JP4425052B2 - プロペラシャフトの衝撃吸収構造 - Google Patents
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Description
このプロペラシャフト100によれば、図9(B)に示すように、プロペラシャフト100の前後方向に強い衝撃が加わると、上記段差部分112が軸方向に変形又は破断し、この軸方向の変形又は破断の際に衝撃を吸収するようになっている。
このプロペラシャフト200によれば、衝撃荷重Fが加わると、図示しない車体の前方側に形成されたエンジンルーム等のクラッシャブルゾーンが衝突初期段階において変形し衝撃荷重Fが吸収される。そして、変形した部位がエンジンに到達すると、衝撃荷重Fがトランスミッションからスライドヨーク206に伝達される。スライドヨーク206にかかる衝撃荷重Fが、スプライン嵌合部218による第1の抵抗と、カシメ部Gによる第2の抵抗を超えると、スライドヨーク206が収縮方向に移動する。スライドヨーク206が移動すると、スプライン嵌合部218による第1の抵抗がスライドヨーク206の移動に伴い増大するとともに、折り曲げられた延長部214がシート204に押されて延長部214がカシメ部Gから開く方向に塑性変形して第2の抵抗が増大する。このように、プロペラシャフト200にかかった衝撃荷重Fは、スプライン嵌合部218の抵抗とカシメ部Gを塑性変形させるエネルギーで吸収される。
ここで、第2のプロペラシャフト部の径が第1のプロペラシャフト部の拡径部の径よりも小径に形成されているため、衝撃力が伝達されると、第1のプロペラシャフト部と第2のプロペラシャフト部が接続する接続部位又はその近傍で応力集中が発生する。この応力集中が接続部位又はその近傍の強度を超えると、接続部位又はその近傍が破断又は塑性変形する。接続部位又はその近傍が破断又は塑性変形すると、第2のプロペラシャフト部が第1のプロペラシャフト部(拡径部)の内部に入り込み、内部の摺動部材と当接し、摺動部材を押圧する。摺動部材が押圧されると、摺動部材が拡径部の内周面を摩擦摺動するように、第1のプロペラシャフト部に対して移動する。このとき、摺動部材と拡径部の内周面との間で弾性摩擦力が発生し、衝撃力の大きさに応じた距離だけ摺動部材がさらに移動し、その変位量に応じて衝撃力が吸収される。この結果、簡易な構成のプロペラシャフトの衝撃吸収構造で軸方向に作用する衝撃力を確実に吸収することができる。また、プロペラシャフトの衝撃吸収構造を簡易な構成とすることにより、プロペラシャフトの衝撃吸収構造が吸収し得る衝撃荷重を容易に設定及び調整することができる。
また、摺動部材の円筒状部材がウエイト部となり、ゴム部材が制振部となるため、摺動部材を動的又は静的ダンパなどの制振部材として用いることができ、プロペラシャフトの共振点を調整できる。
また、拡径部にゴム部材が弾性的に接触しているため、摺動部材を静的ダンパなどの制振部材として用いることができ、プロペラシャフトの高周波振動をゴム部材で吸収することができる。
このように、摺動部材に衝撃吸収機能と制振機能を兼備させることにより、部品点数を削減することができ、プロペラシャフトの衝撃吸収構造の製造コストを格段に低減することができる。
また、摺動部材がゴム部材を有しているため、ゴム部材と拡径部の内周面との間の弾性摩擦力を調整することができる。このため、摺動部材に拡径部の内周面上を摺動させるのに必要なエネルギーを任意に調整でき、プロペラシャフトの衝撃吸収構造の衝撃吸収荷重特性をゴム部材の圧入荷重で容易に設定することができる。
また、ゴム部材を拡径部の内周面に接着させることにより、プロペラシャフトに衝撃力が作用しない場合において、摺動部材の第1のプロペラシャフト部(拡径部)に対する位置決め保持を確実にすることができる。
さらに、円筒状部材の外周面にゴム部材が配置された構成であるため、部材の寸法精度に多少の誤差が生じた場合でも、その間でゴム部材が弾性変形することによりその寸法誤差を吸収することができる。また、摺動部材の第1のプロペラシャフト部の内部への挿入が容易となる。
また、摺動部材の円筒状部材がウエイト部となり、ゴム部材が制振部となるため、摺動部材を動的又は静的ダンパなどの制振部材として用いることができ、プロペラシャフトの共振周波数を調整できる。
また、拡径部にゴム部材が弾性的に接触しているため、摺動部材を静的ダンパなどの制振部材として用いることができ、プロペラシャフトの高周波振動をゴム部材で吸収することができる。
このように、摺動部材に衝撃吸収機能と制振機能を兼備させることにより、部品点数を削減することができ、プロペラシャフトの衝撃吸収構造の製造コストを格段に低減することができる。
また、摺動部材がゴム部材を有しているため、ゴム部材と拡径部の内周面との間の弾性摩擦力を調整することができる。このため、摺動部材に拡径部の内周面上を摺動させるのに必要なエネルギーを調整でき、プロペラシャフトの衝撃吸収構造の衝撃吸収荷重特性をゴム部材の圧入荷重で容易に設定することができる。
また、ゴム部材を拡径部の内周面に接着させることにより、プロペラシャフトに衝撃力が作用しない場合において、摺動部材の第1のプロペラシャフト部(拡径部)に対する位置決め保持を確実にすることができる。
さらに、円筒状部材の外周面にゴム部材が配置された構成であるため、部材の寸法精度に多少の誤差が生じた場合でも、その間でゴム部材が弾性変形することによりその寸法誤差を吸収することができる。また、摺動部材の第1のプロペラシャフト部の内部への挿入が容易となる。
また、第1プロペラシャフト12の内部には主にプロペラシャフト10の共振周波数を調整するためのダイナミックダンパ(動的ダンパ)16が配置されている。このダイナミックダンパ16は、第1プロペラシャフト12の内周面に接触するゴム部と、ウエイト部としての機能を有する環状部材と、を有している。
また、第1プロペラシャフト12の他端(後端)には、トリポード型の等速自在継手18が接続されている。
ベアリングサポート22は、弾性ゴム22Aを有しており、第2プロペラシャフト20の一端(前端)がこの弾性ゴム22Aにより軸方向(図1中矢印X方向)に対して直交する方向(図1中矢印Y方向)に弾性支持されており、プロペラシャフト10の変形が弾性ゴム22Aで吸収されるように構成されている。また、第2プロペラシャフト20の一端(前端)は、等速自在継手18に接続されている。
また、第2プロペラシャフト20の他端(後端)は、クロスジョイント24を介して後輪側と連結した動力伝達部材(図示省略)に接続されている。
以上のように、第1プロペラシャフト12と第2プロペラシャフト20とは、軸方向(図1中矢印X方向)に連結した構成となっている。
前側プロペラシャフト部26は、中空状の筒状部26Aと、筒状部26Aの径よりも大きな径に形成された中空状の拡径部26Bと、筒状部26Aと拡径部26Bとの間を接続し拡径部26Bから筒状部26Aに向かって径が徐々に小さくなるように形成された中空状のテーパ部(抵抗部)26Cと、を有している。
また、拡径部26Bの内部には、摺動部材30が配置されている。この摺動部材30は、金属製の円筒状部材32と、円筒状部材32の径方向外側に配置されたゴム部材34とで構成されている。このゴム部材34は、円筒状部材32の外周面に沿って全周面に配置されていてもよく、また、円筒状部材32の外周面の一部に配置されていてもよい。特に、中空状の円筒状部材32を用いることにより、中実部材とする場合と比較して、摺動部材30自体を軽量化することができる。また、摺動部材30の軽量化に伴い、プロペラシャフト10の衝撃吸収構造の製造コストを低減することができる。
一方、後側プロペラシャフト28は、前側プロペラシャフト26の筒状部26Aと略同径に形成された中空状部材であり、一方の端部で拡径部26Bと接続されている。このため、後側プロペラシャフト28と前側プロペラシャフト26との接続部位は、断面視にて屈曲状に形成されている。
なお、ベース部材は、筒状部26A及びテーパ部26Cか、後側プロペラシャフト28のいずれか一方を予め絞り加工により形成しておき、絞り加工した部位の反対側からベース部材の内部に摺動部材30を圧入させ、その後、ベース部材の筒状部26A及びテーパ部26Cか、後側プロペラシャフト28のいずれか他方を後から絞り加工してもよい。
以上のように、プロペラシャフト10に衝撃力が作用した場合でも、後側プロペラシャフト28と前側プロペラシャフト26との接続部位又はその近傍が切断する第1ステップと、摺動部材30が拡径部26Bの内周面上を摩擦摺動する第2ステップと、摺動部材30がテーパ部26Cを径方向外側に押し広げながらさらに移動する(テーパ部26Cが塑性変形する)第3ステップと、を経ることで、簡易な構成のプロペラシャフト10の衝撃吸収構造により衝撃力を段階的に確実に吸収することができる。
特に、摺動部材30がゴム部材34を有しているため、ゴム部材34と拡径部26Bの内周面との間の摩擦力を増大させることができる。このため、摺動部材30に拡径部26Bの内周面上を摺動させるのに大きな摩擦摺動エネルギーが必要となり、プロペラシャフト10の衝撃吸収構造の衝撃吸収力を簡易に増大させることができる。
また、テーパ部26Cを形成することにより、第3ステップにおいてテーパ部26Cを塑性変形させるためにさらに大きなエネルギーが必要となるため、摺動部材30の移動に伴う抵抗力が増大し、大きな衝撃力が作用した場合でも、その衝撃力を十分に吸収することができる。
また、後側プロペラシャフト28と前側プロペラシャフト26との接続部位又はその近傍が屈曲状に形成されているため、屈曲状の強度が比較的弱くなり、その接続部位に応力集中が発生する。これにより、接続部位又はその近傍で常に破断させることができ、プロペラシャフト10の衝撃吸収構造が吸収し得る衝撃吸収荷重の設定が比較的容易になり、信頼性を向上できる。
さらに、前側プロペラシャフト26と後側プロペラシャフト28が一体形成されているため、プロペラシャフト10の部品点数を少なくすることができ、部品管理が容易になる。また、前側プロペラシャフト26と後側プロペラシャフト28が一体形成されているため、両者の接続部位又はその近傍の強度が必要以上に低下することを防止できる。さらに、前側プロペラシャフト26と後側プロペラシャフト28が一体形成されているため、部品点数を削減することができ、プロペラシャフト10の衝撃吸収構造が吸収し得る衝撃吸収荷重の設定が一層容易になる。
なお、テーパ部26Cの軸方向に対する傾斜角度は、想定される衝撃力に対応させて適宜変化させることができる。例えば、比較的大きな衝撃力に対してはテーパ部26Cの軸方向に対する傾斜角度を大きくすることにより大きな衝撃力を十分に吸収することができる。
以上のように、摺動部材30を制振部材(ダンパ)としても機能させることができるため、部品点数を削減することができ、さらにプロペラシャフト10の衝撃吸収構造の製造コストを低減させることができる。
以上のように、プロペラシャフト10に衝撃力が作用した場合に、後側プロペラシャフト28と前側プロペラシャフト26との接続部位又はその近傍が塑性変形し、この変形部分で摺動部材30を押圧することにより、同様にして、プロペラシャフト10に作用する衝撃力を十分に吸収することができる。
ここで、第2プロペラシャフト50は、拡径部50Bで2つの分割部材60A、60B同士が接続されて構成されている。すなわち、第1プロペラシャフト12側に位置し接続部50Dの一部が拡径部50Bの径と略同一の径になるように拡径してフランジ端部61が形成された第1分割部材60Aと、駆動輪(後輪)側に位置し筒状部50A、拡径部50B及びテーパ部50Cで構成される第2分割部材60Bと、が摩擦圧接(第1分割部材60Aのフランジ端部61と第2分割部材60Bの拡径部50Bとを相対的に高速回転させ、摩擦に伴う熱により両者を溶接すること)により一体的に接続されている。
ここで、第1分割部材60Aが拡径する部位(第1分割部材60Aと第2分割部材60Bとの接続部位の近傍に相当する)が屈曲状に形成されているため、この部位で応力集中が発生する。この部位に作用する応力がこの部位の曲げ、圧縮、引張強度を超えると、その部位が破断する。このとき、図8(B)に示すように、第2プロペラシャフト50が軸方向に固定されているため、接続部50Dの一部(フランジ端部以外の部分)が拡径部50Bの内部に入り込み、摺動部材30を構成する円筒状部材32に接触し、さらに円筒状部材32を後輪側に押圧する。これにより、摺動部材30が拡径部50Bの内周面上を摩擦摺動し、やがてテーパ部50Cと接触する。さらに、図8(C)に示すように、摺動部材30がテーパ部50Cを径方向外側に押し広げながら、後輪側に移動する。
以上のように、変形例となるプロペラシャフトの衝撃吸収構造においても、簡易な構成で衝撃力を吸収することができ、部品点数も少ないことから衝撃吸収荷重の設定が容易になる。
26 前側プロペラシャフト(第1のプロペラシャフト部)
26B 拡径部
26C テーパ部(抵抗部)
28 後側プロペラシャフト(第2のプロペラシャフト部)
30 摺動部材
32 円筒状部材
33 絞り部
34 ゴム部材
Claims (8)
- 内燃機関側の駆動力を車輪側に駆動連結するプロペラシャフトの衝撃吸収構造であって、
径が大きく形成された拡径部を有する略円筒状の第1のプロペラシャフト部と、
前記拡径部の径よりも小径に形成され前記拡径部と連接して前記第1のプロペラシャフト部と軸方向に接続された略円筒状の第2のプロペラシャフト部と、
前記拡径部の内部に前記拡径部の内周面と弾接するように配置され、軸方向に作用する衝撃力により前記第1のプロペラシャフト部と前記第2のプロペラシャフト部が接続する接続部位又はその近傍が破断又は塑性変形したときに前記第2のプロペラシャフト部に押圧されて前記拡径部の内周面を摩擦摺動する摺動部材と、
を有し、
前記摺動部材は、前記プロペラシャフトの制振部材を兼ねていることを特徴とするプロペラシャフトの衝撃吸収構造。 - 前記第1のプロペラシャフト部の前記第2のプロペラシャフト部との前記接続部位又はその近傍が屈曲状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のプロペラシャフトの衝撃吸収構造。
- 前記第1のプロペラシャフト部の前記第2のプロペラシャフト部との前記接続部位と前記摺動部材を挟んだ軸方向反対側には、前記軸方向反対側に向かって縮径する抵抗部が形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のプロペラシャフトの衝撃吸収構造。
- 前記摺動部材は、前記第2のプロペラシャフト部の径よりも大きな径の円筒状部材と、前記円筒状部材の外周面に設けられ前記拡径部の内周面に弾着するゴム部材と、で構成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のプロペラシャフトの衝撃吸収構造。
- 前記円筒状部材の端部には、前記抵抗部側に向かって縮径した絞り部が形成されていることを特徴とする請求項4に記載のプロペラシャフトの衝撃吸収構造。
- 前記抵抗部の傾斜角度と前記絞り部の傾斜角度が略同一であることを特徴とする請求項5に記載のプロペラシャフトの衝撃吸収構造。
- 前記第1のプロペラシャフト部と前記第2のプロペラシャフト部は、一体形成されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のプロペラシャフトの衝撃吸収構造。
- 前記第1のプロペラシャフト部には、前記拡径部と略同径に前記第2のプロペラシャフト部から拡径したフランジ端部が摩擦圧接により一体に接続されていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載のプロペラシャフトの衝撃吸収構造。
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