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JP4546030B2 - 表面処理した白亜とカーボンブラックを充填した接着剤 - Google Patents

表面処理した白亜とカーボンブラックを充填した接着剤 Download PDF

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JP4546030B2 JP2002587485A JP2002587485A JP4546030B2 JP 4546030 B2 JP4546030 B2 JP 4546030B2 JP 2002587485 A JP2002587485 A JP 2002587485A JP 2002587485 A JP2002587485 A JP 2002587485A JP 4546030 B2 JP4546030 B2 JP 4546030B2
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Description

関連出願の指摘
本出願は、2001年5月10日に提出された欧州特許出願第01 111 158.0号の優先権を請求するとともに、その全開示内容の参照を求める。
技術分野
本発明は、充填材を使用した接着剤、特にシラン架橋接着剤に関する。
従来技術
ポリウレタンからなるプラスチックは、高いフレキシビリティーと同時に十分な強度を必要とする接着剤に使用するのに特に適した材料として相当以前から知られている。ポリウレタン・ポリマーのイソシアン酸基が大気中の湿気と反応し、それによってポリマーが架橋される1成分系は、簡単に使用できるという長所を有している。なぜならば、第2の成分を配量することがなく、混合工程も必要ないからである。そのような系は、工業や建設業で接着剤および密封剤として広く応用されている。これらのポリウレタン・ポリマーの改良点は、イソシアン酸基の代わりに官能基として、同様に大気中の湿気と反応してSi−O−Si結合に架橋するシラン基を導入することにある。末端のイソシアン酸基をメルカプト官能シランまたはアミノ官能シランで置換することによってシラン架橋ポリウレタン・ポリマーを製造する方法は、例えばUS3,632,557(ユニオン カーバイド;Union Carbide)およびUS5,364,955(バイエル;Bayer)に記載されている。US3,632,557(ユニオン カーバイド)は、ポリウレタン・ポリマーの末端のイソシアン酸基をメルカプト官能シランまたはアミノ官能シランで置換することによって、シラン架橋有機ポリウレタン・ポリマーを製造する方法を開示している。これらのポリマーは特に充填材を含むことができる。例として炭酸カルシウムもカーボンブラックも挙げられていない。
この特許明細書に基づいてシラン架橋ポリウレタン系の接着剤や密封剤を製造することはできる。しかしこの方法で達成できる機械的強度は、市場に適合した原料コストによる調製だと、引張強さ1.5Mpaおよび150%のオーダーであるが、これは自動車工業で接着剤として使用するには十分でない。
US5,364,955(バイエル)は、シラン架橋ポリウレタン・ポリマーの製造のために、イソシアン酸末端基を有するポリウレタン・ポリマーに付着させる、特殊な第2アミノシラン(アスパラギン酸エステル誘導体)を開示している。シラン末端ポリマーも、密封材料の調製に使用できる。特殊な性質を達成するのに特に適した充填材の指示は言及されていない。
シラン基による架橋の利点は、場合によっては接着剤中に不都合な気泡を生じさせる恐れのあるCOが架橋時に生成されないこと、そして使用者は健康を害する可能性のある単量体イソシアネートと接触しないことである。
充填材に関して特に指示していないこれらの公報のほかに、独特の充填材を使って特殊な性質を達成することを開示した公報もすでに存在する。
US6,001,946(ウイトコ;Witco)で開示されているのは、多かれ少なかれUS5,364,955に記載されているのと同じ、アミノ官能シランのアスパラギン酸エステル誘導体をベースとしたシラン末端ポリウレタン・ポリマーである。強化充填材として「いぶしシリカ」(fumed silica)、沈降性二酸化ケイ素および炭酸カルシウムが挙げられている。その際に、粒径0.07ないし4ミクロンの表面処理した炭酸カルシウムが好適な充填材とされる。これらの充填材は単独で、または他の充填材と組み合わせて使用できる。好適な充填材量は、ポリマー100部に対し80ないし150部とされている。この特許に基づいて、伸び約300%で引張強さ約1.5Mpaの接着剤を達成できる。このような接着剤の強度は、自動車工業に使用するのに十分ではない。
EP0 676 403(ウイトコ)には、アリルアミノ官能シランを包含したシラン末端ポリウレタン・ポリマーが記載されている。これらのポリマーをベースとした密封剤は、当時の標準的な技術に比べてフレキシビリティーがより大きく、弾性係数がより低い。好適な炭酸カルシウム充填材として、ポリマー100部に対し最大100部の量で粒径0.05ないし10ミクロンの表面処理したタイプを挙げている。この特許明細書に基づいて、伸び300%で引張強さ約2.8Mpaの接着剤が達成される。この引張強さでも、自動車工業に使用するには低すぎる。更に、フェニルアミノシランを含んでいるシラン架橋ポリウレタン・ポリマーは硬化した状態では、高温下で保存すると耐老化性の劣化を呈することが分かった。
US5,703,146(カネカ;Kaneka)に記載されている密封剤は、分子量分布の狭いシラン末端オキシプロピレン・ポリマー100部、粒径が0.5ミクロン以下であり、脂肪酸で表面処理した炭酸カルシウム100ないし200部、その他複数の添加物から構成されている。このポリマーが全質量に占める割合は15〜35%である。この分子量分布が狭く、したがって粘度の低いポリマーを、被覆した微粒炭酸カルシウムと組み合わせることにより、良好な絞り出し特性とともに十分な耐久性が得られるが、引張強さは十分大きくない。
US4,222,925(インモント;Inmont Corporation)に記載されている接着剤は、硬化速度が速く、強度が大きく、自動車製造において風防ガラスを張り付ける目的でプライマーと併用される。この接着剤は、シラン末端ポリウレタン・ポリマー(製法はUS3,632,557に記載されているのと同じ)、特殊アミノ官能シラン、および含水量が0.05%以下のカーボンブラックをベースとして構成されている。乾燥したカーボンブラックを添加することによって、接着剤の機械的強度が大幅に増す。使用するカーボンブラックの量に関する一般的な数値は挙げられていないが、例2にはポリマー100部に対してカーボンブラック35部の使用が開示されており、これは非常に高い機械的強度を生む。しかし、ポリマーの割合を73%で調製した接着剤は、実用的な使用には高価すぎる。
WO99/55755(エセックス;Essex)には、窓を構造物に接着する方法が記載されている。使用する接着剤は、シラン末端オキシアルキレン・ポリマー、シラン末端ポリウレタン・ポリマー、または類似のシラン末端系をベースとしている。このポリマーは接着剤の全質量中45ないし85%を占め、好ましくは0.1ないし0.4%の量のスズ触媒、特殊アミノ官能シランおよびその他の添加剤を含んでいる。更に、カーボンブラック、炭酸カルシウム、およびその他の強化充填材が、可能な添加剤として挙げられている。この場合、カーボンブラックは使用される唯一の強化充填材として優先されている。強化充填材の量は接着剤の全質量に対して20ないし33%が好都合であり、引張強さ最大1028psi(=7.1Mpa)の組成が開示されている。接着剤に含まれるカーボンブラックの割合が高いため、この接着剤では自動車工業における接着に要求される高い比絶縁抵抗を達成できない。
シラン架橋ポリマーの添加物として、被覆した微粒炭酸カルシウムも、カーボンブラックも使用することが知られている。
EP0819749(Simson)に記載されている電気抵抗の高いシラン架橋接着剤および密封剤は、自動車風防ガラスの接着などの工業用途や、特に電気機器の接着剤および密封剤として適している。これらの接着剤および密封剤は、シラン末端ポリマー、架橋触媒、乾燥剤、付着助剤およびレオロジーコントロール剤の各成分を含んでおり、組成の25ないし55%は炭酸カルシウム充填材の形式で存在してよい。脂肪酸で被覆した沈降性炭酸カルシウムを使用すると、この組成の粘度は高まり、耐久性と−沈降性炭酸カルシウムと非沈降性炭酸カルシウムの混合率を適宜選択した場合に−機械的強度が改善される。全質量に対し0.2ないし5%の量のカーボンブラックは顔料として言及されている。
EP0931800(ウイトコ Corp.)には、良好な機械的性質を備え、硬化速度が速く、表面接着性が少なく、粘度が高すぎない接着剤が記載されている。これらの接着剤は、OH末端ポリウレタン・プリポリマーをイソシアン酸官能シランで置換することによって製造されるシラン末端ポリウレタン・プリポリマーをベースとしている。可能な強化充填材として「いぶしシリカ」、「沈降性シリカ」(precipitated silica)および炭酸カルシウムが挙げられている。更に強化するために、主充填材としてカーボンブラックが提案される。好適な充填材は、粒径0.07ないし4ミクロンの表面処理した炭酸カルシウムである。これらの充填材は単独で、または組み合わせて使用でき、好適な充填材量はポリマー100に対して80ないし150部とされる。例で達成された最大引張強さは2.7Mpaである。
前記の公報のいずれからも、自動車工業において課せられる要求を満たすために、シラン末端ポリマーをベースとした接着剤組成がどのように構成されねばならないかを読み取ることはできない。これらの公報のいずれからも、特殊なタイプのシラン末端ポリマー、すなわち特殊なシラン架橋ポリウレタン・プリポリマーを使用すると、シラン架橋ポリウレタン・プリポリマーに被覆した微粒炭酸カルシウムとカーボンブラックとの組み合わせを充填できる範囲が存在して、自動車工業用の接着剤の製造に必要な性質を得ることができるということは明らかにならない。これらの性質とは、接着皮膜に強い機械的荷重がかかることに鑑みて、フレキシビリティーに富み、しかも強度が大きいこと、そして種々異なる金属の耐食性接着を達成するために、硬化した接着剤が高い比絶縁抵抗を有することである。これらの性質をより具体的に規定すると、次のようになる。
−引張強さ4.5Mpa以上
−破断伸び250%以上
−比絶縁抵抗10オーム cm以上
−良好な使用性
−しかも原料コストが高すぎないこと。
比絶縁抵抗が高いことも重要である。なぜならば、接着皮膜の導電性が良すぎると、アンテナを内蔵したリアガラスを接着した場合に、受信障害を引き起こす可能性がある。
実用的な接着剤の他の前提は、使用性が良好なことである。つまり、修理の場合に硬化していない接着剤を適度な力を加えるだけでカートリッジから絞り出せることである。カートリッジから直径5mmの開口部を通って絞り出す力は、2000Nを越えてはならない。
更に、実用的なシラン架橋ポリウレタン系接着剤の原料コストは特定の限界を越えるべきではない。それゆえ、ポリマーの割合が70%以上の調製は、市場の要求に合わない。
これらすべての条件を満たすことは、従来の公知技術に従うシラン架橋接着剤では不可能である。
驚くべきことに、特殊なシラン架橋ポリウレタン・ポリマーを所定の範囲で被覆した微粒炭酸カルシウムおよびカーボンブラックと組み合わせると、自動車工業で部品を接着するための前記の条件を満たすシラン架橋ポリウレタン系接着剤を調製できることが分かった。
それゆえ、本発明の目的物は、前記の要求を満たすことができる接着剤である。
本発明による接着剤は、次の3つの成分を含んでいる。
a)次式(I)に従って構成されたシラン架橋ポリウレタン・ポリマー。
Figure 0004546030
ここに、Rは2ないし8個の炭素原子を有する直鎖状または分岐状のアルキル基を表し、
は1ないし8個の炭素原子を有するアルキル残基を表し、
は1ないし5個の炭素原子を有するアルキル残基を表し、
aは0または1を表し、
Zは硫黄またはNRを表し、しかもRは水素原子、または有機残基、例えばアルキル基もしくは1ないし20個の炭素原子を有するアリル基、またはエステル基との化合物、例えば次式(II)の結合を表し、
Figure 0004546030
ここに、Rは1ないし8個の炭素原子を有するアルキル基を表し、
nは2ないし4の数を意味し、
Aは官能性nを有するポリウレタン・プリポリマーの残基を表す。
b)被覆した微粒炭酸カルシウム。具体的には脂肪酸で処理した粒径0.05ないし1ミクロンおよび密度約2.6〜2.7 g/ml の炭酸カルシウム。
c)カーボンブラック。特に密度約1.8 g/mlの表面積の大きいタイプ。ポリマー100g a)に20ないし50mlの充填材b)およびc)が存在し、b)とc)の容積比が70/30と30/70の間にある。
Aは、好ましくは市販ポリオールを過剰の市販ポリイソシアネートで置換することによって得られるポリウレタン残基を表し、Aの平均分子量が通常は500ないし100000g/molの範囲内にあり、しかもAが少なくともn個のウレタン基を包含している。Aは特に次式(III)の残基である。
Figure 0004546030
ここに、Qは、芳香族、脂肪族または環状脂肪族残基を表し、当該残基が特にポリイソシアネート、特に好ましくは2つ以上のイソシアン酸基の分裂後は市販ジイソシアネートを表し、
Pは、ポリオキシアルキレンポリオールまたはポリアルキルジエンポリオール、特に少なくとも2つのOH基の分裂後は市販ポリオールをなす残基を表し、
Xが次式(IV)の残基を意味し、
Figure 0004546030
ここに、mは互いに独立に0ないし5を意味し、
Qは上記の意味を有しており、しかもPはP(X)u以下であるという条件で、PはPまたはP(X)uに等しく、ここにu=1または2である。
上記の条件を守ると、自動車工業などで少なくとも一部金属からなる部品を密封接着するのに適した接着剤が生じる。これらの接着剤は、良好な機械的特性、高い比絶縁抵抗、良好な使用性および妥当な原料コストを有している。これらの接着剤は使いやすく(絞り出し力は2000N以下)、引張強さ4.5Mpa以上、破断伸び250%以上および比絶縁抵抗10オーム cm以上を有している。
発明を実施する方法
本発明による接着剤の本質的な構成要素は、次式(I)に従って構成されたシラン架橋ポリウレタン・ポリマーである。
Figure 0004546030
ここに、Rは2ないし8個の炭素原子を有する直鎖状または分岐状のアルキル基を表し、
は1ないし8個の炭素原子を有するアルキル残基を表し、
は1ないし5個の炭素原子を有するアルキル残基を表し、
aは0または1を表し、
Zは硫黄またはNRを表し、しかもRは水素原子、または有機残基、例えばアルキル基もしくは1ないし20個の炭素原子を有するアリル基、またはエステル基との化合物、例えば次式(II)の結合を表し、
Figure 0004546030
ここに、Rは1ないし8個の炭素原子を有するアルキル基を表し、
nは2ないし4の数を意味し、
Aは官能性nを有するポリウレタン・プリポリマーの残基を表す。
Aは、好ましくは市販ポリオールを過剰の市販ポリイソシアネートで置換することによって得られるポリウレタン残基を表し、Aの平均分子量が通常は500ないし100000g/molの範囲内にあり、しかもAが少なくともn個のウレタン基を包含している。Aは特に次式(III)の残基を意味し、
Figure 0004546030
ここに、Qは、特にポリイソシアネート、特に好ましくは2つ以上のイソシアン酸基の分裂後は市販ジイソシアネートをなす、芳香族、脂肪族または環状脂肪族残基を表し、
Pは、ポリオキシアルキレンポリオールまたはポリアルキルジエンポリオール、特に少なくとも2つのOH基の分裂後は市販ポリオールをなす残基を表し、
Xが次式(IV)の残基を意味し、
Figure 0004546030
ここに、mは互いに独立に0ないし5を意味し、
Qは上記の意味を有しており、しかもPはP(X)u以下であるという条件で、PはPまたはP(X)uに等しく、ここにu=1または2である。
残基Aが官能性n=2を有していて、次式(V)によって表され、
Figure 0004546030
ここに、Qは、両イソシアン酸基の分裂後はジイソシアネート、特に市販ジイソシアネートをなす残基を表し、Pは、ポリオール、特に両OH基の分裂後は市販ポリオールをなす残基を表し、m=0〜5である。
好適なポリイソシアネートはジイソシアネートである。例として、ポリウレタン化学で最も良く知られている次のイソシアネートを挙げる。
ジイソシアン酸2,4−トルエン、ジイソシアン酸2,6−トルエン、ジイソシアン酸4,4’−ジフェニルメタン、ジイソシアン酸2,4’−ジフェニルメタン、ジイソシアン酸イソホロン、ジイソシアン酸2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサメチレン、ジイソシアン酸2,4,4−トリメチル−1,6−ヘキサメチレン、ジイソシアン酸m−テトラメチルキシレン、ジイソシアン酸p−テトラメチルキシレン、ジイソシアン酸4,4’−ジシクロヘキシルメタンもしくはジイソシアン酸2,4’−ジシクロヘキシルメタンの異性体、前記イソシアネートのポリマーもしくはオリゴポリマー、または前記2つ以上のイソシアネートの混合物。
少なくとも2つのOH基の分裂後は残基Pを生じるポリオールは、ポリウレタン化学において最も良く知られている次の原料またはそれらの混合物である。酸化エチレン、酸化プロピレンもしくは酸化ブチレンまたはこれらの混合物からなる重合生成物であるポリエーテルポリオール、あるいはヒドロキシ末端ポリブタジエンポリマー。ポリオールは一般にOH官能性1.8ないし3および分子量500ないし20000g/molを有している。製造時には上記のポリオールに加えて、2個以上のOH基を有する化合物を鎖延長剤または架橋剤として併用すると、それらの残基もPに寄与できる。例として1,4−ブタンジオールまたはトリメチロールプロパンを挙げる。
本発明に従って使用されるシラン末端プリポリマーは、第1段階でポリオールを過剰のポリイソシアネートで置換して、イソシアン酸末端基を有するプリポリマーを発生させる。次いでこれらのイソシアン酸末端基を、イソシアン酸反応基を含む有機官能性シランで置換する。
有機官能性シランとして次式(VI)の化合物が適しており、
Figure 0004546030
ここに、R、R、Rおよびaは前記の意味を有しており、Yは−SHまたは−NHまたは−NHRを表し、Rも同様に前記の意味を有している。特にRとして次の結合(II)を有するアミノシランが適している。
Figure 0004546030
ここに、Rは1ないし8個の炭素原子を有するアルキル基を表す。
このような有機官能シランは、相応のマレイン酸ジエステルまたはフマル酸ジエステルとY=−NHのアミノシランから、二重結合への付加反応によって生成できる。そのような有機官能シラン化合物の例として、マレイン酸ジエチルエステルおよびγ−アミノプロピルトリメトキシシランから作られる次式の化合物を挙げる。
Figure 0004546030
ポリオールには、残基Pの「供与体」として上に挙げた、ポリウレタン化学で最も良く知られた原料またはその混合物を使用できる。
そのようなプリポリマーを生成するためのポリイソシアネートには、同様に残基Qの「供与体」として上に挙げた、分子当たり少なくとも2個のイソシアン酸基を有する脂肪族、環状脂肪族残基または芳香族イソシアネートが考慮の対象になる。
製造は、ポリオールとイソシアネートの成分を通常の方法で、例えば温度50ないし100°Cで、場合によっては適当な触媒を併用して置換し、その際にイソシアネートの成分を過剰にすることによって行うことができる。反応生成物として、イソシアン酸末端基を有する上記のポリウレタン・プリポリマーが生じる。イソシアネート反応性の有機官能性シランで置換し、その際にシラン末端ポリウレタン・プリポリマーが生成される。この場合、有機官能シランはイソシアン酸基に対して化学量論的に、またはやや過剰に用いる。
b)で記載されている、被覆した微粒炭酸カルシウムとして、脂肪酸、例えばステアリン酸で被覆した、平均粒径0.05ないし1ミクロンの炭酸カルシウムが特に適している。有機物質の含量は重量比0.9ないし5%である。特に適しているタイプは、例えばICIのウイノフィル(Winnofil)SPおよびウイノフィルSPT、またはSovayのソカル(Socal)U1S2である。これらの材料の密度は約2.6〜2.7g/mlである。
c)で挙げたカーボンブラックは、表面積が大きく、密度約1.8 g/mlのカーボンブラックである。
カーボンブラックは、プリポリマーに混入する前に乾燥させてある限り、可能なすべてのタイプが適している。導電性を減らすために、酸化または部分酸化したタイプのカーボンブラックを使用する。これらのカーボンブラックは高価であり、したがってあまり高価ではなく市場の要求に適った製品を得るためには使用が限られている。
酸化していないカーボンブラックを使用しても、前記の要求された性質を満たす生成物が得られるためには、量比が非常に重要である。それゆえ、ポリマー100g a)に20ないし50mlの充填材b)およびc)を使用し、b)とc)の容積比が70/30と30/70の間にあると好都合である。
本発明による接着剤は、これらの必須に存在する成分のほかに、次の1つ以上の成分を含んでいる。可塑剤、例えば有機エステル、すなわちフタル酸ジオクチルやフタル酸ジイソデシルなどのフタル酸、アジピン酸、例えばアジピン酸ジオクチル、ポリブテン、シランと反応しないその他の化合物、溶剤、その他の無機充填材または有機充填材、例えばその他の炭酸カルシウム、カオリン、酸化アルミニウム、ケイ酸、繊維、例えばポリエチレン、顔料、増粘剤、例えば尿素化合物またはポリアミドワックス、熱もしくは紫外線に対する安定剤、付着助剤、例えばアミノシランまたはエポキシシラン、特にHN−(CH−Si(OCH、HN−(CH−NH−(CH−Si(OCHまたはNH−[(CH−Si(OCH、乾燥剤、例えばビニルトリメトキシシラン、触媒、例えばイソホロンジアミンやジェフアミンなどのアミン化合物、または有機スズ化合物、例えばジラウリン酸ジブチルスズ、アセチルアセトン酸ジブチルスズ、またはポリウレタン化学で慣用的なその他の触媒、ならびにポリウレタン系密封剤および接着剤で慣用的に使用されているその他の物質。
本発明の接着剤の長所は、シラン架橋ポリウレタン・プリポリマーに比べて、イソシアネートを含まず、また本発明に従い特殊なシラン架橋ポリウレタン・ポリマー、カーボンブラックおよび被覆した微粒炭酸カルシウムを組み合わせることにより、引張強さ4.5Mpa以上,破断伸び250%以上および比絶縁抵抗10オーム cm以上および良好な使用性が求めらる用途に適している。このような用途とは、例えば金属部品の密封および接着、特にフレキシブルな接着である。したがって本発明による接着剤は、一方ではバス、トラックおよび鉄道車両の製造に適しており、他方では自動車工業における組立用接着剤に対する要求さえも満たす。
以下に、本発明を例に基づいて詳細に説明するが、本発明はこれらの例に制限されるものではない。
Figure 0004546030
試験方法の概要
絞り出し力を、直径45mmのアルミニウム製カートリッジで求めた。その際に、直径5mmの開口部を通してカートリッジ先端に接着剤を押し付けた。絞り出しは引張試験器で必要な力を加え、速度60mm/minで行った。
引張強さと破断伸びは、DIN53504(S2)に従い膜厚約3mmの硬化したフィルムで求めた。
比絶縁抵抗は、DIN53482に従い膜厚約3mmの硬化したフィルムにおいて1000Vで測定し測定した。
例1:N−(3−トリメトキシリルプロピル)−アスパラギン酸ジエチルエステル(マレイン酸エステル−アミノシラン付加体)
γ−アミノプロピルトリメトキシシラン509.9gを受け器に入れた。次いでマレイン酸ジエチルエステル490.1gを室温下でよく撹拌しながら滴下した。発熱反応に基づく温度上昇を、30°Cの水浴で冷却して停止した。次いでこの混合物を室温下で、置換が完了するまで8時間撹拌した。
例2:シラン末端ポリウレタン・プリポリマー
ポリオールPPG12000 1000g、ジイソシアン酸イソホロン78.7g、およびジラウリン酸ジブチルスズ0.13gを絶えず撹拌しながら90°Cに加熱し、遊離したイソシアン酸基の含量が0.7%に達するまでこの温度を維持した。次いで例1によるN−(3−トリメトキシリルプロピル)−アスパラギン酸ジエチルエステル63.2gを混入し、この混合物を約4時間90°Cで撹拌し、赤外分光計により遊離したイソシアネートが検出されなくなった。次いで残留湿気を捕捉するために、シランA−171 0.4gを混入し、プリポリマーを室温に冷却し、湿気を遮断して保存した。
例3〜7:本発明による接着剤
上記の例に記載した成分を表1の順番に従って、適当な真空混合器、例えばモルテニ社のプラニマックスで均一に混合した。第1段階でプリポリマー、可塑剤および充填材を均質化し、次いで追加のシランと触媒溶液を混入した。完成した接着剤を気密カートリッジに充填した。
例8〜11:本発明の範囲外の接着剤
製造の手順は例3〜7と同様である。
Figure 0004546030
Figure 0004546030
Figure 0004546030
例3〜7に示す本発明による接着剤は、要求された性質を満たす。すなわちこれらの接着剤の引張強さは4.5Mpa以上、破断伸びは250%以上、比絶縁抵抗は10オーム cm以上、そして絞り出し力は2000N以下である。
例8〜11に示す、本発明の範囲外の接着剤は、要求された性質をすべて満たさない。カーボンブラックを含んでいないか、わずかしか含んでいない例8および9は、引張強さが不足している。被覆した微粒炭酸カルシウムを全く含んでいないか、わずかしか含んでいない例10および11は、絞り出し力が非常に大きく、破断伸びが不足し、比絶縁抵抗が低すぎる。
本出願では本発明の好適な実施例を説明したが、本発明はこれらの例に制限されるものではなく、特許請求項に記載された範囲内で別様にも実施できることを明言する。

Claims (10)

  1. 少なくとも1つのシラン架橋性ポリマーと、被覆した微粒炭酸カルシウムと、カーボンブラックとを包含した接着剤の組成において、
    a)少なくとも1つのシラン架橋性ポリウレタン・ポリマーが次式(I)に従って構成されており、
    Figure 0004546030
    ここに、Rは2ないし8個の炭素原子を有する直鎖状または分岐状のアルキル基を表し、
    は1ないし8個の炭素原子を有するアルキル残基を表し、
    は1ないし5個の炭素原子を有するアルキル残基を表し、
    aは0または1を表し、
    Zは硫黄またはNRを表し、しかもRは水素原子、または有機残基との化合物をし、
    nは2ないし4の数を意味し、
    Aは官能nを有するポリウレタン・プリポリマーの残基を表し、
    b)被覆した微粒炭酸カルシウムが、脂肪酸で被覆した、粒径0.05ないし1ミクロンおよび密度2.6〜2.7g/mlの炭酸カルシウムであり、
    c)カーボンブラックが、密度1.8 g/mlのカーボンブラックであり、
    ポリマーa)100gについて20ないし50mlの充填材b)およびc)が存在し、b)とc)の容積比が70/30と30/70の間にあることを特徴とする接着剤の組成。
  2. Aが、市販ポリオールを過剰の市販ポリイソシアネートで置換することによって得られるポリウレタン残基を表し、Aの平均分子量が通常は500ないし100000g/molの範囲内にあり、しかもAが少なくともn個のウレタン基を包含していることを特徴とする、請求項1記載の接着剤組成。
  3. Aが次式(III)の残基を意味し、
    Figure 0004546030
    ここに、Qは、芳香族、脂肪族または環状脂肪族残基を表し、
    Pは、ポリオキシアルキレンポリオールまたはポリアルキルジエンポリオール残基を表し、
    Xが次式(IV)の残基を意味し、
    Figure 0004546030
    ここに、mは互いに独立に0ないし5を意味し、
    Qは上記の意味を有しており、しかも0個または1個のがP(X)uであるという条件で、PはPまたはP(X)uに等しく、ここにu=1または2であることを特徴とする、請求項1または2記載の接着剤組成。
  4. 残基Aが官能n=2を有していて、次式(V)によって表され、
    Figure 0004546030
    ここに、Qは、少なくとも2つのイソシアン酸基の分裂後は芳香族、脂肪族または環状脂肪族ポリイソシアネート残基を表し、
    Pは、少なくとも2つのOH基の分裂後はポリアルキルジエンポリオールまたはポリオキシアルキレンポリオール残基を表し、
    m=0〜5であることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載の接着剤。
  5. Qが、2つのイソシアン酸基の分裂後は、次の群に属するいずれか1つのイソシアネート、すなわちジイソシアン酸2,4−トルエン、ジイソシアン酸2,6−トルエン、ジイソシアン酸4,4’−ジフェニルメタン、ジイソシアン酸2,4’−ジフェニルメタン、ジイソシアン酸イソホロン、ジイソシアン酸2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサメチレン、ジイソシアン酸2,4,4−トリメチル−1,6−ヘキサメチレン、ジイソシアン酸m−テトラメチルキシレン、ジイソシアン酸p−テトラメチルキシレン、ジイソシアン酸4,4’−ジシクロヘキシルメタンもしくはジイソシアン酸2,4’−ジシクロヘキシルメタンの異性体、前記イソシアネートのポリマーもしくはオリゴポリマー、または前記2つ以上のイソシアネートの混合物から残留する残基であることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載の接着剤。
  6. Pが、少なくとも2つのOH基の分裂後は、次の群に属するいずれか1つのポリオール、すなわち酸化エチレン、酸化プロピレンもしくは酸化ブチレンまたはこれらの混合物からなる重合生成物であるポリエーテルポリオール、あるいはヒドロキシ末端ポリブタジエンポリマー残基であることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項記載の接着剤。
  7. 更に次の1つ以上の成分、すなわち可塑剤、溶剤、その他の無機充填材または有機充填材、繊維、顔料、増粘剤、熱もしくは紫外線に対する安定剤、付着助剤、乾燥剤または触媒を含むことを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項記載の接着剤。
  8. 請求項1から7までのいずれか1項記載の接着剤を製造する方法において、第1段階でポリオールを過剰のポリイソシアネートで置換して、イソシアン酸末端基を有するプリポリマーを発生させ、次いでこれらのイソシアン酸末端基を、イソシアン酸反応基を含む少なくとも1つの有機官能性シランで置換し、こうして得られたプリポリマーをあらかじめ乾燥させたカーボンブラックおよびあらかじめ乾燥させた被覆した微粒炭酸カルシウムと湿気を遮断して混合することによって、少なくとも1つのシラン末端ポリウレタン・プリポリマーを生成することを特徴とする方法。
  9. 有機官能性シランが次式(VI)の化合物であり、
    Figure 0004546030
    ここに、R、R、Rおよびaは前記の意味を有しており、Yは−SHまたは−NHまたは−NHRを表し、Rも同様に前記の意味を有するアミノシランを表す、請求項8記載の方法。
  10. ポリオールとイソシアネートを温度50ないし100°Cで置換し、その際にイソシアネートの成分を過剰にし、次いでイソシアン酸末端基を有するこのポリウレタン・プリポリマーを有機官能性シアンと化学量論的に、またはやや過剰に置換することを特徴とする、請求項8または9記載の方法。
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