JP4433591B2 - 内燃機関の可変動弁装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、吸気弁の作動角(以下、必要に応じて吸気作動角と略す)を変化させる作動角変更機構と、吸気弁の作動角の中心位相(以下、必要に応じて吸気位相と略す)を変化させる位相変更機構と、を有する内燃機関の可変動弁装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
特開2000−18056号公報には、吸気弁のバルブリフト量及び作動角を変化させるバルブリフト量変更機構と、吸気弁の開閉タイミング(作動角の中心位相)を変化させるバルブタイミング変更機構と、を備えた可変動弁装置が開示されている。この公報では、低回転域ではバルブリフト量を変化させずに、バルブタイミング変更機構により吸気位相のみを変化させている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
このような2つの変更機構を備えた装置では、機関運転状態が変化する過渡期、特に機関回転数を増加させる加速時のように、吸気弁の作動角及び位相の双方を変化させる際に、一時的に吸気弁の開閉時期が望ましくない状態となって、運転性能の低下を招くおそれがある。例えば、両変更機構により最小作動角及び最遅角位相に設定されたアイドル状態からの加速時に、作動角のみを増加させると、吸気弁の閉時期が過度に遅くなって、トルクが一時的に低下するおそれがある。
【0004】
また、同一負荷域からの加速時においても、冷機時と暖気後とで同じ様に両変更機構を駆動制御すると、冷機時又は暖機時の一方で有効にトルクを増加させることができないことがある。
【0005】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、機関加速時にトルクを迅速かつ効率的に増加させることを一つの目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
そこで、請求項1に係る発明は、吸気弁の作動角を変化させる作動角変更機構と、吸気弁の作動角の中心位相を変化させる電動式の位相変更機構と、を有する内燃機関の可変動弁装置において、機関冷機時における極低負荷域では、吸気弁の作動角が最少作動角、吸気弁の作動角の中心位相が最遅角位相に設定され、この機関冷機時における極低負荷域からの機関加速時には、作動角変更機構よりも位相変更機構を優先的に進角側に駆動させることを特徴としている。
【0007】
つまり、同一負荷域からの加速時であっても、機関回転数又は機関温度に基づいて、優先的に駆動させる変更機構を切換制御する。これにより、加速時におけるトルクの落ち込みを防止して、機関運転性能の向上を図ることが可能となる。
【0008】
また、請求項2に係る発明は、極低負荷域における吸気弁の作動角の中心位相が、機関冷機時では暖機後よりも遅角側に設定されることを特徴としている。
【0009】
請求項3に係る発明は、極低負荷・極低回転域からの加速時には、冷機時では位相変更機構を優先的に駆動し、暖機後では作動角変更機構を優先的に駆動することを特徴としている。
【0010】
請求項4に係る発明は、機関始動時の加速時には、冷機時では位相変更機構を優先的に駆動し、暖機後では作動角変更機構を優先的に駆動することを特徴としている。
【0011】
請求項5に係る発明は、冷機時における極低負荷域からの加速時には、極低回転域では位相変更機構を優先的に駆動し、低回転域では作動角変更機構を優先的に駆動することを特徴としている。
【0012】
請求項6に係る発明は、上記作動角変更機構が電動式であることを特徴としている。
【0013】
請求項7に係る発明は、極低負荷域における吸気弁の作動角が、冷機時では暖機後よりも小さくなるように設定されていることを特徴としている。
【0014】
請求項8に係る発明は、上記作動角変更機構が、吸気駆動軸に相対回転可能に外嵌されて、吸気弁を開閉させる揺動カムと、上記吸気駆動軸に偏心して設けられた駆動カムと、この駆動カムに相対回転可能に外嵌するリング状リンクと、制御軸に偏心して設けられた制御カムと、この制御カムに相対回転可能に外嵌するとともに、一端が上記リング状リンクに連結されたロッカアームと、このロッカアームの他端と上記揺動カムとに連結されたロッド状リンクと、を有することを特徴としている。
【0015】
請求項9に係る発明は、上記吸気駆動軸の回転角度を検出する手段と、この吸気駆動軸の回転角度に基づいて吸気弁の作動角の実中心位相を検知する位相検知手段と、上記制御軸の回転角度を検出する手段と、この制御軸の回転角度に基づいて吸気弁の実作動角を検知する作動角検知手段と、を有し、上記位相検知手段により実中心位相が検知される際に、上記作動角検知手段により実作動角を検知して、吸気弁の作動角の目標値を設定することを特徴としている。
【0016】
【発明の効果】
請求項1に係る発明によれば、機関回転数又は機関温度に応じて、機関加速時におけるトルクを効率的に増加させて、機関運転性の向上を図ることができる。
【0017】
また、位相変更機構を電動式としたので、冷機アイドル時等においても位相を確実に変化させることができる。このため、請求項2に係る発明のように、アイドル等の極低負荷域で、冷機時の吸気位相を暖機後よりもさらに遅角化できる。
【0018】
このような請求項2に係る発明によれば、冷機始動時等には吸気弁の開時期を大幅に遅角化させて、ガス流動を強化し、燃焼改善及び排気清浄化を図ることができる。一方、暖機後は冷機時に比して吸気位相を相対的に進角させることにより、吸入抵抗を抑制し、燃費向上を図ることができる。つまり、冷機時における排気性能の向上と暖気後における燃費向上とを高いレベルで両立させることができる。
【0019】
請求項3又は4に係る発明によれば、極低負荷・極低回転域又は始動時からの加速時に、冷機時には位相変更機構により位相を優先的に進角させることにより、加速過渡時のトルクの落ち込みを確実に回避できる。また、冷機時よりも位相が進角している暖気時には、作動角変更機構により作動角を優先的に増加させることにより、トルクを迅速かつ効率的に増加させることができる。
【0020】
請求項5に係る発明によれば、冷機時における極軽負荷域から加速する場合、吸入時間が十分にある極低回転時には、位相変更機構を優先的に駆動して吸気位相の遅角を速やかに解消し、吸入時間が減少する低回転時には、作動角変更機構を優先的に駆動して作動角を拡大させて吸入空気量増加を図ることにより、過渡時におけるトルクを効率的に増加させることができる。
【0021】
請求項6に係る発明によれば、機関温度等にかかわらず、作動角変更機構により吸気弁の作動角を速やかに変化させることができる。このため、例えば冷機始動時等に作動角の増加に遅れを生じ易い油圧駆動式の場合に比して、冷機時における最小作動角を十分に小さく設定することができ、これにより、冷機始動時におけるガス流動が更に強化されて、燃焼が改善し、更なる排気清浄化を図ることができる。
【0022】
請求項7に係る発明によれば、冷機始動時の作動角が暖機始動時よりも更に小さくなるため、ガス流動が更に強化されて燃焼が改善され、更なる排気性能の向上を図ることができる。一方、暖気始動時には、冷機始動時に比して作動角が相対的に大きくなり、吸入抵抗が抑制されるため、燃費性能の向上を図ることができる。
【0023】
請求項8に係る発明によれば、比較的簡素な構造の両変更機構を互いに干渉することなく配置することが可能である。特に、この作動角変更機構では、駆動カムの軸受部分や制御カムの軸受部分等の各部材の連結部分が面接触となっているため、潤滑が行い易く、耐久性,信頼性に優れているとともに、作動角を変更させる際の抵抗も低く抑制される。また、吸気弁を駆動する揺動カムが吸気駆動軸と同軸上に配置されているため、例えば揺動カムを吸気駆動軸とは異なる別の支軸で支持するような構成に比して、制御精度に優れているとともに、装置自体がコンパクトなものとなり、車両搭載性が良い。
【0024】
請求項9に係る発明によれば、実吸気位相は、クランクシャフトと連動して回転する吸気駆動軸の回転毎に検知される一方、実作動角は、制御軸の角度に基づいて検知されるため、任意のタイミングで検知することができる。そこで、実吸気位相が検知されるタイミングで、実作動角を検知して、作動角の目標値を設定することにより、作動角及び位相を同時期に精度良く検知することが可能で、その制御精度が向上する。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施の形態を図面を参照して説明する。
【0026】
図1は、本発明の一実施形態に係る可変動弁装置を示している。各気筒には一対の吸気弁2が設けられ、これら吸気弁2の上方には中空状の吸気駆動軸3が気筒列方向に延在している。吸気駆動軸3には、吸気弁2のバルブリフタ2aに当接して吸気弁2を開閉駆動する揺動カム4が相対回転可能に外嵌している。
【0027】
そして、吸気駆動軸3と揺動カム4との間に、吸気弁2の作動角の中心位相(吸気位相)を略一定としたままで吸気弁2の作動角及びバルブリフト量を変化させる電動式の作動角変更機構10が設けられている。また、吸気駆動軸3の一端部に、図外のクランクシャフトに対する吸気駆動軸3の位相を変化させることにより、吸気位相を変化させる電動式の位相変更機構20が配設されている。
【0028】
作動角変更機構10は、図1及び図2に示すように、吸気駆動軸3に偏心して設けられる駆動カム11と、この駆動カム11に相対回転可能に外嵌するリング状リンク12と、吸気駆動軸3と略平行に気筒列方向へ延びる制御軸13と、この制御軸13に偏心して設けられた制御カム14と、この制御カム14に相対回転可能に外嵌するとともに、一端がリング状リンク12の先端に連結されたロッカアーム15と、このロッカアーム15の他端と揺動カム4とに連結されたロッド状リンク16と、を有している。
【0029】
制御軸13は、電動アクチュエータ17によりギヤ列18を介して所定の制御範囲内で回転駆動される。エンジンコントロールユニットとしてのECU30は、角度検出センサ31,32から検出される吸気駆動軸3及び制御軸13の角度の他、各種センサ等から検出又は推定されるクランク角度,エンジン回転数,負荷,水温等の機関運転条件に基づいて、燃料噴射及び点火時期制御等の一般的なエンジン制御を行う他、上記電動アクチュエータ17を駆動制御するとともに、後述する位相変更機構20を駆動制御し、吸気弁2の開閉時期及び作動角を制御する。
【0030】
上記の構成により、クランクシャフトに連動して吸気駆動軸3が回転すると、駆動カム11を介してリング状リンク12がほぼ並進移動するとともに、ロッカアーム15が制御カム14の軸心周りに揺動し、ロッド状リンク16を介して揺動カム4が揺動して吸気弁2が開閉駆動される。
【0031】
また、制御軸13の回転角度を変化させることにより、ロッカアーム15の揺動中心となる制御カム14の軸心位置が変化して揺動カム4の姿勢が変化する。これにより、吸気弁2の作動角の中心位相が略一定のままで、吸気弁2の作動角(開閉期間)及びバルブリフト量が連続的に変化する。
【0032】
このような作動角変更機構10は、駆動カム11の軸受部分や制御カム14の軸受部分等の各部材の連結部分が面接触となっているため、潤滑が行い易く、耐久性,信頼性に優れているとともに、作動角を変更させる際の抵抗も低く抑制される。また、吸気弁2を駆動する揺動カム4が吸気駆動軸3と同軸上に配置されているため、例えば揺動カムを吸気駆動軸3とは異なる別の支軸で支持するような構成に比して、制御精度に優れているとともに、装置自体がコンパクトなものとなり、車両搭載性が良い。
【0033】
図3は、電動式の位相変更機構20を示している。この位相変更機構20の構成については、特開平10−153105号公報にも開示されているように公知であり、簡単に説明すると、クランクシャフトと同期して回転する第1回転体21と、吸気駆動軸3とともに回転する第2回転体22との間に、ヘリカルスプラインを介して両者21,22に噛合する環状のピストン23が介装されている。そして、このピストン23を電磁ソレノイド24により軸方向へ駆動することにより、回転体21,22の相対位相が変化して、クランクシャフトに対する吸気駆動軸3の位相が可変制御される。上記の電磁ソレノイド24は、上述したECU30からの制御信号により機関運転状態に応じて駆動制御される。
【0034】
次に、図4を参照して本実施形態に係る吸気作動角及び吸気位相の一設定例を説明する。なお、後述する吸気位相の値は、進角側を正とするとP1<P2<P3<P4<P5の関係にある。
【0035】
先ず、暖気後のバルブリフト特性について説明する。アイドル等の極低負荷域(a2)では、吸気位相を所定の遅角位相P2に設定するとともに、吸気作動角を最小作動角に設定して、吸気弁の開時期を上死点後、吸気弁の閉時期を下死点近傍とする。これにより、残留ガスが低減されるとともに、ピストン上面が上死点から吸気負圧に晒されず、ある程度ピストンが変位して筒内が負圧となってから吸気弁が開くこととなるために、ポンプ損失が低減される。また、吸気作動角が最小化されているため、フリクションが低減されるとともに、ガス流動が強化され、燃料の霧化が促進される。この結果、燃費及び排気性能の向上が図られる。
【0036】
中負荷域(c)では、主に残留ガスの増加によるポンプ損失低減化及び高温の残留ガスによる燃焼改善等を図るために、吸気弁開時期を上死点前とし、かつ、主に吸入空気量(充填効率)の低減化によりポンプ損失の低減を図るために、吸気弁閉時期を下死点前とする。そこで、上記の最小作動角よりも大きい所定の小作動角に設定するとともに、吸気位相を最進角位相P5に設定する。
【0037】
上記の中負荷域(c)より吸気量の少ない低負荷域(b)では、主に燃焼悪化の防止及び残留ガスの低減化を図るため、吸気作動角を上記の最小作動角から小作動角の間の値に設定し、かつ、吸気位相を所定の進角位相P4に設定する。これにより、有効圧縮比の増加に伴うポンプ損失の低減化により燃費向上が図られる。
【0038】
全開域(d)〜(f)では、主に充填効率を向上させるため、吸気位相を所定の中間位相P3又はその近傍に設定するとともに、機関回転数の増加に伴って吸気作動角を増加させる。例えば、全開・低速域(d)では、IVOを略上死点とし、IVCを下死点後に設定する。
【0039】
一方、冷機始動時のように、機関温度が所定値以下の冷機状態におけるアイドル等の極低負荷域(a1)では、触媒暖機が不十分のため、燃焼改善による排気清浄化及び排温上昇を図るため、吸気作動角を最小作動角、吸気位相を最遅角位相P1に設定し、IVOを上死点よりも大幅に遅角させる。このような設定により、ガス流動強化による燃料の霧化が促進されるとともに、IVOの遅角化により筒内負圧を十分発達させた後に吸気弁が開くこととなり、吸気弁の開時におけるガス流動が更に強化される。
【0040】
なお、図示していないが、冷機状態における低・中負荷域では、暖機状態のリフト特性(b),(c)と同一にすると燃焼が悪化する可能性があるため、例えば低速・全開域のリフト特性(d)と略同一の設定にする等の必要がある。
【0041】
上述したアイドル域の吸気作動角及び吸気位相の設定制御の流れについて、図8のフローチャートを参照して詳述する。S(ステップ)1において、アイドル状態であると判定されると、S2へ進み、機関温度等から冷機時か暖機後であるかが判定される。冷機時の場合にはS3へ進み、吸気作動角を最小作動角に、吸気位相を最遅角位相P1に設定する。一方、暖機時には、吸気作動角を上記の最小値よりも大きい所定の小作動角に、吸気位相を上記の遅角位相P2に設定する。
【0042】
なお、このフローチャートでは、図4(a2)の設定と異なり、機関始動時等の極低負荷域における吸気弁の作動角が、機関冷機時では暖機後よりも小さくなるように設定されている。この場合、冷機始動時には、作動角が暖機時に比して小さくなるため、ガス流動が強化されて燃焼が改善される。一方、暖気始動時には、冷機始動時に比して作動角が相対的に大きくなり、吸入抵抗が抑制されるため、燃費性能の向上を図ることができる。
【0043】
次に、図5〜7を参照して、各運転状態から加速を行う場合について検討する。なお、図中のL1は、加速前の運転状態における吸気作動角及び吸気位相の基準設定に対応した基準特性を表している。また、L2は、目標作動角及び目標位相に対応した目標特性を、L3は、上記の基準特性L1に対して吸気作動角のみを目標作動角へ向けて所定量変化させた状態の特性を、L4は、基準特性L1に対して吸気位相のみを目標位相へ向けて所定量変化させた状態の特性を、それぞれ表している。
【0044】
先ず、図5を参照して、冷機時における極低負荷域(冷機アイドル状態)からの加速について考察する。冷機アイドル状態では、上述したように吸気位相が最遅角位相P1に設定されている。従って、極低負荷域で、吸気作動角のみを増加させた場合、吸気弁閉時期が過度に遅くなる等の理由で、トルクが一時的に減少するおそれがある。例えば図5に示す第1の回転数N1よりも低い回転域では、基準特性L1よりも作動角増加後の特性L3のトルクが低くなっているため、作動角のみを変化させるとトルクが一時的に減少することとなる。
【0045】
一方、このような極低負荷からの加速時に吸気位相のみを進角させても、確実にトルクが増加方向へ向かう。従って、このような極低負荷・極低回転域からの加速時には、位相変更機構20による吸気位相の進角化を優先的に行う。つまり、位相変更機構20のみを駆動し、あるいは位相変更機構20による吸気位相の変更量が作動角変更機構10による作動角の変更量よりも十分に大きくなるように制御する。これにより、この加速過渡時におけるトルクが確実に増加方向へ向かうこととなり、過渡時のトルク低下を確実に回避できる。
【0046】
ところで、この冷機アイドル状態の基準設定(最小作動角及び最遅角位相)L1は、主に燃焼改善を図る目的で、極低回転域よりも回転数がある程度高い低回転域でも使用される。しかしながら、機関回転数が高くなってくると、同一作動角では吸入時間が減少するため、吸気位相のみを進角させても、全開トルクを効果的に増加させることができない。従って、極低回転域(例えば図5に示す作動角増加状態の特性L3と位相進角状態の特性L4とでトルクが逆転する第2の回転数N2以下の回転域)では、上述したように吸気位相を優先的に進角させ、低回転域(例えば第2の回転数N2を越える回転域)では、吸気作動角を優先的に増加させることにより、トルクを最も効率的に増加させることができる。
【0047】
次に、図6を参照して暖気後の状態で極低負荷域から加速を行う場合について考察する。暖気後の極低負荷域では、主に吸入抵抗を抑制して燃費向上を図るために、上述したように吸気位相を最遅角位相P1よりも進角した暖機後遅角位相P2に設定している。つまり、主に有効圧縮比を高めて燃焼の改善を図るために、吸気弁閉時期を冷機時よりも進角化させている。従って、仮に吸気位相のみを進角させると、有効圧縮比や充填効率が低下し、有効にトルクを増加させることができないことがある。そこで、このような暖機後の極低負荷域からの加速時には、吸気作動角を優先的に増加させることにより、トルクを効率的に増加させることができる。
【0048】
このように、同一負荷域から加速を行う場合であっても、機関回転数又は機関温度(冷機又は暖機)の少なくとも一方に基づいて、作動角変更機構10又は位相変更機構20の一方を優先的に駆動させることにより、トルクを効率的に増加させることができ、運転性の向上を図ることができる。
【0049】
次に、図7を参照して暖機後の状態で低負荷域から加速を行う場合について考察する。低負荷域からの加速時には、図7において特性L3及びL4の双方とも基準特性L1よりトルクが高いことから明らかなように、作動角を増加させても位相を遅角させてもトルクは増加する。しかしながら、図7において、作動角増加状態の特性L3が位相遅角状態の特性L4よりも常にトルクが高いことから明らかなように、機関回転数にかかわらず、作動角変更機構10による吸気作動角の増加を位相変更機構20による吸気位相の遅角化よりも優先させることにより、効率的にトルクを増加させることができる。
【0050】
なお、図示していないが、図4(c)のような中負荷域からの加速については、作動角の増加を優先させるとIVOが過度に早くなって吸気弁とピストンとが干渉する可能性があるので、好ましくは位相変更機構20による吸気位相の遅角化を優先的に行う。
【0051】
以上のように本実施形態では、位相変更機構20を電動式の構成としているため、機関温度(冷機時・高温時)にかかわらず、吸気位相を速やかに変化させることが可能となる。つまり、冷機時に位相変更遅れを生じやすい油圧駆動に対して、冷機時にも迅速に位相を変化させることができる。これより、冷機始動時に吸気弁開時期を大幅に遅角化させてガス流動を強化し、燃焼の改善,排気清浄化を図ることができる。また、暖機後には吸気位相を少し進角させることにより、吸入抵抗を低減して燃費の向上を図る。これより、冷機時における排気の清浄化と暖気後の燃費向上とを高いレベルで両立させることが可能となる。
【0052】
また、作動角変更機構10も電動式の構成としているため、冷機始動時や極低回転時においても確実かつ迅速に吸気作動角を変更することができる。つまり、このような電動式の作動角変更機構10を採用することにより、例えば低速域でも作動角変更機構10を優先的に駆動させることが可能となる。また、機関温度(冷機時又は暖機後)にかかわらず作動角を迅速に増加させることができる。このため、冷機時に作動角の増加遅れを生じ易い油圧駆動式の構成に比して、最小作動角を十分に小さく設定することが可能で、これより、冷機始動時におけるガス流動を効果的に強化させて燃焼を改善し、更なる排気の清浄化を図ることが可能となる。
【0053】
このように双方の変更機構10,20を電動式としているため、上述したように、加速過渡期の途中であっても、両変更機構10,20の優先度を切り換えるような制御が可能となる。
【0054】
ところで、この実施形態のように、吸気駆動軸3の角度検出センサ31からの検出信号に基づいて、クランク角度に対する吸気駆動軸3の中心位相の実測値(実中心位相)を検知する構成の場合、吸気駆動軸3の1回転毎に吸気位相が検知されることとなる。一方、制御軸13の角度検出センサ32からの検出信号に基づいて、吸気作動角の実測値(実作動角)を検知する構成の場合、その検知間隔は自由であり、任意のタイミングで実作動角を検知することができる。従って、実吸気位相が検知されるタイミングにあわせて、実作動角を検知することにより、同時期に検出される実吸気位相及び実作動角に基づいて吸気作動角,吸気位相の目標値の設定等の制御を行うことができ、その制御精度が向上する。
【0055】
このような制御の流れを、図9のフローチャートを参照して詳述する。S11において、吸気駆動軸3の角度検出センサ31からの検出信号に基づいて実吸気位相が検知されると、S12へ進み、制御軸13の角度検出センサ32の検出信号に基づいて、実作動角を検知する。続くS13において、加速状態にあると判定されると、S14へ進み、機関温度等に基づいて冷機状態か暖機後かを判定する。冷機時の場合、S16へ進み、機関回転数に基づいて極低回転域か低回転域かを判定する。極低回転域の場合、S17へ進み、位相変更機構20を優先的に駆動する制御を行う。一方、低回転域の場合にはS18へ進み、作動角変更機構10を優先的に駆動する制御を行う。
【0056】
また、S14において暖機後と判定された場合、S15へ進み、吸気弁開時期(IVO)が過度に早いか否かを判定する。過度に早い場合は、上記のS17へ進み、位相変更機構20を優先的に駆動する制御を行う。比較的遅いと判定された場合、上記のS16へ進み、機関回転数に応じていずれの変更機構10,20を優先的に駆動するかを判定する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る可変動弁装置を示す概略斜視図。
【図2】上記可変動弁装置の作動角変更機構を示す断面対応図。
【図3】上記可変動弁装置の位相変更機構を示す断面図。
【図4】上記実施形態の作用説明図。
【図5】冷機アイドル域からの加速時の説明図。
【図6】暖機アイドル域からの加速時の説明図。
【図7】暖機低負荷域からの加速時の説明図。
【図8】アイドル域における吸気作動角及び吸気位相の設定制御の流れを示すフローチャート。
【図9】変更機構の優先度の設定制御の流れを示すフローチャート。
【符号の説明】
2…吸気弁
3…吸気駆動軸
4…揺動カム
10…作動角変更機構
11…駆動カム
12…リング状リンク
13…制御軸
14…制御カム
15…ロッカアーム
16…ロッド状リンク
20…位相変更機構
Claims (9)
- 吸気弁の作動角を変化させる作動角変更機構と、吸気弁の作動角の中心位相を変化させる電動式の位相変更機構と、を有する内燃機関の可変動弁装置において、
機関冷機時における極低負荷域では、吸気弁の作動角が最少作動角、吸気弁の作動角の中心位相が最遅角位相に設定され、
この機関冷機時における極低負荷域からの機関加速時には、作動角変更機構よりも位相変更機構を優先的に進角側に駆動させることを特徴とする内燃機関の可変動弁装置。 - 極低負荷域における吸気弁の作動角の中心位相が、機関冷機時では暖機後よりも遅角側に設定されることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の可変動弁装置。
- 極低負荷・極低回転域からの加速時には、冷機時では位相変更機構を優先的に駆動し、暖機後では作動角変更機構を優先的に駆動することを特徴とする請求項2に記載の内燃機関の可変動弁装置。
- 機関始動時の加速時には、冷機時では位相変更機構を優先的に駆動し、暖機後では作動角変更機構を優先的に駆動することを特徴とする請求項2に記載の内燃機関の可変動弁装置。
- 冷機時における極低負荷域からの加速時には、極低回転域では位相変更機構を優先的に駆動し、低回転域では作動角変更機構を優先的に駆動することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の内燃機関の可変動弁装置。
- 上記作動角変更機構が電動式であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の内燃機関の可変動弁装置。
- 極低負荷域における吸気弁の作動角が、冷機時では暖機後よりも小さくなるように設定されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の内燃機関の可変動弁装置。
- 上記作動角変更機構が、吸気駆動軸に相対回転可能に外嵌されて、吸気弁を開閉させる揺動カムと、上記吸気駆動軸に偏心して設けられた駆動カムと、この駆動カムに相対回転可能に外嵌するリング状リンクと、制御軸に偏心して設けられた制御カムと、この制御カムに相対回転可能に外嵌するとともに、一端が上記リング状リンクに連結されたロッカアームと、このロッカアームの他端と上記揺動カムとに連結されたロッド状リンクと、を有することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の内燃機関の可変動弁装置。
- 上記吸気駆動軸の回転角度を検出する手段と、
この吸気駆動軸の回転角度に基づいて吸気弁の作動角の実中心位相を検知する位相検知手段と、
上記制御軸の回転角度を検出する手段と、
この制御軸の回転角度に基づいて吸気弁の実作動角を検知する作動角検知手段と、を有し、
上記位相検知手段により実中心位相が検知される際に、上記作動角検知手段により実作動角を検知して、吸気弁の作動角の目標値を設定することを特徴とする請求項8に記載の内燃機関の可変動弁装置。
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