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JP4435350B2 - 車両用空調装置 - Google Patents

車両用空調装置 Download PDF

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JP4435350B2
JP4435350B2 JP37301699A JP37301699A JP4435350B2 JP 4435350 B2 JP4435350 B2 JP 4435350B2 JP 37301699 A JP37301699 A JP 37301699A JP 37301699 A JP37301699 A JP 37301699A JP 4435350 B2 JP4435350 B2 JP 4435350B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジン停止時にも空調の快適性を継続可能な車両用空調装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、ハイブリッド車等の車両においては、アイドリング時やコーストダウン時等のようなエンジン出力不要時に、燃費向上等を目的としてエンジンの停止制御が行われる。
【0003】
ところで、車両に搭載される空調装置は、コンプレッサの動力源をエンジンの出力軸から得ると共に、ヒータコアの熱源をエンジンの冷却水から得ることが一般的である。しかしながら、このような空調装置は、夏期等の高温下において空調時にエンジンが停止すると吹出風温が急激に上昇することがあり、又、冬季等の低温下において空調時にエンジンが停止すると吹出風温が急激に低下することがある。従って、このような場合、空調装置による快適性を維持するためにはエンジンを早期に再始動する必要があり、エンジン出力不要時におけるエンジン停止状態を長時間維持することが困難であった。
【0004】
これに対処し、例えば特開平10−258629号公報には、エンジン停止時に空調ケース内の空気の流通を強制的に内気循環モードとすることにより、冷却用熱交換器(或いは暖房用熱交換器)で奪われる冷熱(或いは暖熱)を低減しながら空調を行う技術が開示されている。すなわち、このような技術によれば、冷却用熱交換器(或いは暖房用熱交換器)で奪われる冷熱(或いは暖熱)を低減することにより、エンジンを停止可能な時間を延長することができる。そして、空調負荷が所定空調負荷よりも大きくなったとき、エンジンを駆動するようになっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特開平10−258629号公報に記載された技術のように、エンジン停止時に空調ケース内の空気の流通を内気循環モードに変更するだけの制御では、エンジン停止可能な時間を十分に延長することが困難となることがある。すなわち、上記技術では、エンジン停止時にも目標吹出温度を維持するため、熱交換器で奪われる熱量を十分に低減することが困難なことがある。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、空調による快適性を維持したまま長時間エンジンを停止することのできる車両用空調装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明による第1の車両用空調装置は、空気流を発生させる送風手段と、エンジンの冷却水回路中に設けられ上記エンジンを熱源とするヒータコアと、上記ヒータコアをバイパスするバイパス通路と、上記ヒータコアを通過する空気と上記バイパス通路を通過する空気の割合を変更するエアミックスドアと、を空調ダクト内に備え、上記空調ダクトから吹き出される空気の目標吹出温度を設定するともにこの目標吹出温度に基づいて少なくとも上記送風手段および上記エアミックスドアを制御して暖房制御を行う空調制御手段を備えた車両用空調装置において、上記空調制御手段は、エンジンが停止した際に、搭乗者の快適性を維持可能な温度であって上記目標吹出温度よりも低い最低目標吹出温度を設定し、上記空調ダクトから吹き出される空気の吹出温度が上記最低目標吹出温度以下となる毎に、上記エアミックスドアを制御して上記ヒータコアを通過する空気の割合を所定値ずつ増加させ、上記バイパス通路を通過する空気が零となった後、上記吹出温度が上記最低目標吹出温度以下となる毎に、上記送風手段による風量を所定値ずつ低下させることを特徴とする。
【0008】
また、本発明による第2の車両用空調装置は、空気流を発生させる送風手段と、エンジンにより駆動される冷凍サイクルのエバポレータと、エンジンの冷却水回路中に設けられ上記エンジンを熱源とするヒータコアと、上記ヒータコアをバイパスするバイパス通路と、上記ヒータコアを通過する空気と上記バイパス通路を通過する空気の割合を変更するエアミックスドアと、を空調ダクト内に備え、上記空調ダクトから吹き出される空気の目標吹出温度を設定するともにこの目標吹出温度に基づいて少なくとも上記送風手段および上記エアミックスドアを制御して冷房制御を行う空調制御手段を備えた車両用空調装置において、上記空調制御手段は、エンジンが停止した際に、搭乗者の快適性を維持可能な温度であって上記目標吹出温度よりも高い最高目標吹出温度を設定し、上記空調ダクトから吹き出される空気の吹出温度が上記最高目標吹出温度以上となる毎に、上記エアミックスドアを制御して上記ヒータコアを通過する空気の割合を所定値ずつ減少させ、上記ヒータコアを通過する空気が零となった後、上記吹出温度が上記最高目標吹出温度以上となる毎に、上記送風手段による風量を所定値ずつ低下させることを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図面は本発明の実施の一形態に係わり、図1,2は空調制御ルーチンを示すフローチャート、図3は空調装置の概略構成図、図4は空調装置の制御系を示すブロック図、図5はエンジン停止時における吹出風温の経時変化を示す図表、である。
【0010】
図3において符号1はエンジンとモータとを併用するハイブリッド車のパワーユニットを示す。このパワーユニット1は、エンジン2とトランスミッションユニット3とを備え、このトランスミッションユニット3のケース本体4内に、エンジン2に直結されて起動及び発電・動力アシストを担う発電機を兼用するモータ(発電兼用モータ)5と、図示しない前後進切換装置の機能を制御し、発進・後進時の駆動力になるとともに減速エネルギーの回生を担う走行用モータ6と、変速及びトルク増幅を行って走行時の動力変換機能を担う変速機7と、が配設されている。
【0011】
ここで、上記パワーユニット1はハイブリッドコントロールユニット(以下HEV_ECU)8(図4参照)によって制御される。すなわち、このHEV_ECU8は、走行条件に応じてシリーズ走行モードとパラレル走行モードとを切り換える制御を行うとともに、アイドル時やコーストダウン時等に必要に応じてエンジン2を停止する制御を行う。
【0012】
一方、このようなハイブリッド車に搭載される空調装置のエアコンユニット10は、車室内に空調空気を導く空気通路を形成する空調ダクト11と、この空調ダクト11内に空気流を発生させる送風手段としての遠心式送風機12と、空調ダクト11内を流れる空気を冷却して車室内を冷房するための冷凍サイクル13と、空調ダクト11内を流れる空気を加熱して車室内を暖房するための冷却水回路14と、を備えて構成されている。
【0013】
空調ダクト11の最上流側には、車室内空気を取り入れるための内気吸込口15と、車室外空気を取り入れるための外気吸込口16と、が形成され、さらに、これらの近傍にはインテークドア17が設けられている。
【0014】
インテークドア17は、サーボモータ等から構成されるインテークドアアクチュエータ18(図4参照)によって回動され、これにより、内,外気吸込口15,16が選択的に開閉されて空調ダクト11への空気の吸込モードが内気循環モード或いは外気導入モードに設定されるようになっている。
【0015】
また、空調ダクト11の最下流側には、フェイス吹出口19、フット吹出口20、デフロスタ吹出口21が設けられ、これらの各吹出口19,20,21がフェイスダクト22、フットダクト23、デフロスタダクト24にそれぞれ連通されている。
【0016】
また、空調ダクト11の内部には、各吹出口19,20,21の近傍に、吹出口切換ドア25,26が設けられている。これら吹出口切換ドア25,26は、図示しないアクチュエータによってそれぞれ回動され、これにより各吹出口22,23,24が選択的に開閉されて吹出風のモードが切り換えられるようになっている。
【0017】
遠心式送風機12は、空調ダクト11と一体的に形成されたスクロールケースに回転自在に収容された遠心式ファン27と、この遠心式ファン27を回転駆動するブロワモータ28と、を備えて構成されている。ブロワモータ28は、印加されるブロワ端子電圧に応じてその回転速度が可変制御され、これにより、遠心式ファン27による送風量が制御される。
【0018】
冷凍サイクル13は、エンジン2にベルト駆動されて冷媒を圧縮するコンプレッサ30と、圧縮された冷媒を凝縮液化させるコンデンサ31と、凝縮液化された冷媒を気液分離して液冷媒のみを下流側に流すレシーバ32と、液冷媒を減圧膨張させるエキスパンションバルブ33と、減圧膨張された冷媒を蒸発気化させるエバポレータ34と、を備え、これらが冷媒配管等を介して環状に接続されて要部が構成されている。
【0019】
ここで、コンプレッサ30には、エンジン2からコンプレッサ30への回転動力の伝達を断続可能な電磁クラッチ35が設けられている。また、エバポレータ34は、遠心式送風機12の下流で、空調ダクト11内の空気通路を全面塞ぐように配設され、自身を通過する空気を冷却するとともに除湿するようになっている。
【0020】
冷却水回路14は、エンジン2のウォータジャケットで暖められた冷却水を電動式のウォータポンプ40によって循環させる回路で、ラジエータ、サーモスタット(何れも図示せず)及び、ヒータコア41を有して構成されている。そして、この冷却水回路14では、ウォータジャケットから排出された冷却水をラジエータに導いて冷却するとともに、上記冷却水の一部を空調装置10の暖房用熱源としてヒータコア41に導く。
【0021】
ヒータコア41は、エバポレータ34の下流で、空調ダクト11内の空気通路を部分的に塞ぐように配設され、ヒータコア41が配設されていない他の部分はバイパス通路44として形成されている。また、ヒータコア41の上流側にはエアミックスドア42が配設されている。このエアミックスドア42は、サーボモータ等から構成されるエアミックスドアアクチュエータ43(図4参照)によって回動され、その停止位置によって、ヒータコア41を通過する空気量とバイパス通路を通過する空気量との割合が可変制御されるようになっている。
【0022】
次に、上記構成による空調装置の制御系について説明する。図4に示すように、上記空調装置の制御を行う制御手段としてのエアコンコントロールユニット(以下、エアコンECU)50には、ヒータコア41に流入する冷却水の温度を検出する水温センサ55、車室内の空気温度(内気温)を検出する内気温センサ56、エバポレータ34の空気冷却度合を検出するエバ後風温センサ57、エアミックスドア42の下流側に配設されて空調ダクト11から車室内に吹き出す空気温度(吹出温度T)を検出する吹出風温センサ58、車室外の空気温度(外気温)を検出する外気温センサ59、エアミックスドア42の回動位置(エアミックスポジション)を検出するエアミックスポジションセンサ60、インテークドア17の回動位置(インテークポジション)を検出するインテークポジションセンサ61等の各センサ類が接続され、上記各センサ類によるセンサ信号が入力されるようになっている。
【0023】
また、エアコンECU50には、HEV_ECU8が接続され、エンジン2の作動状態に関する情報が入力されるようになっている。その一方で、エアコンECU50は、必要に応じて、HEV_ECU8に対するエンジン2の始動要求を行うようになっている。
【0024】
また、エアコンECU50には、インテークドアアクチュエータ18、ブロワモータ28、電磁クラッチ35、ウォータポンプ40、エアミックスドアアクチュエータ43等の各アクチュエータ類が、駆動回路65,66,67,68,69を介してそれぞれ接続され、必要に応じて上記各アクチュエータ類を駆動するようになっている。
【0025】
次に、上記エアコンECU50による制御について、図1,2に示す空調制御ルーチンに従って説明する。このルーチンは所定時間毎に実行されるもので、ステップS101では、先ず、各センサ類によるセンサ信号、HEV_ECU8からのエンジン2の状態を示す信号、操作パネル(図示せず)からのスイッチ信号等の情報を読み込んだ後、ステップS102に進む。
【0026】
上記ステップS102では、エンジン2が停止状態であるか否かを調べ、エンジン2が停止状態でない場合にはステップS103に進み、エアコンユニット10の通常時制御(エンジン駆動時制御)を行った後ルーチンを抜ける。
【0027】
すなわち、上記ステップS103では、先ず、各センサ類55〜61から入力されるセンサ信号や操作パネルから入力されるスイッチ信号等に基づき、目標吹出温度TAOを算出する。さらに、この目標吹出温度TAOに基づいて、インテークドア17のドア位置(内,外気の吸込口モード)、ブロワ電圧VB、電磁クラッチ35のON/OFF、ウォータポンプ電圧VWP、エアミックスドア42のドア位置等を設定し、これらの設定値に基づき各アクチュエータを駆動する。これにより、エアコンユニット10は、吹出温度Tが目標吹出温度TAOとなるよう制御される。具体的には、この通常時制御では、目標吹出温度TAOに対して、吹出温度Tが例えば±0.1〜0.2℃の温度範囲内となるように制御される。
【0028】
一方、上記ステップS102において、エンジン2が停止状態であると判断されると、ステップS104に進み、例えば外気温度が20℃以上であるか否かを調べる。
【0029】
そして、上記ステップS104において、外気温度が20℃よりも低い場合には、暖房制御を行うべく、ステップS105に進む。
【0030】
上記ステップS105では、今回行う暖房制御がエンジン停止後の初回の制御であるか否かを示すフラグFを調べ、F=1である場合には、この暖房制御が初回の制御ではないと判断してステップS107にジャンプする。
【0031】
一方、上記ステップS105において、フラグF=0である場合には、この暖房制御がエンジン停止後の初回の制御であると判断してステップS106に進み、上記フラグFを”1”に設定すると共に、このエンジン停止時暖房制御を行う際の初期設定を行った後、ステップS107に進む。
【0032】
ここで、上記ステップS106では、初期設定として、エンジン停止直前のエアミックスドア42のドア位置及びブロワ電圧VBをそのままそれぞれの初期値として設定し、ウォータポンプ電圧VWPの初期値を5Vに設定する。さらに、ステップS106では、エンジン2の停止直前の通常時制御における目標吹出温度TAOよりも低い最低目標吹出温度(TAO−A)を設定する。ここで、最低目標吹出温度(TAO−A)は、搭乗者の快適性を維持可能な温度に設定されるもので、例えば目標吹出温度TAOよりも1℃低い温度に設定される。
【0033】
上記ステップS107では、ウォータポンプ電圧VWPが12V以上であるか否かを調べ、ウォータポンプ電圧VWPが12V以下である場合には、ステップS108に進む。
【0034】
上記ステップS108では、吹出温度Tが最低目標吹出温度(TAO−A)よりも高いか否かを調べ、吹出温度Tが最低目標吹出温度(TAO−A)よりも高い場合にはそのままルーチンを抜ける。
【0035】
一方、ステップS108において、吹出温度Tが最低目標吹出温度(TAO−A)以下である場合にはステップS109に進み、ウォータポンプ電圧VWPを1V上昇させた後、ルーチンを抜ける。
【0036】
すなわち、ステップS108〜S109の制御では、吹出温度Tが最低目標吹出温度(TAO−A)以下となる毎に、ウォータポンプ電圧VWPを1Vずつ上昇させてヒータコア41に流入される冷却水の流量を暫時増加させることにより、エンジン停止時における冷却水温低下に伴う暖房能力の低下を補い、吹出温度Tを最低目標吹出温度(TAO−A)以上に維持する。
【0037】
そして、ウォータポンプ電圧VWPが12V以上となると、ステップS107からステップS110に進む。ステップS110では、エアミックスドア42がHULL HOT側であるか否か、すなわち、バイパス通路44を通過する空気量が零となっているか否かを調べ、エアミックスドア42がHULL HOT側でない場合にはステップS111に進む。
【0038】
上記ステップS111では、吹出温度Tが最低目標吹出温度(TAO−A)よりも高いか否かを調べ、吹出温度Tが最低目標吹出温度(TAO−A)よりも高い場合にはそのままルーチンを抜ける。
【0039】
一方、ステップS111において、吹出温度Tが最低目標吹出温度(TAO−A)以下である場合にはステップS112に進み、エアミックスドア42を所定の回動角(1step)だけHOT側に移動させた後、ルーチンを抜ける。
【0040】
すなわち、ステップS111〜S112の制御では、吹出温度Tが最低目標吹出温度(TAO−A)以下となる毎に、エアミックスドア42を1stepずつHOT側に移動させてヒータコア41を通過する空気の割合を暫時増加させることにより、エンジン停止時における冷却水温低下に伴う暖房能力の低下を補い、吹出温度Tを最低目標吹出温度(TAO−A)以上に維持する。
【0041】
そして、エアミックスドア42がHULL HOT側となると、ステップS110からステップS113に進む。ステップS113では、ブロワ電圧VBが(ブロワ電圧初期値−2)V以下であるか否かを調べ、ブロワ電圧VBが(ブロワ電圧初期値−2)Vよりも高い場合にはステップS114に進む。
【0042】
上記ステップS114では、吹出温度Tが最低目標吹出温度(TAO−A)よりも高いか否かを調べ、吹出温度Tが最低目標吹出温度(TAO−A)よりも高い場合にはそのままルーチンを抜ける。
【0043】
一方、ステップS114において、吹出温度Tが最低目標吹出温度(TAO−A)以下である場合にはステップS115に進み、ブロワ電圧VBを0.5V低下させた後、ルーチンを抜ける。
【0044】
すなわち、ステップS114〜S115の制御では、吹出温度Tが最低目標吹出温度(TAO−A)以下となる毎に、ブロワ電圧VBを0.5Vずつ低下させて遠心式送風機12による風量を低下させヒータコア41が奪われる熱量を低減することにより、エンジン停止時における吹出温度Tを最低目標吹出温度(TAO−A)以上に維持可能な時間を延長する。
【0045】
そして、ブロワ電圧VBが(ブロワ電圧初期値−2)V以下となると、ステップS113からステップS116に進み、HEV_ECU8に対してエンジン始動要求を行い、ステップS117に進み、フラグFを”0”とした後、ルーチンを抜ける。
【0046】
このように、暖房時にエンジンが停止した場合には、搭乗者の快適性を維持可能な温度であって目標吹出温度TAOよりも低い最低目標吹出温度(TAO−A)を設定し、空調ダクト11から吹き出される空気の吹出温度Tが最低目標吹出温度(TAO−A)以下となる毎にウォータポンプ電圧VWPを1Vずつ上昇させて冷却水の流量を所定値ずつ増加させ、ウォータポンプ電圧VWPが所定電圧(12V)となった後、空調ダクト11から吹き出される空気の吹出温度Tが最低目標吹出温度(TAO−A)以下となる毎にエアミックスドア42を制御してヒータコア41を通過する空気の割合を所定値ずつ増加させ、バイパス通路44を通過する空気が零となった後、吹出温度Tが最低目標吹出温度(TAO−A)以下となる毎に遠心式送風機12の送風能力を所定値ずつ低下させることにより、搭乗者に違和感を与えることなく、快適性を維持したまま長時間にわたってエンジン2を停止させることができる。
【0047】
すなわち、上述のようにウォータポンプ40の暫時制御、エアミックスドア42の暫時制御、遠心式送風機の暫時制御を順次行って吹出温度Tを最低目標吹出温度(TAO−A)以上に維持することにより、エンジン2の停止時に冷却水回路14に蓄えられた冷却水の暖熱を効率よく消費してエンジン2の停止時間を長時間継続することができる。このとき、図5(a)に示すように、吹出温度Tは、その変化量が徐々に減衰されながら最低目標吹出温度(TAO−A)側に徐々に収束するので、搭乗者に対して吹出温度Tが低下することによる違和感を与えることなく、搭乗者の快適性を維持したまま、車室内温度を制御することができる。
【0048】
一方、上記ステップS104において、外気温度が20℃以上である場合には、冷房制御を行うべく、ステップS118に進む。
【0049】
上記ステップS118では、今回行う冷房制御がエンジン停止後の初回の制御であるか否かを示すフラグFが”1”であるか否かを調べ、F=1である場合には、この冷房制御が初回の制御ではないと判断してステップS120にジャンプする。
【0050】
一方、上記ステップS118において、F=0である場合には、この冷房制御がエンジン停止後の初回の制御であると判断してステップS119に進み、上記フラグFを”1”に設定すると共に、このエンジン停止時冷房制御を行う際の初期設定を行った後、ステップS120に進む。
【0051】
ここで、上記ステップS119では、エンジン停止直前のエアミックスドア42のドア位置及びブロワ電圧VBをそのままそれぞれの初期値として設定し、ウォータポンプ電圧VWPを所定の低電圧に設定する。さらに、ステップS119では、エンジン2停止直前の通常時制御における目標吹出温度TAOよりも高い最高目標吹出温度(TAO+A)を設定する。ここで、最高目標吹出温度(TAO+A)は、搭乗者の快適性を維持可能な温度であって、例えば目標吹出温度TAOよりも1℃高い温度に設定される。なお、エンジン停止時冷房制御においてウォータポンプ電圧VWPを低電圧駆動する理由は、エンジン停止時に急激に吹出温度Tが低下することを防止するためである。
【0052】
上記ステップS120では、外気温が内気温よりも高いか否かを調べ、外気温が内気温よりも高い場合にはステップS121に進み、インテークドア17を切り換えて空調ダクト11への空気の吸込モードを内気循環モードとしてステップS123に進む一方、外気温が内気温以下である場合にはステップS122に進み、インテークドア17を切り換えて空調ダクト11への空気の吸込モードを外気導入モードとしてステップS123に進む。
【0053】
すなわち、上記ステップS120〜S122において、上述のように空調ダクト11への空気の吸い込みモードを切り換えることにより、エバポレータ34が不要に奪われる冷熱を最小限に抑える。
【0054】
上記ステップS123では、エアミックスドア42がHULL COOL側であるか否か、すなわち、ヒータコア41を通過する空気量が零となっているか否かを調べ、エアミックスドア42がHULL COOL側でない場合にはステップS124に進む。
【0055】
上記ステップS124では、吹出温度Tが最高目標吹出温度(TAO+A)よりも低いか否かを調べ、吹出温度Tが最高目標吹出温度(TAO+A)よりも低い場合にはそのままルーチンを抜ける。
【0056】
一方、ステップS124において、吹出温度Tが最高目標吹出温度(TAO+A)以上である場合にはステップS125に進み、エアミックスドア42を所定の回動角(1step)だけCOOL側に移動させた後、ルーチンを抜ける。
【0057】
すなわち、ステップS124〜S125の制御では、吹出温度Tが最高目標吹出温度(TAO+A)以上となる毎に、エアミックスドア42を1stepずつCOOL側に移動させてヒータコア41を通過する空気の割合を暫時減少させることにより、エンジン停止時におけるエバポレータ34の温度上昇に伴う冷房能力の低下を補い、吹出温度Tを最高目標吹出温度(TAO+A)以下に維持する。
【0058】
そして、エアミックスドア42がHULL COOL側となると、ステップS123からステップS126に進む。ステップS126では、ブロワ電圧VBが(ブロワ電圧初期値−2)V以下であるか否かを調べ、ブロワ電圧VBが(ブロワ電圧初期値−2)Vよりも高い場合にはステップS127に進む。
【0059】
上記ステップS127では、吹出温度Tが最高目標吹出温度(TAO+A)よりも低いか否かを調べ、吹出温度Tが最高目標吹出温度(TAO+A)よりも低い場合にはそのままルーチンを抜ける。
【0060】
一方、ステップS127において、吹出温度Tが最高目標吹出温度(TAO+A)以上である場合にはステップS128に進み、ブロワ電圧VBを0.5V低下させた後、ルーチンを抜ける。
【0061】
すなわち、ステップS127〜S128の制御では、吹出温度Tが最高目標吹出温度(TAO+A)以下となる毎に、ブロワ電圧VBを0.5Vずつ低下させて遠心式送風機12による風量を低下させエバポレータ34が奪われる冷熱を低減することにより、エンジン停止時における吹出温度Tを最高目標吹出温度(TAO+A)以上に維持可能な時間を延長する。
【0062】
そして、ブロワ電圧VBが(ブロワ電圧初期値−2)V以下となると、ステップS126からステップS116に進み、HEV_ECU8に対してエンジン始動要求を行い、ステップS117に進み、フラグFを”0”とした後、ルーチンを抜ける。
【0063】
ここで、搭乗者が感じる冷房時における冷感は、吹出風量によるものが大きいことに対処し、上記ステップS128で低下させるブロワ電圧VBの下げ幅を小さく設定してもよい。また、同様の理由により、ステップS126からステップS116に進む際の電圧値を(ブロワ電圧初期値−2)V以上に設定してもよい。
【0064】
このように、冷房時にエンジンが停止した場合には、搭乗者の快適性を維持可能な温度であって目標吹出温度TAOよりも高い最低目標吹出温度(TAO+A)を設定し、空調ダクト11から吹き出される空気の吹出温度Tが最低目標吹出温度(TAO+A)以上となる毎にエアミックスドア42を制御してヒータコア41を通過する空気の割合を所定値ずつ減少させ、ヒータコア41を通過する空気が零となった後、吹出温度Tが最高目標吹出温度(TAO+A)以上となる毎に遠心式送風機12の送風能力を所定値ずつ低下させることにより、搭乗者に違和感を与えることなく、快適性を維持したまま長時間にわたってエンジン2を停止させることができる。
【0065】
すなわち、上述のようにエアミックスドア42の暫時制御、遠心式送風機の暫時制御を順次行って吹出温度Tを最高目標吹出温度(TAO+A)以上に維持することにより、エンジン2の停止時にエバポレータ34に蓄えられた冷熱を効率よく消費してエンジン2の停止時間を長時間継続することができる。このとき、図5(b)に示すように、吹出温度Tは、その変化量が徐々に減衰されながら最高目標吹出温度(TAO+A)側に徐々に収束するので、搭乗者に対して吹出温度Tが上昇することによる違和感を与えることなく、搭乗者の快適性を維持したまま、車室内温度を制御することができる。
【0066】
また、先に示したように、エンジン停止時暖房制御においては、ウォータポンプ電圧VWPを低電圧駆動することにより、エンジン停止後に急激に吹出温度Tが低下することを防止することができ、搭乗者の快適性を維持することができる。
【0067】
なお、本実施の形態では、ハイブリッド車のエンジン停止時における空調制御の一例について説明したが、本発明はこれに限られるものではなく、例えば、エンジンのみで駆動する車両等にも適用が可能である。
【0068】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、空調吹出風温を急激に変化させることなく快適性を維持し、長時間エンジンを停止することのできる車両用空調装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】空調制御ルーチンを示すフローチャート
【図2】空調制御ルーチンを示すフローチャート
【図3】空調装置の概略構成図
【図4】空調装置の制御系を示すブロック図
【図5】エンジン停止時における吹出風温の経時変化を示す図表
【符号の説明】
2 … エンジン
11 … 空調ダクト
12 … 遠心式送風機(送風手段)
14 … 冷却水回路
34 … エバポレータ
41 … ヒータコア
42 … エアミックスドア
44 … バイパス通路
50 … エアコンコントロールユニット(制御手段)
T … 吹出温度
TAO … 目標吹出温度
TAO−A … 最低目標吹出温度
TAO+A … 最高目標吹出温度

Claims (2)

  1. 空気流を発生させる送風手段と、エンジンの冷却水回路中に設けられ上記エンジンを熱源とするヒータコアと、上記ヒータコアをバイパスするバイパス通路と、上記ヒータコアを通過する空気と上記バイパス通路を通過する空気の割合を変更するエアミックスドアと、を空調ダクト内に備え、
    上記空調ダクトから吹き出される空気の目標吹出温度を設定するともにこの目標吹出温度に基づいて少なくとも上記送風手段および上記エアミックスドアを制御して暖房制御を行う空調制御手段を備えた車両用空調装置において、
    上記空調制御手段は、エンジンが停止した際に、搭乗者の快適性を維持可能な温度であって上記目標吹出温度よりも低い最低目標吹出温度を設定し、
    上記空調ダクトから吹き出される空気の吹出温度が上記最低目標吹出温度以下となる毎に、上記エアミックスドアを制御して上記ヒータコアを通過する空気の割合を所定値ずつ増加させ、
    上記バイパス通路を通過する空気が零となった後、上記吹出温度が上記最低目標吹出温度以下となる毎に、上記送風手段による風量を所定値ずつ低下させることを特徴とする車両用空調装置。
  2. 空気流を発生させる送風手段と、エンジンにより駆動される冷凍サイクルのエバポレータと、エンジンの冷却水回路中に設けられ上記エンジンを熱源とするヒータコアと、上記ヒータコアをバイパスするバイパス通路と、上記ヒータコアを通過する空気と上記バイパス通路を通過する空気の割合を変更するエアミックスドアと、を空調ダクト内に備え、
    上記空調ダクトから吹き出される空気の目標吹出温度を設定するともにこの目標吹出温度に基づいて少なくとも上記送風手段および上記エアミックスドアを制御して冷房制御を行う空調制御手段を備えた車両用空調装置において、
    上記空調制御手段は、エンジンが停止した際に、搭乗者の快適性を維持可能な温度であって上記目標吹出温度よりも高い最高目標吹出温度を設定し、
    上記空調ダクトから吹き出される空気の吹出温度が上記最高目標吹出温度以上となる毎に、上記エアミックスドアを制御して上記ヒータコアを通過する空気の割合を所定値ずつ減少させ、
    上記ヒータコアを通過する空気が零となった後、上記吹出温度が上記最高目標吹出温度以上となる毎に、上記送風手段による風量を所定値ずつ低下させることを特徴とする車両用空調装置。
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