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JP4550662B2 - リソグラフィ装置及びデバイス製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、リソグラフィ装置及びデバイス製造方法に関する。
リソグラフィ装置は、基板の標的部分上に望ましいパターンを描画する機械である。リソグラフィ装置は、例えば、集積回路(IC)の製造に使用可能である。その場合に、マスクなどのパターン形成装置を使用してICの個々の層に対応する回路パターンを作成することが可能であり、このようなパターンは、放射感応材料(レジスト)の層を有する基板(例えば、シリコン・ウェーハ)上の標的部分(例えば、1個又は数個のダイの一部を含む)の上に作成可能である。一般に、単一の基板は連続露光を受ける隣接する標的部分の網状構造を含む。既知のリソグラフィ装置には、1回でパターン全体を標的部分上に露光することによって各標的部分を照射する、所謂ステッパと、投影ビームによって所与の方向(「走査」方向)にパターンを走査し、他方では、この方向に対して平行に又は逆平行に同期して基板を走査することによって各標的部分を照射する、所謂スキャナが含まれる。
リソグラフィ装置では、パターン形成した放射を基板上に描画する投影レンズなどの投影系を放射が通過するとき、多少の放射吸収が不可避的に生じる。これはレンズ収差の原因となる投影レンズの発熱をもたらし、したがって描画性能に有害である。これを軽減しようとする試みが、例えば、補償を施して予測した収差を補正できるように、発熱効果及び得られる収差を予測しようとするフィードフォワード・モデルの使用によってなされてきた。しかし、現在のモデルは近似的で大まかなものにすぎず、例えば、パラメータとして平均レチクル透過率、照明方式、及び開口数を用いるモデルにすぎない。これには、レチクルの回折効果が排除されており、また差分減衰を有するもの及び移相マスクなどのより精巧なレチクルには有効なモデルにもなり得ない。これはフィードフォワード・モデルの適用後の大きな有意の誤差につながる。したがって、投影レンズの性能を所定の仕様の範囲内に維持できるように、予測したレンズ収差の有意の誤差(residual error)を補正するために実際の収差のフィードバック測定が定期的に必要である。しかし、このようなフィードバック測定は処理量をかなり犠牲にすることになる。
放射の通過によって生じるレンズの発熱が投影レンズの収差にもたらす効果をより正確に予測するためには、投影レンズ内部における放射の空間分布に関する情報が必要である。放射は様々な角度で投影レンズに入射し、これが投影レンズ内部のひとみ平面における放射の空間分布を決定する。ひとみ平面における2次元強度分布は、ひとみフィリング(pupil filling)として知られる。
もう1つの問題は、幾つかのチップが、例えば、動的ランダム・アクセス記憶装置(DRAM)部分及び論理部分によって非常に複雑になり得ることである。これに対応するレチクルは、異なる部分ごとに異なる透過率及び異なる形状構成を有することになり、そのためにスキャナ装置で使用されるスリットに沿って異なるひとみフィリングをもたらす。同様に、微小なチップのみが描画されている場合は、視野の一部分のみが明るく他の部分が暗くなる。如何にしてこれらの効果をフィードフォワード・モデルに取り込むかに関する問題が存在し、これらの効果が取り込まれなければ、それは計算した収差に誤差を引き起こすことになる。
さらに他の要因として、従来は投影レンズのひとみフィリングの測定には余分の要素を機械に挿入しかつ/又は示量的な測定分析を行うことが必要であった。これは、測定が遅くなるか又は間接的なものになることを意味し得る。スキャナの走査ひとみの測定も困難であった。
本発明の一態様によれば、放射の投影ビームを供給するための照明系;投影ビームの断面にパターンを付与する役割を果たすパターン形成装置を支持するための支持構造;基板を保持するための基板テーブル;基板の標的部分上にパターン形成したビームを投影するための投影系;パターン形成装置が投影ビームにパターンを付与している間に、投影系のひとみ平面における放射強度分布を測定するための計器;測定された強度分布を有する投影系において、投影ビームに起因する発熱が投影系による描画に及ぼす効果を計算するための計算装置;及び計算された発熱効果を補正するようにリソグラフィ装置を調整するための制御器を具備するリソグラフィ装置が提供される。
本発明の他の一態様によれば、基板を供給する段階;照明系を使用して放射の投影ビームを供給する段階;パターン形成装置を使用して投影ビームの断面にパターンを付与する段階;投影系を使用して放射のパターン形成したビームを基板の標的部分上に投影する段階;パターン形成装置が投影ビームにパターンを付与している間に、投影系のひとみ平面における放射強度分布を測定する段階;測定された強度分布を有する投影系において、投影ビームに起因する発熱が投影系による描画に及ぼす効果を計算する段階;及び計算された発熱効果を補正する段階を含むデバイス製造方法が提供される。
本発明の本装置及び方法は、それらがパターン形成装置によって強度分布(ひとみフィリングとも呼ばれる)をその場で実際に測定するので、レンズ発熱収差効果の予測を改善するには有利である。これは、フィードフォワード補正を向上させ、かつ必要なフィードフォワード測定の数を減少させ、それによって処理量を増大させる。
本発明の他の一実施例によれば、上述のデバイス製造方法にしたがって製造されたデバイスが提供される。
本発明の他の一実施例によれば、リソグラフィ装置における、ひとみの放射強度分布に関する情報を入手する方法が提供される。このリソグラフィ装置は、放射の投影ビームを供給するための照明系;投影ビームの断面にパターンを付与する役割を果たすパターン形成装置を支持するための支持構造;基板を保持するための基板テーブル;パターン形成したビームを基板の標的部分上に投影するための投影系;投影系の開口数を変更し、複数の異なる開口数の値に対する基板テーブルにおける放射束密度を測定するための調整可能な開口を備える。
幾つかの実施例では、放射強度分布に関する情報が、追加的な器具又は構成要素を本装置に挿入することなく入手可能である。これは、迅速な測定が可能であることを意味する。
幾つかの実施例では、本方法は、開口数がその最大値にあるときに放射束密度がその値の所定の比率である場合の開口数の値を測定する段階をさらに含む。これは、例えば、所定の比率の値を適切に選択することによってシグマ−内半径及びシグマ−外半径の迅速な管理を可能にする。
幾つかの実施例では、本方法は、投影系のひとみ平面における強度分布(即ち、ひとみフィリング)に関する情報を得るために、開口数の関数として放射束密度測定の導関数を求める段階をさらに含む。これは、方位角方向に平均されたひとみフィリングを容易に入手可能にする。
本文では、集積回路の製造にリソグラフィ装置を使用することに特定的に言及する場合があるが、本明細書で説明するリソグラフィ装置には、集積光学系、磁気ドメイン記憶装置用の誘導及び検出パターン、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッド等々の製造など、他の応用例もあり得ることを理解されたい。このような代替による応用例の関連では、本明細書の「ウェーハ」又は「ダイ」という用語の使用はいずれも、より一般的な「基板」又は「標的部分」という用語とそれぞれに同義であると見なし得ることが当業者には理解されよう。本明細書で言及する基板は、露光前に又は露光後に、例えば、トラック(典型的にレジストの層を基板に塗布しかつ露光済みのレジストを現像する手段)又は計測手段若しくは検査手段で処理可能である。応用可能であれば、本発明の開示をこのような手段及び他の基板処理手段に応用することもできる。さらには、本明細書で使用される基板という用語は、複数回処理された層を既に含んでいる基板を指し得るように、例えば、多層集積回路を作成するために、基板が2回以上処理される場合もある。
本明細書で使用する「放射」及び「ビーム」という用語は、紫外線(UV)放射(例えば、365、248、193、157、又は126nmの波長を有する)及び極紫外(EUV)放射(例えば、50〜20mmの範囲内の波長を有する)を含めて、電磁放射の全ての種類を包摂する。
本明細書で使用する「パターン形成装置」という用語は、基板の標的部分中にパターンを作成するためなどに、投影ビームの断面にパターンを付与するために使用可能な装置を指すものと広義に解釈されるべきである。投影ビームに付与されたパターンは、基板の標的部分中の望ましいパターンに厳密に対応しない場合もあることに留意されたい。投影ビームに付与されたパターンは一般に、集積回路のような、標的部分中に作成されているデバイス中の特定機能層に対応することになる。
パターン形成装置は透過型又は反射型であり得る。パターン形成装置の実施例には、マスク、プログラマブル・ミラー・アレイ、及びプログラマブルLCDパネルが含まれる。マスクはリソグラフィではよく知られており、バイナリ型、交番移相型、及び減衰移相型などのマスクの種類ばかりでなく、様々な複合型のマスクの種類も含まれる。プログラマブル・ミラー・アレイの1つの実施例は微小ミラーのマトリックス配置を使用し、これらのそれぞれのミラーは、入射する放射ビームを異なる方向に反射するように個々に傾斜させることが可能であり、このような様態で、反射されたビームがパターン形成される。パターン形成装置のそれぞれの実施例では、支持構造が架台又はテーブルであり得るが、例えば、それは必要に応じて固定式又は可動式が可能であり、例えば、投影系に対して望ましい位置にパターン形成装置を確保することができる。本明細書の「レチクル」又は「マスク」という用語の使用はいずれも、より一般的な「パターン形成装置」という用語と同義であると見なし得る。
本明細書で使用される「投影系」という用語は、屈折光学系、反射光学系、及び反射屈折光学系を含め、例えば、使用されている露光放射に適切な投影系、又は浸液の使用若しくは真空の使用など、他の要素に適切な様々な種類の投影系を包含するものと広義に解釈されたい。本明細書の「レンズ」という用語の使用はいずれも、より一般的な「投影系」という用語と同義であると見なし得る。
照明系も、屈折光学要素、反射光学要素、及び反射屈折要素を含めて、放射の投影ビームを誘導、成形、又は制御するための様々な種類の光学要素を包含することができ、このような要素を以下では一括して又は単独で「レンズ」と呼ぶこともできる。
リソグラフィ装置は、2つ(2連ステージ)以上の基板テーブル(及び/又は2つ以上のマスク・テーブル)を有する種類であり得る。このような「多連ステージ」機械では、追加的なテーブルを並行して、即ち、1つ又は複数のテーブル上で予備工程を実行し、他方では1つ又は複数の他のテーブルを露光に使用することができる。
リソグラフィ装置は、投影系の最終要素と基板との間の空間を満たすように相対的に大きな屈折率を有する液体、例えば、水の中に基板が液浸される種類でもよい。この浸液は、リソグラフィ装置の他の空間、例えば、マスクと投影系の最初の要素との間に使用してもよい。投影系の開口数を増大させるための液浸技法は当業ではよく知られている。
ここで、対応する参照符号が対応する部分を示す添付の模式的な図面を参照して、例示としてのみ本発明の実施例を説明する。
「実施例1」
図1は、本発明の特定の一実施例によるリソグラフィ装置を模式的に示す。本装置は、
放射(例えば、紫外線放射又は極紫外線放射)の投影ビームPBを供給するための照明系(照明器)IL、
パターン形成装置(例えば、マスク)MAを支持し、かつ要素PLに対してパターン形成装置を正確に位置決めするための第1の位置決め装置PMに連結された第1の支持構造(例えば、マスク・テーブル)MT、
基板(例えば、レジスト塗布ウェーハ)Wを保持し、かつ要素PLに対して基板を正確に位置決めするための第2の位置決め装置PWに連結された基板テーブル(例えば、ウェーハ・テーブル)WT、及び
パターン形成装置MAによって投影ビームPBに付与されたパターンを基板Wの標的部分C(例えば、1個又は複数のダイを含む)の上に描画するための投影系(例えば、屈折投影レンズ)PLを備える。
図示のように、本装置は透過型である(例えば、透過型マスクを使用するもの)。別法として、本装置は反射型であってもよい(例えば、上で言及した種類のプログラマブル・ミラー・アレイを使用するもの)。
照明器ILは放射源SOから放射のビームを受け取る。放射源及びリソグラフィ装置は、例えば、この放射源がエキシマ・レーザであるとき、別体の独立要素であり得る。このような場合には、放射源はリソグラフィ装置の一部を構成するものとは見なされず、放射ビームは、例えば、適切な誘導ミラー及び/又はビーム拡張器を備えるビーム送出システムBDの補助によって放射源SOから照明器ILに送られる。他の場合では、例えば、放射源が水銀ランプであるとき、放射源はこの装置の一体部分であり得る。ビーム送出システムBD(必要に応じて)と併せて、放射源SO及び照明器ILを放射系と呼ぶことができる。
照明器ILは、ビームの角強度分布を調整するための調整可能な光学要素AMを備えることができる。一般に、照明器のひとみ平面内における強度分布の少なくとも外半径範囲及び/又は内半径範囲(通常はそれぞれσ−外半径及びσ−内半径、若しくはシグマ−外半径及びシグマ−内半径と呼ぶ)を調整することができる。さらに、一般的には照明器ILは、積分器IN及び集光器COなどの様々な他の構成要素を備える。照明器は放射の条件付けしたビームを供給するが、それは投影ビームPBと呼ばれ、その断面に望ましい均一性及び強度分布を有する。
投影ビームPBは、マスク・テーブルMTの上に保持されているマスクMA上に入射する。投影ビームPBは、マスクMAを横切った後で、このビームを基板Wの標的部分Cの上に合焦するレンズPLを通過する。第2位置決め装置PW及び位置センサIF(例えば、干渉型装置)の補助によって、例えば、異なる標的部分CをビームPBの経路中に位置決めするために、基板テーブルWTを正確に移動させることができる。同様に、第1の位置決め装置PM及び別の位置センサ(これは図1に明示されていない)を使用して、例えば、マスク・ライブラリから機械的に取り出した後に又は走査時に、マスクMAをビームPBの経路に対して正確に位置決めすることができる。一般には、物体テーブルMT及びWTの移動は、位置決め装置PM及びPWの一部を構成する長行程モジュール(大まかな位置決め)並びに短行程モジュール(微細な位置決め)の補助によって実現されることになる。しかし、ステッパの場合は(スキャナとは異なり)、マスク・テーブルMTを短行程アクチュエータのみに連結するだけでもよいし、又は固定してもよい。マスクMA及び基板Wは、マスク位置合わせ標識M1、M2及び基板位置合わせ標識P1、P2を使用して位置合わせ可能である。
図示の装置を次の好ましい方式で使用することができる。
1.ステップ方式では、投影ビームに付与されたパターン全体が1回で標的部分Cの上に投影される間、マスク・テーブルMT及び基板テーブルWTが本質的に静止状態に保持される(即ち、単一静的露光)。次いで、異なる標的部分Cを露光できるように、基板テーブルWTはX方向及び/又はY方向に移動される。ステップ方式では、露光領域の最大のサイズが、単一静的露光で描画される標的部分Cのサイズを限定する。
2.走査方式では、投影ビームに付与されたパターンが非走査方向に延びるスリットを介して標的部分C上に投影される間、マスク・テーブルMT及び基板テーブルWTが同期して走査される(即ち、単一動的露光)。マスク・テーブルMTに対する基板テーブルWTの速度及び方向は、投影系PLの(縮小/)拡大率と画像反転特徴によって決定される。走査方式では、露光領域の最大のサイズが、単一動的露光における標的部分の幅(非走査方向における)を限定するのに対して、走査移動の長さが標的部分の高さ(走査方向における)を決定する。
3.別の方式では、投影ビームに付与されたパターンが標的部分C上に投影される間、プログラム可能なパターン形成装置を保持するマスク・テーブルMTが本質的に静止状態に維持され、かつ基板テーブルWTが移動又は走査される。この方式では、一般にパルス放射源が使用され、プログラム可能なパターン形成装置は、基板テーブルWTのそれぞれの移動後に又は走査時の連続的な放射パルスの合間に必要に応じて更新される。このような動作方式は、上で言及した種類のプログラマブル・ミラー・アレイなどのプログラム可能なパターン形成装置を利用するマスクレス・リソグラフィに直ちに応用可能である。
以上に説明した使用方式に関する組合せ及び/若しくは変形、又は全く異なる使用方式を用いることも可能である。
放射の通過によって生じるレンズの発熱が投影レンズの収差に及ぼす効果を予測するためには、投影レンズ内部における放射の空間分布に関する情報が必要である。放射は様々な角度で投影レンズに入射し、これが投影レンズ内部のひとみ平面における放射の空間分布を決定する。ひとみ平面における2次元強度分布は、ひとみフィリングとして知られる。従来のレンズ発熱フィードフォワード・モデルは、マスクMAによる回折によって生じる投影ビーム放射の角分布を考慮に入れることはなかった。それを考慮することなく単に平均レチクル透過率、開口数、及び照明方式(例えば、シグマ−内半径及びシグマ−外半径)が使われるだけであった。ひとみフィリングを測定する1つの可能な方法は、マスクMA上のパターンのフーリエ変換を含むことである。マスクMAにおける放射の空間分布と投影レンズのひとみ平面における放射の空間分布とが、フーリエ変換によって関係付けられる。しかし、これは示量的な計算であり、したがって使用される全てのマスクに関する詳細な情報が必要になるが、それは容易に得られるものではない。したがって、直接測定によってひとみフィリングを求めることが好ましい。
図2は、本発明の本実施例にしたがうリソグラフィ装置の動作方法を例示するフローチャートである。囲い線10の第1ステップは、ひとみフィリングを測定するものである。
直接測定によってひとみフィリングを求める1つの技法は、基板Wの平面でピンホールを使用するものであり、センサがこのピンホールの下方に配置され、かつそのセンサは、基板水準Wに形成されたマスクの像に対して脱焦されるように僅かに離間される。このような配置は、ピンホール・カメラの役割を果たし、投影レンズ中のひとみ平面の像が脱焦されたセンサの平面に形成される。固定ピンホールの下方のセンサを走査することによって、ひとみにおける2次元の強度分布、即ち、ひとみフィリングが得られる。センサは、既に本装置に備わっている既存のスポット・センサ(線量センサ)でよい。
ひとみフィリングを測定する別法による配置は、所謂カメラ・ツールを使用するものであり、それは基板水準に設けたピンホールも備え、その下方には、ピンホールによって選択した視野点における角分布をレンズ下方のセンサ位置における空間強度分布に変換するレンズが存在する。この場合のセンサは、放射感応画素のアレイを有し、例えば、電荷結合素子(CCD)を備え得る。これは、ひとみの電子的な像の取り込みを可能にする。この追加的なレンズによって、ピンホールを単独で使用するよりも像が小さくなり、それによって必要なCCDチップの面積が減少する。CCDを使用すると、センサを走査することなく1回の撮像でひとみの像を取り込むことが可能になる。
ひとみフィリングの測定に関するさらなる情報は、例えば、参照により本明細書に援用する欧州特許出願公開第1184727号から得られる。
投影レンズのひとみ平面と共役の平面における強度分布が得られるものであれば他の任意適切な測定システムが使用可能である。これは専用のセンサであっても、又は装置に既に備わっているセンサでもよく、例えば、スキャナ集積レンズ干渉計(ILIAS)として知られるシステム(干渉波面測定システムでありかつひとみ平面と共役のセンサ・カメラを使用するシステム)に備わっているセンサでよい。この測定システムは、それが追加的な専用ハードウェアを使用するものであっても、又はそれが機械に既に存在する構成要素を使用するものであっても、計器と呼び得る。
ステップ10においてひとみフィリングを測定するとき、これは、投影レンズのひとみにおける強度分布がマスクの回折効果を含むようにその場でマスクを使って行われる。その測定はまた、そのマスクで使用するための特定の照明方式(シグマ設定など)で行わねばならない。本装置がスキャナである場合は、マスク全体の平均回折パターンを実現するために測定時にマスクが走査される。CCDのようなセンサが、走査時に受け取った放射を積分する。ひとみフィリング測定は、随意選択的に視野内の幾つかの異なる箇所で実行されかつ平均され得る。
2次元ひとみフィリング・データを求めたら、次のステップ12は、それを直交基底関数の線形加算に展開することであるが、それぞれの関数は係数によって変化する。例えば、
Figure 0004550662
上式で、
I(r,θ)はひとみフィリングであり、r及びθは2つのひとみ座標であり、
(r,θ)は直交基底関数の組であり、さらに
は係数である。
スキャナの場合には、異なるスリット位置でレンズひとみを測定することによって、ひとみフィリングのばらつき又はスリット方向の透過率のサンプリングが可能である。スリット全体の得られるひとみフィリングは、ひとみ及びスリット分布を表す関数に分解可能である。
Figure 0004550662
上式で、
I(x,r,θ)はスリット全体のひとみフィリングであり、xはスリット位置であり、r及びθは2つのひとみ座標であり、
(r,θ)はひとみを表す直交基底関数の組であり、
(x)はスリットを表す基底関数の組であり、さらに
及びbは係数である。
以上の展開では、ひとみを表す直交基底関数Pはゼルニケ多項式であることが好ましいが、ベッセル関数などの他の適切な直交関数も使用可能である。スリット分布は多項式によって表現可能である。
特定のひとみフィリングを表すそれぞれの基底関数P(及び、適用可能であれば、F)ごとに、レンズ発熱によって誘発された収差は、実験較正によって、又はレンズの発熱挙動の過渡的シミュレーションなど、シミュレーションによって知られる。シミュレーションは、レンズ要素の既知の特性を使用して各レンズ要素表面上の出力密度を測定し、次いで有限要素計算を行ってレンズ要素の歪み、応力、及び温度分布を入手する、光線追跡を含み得る。歪みは収差を引き起こす恐れがあり、温度変化及び応力は、同様に収差の原因となる屈折率に変化を引き起こす。本モデルは、収差に及ぼす発熱の時間依存性効果を含むことができる。このような全てが、その特定の関数に対応するひとみフィリングごとの、発熱パターンによって生じる1つの収差又は複数の収差に関する情報となる。収差は、例えば、1組の複数のゼルニケ係数によって表現可能である。それぞれの基底関数ごとに収差はデータベースに格納される。したがって、次のステップ14として、ステップ10で求めたひとみフィリングに対応する関数にそれぞれ対応する収差が検索される。次いで、ステップ16では、検索された収差が、それぞれの関数Pの係数a(及び、適用可能であれば、スリット関数Fの係数b)にしたがってそれぞれ重み付けされ、次いで線形加算される。基底関数は直交しており、したがって非一次項が存在しないので、収差を線形加算することができる。この加算の結果は、本モデルによって予測された全体的な収差である。本モデルは、収差に及ぼす発熱の時間依存性効果を含むフィードフォワード・モデルであり得るが、そのさらなる詳細が欧州特許出願公開第1164436号に開示されている。
最後に、ステップ18では、リソグラフィ装置を使用してマスク上の像を基板Wの上に投影するとき、制御器が、発熱によって生じた予測収差を補正するようにリソグラフィ装置を調整する。実行される調整の実施例には、レンズに組み込まれたZアクチュエータの作動、レンズ要素の変形、投影ビーム放射の波長の変更、並びにマスク及び/又は基板の高さ(Z位置)の変更が含まれるが、さらなる情報は欧州特許出願公開第1164436号に開示されている。実行すべき正確な変更もデータベースで検索可能であるか、又は幾つかの装置に既に備わっている、収差を調整に関係付けるモデルを使用して計算可能である。
先に説明したように、ひとみフィリングは照明設定に依存し、したがって予測収差及び補正は、その設定に関してのみ有効である。同じマスクを使用して異なる照明設定で露光を実行する場合は、ひとみフィリングはそれぞれの照明設定ごとに再測定しなければならないか、又は1つ若しくは複数の異なる照明設定における先行測定に基づいて、新たな照明設定におけるひとみフィリングを外挿若しくは内挿することも可能である。
「実施例2」
本発明の本実施例は、投影レンズのひとみに関する情報を求める方法に関する。それは幾つかの状況では、先の実施例と併用可能であるか、又は単独で使用可能である。
本実施例は、投影レンズが調整可能な開口数を有するリソグラフィ装置で使用するためのものである。図3は、投影レンズPL、照明器からの放射の錐30、調整式絞り32などの開口数を調整自在に画定する手段、投影レンズを出射する放射の錐34、及びセンサ36を備える投影系を模式的に例示する。図3は、開口数の4つの異なる設定を示す。開口角は、レンズ系を通過して像を形成できる最も発散する光線間の角度として画定され、開口数(NA)は1/2開口角の正弦である。
センサ36は、例えば、本装置に既に備わっている線量センサであり、基板水準における放射束密度を測定する。この測定値は、設定された開口数に対する、開口32を通り抜ける合計エネルギー(即ち、それは「エンサークルド・エネルギー」である)に比例する。測定は、図3に例示した複数の異なる開口数で行われる。開口数がその最大値NAmaxまで調整されるとき、測定される放射束密度は、定義上、最大エンサークルド・エネルギー(即ち、100%)に比例する。
図4は、エンサークルド・エネルギー対開口数(NA)設定のグラフを模式的に示す。それは、連続曲線として示されているが、実際には個別の測定点のデータ・セットである。このデータから、エンサークルド・エネルギーがその最大値の10%及び90%である場合の開口数の値が標準数値技法によって内挿可能であり、値NA(10%)及び値NA(90%)をそれぞれに与える。次いで、これらの数値をシグマ−内半径値及びシグマ−外半径値に変換することが可能である。即ち、シグマ−内半径はNAmaxで除したNA(10%)であり、シグマ−外半径はNAmaxによって除したNA(90%)である。当然のことであるが、10%及び90%という値は多少恣意的なものであり、他の閾値を使用して環状照明方式の内半径及び外半径を画定することが可能である。これらの測定値は開口数で表したものであるので、これは、シグマの値=1が投影レンズのひとみの最大半径であるように正規化される絶対シグマ値に直接変換される。
これらの測定は、順次に開口数を増大若しくは減少させるか、又はそれを何らかの他の様式で変化させることによって行うことができる。必ずしも開口数の値の全値域を使用する必要はない。例えば、従来の円板状照明方式、即ち、環状照明方式などでは、シグマ−外半径値を求めたいだけであれば、開口数は、その最大値から出発し、次いでセンサ36によって測定された放射束密度がその元の値の10%から90%減少するまで減少させることが可能である。これは、1つの視野点でほんの10秒間のテスト時間にすぎない極めて迅速な測定であり得る。走査ひとみを有するスキャナ装置の場合では、それぞれの開口数における測定は走査時に行われ、センサ36がスリットから受け取った放射を積分する。
シグマ−内半径値及びシグマ−外半径値だけではなくそれ以外に、さらに詳細なひとみフィリングが必要であれば、それは図4のエンサークルド・エネルギーのデータを微分することによって得ることが可能であり、図5に模式的に示したグラフを得る。1つの開口数設定から次の設定までのエンサークルド・エネルギーの変化は、これら2つの開口数設定間の環状形中に位置するエネルギーを与える。したがって、図5は、径方向ひとみ座標シグマの関数としてエネルギー密度(強度分布)グラフを与える。本実施例では、照明方式は環状であり、ひとみの中心と外周辺で強度が小さい。
当然のことであるが、本発明の本実施例は、方位角方向回りのエネルギーを平均し、ひとみ中のそれぞれの半径位置におけるエネルギー密度の単一平均値を与えるだけであることが明らかである。したがって、それを高次の収差測定に使用することはできないが、かなりの開口数又はシグマ誤差を明らかにするための迅速な中間計測管理の測定には依然として有用であり得る。本技法を使用してシグマ値の視野依存性を求めることも可能である。本実施例は、マスク若しくは他のパターン形成装置を備えても又は備えていなくても使用可能である。マスクが存在しない場合は、本実施例は、照明器、即ち、投影レンズのひとみではなく照明器のひとみによって生成された照明源を直接測定することができる。
本発明の先に説明した実施例にしたがうリソグラフィ装置は標準装置でよく、例えば、「実施例2」は追加的なハードウェアをいずれも必要としない。「実施例1」の発熱効果及びレンズ収差を計算する計算装置並びに「実施例2」のひとみ情報を求める計算装置は、専用コンピュータ又はリソグラフィ装置の他の態様を制御するために使用されるコンピュータで走るソフトウェアで実施可能である。
以上に本発明の特定の実施例を説明したが、本発明は説明とは別様に実施可能であることが理解されよう。以上の説明は本発明を限定しようとするものではない。
本発明の一実施例によるリソグラフィ装置を示す図である。 本発明の一実施例による、収差を補正するためにレンズ発熱フィードフォワード・モデルを使用するリソグラフィ装置の動作方法を例示するフローチャートである。 本発明の別の一実施例による、ひとみフィリング測定を行うために様々な状態にある調整可能な開口を有する投影レンズ系を模式的に例示する図である。 図3の実施例にしたがって測定するための、開口数に対する包囲エネルギーを示す模式的なグラフである。 図4のグラフを微分することによって得られた、特定の照明方式に関してシグマに対するエネルギー密度を模式的に示すグラフである。
符号の説明
30 照明器からの放射の錐
32 調整式絞り
34 投影レンズを出射する放射の錐
36 センサ
AM 調整可能な光学要素
BD ビーム送出システム
C 標的部分
CO 集光器
IL 照明系(照明器)
IN 積分器
MA パターン形成装置(マスク)
MT 第1の支持構造(マスク・テーブル)
PB 投影ビーム
PL 投影系
PM 第1の位置決め装置
PW 第2の位置決め装置
SO 放射源
W 基板
WT 基板テーブル

Claims (15)

  1. リソグラフィ装置であって、
    放射の投影ビームを供給するための照明系と、
    前記投影ビームの断面にパターンを付与する役割を果たすパターン形成装置を支持するための支持構造と、
    基板を保持するための基板テーブルと、
    前記基板の標的部分上に前記パターン形成したビームを投影するための投影系と、
    パターン形成装置が前記投影ビームにパターンを付与している間に、前記投影系のひとみ平面における放射強度分布を測定するように構成しかつ配置したセンサ・モジュールと、
    前記測定された強度分布を有する前記投影系において、前記投影ビームに起因する発熱が前記投影系による描画に及ぼす効果を計算する計算モジュールと、
    前記計算された発熱効果を補正するように該リソグラフィ装置を調整するための制御器とを具備し、
    前記計算モジュールは、前記強度分布を直交関数の組に展開させ、それぞれの関数が係数によって変化するリソグラフィ装置。
  2. 前記計算モジュールは、前記関数のそれぞれに対応する強度分布を有する放射の通過に起因する収差の先行計算されたデータベースをさらに含む、請求項1に記載のリソグラフィ装置。
  3. 前記計算モジュールは、前記データベースから読み取った前記収差を合計するように配置され、それぞれが前記それぞれの係数にしたがって重み付けされる、請求項2に記載のリソグラフィ装置。
  4. 前記リソグラフィ装置はスキャナ・スリットを備え、前記センサ・モジュールは前記スリットに沿って透過率のばらつきも測定するためにあり、前記計算モジュールは、前記強度分布を前記スリットの強度分布を表す関数の組に展開させ、それぞれの関数が係数によって変化する、請求項1乃至3の何れか一項に記載のリソグラフィ装置。
  5. 前記計算モジュール及び制御器を使用して該リソグラフィ装置をフィードフォワード・モデルの範囲内で調整する、請求項1乃至4の何れか一項に記載のリソグラフィ装置。
  6. 複数の異なる開口数の間で、前記投影系の開口数を変更する手段を備え、
    前記センサ・モジュールは、前記複数の異なる開口数の値に対して、前記基板テーブルにおける放射束密度を測定する、請求項1乃至5の何れか一項に記載のリソグラフィ装置。
  7. 前記計算モジュールは、開口数がその最大値にあるときに前記放射束密度が前記値の所定の比率である場合の前記開口数の値を測定する、請求項6に記載のリソグラフィ装置。
  8. 前記計算モジュールは、前記投影系のひとみ平面における前記強度分布に関する情報を得るために、前記開口数の関数として前記放射束密度の測定値の導関数を求める、請求項6又は7に記載のリソグラフィ装置。
  9. デバイス製造方法であって、
    投影ビームの断面にパターンを形成する段階と、
    投影系を使用して放射の前記パターン形成したビームを基板の標的部分上に投影する段階と、
    パターン形成装置が前記投影ビームに前記パターンを付与している間に、前記投影系のひとみ平面における放射強度分布を測定する段階と、
    前記測定された強度分布を有する前記投影系において、前記投影ビームに起因する発熱が前記投影系による描画に及ぼす効果を計算する段階と、
    前記計算された発熱効果を補正する段階とを含み、
    描画に及ぼす前記効果を計算する段階は、前記強度分布を直交関数の組に展開する段階を含み、それぞれの関数が係数によって変化するデバイス製造方法。
  10. 前記関数のそれぞれに対応する強度分布を有する放射の通過に起因する収差の先行計算されたデータベースから収差情報を読み出す段階をさらに含む、請求項9に記載のデバイス製造方法。
  11. 前記データベースから読み出した前記収差を合計する段階をさらに含み、それぞれが前記それぞれの係数にしたがって重み付けられる、請求項10に記載のデバイス製造方法。
  12. 前記投影系はスキャナ・スリットを備え、方法は、前記スリットに沿って透過率のばらつきを測定する段階と、前記強度分布を前記スリットの強度分布を表す関数の組に展開する段階とをさらに含み、それぞれの関数が係数によって変化する、請求項9乃至11の何れか一項に記載のデバイス製造方法。
  13. 記投影系のひとみ平面における前記強度分布に関する情報を入手する段階をさらに含み、
    前記強度分布に関する情報を入手する段階は、複数の異なる開口数の間で、前記リソグラフィ装置の投影系の開口数を変更する段階と、前記複数の異なる開口数の値に対して、前記リソグラフィ装置の基板テーブルにおける放射束密度を測定する段階とを含む、請求項9乃至12の何れか一項に記載のデバイス製造方法。
  14. 前記強度分布に関する情報を入手する段階は、開口数がその最大値にあるときに前記放射束密度が前記値の所定の比率である場合の前記開口数の値を測定する段階をさらに含む、請求項13に記載のデバイス製造方法。
  15. 前記強度分布に関する情報を入手する段階は、前記開口数の関数として前記放射束密度の測定値の導関数を求める段階をさらに含む、請求項13又は14に記載のデバイス製造方法
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