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JP4542282B2 - 耐熱性無機繊維成形体の製造方法 - Google Patents

耐熱性無機繊維成形体の製造方法 Download PDF

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JP4542282B2 JP2001129161A JP2001129161A JP4542282B2 JP 4542282 B2 JP4542282 B2 JP 4542282B2 JP 2001129161 A JP2001129161 A JP 2001129161A JP 2001129161 A JP2001129161 A JP 2001129161A JP 4542282 B2 JP4542282 B2 JP 4542282B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、水素,一酸化炭素等の還元雰囲気の炉の断熱材、カリウム,ナトリウム等のアルカリ成分を含む焼成物を焼成するための炉の断熱材、マイクロ波焼成炉の断熱材等として好適な、耐熱性無機繊維成形体に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、耐熱性無機繊維成形体は、軽量で熱容量と熱伝導率が小さいことから省エネルギーを目的とした加熱炉の断熱材として広く使用されている。耐熱性無機繊維成形体としては、非晶質アルミノシリケート質繊維にシリカ系の焼結性バインダーを加えて成形したもの、多結晶質アルミノシリケート質繊維にシリカ系の焼結性バインダーを加え成形したもの、非晶質アルミノシリケート質繊維と多結晶質アルミノシリケート繊維を混合しシリカ系の焼結性バインダーを加え成形したものなどが知られている。更には、常温での強度を確保するため、それらの成形体に有機系バインダーを含有させたものもある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、耐熱性無機繊維成形体の主原料であるセラミック繊維や、バインダー中に含まれるシリカ成分は、高温では水素,一酸化炭素等の還元性ガスによって還元され、酸素を放出しSiOとなって蒸発するといった問題がある。この還元反応は、1250℃以上の温度で特に激しくなり、急激な体積変化を伴って成形体の組織崩壊が起こるので、これら成形体は還元性のガスを含む高温の炉では使用できなかった。
【0004】
また、耐熱性無機繊維成形体中に含まれるシリカ成分は、高温でカリウム,ナトリウム等のアルカリ成分と反応し、カリオフィライト(KAlSiO4)、ネフェリン(NaAlSiO4)等を生成し組織崩壊を起こすため、焼成物にアルカリ成分を含む高温の炉でも使用不可能であった。
【0005】
更には、マイクロ波焼成炉の断熱材に耐熱性無機繊維成形体を用いようとした場合、シリカ成分はマイクロ波の吸収率が高いため、断熱材の方に誘電エネルギーが吸収され、誘電エネルギーの損失となるため被加熱物の温度が上がらなくなる。無理に加熱して誘電エネルギーの出力を高めた場合には、断熱材の温度が上がり過ぎて溶融し、溶融したシリカ成分は蒸気圧が低いため蒸発し、被加熱物の表面に付着し汚染するといった問題があった。
【0006】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、水素,一酸化炭素等の還元雰囲気の炉、カリウム,ナトリウム等のアルカリ成分を多く含む材料を焼成するための炉、マイクロ波焼成炉等の断熱材として安定に使用できる耐熱性無機繊維成形体を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、アルミナ成分99〜100%のアルミナ繊維に、焼成によりアルミナ成分が残存する無機系バインダーと、有機系バインダーとを含有させてなることを特徴とする耐熱性無機繊維成形体である。好ましくは、上記アルミナ繊維の構成鉱物が、α−アルミナ及び/又は中間アルミナからなることである。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、更に詳しく本発明について説明する。
【0009】
本発明で用いられるアルミナ成分99〜100%のアルミナ繊維は、例えばアルミニウム塩水溶液及び/又はアルミナゾル分散体と有機高分子とを混合し、減圧濃縮、希釈等によって粘度が調整された紡糸原液を、押し出し法、遠心法、吹き出し法などの紡糸法で紡糸し、前駆体繊維としたものを焼成することによって得ることができる。紡糸法の一例は、粘度300〜5000mPa・sの紡糸原液を0.1〜1.0mmのノズルより液糸として押し出し、150〜600℃の乾燥気流によって乾燥固化させたものを吸引集積させる方法である。
【0010】
アルミニウム塩水溶液及び/又はアルミナゾル分散体としては、アルミニウム純度98.5%以上、好ましくは99.5%以上の金属アルミニウム地金を酸溶解して得た塩化物,硝酸塩,硫酸塩,酢酸塩、ベーマイト質のアルミナゾル,非結晶質のアルミナゾル等を用いることができる。
【0011】
有機高分子としては、ポリビニルアルコール,ポリエチレンオキサイド,ポリエチレングリコール等の水溶性高分子を用いることができる。
【0012】
本発明で用いられるアルミナ繊維の結晶は、α−アルミナ及び/又は中間アルミナであることが好ましい。このようなアルミナ繊維は、前駆体繊維を焼成する際の最高温度を980〜1500℃とすることによって製造することができる。
特に、この最高温度を1100〜1350℃とするとアルミナ繊維がある程度の強度を保持しているため、成形体とするときの作業がし易く、かつアルミナ繊維成形体の加熱収縮率を低く保持できるため好ましい。
【0013】
本発明で用いられる焼成によりアルミナ成分が残る無機系バインダーとは、温度400〜1000℃の焼成によってアルミナ成分のみが残存するものが好ましく、その具体例としては、ベーマイト質アルミナゾル、非結晶質アルミナゾル等のゾル分散液、リン酸アルミニウム、塩基性塩化アルミニウム等のアルミニウム塩水溶液などである。この無機系バインダーの使用量は、成形体の加熱収縮率を低く保持するため、質量基準で、アルミナ繊維100部に対して、有効成分であるアルミナ残存成分で2〜15部が好ましい。
【0014】
本発明で用いられる有機系バインダーとしては、エポキシ系、フェノール系、アクリル酸エステル系、ポリウレタン系、イソシアネート系、ポリイミド系、酢酸ビニル系等の接着剤、各種ゴム系接着剤、ポリビニルアルコール、でんぷんなどである。この有機系バインダーの使用量は、質量基準で、アルミナ繊維100部に対し、有効成分として3〜10部程度である。
【0015】
本発明の耐熱性無機繊維成形体を製造するには、上記アルミナ繊維と有機系バインダーとによりあらかじめ成形体を成形しておき、それに上記無機系バインダーを含浸、スプレー等により添加する方法、上記有機系バインダーと上記無機系バインダーを含む水分散体に上記アルミナ繊維を分散しておき、抄造法により成形・乾燥する方法などを採用することができる。
【0016】
本発明の耐熱性無機繊維成形体の使用に際しては、そのまま還元雰囲気炉,アルカリ成分を焼成するための炉,マイクロ波焼成炉等の断熱材として組み立て、施工することもできるし、あらかじめ1000〜1500℃程度で焼成してから適用することもできる。
【0017】
【実施例】
以下、実施例、比較例をあげてさらに具体的に本発明を説明する。
【0018】
実施例1
10%塩酸2000gにアルミニウム純度99.5%の金属アルミニウム粉298gを加え溶解した。この水溶液に水を加えて濃度調整を行い、アルミナ換算の濃度で20%のオキシ塩化アルミニウム水溶液2800gを得た。このオキシ塩化アルミニウム水溶液2800gと10%ポリビニルアルコール水溶液600gを混合した後、減圧脱水濃縮を行い、粘度1500mPa・sの紡糸原液1800gを調製した。
【0019】
この紡糸原液を、円周面に直径0.5mmの孔が300個設けられた直径250mmの中空円盤内に入れ、この円盤を回転させることによる遠心力によって紡糸原液を孔から押し出して繊維状とし、それを500℃の熱風により乾燥固化してアルミナ繊維前駆体を得た。次いで、昇温速度15℃/分、最高温度1250℃で焼成し、α−アルミナ60%、中間アルミナ40%からなる平均繊維径3.5μmのアルミナ繊維(アルミナ純度99.8%)を製造した。
【0020】
次に、このアルミナ繊維400gを水40000gに分散させ、更にアルミナ濃度20%のアルミナゾル180g、カチオン化でんぷん30gを加えて繊維濃度1%のスラリーとした。このスラリーを抄造成形し、120℃で乾燥して嵩密度0.3g/cm3、250mm×250mm、厚み25mmの耐熱性無機繊維成形体を製造した。これによって、最終的に得られた耐熱性無機繊維成形体の組成は、アルミナ繊維100部に対して無機系バインダー純分(アルミナ分)9部、有機系バインダー7.5部で配合されたものであった。
【0021】
比較例1
実施例1で得られたアルミナ換算濃度20%のオキシ塩化アルミニウム水溶液2800gとシリカ濃度20%のシリカゾル700gと10%ポリビニルアルコール水溶液750gとを混合した後、減圧脱水濃縮を行い、粘度1500mPa・sの紡糸原液2200gを用いたこと以外は、実施例1と同様にしてアルミナ繊維(α−アルミナ15%、ムライト5%、中間アルミナ型の結晶80%からなる平均繊維径3.5μm、アルミナ純度80%)を製造し、以下同様にして無機繊維成形体を製造した。
【0022】
比較例2
実施例1で得られた20%のオキシ塩化アルミニウム水溶液2800gとシリカ濃度20%のシリカゾル86gと10%ポリビニルアルコール水溶液618gとを混合した後、減圧脱水濃縮を行い、粘度1500mPa・sの紡糸原液1860gを得た後、それを1050℃で焼成したこと以外は、実施例1と同様にしてアルミナ繊維(中間アルミナ型の結晶100%からなる平均繊維径3.5μm、アルミナ純度97%)を製造し、以下同様にして無機繊維成形体を製造した。
【0023】
比較例3
アルミナ濃度20%のアルミナゾル180gの代わりに、シリカ濃度20%のシリカゾル180gとしたこと以外は、実施例1と同様にして無機繊維成形体を製造した。これによって、最終的に得られた耐熱性無機繊維成形体の組成は、アルミナ繊維100部に対して無機系バインダー純分(シリカ分)9部、有機系バインダー7.5部で配合されたものであった。
【0024】
以上の実施例1及び比較例1〜3で製造された無機繊維成形体の評価として、以下の3種の方法で耐久性試験を行った。それらの結果を表1に示す。
【0025】
(1)還元性ガスに対する耐久性試験
50mm×50mm×25mmの無機繊維成形体をタンマン電気炉中にて水素ガスを5l/minで通しながら40℃/minで1400℃まで昇温、1400℃で24時間保持した後、自然冷却して試料を取り出して外観と成分の分析を行った。
【0026】
(2)アルカリ成分に対する耐久性試験
100mm×100mm×25mmの無機繊維成形体の上面にNa2O粉をのせ、箱型抵抗加熱炉中にて10℃/minで1400℃まで昇温、1400℃で24時間保持した後、10℃/minで降温し、室温として試料を取り出して外観と成分の分析を行った。
【0027】
(3)マイクロ波加熱に対する耐久性試験
250mm×250mm×25mmの無機繊維成形体6枚を用い直方体箱型に組み合わせてマイクロ波焼成用断熱材箱とした。この箱の中に焼成用試料を入れて、28GHzマイクロ波発生装置を備えた加熱炉にて昇温し、1400℃とし、1時間保持した後、自然冷却し、断熱材の外観と成分の分析を行った。
【0028】
【表1】
Figure 0004542282
【0029】
【発明の効果】
本発明の耐熱性無機繊維成形体によれば、水素,一酸化炭素等の還元雰囲気の炉での還元性ガスに対する耐性が高く、カリウム,ナトリウム等のアルカリ成分を焼成物に含む炉でのアルカリ成分との反応性が低く、マイクロ波焼成炉におけるマイクロ波の吸収率が低いため、これら用途の断熱材として好適である。

Claims (1)

  1. 金属アルミニウムを酸溶解した水溶液と、ポリビニルアルコール水溶液とを混合してなる紡糸原液を紡糸して前駆体繊維を得、前記前駆体繊維を980〜1500℃で焼成して、α−アルミナ及び/又は中間アルミナからなるアルミナ成分99〜100%のアルミナ繊維を製造し、質量基準で100部の前記アルミナ繊維に、アルミナ純分で2〜15部のアルミナゾルと、3〜10部カチオン化でんぷんとを含有させて抄造成形してなることを特徴とする耐熱性無機繊維成形体の製造方法。
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