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JP4438397B2 - アゾ置換キノリン化合物、キレート化合物及びこれを用いた光記録媒体 - Google Patents

アゾ置換キノリン化合物、キレート化合物及びこれを用いた光記録媒体 Download PDF

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Description

本発明は、アゾ置換キノリン化合物、キレート化合物及びこのキレート化合物を用いた光記録媒体に関し、特に、データ用大容量追記光ディスク(大容量追記型コンパクトディスク、DVD−R)に関する。本発明の応用分野としては、例えば大容量光カードが挙げられる。
現在、大容量光ディスクとしてDVD+RやDVD−Rが商品化されている。市場ではDVD系の光ディスクもまた、CD−Rに見られるような高速書き込みが要求されるものと予測される。
光記録媒体に関しては、以下に示すような発明が知られている。
A.(情報記録用)追記型記録媒体(WORM)に係るもの
(a)シアニン色素を記録材料として用いたもの(下記特許文献1〜8)
(b)フタロシアニン色素を記録材料として用いたもの(下記特許文献9〜15)
B.追記型コンパクトディスク(CD−R)に係るもの
(a)シアニン色素+金属反射層を記録材料としたもの(下記特許文献16〜19)
(b)フタロシアニン色素+金属反射層を記録材料としたもの(下記特許文献20〜28)
(c)アゾ金属キレート色素+金属反射層を記録材料としたもの(下記特許文献29〜38)
C.大容量追記型コンパクトディスク(DVD−R)に係るもの
(a)シアニン色素/金属反射層を記録材料として用いたもの(下記非特許文献1および特許文献39)
(b)アゾメチン色素+金属反射層を記録材料としたもの(下記特許文献40〜43)
(c)アゾ金属キレート色素+金属反射層を記録材料としたもの(下記特許文献44〜92)
(d)その他の色素+金属反射層を記録材料としたもの(下記特許文献93〜101)
(e)ホルマザン金属キレート色素+金属反射層を記録材料としたもの(下記特許文献102〜110)
ここで、上記特許文献のうち、代表的なものについて説明する。
特開平8−295811号公報(下記特許文献38)に記載された発明は、最終的に高感度、かつ、優れた記録・再生特性を有し、特に耐光性および保存安定性に優れた光学的記録媒体を提供することを目的としている。そして、その構成は第1に、所定の一般式で示されるアゾ化合物と金属との金属キレート化合物に係るものであり、第2は、基板上にレーザー光による情報の書き込み及び/又は読み取りが可能な記録層が設けられた光学的記録媒体において、該記録層が上記金属キレート化合物を含有することを特徴とする光学的記録媒体に係るものである。
特開平10−86519号公報(下記特許文献60)および特開平10−181206号公報(下記特許文献69)に記載された発明は、いずれも耐光性および保存安定性に優れた光記録媒体を提供しようとするもので、その構成では、それぞれ所定の一般式で示されるアゾ金属キレート化合物の少なくとも一種を記録層に含有させるか、あるいは上記アゾ金属キレート化合物と680〜750nmに最大吸収波長を有する有機色素とを記録層に含有させたことを特徴としている。
特開平11−166125号公報(下記特許文献82)に記載された発明は、金属キレート化合物および、該化合物を使用した光学記録媒体に関するものである。そして、その構成は第1に、所定の一般式で示されるアゾ系化合物と金属塩(これを構成する金属は例えばNi,CoまたはCu)とから得られることを特徴とする金属キレート化合物である。また第2に、透明基板上に光ビームによる情報の書き込みおよび/または読み取りが可能な記録層を設けた光記録媒体において、記録層が上記金属キレート化合物を含有していることを特徴とする光学記録媒体である。
特開昭57−82093号公報 特開昭58−56892号公報 特開昭58−112790号公報 特開昭58−114989号公報 特開昭59−85791号公報 特開昭60−83236号公報 特開昭60−89842号公報 特開昭61−25886号公報 特開昭61−150243号公報 特開昭61−177287号公報
特開昭61−154888号公報 特開昭61−24609号公報 特開昭62−39286号公報 特開昭63−37991号公報 特開昭63−39888号公報 特開平1−159842号公報 特開平2−42652号公報 特開平2−13656号公報 特開平2−168446号公報 特開平1−176585号公報
特開平3−215466号公報 特開平4−113886号公報 特開平4−226390号公報 特開平5−1272号公報 特開平5−171052号公報 特開平5−116456号公報 特開平5−96860号公報 特開平5−139044号公報 特開平4−46186号公報 特開平4−141489号公報
特開平4−361088号公報 特開平5−279580号公報 特開平7−51673号公報 特開平7−161069号公報 特開平7−37272号公報 特開平7−71867号公報 特開平8−231866号公報 特開平8−295811号公報 ISOM/ODS‘96:High density of recording on Dye material Disc approach for 4.7G 特開平10−235999号公報 特開平8−198872号公報
特開平8−209012号公報 特開平8−283263号公報 特開平10−273484号公報 特公平5−67438号公報 特開平7−161069号公報 特開平8−156408号公報 特開平8−231866号公報 特開平8−332772号公報 特開平9−58123号公報 特開平9−175031号公報
特開平9−193545号公報 特開平9−274732号公報 特開平9−277703号公報 特開平10−6644号公報 特開平10−6650号公報 特開平10−6651号公報 特開平10−36693号公報 特開平10−44606号公報 特開平10−58828号公報 特開平10−86519号公報
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特開平10−188341号公報 特開平10−188358号公報 特開平10−208303号公報 特開平10−214423号公報 特開平10−228671号公報 特開平10−36693号公報 特開平11−12483号公報 特開平11−28865号公報 特開平11−42858号公報 特開平11−102537号公報
特開平11−116834号公報 特開平11−166125号公報 特開平11−120616号公報 特開平11−130970号公報 特開平11−138999号公報 特開平11−134708号公報 特開平11−138999号公報 特開平11−151861号公報 特開平11−151862号公報 特開平11−208111号公報
特開平11−213442号公報 特開2000−36129号公報 特開平10−86517号公報 特開平10−93788号公報 特開平10−226172号公報 特開平10−244752号公報 特開平10−287819号公報 特開平10−297103号公報 特開平10−309871号公報 特開平10−309872号公報
特開平11−129624号公報 特許第2791944号公報 特開平8−295079号公報 特開平9−193546号公報 特開平10−152623号公報 特開平10−154350号公報 特開平10−337958号公報 特開2001−23235号公報 特開2002−11950号公報 特開2002−11953号公報
しかしながら、高速書き込みに対応した記録材料は未だ開発されていないのが実情である。本発明は従来技術の上記事情に鑑みなされたもので、新規なアゾ置換キノリン化合物、高速書き込みに対応した追記型DVDディスクシステムにおける光記録媒体中の記録材料および、この記録材料を用いた光記録媒体をそれぞれ提供することを目的としている。
発明の目的を請求項毎に示すと以下のとおりである。
請求項1〜:新規なアゾ置換キノリン化合物を提供すること。
請求項:上記新規なアゾ置換キノリン化合物と2価の金属塩とからなるキレート化合物(アゾ金属キレート化合物。以下同じ)を提供すること。
請求項6〜8:上記キレート化合物を用いて記録層を形成した光記録媒体を提供することである。特に、請求項の目的は高い屈折率が得られる光記録媒体を提供することである。なお、後記に参考例として示す参考例12〜14の発明の目的は低ジッタで高密度記録を行うことができる光記録媒体を、それぞれ提供することであり、さらに参考例15の発明の目的は、上記キレート化合物を用いて記録層を形成した追記型DVDメディア用基板のトラックピッチおよび案内溝の寸法を提示することである。
本発明者らは種々検討した結果、特定の構造を有する有機色素を主成分とした記録層を設けることにより、高速書き込みに対応した追記型DVDディスクシステムに適用可能な光記録媒体が得られることを見いだし本発明を完成するに至った。
請求項1に係る発明は、下記一般式(1)で表されることを特徴とするアゾ置換キノリン化合物である。
Figure 0004438397
一般式(1)において、R1〜R8はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、水酸基、カルボキシ基、アミノ基、置換もしくは未置換のアルキル基、置換もしくは未置換のアリール基、置換もしくは未置換のアルキルオキシ基、置換もしくは未置換のアリールオキシ基、置換もしくは未置換のアルキルアミノ基、置換もしくは未置換のアリールアミノ基、置換もしくは未置換のアルキルカルボニルアミノ基、置換もしくは未置換のアリールカルボニルアミノ基、カルバモイル基、置換もしくは未置換のアルキルカルバモイル基、置換もしくは未置換のアリールカルバモイル基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基を表す。
なお、R1とR2、R3とR4、R4とR5、R5とR6、R6とR7、R7とR8は、連結して環を形成していても良い。
一般式(1)において特に好ましいのは、R 、R 、R 及びR が水素原子、R がシアノ基、R 及びR がそれぞれ独立に水素原子又はアルキル基、R は水素原子、ハロゲン原子又はアルキルオキシ基を表すものである。
前記ハロゲン原子の具体例としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等が挙げられる。
前記アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デシル基等の一級アルキル基、イソブチル基、イソアミル基、2-メチルブチル基、2-メチルペンチル基、3-メチルペンチル基、4-メチルペンチル基、2-エチルブチル基、2-メチルヘキシル基、3-メチルヘキシル基、4-メチルヘキシル基、5-メチルヘキシル基、2-エチルペンチル基、3-エチルペンチル基、2-メチルヘプチル基、3-メチルヘプチル基、4-メチルヘプチル基、5-メチルヘプチル基、2-エチルヘキシル基、3-エチルヘキシル基、イソプロピル基、sec-ブチル基、1-エチルプロピル基、1-メチルブチル基、1,2-ジメチルプロピル基、1-メチルヘプチル基、1-エチルブチル基、1,3-ジメチルブチル基、1,2-ジメチルブチル基、1-エチル-2-メチルプロピル基、1-メチルヘキシル基、1-エチルヘプチル基、1-プロピルブチル基、1-イソプロピル-2-メチルプロピル基、1-エチル-2-メチルブチル基、1-エチル-2-メチルブチル基、1-プロピル-2-メチルプロピル基、1-メチルヘプチル基、1-エチルヘキシル基、1-プロピルペンチル基、1-イソプロピルペンチル基、1-イソプロピル-2-メチルブチル基、1-イソプロピル-3-メチルブチル基、1-メチルオクチル基、1-エチルヘプチル基、1-プロピルヘキシル基、1-イソブチル-3-メチルブチル基等の二級アルキル基、ネオペンチル基、tert-ブチル基、tert-ヘキシル基、tert-アミル基、tert-オクチル基等の三級アルキル基、シクロヘキシル基、4-メチルシクロヘキシル基、4-エチルシクロヘキシル基、4-tert-ブチルシクロヘキシル基、4-(2-エチルヘキシル)シクロヘキシル基、ボルニル基、イソボルニル基(アダマンタン基)等のシクロアルキル基等が挙げられる。
また、これら一級及び二級アルキル基は、水酸基、ハロゲン原子、ニトロ基、カルボキシ基、シアノ基、置換又は未置換のアリール基、置換又は未置換の複素環残基等で置換されていてもよく、また酸素、硫黄、窒素等の原子を介して前記のアルキル基で置換されていてもよい。
また、酸素を介して置換されているアルキル基としては、メトキシメチル基、メトキシエチル基、エトキシメチル基、エトキシエチル基、ブトキシエチル基、エトキシエトキシエチル基、フェノキシエチル基、メトキシプロピル基、エトキシプロピル基、ピペリジノ基、モルホリノ基等が;
硫黄を介して置換されているアルキル基としては、メチルチオエチル基、エチルチオエチル基、エチルチオプロピル基、フェニルチオエチル基等が;
窒素を介して置換されているアルキル基としては、ジメチルアミノエチル基、ジエチルアミノエチル基、ジエチルアミノプロピル基等が、それぞれ挙げられる。
また、前記複素環残基の具体例としては、インドリル基、フリル基、チエニル基、ピリジル基、ピペリジル基、キノリル基、イソキノリル基、ピペリジノ基、モルホリノ基、ピロリル基等が挙げられる。
前記アリール基の具体例としては、フェニル基、ペンタレニル基、インデニル基、ナフチル基、アズレニル基、ヘプタレニル基、ビフェニレニル基、フェナレニル基、フェナントレニル基、アントラセニル基、トリフェニレニル基、ピレニル基等が挙げられる。
前記アルキルオキシ基の具体例としては、酸素原子に直接置換又は未置換のアルキル基が結合されているものであればよく、アルキル基の具体例としては前述の具体例を挙げることができる。
前記アリールオキシ基の具体例としては、酸素原子に直接置換又は未置換のアリール基が結合されているものであればよく、アリール基の具体例としては前述の具体例を挙げることができる。
前記アルキルアミノ基の具体例としては、窒素原子に直接置換又は未置換のアルキル基が結合されているものであればよく、アルキル基の具体例としては前述の具体例を挙げることができる。
前記アリールアミノ基の具体例としては、窒素原子に直接置換又は未置換のアリール基が結合されているものであればよく、アリール基の具体例としては前述の具体例を挙げることができる。
前記アルキルカルボニルアミノ基の具体例としては、カルボニルアミノ基の炭素原子に直接置換又は未置換のアルキル基が結合されているものであればよく、アルキル基の具体例としては前述の具体例を挙げることができる。
前記アリールカルボニルアミノ基の具体例は、カルボニルアミノ基の炭素原子に直接置換又は未置換のアリール基が結合されているものであればよく、アリール基の具体例としては前述の具体例を挙げることができる。
前記アルキルカルバモイル基の具体例としては、カルバモイル基の窒素原子に直接それぞれ独立して水素原子、置換又は未置換のアルキル基が結合されているものであればよく、アルキル基の具体例としては前述の具体例を挙げることができる。
前記アリールカルバモイル基の具体例としては、カルバモイル基の窒素原子に直接それぞれ独立して水素原子、置換又は未置換のアリール基が結合されているものであればよく、アリール基の具体例としては前述の具体例を挙げることができる。
アルキルスルホニルアミノ基の具体例としては、硫黄原子に直接置換もしくは未置換のアルキル基が結合されているものであればよく、アルキルキの具体例としては前述の具体例を挙げることができる。
アリールスルホニルアミノ基の具体例としては、硫黄原子に直接置換又は未置換のアリール基が結合されているものであればよく、アリールの具体例としては前述の具体例を挙げることができる。
請求項2に係る発明は、下記一般式(2)で表されることを特徴とするアゾ置換キノリン化合物である。
Figure 0004438397
上記一般式(1)のR6をNR1617で示されるアミノ基で置換した構造の、上記一般式(2)で示される化合物は、目的とするアゾ置換キノリン化合物を安価且つ簡便に合成するうえで重要である。また、R6をNR1617で示されるアミノ基で置換した化合物の金属キレートは、追記型DVDシステムで利用する上で必要な光学特性を大幅に改善する効果がある。特に、DVD記録波長での屈折率nを大きくする効果が認められた。
一般式(2)において、R9〜R15はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、水酸基、カルボキシ基、アミノ基、置換もしくは未置換のアルキル基、置換もしくは未置換のアリール基、置換もしくは未置換のアルキルオキシ基、置換もしくは未置換のアリールオキシ基、置換もしくは未置換のアルキルアミノ基、置換もしくは未置換のアリールアミノ基、置換もしくは未置換のアルキルカルボニルアミノ基、置換もしくは未置換のアリールカルボニルアミノ基、カルバモイル基、置換もしくは未置換のアルキルカルバモイル基、置換もしくは未置換のアリールカルバモイル基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基を表し、R16とR17はそれぞれ独立に、水素原子、置換もしくは未置換のアルキル基、置換もしくは未置換のアリール基を表す。
なお、R9とR10、R11とR12、R12とR13、R13とR16、R16とR17、R14とR17、R14とR15は、連結して環を形成していても良い。
一般式(2)において特に好ましいのは、R 、R 11 、R 12 、R 13 、R 14 及びR 15 が水素原子、R 10 がシアノ基、R 16 及びR 17 がそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、ベンジル基、トリフルオロメチル置換ベンジル基を表すものである。
また、置換基の具体例は、前述のもの(請求項1の発明に係るもの)と同じである。
また、本発明においては、上記一般式(2)で表されるアゾ置換キノリン化合物と重複しない範囲で、下記一般式(3)で表されるアゾ置換キノリン化合物が挙げられる。
Figure 0004438397
一般式(3)において、R16とR17はそれぞれ独立に、水素原子、置換もしくは未置換のアルキル基、置換もしくは未置換のアリール基を表す。R18は、キノリン環の任意の場所に置換された水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、水酸基、カルボキシ基、アミノ基、置換もしくは未置換のアルキル基、置換もしくは未置換のアリール基、置換もしくは未置換のアルキルオキシ基、置換もしくは未置換のアリールオキシ基を表す。
なお、置換基の具体例は、前述のもの(請求項1の発明に係るもの)と同じである。
請求項に係る発明は、上記一般式(1)で表されるアゾ置換キノリン化合物と、2価の金属塩とからなることを特徴とするキレート化合物である。
請求項に係る発明は、上記一般式(2)で表されるアゾ置換キノリン化合物と、2価の金属塩とからなることを特徴とするキレート化合物である。
また、本発明においては、上記一般式(2)で表されるアゾ置換キノリン化合物と重複しない範囲で、上記一般式(3)で表されるアゾ置換キノリン化合物と、2価の金属塩とからなるキレート化合物が挙げられる
請求項に係る発明は、前記2価の金属塩を形成する金属原子が、ニッケルまたは銅であることを特徴とする請求項のいずれかに記載のキレート化合物である。
請求項に係る発明は、基板上に記録層を設けてなる光記録媒体において、前記記録層が請求項に記載のキレート化合物を少なくとも一種類含有することを特徴とする光記録媒体である。
請求項に係る発明は、基板上に記録層を設けてなる光記録媒体において、前記記録層が請求項に記載のキレート化合物を少なくとも一種類含有することを特徴とする光記録媒体である。
請求項に係る発明は、基板上に記録層を設けてなる光記録媒体において、前記記録層が請求項に記載のキレート化合物を少なくとも一種類含有することを特徴とする光記録媒体である。
参考例12の発明は、請求項6〜8のいずれかに記載の光記録媒体において、記録再生波長±10nmの波長領域の光に対する記録層単層の屈折率nが1.5≦n≦3.0であり、消衰係数kが0.02≦k≦0.2であることを特徴とするものである。
参考例13の発明は、請求項6〜8、参考例12のいずれかに記載の光記録媒体において、前記キレート化合物は、熱重量分析における主減量過程での温度に対する減量の傾きが2%/℃以上であることを特徴とするものである。
参考例14の発明は、請求項6〜8、参考例12、13のいずれかに記載の光記録媒体において、前記キレート化合物は、熱重量分析における主減量過程での総減量が30%以上であり、かつ、減量開始温度が350℃以下であることを特徴とするものである。
参考例15の発明は、請求項6〜8、参考例12〜14のいずれかに記載の光記録媒体において、基板上のトラックピッチが0.7〜0.8μmであり、溝幅が半値幅で0.18〜0.36μmであることを特徴とするものである。
請求項1〜に係るアゾ置換キノリン化合物は、2価の金属塩等と作用させることで容易にキレート化合物を生成する。これらのキレート化合物は、追記型DVD用の記録材料として使用でき、且つ、高線速記録に対応できる物理特性を有していることが明らかとなった。
本発明によれば以下の効果が得られる。
請求項1〜の発明により、新規なアゾ置換キノリン化合物を提供することができた。特に、請求項2の発明により、安価かつ簡便に合成でき、光学特性に優れたアゾ置換キノリン化合物を提供することができた。また、請求項2の発明により、熱分解挙動の優れたアゾ置換キノリン化合物を提供することができた。
請求項の発明により、追記型DVDシステムの記録材料として使用できるアゾ置換キノリンキレート化合物を提供することができた。これらのアゾ金属キレート化合物は、追記型DVD用の記録材料として使用でき、かつ高線速記録に対応できる物理特性を有していることが明らかとなった。
請求項の発明により、690nm以下の波長域のレーザー光で記録、再生が可能で、耐光性・保存安定性に優れた光記録媒体を提供することができた。特に、請求項の発明により、高反射率かつ高変調度で安定な記録、再生が可能な光記録媒体を提供することができた。
参考例12〜14の発明により、低ジッタで高密度が記録可能な光記録媒体を提供することができた。
参考例15の発明により、安定した記録及び再生が可能な光記録媒体を提供することができた。
以下、本発明の実施の形態について説明する。
[光記録媒体の層構成に関して]
本発明によれば、例えば図1〜図3に示す構造の光記録媒体が提供される。すなわち、図1(a)〜(d)は、通常の追記型光記録媒体の積層構造を示す模式的断面図である。この場合、光記録媒体を2枚貼り合わせた、いわゆるエアーサンドイッチ、又は密着貼り合わせ構造としてもよい。図2(a)〜(c)は、CD−R用の光記録媒体の積層構造を示す模式的断面図である。図3(a)〜(c)は、DVD−R用の光記録媒体の積層構造を示す模式的断面図である。
図1〜図3に記載された符号について説明すると、1は基板、2は記録層、3は下引き層、4は保護層、5はハードコート層、6は金属反射層、7は保護基板、8は接着層である。本発明に係る光記録媒体の好ましい構成としては、第1基板と第2基板とを、記録層を介して接着剤で貼り合わせた構造を基本とする。記録層は有機色素単層でも良く、反射率を高めるために有機色素層と金属反射層との積層としても良い。最も典型的なものとしては、第1基板/有機色素層/金属反射層/保護層/接着層/第2基板からなる構造が挙げられ、これは図3(b)で示すことができる。
本発明に係る上記キレート化合物を生成するには、アルコール、DMF、グリセリン等の溶剤中に、請求項1〜3に示したアゾ置換キノリン化合物と、2価の金属塩等を加える。なお、場合により水酸化ナトリウム溶液、アンモニア水等のアルカリ成分を加えたり、室温〜溶剤の沸点の温度に加温したりする。
上記2価の金属原子の具体例としては、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛等が挙げられる。特にニッケルまたは銅のキレート化合物は、光記録材料として耐光性、屈折率等の光学特性が優れている。
次に、本発明の光記録媒体の構成については、記録層を構成するのに必要な項目として、光学特性と熱的特性が挙げられる。光学特性に必要な条件は、記録再生波長である630nm〜690nmに対して短波長側に大きな吸収帯を有し、かつ記録再生波長が上記吸収帯の長波長端近傍にあることである。これは、記録再生波長である630nm〜690nmで大きな屈折率と消衰係数を有することを意味するものである。
具体的には、記録再生波長近傍の長波長近傍の波長域光に対する記録層単層の屈折率nが1.5以上3.0以下であり、消衰係数kが0.02以上0.2以下の範囲にあることが好ましい。nが1.5未満の場合には、十分な光学的変化が得られにくくなり、記録変調度が低くなるため好ましくなく、nが3.0を超える場合には、波長依存性が高くなり過ぎ、記録再生波長領域であってもエラーとなってしまうため好ましくない。また、kが0.02未満の場合には、記録感度が悪くなるため好ましくなく、kが0.2を超える場合には、50%以上の反射率を得ることが困難となるので好ましくない。
熱的に必要な条件は、熱重量分析における主減量過程での重量減量が、温度に対して急峻なことである。主減量過程により有機材料膜は分解し、膜厚の減少と光学定数の変化を起こし、光学的な意味での記録部が形成されるからである。したがって、主減量過程の重量減量が温度に対して穏やかな場合、これは広い温度範囲にわたって形成されてしまうため、高密度の記録部を形成させる場合は極めて不利となる。同様な理由で重量減量の過程が複数存在する材料を用いた場合も、高密度対応には不利である。
本明細書では、いくつかの重量減量過程のうちで、減量率が最大のものを主減量過程と呼ぶ。重量減量の傾きは下記のようにして求める。
図4に示すように、重量m0の有機材料を窒素雰囲気下中で、10℃/minで昇温させる。この昇温に従って有機材料の重量は微量ずつ減少し、重量減量線(ほぼ直線a−b)を示す。ある温度に達すると有機材料は急激な重量減少を起こし、ほぼ直線c−dに沿って重量減量を起こす。これが主減量過程である。さらに温度を上げ続けると重量の急激な減量は終了し、ほぼ直線e−fに沿った重量減少を起こす。
今、直線a−bと直線c−dとの交点における温度をT1(℃)、初期重量m0に対する残存重量減量率をm1(%)、直線c−dと直線e−fとの交点における温度をT2(℃)、初期重量m0に対する残存重量減量率をm2(%)とする。急激な減量開始温度はT1、急激な減量終了温度はT2となり、急激な重量減少を発現するときの重量減量の傾きは、次式:
(m1−m2)(%)/(T2−T1)(℃)
で示される値であり、初期重量に対する重量減量率は、(m1−m2)(%)で示される。尚、図4において「TG%」とは、被測定有機化合物の重量減量率を表す。昇温前の有機化合物の重量m0を100%と表し、計測器に物質が無い状態を0%とする。
上記定義に基づくと、光記録媒体に用いる記録材料としては、主減量過程における重量減量の傾きが2%/℃以上であることが好ましい。この重量減量の傾きが2%/℃未満である記録材料を用いると、記録部の広がりが大きくなり、また短い記録部を形成することが困難となるため、光記録媒体には不向きである。
また、主減量過程における重量減少率は、30%以上であることが好ましい。30%未満であると、良好な記録変調度および記録感度が得られない可能性がある。更に、熱的特性に必要な条件は、減量開始温度T1が、ある温度範囲にあることが必要である。具体的には減量開始温度が350℃以下であり、200〜350℃の範囲にあることが望ましい。減量開始温度が350℃を超えると、必要な記録レーザー光のパワーが高くなり実用的でなく、200℃未満であると再生劣化を起こすなど、記録安定性が悪化する。
基板形状に必要な条件は、基板上のトラックピッチが0.7〜0.8μmであり、溝幅が半値幅で、0.18〜0.36μmの範囲にあることである。基板は通常、深さ1000〜2500Åの案内溝を有している。トラックピッチは通常、0.7〜1.0μmであるが、高容量化の用途には0.7〜0.8μmが好ましい。溝幅は半値幅で0.18〜0.36μmが好ましい。0.18μm未満では十分なトラッキングエラー信号強度を得ることが困難となる恐れがある。また、0.36μmを超える場合には、記録したときに記録部が横に広がりやすくなるので好ましくない。
[各層の必要特性及び構成材料例]
<基板>
基板の必要特性としては基板側より記録再生を行う場合のみ、使用レーザー光に対して透明でなければならず、記録層側から記録、再生を行う場合基板は透明である必要はない。
基板材料としては例えば、ポリエステル、アクリル樹脂、ポリアミド、ポリカーボネート樹脂、ポリオレフィン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド等のプラスチック、ガラス、セラミックあるいは金属等を用いることができる。なお、基板を1層しか用いない場合、あるいは基板2枚をサンドイッチ状で用いる場合は、第1基板の表面にトラッキング用の案内溝や案内ピット、さらにアドレス信号等のプレフォーマットが形成されている必要がある。
<中間層>
下引き層等を含め基板、記録層、反射層、保護層以外に設けられた層をここでは中間層と呼ぶことにする。この中間層は(a)接着性の向上、(b)水、又はガス等のバリアー、(c)記録層の保存安定性の向上、(d)反射率の向上、(e)溶剤からの基板や記録層の保護、(f)案内溝・案内ピット・プレフォーマット等の形成等を目的として形成される。
上記(a)の目的に対しては高分子材料、例えばアイオノマー樹脂、ポリアミド樹脂、ビニル系樹脂、天然樹脂、天然高分子、シリコーン樹脂、液状ゴム等の種々の高分子物質、およびシランカップリング剤等を用いることができる。上記(b)及び(c)の目的に対しては、前記高分子材料以外に無機化合物、例えばSiO2、MgF2、SiO、TiO2、ZnO、TiN、SiN等や、金属又は半金属、例えばZn、Cu、Ni、Cr、Ge、Se、Au、Ag、Al等を用いることができる。また上記(d)の目的に対しては金属、例えばAl、Ag等や、金属光沢を有する有機薄膜、例えばメチン染料、キサンテン系染料等を用いることができる。上記(e)及び(f)の目的に対しては紫外線硬化樹脂、熱硬化樹脂、熱可塑性樹脂等を用いることができる。
下引き層の膜厚は0.01〜30μm、好ましくは0.05〜10μmが適当である。
<記録層>
記録層はレーザー光の照射により何らかの光学的変化を生じさせ、その変化により情報を記録できるものであって、この記録層中には本発明の有機色素(以下、色素と記載することがある)すなわち、所定のアゾ置換キノリン化合物と2価の金属塩とからなるキレート化合物が含有されていることが必要であるが、記録層の形成にあたっては、本発明の色素を1種、又は2種以上の組合せで用いてもよい。さらに、本発明の前記色素は、光学特性・記録感度・信号特性等の向上の目的で他の有機色素、金属もしくは金属化合物と混合または積層化して用いても良い。
上記した他の有機色素の具体例としては、ポリメチン色素、ナフタロシアニン系、フタロシアニン系、スクアリリウム系、クロコニウム系、ピリリウム系、ナフトキノン系、アントレキノン(インダンスレン)系、キサンテン系、トリフェニルメタン系、アズレン系、テトレヒドロコリン系、フェナンスレン系、トリフェノチアジン系染料、及び金属キレート化合物等が挙げられ、これら他の有機色素は、本発明に係る色素(キレート化合物)に対し、一種または複数種を組み合せて用いることもできる。
本発明の色素からなる層に積層することで記録層を形成するための金属または金属化合物としては、例えばIn、Te、Bi、Se、Sb、Ge、Sn、Al、Be、TeO2、SnO、As、Cd等が挙げられる。尚、これらの物質は、合金を形成していても良い。さらに、本発明の色素中に高分子材料例えば、アイオノマー樹脂、ポリアミド系樹脂、ビニル系樹脂、天然高分子、シリコーン樹脂、液状ゴム等の種々の材料もしくはシランカップリング剤等を分散混合して用いても良い。あるいは、特性改良の目的で安定剤(例えば遷移金属錯体)、分散剤、難燃剤、滑剤、帯電防止剤、界面活性剤、可塑剤等を併用して記録層を形成することもできる。
記録層の形成は蒸着、スパッタリング、CVDまたは溶液塗布等の通常の手段によって行うことができる。塗布法を用いる場合には、前記色素等を有機溶媒等に溶解してスプレー、ローラーコーティング、ディッピングおよび、スピンコーティング等の慣用のコーティング法によって行われる。
上記有機溶剤としては一般にメタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド等のアミド類;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類;テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル類;酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類;クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン、四塩化炭素、トリクロロエタン等の脂肪族ハロゲン化炭化水素類;あるいはベンゼン、キシレン、モノクロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の芳香族類;メトキシエタノール、エトキシエタノール等のセロソルブ類;ヘキサン、ペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の炭化水素類等を用いることができる。
記録層の膜厚は100Å〜10μm、好ましくは200Å〜2000Åが適当である。
<金属反射層>
金属反射層を形成する材料としては、単体で高反射率が得られ、かつ腐食されにくい金属、半金属等が挙げられ、具体例としてはAu、Ag、Cr、Ni、Al、Fe、Sn等が挙げられるが、反射率、生産性の点からAu、Ag、Alが最も好ましく、これらの金属、半金属は単独で使用しても良く、2種の合金としても良い。
金属反射層の形成法としては蒸着、スッパタリング等が挙げられ、膜厚としては50〜5000Å、好ましくは100〜3000Åである。
<保護層、基板表面ハードコート層>
保護層および基板表面ハードコート層は、(a)記録層(反射吸収層)を傷、ホコリ、汚れ等から保護する、(b)記録層(反射吸収層)の保存安定性の向上、(c)反射率の向上等を目的として使用される。
これらの目的に対しては、前記中間層について示した材料を用いることができる。また、無機材料としてSiO、SiO2等も用いることができる。さらに、有機材料としてポリメチルアクリレート、ポリカーボネート、エポキシ樹脂、ポリスチレン、ポリエステル樹脂、ビニル樹脂、セルロース、脂肪族炭化水素樹脂、芳香属炭化水素樹脂、天然ゴム、スチレンブタジエン樹脂、クロロプレンゴム、ワックス、アルキッド樹脂、乾性油、ロジン等の熱軟化性、熱溶融性樹脂も用いることができる。
前記材料のうち、保護層または基板表面ハードコート層に最も好ましい例としては、生産性に優れた紫外線硬化樹脂が挙げられる。保護層または基板表面ハードコート層の膜厚は0.01〜30μm、好ましくは0.05〜10μmが適当である。本発明において、前記中間層(下引き層)、保護層および基板表面ハードコート層には、記録層の場合と同様に安定剤、分散剤、難燃剤、滑剤、帯電防止剤、界面活性剤、可塑剤等を含有させることができる。
以下に実施例を示すが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
尚、本発明に係るアゾ置換キノリン化合物としては、例えば、それぞれ下記化学式で表される化合物A−1〜A−8が挙げられるが、ここでは、そのうち化合物A−1〜A−4の合成例を示す。
Figure 0004438397
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Figure 0004438397
実施例1(アゾ置換キノリン化合物の合成例1)
3−アミノ−4−シアノピラゾール1.08gの塩酸酸性水溶液(3倍モル比)を温度0℃に保持し、これに1.1倍モル比の亜硝酸水溶液を滴下してジアゾ化を行った。亜硝酸陽性をヨウ素でんぷん紙で確認後、1時間攪拌を続けた。過剰の亜硝酸はアミド硫酸にて分解し、ヨウ素でんぷん紙で陰性を確認した。この溶液に、冷却した塩化亜鉛飽和溶液を滴下した。析出したジアゾニウム塩の塩化亜鉛物を濾取し、風乾した。次ぎに、乾燥エーテル中で8−クロロキノリン1.07gとマグネシウム片0.16gを反応させてGrignard試薬を調製した。先に得たジアゾニウム塩の塩化亜鉛付加物をエーテル中に投入し、これに上記Grignard試薬を作用させた。反応終了後、希塩酸次いで水を加え、エーテル層を抽出した。エーテル留去後、粗製物をエタノールから再結晶し、上記化学式で表される目的の化合物A−1を0.65g得た。
上記化合物A−1の元素分析の結果は、下記のとおりである。
炭素C:測定値は62.71%、計算値は62.90%
水素H:測定値は3.49%、計算値は3.25%
窒素N:測定値は33.80%、計算値は33.58%
実施例2(アゾ置換キノリン化合物の合成例2)
3−アミノ−4−シアノピラゾール1.08gを、加熱した氷酢酸中に溶解した。溶液を室温まで冷却後、6−メトキシ−8−ニトロソキノリン1.88gを投入し、作用させた。1日攪拌後、析出した粗製物を濾取した。粗製物をエタノールから再結晶させ、上記化学式で表される目的の化合物A−2を1.14g得た。
上記化合物A−2の元素分析の結果は、下記のとおりである。
炭素C:測定値は60.33%、計算値は60.43%
水素H:測定値は3.57%、計算値は3.62%
窒素N:測定値は30.42%、計算値は30.20%
実施例3(アゾ置換キノリン化合物の合成例3)
3−アミノ−4−シアノピラゾール1.08gの塩酸酸性水溶液(3倍モル比)を0℃に保持し、これに1.1倍モル比の亜硝酸水溶液を滴下してジアゾ化を行った。過剰の亜硝酸をアミド硫酸にて分解しジアゾ液を調製した。次ぎに、5−アミノキノリン1.44gをエタノール中に溶解し、これに先のジアゾ液を加え作用させた。析出した粗結晶を濾取してエタノールから再結晶させ、上記化学式で表される目的の化合物A−3を2.06g得た。
上記化合物A−3の元素分析の結果は、下記のとおりである。
炭素C:測定値は59.19%、計算値は59.31%
水素H:測定値は3.32%、計算値は3.45%
窒素N:測定値は37.37%、計算値は37.24%
実施例4(アゾ置換キノリン化合物の合成例4)
酢酸−酢酸ナトリウム水溶液に5−アミノキノリン1.44gおよびベンズアルデヒド1.06gを加えた後、0℃以下を保ちながら1.5倍モル比のシアノ水素化ホウ素ナトリウム水溶液を作用させ、カプラー2.18gを得た。次ぎに、3−アミノ−4−シアノピラゾール1.08gの塩酸酸性水溶液(3倍モル比)を0℃に保持し、これに1.1倍モル比の亜硝酸水溶液を滴下してジアゾ化を行った。過剰の亜硝酸をアミド硫酸にて分解してジアゾ液を調製した。先に合成したカプラーのエタノール溶液中に上記ジアゾ液を加え作用させた。析出した粗結晶を濾取し、エタノールから再結晶させて、上記化学式で表される目的の化合物A−4を3.10g得た。
上記化合物A−4の元素分析の結果は、下記のとおりである。
炭素C:測定値は68.02%、計算値は67.98%
水素H:測定値は4.07%、計算値は4.28%
窒素N:測定値は27.91%、計算値は27.75%
つぎに、本発明に係るアゾ置換キノリン化合物と2価の金属塩とからなるキレート化合物としては、例えば、それぞれ下記化学式で表される化合物C−1〜C−14が挙げられるが、ここでは、そのうち化合物C−1,C−2の合成例を示す。
Figure 0004438397
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実施例5(アゾ置換キノリン化合物と2価の金属塩とからなるキレート化合物の合成例1)
上記化学式で表される化合物A−5の1.88gをエタノールに溶解し、希水酸化ナトリウム水溶液を加え反応系を弱塩基性にした。この溶液に酢酸ニッケル(II)四水和物0.62gのエタノール溶液を加えて60℃に昇温し、1時間攪拌した。反応液を濃縮乾燥後、水洗し、MEKから再結晶させることにより、上記化学式で表される目的化合物C−1を1.67g得た。
上記化合物C−1の元素分析の結果は、下記のとおりである。
炭素C:測定値は62.39%、計算値は62.46%
水素H:測定値は5.94%、計算値は5.99%
窒素N:測定値は24.40%、計算値は24.28%
実施例6(アゾ置換キノリン化合物と2価の金属塩とからなるキレート化合物の合成例2)
上記化学式で表される化合物A−6の2.90gと、酢酸銅(II)一水和物0.50gとをDMF(ジメチルホルムアミド)に懸濁した。これを100℃に昇温し、1時間攪拌した。反応溶液を水に投入し、析出した粗製物をMEK(メチルエチルケトン)から再結晶させ、上記化学式で表される目的化合物C−2を2.64g得た。
上記化合物C−2の元素分析の結果は、下記のとおりである。
炭素C:測定値は57.02%、計算値は57.08%
水素H:測定値は3.13%、計算値は3.14%
窒素N:測定値は16.14%、計算値は16.07%
つぎに、本発明に係る上記アゾ置換キノリン化合物と2価の金属塩とからなるキレート化合物を記録層材料として用いた光記録媒体の作製例について示す。
実施例7(光記録媒体の作製例1)
厚さ0.6mmの射出成形ポリカーボネート基板上に、フォトポリマーにて深さ1750Å、半値幅0.25μm、トラックピッチ0.74μmの案内溝を形成し、上記化合物C−1を1,1,2,2−テトラフルオロプロパノールに溶解させた溶液をスピンナー塗布し、厚さ900Åの記録層を形成した。ついでスパッタ法により金1200Åの反射層を設け、さらにその上にアクリル系フォトポリマーにて7μmの保護層を設けた後、厚さ0.6mmの射出成形ポリカーボネート平面基板をアクリル系フォトポリマーにて接着し、光記録媒体とした。
実施例8〜20(光記録媒体の作製例2〜14)
上記化合物C−1に替えて、上記化合物C−2〜C−14をそれぞれ単独で用いた以外は実施例7と全く同様にして光記録媒体を作製した。
<記録・再生テスト>
上記のようにして作製した各光記録媒体にレーザー発振波長658nm、ビーム径1.0μmの半導体レーザー光を用い、トラッキングしながらEFM信号(線速14m/sec)を記録し、発振波長670nmの半導体レーザーの連続光(再生パワー0.7mW)で再生し、再生波形を観察した。
さらに、上記各光記録媒体について、以下の条件で耐候テストおよび保存テストを行った。
<耐候テストおよび保存テスト>
耐光テスト条件:5万LuX、Xe光、20時間連続照射
保存テスト条件:60℃・90%RHで600時間放置
<評価結果>
上記記録・再生テスト、耐光テストおよび保存テストの結果を下記表1に示す。
Figure 0004438397
通常の追記型光記録媒体の層構成例を示す図であり、(a)は基板と記録層からなる基本構成を、(b)は基板と記録層の間に下引き層を設けた構成を、(c)は更に記録層上に保護層を設けた構成を、(d)は更に基板の裏面にハードコート層を設けた構成を、それぞれ示す。 CD−R用の光記録媒体の層構成例を示す図であり、(a)は基板上に記録層、金属反射層、保護層を順に設けたものを、(b)は更に基板と記録層の間に下引き層を設けた構成を、(c)は更に基板の裏面にハードコート層を設けた構成を、それぞれ示す。 DVD−R用の光記録媒体の層構成例を示す図であり、(a)は基板上に記録層、金属反射層、保護層を順に設けたものを、(b)は更に保護層上に接着層を介して保護基板を設けた構成を、(c)は更に基板と記録層の間に下引き層を設けるとともに、基板の裏面にハードコート層を設けた構成を、それぞれ示す。 有機材料の主減量過程、重量減量率を求める方法の説明図である。
符号の説明
1…基板
2…記録層
3…下引き層
4…保護層
5…ハードコート層
6…金属反射層
7…保護基板
8…接着層

Claims (8)

  1. 下記一般式(1)で表されることを特徴とするアゾ置換キノリン化合物。
    Figure 0004438397

    (一般式(1)において、 、R 、R 及びR は水素原子、R はシアノ基、R 及びR はそれぞれ独立に水素原子又はアルキル基、R は水素原子、ハロゲン原子又はアルキルオキシ基を表す。
  2. 下記一般式(2)で表されることを特徴とするアゾ置換キノリン化合物。
    Figure 0004438397

    (一般式(2)において、 、R 11 、R 12 、R 13 、R 14 及びR 15 は水素原子、R 10 はシアノ基、R 16 及びR 17 はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、ベンジル基、トリフルオロメチル置換ベンジル基を表す。
  3. 下記一般式(1)で表されるアゾ置換キノリン化合物と2価の金属塩とからなることを特徴とするキレート化合物。
    Figure 0004438397

    (一般式(1)において、 、R 、R 及びR は水素原子、R はシアノ基、R 及びR はそれぞれ独立に水素原子又はアルキル基、R は水素原子、ハロゲン原子又はアルキルオキシ基を表す。
  4. 下記一般式(2)で表されるアゾ置換キノリン化合物と2価の金属塩とからなることを特徴とするキレート化合物。
    Figure 0004438397

    (一般式(2)において、 、R 11 、R 12 、R 13 、R 14 及びR 15 は水素原子、R10はシアノ基、R16及びR17はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、ベンジル基、トリフルオロメチル又はアルキルオキシ置換ベンジル基を表す。
  5. 前記2価の金属塩を形成する金属原子が、ニッケルまたは銅であることを特徴とする請求項3又は4に記載のキレート化合物。
  6. 基板上に記録層を設けてなる光記録媒体において、前記記録層が請求項に記載のキレート化合物を少なくとも一種類含有することを特徴とする光記録媒体。
  7. 基板上に記録層を設けてなる光記録媒体において、前記記録層が請求項に記載のキレート化合物を少なくとも一種類含有することを特徴とする光記録媒体。
  8. 基板上に記録層を設けてなる光記録媒体において、前記記録層が請求項に記載のキレート化合物を少なくとも一種類含有することを特徴とする光記録媒体。
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