JP4422856B2 - クッション材 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車用シート、寝具、家具、建材などに用いられるクッション材に関する。
【0002】
【従来の技術】
クッション材は振動や衝撃を緩和する機能のほかに身体のような複雑な曲面をできるだけ均等に支えるために使用されている。本発明は後者の身体を支えるクッション材に関するものであり、この分野では古くは綿のような繊維を絡めて生布で包んだ布団が挙げられ、繊維自体の弾性を利用したものである。寝具や家具などでは鋼線を螺旋もしくは湾曲させて立体構造を構成し面状のクッション材を提供している。近年では、石油化学製品が普及し発泡樹脂製品が主流を占め成形の容易さと軽量、低コストを実現し揺るぎ無い地位を確立している。しかしながらクッション材に暖気や冷気を送風して心地よい状態を提供するような製品が望まれる様になり、発泡樹脂製品は通気性に乏しいことから通気性のよい新規なクッション材が望まれている。繊維を利用したクッション材の新規なものとしてダブルラッセル機によるモノフィラメントを用いた立体編み地があり軽量で通気性がありクッション性に優れた製品を提供しているが編み地であるために工業製品としての量産性とコストの面で難点があり一層の改善が求められている。本発明はこの様な要望に応えて提案するものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、樹脂線材及び/又は筒材の弾性を利用した通気性のよい面状のクッション材を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、樹脂線材及び/又は樹脂筒材からなる弾性を有する湾曲部が2枚のシート間に存在し、湾曲部は前記シート及び/又は別のシートのうち少なくとも1枚のシートに固定もしくは一体に成形される。前記の2枚のシートはクッションとして外形を整える表装材もしくはその内張り材用のシートを指し、また湾曲部を固定もしくは一体に成形した別のシートを含むものである。湾曲部を固定もしくは一体に成形するためのシートは前記2枚のシートを兼ねることができる。そして更に詳しくは、前記の弾性を有する湾曲部がシートに固定もしくは一体に成形される状況は、湾曲部が形成される前か同時か後か又は湾曲部のみ別個に形成されるかを問わず本発明に含まれる。後述するように1枚のシートから湾曲部を突出させる場合は、シートと湾曲部が一体に成形されるので湾曲部がシートを形成しているような形状を呈するが湾曲部が存在していることには相違ない。湾曲部が固定もしくは一体に成形されたシートが前記の2枚のシート間に1枚もしくは2枚以上存在する場合も本発明に含まれる。
【0005】
樹脂線材は繰り返し曲げ応力に耐えうる素材を用いるが、延伸して高度に高分子の配向を施した形態が好ましい。樹脂としてはナイロン、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレンなど熱可塑性樹脂が挙げられる。2枚のシートの離間長さは5〜30mmの範囲が考えられるが9〜12mmが座席用のクッション材としては好適である。2枚のシート間に湾曲した樹脂線材を固定する方法としては種々の方法が考察されるが、1例として樹脂線材を周面に歯型を備えた加熱ロールにより加熱変形させシート間に送り込んで接着し一体化してクッション材を得る方法が挙げられる。樹脂筒材はそれ自体が周面に湾曲部を有しているから筒材自体を弾性体として用いるほか輪切りにして樹脂線材を丸めたようにして用いる。又後述するようにシートから直接湾曲部をテープとして突出させることも行われる。繰り返し荷重に耐える弾性材として用いるから径方向に拡張しながら成形したものが好ましい。
【0006】
クッション材は用途に適した表装材を貼着もしくはキルティングなどして用いられるが、人体のような曲面を有する荷重にたいして表装材には伸縮性が求められる。従ってクッション材にも表装材に追随するような伸縮性が求められる。樹脂線材あるいは樹脂筒材の湾曲部は表装材の伸縮に対して屈曲しながら隣接する線材の間隔が広がるように変形しうるから表装材の伸縮を妨げることはない。
【0007】
前記の樹脂線材はモノフィラメント、テープなどの形状が湾曲形状に加熱変形させ易い。モノフィラメントとしては100〜1000デニールが好ましく使用される。また、テープの形状は特に限定されないが好適には幅が1〜5mmで、厚みは0.1〜1mmの範囲のものが使用される。目安として身体荷重を支えるために湾曲した300デニールのナイロンフィラメントを1cm2当たり20〜30本を必要とする。樹脂線材を湾曲させるのは荷重がかかると曲がり易いから弾性の感触が柔らかい。湾曲の極率半径が大きくなるに従って直線状になり感触は硬くなるが、硬い感触部分が混在することもクッション材としては効果的であり、この様な直線状の樹脂線材がシート間に混在して成るクッション材も本発明に含まれる。また、樹脂筒材は円形、楕円、異形の断面形状を有する筒体が用いられる。筒体は輪切りにしてリング状にするか輪切りの際に一部に未切開部を設けて軸方向に伸張してリングが連結した状態で用いるとシートに固定する際の生産性が向上する。モノフィラメントはミシンのような縫製手段を用いてシート間に固定することもできる。近接した位置で同時にモノフィラメントを縫いつけるには本縫い方式では下糸のボビンに蓄える糸量が制限されるので複合針を用いた環縫い方式が有利である。更に、シートに凹凸折り曲げ状にテープを固定する形態は歯型を備えた押し出し型を用いてシートと一体に成形することも可能である。凹凸折り曲げ状に押し出された部分はテープ状で湾曲部を有し本発明の樹脂線材に含まれるものである。この様に押し出されるテープは幅、厚みは一定になりにくいが曲げ弾性が発現される形状であればよい。なお本発明に使用されるモノフィラメント及びテープは市販されるモノフィラメントの他にシートから分割されるテープの幅がシートの厚みとほぼ同程度である場合はもはやテープとは云い難いのでモノフィラメントの1種と見成している。またテープは同様に厚みよりはるかに大きい寸法の幅を有する扁平な形状を有するものを指し、フィルムからスリットして得られる長尺のテープの他にフィルムから所定長分割される部分もテープと見成している。
【0008】
また、前記の樹脂線材を円形、楕円形もしくは異形断面を基本とするリング状や螺旋状に加熱成形し少なくとも1枚のシートに接着や熱融着して固定するか、シートと一体成形する。上述したリング状や螺旋状、筒状のものは必ずしも周面が閉塞した状態に限らず一部に開口部が存在するか他の樹脂線材もしくは筒材と結合して一体化した複合された断面形状も本発明に含まれる。例えば、樹脂線材の場合、フィルム又はシートをテープ状にスリットして樹脂線材を形成してもよいが、スリットせずにフィルム又はシートを一部に開口部を有するように上記形状に加熱成形する。また、筒状のものについては円筒の周面が重なり合って半円と円が一体化したような断面形状に押出し成形した筒体等が例示できる。本発明では、2枚のシート間に湾曲部が存在する様にしているが湾曲部が一部分に存在しこれにつながる残りの部分が直線状になるような形状も含まれる。シートと一体に成形する樹脂線材は押し型と受け型を用いてシートから突出したテープを形成する。更に2組の押し型と受け型を用意しそれぞれにシートを送入して突出したテープを形成し、突出したテープを押し型から離型する前に双方の突出した部分を加熱圧接してテープを融着すれば2段に湾曲したテープを有するクッション材を得ることができるから嵩高なクッション材を提供できる。
【0009】
更に、前記のモノフィラメント及び/又はテープがシートから押し型と受け型を用いて、凸及び/又は凹状に所定の長さ及び幅にて突出して形成され、突出されないシートの残余の部分が曲線及び/又は直線状のリブを形成することで、荷重を受けた際に、前記リブが縦、横、斜めのうち少なくとも1方向に同一面内で変形もしくは移動する。リブの変形もしくは移動とはクッション材が伸縮することを意味し、一つの湾曲部が荷重を受けて変形したときにその変位量が隣接する湾曲部を押すように作用するためにクッション材自体が伸縮するものである。また、上述のリブはシートの残余の部分の配置により如何様にも作成できるから曲線や斜め方向に直線状に延びるリブを形成してリブが変形しやすくしクッション材全体があらゆる方向に伸縮できるようにした。
【0010】
また、厚さの異なる部分を有するシートから凸及び/又は凹状に所定長突出して形成され、突出されないシートの残余の部分が曲線及び/又は直線状のリブを形成し、突出して形成されるテープと突出されない部分のリブに、前記の厚さの異なる部分を対応させて応力に対する変位量や延び量を制御する。例えば、突出して形成されたテープのリブにつながる部分にシートの厚さの大きい部分を対応させ突出するテープの方へ徐々に厚さの小さい部分を対応させると反復荷重によるテープの根元に集中する荷重に対して充分な耐力を付与することができるほか、テープの弾性の強弱を制御することができる。更に、上記リブにおいても厚さの大きいリブは変形しにくいが厚さの小さい箇所は変形しやすいからクッション材として伸縮の方向性に特徴を持たせることができる。シートには熱可塑性樹脂が用いられナイロン、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレンなどが挙げられる。
【0011】
リング状、螺旋状、凹凸折り曲げ状、筒状に成形されたれた弾性を有する湾曲部をクッションの使用部位あるいは目的に応じてシート上やシート間に適宜混在させる。例えば、2枚のシートが同じ間隔に保たれるような条件のもとに、同じテープを使用した凹凸状に折り曲げた一方向に延びる樹脂線材とリング状や螺旋状に形成された樹脂線材を平行に配列した場合、前者はその延びる方向に強い弾性を示すが、後者は中心軸方向に弱い弾性を示す。また、前者の樹脂線材の立ち上がり部分の線の長さと後者の湾曲部の長さは、後者の方が長くなる傾向にあるから垂直荷重に対して後者の方が弾性は柔らかくなる。一方、筒材を用いる場合は樹脂線材のように充分な延伸が周方向に行えないが螺旋の巻き線密度が密になっている状態に近似し反発力が硬くなる傾向にある。従ってこれら種々の形態からなる湾曲部を混在させるとそれぞれの性質を利用して機能性に富んだクッション材を提供することができる。
【0012】
更に、2枚のシートのうち少なくとも1枚に塑性材を用いて、塑性材を平板もしくは需要に応じた曲面に成形し、その上に成形した樹脂線材を接着し更にその上面に塑性材もしくはフレキシブルなシートを接着して、塑性材の形状に沿ったクッション材を提供する。塑性材は外力を取り去っても変形したままになっているような材料を意味し、樹脂や金属材料を含むものである。この様な塑性材は構造材の一部に用いられるから自動車のシートなどに適用して材料の削減と軽量化に功を奏する。
【0013】
そして、前記のシートは網地、不織布、生布、編み地などそれ自体が通気性を有しているもの、及び樹脂フィルムに孔を嵌設したものなど通気構造を有しているものが使用される。シートは樹脂線材又は筒材と同一の樹脂で構成した方がリサイクルの点で有利である。
【0014】
一方、クッション全体の機能性或いは縫製など二次加工に於ける作業の簡便さを図るために2枚のシートの間隔が異なる部分を混成する。間隔が異なる部分は2枚のシートが密着する場合を含むものである。身体の荷重を受ける場合、クッション材に高低差が散在するとマッサージ効果が得られる。この様な構造を得るためには、樹脂線材を湾曲させる際に使用する加熱ロールを分割型にして個々のロールが歯高の異なる歯車状にしこれらを並列したロールとして用いれば同時に高さのことなるクッション材を得ることができる。リング状、螺旋状の樹脂線材及び筒材の場合は外形のことなるものを用意しこれらを適宜配列すればよい。クッション材の端部においては厚みを徐々に小さくし最終端部では樹脂線材を用いない部分を設けると他の部材と縫合する際に作業性もよく見場のよい仕上がりとなる。
【0015】
【発明の実施の形態】
【実施例1】
図1(a)は本発明の1実施例を示すもので、クッション材1の斜視図である。弾性を発現するための樹脂線材2として、ナイロン樹脂を押し出し後、延伸して幅3mm、厚さ0.2mmのテープ材を図示したように、加熱成形により凹凸状に折り曲げて、立ち上がり部分2aを湾曲させる。この様な樹脂線材の凸部分2b及び凹部分2cが交互に位置するように2枚のシート3の間に接着固定する。シートとしてナイロン繊維から成る不織布を使用した。シート3には通気孔4が所定の間隔にて嵌設されており、不織布自体の通気性に加えて、更なる通気性の向上を図っている。樹脂線材の折り曲げ形状は種々の形状が用いられるが、図1(b)に示す形状の樹脂線材5の場合は、4本の湾曲した立ち上がり部5a,5b,5c,5dが協調し、垂直荷重のほかに斜め方向から加えられる荷重に対しても強い弾性を発揮するので、樹脂線材の幅を2mmにしても荷重に対して倒れにくい性質を示す。
【0016】
次ぎに、上述したクッション材1の製造方法及び装置について図2を用いて説明する。3はシートであり一対の圧着ロール6、6aにより移動させる。7及び7aは接着剤8をロールにより塗布する塗布装置でシートの片側面に接着剤を塗布することができる。一方、延伸加工された樹脂線材9は送り出しロール10により一定の速さで加熱成形ロール11、11aへ送り出される。この加熱成形ロールは歯型を周面に備え噛み合うときに樹脂線材を凹凸状に折り曲げ、ガイド12へ送り出す。加熱手段としては加熱成形ロールの周面へ赤外線を照射して行うが樹脂線材へも予熱を与えるようにしロール表面を樹脂の軟化温度に維持する。加熱成形された樹脂線材はガイド12を通過する際に冷却され、ガイドの後方部12aはシートに樹脂線材が定着するまで樹脂線材の姿勢を維持させる作用を有している。シート間に定着させる樹脂線材の凹凸形状の配列を交互にずらせるときはガイド12の経路長が異なるようにすればよい。ガイドの構成は側板と底板の組み合わせから成る櫛状で表面の摩擦係数の低減と耐摩耗性の観点からクロムメッキやフッ素樹脂コーティングを施して用いる。本例ではシート3に不織布を用いて樹脂線材を接着しているが、不織布の替わりに熱可塑性の樹脂フィルムを用いて熱融着してもよい。樹脂フィルムの場合も通気孔を所定の間隔で嵌設し通気性を補うが、通気孔に樹脂線材が位置しても塞がれる孔の面積は僅少である。通気孔の経は1〜3mmが好適であり樹脂線材が脱落しない程度の経を選択する。通気孔のピッチが小さい場合はもはや網であり、シートの替わりに網を使用すれば通気性が更に向上しクッション性も柔軟なものになる。樹脂線材が圧着ロール6により接着された後の搬送はベルトコンベヤ13を用いるが接着を確実に行わせるために加圧をかねて更にベルトコンベヤ14を上部に設けている。かくしてクッション材1が連続的に得られる。なお、細いテープ状樹脂線材を用いることを述べたが、延伸フィルムを延伸方向にスリットして細いテープ状にして用いることも本発明に含まれ、テープの替わりにモノフィラメントを使用することも可能である。また、加熱成形ロール11、11aの歯型の高さを小さくすれば折り曲げた樹脂線材の立ち上がり部分2aの高さが小さくなるので厚さの異なる部分を一枚のクッション材中に散在させることができるので身体を支える場合マッサージ効果を与えることができるほか、クッション材の端部において厚さを徐々に薄くし更に樹脂線材の無い部分を形成すると端部に他の部材を縫合する場合ミシン掛けが容易になる。
【0017】
【実施例2】
次ぎに、樹脂線材の別の形状について述べる。図3(a)は螺旋状の樹脂線材15を複数列並列させてシート3に接着した例を示すものである。螺旋の中心軸線方向の基本形状は円又は楕円形が用いられ円又は楕円弧を湾曲部としてシート間に存在させるように固定する。異形断面形状のものも同様に用いることができる。本例ではシートに不織布を使用した。上部面に設けられるシートは下部面のものと同一なので図示していない。樹脂線材15はナイロンモノフィラメントで200〜1000デニールが好適であり、本例では300デニールを使用した。螺旋の外形及び線の巻きピッチは特に限定されないが用途別の要求されるクッション性によりデニール数と合わせて定められる。座席のクッション材としては、樹脂線材にナイロン66の300デニールを用いた場合、螺旋の外径は9〜10mm、巻きピッチは1mmが目安である。この様な螺旋状の樹脂線材15を、予め円弧状の凹部16を加熱成形したシート3の凹部に接着剤を塗布し、図2に示した加圧ロール6、6aを用いて接着する。凹部16の間隔は樹脂線材が互いに重なり合うような間隔を設定すると、単位面積当たりの樹脂線材の数を増加させることができる。また、シートには予め通気孔4を設けておき更なる通気性を確保している。なお、螺旋状の樹脂線材は予め成形して不織布の移動方向(矢印Aの方向)に平行に挿入する。巻きピッチが1mmとしても隣り合う線材が正確に交互に重ならない場合も生ずるが全体としてほぼ一様に螺旋部が存在するからクッション性に影響はない。図3(b)は片側のシートに塑性材17を使用し、他の側にシート3を使用した例を示すものである。塑性材としては、主に熱可塑性の樹脂板が使用され需要に応じて曲面を有する板に成形する。この曲面を有する板はそのまま構造材として利用することができる。アルミニウムや鉄などの金属板も塑性材の1種である。本例の場合クッション材の厚さの異なる部分を形成するには螺旋の巻き径の異なるものを使用し、樹脂線材を省けばクッションの厚さはシートの厚さだけになる。
【0018】
【実施例3】
図4は、ナイロン66の延伸されたテープを螺旋状にした右巻き樹脂線材18及び左巻き樹脂線材18aを用いた例を示している。リボン材の幅は2mmで厚さは0.2mmである。テープの螺旋の巻き線ピッチは5mmとし、送り込み量を正確に行って、巻き方向が互いに異なる様に配列させて隣り合う線材が互いに入り組み易いようにしているので樹脂線材の密度を大きくすることができる。この場合は垂直重はもとより斜め方向の荷重に対しても右巻きと左巻きの線材が互いに支え合うように作用するので倒れ難く強い弾性を示す。シートには不織布や樹脂フィルムでもよいが本例では網地19を使用している。網を構成する素材は特に限定されないが、網目の大きさは螺旋状の樹脂線材が脱落しないものを選択するほか網目のピッチも螺旋の巻きピッチに合致させる。網地の場合は荷重を受けた場合、網目が広がるように変形するから、網目の変形と樹脂線材の変形とが相まって荷重に対する有効沈み量が大きい。
【0019】
【実施例4】
図5(a)は、樹脂フィルムからなる円筒状の筒を輪切りにしたリング20をシート3の上に配列し固定したもので片側のシートは図示していない。しかしながらリングを連続的にシート状に配置するのはかなり困難な作業を強いられるので、輪切りにする長さを長くして円筒状にしこれを直接半径方向にかかる荷重の弾性体として用いてもよいが、(b)図に示すように上述した円筒状の筒の一部を未切開部21a、21bとして残し、これらの繰り返しから得られるリング20aのつながったものを中心軸線方向に引っ張るようにしてシート3に設けられた溝16上に接着固定する。リングはシート面に交互に異なる方向に傾斜して固定されることになり、リングの軸線方向に倒れにくい性質を有する弾性を示す。隣接位置のリング列とピッチをずらして並列させその上面にシートを接着してクッション材を得る。更に、(c)図に示すように樹脂製の円筒22の厚みT1及びT2を異なるものにしてクッションに利用すれば荷重に変動が生じても対応できる弾性の範囲が広くなる特性を示す。以上は円筒について述べているが筒の断面形状は円や楕円に限らず異形断面形状のほか、(d)図に示すような筒の周面が重なって半円と円が一体化されたような筒体22a、(e)図のように湾曲部と直線部が一体に構成された筒体22b等も押し出し成形して使用することができる。
【0020】
【実施例5】
図6(a)は、熱可塑性樹脂フィルム23に歯型を有する押し型とこれに対応する受け型を押し当てて加熱しながら突出部を形成し、立ち上がる湾曲部24a,24bをフィルムと一体に成形したものである。湾曲部は延伸されながらハの字に成形され一種のテープ状を呈し樹脂線材とみなされる。凸部の上面24cは表装材シートに接着もしくは融着されるので荷重に対して湾曲部は弾性を示す。フィルムには押し出された部分に孔が形成され通気孔4aとして利用する。なおクッション材の面積が比較的小さいものであれば押し型と受け型を平行に近接位置におき間隙部に樹脂を流して成形し図6(a)に示す形状の成形物を得ることもできる。突出部を形成する湾曲部の形状は本例に限定されず凸部の上面を省いた湾曲部のみで構成されるものも含むものである。円弧状、波形などが例示できる。この様な片側に突出した湾曲状のテープの上面に伸縮性を有する編み地を接着すれば2枚のシートの間に湾曲部が存在するクッション材を得ることができる。更に別の方法としては、図(b)に示すように2組の押し型と受け型を配置してそれぞれにシートを送入し、湾曲部を突出させる一方それぞれの押し型からシートを離型する前に片側の押し型の凸部を他の側の凸部又は凹部とシートを介在して接触させ互いのシートの一部を融着したのち双方のシートを離型すれば2枚のシート23間に湾曲部を連結したクッション材を得ることができる。図(b)は押し型の凸部を他の側の凸部に圧接して凸部の上面24cを融着したものである。嵩高なクッションを得ることができる。
【0021】
【実施例6】
図7は実施例5の別の例を示すもので、突出する湾曲部をフィルムの両側の面に交互に形成したものである。図7(a)は湾曲部24a,24b,24d,24eを交互にフィルム23から突出させて形成したものである。突出させない部分は連続するように配置し、結果として長く延びるリブ25を形成する。荷重を受けると前出の湾曲部はそれぞれ膨らみリブ25を押すように作用するので長く延びるリブの直角方向にクッション材は伸長することになる。図7(a)の突出部分を平面図として示したのが図7(b)〜(f)である。(b)図ではリブ25は直線であり直線の方向には伸長が期待できない。一方リブ25は(c)図では斜め方向に、(d)図は曲線状に延びているのでリブが直線になるような方向には変形し易いから縦、横、斜め方向に伸張しリブが元の形状に戻るときに縮小する。上述したような湾曲部をシートと一体に成形した形態はまたそれ自体が一枚のクッションシートと見成すことができ、これを複数枚重ねれば更に沈み量の大きいクッション材を得ることができる。
【0022】
【実施例7】
厚みの異なるシートを用いてシートから突出部を作成する一例を説明する。図8(a)は厚みの異なるシート40の一部断面図である。40aは厚さの大きい部分であり後にリブになる部分である。40bは厚さの小さい部分であり突出部を形成する部分である。図(b)はシート40aから型を用いて押し出し突出させてテープ40cを形成し、隣接する位置に反対側に突出したテープ40eを形成したもので、突出されない残余の部分40aはリブとなるところを示している。本例ではリブは厚くテープは薄いがこれらがつながる部分40dはテープより厚くテープが荷重を受けて屈曲するときに集中荷重が40dの部分にかかるので補強することができる。更にテープの厚みが突出した頂点に近くなるほど薄くなるようにシートの厚さを定めれば、クッションの感触が最初柔らかく徐々に硬くなるように制御することができる。また、図(c)に示すように湾曲したテープ40cが荷重Pを受けると扁平になる方向に変位し結果湾曲したテープが延びようとしてリブ40aを矢印Nの方向に押すことからリブも移動しクッション材全体としては伸びることになる。従って使用目的に応じリブを厚くしたり薄くしたりすることにより湾曲したテープの変位量や延び量を適宜制御することも可能である。
【0023】
【実施例8】
図9は、別の実施態様を示すもので、樹脂線材を縫いつける方法を示す。(a)図は2枚のシート26a、26bをガイド27aで離間させシート26aの上部面にガイド27bを配置し、シート26bの下部面を板28で支えるようにして2枚のシートを平行に矢印Bの方向に移動させる。ガイドは板片の面を垂直に多数所定の間隔で平行に並べて一体化した形態である。板28には孔29が備えられ複合縫い針30がシート面に対して所定の角度を有して斜めに貫通する。複合縫い針30は2要素からなり、先端部が尖った縫い針本体30aと該縫い針本体の先端近傍に設けられた糸通し孔31を塞ぐように縫い針本体に沿ってスライドするスライド針30bで構成され、多数の複合縫い針を所定の間隔で平行に並べてバーに固定し針列を形成している。導糸片32はモノフィラメント33を前出の糸通し孔31にかけるために縫い針本体の先端部を回動するようになっている。この様な装置を用いて複合縫い針30が斜め方向に上下運動し、シートを矢印B方向に縫い針の上下運動に同期させて移動させると2枚のシートに環縫い目を形成する。環縫い目は片側のシート面にループ33aを、他の側のシート面には本縫い目33bを形成する。環縫いであるためにシート間には2本宛のモノフィラメント33dが湾曲状に縫いつけられている。
【0024】
(b)図は、(a)図の工程に続いて行われるが複合縫い針30が異なる方向に上下運動して同様な環縫い目を形成するがシート間に縫いつけられるモノフィラメント33eは別の角度に固定される。(c)図は上記2工程を経て得られるモノフィラメントとシートの固定状態を示す側面図であり外側面に樹脂を塗布して縫い目を固定してクッション材を得る。複合縫い針を3方向に上下動させるようにすれば三角錐状にモノフィラメントを配置するから荷重に対して倒れにくい弾性を示す。
【0025】
【発明の効果】
本発明によれば、延伸して曲げに対する復元力を高めた樹脂線材を所定長シート間に湾曲状に固定したので弾性の感触が柔らかく耐久性があり、通気性を有し軽量なクッション材を提供することができる。湾曲状の樹脂線材には上述したように種々の形態がありこれらを組み合わせることが容易に行えるから1枚のクッション材中に性質のことなる弾性を発現する部分を構成できるので用途に応じた機能性の高いクッション材を提供できる。湾曲した樹脂線材は筒材でも同様な効果をもたらすことができる。筒材自体の径方向の弾性を利用するが輪切りにしてリング状として用いれば通気性も高めることができる。更に、厚みの異なるシートを用いてシートから突出してテープを作成すればクッションの強弱を自在に付与することができる。また、シート間に暖気や冷気を通じて空調可能なクッション材として座席に用いる。樹脂線材は加熱ロールで変形させシート或いは網に接着固定するだけであり生産性に優れている。本発明はクッション材として述べたが住宅の壁材の一部に空気の断熱性を利用した断熱材として利用し挿入する箇所の間隙が不揃いでも隙間無く設置することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)はテープ状の樹脂線材を凹凸状に折り曲げて両面にシートを接着したクッション材の斜視図であり、(b)は樹脂線材の別の形状を示す斜視図である。
【図2】本発明のクッション材の製造方法を示す説明図である。
【図3】(a)は樹脂線材としてモノフィラメントを螺旋状にしてシートを接着した別の実施態様を示す斜視図であり、(b)はシートの片側に曲面を有する塑性材を用いた例を示す斜視図である。
【図4】樹脂線材としてテープを螺旋状に用いた別の実施態様を示す斜視図である。
【図5】(a)は独立したリング状の樹脂線材を用いた例を示す斜視図であり、(b)はリングの一部を連結して連続したリング状樹脂線材の例を示す斜視図である。(c)は素材となる樹脂製円筒の別の形状を示す斜視図である。(d)及び(e)は異形断面の例を示す斜視図である。
【図6】(a)はシートから押し出して立ち上がり部を成形した樹脂線材の例を示す斜視図であり、(b)は2組の湾曲部を接合したクッション材の斜視図である。
【図7】(a)はシートから凸及び/又は凹状に所定長突出して立ち上がり部を成形した樹脂線材の例を示す斜視図であり、(b)〜(f)は突出部の配列を示す平面説明図である。
【図8】(a)は厚さの異なる部分を有するシートの一部断面図であり、(b)は突出した湾曲部の断面図であり、(c)は荷重を受けて変形した湾曲部の状態を示す模式断面図である。
【図9】(a)は縫い針を用いてシートに樹脂線材を固定する方法を示し、(b)は続いて行われる工程を示す説明図であり、(c)はこの方法により得られるクッション材の構成説明図である。
【符号の説明】
1 本発明のクッション材
2 樹脂線材
3 シート
4,4a 通気孔
5 樹脂線材
6 圧着ロール
7 塗布装置
8 接着剤
9 樹脂線材
10 送り出しロール
11 加熱成形ロール
12 ガイド
13,14 ベルトコンベア
15 螺旋状の樹脂線材
16 凹部
17 塑性材
18 螺旋状の樹脂線材
19 網地
20 リング
21 未切開部
22 円筒
24 湾曲したテープ
25 リブ
27 ガイド
30 複合縫い針
32 導糸片
33 モノフィラメント
40 厚みの異なる部分を有するシート
Claims (3)
- 樹脂線材は樹脂製シートから凸及び凹状に所定長突出して形成されたたテープであり、弾性を有する湾曲部が加熱形成され、前記湾曲部が別の2枚のシート間に位置する様に配置して湾曲部の一部を固定し、突出されないシートの残余の部分が曲線及び/又は直線状のリブを形成し、荷重を受けた際に、前記湾曲部が屈曲して弾性を生じ、前記リブが縦、横、斜めのうち少なくとも1方向に変形若しくは移動することを特徴とするクッション材。
- 前記樹脂線材がテープであり、厚さの異なる部分を有するシートから凸及び凹状に所定長突出して形成され、突出されないシートの残余の部分が曲線及び/又は直線状のリブを形成し、突出して形成されるテープと突出されない部分のリブに前記の厚さの異なる部分を適宜対応させて応力に対する変位量及び伸び量を制御するように成した請求項1に記載のクッション材。
- 前記湾曲部の一部が固定される2枚のシートの少なくとも1枚が通気構造を有していることを特徴とする請求項1又は2に記載のクッション材。
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