JP4560721B2 - 電解質組成物および電池 - Google Patents
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Description
(A)(1)エチレンオキシド構造を有するポリマーおよび(2)低分子量化合物の少なくとも一つと
(B)(3)リチウム塩化合物と
(C)(4)ピロカーボネート化合物と
を含有することを特徴とする電解質組成物を提供する。
架橋方法はポリマーの開始または停止末端の反応性基を用いて架橋する方法あるいは反応性基を有するモノマーとの共重合によってポリマーに新たに反応性基を導入して架橋する方法などがある。
反応性基が不飽和結合を有する基である共重合体の架橋方法としては、有機過酸化物、アゾ化合物等から選ばれるラジカル開始剤、紫外線、電子線等の活性エネルギー線が用いられる。更には、水素化ケイ素を有する架橋剤を用いる事もできる。
有機過酸化物としては、ケトンパーオキサイド、パーオキシケタール、ハイドロパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、パーオキシエステル等、通常架橋用途に使用されているものが用いられ、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、ジ-t-ブチルパーオキサイド、t-ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン、ベンゾイルパーオキサイド等が挙げられる。
アゾ化合物としてはアゾニトリル化合物、アゾアミド化合物、アゾアミジン化合物等、通常架橋用途に使用されているものが用いられ、2,2'-アゾビスイソブチロニトリル、2,2'-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、2,2'-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2-アゾビス(2-メチル-N-フェニルプロピオンアミジン)二塩酸塩、2,2'-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]、2,2'-アゾビス[2-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、2,2'-アゾビス(2-メチルプロパン)、2,2'-アゾビス[2-(ヒドロキシメチル)プロピオニトリル]等が挙げられる。
紫外線等の活性エネルギー線照射による架橋においては、増感助剤としてジエトキシアセトフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、フェニルケトン等のアセトフェノン類、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル等のベンゾインエーテル類、ベンゾフェノン、4-フェニルベンゾフェノン等のベンゾフェノン類、2-イソプロピルチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン等のチオキサントン類、3-スルホニルアジド安息香酸、4-スルホニルアジド安息香酸等のアジド類等を任意に用いることができる。
架橋助剤としてエチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、オリゴエチレングリコールジアクリレート、オリゴエチレングリコールジメタクリレート、アリルメタクリレート、アリルアクリレート、ジアリルマレート、トリアリルイソシアヌレート、マレイミド、フェニルマレイミド、無水マレイン酸等を任意に用いることができる。
反応性基が水酸基である重合体の架橋方法としてはヘキサメチレンジイソシアネート、2.4-トリレンジイソシアネート、2.6-トリレンジイソシアネート、4.4'-ジフェニルメタンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、イソボロンジイソシアネートなどのイソシアネート系化合物等を架橋剤として用いることができる。 また、架橋促進剤としては、ジブチルチンアセテート、ジブチルチンジラウレート、トリエチレンジアミン等が挙げられる。
また、この水酸基にアクリル酸、メタクリル酸、桂皮酸、マレイン酸などの不飽和基を有する化合物と反応させて、ポリマーに不飽和基を導入し、上記記載の反応性基が不飽和結合を有する基の架橋方法で架橋することもできる。
反応性基が反応性ケイ素基である共重合体の架橋方法としては、反応性ケイ素基と水との反応によって架橋できる。反応性を高めるには、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズマレート等のスズ化合物、テトラブチルチタネート、テトラプロピルチタネート等のチタン化合物、アルミニウムトリスアセチルアセトナート、アルミニウムトリスエチルアセトアセテート等のアルミニウム等のアルミニウム化合物などの有機金属化合物、あるいは、ブチルアミン、オクチルアミン等のアミン系化合物などを触媒として用いても良い。
反応性基がエポキシ基である共重合体の架橋方法においてはポリアミン類、酸無水物類などが用いられる。ポリアミン類としては、ジエチレントリアミン、ジプロピレントリアミンなどの脂肪族ポリアミン、4,4'-ジアミノジフェニルエーテル、ジアミノジフェニルスルホン、m-フェニレンジアミン、キシリレンジアミンなどの芳香族ポリアミン等が挙げられる。酸無水物類としては、無水マレイン酸、無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラメチレン無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸等が挙げられる。これらの架橋には促進剤を用いても良く、ポリアミン類の架橋反応にはフェノール、クレゾール、レゾルシンなどがあり、酸無水物類の架橋反応にはベンジルジメチルアミン、2-(ジメチルアミノエチル)フェノール、ジメチルアニリンなどがある。
反応性基がハロゲン原子を含む基である共重合体の架橋方法としては、ポリアミン類、メルカプトイミダゾリン類、メルカプトピリミジン類、チオウレア類、ポリメルカプタン類等の架橋剤が用いられる。ポリアミン類としては、トリエチレンテトラミン、ヘキサメチレンジアミン等が挙げられる。メルカプトイミダゾリン類としては2-メルカプトイミダゾリン、4-メチル-2-メルカプトイミダゾリン等が挙げられる。メルカプトピリミジン類としては2-メルカプトピリミジン、4,6-ジメチル-2-メルカプトピリミジン、等が挙げられる。チオウレア類としてはエチレンチオウレア、ジブチルチオウレアなどが挙げられる。ポリメルカプタン類としては2-ジブチルアミノ-4,6-ジメチルカプト-s-トリアジン、2-フェニルアミノ-4,6-ジメルカプトトリアジン、等が挙げられる。また、高分子固体電解質に更に受酸剤となる金属化合物を添加することは、ハロゲン含有ポリマーの熱安定性の見地から有効である。このような受酸剤となる金属酸化物としては、周期律表第II族金属の酸化物、水酸化物、炭酸塩、カルボン酸塩、ケイ酸塩、ホウ酸塩、亜リン酸塩、周期律表VIa族金属の酸化物、塩基性炭酸塩、塩基性カルボン酸塩、塩基性亜リン酸塩、塩基性亜硫酸塩、三塩基性硫酸塩等がある。具体的な例としては、マグネシア、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、鉛丹、ステアリン酸錫、等を挙げることができる。
R19〜R25 が CH2=C(R26)CO- 基の場合は、反応性基が不飽和結合を有する基である共重合体の架橋方法と同様の方法で架橋することができる。
低分子量のカーボネート化合物の例はポリエチレンカーボネート、ポリプロピレンカーボネート、ポリイソプロピレンカーボネートなどが挙げられる。重量平均分子量が102〜104の範囲内、特に重量平均分子量が500〜2,000のポリエチレンカーボネートが好ましい。
低分子量のボロキシン化合物の例は下記式(viii)であらわされるものが好ましい。
R27がCH2=C(R28)CO-基の場合は、この低分子量化合物を架橋する必要がある。架橋方法は、反応性基が不飽和結合を有する基である共重合体の架橋方法と同様の方法で架橋することができる。
本発明において、ピロカーボネート化合物(4)の例は下記式(i)で表される化合物であることが好ましい。
ピロカーボネート化合物(4)は、異なる複数種を混合して用いることができるが、好ましくはR1および/またはR2に不飽和基を有する方がよい。
ピロカーボネート化合物(4)の使用量は、(1)、(2)及び(3)の合計100重量部に対して、1〜1000重量部、好ましくは5〜100重量部の範囲がよい。
電池系でのリチウム金属との安定性評価には、リチウム析出溶解効率試験により求めた。リチウム析出溶解効率試験には(株)ナガノ製充放電試験器 BTS-2004Wを用いた。銅箔と対極に金属リチウムを用い、両極間に電解質を挟んで試験セルを作製した。25℃で電流密度 0.1mA/cm2で10時間 Li を析出後、電流密度0.1mA/cm2で終止電圧2.0VまでLiの溶解を行った。リチウム析出溶解効率は以下の式より求めた。
リチウム析出溶解効率(%)=(20サイクル目の溶解に要した時間/20サイクル目の析出に要した時間)×100
撹拌機、温度計及び蒸留装置を備えた3つ口フラスコにトリブチル錫クロライド 10g及びトリブチルホスフェート 35gを入れ、窒素気流下に撹拌しながら 250℃で 20分間加熱して留出物を留去させ残留物として固体状の縮合物質を得た。以後これを重合用触媒として使用した。
内容量3Lのガラス製4つ口フラスコの内部を窒素置換し、これに触媒として触媒の製造例で示した縮合物質2gと水分10ppm以下に調整した2-(2-メトキシエトキシ)エチルグリシジルエーテル(EM) 100g、及び溶媒としてn−ヘキサン1,000gを仕込み、エチレンオキシド150gはEMの重合率をガスクロマトグラフィーで追跡しながら、逐次添加した。重合反応はメタノールで停止した。デカンテーションによりポリマーを取り出した後、常圧下40℃で24時間、更に減圧下45℃で 10時間乾燥してポリマー215gを得た。この共重合体のガラス転移温度は-70℃、重量平均分子量は180万、融解熱量は7J/gであった。1H-NMRスペクトルによるこの共重合体のモノマー換算組成分析結果はエチレンオキシド83wt%、EM17wt%であった。
(ix)のポリマーの製造例で得られたポリ(エチレンオキシド/EM)共重合体10g、(x)のエチレンオキシド単位を有するエーテル化合物30g、リチウム塩化合物としてリチウムビス(パーフルオロエチルスルフォニル)イミド(LiBETI) 16gを均一になるまで混合させ、電解質組成物を調製した。この電解質組成物のリチウム析出溶解効率は 87%であった。20℃におけるイオン伝導度は 8.2×10-4S/cmであった。
(x)のエチレンオキシド単位を有するエーテル化合物40g、リチウム塩化合物としてリチウムビス(パーフルオロエチルスルフォニル)イミド(LiBETI) 16gを均一になるまで混合し、電解質組成物を調製した。この電解質組成物のリチウム析出溶解効率は 78%であった。20℃におけるイオン伝導度は9.6×10-4S/cmであった。
コバルト酸リチウムは所定量の炭酸リチウム及び炭酸コバルト粉体を混合した後 900℃で 5時間焼成することにより調製した。次にこれを粉砕し、得られたコバルト酸リチウム 85重量部に対してアセチレンブラック5重量部とポリマー製造例で得られたポリマー 10重量部、リチウムビス(パーフルオロエチルスルフォニル)イミド(LiBETI) 5重量部を加えロールで混合した後、30 MPaの圧力でプレス成形して電池の正極とした。
実施例1で得られた電解質組成物をリチウム金属箔と正極板ではさみ、界面が密着するように1 MPaの圧力をかけながら 室温で電池の充放電特性を調べた。充電は4.2 Vまでの定電流定電圧で行い、放電は定電流で3.0Vまで行った。放電電流は 0.1 mA/cm2であり、0.1 mA/cm2で充電を行った。100サイクルの充放電後の放電容量は初期容量の95%を示した。
比較例1で得られた電解質組成物、負極としてリチウム金属箔、及び実施例4で作成した正極を用いて二次電池を作成し、同様に充放電特性を調べた。100サイクルの充放電後の放電容量は初期容量の70%を示した。
(xiv)の側鎖にポリエチレンオキシドを有するポリオレフィン10g、(x)のエチレンオキシド単位を有するエーテル化合物30g、リチウム塩化合物としてリチウムビス(パーフルオロエチルスルフォニル)イミド(LiBETI) 16gを均一になるまで混合し、電解質組成物を調製した。この電解質組成物のリチウム析出溶解効率は 64%であった。20℃におけるイオン伝導度は7.7×10-4S/cmであった。
比較例4で得られた電解質組成物、負極としてリチウム金属箔、及び実施例4で作成した正極を用いて二次電池を作成し、実施例4と同様に充放電特性を調べた。50サイクルの充放電後の放電容量は初期容量の88%を示した。
実施例9で使用した側鎖にポリエチレンオキシドを有するポリシロキサン10g、(x)のエチレンオキシド単位を有するエーテル化合物30g、リチウム塩化合物としてリチウムビス(パーフルオロエチルスルフォニル)イミド(LiBETI) 16gを均一になるまで混合させ、電解質組成物を調製した。この電解質組成物のリチウム析出溶解効率は45%であった。20℃におけるイオン伝導度は7.9×10-4S/cmであった。
Claims (4)
- エチレンオキシド構造を有するポリマー(1)の主鎖がポリエーテル、ポリオレフィン、ポリホスファゼン、またはポリシロキサンである請求項1に記載の電解質組成物。
- 低分子量化合物(2)がエーテル化合物、カーボネート化合物、ボロキシン環化合物である請求項1又は2のいずれかに記載の電解質組成物。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の電解質組成物、正極および負極からなる電池。
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