まず、本発明で使用されるマルチキャリア通信の基本技術および基礎的な概念について説明する。
(マルチキャリア通信の基本事項)
以下の説明では、デジタル変調方式としてOFDMを使用する。OFDM通信システムでは、1つのセルを、例えば、3つの通信制御領域(セクタ)として制御する基地局が、セル内の複数の移動局と同時に通信を行なうことを考慮して標準化が進められている。OFDM通信システムでは、以下に説明する無線通信フレーム(以下、「フレーム」と呼ぶ)を複数の移動局で使用できるように小さく分割し(以下、この分割単位を「リソースブロック」と呼ぶ)、それぞれのリソースブロックを通信環境が良好な移動局に割り当てることによって通信速度の向上を図っている。
また、1つの基地局で制御する各セクタでは、同じタイミングでフレームが送信される。すなわち、フレーム送信が同期している。また、同一周波数帯域を使用する。このため、セル境界およびセクタ境界付近では、隣接セルまたは隣接セクタで使用されている信号と、所望の受信信号とが干渉を起こし通信速度(スループット)の低下を招くこととなる。上記の非特許文献1の方式では、セクタ間で同一のサブキャリアに割り当てられた伝搬路推定用のサブキャリアであるパイロットサブキャリアに対し、セクタ固有符号(以下の例では、セクタ固有の3つの符号系列を意味する)を乗算する。そして、符号系列によって決定されるM(Mは2以上の整数)本のパイロットサブキャリアを逆拡散することにより、隣接セクタの信号による干渉を除去し、より正確な伝搬路推定を行なうことができるように、システム設計がなされている。
一方、隣接セルとの干渉に関しては、セル固有の拡散符号をパイロットチャネルおよびデータチャネルに乗算することにより、隣接セルで使用している信号による干渉信号をランダムにする設計がなされている。すなわち、パイロットチャネルにはセクタ固有の直交符号とセル固有の拡散符号が二重に乗算されていることになる。
(フレームの説明)
図22は、本発明で使用されるマルチキャリア通信システムのダウンリンクのフレーム構成を示す図である。このフレーム構成は、OFDMA通信方式で用いられる一般的なフレーム構成と同様である。すなわち、このフレーム構成は、一定時間区間(フレーム区間)が複数に分割され、かつ、周波数領域も複数のサブキャリアから構成される一定の帯域幅に分割されている。これらの分割された1つの領域を、本明細書においてはリソースブロックと呼んでいる。一般的に、時間領域のフレームを分割した単位をサブフレームと呼び、周波数領域での分割された単位をサブチャネルと呼ぶこともある。図22では、周波数軸方向にはF1からF6までの6つのサブチャネルと、時間軸方向にはSF1からSF10の10個のサブフレームで構成されている。ただし、ブロック分割数およびブロックサイズはこれに限定されるものではない。また、各移動局は、これらのブロックを共用する。特に、通信特性(スループット)の向上を図るために、各ブロックは、伝搬路環境の良い移動局にスケジューリングされる。また、小さいデータ量の通信を行なっている複数の移動局がある場合には、1つのリソースブロックをさらに分割し共用することも可能である。
(セルサーチ)
各移動局は、通信を開始する際に、複数の基地局の中から受信特性の良好な基地局を選択し、基地局と接続した後、無線通信を開始する。受信特性が良好であるとは、受信信号の受信電力が高いことを意味する。このような無線通信の開始時の動作を一般的にセルサーチと呼ぶ。セルサーチには、通信特性の良好な基地局の選択、基地局IDなどの情報を含むセル固有情報の取得、フレーム同期ならびにシンボル同期などが含まれる。なお、シンボル同期は、FFT窓同期または窓同期のことを意味する。
図23は、セルおよびセクタの構成の一例を示す図である。図示されるように、一つのセル(CL1〜CL3)の中心に基地局(BS1〜BS3)が設置される。また、各セル(CL1〜CL3)は、各々、3つのセクタ(SC1〜SC3)に分割されている。各セルには複数の移動局(UE1等)が存在しており、各移動局は、受信品質の最も優れる基地局を選択し、無線通信を行なう。例えば、図23に示した基地局(BS1〜BS3)が同一の送信電力で下り方向無線通信を行なっているとすると、移動局UE1は最も伝搬損の少ないBS1と接続し、通信を行なう。このように、複数の基地局を検出し、その中から最も通信品質が良好な基地局を選択し、接続するためにセルサーチを行なう必要がある。また、前述した非特許文献1では、セル固有の符号をデータチャネルに乗算するため、セルサーチ時にセル固有の符号の情報を入手する必要がある。
(3段階セルサーチ)
上記のとおり、3段階セルサーチ法と呼ばれる3ステップに分けたセルサーチ方法が提案されている。第1ステップでは、SCHの時間相関検出を使用して、シンボル同期、周波数オフセット、1/Nフレームタイミングの検出を行なう。この1/Nフレームタイミングの検出とは、N個のSCHが時間方向に多重されている場合に行なう検出である。詳細は後述する。
図24は、フレームにおける同期チャネル(SCH)の配置位置の一例を示す図である。図示されるように、SCHは、第5サブフレーム(SF5)と第10サブフレーム(SF10)の最後のシンボルに配置されている。前述のように、第1ステップでは、フレーム内の2つのSCHの時間的位置を検出することによってフレーム区間の1/2の周期で同期を行なう。SCHを、後述する特定のサブキャリアを使用して構成することによって、時間軸領域において特徴的な波形を形成させる。第1ステップでは、この波形特性を使用して時間同期を取る。
第2ステップでは、周波数領域における相関検出により、SCHを構成するデータを復調し、セル固有情報(例えば、セルIDもしくはセルIDグループ、セル構成、基地局アンテナ数、報知情報通知帯域幅など)を取得する。
第3ステップでは、セルIDと対応する基地局固有の拡散符号が乗算されたパイロットチャネルと移動局の生成したパイロットチャネルのレプリカ信号との相関により、セルIDを同定する。
図25は、SCHの構成例を示す図である。図25において、縦軸は周波数軸を示しており、横軸は時間軸を示している。図中、小さな四角一つ一つがSCHを構成するサブキャリアであり、1シンボル長のチャネルを構成している。このように、SCHは、複数のサブキャリアから構成されており、低周波数側から偶数番目のサブキャリアと中心周波数のサブキャリア(DCサブキャリア)をヌルサブキャリアとし、中心周波数サブキャリアを除く奇数番目のサブキャリアにSCH用の信号が割り当てられている。なお、ヌルサブキャリアとは、信号が割り当てられない電力ゼロのサブキャリアのことである。
以下、データの割り当てられたSCHのサブキャリアを「SCHサブキャリア」と呼ぶ。このように構成することによって、SCHが割り当てられたシンボルは、時間領域では1/2のシンボル長を持つ同一の信号が2回繰り返された波形となる。このようなチャネル構成のシンボルをフレームの所定の位置に1つ以上配置し、その繰り返し波形を受信機で検出することにより時間同期を行なう。
図26は、SCHの繰り返し波形を検出し、時間同期を行なうための受信機の構成を示すブロック図である。図示されるように、受信機は、受信信号90を遅延させる遅延部91と、複素共役算出部92と、乗算部93と、平均部94と、ピーク検出部95と、を有している。同期タイミング信号96は、ピーク検出部95から出力される。
この受信機では、受信した信号と、それ以前に受信して1/2有効シンボル遅延させた信号の複素共役とを乗算する。その結果、前述した構成のSCHタイミングと一致する場合には、相関値が高くなることを利用して同期タイミングの検出を行なう。図24に示したように、SCHがフレームをN分割した位置に同一時間間隔で配置されているシステムの場合(図24ではN=2)には、この乗算された信号を1/Nフレーム区間で平均化し、ピーク位置を検出することにより、1/Nフレームで精度良く同期およびシンボル同期を行なうことができる。ただし、フレーム内のSCH数Nとそれぞれの位置は移動局に既知である。
図27は、周波数軸上のサブキャリアに割り当てられたSCHの一例を示す図である。図27では、隣接するSCHサブキャリアの位相差Pを算出することにより、SCHの情報を取得する方式が示されている。これらのSCHサブキャリア間の位相差Pによる情報が、セルIDグループ、フレーム内の複数のSCHの何番目かを示す情報、セル構成、基地局アンテナ数を示している(第2ステップ)。以上のようにして検出したセルIDグループに含まれる各セルIDに対応するパイロットシンボルレプリカ信号を作成する。そして、サブフレームに配置されたパイロットシンボルと相関を取ることにより、セルIDを検出することができる。
図28は、3GPPで検討されているOFDM通信方式におけるリソースブロックの構成の一例を示す図である。図28には、SCHが含まれる場合の代表的なリソースブロックが示されている。図中、SCHの他に、パイロットチャネルおよびデータチャネル(制御情報チャネルなどを含む)が配置されている。パイロットシンボルには干渉をランダムにするためのセル固有の拡散符号と、同一セル内のセクタ間でパイロットシンボルを直交させるための直交符号が乗算されている。各セクタにおけるチャネル推定には、フレームの先頭シンボルに配置されているパイロットチャネルを使用する。しかし、セクタ境界付近において、同一セルの異なるセクタからの送信信号を受信することが可能な位置においては、同一シンボルにある隣接セクタからの送信信号が干渉信号として働くため、チャネル推定精度が悪化する。そこで、そのような環境においては、パイロットシンボルに乗算され、セクタ間で直交関係となっている直交符号の特性を利用する。すなわち、パイロットチャネルのサブキャリアに所望のセクタで使用する直交符号の複素共役を乗算し、逆拡散を施すことにより、隣接セクタからの干渉信号を消す伝搬路推定方法が適用される。
従来のセルサーチ方法では、レプリカ信号によるセルIDの検出を行なう際に、セルIDの検出を行なうと共に同一セル内のどのセクタからの信号強度が強いのかを判定する必要がある。このため、セルIDグループに含まれる(セルID数×セクタID数)のレプリカ信号との相関検出を行なう必要がある。すなわち、前記第1ステップおよび第2ステップでは、同一セル内のセクタから同時送信されるSCHを使用して各々のセクタからの送信信号の受信電力を判定することができなかった。そのため、3段階セルサーチにおける相関検出に要する処理量は、セルに含まれるセクタ数に比例して増大する。
また、各レプリカ信号に対応する相関値を比較するために、複数のレプリカ信号に対応する結果を記憶する記憶部を設ける場合には、セルIDグループに含まれる(セルID数×セクタID数)の個数の記憶部を用意する必要がある。さらには、同一セルの各セクタからは同一SCHデータが同時に送信されるので、セクタ境界付近の移動局では、複数のセクタからの信号の伝搬路の状況によっては、フェージングにより周波数領域で連続して振幅が非常に小さくなるサブキャリアができてしまい、セルID同定確率を低下させる可能性がある。
そこで、本発明では、同期チャネル(SCH)にセクタおよびセルの同定機能をもたせることとした。これにより、パイロットチャネルによる相関検出に頼らないセルサーチを実現し、上記の不都合を克服する。以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
(第1の実施形態)
第1の実施形態では、本発明に係るセルサーチ方法について説明する。図1は、本発明に係るマルチキャリア送信処理の主要な手順の一例を示すフローチャートである。図示されるように、OFDM通信方式を採用したマルチキャリア移動体通信システムの基地局は、ダウンリンクに含まれる同期チャネル(SCH)を、3種類のコードを乗算して生成する。すなわち、「同一セル内で共通のセクタ共通符号」に、「セクタ固有符号(同一セル内のセクタ毎に異なる直交符号)」と、「セル固有符号(セル固有情報を伝送するためのセル毎に異なる符号)」を乗算する(ステップS1)。なお、セクタ共通符号は、複数のセル間で共通の符号とする場合もある。
次に、時間・周波数平面における割り当て(マッピング)によって、SCHとパイロットチャネルを、リソースブロックのサブキャリアに割り当てる(ステップS2)。そして、拡散符号の乗算ならびにIFFT処理を実施する(ステップS3、S4)。次に、GI(Guard Interval:ガードインターバル、CP:Cyclic Prefixともいう)の挿入、D/A変換処理を実施する(ステップS5、S6)。最後に、周波数変換を行ない、各セクタの指向性アンテナからマルチキャリアを送信する(ステップS7)。
図2は、本発明に係るマルチキャリア受信処理の主要な手順の一例を示すフローチャートである。移動局は、基地局からのマルチキャリア信号を受信して、周波数変換ならびにA/D変換を実施する(ステップS10)。なお、移動局には、携帯電話端末、PDA端末、携帯可能なパーソナルコンピュータが含まれる。
次に、周期的に配置されたSCHの繰り返し波形に着目した自己相関法によって、SCH位置を検出し、SCHシンボル同期を確立する(ステップS2)。このステップS2が、セルサーチの第1ステップ(段階a)に該当する。次に、GIの除去(ステップS12)、直列/並列変換ならびにFFT(高速フーリエ変換処理)を行なう(ステップS13)。
以下、セクタ同定処理とセル同定処理とが同時に実施される(セルサーチの第2ステップ(段階b))。すなわち、セクタ固有符号を用いた逆拡散によって、最大の受信電力を与えるセクタ固有符号を検出して、最適セクタ(通信すべき基地局のアンテナ)を同定する(ステップS14)。また、これと並行して、セル固有符号の復調(必要に応じて、さらに、セル固有符号との相関検出)を実施し、セル固有情報(セルID等)を取得する(ステップS15)。
サブキャリア数が十分な場合には、この2段階のセルサーチによってセルおよびセクタの同定が完了する。しかし、サブキャリア数が不足する場合は、ステップS15では、セルIDを直接に同定できず、セルIDグループの同定にとどまる。この場合には、パイロットチャネルを利用した相関検出によるセルIDの同定を実施する(ステップS16)。この場合、これが第3ステップのセルサーチ(段階c)となる。
次に、セクタ固有符号(セクタ毎に直交した符号)の生成について説明する。ここでは、セクタ数を“3”とし、互いに直交する3つの符号を生成する場合について説明する。
図3は、直交符号の生成の基礎となる概念を示す図である。図示されるように、複素位相平面上に3本のベクトルが設定されている。複素位相平面は、IQ平面であり、I軸は実数軸に相当し、Q軸は虚数軸に相当する。この複素位相平面上には、振幅“1”で、互いに120度の角度をなす3本のベクトルP1、P2、P3が設定されている。これら3本のベクトルについてベクトル加算をすると、ベクトルP2、P3の虚数軸成分は打ち消される。また、ベクトルP2、P3の実数軸成分同士が加算された結果(=−1)とベクトルP1(=+1)とが打ち消されるため、ベクトル加算の結果は“0”となる。このような関係にある3本のベクトルを用いて3つの直交符号を生成する。
図4は、3つの直交符号(符号1,符号2,符号3)を構成する符号要素の配列と、符号2のみを復調する場合の原理を説明するための図である。図中、横軸は時間軸であり、縦軸は周波数軸である。図4に示されるように、(符号1)=(P1,P1,P1)とし、(符号2)=(P1,P2,P3)とし、(符号3)=(P1,P3,P2)とする。各符号は、図3の3本のベクトルのいずれかを符号要素として用いて構成される。符号2と符号3は、使用される符号要素は同じであるが、周波数軸上における配列が異なる。
ここで、例えば、符号2だけを復調する場合を想定する。この場合、符号2の符号要素P1、P2、P3の各々に、各々の複素共役を乗算する。これにより位相が回転して虚数軸成分はなくなる。そして、各乗算結果を加算すると、実数軸成分(=1)が3つ加算されるため、相関検出結果は“3”となる。同じ複素共役を、符号1および符号2に同様に乗算して加算する。その結果、いずれの符号についても、各符号要素の位相が回転するが、結局、P1、P2、P3のベクトルは消えずに残ることとなる。このため、それらを加算すると、加算結果は“0”となる(図3参照)。このようにして、符号2だけを取り出すことができる。符号1のみを取り出す場合、または符号3だけを取り出す場合も同様である。このように、図4の符号1〜符号3は、3つの符号要素(3チップ)を一組として直交していることになる。
なお、本発明においては、セクタ数は“3”に限定されるわけではない。セクタ数が4以上となる場合もある。この場合にも、上記の考え方を利用すれば、セクタの数に対応した直交符号を容易に生成することができる。すなわち、図3における直交するベクトルの数を増やし、それらのベクトルを図4の手法を用いて、周波数軸上に配置する。これにより、より多くの符号を生成することができる。つまり、周波数軸に配置される一組の符号要素の数が多くなれば、それだけ多くの直交符号を生成することが可能となる。従って、セクタ数が増加した場合にも柔軟に対応することができる。
次に、セル固有情報を、SCHにどのように重畳するかについて説明する。このセル固有情報には、セルID、報知チャネル帯域幅、アンテナ配置、GI長等が含まれる。
図5は、セル固有情報をSCHに重畳する方法を説明するための図である。図5において、横軸は時間軸であり、縦軸は周波数軸である。図5では、位相基準となるサブキャリアには、符号Aが割り当てられている。そして、その位相基準となるサブキャリアに隣接して、そのサブキャリアとの位相差を示す符号(C1,C2,C3・・・)が割り当てられたサブキャリアが配置されている。位相基準となる符号“A”と、その位相差を示す符号(C1,C2,C3・・・)とによって、セル固有情報を伝送するためのセル固有符号が形成される。つまり、セル固有情報は、サブキャリアの絶対位相ではなく、一対のサブキャリアの相対的な位相差を示す情報として伝送されることになる。図5中、点線で囲んで示されるK1、K2、K3・・・が、一対のサブキャリアを示している。
次に、SCHを用いてセクタ固有情報およびセル固有情報を同時に伝送するための符号形式の特徴について説明する。図4に示したように、3セクタの各々を区別するのであれば、互いに直交する3チップ周期の符号があれば十分である。しかし、セル固有情報も同時に伝送しようとすると、図4に示す単純な構成の符号では対応できない。特に、図5に示したようなサブキャリア間の相対的な位相差情報を用いる場合、図4に示す構成の符号でセル固有情報を伝送することは困難である。
すなわち、セクタ固有情報およびセル固有情報は、共に、サブキャリアの位相変調によって伝送されるが、一方の情報が他方の情報に悪影響を与えることがあってはならない。それと共に、受信側では、セルサーチを高速化するために、両情報に関して、同時に復調することができなければならない。そこで、図4に示すように、直交する3チップ(3符号要素)の組を2組用いる。それらを周波数軸上で組み合わせて配置し、その6チップ(6符号要素)を一組として(つまり、その6チップを構成単位として)符号を形成する。
図6(a)〜(d)は各々、セクタ固有情報およびセル固有情報を、SCHに重畳して送信するための符号形式を説明するための図である。図6(a)では、図4に示される直交する3チップ(3符号要素)の組を2組用い、それらを周波数軸上で組み合わせて配置している。そして、その6チップ(6符号要素)を一組として符号を形成する場合の各チップの配置の一例を示している。ここでは、その6チップを一つの構成単位としている。
図6(a)は、3チップ(=P1,P2,P3)と、他の3チップ(=P1,P2,P3)とを、同じ値の符号要素同士が周波数軸上で隣接するように、交互に入り組ませて配置する様子を示している。これによって、図6(b)に示すような6チップの符号(=P1,P1,P2,P2,P3,P3)が生成される。この6チップの符号のうちの3チップは、セクタ固有符号として使用され、残りの3チップは、セル固有情報を乗算するために使用される。
すなわち、図6(c)に示すように、奇数番目の3チップ(=P1,P2,P3)は、図4で示した手法による相関検出(セクタ同定)に使用される。一方、偶数番目の3チップ(=P1,P2,P3)は、セル固有情報としての相対的な位相差情報を示す符号(C1〜C3)が乗算される。図5で示したように、「相対的な位相差情報」とは、「同じ値のセル固有符号が乗算されているサブキャリア間の位相差情報」である。図6(c)では、奇数番目の3チップ(=P1,P2,P3)の各々が配置されているサブキャリアが、位相基準となるサブキャリアである。
例えば、(P1,P1)という同じ値のセクタ固有符号が割り付けられている2つのサブキャリアをペアとし、高周波数側のP1に対して位相差を示すC1を乗算し、このC1を、セル固有情報を伝えるための符号とするものである。同様に、(P2,P2)という同じ値のセクタ固有符号が割り付けられている2つのサブキャリアをペアとし、高周波数側のP2に対して位相差を示すC2を乗算し、このC2を、セル固有情報を伝えるための符号とする。なお、図6(c)において、位相差情報を示す符号C1、C2、C3は、点線の丸で囲っている。Cn=(C0,C1,C2・・・)が、セル固有符号となる。
上記の説明では、便宜上、「セクタ固有符号」がサブキャリアに割り当てられた後に、「セル固有符号」がさらに割り当てる、という順番で説明している。しかし、実際は、「セル固有符号」の割り当て(乗算)が、「「セクタ固有符号」の割り当て(乗算)に優先して行なわれる場合もあり得る。どちらの乗算が先でも、その結果は同じである。つまり、結果的に、セクタ共通符号(s0)と、セル固有符号と、セクタ固有符号とが、SCHに3重に乗算されるのである。このため、セル固有符号の乗算、セクタ固有符号の乗算のどちらが早いかについては、本質的な問題ではない。なお、上述の「セクタ共通符号(s0)」は、同一セル内の複数のセクタに共通の符号であり、本明細書では、単に「セクタ共通符号」という場合がある。
図6(c)のような符号構成の場合、同じ値のセクタ固有符号が割り当てられたサブキャリア同士が周波数軸上で隣接して配置されているため、双方のサブキャリアは、等価な伝搬路を経由して受信側に到達する確率が高い。このため、伝搬路の伝達関数の差による位相回転を無視できるという利点がある。従って、受信側は、セル固有符号に起因した隣接するサブキャリアの位相差のみを精度よく検出することができる。これにより、セル固有情報の復調が可能である。
ただし、セクタ固有符号の構成は、図6(b)のような構成に限定されるものではない。例えば、図6(d)のように、セクタ3チップの(P1,P2,P3)同士を、単純に周波数軸上に2段に重ね合わせるような配置であってもよい。セル固有情報の伝送に関しては、例えば、(P1,P1)という同じ値のセクタ固有符号が割り付けられている2つのサブキャリアをペアとし、高周波数側のP1に対して位相差を示すC1を乗算し、このC1をセル固有情報とする点は、図6(c)の場合と同様である。
このように、本発明では、同期チャネル(SCH)に、セクタ毎に直交するセクタ固有符号を乗算する。すなわち、セクタに関して非直交であったSCHを直交化する。そして、SCHを用いた受信電力測定によってセクタ同定を可能とし、セクタ境界においても良好な周波数特性によって高品質なセクタ同定が可能とした。さらに、セル固有符号もSCHに乗算して同時に送信することによって、セルIDの同定も可能とする。
従って、SCHとCPICHを併用した従来の3段階セルサーチ方法に代わり、新たな2段階セルサーチ方法を実現することができる。これにより、セクタ同定を含むセルサーチの処理プロセスを短縮することができる。また、セクタの同定とセルの同定を両立させるためには、SCHに乗算する符号構成に工夫が必要であるが、本発明では、複数チップを単位とする直交符号を対にして用いた。すなわち、同じ値をもつ符号の一方に、さらに、相対的位相差を示す符号を乗算し、その相対的位相差によってセル固有情報を伝送する。これにより、符号が、シンプルかつコンパクトになると共に、セクタおよびセル双方の同定用情報の伝送を行なうことが可能となる。
その結果、マルチキャリア送受信装置において特別な負担が発生することがなくなる。また、マルチキャリア受信装置では、セクタIDの同定と、セル固有情報の復調とを、同時に実施することができ、効率的なセルサーチを実施することができる。
(第2の実施形態)
本実施形態では、SCHをサブフレームの後端に配置する場合を例にとって、SCHのデータ構造およびセクタ同定を含むセルサーチ方法について説明する。
セルラーシステムとは、複数のセルから構成される移動体通信システムであるが、本実施形態で使用されるセルラーシステムは、各セルが同一の周波数帯を使用し、通信方式にOFDMA通信方式を用いた1セル繰り返し通信システムである。この通信システムは、図23に示したように、セルを3つの通信領域(セクタ)に分割し、セルの中心部に設置された1つの基地局により複数のセクタに位置する移動局と無線通信を行なう。各セクタでは同一の周波数帯が使用されるが、パイロットチャネルにセクタ固有の直交符号を乗算しておき、逆拡散を用いることによって、セクタ境界付近においても正確な伝搬路推定を行なうことができる。
下り方向の通信方式は、前述と同様のOFDM通信方式である。通信フレームおよびリソースブロックの構成は、各々、図22および図28に示されるものと同じ形式である。また、フレームをSs等分した(Ssはサブフレーム数Sf(自然数)の約数)時間期間の後端に、SCHが配置される構成を採る。これによって、時間軸上で、SCHは、周期的に配置されることになる。図24に示した実施形態においては、Sfは10、Ssは2である。
パイロットチャネルに関しても、本実施形態では、セクタ間で同一シンボルの同一サブキャリアに多重する方式(CDM:Code Division Multiplex)方式を使用する。ただし、同一シンボルで異なるサブキャリアに多重する方式(FDM:Frequency Division Multiplex)方式、または異なるシンボルで同一のサブキャリアに多重する方式(TDM:Time Division Multiplex)方式など、セクタ間のパイロットチャネルが互いに直交関係となっている方式に適用することができる。
本実施形態では、パイロットチャネルに乗算される直交符号に対応する符号系列を乗算した信号を、各セクタから送信されるSCHとしてCDM送信する。これにより、移動局は、基地局からの信号の受信電力を判定する際に、符号の拡散効果によって、セクタ境界においても良好な周波数特性を実現することができる。それと共に、セクタ毎の受信電力を判定することが可能になる。なお、このパイロットチャネルに乗算される直交符号に対応する符号系列は、必ずしもパイロットチャネルに乗算されている符号系列と同一でなくても良い。
まず、本実施形態における移動体通信方式において、移動局が基地局から送信される送信信号に対して、時間および周波数の同期を行なうための物理チャネル(以下、「SCH」と呼ぶ)に関し、その具体的な構成について説明する。
図7は、周波数軸上におけるサブキャリアインデックス(サブキャリア番号)を示す図である。図示されるように、低周波数側(最下端)のサブキャリアの番号が1であり、中心周波数におけるサブキャリアの番号が“n+1”である。以下の説明では、このサブキャリアインデックスを適宜使用する。
図8(a)〜(c)は各々、同一セル内の3つのセクタから同時に送信されるSCHのデータ構造を説明するための図である。図8(a)は、周波数軸上におけるセクタ共通符号の割り当てを示す図であり、図8(b)は、3つのセクタ固有符号の構成を示す図である。そして、図8(c)は、セクタ固有符号の生成の基礎となる概念を示す図であり、複素位相平面上におけるベクトルを示す。
基地局から送信される信号のフレームは、複数のシンボルから構成される。図8は、この複数のシンボルのSCHデータに着目して図示したものである。図8では、縦軸を周波数軸、横軸を時間軸として示している。各サブキャリアは、図4に示した場合と同様に、低周波数側から偶数番目のサブキャリア(サブキャリアインデックス2、4、6、・・・、2n)と中心周波数サブキャリアをヌルサブキャリアとしている。そして、中心周波数サブキャリアを除く奇数番目のサブキャリア(サブキャリアインデックス1、3、5、・・・、2n+1)を、データ割り当て用のサブキャリアとして使用する。
図8(a)に示した信号は、セクタ共通符号を示している。各SCHサブキャリアにはs0が割り当てられている。s0は、A*exp(jω)で表される任意の値である。ここで、Aは振幅、jは虚数単位、ωは位相を示す。ただし、本明細書では、振幅Aを1として説明する。セクタ共通符号s0は、各セル内のすべてのセクタで共通であるため、セル間の信号をランダムにするために使用することが可能である。
次に、セクタ固有符号について説明する。図8(b)は、セクタ固有符号を3セクタで使用する場合について示したものである。符号は、同一セル内の各セクタで固有の符号であり、符号1〜3が本実施形態である3セクタに対応する。移動局および基地局は、これらの符号と同一セル内のセクタIDの対応に関して予め知っているものとする。セクタ固有符号として、SCHサブキャリアに乗算される符号系列は、低周波数側から奇数SCHサブキャリア(サブキャリアインデックス1、5、9、・・・)から偶数SCHサブキャリア(サブキャリアインデックス3、7、11、・・・)への位相差は、各セクタで0°、0°、0°となっている。偶数SCHサブキャリアから奇数SCHサブキャリアへの位相差は、各セクタで0°、120°、240°となっている。
それぞれの符号は、振幅が1の符号である。また、これらの符号系列は6チップ繰り返し(6チップで1周期)になっているため、SCHサブキャリアの数nは、6の整数倍になっている。これらの3つ符号系列の1繰り返し部分(6チップ)を見ると、任意の符号系列の複素共役を各符号系列に乗算し、1チップおきに3チップずつを加算すると、選択した任意の符号系列以外の符号系列に乗算した場合にはその和が0になる。また、任意の符号系列に乗算した場合にはその和が3になる。
例えば、符号1の(exp(j0π)、exp(j0π)、exp(j0π)、exp(j0π)、exp(j0π)、exp(j0π))と符号2の(exp(j0π)、exp(j0π)、exp(j2π/3)、exp(j2π/3)、exp(j4π/3)、exp(j4π/3))と符号3の(exp(j0π)、exp(j0π)、exp(j4π/3)、exp(j4π/3)、exp(j2π/3)、exp(j2π/3))の場合を考える。任意の符号として符号2を選択すると、符号2の複素共役は、(exp(j0π)、exp(j0π)、exp(-j2π/3)、exp(-j2π/3)、exp(-j4π/3)、exp(-j4π/3))になる。符号1から符号3のそれぞれに符号2の複素共役を乗算した符号はそれぞれ、(exp(j0π)、exp(j0π)、exp(-j2π/3)、exp(-j2π/3)、exp(-j4π/3)、exp(-j4π/3))、(exp(j0π)、exp(j0π)、exp(j0π)、exp(j0π)、exp(j0π)、exp(j0π))、(exp(j0π)、exp(j0π)、exp(j2π/3)、exp(j2π/3)、exp(-j2π/3)、exp(-j2π/3))となる。さらに、それぞれのチップの奇数番目と偶数番目をベクトル加算すると、それぞれ(0,0)、(3,3)、(0,0)となり、任意の符号として選択した符号2以外の符号の和が0になるという特徴を持つ符号系列になっている。このことは、同一セル内の各セクタから各セクタに対応する直交符号(図8(b))が乗算された同一データのSCHが同時送信された場合、SCHを受信した移動局は、SCHを所定の3チップ毎に逆拡散することによって任意のセクタからの信号と隣接セクタからの干渉信号とを分離することができることを意味する。
次に、セル固有情報を伝送するための符号系列について説明する。図9は、周波数軸上において、セル固有情報を伝送するための符号系列の構成を示す図である。図9に示す符号系列は、セル固有情報を伝送するための符号系列であるため、各々のセル間で異なる符号系列を使用する。しかし、同一セル内のセクタ間では同一の符号系列を使用する。セル固有情報とは、セルIDもしくはセルで使用する固有の拡散符号の情報と基地局のアンテナ数およびシステム帯域幅の情報などである。セル固有情報には、移動局が基地局と最初に接続するときに必要とされる情報が含まれている。
しかしながら、拡散符号情報は、それを構成する符号長によっては非常に多くの符号数となるため、図9に示した符号では、通知のための情報量が不足する場合がある。このような場合、いくつかのセル(拡散符号)をグループ化し、そのグループに属するセルでは同一の情報によって符号系列を作成することも可能である。この場合、SCHからの情報ではセル固有の拡散符号が完全に同定できないため、拡散符号が乗算されたパイロットチャネルによって最終的なセル固有拡散符号を同定することになる。
図9の符号系列は、低周波数側より6チップを一組として構成されている。6チップは奇数番目のSCHサブキャリア(サブキャリアインデックス1、5、9)に同一の符号を割り当てる。また、偶数番目のSCHサブキャリア(サブキャリアインデックス3、7、11)には、奇数番目に割り当てた符号にセル固有符号を乗算した符号を割り当てる。奇数番目のサブキャリアに割り当てた符号は6チップ内で同一であるが、他の6チップで使用する符号と同一である必要はない。符号系列を形成する各チップは、それぞれの振幅が1である。また、符号長はSCHサブキャリア数をnとした場合にはn/2の符号長の符号系列が、前記偶数番目のSCHサブキャリアを形成するために必要となる。符号長はSCHサブキャリア数に依存するため、SCHサブキャリア数が十分長い場合には、一般的に相関特性のより良い符号系列を数多く生成できる。このため、前述したようにセルIDグループを示す符号系列ではなく、直接セルIDを示す情報を含む符号系列で構成することも可能になる。
以上に示した3種類の符号系列がSCHを構成する符号系列であり、これらの符号系列を乗算し各セクタの送信機からSCHが送信される。次に、基地局の構成について説明する。
図10は、移動体通信システムの基地局(マルチキャリア送信装置)における、物理レイヤおよびMAC(Media Access Control)サブレイヤの構成例を示すブロック図である。図示されるように、基地局は、論理チャネルと物理チャネルのマッピング、スケジューリング処理、物理層部の制御を行ない、上位層から入力されたデータを物理層部へ出力する一方、物理層部から入力されたデータを上位層へ出力するMAC部10と、このMAC部10より入力された伝送データの無線送信信号への変換および、アンテナ部で受信した無線受信信号の伝送データへの変換をMAC部からの制御情報に基づき行なう物理層部20a〜20cと、を備える。
MAC部10は、上位層より通知されるフレームの各リソースブロックの割り当て情報に基づき送信回路部を制御する送信回路制御部16と、各リソースブロックのデータチャネル、パイロットチャネルなどの物理チャネルのデータをスケジューリングされたタイミングに合わせ送信回路部に入力する送信データ出力部14と、SCHに割り当てるためのセル固有情報を生成または記憶するSCHデータ生成部12と、を備える。
本実施形態においてSCHは、移動局が基地局から送信されるフレームおよびシンボルに時間的に同期し、セル固有情報を取得するためのチャネルである。ゆえにSCHデータが可変でない場合にはMAC部10から必ずしも送信毎にデータを生成する必要はなく、MAC部10の内部またはセクタに対応した各物理層部(20a〜20c)で記憶しておき、SCH送信タイミングに合わせそのシンボルに割り当てることにより定期的に送信することができる。本実施形態では、MAC部10内のSCHデータ生成部12によりSCHデータの生成を行なうが、この機能を各セクタの物理層部(20a〜20c)に持たせて実施することも可能である。
SCHデータは、他のデータチャネルのデータと共にMAC部10から物理層部(20a〜20c)に入力される。SCHデータおよびデータチャネルのデータはMAC部10の送信回路制御部16から通知される各リソースブロックの割り当て制御情報と共に物理層部(20a〜20c)に入力され、リソースブロックの割り当て情報に従い各リソースにデータが割り当てられる。
物理層部(20a〜20c)は、MAC部10より入力されたデータチャネル、パイロットチャネルおよびSCHに対して変調およびセクタ固有符号の乗算を行ない、リソースブロックに多重した後、アナログ回路部(26a〜26c)に入力する送信回路部(24a〜24c)と、アナログ回路部(26a〜26c)からの出力を復調しMAC部10に入力する受信回路部(22a〜22c)と、送信回路部(24a〜24c)から入力される送信信号を無線周波数に変換し、アンテナ部(28a〜28c)より受信された受信信号を受信回路部(22a〜22c)で処理できる周波数帯に変換するアナログ回路部(26a〜26c)と、アナログ回路部(26a〜26c)より入力された送信信号を無線空間に送信し、無線空間中の信号を受信するアンテナ部28(各セクタに対応した指向性アンテナ28a〜28cを具備する)と、を備える。
次に、送信回路部(24a〜24c)の具体的な内部構成について説明する。図11は、図10に示される送信回路部の具体的な構成を示すブロック図である。送信回路部24(図10の参照符号24a〜24c)は、MAC部10より入力されたデータチャネルおよびパイロットチャネルの符号化および変調を行なうと共に、前述したSCHデータを変調した後、セクタ固有符号を乗算し、データチャネル、パイロットチャネルと割り当て部にてMAC部からの制御信号に基づいて、リソースブロックに多重し送信を行なう。
図11における「SCHデータ」とは、セクタ共通符号(図8(a)参照)にセル固有符号(図9参照)を乗算した符号データを指す。そして、それらの符号データに各セクタの物理層部にて、セクタ固有符号(図8(b)参照)を乗算したものが送信される。
図11に示す送信回路部24(24a〜24c)は、MAC部10より入力されたデータチャネルに対し、リソースブロック毎に送信データの信号処理を行なう信号処理部50(50a〜50c)と、同じくMAC部10より入力されたSCHデータの変調およびセクタ固有符号の乗算を行なうSCHデータ処理部60とを備えている。また、同じくMAC部10より入力されたパイロットチャネルデータの変調およびセクタ固有の直交符号の乗算を行なうパイロットチャネルデータ処理部70と、信号処理部50(50a〜50c)からの出力信号とSCHデータ処理部60からの出力信号とパイロットチャネルデータ処理部70からの出力信号を、リソースブロックの各サブキャリアに割り当てる割り当て部81とを備えている。
また、拡散符号生成部83にて生成される拡散符号を用いて拡散符号の乗算を行なう拡散符号乗算部82と、拡散処理を経た周波数領域のデータ信号列を時間波形に変換するIFFT(Inverse Fast Fourier Transform)部84と、IFFT部84の出力を並列直列変換するP/S変換部85と、P/S変換部85の出力に対してGIを挿入するGI挿入部86と、GI挿入部86の出力信号をデジタル信号からアナログ信号に変換するD/A変換部87と、を備えている。割り当て部81および拡散符号乗算部82は、共にMAC部10からの制御情報に基づいて処理を行なう。割り当て部81は、各物理チャネルを所望のサブキャリアに割り当てる。拡散符号乗算部82は、SCHを除く物理チャネルに拡散符号を乗算する。
信号処理部50(50a〜50c)は、送信データの誤り訂正符号化を行なう誤り訂正符号化部51と、誤り訂正符号化部出力を並列直列変換するS/P変換部52と、S/P変換部の出力に対し、BPSK、QPSK、16QAMなどの変調処理を行なう変調部53と、により構成される。
また、SCHデータ処理部60は、MAC部10より入力されるSCHデータに対し変調処理を行なうSCH変調部61と、SCH変調部の出力にセクタ固有符号を乗算する乗算部62と、セクタ固有符号を生成(または記憶)するセクタ固有符号生成部63と、により構成される。
また、パイロットチャネル処理部70は、MAC部10より入力されるパイロットデータに対し変調処理を行なうパイロットデータ変調部71と、パイロットデータ変調部71の出力にセクタ固有符号を乗算する乗算部72と、セクタ固有符号を生成(または記憶)する符号生成部73により構成される。
信号処理部50(50a〜50c)の出力は、MAC部10の送信回路制御部(図10の参照符号16)より通知される制御情報に基づき適切なサブキャリアに割り当てる割り当て部81において、適切なサブキャリアに割り当てられた後、IFFT部84に出力される。
ただし、図8(b)に示した符号1をセクタ固有符号として使用する場合には、すべての符号が1であるため、乗算部(62、72)および符号生成部(63、73)を省略することが可能である。また、前述したようにSCHデータを固定値とする場合には必ずしもSCH送信毎にMAC部10よりSCHデータを出力する必要はない。このため、SCHデータ処理部60に代えて、SCHデータ記憶部などを設け、SCHデータを記憶しておいてもよい。これにより、SCHを送信する毎にそのSCH記憶部からSCHデータを読み出して、割り当て部81にてデータチャネルおよびパイロットチャネルと多重することも可能である。
D/A変換部87の出力は、無線周波数への周波数変換を行なうアナログ回路部(図10の参照符号26a〜26c)を経て、アンテナ部28(図10の指向性アンテナ28a〜28c)から大気中に、無線信号として送信される。
以上のように、複数のセクタを制御する基地局の送信機では、SCHデータにセクタ固有符号を、同一のSCHデータに乗算し、それぞれのセクタに対応するアンテナから同時に送信する。これにより、高品質な周波数特性を持ったSCH受信が可能になる。それと共に、SCH受信時に最適なセルが選択可能となり、受信が良好なセクタの選択も可能となる。
次に、マルチキャリア受信機の構成について説明する。図12は、本発明に係るマルチキャリア受信機の構成を示すブロック図である。このマルチキャリア受信機は、携帯電話端末、PDA端末、携帯可能なパーソナルコンピュータなどに該当する。図示されるように、マルチキャリア受信機は、アンテナ部100と、アナログ受信回路部101と、A/D変換部102と、タイミング検出部103と、GI除去部104と、S/P(直列/並列)変換部105と、FFT部106と、拡散符号乗算部107と、サブキャリア補償部108と、復調部109と、誤り訂正復号化部110と、拡散符号生成部111と、SCH信号処理部200と、を備える。SCH信号処理部200は、セクタ同定のための逆拡散部210と、セクタ電力判定部220と、セル固有情報を復調するSCHデータ復調部230と、を備える。
このマルチキャリア受信機(以下、単に「受信機」という場合がある)は、基本的には、図2に示すフローチャートに従って、セクタ同定を含むセルサーチを実施する。まず、受信機は、基地局から送信される信号との時間的同期および周波数のずれを補正するため受信信号からSCHタイミングを検出する。すなわち、基地局から送信された無線信号をアンテナ部100にて受信し、受信した無線信号を無線周波数帯からベースバンド周波数帯にアナログ受信回路部101で変換する。そして、A/D(アナログ/デジタル)変換部102が、ベースバンド周波数帯に変換されたアナログ信号を、デジタル信号に変換する。
次に、タイミング検出部103は、シンボル同期を行なうために、A/D変換部102でデジタルデータに変換された受信データからSCHの検出処理を行なう。ここで、タイミング検出部103の回路構成について説明する。
図13は、タイミング検出部103の構成例を示すブロック図である。タイミング検出部103は、タイミング検出および周波数誤差検出の機能を有する。図13に示すように、このタイミング検出部103は、遅延部301と、複素共役算出部302と、乗算器303と、平均部304と、ピーク検出部305と、周波数誤差検出部としてのアークタンジェント算出回路307と、を備える。
この構成から明らかなように、タイミング検出部103は、受信した信号を1/2有効シンボル遅延した信号の複素共役と受信データを乗算することにより、1/2有効シンボルの同一波形が繰り返されたときにピークが検出される回路となっている。すなわち、前述した低周波数側から奇数番目のサブキャリア(サブキャリアインデックス1、3、5、・・・、2n+1)を使用したSCHデータのタイミングになった場合にピークが検出される。複数のセルからの信号により複数のピークが検出されるが、一般的には最も相関値の絶対値または実数部のピークが高いタイミングを最も近いセルから送信されたSCHのタイミングとして判定し、基地局との接続動作を開始する。
図24で示したフレーム構成の場合、SCHが配置されている間隔であるフレームの半分の時間間隔で同期を取ることができる。同時にSCHシンボルと同期を取ることによってシンボル同期を行なう。また、SCHシンボルのサブフレーム内の位置を固定しておくことによりサブフレーム周期での同期も同時に行なうことができる。
図12において、タイミング検出部103でシンボル周期での同期を終えた後、前述したシンボル周期に合わせて、GI除去部104で有効シンボルの前に付けられたGI部を各シンボルから取り除く。GIを除去されたシンボルは、S/P(直列/並列)変換部105で直列信号から並列信号に変換され、FFT部106にてFFT処理を施される。
SCHシンボル部のデータは、FFT部106から、SCHデータを処理するSCH信号処理部200へ入力される。また、パイロットチャネルおよび移動局への制御情報を含むデータチャネルは、FFT部106から、拡散符号乗算部107へ入力される。移動局が基地局への最初の接続を行なう際には、セル固有情報およびセクタ固有情報を取得していないため、SCH信号処理部200での処理が優先して行なわれる。SCH信号処理部200では、SCHシンボルのデータが、FFT部106から、本実施形態のセクタ数に対応する3つの乗算部212と、SCHデータ復調部230とのそれぞれに同時に入力される。
乗算部212では、MAC部(図示せず)からの制御情報により、セクタ固有符号生成部211で生成または記憶されたセクタ固有符号(図8(b))の乗算が実施される。各乗算部212では、セクタ固有符号生成部211より入力されたセクタ固有符号の複素共役を算出し、FFT部106から入力されたSCHシンボルの奇数番目のSCHサブキャリア(サブキャリアインデックス1、5、9、・・・)に対して、基地局から送信時にセクタ固有符号を乗算したサブキャリアと対応するように複素共役の符号を乗算する。さらに、複素共役の乗算されたデータは、加算部214に入力され、同相加算が実施される。すなわち、セクタ固有符号の繰り返し周期である6サブキャリアの中の複素共役を乗算した3サブキャリアのデータが加算される。この処理の様子が、図14の処理1、処理2に示される。
図14は、セクタ同定のための逆拡散処理の具体的な内容を示す図である。図14において、pxは、図8(b)に示したセクタ固有符号であり、xは、セクタのインデックスを表している。また、fは、伝搬路を示しており、逆拡散を施すサブキャリア間隔である9サブキャリアの帯域内で一定としている。
さらに、図12において、逆拡散処理が施されたデータを1/3倍し、自乗平均したデータがセクタ電力判定部220に入力される。各セクタからの自乗平均したデータは、セクタ電力判定部220における受信電力判定の指標となる。
セクタ電力判定部220は、3つのセクタにそれぞれ対応する加算部214から入力される加算結果を示すデータを比較する。そして、最も受信電力が高いセクタ、すなわち最も受信環境が良好で接続を行なうセクタを決定する。セクタ検出結果は、MAC部に制御信号によって通知される。
一方、図12において、FFT部106からSCHデータ復調部230に入力されたSCHシンボルデータ(セクタ共通符号にセル固有情報が乗算されたデータ)は、図15に示した復調方法により復調される。
図15は、セル固有情報の復調処理を説明するための図である。図15の処理は、一対のサブキャリアのうち、低周波数側のサブキャリアに割り当てられているセル固有符号の複素共役を、高周波数側のサブキャリアに乗算し、これによって、相対的な位相差情報(つまり、セル固有情報)を復調する処理である。
図12におけるSCHデータ復調部230では、SCHシンボルの低周波数側から奇数番目のSCHサブキャリア(サブキャリアインデックス1、5、9、・・・)のデータの複素共役とその高周波数側の偶数番目のSCHサブキャリア(サブキャリアインデックス3、7、11、・・・)のデータを乗算する。
図15に示すように、乗算結果の理想値は、各セクタと移動局間の伝搬路fとセル固有符号cで構成される。cは、振幅が1の複素数であることから位相を導出することにより容易に求められる。ここで、fxyのxは、セクタID(セクタ識別番号に該当し、セクタインデックスともいう)を示し、yは乗算される2つのサブキャリアの伝搬路における周波数方向のインデックスとする。また、乗算される2つのサブキャリア間での伝搬路は同一と仮定している。
セル固有情報を復調する際には、セル固有情報の符号系列から基地局でセル固有情報の通知に使用する可能性のある候補の符号(Cn)のレプリカを、SCHデータ復調部230で作成する。そして、実際に前述の方法で算出された結果と相互相関を取ることによってもセル固有情報を判定・取得することができる。実際は、このように相互相関処理による判定を行なうのが望ましい。
本実施形態においては、SCHシンボルがフレーム内に2箇所設定されており、遅延相関によるシンボル同期時にはフレームの1/2の周期で同期を取れた状態となる。フレーム周期で同期を行なうには、前述のセル固有符号cにより示される情報にフレーム内のSCHのどちらかを示す情報を含めておく。または、SCHからの時間的な位置が一定となるシンボルに情報を割り当てておいても良い。
また、前述したように、拡散符号情報は、それを構成する符号長によっては非常に多くの符号数となるため、セル固有情報を通知するための情報量が不足する場合がある。すなわち、SCHに使用するサブキャリアの本数によっては、セル固有情報を通知するために十分な情報量がないため、セル固有の拡散符号を示す情報ではなく、セルをいくつかのグループに分けたグループを示す情報が通知される場合も考えられる。その場合には、グループに分けられたセルのすべての考えられる拡散符号に対して、以下の検出を行なう必要がある。
すなわち、セルの拡散符号検出にパイロットチャネルを使用し、パイロットチャネルとそれに乗算された符号(セル固有符号と直交符号)を乗算したレプリカ信号を作成する。この作成したレプリカ信号と実際の受信信号の相互相関を、前述したセルグループ内のすべてのセルに対する拡散符号候補に関して相関検出を行なう。すべての相関検出が終了し、最も高い相関値を示した拡散符号候補を最も近い基地局で使用している拡散符号として判定する。これが一般的な方法である。ただし、本実施形態では前述のセクタ判定で決定したセクタの直交符号のみを使用することにより相互相関検出処理を短縮できる。
セル固有符号cの符号系列には、他のセルの情報を示す符号との相互相関特性に優れた符号であることがより望ましい。具体的にはWalsh‐Hadamard符号系列またはGeneralized Chirp Like (GCL)符号系列などが望ましい。
以上のようにして復調されたSCHデータは、MAC部へ送られる。MAC部では、この情報に従って受信を行ない、基地局との接続を行なうことができる。一般的には基地局から送信されるデータチャネルの受信には以下のような構成が必要である。なお、これ以外の受信回路を使用することも可能である。
図12において、FFT部106によりFFT処理を施されたデータチャネルおよびパイロットチャネルは、セル固有情報に含まれるセル固有の拡散符号により拡散されている。このため、拡散符号乗算部107でセル固有の拡散符号の複素共役が乗算される。セル固有の拡散符号は、拡散符号生成部111から出力される。拡散符号生成部111では、複数の拡散符号から所望のセルの拡散符号が上位階層からの制御信号によって選択される。
また、セクタ固有の直交符号も同時に拡散符号生成部111により選択され、拡散符号乗算部107に入力される。入力された直交符号は、拡散符号乗算部107にてパイロットチャネルに乗算される。符号が乗算されたデータは、サブキャリア補償部108にてパイロットチャネルを基準信号として、サブキャリア補償が施され復調部109に入力される。復調部109では、データチャネルの復調が行なわれ、さらに、誤り訂正復号化部110にて、誤り訂正・復号化が行なわれる。
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。前掲の第2の実施形態においては、フレーム毎にSCHが挿入され(図24)、これに伴い1サブキャリアおきにヌルサブキャリアが設定されていた(図25)。
本実施形態では、図16に示すように、帯域の中心にあるサブキャリア(DCサブキャリア)を除くサブキャリアをSCHサブキャリアとする。また、フレーム内のSCHシンボルの配置を図19に示したように、フレーム内の特定の時間的位置に2シンボル連続して同一のSCHシンボルを配置する。図19は、第3の実施形態におけるフレーム構成を示す図である。
つまり、本実施形態においては、前掲の第2の実施形態と比較して、SCHサブキャリアの数が2倍であるため、セル固有情報に使用できる符号長が長くなる。従って、より情報量の多いSCH信号を送受信することができることになる。
図16は、SCHが割り当てられたサブキャリアを示す図である。本実施形態では、SCHは、周波数軸上において図16に示すように構成されている。すなわち、図16は、基地局から送信される信号のフレームを構成する複数のシンボルのSCHデータに注目して図示したものであり、縦軸を周波数軸、横軸を時間軸として示している。各サブキャリアは、図16に示したように、中心サブキャリア(DCサブキャリア)を除くサブキャリアにSCHデータを割り当てるサブキャリアとして使用している。
以下、SCHを構成するサブキャリア(SCHサブキャリア)数を2nとして以降の説明を行なう。図17(a)、(b)は、第3の実施形態におけるSCHのデータ構造を示す図である。図17(a)は、SCHに乗算されるセクタ共通符号の周波数軸上における配置を示す図であり、図17(b)は、3つのセクタ固有符号を示す図である。
図17(a)は、セクタ共通符号を示している。各SCHサブキャリア(サブキャリアインデックス1、2、3、・・・)にはs0が割り当てられている。s0はA*exp(jω)で表される任意の値である。ここで、Aは振幅、jは虚数単位、ωは位相を示す。セクタ共通符号s0は、各セル内のすべてのセクタ(本実施形態では3つのセクタ)で共通である。前述の第2の実施形態と同様に、移動局に既知のs0を使用することによりSCHに乗算されたセル固有符号の復号に利用することが可能である。
図17(b)は、セクタ固有符号を、第3の実施形態である3セクタで使用する場合の例に関して示したものである。符号は同一セル内の各セクタで固有の符号であり、符号1から3が、第2の実施形態である3セクタに対応する。移動局および基地局は、これらの符号と同一セル内のセクタIDの対応に関して予め知っているものとする。セクタ固有符号として、SCHサブキャリアに乗算される符号系列は、低周波数側から奇数番目のSCHサブキャリア(サブキャリアインデックス1、3、5、・・・)から偶数番目のSCHサブキャリア(サブキャリアインデックス2、4、6、・・・)への位相差が各セクタで0°、0°、0°となっており、偶数番目のSCHサブキャリアから奇数番目のSCHサブキャリアへの位相差が各セクタで0°、120°、240°となっている。それぞれの符号は振幅が1の符号である。また、これらの符号系列は6チップ繰り返し(6チップで1周期)になっているため、SCHサブキャリアの数2nは6の整数倍になっている。
これらのセクタ固有符号の1繰り返し部分(6チップ)を見ると、任意の符号系列の複素共役を各符号系列に乗算し、1チップおきに3チップずつを加算すると選択した任意の符号系列以外の符号系列に乗算した場合にはその和が0になり、任意の符号系列に乗算した場合にはその和が3になる。
例えば、符号1の(exp(j0π)、exp(j0π)、exp(j0π)、exp(j0π)、exp(j0π)、exp(j0π))と符号2の(exp(j0π)、exp(j0π)、exp(j2π/3)、exp(j2π/3)、exp(j4π/3)、exp(j4π/3))と符号3の(exp(j0π)、exp(j0π)、exp(j4π/3)、exp(j4π/3)、exp(j2π/3)、exp(j2π/3))の場合を考えると、任意の符号として符号2を選択すると、符号2の複素共役は(exp(j0π)、exp(j0π)、exp(-j2π/3)、exp(-j2π/3)、exp(-j4π/3)、exp(-j4π/3))になり、符号1から符号3のそれぞれに符号2の複素共役を乗算した符号はそれぞれ(exp(j0π)、exp(j0π)、exp(-j2π/3)、exp(-j2π/3)、exp(-j4π/3)、exp(-j4π/3))、(exp(j0π)、exp(j0π)、exp(j0π)、exp(j0π)、exp(j0π)、exp(j0π))、(exp(j0π)、exp(j0π)、exp(j2π/3)、exp(j2π/3)、exp(-j2π/3)、exp(-j2π/3))となる。
さらに、それぞれのチップの奇数番目と偶数番目をベクトル加算すると、それぞれ(0,0)、(3,3)、(0,0)となり、任意の符号として選択した符号2以外の符号の和が0になるという特徴を持つ符号系列になっている。このことは、同一セル内の各セクタから各セクタに対応する直交符号(図17(b))が乗算された同一データのSCHが同時送信された場合、SCHを受信した移動局は、SCHを所定の3チップ毎に逆拡散することによって、任意のセクタからの信号と隣接セクタからの干渉信号を分離することができることを意味する。
図18は、第3の実施形態におけるセル固有符号の配置を示す図である。図18に示す符号系列は、セル固有情報を伝送するための符号系列であるため、各々のセルで異なる符号系列を使用するが、同一セル内のセクタ間では同一の符号系列を使用する。セル固有情報とは、セルで使用する固有の拡散符号の情報と基地局のアンテナ数およびシステム帯域幅の情報などであり、移動局が基地局と最初に接続するときに必要とされる情報が含まれている。
しかしながら、拡散符号情報は、その符号長によっては非常に多くの符号数がとれるため、図18に示した符号では情報量が不足する場合がある。このような場合、いくつかのセルをグループとし、そのグループに属するセルでは同一の情報によって符号系列を作成することも可能である。この場合、SCHからの情報ではセル固有の拡散符号が完全に同定できないため、拡散符号が乗算されたパイロットチャネルによって最終的なセル固有拡散符号を同定することになる。
図18に示す符号系列は、低周波数側より6チップを一組として構成されている。6チップのうち、奇数番目のSCHサブキャリアには同一の符号を割り当て、偶数番目のSCHサブキャリアには奇数番目に割り当てた符号にセル固有符号を乗算した符号を割り当てる。奇数番目のサブキャリアに割り当てた符号は、6チップ内で同一であるが、他の6チップで使用する符号と同一である必要はない。符号系列を形成する各チップは、それぞれの振幅が1である。また、符号長は、SCHサブキャリア数を2nとした場合には、nの符号長の符号系列が、偶数番目のサブキャリアを形成するために必要となる。
符号長は、SCHサブキャリア数に依存するため、SCHサブキャリア数が十分長い場合には、一般的に相関特性のより良い符号系列を数多く生成できる。このため、前述したように、セルIDグループを示す符号系列ではなく、直接セルIDを示す情報を含む符号系列で構成することも可能になる。
上記のSCHを構成するサブキャリアに乗算する符号は、連続する2シンボルで同一の符号を割り当てる。上記の3種類の符号系列が、第3の実施形態におけるSCHを構成する符号系列であり、これらの符号系列を乗算し各セクタの送信機からSCHが送信される。
本実施形態におけるSCHの送信方法および送信機の構成は、前掲の第2の実施形態と同様であるため説明を省略する。第2の実施形態と異なる点は、SCHデータ処理部60におけるセクタ固有符号生成部63で生成される符号(図17、図18参照)と、MAC部10より入力されるSCHデータである。また、本実施形態では、同一のSCHシンボルを2シンボル連続して送信する(図19参照)。図19は、フレーム区間におけるSCHの配置を示す図である。本実施形態における受信機構成および受信方法は、前掲の実施形態と基本的には同様である。ただし、第2の実施形態におけるタイミング検出部103(図13)では、受信した信号を1/2有効シンボル区間遅延させ信号と乗算することによってSCHシンボルの位置を検出したが、本実施形態では、受信したシンボルを1シンボル遅延して信号と乗算することによりSCHのシンボルを検出する。
以下、セルサーチの手順に関して説明する。移動局は、第2の実施形態と同様に、基地局から送信された無線信号をアンテナ部100で受信する。アナログ受信回路部101は、受信した無線信号について、無線周波数帯からベースバンド周波数帯に変換する。A/D(アナログ/デジタル)変換部102は、ベースバンド周波数帯に変換された信号について、アナログ信号からデジタル信号に変換する。
次に、タイミング検出部103は、A/D変換部102でデジタルデータに変換された受信データに基づいて、シンボル同期を行なうためのSCH検出処理を行なう。そして、受信した信号を1シンボル遅延した信号の複素共役と受信データを乗算することにより、同一シンボルの波形が繰り返されたときにピークが検出される。すなわち、前述した2シンボルの同一SCHシンボルが受信されたタイミングになった場合にピークが検出される。複数のセルからの信号により複数のピークが検出されるが、一般的には最も相関値のピークが高いタイミングを最も近いセルから送信されたSCHのタイミングとして判定し、基地局との接続動作を開始する。
本実施形態では、2シンボルのSCHがフレームの最後尾に配置されていることから、前述の方法でSCH信号の相関ピークを検出することにより、フレーム同期を行なうことができる。同時にSCHシンボルと同期を取ることによってシンボル同期を行なう。そして、シンボル周期での同期を終えた後、前述したシンボル周期に合わせてGI除去部104にて有効シンボルの前に付けられたGI部を各シンボルから取り除く。GIを除去されたシンボルは、S/P(直列/並列)変換部105で直列信号から並列信号に変換されFFT部106にてFFT処理を施される。
FFT部106から、SCHシンボル部のデータが、SCHデータを処理するSCH信号処理部200へ入力される。また、FFT部106から、パイロットチャネルおよび移動局への制御情報を含むデータチャネルが、拡散符号乗算部107へ入力される。そして、移動局が基地局への最初の接続を行なう際にはセル固有情報およびセクタ固有情報を取得していないため、SCH信号処理部200での処理が優先して行なわれる。SCH信号処理部200では、FFT部106から本実施形態のセクタ数に対応する3つの乗算部212と、SCHデータ復調部230とのそれぞれに、SCHシンボルのデータが入力される。乗算部212には、MAC部(図示せず)からの制御情報により、セクタ固有符号生成部211で生成または記憶されたセクタ固有符号が入力される。
各乗算部212では、セクタ固有符号生成部211より入力されたセクタ固有符号の複素共役を算出し、FFT部106から入力されたSCH信号の各奇数番目のサブキャリア(サブキャリアインデックス1、3、5、・・・)に対し、基地局から送信時にセクタ固有符号を乗算したサブキャリアと対応するように複素共役の符号を乗算する。これについては、図20の処理1で示す。図20は、セクタ固有符号を用いた相関演算処理の具体的な内容例を示す図である。複素共役の乗算されたデータは、逆拡散部210に入力され、逆拡散処理を施される。逆拡散処理はセクタ固有符号の繰り返し周期である6サブキャリアの中の複素共役を乗算した3サブキャリアのデータを加算することにより行なわれる(図20処理2参照)。
さらに、逆拡散処理を施されたデータを1/3し、自乗平均したデータを算出しセクタ電力判定部220に入力する。各セクタからの自乗平均したデータは、セクタ電力判定部220での受信電力判定の指標となる。図20において、pxは図17(b)に示したセクタ固有符号であり、xはセクタのインデックスを表している。また、fは伝搬路を示しており、逆拡散を施すサブキャリア間隔である5サブキャリアの帯域内で一定としている。
セクタ電力判定部220では、3つのセクタに対応するそれぞれの逆拡散部210から前記値を入手し比較することにより、最も受信電力が高いセクタ、すなわち最も受信環境が良好で接続を行なうセクタを決定する。この決定は、MAC部へ制御信号として通知される。
一方、FFT部106からSCHデータ復調部230に入力されたSCHシンボルデータは、図21に示した復調方法により復調される。図21は、第3の実施形態におけるセル固有符号の復調方法を示す図である。SCHデータ復調部230では、SCHシンボルの低周波数側から奇数番目のSCHサブキャリア(サブキャリアインデックス1、3、5、・・・)のデータの複素共役と、その高周波数側の偶数番目のSCHサブキャリア(サブキャリアインデックス2、4、6、・・・)のデータを乗算する。
図21に示したように、乗算結果の理想値は、各セクタと移動局間の伝搬路fとセル固有符号cで構成され、cは振幅が1の複素数であることから位相を導出することにより容易に求められる。ここで、fxyのxはセクタIDを示し、yは乗算される2つのサブキャリアの伝搬路の周波数方向のインデックスとする。また、乗算される2つのサブキャリア間での伝搬路は同一と仮定している。
セル固有情報を復調する際には、下記に示すセル固有情報の符号系列から基地局でセル固有情報の通知に使用する可能性のある候補のレプリカをSCHデータ復調部で作成し、実際に前述の方法で算出された結果と相互相関を取ることによってもセル固有情報を判定・取得することができる。さらに、第3の実施形態においては、同一のSCHシンボルが2シンボル連続で送信されているため、前記した復調を2シンボル区間において連続して行なうことによって、より信頼性の高い復調を行なうことができる。
以上のようにして復調されたSCHデータは、MAC部へ送られる。MAC部では、この情報に従い受信を行ない、基地局との接続を行なうことができる。この第3の実施形態では、1フレーム期間の最後の2シンボルにSCHが配置される。これにより、時間軸上においてSCHが周期性をもって配置されると共に、同一のSCHシンボルを2シンボル連続して送信される場合には、情報量が増加するため、受信側にて、より信頼性の高い復調を行なうことができる。また、全周波数帯のサブキャリアを利用してSCHを送信することができるため、シンボル毎に異なる情報を送信する場合には、セル固有情報(相対的位相差情報)の伝送に使用できる符号長を長くすることができ、より多くのセル固有情報を送信することが可能となる。
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。本実施形態では、セルサーチの第1ステップにおけるSCHのタイミング検出を、セクタ固有符号のレプリカの時間波形を利用した相互相関法によって行なう例について説明する。
前掲の第2および第3の実施形態においては、前述した3段階セルサーチの第1ステップにてSCHの時間相関検出を使用して、シンボル同期、周波数オフセット、1/Nフレームタイミングの検出を行なっていた。本実施形態では、前述の3段階セルサーチの第1ステップにおけるSCHのタイミング検出を、受信信号と、移動局にて作成したレプリカ信号との相互相関処理により行なう。このことを可能とするためには、SCHのデータ構造に工夫を施す必要がある。
本実施形態で示す第1ステップのSCH位置検出方法は、第2もしくは第3の実施形態で示したフレーム構成およびSCHの配置をそのまま利用して実現することができる。第2ステップまたは第3ステップも、前掲の実施形態と同様に実施可能である。
なお、本実施形態のようなSCHのデータ構造が採用される場合でも、SCHが1フレーム期間に周期的に配置されている点は、前掲の実施形態と同様である。従って、第2および第3の実施形態と同様の自己相関法を利用したSCH位置検出(すなわち、繰り返し波形を利用した自己相関によるシンボル同期の確立)を実施することも可能である。ただし、相互相関を用いたSCH位置の検出では、より鋭い相関ピークが得られるため、より高精度のSCH位置の検出が可能である。
本実施形態における第1ステップのSCHタイミングの検出方法は、相互相関検出(またはレプリカ検出)方法と呼ばれる検出方法を適用した検出方法である。上述のとおり、第2および第3の実施形態で示した連続するSCH波形を利用した自己相関検出方法と比較して、その検出ピークを鋭く検出することができる。すなわち、本実施形態は、前掲の第2および第3の実施形態と比較して、3段階セルサーチの第1ステップに異なる方法を用いることができる。従って、より高精度なSCHタイミングの検出が可能である。
本実施形態では、第2の実施形態と同様の下り方向の通信方式に、OFDM通信方式を用いる。また、通信フレームおよびリソースブロックの構成は、図22および図28に示されるものと同じ形式であるとする。まず、本実施形態における特徴である同期用物理チャネル(SCH)に関し、その具体的な構成について説明する。
図29(a)〜(c)は、第2の実施形態と同様に、各々、同一セル内の3つのセクタから同時に送信されるSCHのデータ構造を説明するための図である。図29(a)は、周波数軸上におけるセクタ共通符号の割り当てを示す図であり、図29(b)は、3つのセクタ固有符号の構成を示す図であり、図29(c)は、セクタ固有符号の生成の基礎となる概念を示す図であり、複素位相平面上におけるベクトルを示す。基本的構成は、第2の実施形態と同様であるが、3段セルサーチの第1ステップに相互相関検出方法を適用できるようにするため、一部の構成符号が異なる。
図29の(a)に示した信号は、SCHを構成するセクタ共通符号を示している。各SCHサブキャリアには6チップ毎にs01からs0n/6が割り当てられている。s0はA*exp(jω)で表される任意の値である。ここで、Aは振幅(ただし本発明ではこれを1として説明する)、jは虚数単位、ωは位相を示す。
本実施形態の特徴の一つは、第2および第3の実施形態と異なり、このセクタ共通符号が全セルで共通の符号であることである。つまり、セクタ共通符号は、セル共通符号でもある、ということである。また、もう一つの特徴は、セル固有符号のうちの、位相基準となる符号要素についても全セルで共通とすることである。このことによって、セクタ固有符号のレプリカを用いた相関検出が可能となる。
すなわち、SCHは、3種類の符号(セクタ共通符号、セクタ固有符号、セル固有符号)が乗算されて構成される。ここで、セクタ共通符号をセル間でも共通とし、また、セル固有符号のうちの、位相基準となる符号要素もセル共通とすると、その位相基準となる符号要素が乗算されたサブキャリアに関しては、乗算されている符号は、(全セル共通のセクタ共通符号)と、(セクタ固有符号)と、(全セル共通のセル固有符号)となり、実質的に、(全セル共通の符号)に(セクタ固有符号)が乗算されていることになる。つまり、その位相基準となる符号要素が乗算されたサブキャリアに関しては、3種類の符号が乗算されているが、その内の2つの符号は全セルで共通である。従って、異なるのは、セクタ固有符号だけということになる。このことは、セクタ固有符号のレプリカを用いた相関検出が可能であることを意味する。
従って、受信機側で、各セクタに対応したセクタ固有符号のレプリカ符号の時間波形を用意しておき、FFT前の受信信号にそのレプリカ符号の時間波形を乗算して相関ピークを検出することによって、受信信号におけるSCHのタイミングを高精度に検出することができる。従って、その後のセクタ同定やセル同定をより効率的に行なうことが可能となる。ただし、このような特殊なSCHの構造が採用されている場合でも、1フレーム期間中にSCHが周期的に配置されていることには変わりがないため、自己相関法(すなわち、受信信号を所定期間だけ遅延させた信号と、元の受信信号との相関を検出する方法)による位置検出を行なうことも可能である。
以下、図面を参照して、具体的に説明する。まず、セクタ固有符号に関し説明する。図29(b)は、セクタ固有符号の例(ここでは、セクタ数は“3”とする)を示している。ここでは、第2の実施形態で示した符号と同様の符号が用いられる。
次に、セル固有情報を伝送するための符号系列について説明する。図30は、セル固有情報を伝送するための符号系列の周波数軸上における構成を示す図である。本実施形態では、図30に示した符号系列により、セル固有情報の伝送を行なうが、第2および第3の実施形態とは異なり、各々のセル間で異なる符号系列とセル間で共通の符号系列により構成される。具体的には、図30に示したcik(kは1からn/6までの自然数、nはSCHサブキャリア数である)が「セル間で共通な符号」であり、cl(lは1からn/2までの自然数)は「セル固有の符号」である。
図30の符号系列は、低周波数側から順に、6チップを一組として構成されている。6チップは奇数番目のSCHサブキャリア(サブキャリアインデックス1、5、9)に「セル間で共通の符号」を割り当てる。偶数番目のSCHサブキャリア(サブキャリアインデックス3、7、11)には、奇数番目に割り当てた符号にセル固有符号を乗算した符号(つまり、位相基準の符号に対する位相差情報をもつ符号)を割り当てる。奇数番目のサブキャリアに割り当てた符号は、6チップ内で同一であるが、他の6チップで使用する符号と同一である必要はない。
以上に示した3種類の符号系列がSCHを構成する符号系列であり、これらの符号系列が乗算されてSCHが構成される。そして、各セクタの送信機からは、SCHを含むマルチキャリア信号が送信される。
本実施形態におけるSCHの送信方法および送信機の構成は、前掲の第2の実施形態と同様であるため説明を省略する。異なる点はSCHデータ処理部60におけるセクタ固有符号生成部63で生成される符号(図29、図30参照)である。
本実施形態における受信機構成および受信方法は、第1ステップを除き、前掲の実施形態と基本的に同様である。前掲の第2の実施形態におけるタイミング検出部103(図13)では、受信した信号を1/2有効シンボル区間遅延させ信号と乗算することによってSCHシンボルの位置を検出した。本実施形態では、受信した信号と移動局で生成もしくは記憶したSCHシンボルのレプリカ信号との相互相関値を算出することによりSCHのシンボルを検出する。以下、セルサーチの手順に関して説明する。
移動局は、第2の実施形態と同様に、基地局から送信された無線信号をアンテナ部100にて受信する。アナログ受信回路部101は、受信した無線信号について、無線周波数帯からベースバンド周波数帯に変換する。A/D(アナログ/デジタル)変換部102は、ベースバンド周波数帯に変換された信号について、アナログ信号からデジタル信号に変換する。次に、タイミング検出部103は、A/D変換部102でデジタルデータに変換された受信データに基づいて、シンボル同期を行なうためのSCH検出処理を行なう。
図31は、本実施形態におけるシンボル同期回路の構成(相関器を含む)を示すブロック図である。図31のシンボル同期回路は、m段のシフトレジスタ400と、加算器402と、乗算器404と、を有している。図31のシンボル同期回路では、受信信号は、m段のシフトレジスタ400に入力される。このシフトレジスタ400から出力された信号は、移動局で作成されるか、または移動局内に予め記憶されたレプリカ信号(rm:mは自然数)の複素共役と乗算される。
レプリカ信号は、前述のSCHサブキャリアを構成する3つの符号を掛け合わせた値から導出されるが、SCHサブキャリアの奇数番目(サブキャリアインデックス1、5、9・・・)に関してのデータが用いられる。受信信号は、時間軸方向のデータであるため、レプリカ信号も同様に前述のSCHサブキャリアを使用するデータより時間軸方向の信号を算出しておく。
このようなレプリカ信号の作成には、SCHサブキャリアの奇数番目のデータを使用する。上述のとおり、SCHサブキャリアの奇数番目のサブキャリアには、全セルで共通のセクタ共通符号s0(図29(a)参照)と、図30に示すように、全セルで共通のセル固有情報の一部を示す符号(位相基準となる符号)とが乗算されている。すなわち、SCHサブキャリアの奇数番目のサブキャリアでは、図29(b)に示したセクタ固有符号のみが、セル間で異なることなる。従って、本実施形態においては、セクタ固有符号の数と同様の3つのレプリカ信号を作成し、受信信号と相互相関値をモニタすることによって、SCH時間位置の検出を行なうことができる。
なお、第2および第3の実施形態と同様に、複数のセルからの信号により複数のピークが検出されるが、一般的には最も相関値のピークが高いタイミングを最も近いセルから送信されたSCHのタイミングとして判定し、基地局との接続動作を開始する。
以上のように、本実施形態におけるセルサーチの第1ステップでは、受信信号とレプリカ信号の相互相関値を利用してシンボル同期が実現される。本実施形態におけるセルサーチ方法の第2ステップと第3ステップは、前掲の第2の実施形態と同様であるため説明を省略する。
(第5の実施形態)
次に、本発明の第5の実施形態について説明する。本実施形態では、下記1.〜5.の各点について説明する。
[1.セルサーチの第1ステップの具体化]
ここでは、セルサーチの第1ステップにおけるSCHのタイミング検出をセクタ固有符号のレプリカの時間波形を利用した相互相関法によって行なう技術の具体的なバリエーションを示す。これは、第4の実施形態の変形例である。すなわち、前掲の実施形態では、総サブキャリア数(DCサブキャリアを除く)は、6の倍数を基本としていたが、本実施形態では、サブキャリアを75本(DCサブキャリアを除く)と具体的に規定する。位相基準となる符号要素が乗算されたサブキャリアに関しては、実質的に、(全セル共通の符号)に(セクタ固有符号)が乗算されていることになる点、そして、このサブキャリアを利用して、相互相関法によってSCHのタイミングを検出する点は、第4の実施形態と同様である。ただし、本実施形態では、セル固有情報の検出に寄与しないサブキャリア(ダミー符号が乗算されたサブキャリア)が含まれる。相互相関による方法のみならず、自己相関法を利用してもよい点は、第4の実施形態と同様である。
[2.位相基準となるサブキャリアの対称配置による特徴的な時間波形の形成]
位相基準となる符号要素が乗算されているサブキャリアは、中心周波数を基準として、低周波数側および高周波数側に対称に配置される。この位相基準となる符号要素が乗算されているサブキャリアは、相互相関法によるSCHタイミングの検出に使用されるSCHサブキャリアであるため、以下の説明では、「相互相関検出用SCHサブキャリア」という場合がある。第4の実施形態では、低周波数側を基準として割り当てた実施形態であったため、中心周波数を基準として対称の配置とする本実施形態の条件を満たす必要はなかった。
相互相関検出用SCHサブキャリアを、所定間隔で、中心周波数を基準として対象に配置する。それらのサブキャリアが合わさった信号の時間波形は、1シンボル期間(SCHが配置されている期間)において、例えば、中心から2番目、6番目、10番目・・・のサブキャリアを使用することで(1/4)シンボル毎に、“B”、“−B”、“B”、“−B”(Bは、任意の信号振幅:基準波形)というように、振幅が同じで、その極性が反転された波形が繰り返され、特徴ある周期性をもった時間波形が形成される。また、中心から4番目、8番目、12番目・・・のサブキャリアを使用することで1/4シンボル毎に“D”、“D”、“D”、“D”(Dは任意の信号振幅:基準波形)というような時間波形が形成される。従って、受信機側で相互相関検出のために用意するレプリカ時間波形も、(1/4)シンボル毎に、“B”、“−B”、“B”、“−B”もしくは“D”、“D”、“D”、“D”と変化するような時間波形でよい。つまり、(1/4)シンボル単位の特徴的な信号波形を検出できればよいことになる。従って、相関器の構成を簡略化することができる。
[3.セルサーチの第2ステップのセクタ同定]
ここでは、セクタ固有符号を用いた逆拡散を実施して、最大の相関値を示すセクタを検出する動作の自由度の向上を図る。位相基準となる符号要素が乗算されたサブキャリア(相互相関検出用サブキャリア)に乗算されている符号は、(全セル共通のセクタ共通符号)と、(セクタ固有符号)と、(全セル共通のセル固有符号)である点は、第4の実施形態と同様である。ただし、本実施形態では、総サブキャリア中の、位相基準となるサブキャリアの全部について、全セル共通のセクタ共通符号(基準符号)と、全セル共通のセル固有符号とを、共に、“1”とする。第4の実施形態では、セル固有符号(図30のCi1、Ci2・・・・cin/6)は、6サブキャリア毎に新たな符号となっている。つまり、最初の6サブキャリアはCi1、次の6サブキャリアについてはCi2となっている。この場合には、セクタ同定のための逆拡散を行なうときは、6本のサブキャリア毎に逆拡散を順次、行なっていく必要がある。この点、セクタ同定の自由度が制限されることになる。しかし、上述のように、Ci1,Ci2・・・・cin/6)をすべて“1”とすると、総サブキャリア中の位相基準となるサブキャリアに乗算されているセル固有符号はどれも“1”となる。従って、そのサブキャリアに乗算されているのは、“1(全セル共通のセクタ共通符号)”ד1(全セル共通のセル固有符号)”דセクタ固有符号(P1,P2,P3のいずれか:図29(b)参照)”となる。結局、位相基準となるサブキャリアの各々に乗算されているのは、セクタ固有符号(P1,P2,P3のいずれか)ということになる。これにより、6サブキャリアを一組として逆拡散をする必要はなくなり、総サブキャリア中の、いずれかのサブキャリアを選択することによってセクタ共通符号(P1,P2,P3)を特定し、これを用いて逆拡散を実施すればよいことになる。従って、セクタ同定に際して、6サブキャリア毎に逆拡散を実施するという制限がなくなる。その結果、セクタ同定処理の自由度が向上する。
[4.セクタ同定を、FFT処理後の逆拡散による相関値ピーク判定ではなく、FFT前の時間波形の相互相関によって行なうことの考察]
上述の(3)の符号構成を採用するとき、FFT後に直交符号(P1,P2,P3)を用いた逆拡散を行なわなくても、上述の(1)で述べたレプリカ時間波形による相互相関法を利用して、FFT処理前に、直近のセクタを同定することが可能である。つまり、FFT処理前に、セクタ固有符号のレプリカ時間波形(図34の符号1、符号2、符号3のいずれかによって形成される時間波形)を用いて相互相関ピークを検出し、最大のピークを与える符号(図34の符号1、符号2、符号3のいずれか)を特定することによって、最も近くにあるセクタを同定することが可能である。特に、セルサーチの第1ステップで、レプリカ相関方法によりSCHのタイミング同期を行なう場合には、タイミング同期の際に算出される相関値を異なるセクタ固有符号間で比較することによりセクタ同定を行なうことができるため、その後改めてセクタ同定の動作を行なう必要がない。なお、このレプリカ時間波形を用いた相互相関法を適用するためには、移動局において、基地局から送信される各種のセクタ固有符号が既知であることが条件となる。セクタ同定方法として、直交符号による逆拡散による相関検出する手法を用いるか、またはレプリカ時間波形による相互相関を検出する手法によるかは、要求される検出精度や回路上の制約等を考慮して、適宜、決定することができる。
[5.セクタ固有符号は、セクタを直接に識別するための符号のみならず、セクタグループ固有符号も含むことの明確化]
セクタ数が多くなりすぎると、直交符号を確保するために、より多くのサブキャリア数の組が必要になり、サブキャリア数が足りなくなる場合が想定される。この場合には、複数のセクタをグループ化して「セクタグループ」の概念を導入し、そのセクタグループをセクタ固有符号で特定するようにしてもよい。つまり、上述の「セクタ固有符号」は、必ずしも、セクタを直接に識別するための符号である必要はなく、いくつかのセクタをまとめたセクタグループを示す符号であってもよい。このことは、前掲の全実施形態に共通に適用される。これらの点の各々について、以下、具体的に説明する。
前掲の第1から第4の実施形態では、総サブキャリア数を2n+1(中心DCサブキャリアを含む)として説明を行なったが、本実施形態ではより具体的に総サブキャリア数が76本(中心DCサブキャリアを含む)の場合について説明を行なう。本実施形態ではDCサブキャリアを除いて75本のサブキャリアを使用するため、DCサブキャリアを中心として帯域内の低周波数側と高周波数側でサブキャリア数が異なる。ただし、本実施形態でも、SCHを構成するサブキャリアの位相差によりセル固有情報を通知するため、本質的に使用しているサブキャリアはDCサブキャリアを含め2n+1(本実施形態ではn=37)である。
本実施形態では、第4の実施形態と同様に、3段階セルサーチの第1ステップにおけるSCHのタイミング検出を、受信信号と、移動局にて作成したレプリカ信号との相互相関処理により行なう。また、レプリカ信号を使用した相互相関処理を行なう対象となるサブキャリアを特定の位置に配置することで、特徴的な時間波形にする。以上を実現するためには、SCHのデータ構造およびサブキャリア配置に工夫を施す必要がある。
本実施形態で示す第1ステップのSCH位置検出方法は、第4の実施形態で示したフレーム構成およびSCHの配置をそのまま利用して実現することができる。第2ステップまたは第3ステップも、前掲の実施形態と同様に実施可能である。
本実施形態で示すSCHのデータ構造によれば、第4の実施形態と同様に自己相関検出方法に必要な1シンボル内で周期的な波形(繰り返し波形)を示すSCHを実現する。それと同時に、レプリカ信号を用いた相互相関検出方法を用いた検出方法も適用することが可能なSCHを実現することが可能である。自己相関検出方法は、一般的に相互相関検出方法より簡易な回路構成で実現することが可能であるが、一方で相関値のピークが相互相関検出方法よりゆるやかに検出されることが知られている。相互相関検出方法は、相関値のピークが鋭く検出できることからより正確な時間同期が可能になるが、一方で回路構成とその処理が複雑になることが知られている。このようなことから、一部の無線LANの通信方式では、時間同期の際に自己相関検出方法で粗い時間同期を行ない、ある程度限定された時間区間で、正確な時間同期を相互相関検出方法により行なわれている。本実施形態においても、同様の手法が使用可能である。
本実施形態における第1ステップのSCHタイミング検出方法は、前述のように2つの検出方法を適用することが可能である。自己相関検出方法は、SCHに使用するサブキャリアの周波数領域の位置で決定されるSCHシンボルでの時間領域の繰り返し波形を利用した方法であるため、第2または第3の実施形態で詳細に示した方法となんら変わるものではない。従って、以下、本実施形態の特徴であるレプリカ信号を使用した相互相関検出方法について説明する。この相互相関検出方法では、サブキャリアの配置によって形成される特徴的な信号波形を利用する。
本実施形態では、第2の実施形態と同様の下り方向の通信方式に、OFDM通信方式を用いる。また、通信フレームおよびリソースブロックの構成は、図22および図28に示されるものと同じ形式であるとする。まず、本実施形態における特徴である同期用物理チャネル(SCH)に関し、その具体的な構成について説明する。
図32は、本実施形態で使用する76本のサブキャリアをその機能毎に示した図である。図に示したように、中心のDCサブキャリアおよび中心から奇数番目にあるサブキャリアはヌルサブキャリアとし、それ以外のサブキャリアをSCHサブキャリアとして使用する。SCHサブキャリアのうち、中心から奇数番目のSCHサブキャリアを、相互相関検出に使用するサブキャリア、すなわちセル固有情報を検出する際の位相基準となるサブキャリア(相互相関検出用SCHサブキャリア)として使用する。また、中心から偶数番目のSCHサブキャリアを、セル固有情報が乗算されたサブキャリア(以下の説明では、セル固有情報検出用サブキャリアという場合がある)として使用する。
ここで、中心から奇数番目のSCHサブキャリアとは、全体では中心より2、6、10、14・・・番目のサブキャリアである。ただし中心は0番目とする。また、中心から偶数番目のSCHサブキャリアとは、全体では中心より4、8、12・・・番目のサブキャリアである。
上述のとおり、相互相関検出用SCHサブキャリアは、中心周波数を基準として、低周波数側ならびに高周波数側に対称に配置される。また、その相互相関検出用サブキャリアは、中心周波数を0番目とした場合、2番目、6番目、10番目・・・というように、3本のサブキャリア間隔で配置されている。中心周波数を基準とする点で第4の実施形態と異なる。図32においては、中心周波数を基準として高周波数側と低周波数側とでは、配置されている相互相関検出用SCHサブキャリアの数が異なる。すなわち、高周波数側は、(1)〜(10)の10本が配置され、一方、低周波数側では、(11)〜(19)の9本が配置されている。ただし、相互相関検出用SCHサブキャリア(位相基準となるサブキャリア)とセル固有情報検出用SCHサブキャリアがペア(一対)で使用される点は、第4の実施形態と同じである。一対のサブキャリアを単位とすると、図32の場合、高周波数側で1本の相互相関検出用サブキャリア(位相基準となるサブキャリア:図32中のサブキャリア(10))が余ることになるが、このサブキャリア(10)にはダミー符号(本実施形態では“1”とする)を割り当てる。
図33は、セル固有情報が乗算されたサブキャリア(セル固有情報検出用SCHサブキャリア)とその位相基準となるサブキャリア(相互相関検出用SCHサブキャリア)となるペアをなすサブキャリアとの関係を示す図である。本実施形態における76本のサブキャリアの場合では、SCHサブキャリアとして37本のサブキャリアを使用することができる。従って、符号長18の情報P1(x)(ただし、x=1〜18)を前述の位相基準となるサブキャリア(相互相関検出用サブキャリア)とセル固有情報検出用サブキャリアの相対値として設定することが可能である。ただし、ペアとして情報を割り当てるため本実施形態では、1本のサブキャリアは符号割り当てに使用しない。つまり、図33の符号S19は、ダミー符号(本実施形態では、“1”)となる。
図34(a)〜(c)は第4の実施形態と同様に、各々、同一セル内の3つのセクタから同時に送信されるSCHのデータ構造を説明するための図である。図34(a)は、周波数軸上におけるセクタ共通符号の割り当てを示す図であり、図34(b)は、3つのセクタ固有符号の構成を示す図である。そして、図34(c)は、セクタ固有符号の生成の基礎となる概念を示す図であり、複素位相平面上におけるベクトルを示す。
基本的構成は第4の実施形態と同様であるが、前述したように相互相関検出に使用するサブキャリアとセル固有情報を乗算するサブキャリアとの周波数軸上の位置関係が異なっている。図32に示したようにSCHサブキャリアは中心のDCサブキャリアよりそれぞれ周波数の高い側および低い側に偶数番目のサブキャリアを使用している。
図35(a)〜(d)は、周波数軸上における相互相関検出用SCHサブキャリアの配置および時間軸上におけるSCHシンボル数を工夫することによって、SCHシンボル期間における、複数のSCHサブキャリアが合わさって形成される時間領域における波形が、1シンボル期間内で、基準波形(あるいは、その基準波形を反転した波形)の繰り返しになることを説明するための図である。
本実施形態(前掲の実施形態も含む)では、周波数軸上において、SCHサブキャリアを1サブキャリアおきの周波数間隔で、周期的に配置している(例えば、図25参照)。このように周期的に配置された1シンボル期間におけるSCHサブキャリアが合成されると、図35(a)のように、1有効シンボル期間(1シンボル期間からGIが挿入されている期間を除いた期間)において、基準波形(Aとする)が、(1/2)シンボル単位で繰り返される時間波形(FFT前の時間領域における波形)が得られる。従って、前掲の実施形態で説明したように、(1/2)有効シンボル分だけ時間波形を遅延させて、元の時間波形との相関をとると相関ピークが得られる。従って、SCH位置の検出(自己相関法によるセルサーチの第1ステップの処理)が可能である。
なお、図19に示すように、1フレーム期間の最後の2シンボルに連続してSCHを配置した場合には、図35(c)に示すように、隣接する2つの有効シンボル期間において、同一の時間波形(Cとする)が繰り返されることになる。従って、1シンボル分だけ時間波形を遅延させて、元の時間波形との相関をとると相関ピークが得られる。従って、SCH位置の検出(自己相関法によるセルサーチの第1ステップの処理)が可能である。
一方、第5の実施形態では、さらに、相互相関検出用SCHを、中心周波数を基準として、低周波数側、高周波数側に対称に配置する。すなわち、サブキャリアを前述のように中心のDCサブキャリアから2、6、10、14・・・番目(2番目を開始として以降は3本置き)と使用する。これにより、有効シンボルの1/2区間で信号が繰り返される構成で、さらにその(1/2)区間、つまり全体の(1/4)の区間を単位として、振幅の極性が反転した時間波形が繰り返されるという特徴的な時間波形が形成される。具体的には、図35(b)のように、B、−B、B、−Bが繰り返される時間波形が形成される。この現象は、OFDM通信方式において、互いに直交するサブキャリアの周波数関係について、時間方向の対象性に起因して生じる。この場合には、(1/4)有効シンボル単位で、特徴的な周期性を検出することによって、SCH位置を特定することができる。この特徴を利用して相互相関検出に使用する相関器をより簡易な回路で作成することが可能となる。つまり、簡易な構成の相関器によって、高精度のSCHタイミング検出が可能となる。
また、相互相関検出用SCHのサブキャリアをDCサブキャリアから4、8、12、16・・・番目(4番目を開始として以降は3本置き)と使用することにより有効シンボルの1/4区間で信号が繰り返されるという特徴的な時間波形を形成することも可能である。具体的には、図35(d)のように、D、D、D、Dが繰り返される時間波形を形成する。
次に、全セル共通のセル固有符号を、すべて“1”とした最も簡略化されたサブキャリア構成について、具体的に説明する。このサブキャリア構成は、実用化に有利な構成であるといえる。
図34の(a)に示した信号は、SCHを構成するセクタ共通符号を示している。第4の実施形態では、図29(a)に示すように、各SCHサブキャリアには6チップ毎にs01からs0n/6が割り当てられていた。本実施形態では、すべてのSCHサブキャリアにはS0が割り当てられる。ここでs0は、A*exp(jω)で表される任意の値である。ここで、Aは振幅(ただし本実施形態ではこれを1として説明する)、jは虚数単位、ωは位相を示す。すべてのSCHサブキャリアにS0が乗算され、かつ、位相基準となるサブキャリアの符号が一律に“1”となるようにする(後述)。これにより、セクタ同定のための電力計算を、必ずしも、6本のサブキャリアの組を単位として行なう必要がなくなる。つまり、図34(b)の符号2を例にとると、“P1”、“P2”、“P3”の各符号を、周波数軸上のいずれかのSCHサブキャリアから選択し、電力算出処理を行なうことが可能になる。ただし、電力算出処理に使用するサブキャリアは、伝搬路が同一であるとみなせることが条件であるため、周波数軸上で離れたサブキャリアを選択するとその精度は低下するため、隣接したサブキャリアを使用することが望ましい。
本実施形態は、第4の実施形態と同様に、セクタ共通符号は全セルで共通の符号である。また、セル固有符号のうちの位相基準となる符号要素も全セルで共通とする。
SCHは、3種類の符号(セクタ共通符号、セクタ固有符号、セル固有符号)が乗算されて構成される。ここで、セクタ共通符号をセル間でも共通とし、また、セル固有符号のうちの、位相基準となる符号要素もセル共通とする。その結果、その位相基準となる符号要素が乗算されたサブキャリアに関しては、乗算されている符号は、(全セル共通のセクタ共通符号)と、(セクタ固有符号)と、(全セル共通のセル固有符号)となり、実質的に、(全セル共通の符号)に(セクタ固有符号)が乗算されていることになる。つまり、その位相基準となる符号要素が乗算されたサブキャリアに関しては、3種類の符号が乗算されているが、その内の2つの符号は全セルで共通である。従って、異なるのは、セクタ固有符号だけということになる。このことは、セクタ固有符号のレプリカを用いた相関検出を容易に行なうことができることを意味する。
従って、受信装置側で、各セクタに対応したセクタ固有符号のレプリカ符号の時間波形を用意しておき、受信信号(FFT前の信号)にそのレプリカ符号の時間波形を乗算して相関ピークを検出することによって、受信信号におけるSCHのタイミングを高精度に検出することができる。従って、その後のセクタ同定やセル同定をより効率的に行なうことが可能となる。
さらに、本実施形態では、相互相関検出に利用するサブキャリア位置を特定の位置に配置することによって、図35(b)に示したような1/2有効シンボル長区間で同一の信号波形が繰り返される。また、1/4有効シンボル長区間で符号が反転する信号波形が形成される。これにより、この特性を利用したより簡易な相関器の構成を取ることも可能である。
ただし、このような特殊なSCHの構造が採用されている場合でも、SCHシンボル区間で繰り返し信号波形が形成されることには変わらないため、自己相関法による位置検出を行なうことも可能である。この自己相関法は、受信信号を所定期間だけ遅延させた信号と、元の受信信号との相関を検出する方法である。
以下、図面を参照して具体的に説明する。まず、セクタ固有符号に関し説明する。図34(b)は、セクタ固有符号の例(ここでは、セクタ数は“3”とする)を示している。ここでは、第4の実施形態で示した符号と同様の符号が用いられる。
次に、セル固有情報を伝送するための符号系列について説明する。図36は、セル固有情報を伝送するための符号系列の周波数軸上における構成を示す図である。本実施形態では、図36に示した符号系列によりセル固有情報の伝送を行なう。図36に示したcl(lは1から18までの自然数)は「セル固有の符号」であり、セル固有情報を移動局に通知する。clは振幅が1の符号系列である。
図30に示された第4の実施形態の符号系列は、低周波数側から順に、6チップを一組として構成されているが、図36に示された本実施形態の符号系列は、図30の符号系列cikをすべて“1”とした特殊な形態となっている。これにより前述したセクタ電力の算出時に、周波数軸上で隣接する6本のサブキャリアの組を必ず選択する、という制限がなくなり、セクタ同定処理の自由度が向上する。
以上に示した3種類の符号系列がSCHを構成する符号系列であり、これらの符号系列が乗算されてSCHが構成される。そして、各セクタの送信機からは、SCHを含むマルチキャリア信号が送信される。
本実施形態におけるSCHの送信方法および送信機の構成は、前掲の第2の実施形態と同様であるため説明を省略する。異なる点は、SCHデータ処理部60におけるセクタ固有符号生成部63で生成される符号(図35、図36参照)である。
また、本実施形態における受信機構成および受信方法は、前掲の第4の実施形態と同様であるため説明を省略する。また、図36のような符号構成を採用するとき、FFT後に直交符号(P1,P2,P3)を用いた逆拡散を行なわなくても、セルサーチの第1ステップの処理と同様に、レプリカ時間波形による相互相関法を利用して、FFT処理前に、直近のセクタを同定することも可能である。
つまり、FFT処理前に、セクタ固有符号のレプリカ時間波形(図34の符号1、符号2、符号3のいずれかによって形成される時間波形)を用いて相互相関ピークを検出し、最大のピークを与える符号(図34の符号1、符号2、符号3のいずれか)を特定することによって、最も近くにあるセクタを同定することが可能である。
特に、セルサーチの第1ステップで相互相関方法によりSCH時間同期を行なった場合には、その結果をそのまま用いてセクタ同定を行なうことが可能である。すなわち、相互相関検出による相関値の時間方向の位置によりSCH時間同期を行ない、その振幅によりどのセクタからの受信電力が高いのかを判定することができる。
セクタ同定方法として、直交符号による逆拡散による相関検出する手法を用いるか、レプリカ時間波形による相互相関を検出する手法によるかは、要求される検出精度や回路上の制約等を考慮して、適宜、決定することができる。
また、セクタ数が多くなりすぎると、直交符号を確保するために、より多くのサブキャリア数の組が必要になり、サブキャリア数が足りなくなる場合が想定される。この場合には、複数のセクタをグループ化して「セクタグループ」の概念を導入し、そのセクタグループをセクタ固有符号で特定するようにしてもよい。つまり、上述の「セクタ固有符号」は、必ずしも、セクタを直接に識別するための符号である必要はなく、いくつかのセクタをまとめたセクタグループを示す符号であってもよい。このことは、前掲の全実施形態に共通に適用される。
以上説明したように、本発明によれば、セクタ共通符号にセクタ固有符号が乗算されることによって、パイロットチャネルを用いることなく、SCHを用いた逆拡散と相関検出のみによってセクタの同定を行なうことができる。従って、セクタ同定に関して、パイロットチャネルを用いた逆拡散と相関検出処理が不要となり、パイロットチャネルを用いた相関演算に用いられるメモリの容量を削減することができる。
また、SCH自体にセクタ固有符号が乗算されていることから、セクタ境界においてもセクタ間の干渉を排除できる。また、ランダム化効果による耐フェージング特性の向上効果も得ることができる。セクタ毎に割り当てられるセクタ固有符号(直交符号)は、セクタ数の増大に合わせて、その数を増やすことが容易であり、セクタ構成に柔軟に対応することができる。
また、SCHに、セル固有符号も乗算することによって、十分な数のサブキャリアを確保できるのならば、SCHのみによって、セルIDもダイレクトに同定することが可能となる。この場合、セクタ同定を含むセルサーチ処理が、SCHのみを用いた2段階の処理ですむことになり(2段階セルサーチ)、従来の3段階セルサーチに比べて、サーチプロセスを短縮することができる。
また、SCHに、乗算されるセル固有符号およびセクタ固有符号の構成や内容、周波数軸上における配置を、本発明のようにすることによって、セクタ固有情報とセル固有情報が相互に悪影響を与えないようにすることができ、また、情報伝送精度の低下を抑制することもできる。また、各々の情報を独立に(つまり、並行処理によって)復調でき、これによって、セクタサーチを含むセルサーチの処理時間をさらに短縮することができる。
すなわち、mチップで直交する符号を2個組み合わせて2mチップの符号を形成し、mチップをセクタ同定用に使用し、残りのmチップをセル固有情報の同定用に利用する。セル固有情報は、同じ値のセクタ固有符号要素が乗算されているサブキャリア同士(周波数軸上で隣接して配置されるのがより望ましい)の位相差情報として伝送することによって、セクタ固有情報とセル固有情報を効率的に伝送することができ、かつ、受信側で、両者を効率よく分離して取り出すことができる。
また、本発明のセルサーチ方法では、SCHの周期性を利用した自己相関法による、あるいは、セクタ固有符号のレプリカ符号の時間波形を利用した相互相関法による時間軸上のSCHのタイミング検出(第1ステップ)と、周波数軸上の情報に基づくフレームタイミングの同定、セクタIDならびにセルIDの同定(第2ステップ)と、によって、セルサーチを完了することも可能である。従って、従来の3段階セルサーチに比べて、サーチプロセスを短縮することができる。
また、パイロットチャネルを用いた逆拡散と相関検出は、データチャネルの復調時に必要となるだけであり、セルサーチでは不要であるため、パイロットチャネルによる相関演算のためのハードウェアの負担を軽減すること(メモリ容量の削減等)を達成することができる。また、SCHにはセクタ固有符号が重畳されていることから、セクタ同定に関して、セクタ間の干渉やフェージングに強いという効果も得ることができる。ただし、サブキャリア数が十分ではない場合には、SCHだけでは、セルIDの直接の同定ができず、セルIDグループ情報の検出にとどまる場合があるが、この場合には、第3ステップの処理として、パイロットチャネルを用いた逆拡散と相関検出を実施することによって、セルIDを同定することができる。
また、本発明のマルチキャリア送受信装置によって、ダウンリンクにおいて高速、大容量な伝送が可能となる。
このように、本発明によれば、セクタ同定を含むセルサーチ処理に要するプロセスを短縮すると共に、パイロットチャネルを用いた相関検出結果を記憶するメモリの容量を削減することができる。さらに、セクタ同定を含むセルサーチ処理の耐干渉性あるいは耐フェージング特性を向上させ、送受信装置の負担を増加させることなく、より高速かつ高精度の、セクタ同定を含むセルサーチを実現することができる。
また、本発明は、種々のバリエーション(具体例、変形例、応用例)を含んでおり、これらのバリエーションは、E−UTRA(Evolved-UTRA)に準拠した通信方式の実用化に貢献する。例えば、セルサーチの第1ステップの処理(SCHタイミングの検出処理)では、自己相関法の他、特殊な時間波形に着目した相互相関法を採用することができる。この場合には、相関器の構成を簡略化できるという効果が得られる。また、周波数軸上の位相基準となるサブキャリアの符号を全部、例えば“1”に統一することによって、セクタ固有符号を用いた逆拡散時に、6本のサブキャリアを一組としなければならないという制限を不要とすることができる。また、移動局にて、基地局から送信される各種のセクタ固有符号が既知であるときは、直近のセクタ検出を、逆拡散によらず、FFT前の時間波形による相互相関を用いて検出することもできる。また、セクタ数が増大したときは、「セクタ固有符号」として、「セクタグループ固有符号」を採用することもできる。
また、本発明は、同期チャネル(SCH)のデータ構造として構成することもできる。すなわち、本発明のデータ構造は、一つのセルが複数のセクタに分割され、前記セルを管轄する基地局からそのセル内の移動局に対してマルチキャリア通信によってダウンリンク信号が送信され、そのダウンリンク信号には、同期チャネル(SCH)が含まれ、かつ、その同期チャネル(SCH)はセクタ同定を含むセルサーチに利用され得る、マルチキャリア通信方式を採用した移動体通信システムにおける、前記同期チャネル(SCH)のデータ構造であって、同一セル内の複数のセクタに共通のセクタ共通符号に、同一セル内のセクタ毎に異なるセクタ固有符号が乗算され、これによって、同期チャネル(SCH)を用いた、セクタ同定を含むセルサーチを実施可能とする。
マルチキャリア移動体通信方式のダウンリンクに含まれる同期チャネル(SCH:以下、単に“SCH”ということがある)のデータ構造として、セクタ固有情報を含んだ新規な構造を採用するものである。つまり、セクタ共通符号にセクタ固有符号を乗算しておき、パイロットチャネルを用いることなく、同期チャネル(SCH)を用いた逆拡散と相関検出のみによってセクタの同定を行なえるようにする。すなわち、従来、一つのセル内のセクタ間において共通に使用されていた(つまり、セクタに関して、非直交である)SCHを、本発明では、セクタ毎に固有の直交チャネルに変化させて、SCHを用いてダイレクトにセクタ同定を可能とするものである。従って、セクタ同定に関して、パイロットチャネルを用いた逆拡散と相関検出処理が不要となり、パイロットチャネルを用いた相関演算に用いられるメモリの容量を削減することができる。また、SCH自体にセクタ固有符号が乗算されていることから、セクタ境界においてもセクタ間の干渉を排除でき、また、ランダム化効果による耐フェージング特性の向上効果も得ることができる。また、SCHに重畳する情報を増やすことができれば、SCHのみによってセルID自体をダイレクトに同定することも視野に入れることができ、この場合には、セクタ同定を含むセルサーチ処理を、SCHのみを用いた2段階の処理(2段階セルサーチ)によって実現できることになる。
また、本発明の同期チャネル(SCH)のデータ構造は、前記セクタ固有符号は、m個(mは2以上の自然数)の符号要素を一組とすると共に、その一組の符号要素を周波数軸上のサブキャリアに繰り返し割り当てることによって構成され、かつ、各セクタに対応する前記セクタ固有符号の各々は、相互に直交関係にある。
セクタ固有符号が、m個の符号要素を一組とする単位で、周波数軸上のサブキャリアに繰り返し割り当てられていて、かつ、そのm個の符号要素はセクタ毎に直交している点を明らかとしたものである。なお、「符号要素」という用語は、「符号列」という意味の、「上位概念としての符号」と、その符号列の構成要素である個々の符号(「下位概念としての符号」)とを区別するために便宜上、用いており、例えば、逆拡散の単位である「チップ」に対応するものである。また、符号要素が周波数軸上のサブキャリアに割り当てられることによって、例えば、サブキャリアの位相が変化し、これによってセクタ固有情報を伝送することができる。ここで、例えば、m=3とするとき、セクタ1に対応する符号M1が、符号要素(m1,m2,m3)を単位として、周波数軸上において、M1=(m1,m2,m3,m1,m2,m3,・・・)というように、3個の符号要素周期で、低周波数側から高周波数側に向かって繰り返し割り当てられている。セクタ2の符号M2も同様に、M2=(m4,m5,m6,m4,m5,m6,・・・)というように、3個の符号要素周期で、低周波数側から高周波数側に向かって繰り返し割り当てられている。そして、符号M1、M2の構成単位である、(m1,m2,m3)と、(m4,m5,m6)とは、相互に直交している。
例えば、m1、m2、m3の各々の複素共役を、符号M1およびM2に乗算(逆拡散)してその結果を加算した場合、符号M1については高い相関値を示すものの、符号M2については相関値が“0”になり、両符号を区別して取り出すことができるということである。直交符号を作成するための基礎的な考え方の一例を以下に示す。複素位相平面(IQ平面であり、I軸が実数軸に相当し、Q軸が虚数軸に相当する)上において、例えば、120度の角度をなして配置された、振幅“1”の3本のベクトル(P1,P2,P3)を設定する。この3本のベクトルは、ベクトル加算を行なうと“0”になるという関係にあるため、これを利用すれば、容易に、(m=3の場合の)直交符号を作成することができる。例えば、符号M1=(P1,P1,P1)と、符号M2=(P1,P2,P3)と、符号M3=(P1,P3,P2)とは、相互に直交する。例えば、符号M2の符号要素(P1,P2,P3)の各々の複素共役を、符号M1、M2、M3の各々に乗算して各符号要素同士を加算した場合、符号M2の相関値は“3”となるが、符号M1、M3の場合は、結局、各符号要素同士の相対的な関係として、ベクトルP1、P2、P3の関係がそのまま維持されるだけである。従って、加算すれば“0”になる。以上の例では、直交関係にある3本のベクトルを利用しているが、ベクトル数を増やせば(例えば、90度の角度をなす4本のベクトルを使用すれば)、符号要素の数をさらに増やすことができ、これによって、直交関係にある符号の数(上記の例では、生成可能な符号はM1、M2、M3の3個であるため、符号数は“3”である)を、より多くすることができる。従って、一つのセルに含まれるセクタ数が増大したとしても、上記の考え方を利用すれば、そのセクタ数に見合うだけの直交符号を容易に作成することができる。
また、本発明の同期チャネル(SCH)のデータ構造は、前記セクタ共通符号と、前記セクタ固有符号に加えて、さらに、セル固有符号(「セル固有情報を示す符号」、または「セル固有のセルID(もしくはいくつかのセルで共通であるセルIDグループを示す情報)を含む符号」という場合もある)が乗算されている。
SCHに、セル固有符号も乗算しておくことによって、所望の条件が満たされるならば、SCHによるセクタ同定に加えて、SCHのみによってセルIDもダイレクトに同定することも可能となる。この場合には、セクタ同定を含むセルサーチ処理が、SCHのみを用いた2段階の処理ですむことになり(2段階セルサーチ)、従来の3段階セルサーチに比べて、サーチプロセスを短縮することができる。
また、本発明の同期チャネル(SCH)のデータ構造は、前記セル固有符号は、セルサーチ時に移動局が取得するセル固有情報を示す符号である。セル固有符号が、セル固有情報(セルID等)を示すことを明らかとしたものである。
また、本発明の同期チャネル(SCH)のデータ構造は、前記セクタ共通符号は、周波数軸上のサブキャリアに割り当てられており、前記セクタ固有信号は、前記セクタ共通符号が割り当てられたサブキャリアに割り当てられており、前記セル固有符号を構成する符号要素の各々は、前記セクタ共通符号が割り当てられたサブキャリアのうちの一対のサブキャリア間の相対的な位相差情報を示している。従って、周波数軸上の前記セクタ共通符号が割り当てられたサブキャリアにおいては、一対のサブキャリアの一方には位相基準となる前記符号要素が乗算されており、他方のサブキャリアには相対的な位相差を示す前記符号要素が乗算されている。
セル固有情報(セルID、アンテナ配置、BCH(報知チャネル)帯域幅、GI(Guard Interval:ガードインターバル、CP:Cyclic Prefixともいう)長等)は、周波数軸上に配置される、2本のサブキャリア同士の相対的な位相差の情報によって伝送される点を明らかとしたものである。すなわち、セル固有符号が、各サブキャリアの絶対的な位相を示すのではなく、対をなすサブキャリアの相対的な位相を示す方式を採用するものであり、これによって、セル固有符号の生成が容易化され、例えば、GCL符号やWalsh‐Hadamard符号等を利用し、セル固有情報と対応させることにより移動局に情報を通知することができる。サブキャリア数が十分であれば、セル同定に必要なすべての情報を、SCHにより伝送することができる。
また、本発明の同期チャネル(SCH)のデータ構造は、前記セクタ共通符号ならびに前記セル固有符号を構成する前記位相基準となる符号要素の各々は、全セルに共通の符号とする。
このように、セルサーチの第1ステップにおける信号処理(受信信号におけるSCHの位置を検出するための信号処理)を、セクタ固有符号のレプリカを用いた相互相関法によって実施可能とするために、SCHのデータ構造に工夫が施されている。SCHは、1フレーム期間において周期的に配置されているため、その周期性を利用した「自己相関法」によって位置検出が可能であるが、レプリカ符号を用いた「相互相関法」を用いると、より鋭い検出ピークが実現され、より高精度のSCHのタイミングの検出が可能となる。SCHは、3種類の符号(セクタ共通符号、セクタ固有符号、セル固有符号)が乗算されて構成される。ここで、セクタ共通符号を全セルで共通とし、また、セル固有符号のうちの、位相基準となる符号要素も全セルで共通とする。すると、その位相基準となる符号要素が乗算されたサブキャリアに乗算されている符号は、(全セル共通のセクタ共通符号)と、(セクタ固有符号)と、(全セル共通のセル固有符号)となり、実質的に、(全セルで共通の符号)に(セクタ固有符号)が乗算されていることになる。つまり、その位相基準となる符号要素が乗算されたサブキャリアに関しては、3種類の符号が乗算されてはいるものの、その内の2つの符号は全セルで共通である。従って、異なるのは、セクタ固有符号だけということになる。このことは、セクタ固有符号のレプリカを用いた相関検出が可能であることを意味する。従って、受信装置側で、各セクタに対応したセクタ固有符号のレプリカ符号の時間波形を用意しておき、受信信号(FFT前の信号)にそのレプリカ符号の時間波形を乗算して相関ピークを検出することによって、受信信号におけるSCHの位置を高精度に検出することができる。従って、その後のセクタ同定やセル同定をより効率的に行なうことが可能となる。ただし、上述のようなSCHの構造が採用されている場合でも、1フレーム期間中にSCHが周期的に配置されていることには変わりがないため、自己相関法(すなわち、受信信号を所定期間だけ遅延させた信号と、元の受信信号との相関を検出する方法)による位置検出を行なうことも可能である。
また、本発明の同期チャネル(SCH)のデータ構造は、前記セクタ固有符号は、2m個(mは2以上の自然数)の符号要素を一組とし、この一組の符号要素を、周波数軸上のサブキャリアに、繰り返し割り当てることによって構成されると共に、前記2m個の符号要素は、請求項2または請求項3に記載される、セクタ毎に直交しているm個の符号要素の組を2組用意し、各組を周波数軸上で隣接するように、サブキャリアに割り当てることによって構成され、かつ、前記セクタ固有符号の構成単位である前記2m個の符号要素のうちの、半分のm個の符号要素の各々には、その符号要素と同じ値をもつ、他の半分のm個の符号要素の各々に対する相対的な位相差を示す、前記セル固有符号を構成する符号要素が乗算されている。
SCHをセクタ同定にのみ使用するのであれば、上記のとおり、m個の符号要素を構成単位とする直交符号を周波数軸上に繰り返し配置するだけでよいが、さらに、セル固有情報も伝送するとなると、より条件が厳しくなる。すなわち、SCHに、セクタ固有情報とセル固有情報の双方を重畳して伝送するためには、セクタ固有情報とセル固有情報が相互に悪影響を与えないことが条件となり、また、各々の情報を独立に(つまり、並行処理によって)復元できるようにすることも、処理時間の短縮のためには重要である。これらの条件を満たすために、ここでは、セクタ同定のための直交符号の構成単位である、m個の符号要素の組を2組用意し、それらを周波数軸上で2段に重ねあわせ、2m個の符号要素を新たな構成単位とし、これを周波数軸上で繰り返して配置するようにする。m個の符号要素はセクタを同定するために使用される。残りのm個の符号要素は、セル固有符号を乗算するために使用される。セル固有符号は、上記のとおり、一対のサブキャリアの相対的な位相差を示すため、残りのm個の符号要素の各々には、同じ値をもつ他のm個の符号要素の各々(つまりセクタ固有符号の符号要素の各々)に対する、位相差を示す符号が乗算される。例えば、(m1,m2,m3)の符号要素からなるセクタ同定用の直交符号を、周波数軸上で2段に重ね合わせ、これを単位として低周波数側から高周波数側に繰り返し配置して符号を形成する場合を考える。例えば、符号M1=(m1,m2,m3,「m1」,「m2」,「m3」・・・・)とする。「」は、同じ値の符号要素同士を区別するために付している。そして、「m1」には、低周波数側の同じ値をもつm1に対する位相差を示す符号“c1”を乗算し、「m2」、「m3」にも、各々、低周波数側のm2、m3に対する位相差を示す符号“c2”、“c3”を乗算する。
これによって、セクタおよびセル同定用符号M1は、M1=(m1,m2,m3,m1・c1,m2・c2,m3・c3・・・)となる。上記のとおり、(m1,m2,m3)は、セクタ間で直交するため、複素共役の乗算と相関検出によってセクタ固有符号を区別して取り出すことができる。また、例えば、“m1・c1”については、m1(位相基準となるサブキャリアに乗算されている符号)の複素共役を乗算すれば、m1は見えなくなって、セル固有情報をもつ“c1”を取り出すことができ、c2、c3も同様に取り出すことができる、このように、基本的には、位相基準のサブキャリアに対する他方のサブキャリアの位相差を検出することによって、セル固有符号(Cn)を復調することができる(ただし、復調精度の向上のためには、候補となるセル固有符号Cnとの相互相関をとるのが望ましい)。セクタ固有符号(m1,m2,m3)を用いた逆拡散と相関検出によるセクタ同定と、複素共役の乗算によるセル固有情報Cn(c1,c2,c3・・・)の復調処理とは、各々独立に(並列に)実施することができる。また、セル固有情報の伝送に関しては、例えば、同じ値“m1”が乗算されている2本のサブキャリアをペアとし、そして、一方を位相基準のサブキャリアとし、他方のサブキャリアに、セル固有符号Cnを割り当てて、その位相基準のサブキャリアとの間の相対的な位相差を与えることができるため、セクタ固有符号による干渉を受けることなく、セル固有情報のみを、サブキャリア間の相対的位相差情報として伝送することが可能である。従って、セル固有情報を効率的に伝送することができる。
また、本発明の同期チャネル(SCH)のデータ構造は、前記セクタ固有符号は、2m個(mは2以上の自然数)の符号要素を一組とし、その一組の符号要素を周波数軸上のサブキャリアに、繰り返し割り当てることによって構成されると共に、前記2m個の符号要素は、本発明のセクタ毎に直交しているm個の符号要素の組を2組用意し、各符号における同じ値の符号要素同士が周波数軸上で隣接して配置されるように、前記各組の符号要素をサブキャリアに交互に割り当てることによって構成され、かつ、前記セクタ固有符号の構成単位である前記2m個の符号要素のうちの、周波数軸上の隣接するサブキャリアに割り当てられた前記同じ値の符号要素の一方には、他方の位相基準となる符号要素に対する相対的な位相差を示す、前記セル固有符号を構成する符号要素が乗算されている。
上記の例では、m個の符号要素の組(セクタ同定用の直交符号:例えば、(m1,m2,m3))を二組用意し、それらを周波数軸上で単に重ねて配置していたが、本発明では、各組の同じ符号要素同士が、周波数軸上で隣接するように、入り組ませた形態で配置する。例えば、符号M1=(m1,m1,m2,m2,m3,m3)とする。そして、同じ値の符号要素の一方に、相対的な位相差を示すセル固有符号を乗算する。従って、セクタおよびセル同定用符号はM1=(m1,m1・c1,m2,m2・c2,m3,m3・c3)となる。そして、奇数番目の符号要素(m1,m2,m3)を用いてセクタ同定を行ない、偶数番目の(m1・c1,m2・c2,m3・c3)の各々については、隣接する位相基準のサブキャリアに乗算されているm1、m2、m3の各々の複素共役を乗算することによって、セル固有符号(c1,c2,c3・・・)を復調することができる。本発明の優れている点は、セル固有符号Cnが乗算される前の、セクタ固有符号要素列において、同じ値の符号要素同士が隣り合わせで配置されていること(つまり、“m1、m1”、“m2、m2”、“m3、m3”というように周波数軸上でペアで配置されていること)である。値が同じ符号同士が近接した周波数軸上に配置されているため、その符号が割り当てられたサブキャリアの伝搬路の伝達関数も等価とみなすことができることである(つまり、周波数軸上でサブキャリアの位置が離れることによって、各サブキャリアの伝搬路の伝達関数が異なってしまうと、この影響で位相が回ってしまい、このことが、2つのサブキャリア間の相対位相差によりセル固有情報を伝送する場合の誤差となってしまい、セル固有情報の復調精度が低下する場合がある)。本発明では、2つのサブキャリアが周波数軸上で隣接して配置されているため、各サブキャリアの伝搬条件が同じと推定できる確率が高いため、セル固有情報(つまり、2つのサブキャリアの位相差)を、より高精度に伝送することが可能である。
また、本発明の同期チャネル(SCH)のデータ構造は、Sf(Sfは自然数)個のサブフレームを時間軸方向に1フレーム期間に渡って配置し、かつ、複数のサブチャネルを周波数軸方向の全帯域に渡って配置し、これによってマルチキャリア通信におけるフレームが構成され、前記同期チャネル(SCH)は、前記1フレーム期間をSs(SsはSfの約数)個に等分した時間期間の各々の最後の1シンボルに配置され、かつ、その同期チャネル(SCH)は、周波数上において、所定本のサブキャリア間隔で周期的に配置される。従って、セクタ同定のために使用されるサブキャリアが合わさって形成される時間波形は、1シンボル期間内において所定波形が繰り返される周期性をもった時間波形となり、この時間波形の周期性を利用することによって、自己相関法によるSCH位置の検出が可能である。
1つのフレーム期間を所定数で等分して得られる時間期間の最後の(1つの)シンボルにSCHが割り当てられ、そのSCHが割当てられたサブキャリアのうちの、セクタ同定のために使用されるサブキャリアは、周波数軸上で、所定間隔で周期性をもって配置される。この配置によれば、OFDM通信方式における直交するサブキャリアの周波数関係、すなわち時間方向の対称性に起因して、それらのサブキャリアが合わさって形成される時間波形が、1シンボル期間内に所定波形が繰り返される周期性をもった時間波形(例えば、所定波形をAとすれば、1/2シンボル毎にAが繰り返されるような時間波形)が得られる。時間波形の周期性を利用することによって、自己相関法あるいは相互相関法によるSCH位置の検出が可能である。
また、本発明の同期チャネル(SCH)のデータ構造は、複数のサブフレームを時間軸方向に1フレーム期間に渡って配置し、かつ、複数のサブチャネルを周波数軸方向の全帯域に渡って配置し、これによってマルチキャリア通信におけるフレームが構成され、前記同期チャネル(SCH)は、前記1フレーム期間の所定の2シンボルに同一の同期チャネルが配置される。従って、セクタ同定のために使用されるサブキャリアが合わさって形成される時間波形は、2シンボル期間においては、1シンボル期間毎に同じ波形が繰り返される周期性をもった時間波形となり、この時間波形の周期性を利用することによって、自己相関法によるSCH位置の検出が可能である。
2シンボルにSCHが割り当てられ、SCHが割当てられたサブキャリアのうちの、セクタ同定のために使用されるサブキャリアは、周波数軸上で所定間隔で周期性をもって配置される。本発明の場合、2シンボルにわたってSCHが割り当てられているため、結果的に、シンボル毎に同一の時間波形が現れることになる(例えば、1シンボル期間の波形をCとすれば、2シンボル期間において、1シンボル期間毎にCが繰り返されるような時間波形となる)。このような、1シンボル期間毎の時間波形の周期性を利用することによって、自己相関法によるSCH位置の検出が可能である。また、全周波数帯のサブキャリアを利用してSCHを送信することができるため、各シンボルに異なる情報を送信する場合には、セル固有情報(相対的位相差情報)の伝送に使用できる符号長を長くすることができ、より多くのセル固有情報を送信することが可能となる。
また、本発明のセルサーチ方法は、マルチキャリア送信装置からのマルチキャリア信号を受信し、その受信信号に含まれる、セルおよびセクタ同定情報を含む本発明の同期チャネル(SCH)を利用して、セクタならびにセルを同定するセルサーチ方法であって、自己相関法あるいは相互相関法によって、受信信号における同期チャネル(SCH)位置を検出する第1ステップと、周波数軸上に配置されている、前記同期チャネル(SCH)のセクタ固有符号による逆拡散処理によって、最大の受信電力を与えるセクタ固有符号を検出してセクタを同定すると共に、これと並行して、前記同期チャネル(SCH)が割り当てられているサブキャリアにおける、前記位相基準となるサブキャリアと、このサブキャリアに対応する、セル固有符号の符号要素が乗算されているサブキャリアとの間の位相差を検出することによって前記セル固有符号を復調し、さらに必要に応じて、検出したいセル固有符号との相関検出処理を行ない、これによってセル固有符号を検出する第2ステップとにより実行される。
上記のとおり、マルチキャリア通信のダウンリンクのSCHに、セクタおよびセルを同定するための情報を重畳することによって、所定条件が満たされれば(つまり、サブキャリア数を充分にとれ、一対のサブキャリア間の相対位相差によって、必要なセル固有情報をすべて伝送することができれば)、パイロットチャネルを使用せずに、SCHのみを用いて、セクタ同定を含むセルサーチを完了させることができる。すなわち、SCHの周期性を利用した自己相関法による、あるいは、セクタ固有符号のレプリカを利用した相互相関法による、時間軸上のSCHタイミングの検出(第1ステップ)と、周波数軸上の情報に基づくフレームタイミングの同定、セクタIDならびにセルIDの同定(第2ステップ)と、によって、セルサーチが完了する。従って、従来の3段階セルサーチに比べて、サーチプロセスを短縮することができる。また、この場合、パイロットチャネルを用いた逆拡散と相関検出は、データチャネルの復調時に必要となるだけであり、セルサーチでは不要であるため、パイロットチャネルによる相関演算のためのハードウェアの負担を軽減すること(メモリ容量の削減等)を達成することができる。また、SCHにはセクタ固有符号が重畳されていることから、セクタ同定に関して、セクタ間の干渉やフェージングに強いという効果も得ることができる。ただし、サブキャリア数が十分ではない場合には、SCHだけでは、セルIDの直接の同定ができず、セルIDグループ情報の検出にとどまる場合があるため、この場合には、第3ステップの処理として、パイロットチャネルを用いた逆拡散と相関検出を実施して、セルIDを同定する。
また、本発明のマルチキャリア送信装置は、本発明の構造をもつ同期チャネル(SCH)を、フレーム期間において、周波数軸上に割り当てる割り当て手段と、前記同期チャネル(SCH)が周波数軸上に割り当てられたマルチキャリア信号を送信する、複数のセクタ毎に設けられた指向性アンテナを備える送信手段と、を有する。
これによって、セクタ固有情報とセル固有情報が周波数軸上に割り当てられたマルチキャリア信号を、セクタ毎のアンテナから送信することが可能となる。
また、本発明のマルチキャリア受信装置は、本発明のマルチキャリア送信装置から送信される前記マルチキャリア信号を受信し、その受信信号に含まれる、セクタ固有符号が乗算された同期チャネル(SCH)を利用してセクタを同定するマルチキャリア受信装置であって、前記同期チャネル(SCH)が時間軸上で周期的に配置されていることを利用して、受信信号における同期チャネル(SCH)位置を検出するタイミング検出手段と、周波数軸上に配置されている、前記同期チャネル(SCH)に乗算されたセクタ固有符号による逆拡散処理によって、最大の受信電力を与えるセクタ固有符号を検出するセクタ同定手段と、を有する。
これによって、マルチキャリア信号を受信して、SCHによるセクタの同定処理(セクタサーチ)を実施することができる。
また、本発明のマルチキャリア受信装置は、マルチキャリア送信装置から送信されるマルチキャリア信号を受信し、その受信信号に含まれる、セル間で共通の符号が採用されている同期チャネル(SCH)を利用してセクタを同定するマルチキャリア受信装置であって、前記セル固有符号を構成する符号要素のうちの前記位相基準となる前記符号要素が割り当てられたサブキャリアに乗算されている、前記セクタ固有符号のレプリカ符号の時間波形を利用した相互相関法によって、受信信号における同期チャネル(SCH)位置を検出するタイミング検出手段と、周波数軸上に配置されている、前記同期チャネル(SCH)のセクタ固有符号による逆拡散処理によって、最大の受信電力を与えるセクタ固有符号を検出するセクタ同定手段と、を有する。
本発明のマルチキャリア受信装置では、受信信号に含まれるSCHの位置を検出する第1ステップにおいて、セクタ固有符号のレプリカ符号の時間波形を、受信信号に乗算して相関を求める方法(相互相関方法)を採用する。これによって、SCHのタイミングを高精度に検出することができる。
また、本発明のマルチキャリア受信装置は、前記セクタ同定手段によるセクタ固有符号の検出処理と並行して、前記同期チャネル(SCH)が割り当てられているサブキャリアにおける、前記位相基準となるサブキャリアと、このサブキャリアに対応する、セル固有符号の符号要素が乗算されているサブキャリアとの間の位相差を検出することによって前記セル固有符号を復調し、さらに必要に応じて、検出したいセル固有符号との相関検出処理を行ない、これによってセル固有符号を検出し、セルIDまたはセルIDグループ情報を検出するセル同定手段を、さらに有する。
これによって、マルチキャリア信号を受信して、SCHによる、セクタ同定を含むセルサーチを実施することができる。サブキャリア数が十分であれば、SCHのみによって、セクタIDとセルIDの同定が可能である。
また、本発明のマルチキャリア受信装置は、前記セル同定手段によって特定される情報が、セルIDグループ情報である場合に、パイロットチャネルを利用した逆拡散と相関検出処理を実施してセルIDを検出する、セル同定処理を完結させるための手段を、さらに有する。
これによって、サブキャリア数が十分ではなく、SCHによって、セルIDグレープのみが同定される場合には、続いて、パイロットチャネルの逆拡散と相関検出によって、セルIDを同定し、セルサーチを完結させることができる。
また、本発明の同期チャネル(SCH)のデータ構造は、前記セル固有符号を構成する前記位相基準となる符号要素が乗算されるサブキャリア(すなわち、セクタ同定のために使用されるサブキャリア)は、中心周波数を基準として低周波数側ならびに高周波数側に対称に、かつ、所定本のサブキャリア間隔で配置され、これによって、前記セクタ同定のために使用されるサブキャリアが合わさって形成される時間波形は、1シンボル期間内において、1/M(Mは2以上の自然数)シンボル単位で、基準波形、またはその基準波形の反転波形とが、繰り返される周期性をもった時間波形となり、この時間波形の周期性を利用することによって、自己相関法による同期チャネル(SCH)位置の検出が可能である。
さらに、セクタ同定のために使用するサブキャリアの、周波数軸上における配置を工夫することによって、1/N(Nは4以上の自然数)シンボル単位で、特徴的な時間波形を得ることができ、この時間波形の特徴的な周期性を利用することによって、より効率的に、精度が高い相関判定が可能となる。1/N単位の周期性に着目した簡易な相関検出ですむため、相関器(マッチドフィルタという場合もある)の構成を簡素化することができる。
また、本発明の同期チャネル(SCH)のデータ構造は、前記セクタ同定のために使用されるサブキャリアは、中心周波数を基準として低周波数側ならびに高周波数側に対称に、かつ、中心周波数を0番目とした場合に、2番目、6番目、10番目、14番目・・・・、以下同様に、3本のサブキャリアを隔てた位置に配置され、これによって、前記セクタ同定のために使用されるサブキャリアが合わさって形成される時間波形は、1シンボル期間内において、1/4シンボル単位で、基準波形と、その基準波形の反転波形とが、交互に繰り返される周期性をもった時間波形となる。
基準波形をBとすると、1シンボル期間内において、1/4シンボル単位で、B、−B、B、−Bというふうに、基準波形と、その基準波形の反転波形とが、交互に繰り返される周期性をもった時間波形が得られる。この場合、1/4シンボル単位で繰り返される、時間波形の特殊な周期性を検出できればよいため、相関器の構成を簡素化することができる。
また、本発明の同期チャネル(SCH)のデータ構造は、前記セクタ同定のために使用されるサブキャリアは、中心周波数を基準として低周波数側ならびに高周波数側に対称に、かつ、中心周波数を0番目とした場合に、4番目、8番目、12番目、16番目・・・・、以下同様に、3本のサブキャリアを隔てた位置に配置され、これによって、前記セクタ同定のために使用されるサブキャリアが合わさって形成される時間波形は、1シンボル期間内において、1/4シンボル単位で、同一の基準波形が繰り返される周期性をもった時間波形となる。
基準波形をDとすると、1シンボル期間内において、1/4シンボル単位で、D、D、D、Dというふうに、同一の基準波形が繰り返される周期性をもった時間波形が得られる。この場合も、相関器の構成を簡素化することができる。
また、本発明の同期チャネル(SCH)のデータ構造は、前記セクタ共通符号ならびに前記セル固有符号を構成する前記位相基準となる符号要素の各々は、全セルに共通の符号であり、また、前記セクタ共通符号の符号要素は、周波数軸上の同期チャネル(SCH)が割当てられるサブキャリアに関して共通であり、かつ、前記セル固有符号を構成する前記位相基準となる符号要素も、周波数軸上の位相基準となるサブキャリアに関して共通であり、これによって、前記セクタ固有符号による逆拡散処理によって最大の受信電力を与えるセクタ固有符号を検出してセクタを同定する際に、逆拡散の対象となる符号要素を得るためのサブキャリアが、隣接する一組のサブキャリアに限定されるという条件を不要とする。
セルサーチの第1ステップの処理(SCH位置の検出処理)を相互相関によって行なう場合に、全セルに共通のセクタ共通符号と、全セルに共通のセクタ固有符号のうちの、位相基準となるサブキャリアに乗算される符号要素とを、周波数軸上のサブキャリア間で共通化して(つまり、すべて同一として)、最も簡素化された符号構成を採用するものである。これによって、セクタ固有符号を、総サブキャリアのうちのいずれかのサブキャリアを選択して特定することができる。従って、逆拡散の対象となる符号要素を得るためのサブキャリアが、隣接する一組のサブキャリアに限定されるという条件が不要となる。
また、本発明のセルサーチ方法は、自己相関法あるいは相互相関法によって、受信信号における同期チャネル(SCH)の位置を検出する第1ステップと、前記セクタ固有符号の符号要素が割当てられている、位相基準となるサブキャリアが合わさって形成される時間波形が、その割当てられている符号要素に応じた特徴的な波形となることを利用して、相互相関法による相関値を検出し、最も高い相関値を示すセクタを直近のセクタとして同定すると共に、これと並行して、前記同期チャネル(SCH)が割り当てられているサブキャリアにおける、前記位相基準となるサブキャリアと、このサブキャリアに対応する、セル固有符号の符号要素が乗算されているサブキャリアとの間の位相差を検出することによって前記セル固有符号を復調し、さらに必要に応じて、検出したいセル固有符号との相関検出処理を行ない、これによってセル固有符号を検出する第2ステップと、を含む。
セルサーチ方法において、セクタ同定を、FFT処理後の逆拡散による相関値ピーク判定ではなく、FFT前の時間波形の相互相関によっても行なうことも可能である点を明らかとしたものである。すなわち、FFT処理前に、セクタ固有符号のレプリカ時間波形を用いて相互相関ピークを検出し、最大のピークを与える符号を特定することによって、最も近くにあるセクタを同定することが可能である。このレプリカ時間波形を用いた相互相関法を適用するためには、移動局において、基地局から送信される各種のセクタ固有符号が既知であることが条件となる。なお、セクタ同定方法として、直交符号による逆拡散による相関検出する手法を用いるか、レプリカ時間波形による相互相関を検出する手法によるかは、要求される検出精度や回路上の制約等を考慮して、適宜、決定することができる。