層なし)
(実施例5−1)素子17の作成
発光層5の主成分(ホスト材料)として、カルバゾール誘導体(E−1)の代わりに、下記に示す上記合成例23で合成された目的物57を用いたこと、及び、発光層の上に正孔阻止層を積層せずに、そのまま電子輸送層を積層したこと以外は、実施例2−11と同様にして、素子17を作成した。
Figure 0004561221
素子17の発光特性を表−5に示す。
表−5において、最大発光輝度は電流密度0.25A/cm2での値、発光効率・輝度/電流・
電圧は 輝度100cd/m2での値を各々示す。
素子17の発光スペクトルの極大波長は513nmであり、有機イリジウム錯体(D−1)
からのものと同定された。色度はCIE(x,y)=(0.30,0.59)であった。
(比較例5−1)比較素子4の作成
発光層の目的物57の代わりに、前記カルバゾール誘導体(E−1)を用いた他は、(実施例5−1)と同様にして比較素子4を作製した。
比較素子4の発光特性を表−5に示す。素子の発光スペクトルの極大波長は513nm、色
度はCIE(x,y)=(0.30,0.60)であり、有機イリジウム錯体(D−1)からのものと同定された。素子17の初期の発光特性は、比較素子4よりも高効率であった。
Figure 0004561221
(実施例6)素子の評価
(実施例6−1)駆動寿命試験
素子17を、下記条件の下、駆動寿命試験を行った。
温度 室温
初期輝度 1000cd/m2
駆動方式 直流駆動(DC駆動)
素子17の駆動特性を表−6に示す。L/L0は150時間後の輝度/初期輝度である。
(比較例6−1)
比較素子4を、実施例6−1と同様にして、駆動寿命試験を行った結果を、表−6に示す。
素子17の方が、比較素子4に比べて、寿命が長いことがわかる。
Figure 0004561221
有機電界発光素子の一例を示した模式断面図。 有機電界発光素子の別の例を示した模式断面図。 有機電界発光素子の別の例を示した模式断面図。
符号の説明
1 基板
2 陽極
3 陽極バッファ層
4 正孔輸送層
5 発光層
6 正孔阻止層
7 電子輸送層
8 陰極

Claims (9)

  1. 記一般式(I)で表わされる化合物であり、
    当該化合物の分子内にカルバゾール環を少なくとも1個含むことを特徴とする電荷輸送材料。
    Figure 0004561221
    上記一般(I)中、R、R、R及びRは、各々独立に、水素原子又は任意の置換基を表し、R、R、R及びRは、各々独立に芳香環基を表す。
    は、直接結合を表す。
    は、直接結合を表す。
    連結基Qは、下記構造式で表される基を表す。
    Figure 0004561221
    mは0又は2の整数であり、nは0又は2の整数であり、n又はmが0であり、mとnの総和は2である。
    尚、m又はnが2の場合、1分子中に含まれる複数個のRないしRは各々同一であっても異なっていてもよい。)
  2. 前記一般式(I)におけるR 〜R の分子量は、その置換基も含め、それぞれ400以下であることを特徴とする請求項1に記載の電荷輸送材料。
  3. 電子輸送材料であることを特徴とする請求項1又は2に記載の電荷輸送材料。
  4. 基板上に、陽極、陰極、及びこれら両極間に設けられた有機発光層を有し、請求項1〜のいずれか1項に記載の電荷輸送材料を含有してなる層を有することを特徴とする有機電界発光素子。
  5. 請求項1〜のいずれか1項に記載の電荷輸送材料を含有する層が有機発光層であることを特徴とする請求項に記載の有機電界発光素子。
  6. 有機発光層が、請求項1〜のいずれか1項に記載の電荷輸送材料をホスト材料とし、該ホスト材料に対して、有機金属錯体がドープされてなることを特徴とする請求項に記載の有機電界発光素子。
  7. 有機発光層が、発光色素として有機金属錯体を含有し、且つ請求項1〜のいずれか1項に記載の電荷輸送材料を含む層が、有機発光層の陰極側界面に接する正孔阻止層であることを特徴とする請求項に記載の有機電界発光素子。
  8. 有機金属錯体が、2−アリールピリジン系配位子を有することを特徴とする請求項又はに記載の有機電界発光素子。
  9. 請求項1〜のいずれか1項に記載の電荷輸送材料を、有機発光層及び該有機発光層の陰極側界面に接する層の両層に含有することを特徴とする請求項のいずれか1項に記載の有機電界発光素子。
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