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JP4560721B2 - 電解質組成物および電池 - Google Patents

電解質組成物および電池 Download PDF

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JP4560721B2
JP4560721B2 JP2004334445A JP2004334445A JP4560721B2 JP 4560721 B2 JP4560721 B2 JP 4560721B2 JP 2004334445 A JP2004334445 A JP 2004334445A JP 2004334445 A JP2004334445 A JP 2004334445A JP 4560721 B2 JP4560721 B2 JP 4560721B2
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Description

本発明は、エチレンオキシド構造を有するポリマーおよび低分子量化合物の少なくとも一つとリチウム塩化合物およびピロカーボネート化合物を含有することを特徴とする電解質組成物に関し、特に、リチウム二次電池用材料として好適な電解質組成物に関する。
従来、電池、キャパシター、センサーなどの電気化学デバイスを構成する電解質は、イオン伝導性の点から電解液または電解液を含有させてゲル状にしたポリマー電解質が用いられているが、電解液の液漏れによる機器の損傷の恐れがあること、また電解液が正極や負極と反応して、電気化学的特性が低下する等の問題点が指摘されている。これに対し無機結晶性物質、無機ガラス、有機高分子系物質などの固体電解質が提案されている。有機高分子系物質は一般に加工性、成形性に優れ、得られる固体電解質が柔軟性、曲げ加工性を有し、応用されるデバイスの設計の自由度が高くなることなどの点からその進展が期待されている。しかしながら、イオン伝導性の面では他の材質より劣っているのが現状である。
エチレンオキシドの単独重合体とアルカリ金属イオン系におけるイオン伝導性の発見より、高分子固体電解質の研究は活発に行われるようになった。その結果、ポリマーマトリックスとしては、その運動性の高さ及び金属カチオンの溶解性の点でポリエチレンオキシドなどのポリエーテルが最も有望と考えられている。イオンの移動はポリマーの結晶部ではなくアモルファス部分で起こることが予測されている。それ以来、ポリエチレンオキシドの結晶性を低下させるために、種々のエポキシドとの共重合が行われてきている。米国特許USP 4,818,644号公報にはエチレンオキシドとメチルグリシジルエーテルとの共重合体からなる固体電解質が示されている。しかしながら、いずれもイオン伝導度は必ずしも満足のいくものではなかった。
このため、ジエチレングリコールメチルグリシジルエーテル−エチレンオキシド架橋体に特定のアルカリ金属塩を含有させて高分子固体電解質に応用する試みが特開平 9-324114号公報に提案されているが、実用的に充分な伝導度の値は得られていない。イオン伝導度を更に向上させるために、非プロトン性有機溶媒を含む高分子固体電解質も特開平 11-040153号公報に提案されている。しかし、これらの電解質はリチウム二次電池の電極にリチウム金属を用いた場合、リチウム金属と反応あるいはリチウム金属の表面にデンドライトが析出し、電気化学的特性が著しく低下する。
米国特許USP4,818,644号 特開平9-324114号 特開平11-040153号
本発明の目的は、イオン伝導性および電気化学特性が優れた電解質組成物およびそれを用いた電池を提供することにある。
本発明は
(A)(1)エチレンオキシド構造を有するポリマーおよび(2)低分子量化合物の少なくとも一つと
(B)(3)リチウム塩化合物と
(C)(4)ピロカーボネート化合物と
を含有することを特徴とする電解質組成物を提供する。
加えて、本発明は、前記電解質組成物を用いた電池をも提供する。
本発明の電解質組成物を用いると、リチウム金属に安定なことにより、高性能の電池が得られることも見いだした。
本発明の電解質はリチウム金属への電気化学的特性が著しく改善されている。したがって、リチウム金属を用いた高エネルギー密度の電池(特に、二次電池)への応用が期待される。
エチレンオキシド構造を有するポリマー(1)は主鎖が、ポリエーテル、ポリオレフィン、ポリシロキサン、ポリホスファゼン、またはポリアルキレンカーボネートからなるポリマーであり、ポリエチレンオキシド構造にはエチレンオキシドとプロピレンオキシドなどのオキシラン化合物との共重合鎖を有していても良い。エチレンオキシド構造を有するポリマー(1)が共重合体である場合は、ランダム共重合体の方が好ましい。
エチレンオキシド構造を有するポリマー(1)の構成単位の例は、式(ii)(iii)(iv)(v)等が挙げられ、ポリマー中に反応性基を有する成分が存在していても良い。
Figure 0004560721
[式中、Rは水素原子または炭素数1〜6のアルキル基、Rは反応性ケイ素基、メチルエポキシ基、エチレン性不飽和基またはハロゲン原子を有する反応性基、Rは炭素数1〜6のアルキル基、mは1以上の整数、n、oは0以上の整数、pは1〜12の整数である。]
Figure 0004560721
[式中、Rは水素原子またはメチル基、R、Rは炭素数1〜6のアルキル基であり、qは1以上の整数、rは0以上の整数、sは1〜12の整数である。]
Figure 0004560721
[式中、R12は炭素数1〜6のアルキル基であり、R、R10、R11は炭素数1〜6のアルキル基又は-CHO-(CHCHO)z-R17であり、R17は炭素数1〜6のアルキル基であり、tは1以上の整数、uは0以上の整数、v、zは1〜12の整数である。]
Figure 0004560721
[式中、R16は炭素数1〜6のアルキル基であり、R13、R14、R15は炭素数1〜6のアルキル基又は-O-(CHCHO)z'-R18であり、R18は炭素数 1〜6のアルキル基であり、wは1以上の整数、xは0以上の整数、y、z'は1〜12の整数である。]
エチレンオキシド構造を有するポリマー(1)についてはエチレンオキシドの量が10重量%以上で、かつ結晶性が低い場合に、低温でも電解質塩化合物が溶けやすいために、イオン伝導度が高い。
電解質組成物に使われるポリマーの分子量は、良好な加工性、成形性、機械的強度、柔軟性を得るためには、重量平均分子量10〜10の範囲内、好ましくは10〜10の範囲内のものが適する。
架橋方法はポリマーの開始または停止末端の反応性基を用いて架橋する方法あるいは反応性基を有するモノマーとの共重合によってポリマーに新たに反応性基を導入して架橋する方法などがある。
反応性基が不飽和結合を有する基である共重合体の架橋方法としては、有機過酸化物、アゾ化合物等から選ばれるラジカル開始剤、紫外線、電子線等の活性エネルギー線が用いられる。更には、水素化ケイ素を有する架橋剤を用いる事もできる。
有機過酸化物としては、ケトンパーオキサイド、パーオキシケタール、ハイドロパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、パーオキシエステル等、通常架橋用途に使用されているものが用いられ、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、ジ-t-ブチルパーオキサイド、t-ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン、ベンゾイルパーオキサイド等が挙げられる。
アゾ化合物としてはアゾニトリル化合物、アゾアミド化合物、アゾアミジン化合物等、通常架橋用途に使用されているものが用いられ、2,2'-アゾビスイソブチロニトリル、2,2'-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、2,2'-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2-アゾビス(2-メチル-N-フェニルプロピオンアミジン)二塩酸塩、2,2'-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]、2,2'-アゾビス[2-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、2,2'-アゾビス(2-メチルプロパン)、2,2'-アゾビス[2-(ヒドロキシメチル)プロピオニトリル]等が挙げられる。
紫外線等の活性エネルギー線照射による架橋においては、増感助剤としてジエトキシアセトフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、フェニルケトン等のアセトフェノン類、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル等のベンゾインエーテル類、ベンゾフェノン、4-フェニルベンゾフェノン等のベンゾフェノン類、2-イソプロピルチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン等のチオキサントン類、3-スルホニルアジド安息香酸、4-スルホニルアジド安息香酸等のアジド類等を任意に用いることができる。
架橋助剤としてエチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、オリゴエチレングリコールジアクリレート、オリゴエチレングリコールジメタクリレート、アリルメタクリレート、アリルアクリレート、ジアリルマレート、トリアリルイソシアヌレート、マレイミド、フェニルマレイミド、無水マレイン酸等を任意に用いることができる。
反応性基が水酸基である重合体の架橋方法としてはヘキサメチレンジイソシアネート、2.4-トリレンジイソシアネート、2.6-トリレンジイソシアネート、4.4'-ジフェニルメタンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、イソボロンジイソシアネートなどのイソシアネート系化合物等を架橋剤として用いることができる。 また、架橋促進剤としては、ジブチルチンアセテート、ジブチルチンジラウレート、トリエチレンジアミン等が挙げられる。
また、この水酸基にアクリル酸、メタクリル酸、桂皮酸、マレイン酸などの不飽和基を有する化合物と反応させて、ポリマーに不飽和基を導入し、上記記載の反応性基が不飽和結合を有する基の架橋方法で架橋することもできる。
反応性基が反応性ケイ素基である共重合体の架橋方法としては、反応性ケイ素基と水との反応によって架橋できる。反応性を高めるには、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズマレート等のスズ化合物、テトラブチルチタネート、テトラプロピルチタネート等のチタン化合物、アルミニウムトリスアセチルアセトナート、アルミニウムトリスエチルアセトアセテート等のアルミニウム等のアルミニウム化合物などの有機金属化合物、あるいは、ブチルアミン、オクチルアミン等のアミン系化合物などを触媒として用いても良い。
反応性基がエポキシ基である共重合体の架橋方法においてはポリアミン類、酸無水物類などが用いられる。ポリアミン類としては、ジエチレントリアミン、ジプロピレントリアミンなどの脂肪族ポリアミン、4,4'-ジアミノジフェニルエーテル、ジアミノジフェニルスルホン、m-フェニレンジアミン、キシリレンジアミンなどの芳香族ポリアミン等が挙げられる。酸無水物類としては、無水マレイン酸、無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラメチレン無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸等が挙げられる。これらの架橋には促進剤を用いても良く、ポリアミン類の架橋反応にはフェノール、クレゾール、レゾルシンなどがあり、酸無水物類の架橋反応にはベンジルジメチルアミン、2-(ジメチルアミノエチル)フェノール、ジメチルアニリンなどがある。
反応性基がハロゲン原子を含む基である共重合体の架橋方法としては、ポリアミン類、メルカプトイミダゾリン類、メルカプトピリミジン類、チオウレア類、ポリメルカプタン類等の架橋剤が用いられる。ポリアミン類としては、トリエチレンテトラミン、ヘキサメチレンジアミン等が挙げられる。メルカプトイミダゾリン類としては2-メルカプトイミダゾリン、4-メチル-2-メルカプトイミダゾリン等が挙げられる。メルカプトピリミジン類としては2-メルカプトピリミジン、4,6-ジメチル-2-メルカプトピリミジン、等が挙げられる。チオウレア類としてはエチレンチオウレア、ジブチルチオウレアなどが挙げられる。ポリメルカプタン類としては2-ジブチルアミノ-4,6-ジメチルカプト-s-トリアジン、2-フェニルアミノ-4,6-ジメルカプトトリアジン、等が挙げられる。また、高分子固体電解質に更に受酸剤となる金属化合物を添加することは、ハロゲン含有ポリマーの熱安定性の見地から有効である。このような受酸剤となる金属酸化物としては、周期律表第II族金属の酸化物、水酸化物、炭酸塩、カルボン酸塩、ケイ酸塩、ホウ酸塩、亜リン酸塩、周期律表VIa族金属の酸化物、塩基性炭酸塩、塩基性カルボン酸塩、塩基性亜リン酸塩、塩基性亜硫酸塩、三塩基性硫酸塩等がある。具体的な例としては、マグネシア、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、鉛丹、ステアリン酸錫、等を挙げることができる。
低分子量化合物(2)は、例えばリチウム電池における金属リチウム負極と反応しないものであり、低分子量のエーテル化合物、低分子量のカーボネート、低分子量のボロキシン化合物、低分子量のエステル化合物などが挙げられる。エチレンオキシド構造を有するポリマー(1)に(2)を入れると、(1)の結晶化が抑制されガラス転移温度が低下し、低温でも無定形相が多く形成されるためにイオン伝導度が高くなる。また、低分子量化合物(2)は反応性基を有していても良く、架橋方法はポリマーの架橋方法と同様の方法で架橋することができる。
低分子量のエーテル化合物の例は下記式(vi)および(vii)で表される分岐型エーテル化合物が特に好ましい。
Figure 0004560721
Figure 0004560721
[式中、R19〜R25 は、炭素数 1〜6のアルキル基、CH=C(R26)CO- 基、R26は水素原子またはメチル基、a〜g は 0〜12の数である。]
R19〜R25 が CH=C(R26)CO- 基の場合は、反応性基が不飽和結合を有する基である共重合体の架橋方法と同様の方法で架橋することができる。
低分子量のカーボネート化合物の例はポリエチレンカーボネート、ポリプロピレンカーボネート、ポリイソプロピレンカーボネートなどが挙げられる。重量平均分子量が102〜104の範囲内、特に重量平均分子量が500〜2,000のポリエチレンカーボネートが好ましい。
低分子量のボロキシン化合物の例は下記式(viii)であらわされるものが好ましい。
Figure 0004560721
[式中、R27は、炭素数 1〜6のアルキル基、CH=C(R28)CO-基、R28は水素原子またはメチル基、hは1〜4の整数、jは1〜10の整数である。]
R27がCH=C(R28)CO-基の場合は、この低分子量化合物を架橋する必要がある。架橋方法は、反応性基が不飽和結合を有する基である共重合体の架橋方法と同様の方法で架橋することができる。
本発明において用いられるリチウム塩化合物(3)は、エチレンオキシド構造を有するポリマー(1)、低分子量化合物(2)、およびピロカーボネート化合物(4)に可溶であることが好ましい。本発明においては、以下に挙げるリチウム塩化合物が好ましく用いられる。
陽イオンのリチウムイオンと、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン、過塩素酸イオン、チオシアン酸イオン、テトラフルオロホウ素酸イオン、硝酸イオン、AsF 、PF 、ステアリルスルホン酸イオン、オクチルスルホン酸イオン、ドデシルベンゼンスルホン酸イオン、ナフタレンスルホン酸イオン、ドデシルナフタレンスルホン酸イオン、7,7,8,8-テトラシアノ-p-キノジメタンイオン、XSO 、[(XSO)(XSO)N]、[(XSO)(XSO)(XSO)C]、及び[(XSO)(XSO)YC] から選ばれた陰イオンとからなる化合物が挙げられる。但し、X、X、X及び Yは電子吸引性基である。好ましくはX、X、及びXは各々独立して炭素数が1から6迄のパーフルオロアルキル基又はパーフルオロアリール基であり、Yはニトロ基、ニトロソ基、カルボニル基、カルボキシル基又はシアノ基である。X、X及びXは各々同一であっても、異なっていてもよい。
本発明において、リチウム塩化合物(3)の使用量は、エチレンオキシド構造を有するポリマー(1)および低分子量化合物(2)の合計100重量部に対して1〜500重量部、好ましくは 3〜200重部の範囲がよい。この値が 500重量部以下にあると、イオン伝導性が高い。
電解質組成物を使用する際に難燃性が必要な場合には、難燃剤を使用できる。難燃剤として、臭素化エポキシ化合物、テトラブロムビスフェノールA、塩素化パラフィン等のハロゲン化物、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、リン酸エステル、ポリリン酸塩、及びホウ酸亜鉛から選択して有効量を添加する。
リチウム金属を用いたリチウム二次電池の場合、ピロカーボネート化合物(4)は負極の金属リチウムと反応して安定な皮膜を形成し、電解質と金属リチウムの反応およびデンドライトの成長を抑制すると考えられる。
本発明において、ピロカーボネート化合物(4)の例は下記式(i)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 0004560721
[式中、RおよびRは炭素数が1〜6のアルキル基またはアルケニル基であり、互いに異なっていても良い。nは1〜3の整数である。]
ピロカーボネート化合物(4)は、異なる複数種を混合して用いることができるが、好ましくはRおよび/またはRに不飽和基を有する方がよい。
ピロカーボネート化合物(4)の使用量は、(1)、(2)及び(3)の合計100重量部に対して、1〜1000重量部、好ましくは5〜100重量部の範囲がよい。
本発明の電解質組成物の製造方法は特に制約はないが、通常夫々の成分を機械的に混合すればよい。エチレンオキシド構造を有するポリマー(1)、リチウム塩化合物(3)およびピロカーボネート化合物(4)を混合する方法は特に制約されないが、機械的に混合する手段としては、各種ニーダー類、オープンロール、押出機などを任意に使用できる。
低分子量化合物(2)、リチウム塩化合物(3)およびピロカーボネート化合物(4)を混合する方法は特に制約されないが、機械的に混合する手段としては、各種スターラー類、ホモジナイザー、ミキサーなどを任意に使用できる。
(1)、(2)、(3)および(4)を混合する方法は特に制約されないが、(2)および(3)を(1)へ機械的に混合させる方法、(1)および(3)を(2)に溶かして混合させる方法あるいは(1)を一度他の有機溶媒に溶かした後、(2)を混合させる方法などがある。有機溶媒を使用して製造する場合は、各種の極性溶媒、例えばテトラヒドロフラン、アセトン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジオキサン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等が単独、或いは混合して用いられる。混合のために使用した有機溶媒は乾燥法などにより除去する。
本発明で示された電解質組成物を用いて、電池の作製が可能である。この場合、正極材料としてはリチウム-マンガン複合酸化物、コバルト酸リチウム、五酸化バナジウム、オリビン型リン酸鉄、ポリアセチレン、ポリピレン、ポリアニリン、ポリフェニレン、ポリフェニレンサルファイド、ポリフェニレンオキサイド、ポリピロール、ポリフラン、ポリアズレン等がある。負極材料としてはリチウムがグラファイトあるいはカーボンの層間に吸蔵された層間化合物、リチウム金属、リチウム-鉛合金等がある。また高いイオン伝導性を利用してアルカリ金属イオン、Cuイオン、Caイオン、及びMgイオン等の陽イオンのイオン電極の隔膜としての利用も考えられる。本発明の電解質組成物は特にリチウム二次電池用材料として好適である。
以下、実施例を示し、本発明を具体的に説明する。
エチレンオキシド構造を有するポリマーの分子量測定にはゲルパーミエーションクロマトグラフィー測定を行い、標準ポリスチレン換算により分子量を算出した。ゲルパーミエーションクロマトグラフィー測定は(株)島津製作所の測定装置 RID-6A、昭和電工(株)製カラムのショウデックスKD-807、KD-806、KD-806M 及び KD-803、及び溶媒ジメチルホルムアミド(DMF)を用いて 60℃で行った。ガラス転移温度はセイコー電子工業(株)製DSC 220を用い、融解熱量はパーキンエルマー社製示差走査熱量計DSC 7を用い、窒素雰囲気中、温度範囲-100〜80℃、昇温速度10℃/minで測定した。導電率の測定は 20℃で行い、電解質をSUS製の電極ではさみ、電圧 30mV、周波数範囲 10Hz〜10MHzの交流法を用い、複素インピーダンス法により算出した。
電池系でのリチウム金属との安定性評価には、リチウム析出溶解効率試験により求めた。リチウム析出溶解効率試験には(株)ナガノ製充放電試験器 BTS-2004Wを用いた。銅箔と対極に金属リチウムを用い、両極間に電解質を挟んで試験セルを作製した。25℃で電流密度 0.1mA/cmで10時間 Li を析出後、電流密度0.1mA/cmで終止電圧2.0VまでLiの溶解を行った。リチウム析出溶解効率は以下の式より求めた。
リチウム析出溶解効率(%)=(20サイクル目の溶解に要した時間/20サイクル目の析出に要した時間)×100
合成例(触媒の製造)
撹拌機、温度計及び蒸留装置を備えた3つ口フラスコにトリブチル錫クロライド 10g及びトリブチルホスフェート 35gを入れ、窒素気流下に撹拌しながら 250℃で 20分間加熱して留出物を留去させ残留物として固体状の縮合物質を得た。以後これを重合用触媒として使用した。
重合例1(ポリマーの製造)
内容量3Lのガラス製4つ口フラスコの内部を窒素置換し、これに触媒として触媒の製造例で示した縮合物質2gと水分10ppm以下に調整した2-(2-メトキシエトキシ)エチルグリシジルエーテル(EM) 100g、及び溶媒としてn−ヘキサン1,000gを仕込み、エチレンオキシド150gはEMの重合率をガスクロマトグラフィーで追跡しながら、逐次添加した。重合反応はメタノールで停止した。デカンテーションによりポリマーを取り出した後、常圧下40℃で24時間、更に減圧下45℃で 10時間乾燥してポリマー215gを得た。この共重合体のガラス転移温度は-70℃、重量平均分子量は180万、融解熱量は7J/gであった。H-NMRスペクトルによるこの共重合体のモノマー換算組成分析結果はエチレンオキシド83wt%、EM17wt%であった。
ポリマーの製造例で得られた下記式(ix)のポリ(エチレンオキシド/EM)共重合体10g、下記式(x)のエチレンオキシド単位を有するエーテル化合物(特願2002-236538号公報記載の方法で合成)30g、下記式(xi)のジアリルピロカーボネート5g、リチウム塩化合物としてリチウムビス(パーフルオロエチルスルフォニル)イミド(LiBETI) 16gを均一になるまで混合し、電解質組成物を調製した。この電解質組成物のリチウム析出溶解効率は 97%であった。20℃におけるイオン伝導度は8.5×10-4S/cmであった。
Figure 0004560721
Figure 0004560721
Figure 0004560721
ポリマーの製造例で得られた(ix)のポリ(エチレンオキシド/EM)共重合体10g、(x)のエチレンオキシド単位を有するエーテル化合物30g、(xii)のジエチルピロカーボネート5g、リチウム塩化合物としてリチウムビス(パーフルオロエチルスルフォニル)イミド(LiBETI) 16gを均一になるまで混合し、電解質組成物を調製した。この電解質組成物のリチウム析出溶解効率は 99%であった。20℃におけるイオン伝導度は8.7×10-4S/cmであった。
Figure 0004560721
(比較例1)
(ix)のポリマーの製造例で得られたポリ(エチレンオキシド/EM)共重合体10g、(x)のエチレンオキシド単位を有するエーテル化合物30g、リチウム塩化合物としてリチウムビス(パーフルオロエチルスルフォニル)イミド(LiBETI) 16gを均一になるまで混合させ、電解質組成物を調製した。この電解質組成物のリチウム析出溶解効率は 87%であった。20℃におけるイオン伝導度は 8.2×10-4S/cmであった。
(x)のエチレンオキシド単位を有するエーテル化合物40g、(xi)のジアリルピロカーボネート5g、リチウム塩化合物としてリチウムビス(パーフルオロエチルスルフォニル)イミド(LiBETI) 16gを均一になるまで混合し、電解質組成物を調製した。この電解質組成物のリチウム析出溶解効率は 95%であった。20℃におけるイオン伝導度は1.0×10-3S/cmであった。
(比較例2)
(x)のエチレンオキシド単位を有するエーテル化合物40g、リチウム塩化合物としてリチウムビス(パーフルオロエチルスルフォニル)イミド(LiBETI) 16gを均一になるまで混合し、電解質組成物を調製した。この電解質組成物のリチウム析出溶解効率は 78%であった。20℃におけるイオン伝導度は9.6×10-4S/cmであった。
実施例1で得られた電解質組成物、負極としてリチウム金属箔、及び正極活物質としてコバルト酸リチウム(LiCoO)を用いて二次電池を構成した。
コバルト酸リチウムは所定量の炭酸リチウム及び炭酸コバルト粉体を混合した後 900℃で 5時間焼成することにより調製した。次にこれを粉砕し、得られたコバルト酸リチウム 85重量部に対してアセチレンブラック5重量部とポリマー製造例で得られたポリマー 10重量部、リチウムビス(パーフルオロエチルスルフォニル)イミド(LiBETI) 5重量部を加えロールで混合した後、30 MPaの圧力でプレス成形して電池の正極とした。
実施例1で得られた電解質組成物をリチウム金属箔と正極板ではさみ、界面が密着するように1 MPaの圧力をかけながら 室温で電池の充放電特性を調べた。充電は4.2 Vまでの定電流定電圧で行い、放電は定電流で3.0Vまで行った。放電電流は 0.1 mA/cmであり、0.1 mA/cmで充電を行った。100サイクルの充放電後の放電容量は初期容量の95%を示した。
実施例2で得られた電解質組成物、負極としてリチウム金属箔、及び実施例4で作成した正極を用いて二次電池を作成し、同様に充放電特性を調べた。100サイクルの充放電後の放電容量は初期容量の92%を示した。
(比較例3)
比較例1で得られた電解質組成物、負極としてリチウム金属箔、及び実施例4で作成した正極を用いて二次電池を作成し、同様に充放電特性を調べた。100サイクルの充放電後の放電容量は初期容量の70%を示した。
重合例2(ポリマーの製造)
内容量3Lのガラス製4つ口フラスコの内部を窒素置換し、これに開始剤としてベンゾイルパーオキサイド2gと下記式(xiii)のメタクリル酸化合物PME-100(日本油脂株式会社製)100g、及び溶媒としてトルエン1,000gを仕込み、重合を行った。重合反応はメタノールで停止した。エバポレーターでトルエンを除去し、常圧下40℃で24時間、更に減圧下 45℃で 10時間乾燥して側鎖にポリエチレンオキシドを有するポリオレフィン(xiv)90gを得た(m'は正の整数)。重量平均分子量は60万であった。
Figure 0004560721
Figure 0004560721
(xiv)の側鎖にポリエチレンオキシドを有するポリオレフィン10g、(x)のエチレンオキシド単位を有するエーテル化合物30g、(xi)のジアリルピロカーボネート5g、リチウム塩化合物としてリチウムビス(パーフルオロエチルスルフォニル)イミド(LiBETI) 16gを均一になるまで混合し、電解質組成物を調製した。この電解質組成物のリチウム析出溶解効率は93%であった。20℃におけるイオン伝導度は7.9×10-4S/cmであった。
(xiv)の側鎖にポリエチレンオキシドを有するポリオレフィン10g、(x)のエチレンオキシド単位を有するエーテル化合物30g、(xii)のジエチルピロカーボネート5g、リチウム塩化合物としてリチウムビス(パーフルオロエチルスルフォニル)イミド(LiBETI) 16gを均一になるまで混合し、電解質組成物を調製した。この電解質組成物のリチウム析出溶解効率は95%であった。20℃におけるイオン伝導度は8.0×10-4S/cmであった。
(比較例4)
(xiv)の側鎖にポリエチレンオキシドを有するポリオレフィン10g、(x)のエチレンオキシド単位を有するエーテル化合物30g、リチウム塩化合物としてリチウムビス(パーフルオロエチルスルフォニル)イミド(LiBETI) 16gを均一になるまで混合し、電解質組成物を調製した。この電解質組成物のリチウム析出溶解効率は 64%であった。20℃におけるイオン伝導度は7.7×10-4S/cmであった。
実施例7で得られた電解質組成物をリチウム金属箔と実施例4で作製した正極板ではさみ、界面が密着するように1 MPaの圧力をかけながら室温で電池の充放電特性を調べた。充電は4.2 Vまでの定電流で行い、放電は定電流で3.0Vまで行った。放電電流は0.1 mA/cmであり、0.1 mA/cmで充電を行った。50サイクルの充放電後の放電容量は初期容量の92%を示した。
(比較例5)
比較例4で得られた電解質組成物、負極としてリチウム金属箔、及び実施例4で作成した正極を用いて二次電池を作成し、実施例4と同様に充放電特性を調べた。50サイクルの充放電後の放電容量は初期容量の88%を示した。
側鎖にポリエチレンオキシドを有するポリシロキサン(東芝シリコーン株式会社製TSF4440)比重1.07(25℃)、屈折率1.454(25℃) 10g、(x)のエチレンオキシド単位を有するエーテル化合物30g、(xi)のジアリルピロカーボネート 5g、リチウム塩化合物としてリチウムビス(パーフルオロエチルスルフォニル)イミド(LiBETI) 16gを均一になるまで混合させ、電解質組成物を調製した。この電解質組成物のリチウム析出溶解効率は 92%であった。20℃におけるイオン伝導度は8.3×10-4S/cmであった。
側鎖にポリエチレンオキシドを有するポリシロキサン(東芝シリコーン株式会社製TSF4440) 10g、(x)のエチレンオキシド単位を有するエーテル化合物30g、(xii)のジエチルピロカーボネート5g、リチウム塩化合物としてリチウムビス(パーフルオロエチルスルフォニル)イミド(LiBETI) 16gを均一になるまで混合させ、電解質組成物を調製した。この電解質組成物のリチウム析出溶解効率は 93%であった。20℃におけるイオン伝導度は8.4×10-4S/cmであった。
(比較例6)
実施例9で使用した側鎖にポリエチレンオキシドを有するポリシロキサン10g、(x)のエチレンオキシド単位を有するエーテル化合物30g、リチウム塩化合物としてリチウムビス(パーフルオロエチルスルフォニル)イミド(LiBETI) 16gを均一になるまで混合させ、電解質組成物を調製した。この電解質組成物のリチウム析出溶解効率は45%であった。20℃におけるイオン伝導度は7.9×10-4S/cmであった。

Claims (4)

  1. (A)(1)エチレンオキシド構造を有するポリマーおよび(2)低分子量化合物と
    (B)(3)リチウム塩化合物と
    (C)(4)下記式(i)で表されるピロカーボネート化合物
    を含有し、かつ
    (4)の使用量が上記(1)ないし(3)の合計100重量部に対し1〜100重量部であることを特徴とする、リチウム金属を負極に用いたリチウム二次電池用の高分子固体電解質組成物。
    Figure 0004560721
    [式中、R1およびR2は炭素数が1〜6のアルキル基であり、互いに異なっていても良い。nは1〜3の整数である。]
  2. エチレンオキシド構造を有するポリマー(1)の主鎖がポリエーテル、ポリオレフィン、ポリホスファゼン、またはポリシロキサンである請求項1に記載の電解質組成物。
  3. 低分子量化合物(2)がエーテル化合物、カーボネート化合物、ボロキシン環化合物である請求項1又は2のいずれかに記載の電解質組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の電解質組成物、正極および負極からなる電池。
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