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JP4422625B2 - 基板間液剤注入方法及び基板間液剤注入装置 - Google Patents

基板間液剤注入方法及び基板間液剤注入装置 Download PDF

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JP4422625B2 JP2005014910A JP2005014910A JP4422625B2 JP 4422625 B2 JP4422625 B2 JP 4422625B2 JP 2005014910 A JP2005014910 A JP 2005014910A JP 2005014910 A JP2005014910 A JP 2005014910A JP 4422625 B2 JP4422625 B2 JP 4422625B2
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Description

本願の発明は、液剤注入の技術に関するものであり、重ね合わされて貼り合わされた複数の基板から成る積層基板の基板間の隙間に液剤を注入する方法及び装置に関するものである。
各種メモリやプロセッサ等の半導体集積回路は、微細加工技術の進歩により、高集積化、高機能化を遂げてきた。しかしながら、平面的な(2次元の)微細化には限界が指摘されるようになってきており、垂直方向にも素子を集積した三次元集積回路の技術に期待が集まっている。
一つの基板の上に多層の回路を集積し、各層を層間配線でつないで一つの素子が形成したものも三次元集積回路であるが、工程の簡略化や歩留まりの向上等のため、複数の基板を貼り合わせて三次元集積回路を実現する技術が研究されている。例えば特開平11−261001号公報に、この技術が開示されている。
貼り合わせ法により三次元集積回路を製作する場合、第一の基板の表面にMOSFET等の回路素子を形成し、トレンチエッチングと埋め込み配線により層間配線を形成した後、裏面をCMP(化学的機械的研磨)法によって研磨して基板を薄膜化し、層間配線の下端を露出させる。そして、露出させた層間配線の下端にマイクロバンプを形成する。次に、予め回路素子と層間配線を形成し、層間配線の上端にマイクロバンプを設けた第二の基板の上に第一の基板を載せ、貼り合わせを行う。貼り合わせは、第一の基板の下面のマイクロバンプと第二の基板の上面のマイクロバンプとが正しく接触するようアライメントを行い、導電性接着剤等を使用してマイクロバンプを接合することで行われる。
尚、二枚の基板に限らず、三枚又はそれ以上の枚数の基板を貼り合わせることもある。以下の説明では、このように重ね合わされて貼り合わせた複数の基板から成るものを、「積層基板」と呼ぶ。
積層基板を構成する各基板は、双方のマイクロバンプが突出している関係で離間しており、各基板の間には隙間がある。このままであると機械的強度や層間絶縁性等の点で問題がある。そこで、両者を接着剤により接着する。上記公報の発明では、二枚の基板の隙間に絶縁性の接着剤を注入して両者を接着している。接着剤としては絶縁エポキシ樹脂が使用されてり、注入後に硬化させ、二枚の基板を接着する。さらに基板を接合する場合、第二の基板を同様にCMP法により研磨し、層間配線の下端を露出させ、同様の工程を繰り返す。
接着剤の注入方法の詳細について、上記公報は以下のように説明している。
まず、貼り合わせる基板の対向面にそれぞれ堰(公報では「壁」と呼ばれている。)を形成する。堰は、多数のマイクロバンプが形成された領域(各基板のうちデバイスの産出に利用される領域)を取り囲むようにして周状に形成され、一箇所だけ堰が途切れた所を作っておく。そして、二枚の基板を重ね合わせ、真空チャンバー内に配置する。真空チャンバー内には、接着剤を溜めた容器が設けられており、堰の途切れた所(開口)を接着剤に浸ける。この状態で、真空チャンバー内をベントして大気圧に戻す。これにより、圧力差により接着剤が開口から注入されて堰の内側の空間に満ちる。また、堰の外側の空間にも、毛細管現象により接着剤が注入される。
特開平11−261001号公報
本願の発明者の検討によると、上述した接着剤の注入方法では、以下のような問題がある。
まず、注入に先立ち予め堰を作っておかなければならない面倒さがある。堰自体は素子の構造に不要なものであり、このようなもののために工程が増えることは、工程の簡略化の要請に反し、生産性の点で問題がある。
また、接着剤が入っていく箇所が堰の開口に限定されている関係で、注入に時間が掛かる。この点でも、生産性を高くできない問題がある。さらに、大気圧に戻して注入が完了するまでは次の二枚の基板への注入が行えないため、スループットが悪く、この点でも生産性が良くない。
本願の発明は、かかる課題を解決するためになされたものであり、三次元集積回路の製作の際に行われる接着剤注入のような基板間への液剤注入において、生産性が高い実用的な方法及び装置を提供する意義を有している。
上記課題を解決するため、本願の請求項1 記載の発明は、重ね合わせて貼り合わされた複数の基板から成る積層基板の基板間の隙間に液剤を注入する基板間液剤注入方法であって、
積層基板の基板間の隙間を真空に排気するステップと、
基板間の隙間が真空に排気された積層基板を、真空に排気された真空チャンバー内の所定位置に配置するステップと、
所定位置に配置された積層基板の周縁に液剤を供給し、当該積層基板の周縁で形成された開口を液剤が塞いだ状態を保持具で保持するステップと、
保持具による保持状態を維持しながら、積層基板、液剤及び保持具を一体に移動させて前記真空より高い圧力下の別の場所に位置させて前記隙間への液剤の注入を完了させるステップとを有している。
また、上記課題を解決するため、請求項2 記載の発明は、重ね合わせて貼り合わされた複数の基板から成る積層基板の基板間の隙間に液剤を注入する基板間液剤注入装置であって、
積層基板の基板間の隙間を真空に排気する排気手段と、
積層基板を出し入れすることができる真空チャンバーである給液チャンバーと、
基板間の隙間が真空に排気された積層基板を、真空に排気された給液チャンバー内に搬入する搬入機構と、
搬入された積層基板を所定位置に配置する基板配置手段と、
所定位置に配置された積層基板の周縁に液剤を供給する液剤供給系と、
供給された液剤が積層基板の周縁で形成された開口を塞ぐ状態を保持する保持具と、
保持具による保持状態を維持しながら、積層基板、液剤及び保持具を一体に移動させて前記真空より高い圧力下の別の場所に位置させる搬出機構とを備えている。
また、上記課題を解決するため、請求項3 記載の発明は、前記請求項2 の構成において、前記保持具は、前記積層基板が載置される部材である基板受け具によって構成されており、
基板受け具は、前記積層基板の周縁によって形成された開口を塞ぐよう液剤を溜める液溜めが、載置された前記積層基板の周縁とともに全周状に形成される形状を有している。
また、上記課題を解決するため、請求項4 記載の発明は、前記請求項3 の構成において、前記基板受け具は、水平な表面を有するベース部と、ベース部の周囲に延設した周辺部とから構成されており、周辺部はベース部に対して上方に突出していて周辺部の表面はベース部の表面の周縁から上方に延びており、この上方に延びた表面によって前記液剤の保持が行われるという構成を有する。
また、上記課題を解決するため、請求項5 記載の発明は、前記請求項3 又は4 の構成において、前記基板受け具のうち液溜めを形成する部分の表面は、前記積層基板の基板間の隙間内の面に比べて液剤に対する濡れ性が低くなっているという構成を有する。
また、上記課題を解決するため、請求項6 記載の発明は、前記請求項3 乃至5 いずれかの構成において、前記基板受け具は、開口を有して積層基板との間の空間を塞がない形状であるという構成を有する。
また、上記課題を解決するため、請求項7 記載の発明は、前記請求項3 乃至6 いずれかの構成において、前記液剤供給系は、前記形成される液溜めの上方から液剤を放出して供給する液剤ディスペンサーを有する。
また、上記課題を解決するため、請求項8 記載の発明は、前記請求項7 の構成において、静止した前記液剤ディスペンサーに対して積層基板及び基板受け具を一体に回転させて液剤が液溜めに沿って供給されるようにする回転機構が設けられているという構成を有する。
また、上記課題を解決するため、請求項9記載の発明は、前記請求項1乃至8の構成において、隙間への前記液材の注入を行う際に、液剤が室温より高い温度となって液剤の粘性が下がっているよう加熱を行う予備加熱手段が設けられているという構成を有する。
また、上記課題を解決するため、請求項10記載の発明は、前記請求項1乃至9の構成において、隙間への液材の注入が完了した後、液剤を加熱して硬化させる加熱手段が設けられているという構成を有する。
また、上記課題を解決するため、請求項11記載の発明は、前記請求項3乃至8いずれかの構成において、積層基板、液剤及び基板受け具を前記真空より高い圧力下の別の場所に所定時間位置させることで前記隙間への液剤の注入が完了した後、当該液剤を加熱して硬化させる加熱手段を備えているという構成を有する。
また、上記課題を解決するため、請求項12記載の発明は、前記請求項11の構成において、隙間への液剤の注入が完了した後、基板受け具から積層基板を取り上げる取り上げ手段をさらに備え、加熱手段は、取り上げ手段が積層基板を取り上げた後に加熱を行うものであって、基板受け具を加熱せずに液剤を加熱するものであるという構成を有する。
以下に説明する通り、本願の請求項1又は2記載の発明によれば、積層基板、液剤及び保持具を一体に移動させて前記真空より高い圧力下の別の場所に位置させて前記隙間への液剤の注入を完了させるので、高い生産性で液剤注入を行うことができる。
また、請求項3記載の発明によれば、上記請求項2の発明の効果に加え、積層基板の周縁によって形成された開口を塞ぐよう液剤を溜める液溜めが、載置された積層基板の周縁とともに全周状に形成されるので、積層基板の周縁開口の全周から液剤が注入される。液剤は、圧力差により積層基板の周縁の全周から中心に向けて広がり、基板間隙間に完全に満ちる状態となるので、従来のような堰の形成は不要であって工程が簡略化される他、注入口が堰の開口のような特定の一箇所に限定されていない。このため、注入が完了するまでの時間が短くなり、この点でも生産性は高い。
また、請求項5記載の発明によれば、上記効果に加え、液溜めの表面の濡れ性が積層基板の基板間の隙間内の面に比べて低くなっているので、隙間内への液剤の進展が促進される。このため、短時間に注入を完了させることができる。
また、請求項6記載の発明によれば、上記請求項3乃至5いずれかの発明の効果に加え、基板受け具が積層基板との間の空間を塞がない形状であるので、積層基板の破損が防止される他、空間への流れ込みによって液剤が積層基板の下面に付着したり、液剤が不足したりする問題がない。
また、請求項7記載の発明によれば、上記請求項3乃至6いずれかの発明の効果に加え、液溜めの上方から液剤を放出して供給する液剤ディスペンサーを備えているので、基板受け具を別の場所に移動して注入を完了させることで生産性を高める構成を実現するのに極めて実用的である。
また、請求項8記載の発明によれば、上記請求項7の発明の発明の効果に加え、比較的簡略化された構造で均一に液剤を液溜めに供給することができる。
また、請求項記載の発明によれば、液剤の予備加熱手段が設けられているので、液剤の粘性を下げながら注入を行うことで注入時間を短縮することができ、この点で生産性が高くできる。
また、請求項10記載の発明によれば、注入手段による注入が完了した後、液剤を加熱して硬化させる加熱手段が設けられているので、一つの装置で液剤の注入と液剤の硬化が一貫して行え、工程全体の設備コストの低減に寄与することが可能である。また、注入後の事情によって液剤の性質が変化してしまう可能性が小さく、好適である。
また、請求項11記載の発明によれば、上記請求項3乃至の発明の効果に加え、工程全体の設備コストの低減への寄与と、注入後の事情による液剤の性質の変化の防止という効果が得られる。
また、請求項12記載の発明によれば、上記請求項11の発明の効果に加え、加熱手段が基板受け具を加熱せずに液剤を加熱するので、不必要な加熱を無くして加熱の効率を高めている他、基板受け具に残留付着した液剤を硬化させないので、残留付着した液剤の除去が容易であるという効果が得られる。
以下、本願発明を実施するための最良の形態(以下、実施形態)について説明する。
実施形態の方法及び装置は、積層基板の間の隙間に熱硬化性の液剤を注入する方法及び装置である。液剤の注入は、圧力差によって行われるようになっている。即ち、積層基板を真空雰囲気に置いて積層基板の基板間の隙間を真空圧力とした後、隙間の入り口即ち積層基板の周縁で形成された開口(以下、周縁開口)を塞ぐようにして液剤を供給する。その後、液剤及び積層基板11,12を大気圧に晒して、大気圧と真空との圧力差により隙間に液剤が注入されるようにしている。
積層基板の間の隙間を、以下、「基板間隙間」と呼ぶ。本実施形態では、積層基板は、二枚の基板即ち上側基板11及び下側基板12を重ね合わせて貼り合わせたものであるが、3枚又はそれ以上の枚数の基板を重ねて貼り合わせたものであっても良い。尚、基板は円形であり、本実施形態では半導体ウエハが想定されている。
液剤は、前述したように積層基板を構成する各基板間の絶縁及び積層基板の機械的強度の向上の目的で注入されるものであり、さらに各基板間の熱伝導性の向上等の目的もある。本実施形態では、液剤は熱硬化性の絶縁性樹脂であり、具体的には熱硬化性の絶縁エポキシ樹脂が想定されている。本実施形態の装置は、液剤の注入とともに、注入した液剤を加熱して硬化させる機能をも有している。
実施形態の方法及び装置の大きな特徴点は、真空圧力下で液剤を供給した後、積層基板の周縁開口を液剤が塞いた状態を保持具で保持しながら、積層基板、液剤及び保持具を一体に移動させて大気圧下に置いて注入を完了させるようにした点である。この点について、図1を使用して説明する。図1は、保持具を使用した注入動作について概略的に示した図である。
保持具としては、本実施形態では、積層基板11,12を載置する部材である基板受け具13が使用される。基板受け具13は、全体としては、円環状である。図1に示すように、基板受け具13の外径は積層基板11,12よりは少し大きく、内径は少し小さい。より具体的には、基板受け具13は、円環状の板状のベース部131と、ベース部131の周囲に延長して設けた円環状の周辺部132とから主に形成されている。周辺部132の上側部分は、図1に示すように断面直角三角形状であり、内側(基板受け具13の中心軸に近い側)に向けて除々に厚さが薄くなっている。従って、周辺部132の上面は斜面133となっている。
積層基板11,12は、ベース部131の上に基板受け具13と同軸になるように載置される。ベース部131は積層基板11,12よりも僅かに径が大きく、従って、ベース部131の表面は積層基板11,12から少しはみ出た状態となる。そして、そのはみ出たベース部131の表面の周縁から外側斜め上方に向けて斜面133が延びた構成となっている。
この斜面133と、ベース部131の表面(水平面)と積層基板11,12の周縁とによって形成された凹部が液溜めを形成しており、周縁開口が液剤Lによって塞がれるようこの液溜めに液剤Lが溜められる構造となっている。尚、下側基板12の周縁は斜面133に達していてもよく、この場合は、斜面133と積層基板11,12の周縁のみによって液溜めが形成される。
また、基板受け具13の液溜めを形成する部分の表面は、液剤に対する濡れ性を低くなっている。このための構成の一例としては、濡れ性を低くする表面処理を施すことが挙げられる。濡れ性を低くする表面処理とは、例えばフッ素樹脂のような材料の被膜をコーティングすることが挙げられる。濡れ性が低いとは、表面処理を行う前に比べて低いという比較もあるが、積層基板11,12の対向面に比べて低い、という比較もある。各基板の対向面(基板間隙間内の面)に比べて液剤の濡れ性を低くしておくことで、液剤が基板間隙間に入り易くなり、注入が促進される。尚、表面処理は、基板受け具13の全面に施されていても良い。また、基板受け具13自体が濡れ性が低い材料で形成されていて、そのような材料の表面となっている場合もある。
図1において、給液チャンバー2内が真空に排気され、この真空雰囲気において積層基板11,12が基板受け具13に載置される(図1(1))。積層基板11,12の基板間隙間も予め所定の真空に排気されている。その後、上述した液溜めに液剤Lが供給される。この際、図1(2)に示すように、液剤は積層基板111,12の周縁開口を塞いだ状態となり、この状態を基板受け具13が保持する。即ち、基板受け具13は斜面133を有しているため、液剤Lは流れ出すことなく、周縁開口を塞いだ状態が保持される。つまり、基板受け具13は、ステンレスやアルミ等の金属で形成されてもよく、セラミックスで形成されてもよいが、固体であって形態安定性を有する。基板受け具13が形状を保持する結果、上記液剤Lによる周縁開口の閉塞状態が保持される。
この状態で、積層基板11,12、液剤L及び基板受け具13を一体に移動させ、大気圧雰囲気の別の場所に配置する。そして、大気圧に晒した状態を所定時間維持することにより、圧力差により、基板間隙間に液剤Lが満ちて注入が完了する(図1(3))。
次に、上記方法を達成する基板間液剤注入装置の各部の構成について詳細に説明する。
図2は、実施形態に係る基板間液剤注入装置の平面概略図である。図2に示す装置は、積層基板11,12の基板間隙間を排気する排気手段と、積層基板11,12を出し入れすることができる真空チャンバーである給液チャンバー2と、搬入された積層基板11,12を所定位置に配置する基板配置手段と、給液チャンバー2内が真空圧力の状態で積層基板11,12が所定位置に配置された後、積層基板11,12の周縁開口を塞ぐようにして液剤を供給する液剤供給系と、液剤が供給された後、積層基板11,12及び液剤を大気圧雰囲気に晒して圧力差により隙間に液剤を注入する注入手段と、注入手段による注入が完了した後、液剤を加熱して硬化させる加熱手段とを備えている。
前述したように、図2に示す装置は、給液チャンバー2内で注入を完了させるのではなく、液剤が積層基板11,12の周縁開口を塞いだ状態を基板受け具13に保持させながら、積層基板11,12、液剤及び基板受け具13を一体に移動させて別の場所で注入を完了させるようにしている。即ち、注入手段は、常時大気圧であって注入を完了させる場所である注入ステーション5と、積層基板11,12、液剤及び基板受け具13を一体に給液チャンバー2から取り出して注入ステーション5に搬送する搬送機構によって主に構成されている。
搬送機構は、第一搬送ロボット41と、第一搬送ロボット41を全体に移動させる不図示のロボット移動機構によって構成されている。第一搬送ロボット41は、多関節型アームを二つ備えたデュアルアーム型のロボットである。一方のアームの先端には、積層基板11,12を搬送するための基板用フォーク411を備えており、他方のアームの先端には、基板受け具13用のフォーク(以下、受け具用フォーク)412を備えている。
図2に示すように、装置は床面ユニット100を備えている。床面ユニット100には、第一搬送ロボット41を移動させるためのガイド孔101が形成されている。第一搬送ロボット41は不図示の支柱によって支えられており、支柱は、ガイド孔101に挿通されている。不図示の移動機構は、支柱をガイド孔101に沿って移動させることで第一搬送ロボット41を移動させるものとなっている。第一搬送ロボット41は、この他、ロボット自体の中心軸周りの回転、上下方向の移動、各アームの伸縮、各アームの回転等が行えるようになっている。
図2に示すように、注入ステーション5は、紙面上、右上の位置に設けられている。加熱手段は、加熱ステーション7に設けられている。加熱ステーション7は、図2に示すように、紙面上、上部中央の位置に設けられており、注入ステーション5に対して隣接している。
基板受け具13は、注入のたびに給液チャンバー2に搬送されて利用される治具であり、従って、本実施形態の装置では、積層基板11,12の搬送系と、基板受け具13の搬送系という二つの搬送系がある。
まず、積層基板11,12の搬送系に沿って装置の各部を説明する。
装置は、装置への積層基板11,12の投入場所である不図示の投入ステーションを備えている。投入ステーションは、所定数の積層基板11,12が収容された不図示の投入用カセットが配置される場所である。
また、積層基板11,12の基板間隙間を真空に排気する排気手段を構成するものとして、装置は、ロードロックチャンバー31,32と、ロードックチャンバー31,32内を排気する排気系(図1中不図示)を備えている。積層基板11,12は、装置に投入された際、最初にロードロックチャンバー31,32に搬入される。この搬入動作については、カセットごと又は一つずつ搬送するローディング機構により行われる場合もあるし、オペレータがカセットごと行う場合もある。図2に示すように、本実施形態では、二つのロードロックチャンバー31,32が左右に並べて設けられている。
投入ステーションからロードロックチャンバー31,32への搬送路上又はロードロックチャンバー31,32内には、積層基板11,12のアライメントを行う不図示のアライメント機構が設けられている。アライメントとは、中心出しと周方向位置出しである。中心出しとは、搬入される積層基板11,12の中心軸が常に同じ位置になるよう位置合わせすることである。周方向位置出しとは、搬入される積層基板11,12が周方向(中心軸の周りの回転方向)で常に同じ位置になるよう位置合わせすることである。このようなアライメントを行うアライメント機構としては、例えば特開平11−312727号公報に開示された機構を採用することができる。よって、詳細な説明は省略する。
給液チャンバー2は、ロードロックチャンバー31,32と真空が連続するようにして設けられている。即ち、ロードロックチャンバー31,32との間には、別の真空チャンバーである搬送チャンバー4が設けられており、搬送チャンバー4を介して真空が連続するようになっている。尚、各ロードロックチャンバー31,32は、搬送チャンバー4との境界部分及び大気側の器壁にそれぞれゲートバルブ10を有している。
本実施形態では、10個の給液チャンバー2が備えられている。各給液チャンバー2は、搬送チャンバー4の周面にゲートバルブ10Aを介して設けられている。搬送チャンバー4内には、ロードロックチャンバー31,32から各給液チャンバー2に積層基板11,12を搬送する搬入機構が設けられている。
搬入機構は、第二搬送ロボット42で構成されている。第二搬送ロボット42も、多関節型アームを備えたロボットであり、アームの先端に設けた基板支持具としてのフォーク421上に積層基板11,12を載せて搬送するものとなっている。尚、搬送チャンバー4内は、装置の可動中常時真空圧力であり、従って、第二搬送ロボット42は、真空中で動作可能なものとなっている。
図2に示すように、10個の給液チャンバー2は、5個ずつ上下二段に配置されている。各5個の給液チャンバー2は、一つの円弧上に等間隔で配置されている。図2に示すように、各5個の給液チャンバー2は、上下で少しずれた位置に配置されている。尚、第二搬送ロボット42は、各給液チャンバー2が並ぶ円弧の内側に配置されており、円弧のほぼ中心の位置に配置されている。
積層基板11,12は、前述したように、液剤及び基板受け具13と一体に第一搬送ロボット41により給液チャンバー2から搬出される。本実施形態で特徴的なのは、この一体搬送のための機構が、各給液チャンバー2が並んだ部分の外側に設けられており、積層基板11,12の搬入側とは反対側で搬出動作を行うようになっている点である。
即ち、各給液チャンバー2は、搬送チャンバー4との間のゲートバルブ(以下、第一ゲートバルブ)10Aとは別に反対側にもう一つのゲートバルブ(以下、第二ゲートバルブ)10Bを有している。そして、図2に示すように、床面ユニット100のガイド孔101は、各給液チャンバー2が並んだ部分の外側で円弧状に延びた形状となっている。ガイド孔101の円弧は、各給液チャンバー2が並ぶ円弧とほぼ同心である。第一搬送ロボット41は、不図示のロボット移動機構によってガイド孔101に沿って移動しながら、各給液チャンバー2に対して動作可能な位置に停止するようになっている。
第一搬送ロボット41によって、液剤及び基板受け具13とともに一体に注入ステーション5に搬送された積層基板11,12は、注入ステーション5での注入完了後、加熱ステーション7に搬送される。この注入ステーション5から加熱ステーション7への搬送用として、第一補助搬送機構43が設けられている。
また、装置は、加熱ステーション7での液剤の加熱硬化後、積層基板11,12を回収する回収ステーション8を備えている。加熱ステーション7から回収ステーション8への搬送のため、第二補助搬送機構44が設けられているとともに、前述した第一搬送ロボット41が兼用されるようになっている。即ち、第二補助搬送機構44及び第一搬送ロボット41により、積層基板11,12は加熱ステーション7から回収ステーション8に搬送される。尚、第一搬送ロボット41は、図2に示すガイド孔101の紙面上上側ほぼ中央に位置した際、第二補助搬送機構44に対して動作可能となる。
回収ステーション8は、図2に示すように、紙面上、左下の位置に設けられている。回収ステーション8には、液剤の注入・硬化済みの積層基板11,12が所定数収容される回収用カセット81が配置されている。
次に、基板受け具13の搬送系に沿って装置の各部を説明する。
まず、装置は、基板受け具を投入及び回収を行う場所である受け具ロードステーション6を備えている。受け具ロードステーション6は、図2に示すように、紙面上、右下の位置に設けられている。受け具ロードステーション6には、受け具用カセット61が配置される。
基板受け具13は、大気側から直接各給液チャンバー2に搬入されるようになっており、受け具ステーション6から各給液チャンバー2への基板受け具13の搬送には、前述した第一搬送ロボット41が兼用される。即ち、第一搬送ロボット41は、ガイド孔101の右端に位置した際、受け具ステーション6に対して動作可能となっている。第一搬送ロボット41は、受け具用カセット61にある基板受け具13を一つずつ取り出し、ガイド孔101に沿って移動して所定位置に停止しながら、各給液チャンバー2に基板受け具13を搬送するようになっている。基板受け具13は、第二ゲートバルブ10Bを通して各給液チャンバー2に搬入される。
第一搬送ロボット41は、図2に示すガイド孔101の紙面上右上の位置に停止した際、注入ステーション5に対して動作可能となる。基板受け具13は、前述したように、第一搬送ロボット41により積層基板11,12及び液剤とともに一体に注入ステーション5に搬送されるが、注入ステーション5での注入が終了した後は、基板受け具13は受け具ステーション6に戻される。この注入ステーション5から受け具ステーション6への基板受け具13のリターン搬送にも、第一搬送ロボット41が兼用されている。即ち、第一搬送ロボット41は、注入ステーション5において基板受け具13を受け取った後、ガイド孔101に沿って右端まで移動し、基板受け具13を受け具用カセット61に戻すようになっている。
尚、装置は、基板受け具13用のアライメント機構(不図示)を備えている。各基板受け具13は、第一搬送ロボット41により受け具用カセット61から給液チャンバー2に搬送される途中で、このアライメント機構により基板受け具13の中心出しと周方向位置出しが行われる。尚、基板受け具13の周方向位置出しは、不要な場合もある。
また、各搬送ロボット41、42は、積層基板11,12や基板受け具13を吸着しながら搬送する場合がある。積層基板11,12や基板受け具13を水平に支持しながら搬送する場合は吸着が不要な場合があるが、垂直な姿勢にして搬送する場合には吸着が必要となる。
図2において、各給液チャンバー2、各ロードロックチャンバー31,32及び搬送チャンバー4を真空に排気する不図示の排気系が設けられている。排気系は、各チャンバーを各々独立したタイミングで排気することが可能になっている。排気系は、各チャンバーにそれぞれ独立して設けられる場合もあるし、一部が兼用された構成が採用されることもある。例えば、粗引きポンプを兼用し、メインポンプを個々のチャンバー用に設けることがある。
また、装置の前面側には、コントロールボックス9を備えている。コントロールボックス9内には、装置の各部を制御するメインコントローラが設けられている。また、コントロールボックス9の前面には、オペレータが装置を操作するための操作パネルが設けられている。
次に、ロードロックチャンバー31,32の構成について説明する。
各ロードロックチャンバー31,32は、複数の積層基板11,12を収容することが可能となっている。本実施形態のロードロックチャンバー31,32は、各積層基板11,12を水平な姿勢にし、上下に並べて収容する構造となっている。
図3は、ロードロックチャンバー31,32の正面断面概略図である。図2に示す二つのロードロックチャンバー31,32は、いずれも同じ構造であり、図3にはその一つ31が示されている。図3に示すように、ロードロックチャンバー31には、排気系36及びベントガス導入系37の他、棚ユニット33が設けられている。棚ユニット33は、積層基板11,12が載る棚部34を有している。棚部34は、一定の間隔をおいて上下に所定数設けられており、棚部34の数だけ積層基板11,12を収容することができるようになっている。棚部34は例えば20個設けられており、20組の積層基板11,12を一度に収容できるようになっている。
本実施形態の装置の別の特徴点は、注入手段が注入を行う際、液剤を加熱して液剤の粘性を下げる予備加熱手段を備えている点である。予備加熱手段として、ロードロックチャンバー31,32には、ヒータ35が設けられている。ロードロックチャンバー31,32内は真空に排気されるため、ヒータ35は輻射加熱方式のもの(例えばセラミックヒータ)となっている。
ヒータ35は複数設けられており、各棚部34に載せられた収容された各積層基板11,12の間の位置と、一番上の積層基板11,12の上側の位置と、一番下の積層基板11,12の下側の位置にそれぞれ設けられている。これらのヒータ35により、ロードロックチャンバー31,32に収容された各積層基板11,12は所定の温度に予備加熱されるようになっている。
尚、上記構成の他、ロードロックチャンバー31、32内にカセットごと積層基板11,12を搬入するような場合には、ロードロックチャンバー31,32の内壁面にヒータを設けて予備加熱する場合もある。また、壁面に設けたヒータと上記ヒータ35とを併用する場合もある。
次に、各給液チャンバー2の構造について、図4を使用して説明する。図4は、図2に示す一つの給液チャンバー2の正面断面概略図である。図2に示す10個の給液チャンバー2は、いずれも同じ構造であり、図4にはその一つが示されている。
図4に示すように、給液チャンバー4は、排気系202及びベントガス導入系203を備えている。給液チャンバー2内には、搬入された積層基板11,12を所定位置に配置する基板配置手段が設けられている。基板配置手段は、本実施形態では、積層基板11,12が載せられるピン21となっている。本実施形態ではピン21は3本設けられており、均等間隔(120度間隔)に配置されている。ピン21は2本でも良いし、四本又はそれ以上でも良い。各ピン21の上端の高さは同じであり、積層基板11,12は各ピン21の上に載置された際、水平な姿勢となる。この際の位置が上記所定位置である。尚、各ピン21は、給液チャンバー2の底板部に固定されている。
前述したように、液剤が積層基板11,12の周縁開口を塞いだ状態を保持する保持具として基板受け具13が給液チャンバー2に搬入されるようになっており、この基板受け具13が載置される部材として、受け具ステージ24が設けられている。
受け具ステージ24は、基板受け具13より外径内径とも少し小さい円環状である。上述したピン21は、受け具ステージ24の内部に配設されている。
受け具ステージ24には、昇降機構22が付設されている。受け具ステージ24は、水平な姿勢の駆動板241上に取り付けられている。昇降機構22は、駆動板241を昇降させることで受け具ステージ24を昇降させるようになっている。昇降機構22は、駆動板241を支える支柱242と、支柱242に連結された直線駆動源243とから主に構成されている。支柱242は、駆動板241を中央で支えている。直線駆動源242は、例えばサーボモータが使用され、サーボモータの回転をボールネジと回転止めにより直線運動に変換させる機構が採用される。サーボモータの制御により、受け具ステージ24を垂直方向の所定位置に位置させることができるようようになっている。尚、サーボモータとボールネジの組み合わせに代え、エアシリンダ等の流体圧シリンダが採用されることもある。
尚、不図示のリニアガイドが設けられており、受け具ステージ24が直線性良く垂直に昇降するようになっている。また、給液チャンバー2の底板部には、支柱242が挿通された開口200が設けられている。開口200の縁から下方に延びるようにしてベローズ201が設けられており、開口200からの真空のリークを防止している。
昇降機構22は、受け具ステージ24を上昇させ、基板受け具13を所定の上昇位置まで上昇させるようになっている。この上昇の過程で、ピン21上の積層基板11,12を基板受け具13が受け、積層基板11,12が基板受け具13に載置された状態となる。尚、積層基板11,12は基板受け具13と同軸の位置で載置されるよう、積層基板11,12のピン21上の載置位置が設定されている。
基板受け具13への積層基板11,12の載置の後、液剤供給系23により液剤が供給される。液剤供給系23は、形成された液溜めの上方から液剤を放出して供給する液剤ディスペンサー231を有している。液剤ディスペンサー231は、シリンジと同様の構成であり、垂直に立った姿勢で設けられており、先端に備えたニードルから液剤を放出するものとなっている。
液剤ディスペンサー231には、給液用配管232が接続されている。給液用配管232は、給液チャンバー2の壁を気密に貫通しており、不図示の送液ポンプにつながっている。送液ポンプが動作すると、給液用配管232を通して液剤が液剤ディスペンサー231に送られる。液剤は、液剤ディスペンサー231内に一旦溜められた後、ニードルから放出されるようになっている。尚、送られる液剤は脱泡済みとなっており、基板間隙間に注入された際に泡が混入しないようになっている。液剤ディスペンサー231としては、液剤の放出量を必要な精度で制御できるものが好ましい。液剤ディスペンサー231には、移動機構234が必要に応じて設けられる。移動機構234は、液剤ディスペンサー231を垂直方向、積層基板11,12の径方向又はその双方の方向に移動させることができるものである。
尚、液剤ディスペンサー231の本体部分を給液チャンバー2外に配置し、ニードル部分のみを給液チャンバー2内に配置し、送液チューブを通してニードルに液剤を送って放出させる構成が採用されることもある。
また、液剤供給系23全体が給液チャンバー2内に配置される場合もある。即ち、給液用配管232が給液チャンバー2の壁を貫通せず、装置のメンテナンスのたびに液剤を補充する構成が採用されることもある。この場合、給液チャンバー2に設けられたメンテナンス用の不図示の開閉扉を開け、オペレータが手作業で液剤ディスペンサー231に液剤を補充するか、開けられた開閉扉を通して液剤ディスペンサー231に供給ホースを接続て補充を行う。
前述した説明から解るように、基板受け具13と積層基板11,12の周縁によって形成される液溜めは、積層基板11,12の周縁に沿って360度周状に延びる形状となる。本実施形態では、この液溜めに、均一に液剤が供給されるようにするため、液剤ディスペンサー231に対して液溜めを相対的に回転させる回転機構が設けられている。本質的には、静止した液剤ディスペンサー231に対して液溜めを回転させてもよく、静止した液溜めに対して液剤ディスペンサー231を回転させてもよいのであるが、本実施形態では、液溜めを回転させる構成が採用されている。即ち、基板受け具13と基板受け具13に載置された積層基板11,12とを一体に回転させる回転機構が設けられている。
回転機構は、基板受け具13が載置された受け具ステージ24を回転させるモータ244によって構成されている。回転機構の構成としては、モータ244としてリング状の超音波モータを採用し、受け具ステージ24に直結するか、ラックアンドピニオン機構を採用することが考えられる。リング状の超音波モータとしては、市販のものを任意に選択して使用すればよく、特に限定されない。ラックアンドピニオン機構を採用する場合、受け具ステージ24の周面に円環状のラック板を固定する。ラック板の歯が外側面に形成された構造とし、これにピニオンを噛み合わせる。ピニオンは回転軸が垂直になるように設け、ピニオンをモータで回転させることで、ラック板を回転させる。これにより、受け具ステージ24を回転させるようにする。尚、受け具ステージ24の回転の軸は、受け具ステージ24の中心軸に一致している。
受け具ステージ24の回転により、受け具ステージ24上の基板受け具13及び積層基板11,12が一体に回転する。基板受け具13は受け具ステージ24に載置されるのみであるが、回転速度がそれほど速くないため、摩擦力のみで滑ることなく一体に回転するようになっている。必要であれば、基板受け具13と受け具ステージ24との間の摩擦力を高める表面処理を両者の表面の一方又は双方にしたり、受け具ステージ24の表面に静電気を誘起して基板受け具13を吸着するようにしても良い。また、積層基板11,12と基板受け具13についても、摩擦力を高める構成が採用されることがある。
尚、受け具ステージ24は、ベアリング245を介して円環状の固定ステージ246に支持されている。固定ステージ246は、駆動板241に固定されている。
また、給液チャンバー2内にも、予備加熱手段としてのヒータ251,252が設けられている。ヒータ251、252は、受け具ステージ24を挟んで上下に二つ設けられている。上側のヒータ251は、ホルダー253により給液チャンバー2の上壁部に固定されている。下側のヒータ252は、ヒータ支柱254を介して固定ステージ246に固定されている。
上下のヒータ251,252とも、円盤状のヒータであり、受け具ステージ24と同軸に配置されている。上下のヒータ251,252は、輻射加熱するヒータとなっている。尚、下側のヒータ252からの輻射線は、受け具ステージ24の開口を通して基板受け具13や積層基板11,12に達する。
尚、下側のヒータ252及び駆動板241には、ピン21が挿通されるピン挿通孔がそれぞれ設けられている。ピン挿通孔は、下側のヒータ252及び駆動板241にそれぞれピン21の数だけ設けられている。
次に、注入ステーション5の構成について、図5を使用して説明する。図5は、図2に示す注入ステーション5の斜視概略図である。注入ステーション5は、液剤が積層基板11,12の周縁開口を塞いだ状態を基板受け具13により保持させながら、この状態を大気圧下で所定時間維持することで注入を完了させる場所である。このため、注入ステーション5には、液剤が積層基板11,12の周縁開口を塞いだ状態を基板受け具13が保持している積層基板11,12、液剤及び基板受け具13の組(以下、スタンバイワークセットと呼ぶ)14を、大気圧下で所定時間収容するワークストッカー51が設けられている。
図5を使用して、ワークストッカー51の構成について説明する。図5に示すように、ワークストッカー51は、スタンバイワークセット14を収容する筐体52と、筐体52内に設けられた複数の棚板53と、複数の棚板53を周回路に沿って周回させる周回機構54等から構成されている。
各棚板53は、基板受け具13よりも少し大きな形状である。図5に示すように、棚板53には、切り欠き531が設けられている。この切り欠き531は、第一搬送ロボット41の受け具用フォーク412の形状に合わせたものである。尚、各棚板53は、基板受け具13よりも小さくてもよく、各棚板53を小さくして各棚板53が受け具用フォーク412の内部に位置するようにすれば、切り欠き531は不要である。
周回機構54は、棚板53を支持した不図示の棚アームが固定された不図示の台座と、台座が嵌り込んでいるガイドレール541と、ガイドレール541に沿って台座を移動させるためのベルト(又はチェーン)やギヤなどから成る不図示の駆動部とから主に構成されている。図5に示すように、ガイドレール541は、垂直な面内で無終端状の周回路を形成するようになっており、棚板53はこの垂直な周回路に沿って周回するようになっている。棚板53は、周回中、常に水平な姿勢を保つようになっている。
尚、図5では、棚板53は、12個示されているが、実際にはもっと多くの数の棚板53が設けられている。基板間隙間は非常に狭い空間であるため、大気圧に晒しての注入には比較的長い時間を要する。一方、給液チャンバー2内での液剤供給動作は比較的短時間で済む。このため、実用的には、給液チャンバー2の数の数倍(例えば、2倍から3倍)の数のスタンバイワークセット14を収容できるようになっており、この数の分の棚板53が設けられている。
筐体52は、直方体のボックス状である。筐体52の一つの側板の下側位置には、基板受け具13を出し入れするための受け具用ゲートが設けられている。受け具用ゲートは受け具用扉521によって開閉されるようになっている。また、もう一つの側板の下側位置には、積層基板11,12を取り出すための基板用ゲートが設けられている。基板用ゲートは、基板用扉522によって開閉されるようになっている。周回機構54は、棚板53を受け具用ゲートに最も近い位置で停止させるようになっており、この位置を、以下、「受け具出し入れ位置」と呼ぶ。また、周回機構54は、棚板53を基板用ゲートに最も近い位置で停止させるようになっており、この位置を、以下、「基板取り出し位置」と呼ぶ。
予備加熱手段は、この注入ステーション5にも設けられている。具体的には、棚板53にはヒータが埋め込まれており、棚板53との接触を通してスタンバイワークセット14が加熱される結果、液剤も加熱されて粘性が低下するようになっている。尚、ヒータは筐体52の内壁面に設けられる場合もあり、筐体52内は大気圧であるので、ガスブローによって加熱する場合もある。
次に、加熱ステーション7の構成について図6を使用して説明する。図6は、図2に示す加熱ステーション7の斜視概略図である。加熱ステーション7は、注入された液剤を加熱して液剤を硬化させるための場所である。加熱ステーション7には、加熱室71が設けられている。加熱室71は、積層基板11,12を収容する筐体72と、筐体72内に設けられた複数の加熱ステージ73と、複数の加熱ステージ73を周回路に沿って周回させる周回機構74等から構成されている。
各加熱ステージ73は、積層基板11,12よりも少し大きな板状である。加熱ステージ73には、抵抗加熱方式又は輻射加熱方式のヒータが埋め込まれている。加熱ステージ73に積層基板11,12が載置されると、主に接触による熱の伝導伝達により積層基板11,12が加熱されるようになっている。尚、同様に、加熱室71内は大気圧雰囲気であるので、加熱炉と同様の構成が採用されることもある。即ち、筐体72の内壁面にヒータを設けて加熱したり、加熱室71内に熱風を循環させて加熱したり(ガスブロー加熱)、筐体72を加熱することで積層基板11,12を加熱したり(ホットウォール加熱)する構成が採用されることがある。
周回機構74は、ワークストッカー51におけるものとほぼ同様であり、加熱ステージ73を支持した不図示のステージアームが固定された不図示の台座と、台座が嵌り込んでいるガイドレール741と、ガイドレール741に沿って台座を移動させるためのベルト(又はチェーン)やギヤなどからなる不図示の駆動部とから主に構成されている。
この加熱室71においても、筐体72の一つの側面の下側部分には、搬入扉721により開閉される開閉ゲートが設けられ、もう一つの側面の下側部分には、搬出扉722により開閉される搬出ゲートが設けられている。周回機構74は、加熱ステージ73を搬入ゲートに最も近い位置で停止させるようになっており、この位置を、以下、「搬入位置」と呼ぶ。また、周回機構74は、加熱ステージ73を搬出ゲートに最も近い位置で停止させるようになっており、この位置を、以下、「搬出位置」と呼ぶ。
本実施形態の装置の別の特徴点は、注入が完了した積層基板11,12を基板受け具13から取り上げる取り上げ手段が設けられており、基板受け具13は加熱されず積層基板11,12を介して液剤のみが加熱されるようになっている点である。この取り上げ手段を構成するものとして、図2及び図6に示すように、加熱室71の搬入側には、第一補助搬送機構43が設けられている。また、前述したように、加熱室71の搬出側には、第二補助搬送機構44が設けられている。これらの補助搬送機構43,44は、第一搬送ロボット41の動作負荷を軽減する目的でも設けられている。
第一補助搬送機構43は、ワークストッカー51と加熱室71との間で搬送動作を行うものである。第一補助搬送機構43は、比較的小型のシンプルな構造の搬送ロボットとなっている。この搬送ロボットは、アーム431の先端に吸着ヘッドを備えたものとなっており、積層基板11,12を上から吸着しながら保持するものとなっている。この吸着は真空吸着であるが、大気圧雰囲気であるので、静電吸着であっても良い。
また、第二補助搬送機構44は、加熱室71から取り出した積層基板11,12を、回収ステーション8への搬送のために第一搬送ロボット41に渡す動作を行うものである。この第二補助搬送機構44は、第一補助搬送機構43と同様の搬送ロボットとなっており、アーム441の先端で積層基板11,12を上から吸着して搬送するものとなっている。
次に、方法の発明の実施形態の説明も兼ね、上記構成に係る本実施形態の装置の動作について、図2乃至図8を使用して説明する。図7及び図8は、給液チャンバー2内での動作について示した概略図である。
まず、ロードロックチャンバー31,32の大気側のゲートバルブ10が開けられ、前述したように所定数の積層基板11,12がそれぞれ投入される。また、回収ステーション8には、空の回収用カセット81が配置される。受け具用カセット61には、所定数の未使用の基板受け具13が収容されている。
ロードロックチャンバー31,32内に所定数の積層基板11,12が搬入されると、ゲートバルブ10が閉じられ、ロードロックチャンバー31,32の排気動作が開始される。積層基板11,12は、ヒータ35により加熱される。
並行して、各給液チャンバー2に対する基板受け具13の搬入動作が行われる。即ち、第一搬送ロボット41が受け具用カセット61から基板受け具13を一つずつ取り出し、各給液チャンバー2に搬送する。基板受け具13は、開けられた第二ゲートバルブ10Bを通して搬入され、受け具ステージ24上に載置される。図7(1)に示すように、基板受け具13を支持した第一搬送ロボット41の受け具用フォーク412は、所定の高さの面に沿って進入した後、この高さ下降して基板受け具13を受け具ステージ24に移載する。この際、受け具用フォーク412の内部に、受け具ステージ24が位置した状態となる。基板受け具13の載置位置は、基板受け具13が受け具ステージ24と同軸となる位置である。また、昇降機構22は、受け具ステージ24を所定の下降位置に位置させており、従って、基板受け具13も所定の下降位置に配置される。基板受け具13の搬入動作が終了すると、第二ゲートバルブ10Bが閉じられ、排気系202による給液チャンバー2の排気動作が開始される。
一方、ロードロックチャンバー31,32が所定の真空圧力に排気されると、積層基板11,12の基板間隙間の真空排気が完了したことになる。従って、これらの積層基板11,12は、基板受け具13の搬入が完了して所定の真空圧力に排気された給液チャンバー2に順次搬入される。即ち、第一ゲートバルブ10Aが開けられ、第二搬送ロボット42によりロードロックチャンバー31,32から搬送チャンバー4を経由して積層基板11,12が搬入される。積層基板11,12は、図7(2)に示すように、ピン21上に載置される。この際、積層基板11,12を支持した第二の搬送ロボット42のフォーク421は、三つのピン21の間に位置する。尚、積層基板11,12の載置位置は、同様に、受け具ステージ24と同軸となる位置である。
その後、図7(3)に示すように、昇降機構22が受け具ステージ24を所定の上昇位置まで上昇させる。この上昇の過程で、積層基板11,12が基板受け具13に載置される。積層基板11,12が基板受け具13に載置される結果、前述したように液溜めが形成される。
尚、積層基板11,12は、ロードロックチャンバー31,32内で既に予備加熱されているが、給液チャンバー2内でヒータ251,252により引き続き予備加熱される。また、基板受け具13も、ヒータ251,251により予備加熱される。
次に、回転機構を動作させて受け具ステージ24を回転させながら、液剤供給系23を動作させる。これにより、図8(1)に示すように、液剤ディスペンサー231から液剤Lが放出され、回転する液溜めに沿って液剤Lが供給される。受け具ステージ24は、一回転(360度)で回転を終了する。この動作により、液剤Lが液溜めに溜められる。液溜めは積層基板11,12の周縁に沿って全周に形成されるが、液剤も途切れることなく全周に溜められる。この液剤供給により、積層基板11,12の周縁開口は全周において液剤Lにより塞がれる。溜められた液剤Lによって周縁開口が完全に塞がれていない状態、即ち、液剤が下側基板12の周縁のみに接触し、上側基板11の周縁に接触していない状態の場合、大気圧に晒して注入の際に空気が混入する恐れがある。
尚、上述した昇降機構22による受け具ステージ24の上昇位置は、液剤ディスペンサー231から基板受け具13までの距離が最適になるよう設定されている。この他、液体ディスペンサー231に付設した移動機構234によりこの距離を調節しても良い。いずれにしても、液剤ディスペンサー231から液溜めまでの距離を近づけて液剤を供給すると、給液動作が安定するので好適である。尚、回転機構の構成として、ラック板が所定の上昇位置に位置した際にピニオンがラック板に噛み合うよう構成されることもある。
液剤ディスペンサー231によって供給された液剤Lは、積層基板11,12及び基板受け具13が加熱されているため、これらからの熱を受けて同程度まで予備加熱される。これにより、液剤Lの粘性が低下する。
そして、液溜めへの液剤Lの供給が完了し、積層基板11,12、液剤L及び基板受け具13がスタンバイワークセット14を構成すると、スタンバイワークセット14の搬出動作が開始される。即ち、ベントガス導入系203により給液チャンバー2にベントガス(空気又は不活性ガス)が導入され、給液チャンバー2内が大気圧とされる。そして、第二ゲートバルブ10Bが開けられ、図8(2)に示すように、第一搬送ロボット41の受け具用フォーク412が進入し、スタンバイワークセット14の下方に位置する。
そして、昇降機構22が動作し、受け具ステージ24を所定の下降位置に下降させる。この結果、図8(3)に示すように、スタンバイワークセット14が受け具用フォーク412の上に載る。その後、第一搬送ロボット41は、受け具用フォーク412を後退させ、スタンバイワークセット14を給液チャンバー2から搬出する。搬出後、第二ゲートバルブ10Bは閉じられる。尚、給液チャンバー2内が大気圧とされた際、基板間隙間内は真空圧力であるので、圧力差により液剤Lが基板間隙間内に押し出され、注入が開始される。しかし、この段階では、液剤Lは基板間隙間に少し進入しただけであり、基板間隙間を満たす状態ではない。
第一搬送ロボット41は、搬出したスタンバイワークセット14を注入ステーション5まで搬送する。そして、ワークストッカー51の搬入扉521が開き、スタンバイワークセット14は、受け具出し入れ位置にある棚板53に載せられる。この際、第一搬送ロボット41の受け具用フォーク412は棚板53の切り欠き531を通って下降する。
ワークストッカー51内は大気圧雰囲気であり、一方、基板間隙間は液剤により入り口が封鎖されているので真空圧力のままである。このため、スタンバイワークセット14が周回機構74により周回する間、大気圧に晒されて圧力差により液剤が基板間隙間に押し出され、基板間隙間を満たす。即ち、受け具出し入れ位置で棚板53に載せられたスタンバイワークセット14が基板取り出し位置に達するまでの時間が最適に設定されており、この時間で基板間隙間に液剤が完全に満ちるようになっている。尚、上記注入の際、棚板53内のヒータにより液剤の予備加熱が継続され、粘性が低下している。このため、注入に要する時間が短くなっている。
このようにして、各給液チャンバーに基板受け具13と積層基板11,12を順次搬入し、液剤を供給してスタンバイワークセット14を構成した後、スタンバイワークセット14を次々に注入ステーション5に搬送する。そして、スタンバイワークセット14は、各棚板53に次々に載置される。
そして、ワークストッカー51内の基板取り出し位置に達して注入が完了した積層基板11,12は、加熱ステーション7に搬送される。即ち、搬出扉522が開き、第一補助搬送機構43のアーム431が進入して積層基板11,12を上から吸着して取り出す。第一補助搬送機構43により、この積層基板11,12が加熱室71まで搬送されると、搬入扉721が開き、搬入位置にある加熱ステージ73に載置される。積層基板11,12が載置された加熱ステージ73は、周回機構74により周回路に沿って移動し、この間、注入された液剤は、加熱ステージ73からの熱を受けて温度上昇する。そして、この加熱ステージ73が搬出位置に達した際、液剤が完全に硬化するようになっている。即ち、加熱ステージ73が搬出位置に達した際には液剤が完全に硬化しているよう、加熱ステージ73内のヒータの温度、周回機構74による移動速度及び移動距離が最適に設定されている。
一方、積層基板11,12が取り去られて残った基板受け具13は、第一搬送ロボット41により受け具ロードステーション6に搬送される。即ち、積層基板11,12が取り去られて残った基板受け具13が載った棚板53は、周回機構74により移動し、受け具出し入れ位置に達する。そして、受け具用扉521が開き、第一搬送ロボット41がこの位置の基板受け具13を取り出し、受け具ステーション6に搬送する。搬送された基板受け具13は、受け具用カセット61に戻される。
一方、加熱室71内の搬出位置に達して液剤の硬化が完了した積層基板11,12は、第二補助搬送機構44及び第一搬送ロボット41により回収ステーション8に搬送される。即ち、第二補助搬送機構44のアーム441が積層基板11,12を上から吸着して保持しながら加熱室71から取り出す。そして、第一搬送ロボット41の基板用フォーク411がこれを受け取って支持し、回収ステーション8まで搬送し、回収用カセット81に収容する。
ワークストッカー51内の基板取り出し位置に達した棚板53上の基板受け具13から、次々に積層基板11,12が取り出されて加熱室71に搬送される。そして、搬送された積層基板11,12は、加熱室71内で搬入位置に順次位置する加熱ステージ73に次々に載置される。そして、搬出位置に順次達した加熱ステージ73から、積層基板11,12が次々に取り出されて回収される。
このような動作を繰り返し、積層基板11,12の基板間隙間のロードロックチャンバー31,32内での真空排気、給液チャンバー2内での基板受け具13への積層基板11,12の載置(液溜め形成)、液剤供給と液剤による周縁開口の閉塞状態の保持、注入ステーション5での注入動作、加熱ステーション7での液剤の加熱硬化をそれぞれ行う。
ロードロックチャンバー31,32にあったすべて積層基板11,12について給液チャンバー2への搬入が終了すると、ロードロックチャンバー31,32への次のロットの積層基板11,12の投入動作が行われる。また、回収用カセット81に液剤の注入・硬化済みの積層基板11,12が所定数収容されると、オペレータが回収用カセット81を空のものと交換する。
また、受け具用カセット61に当初あった基板受け具13がすべて使用されて受け具用カセット61に戻ってくると、受け具用カセット61が交換される。使用した基板受け具13には、液剤が残留付着していることが多いので、装置から取り出して液剤を取り除き、再度受け具カセット61に収容して装置に投入する。液剤の除去は、エアブロー又は拭き取り等の方法による。
尚、基板受け具13に対する液剤の残留付着が無い場合や、残留付着した液剤を装置内で除去する場合には、基板受け具13を常時装置内に投入した状態とする場合もある。この場合は、基板受け具13は、第一搬送ロボット41によりワークストッカー51の受け具出し入れ位置から取り出され、必要に応じてエアブロー機構等により液体の除去が装置内で行われた後、空の(基板受け具13が配置されていない)給液チャンバー2に搬送される。
尚、給液チャンバー2における動作において、図7(1)に示すように第一搬送ロボット41の受け具用フォーク412が下降して基板受け具13を受け具ステージ24に載置する場合の他、受け具ステージ24が上昇して受け具用フォーク412から基板受け具13を受け取る場合もある。この場合は、受け具用フォーク412よりも少し高い位置まで受け具ステージ24を昇降機構22により上昇させ、受け具ステージ24に基板受け具13が載るようにする。
液剤供給後にスタンバイワークセット14を取り去る際も、同様であり、受け具ステージ24の昇降動作によりスタンバイワークセット14を受け具用フォーク412に渡す場合もある。即ち、予め昇降機構22によりスタンバイワークセット14を所定の上昇位置に上昇させておき、その位置のスタンバイワークセット14の下方に受け具用フォーク412を進入させる。そして、受け具ステージ24を下降させて、その下降の過程でスタンバイワークセット14が受け具用フォーク412に移載されるようにする。
このように受け具ステージ24の昇降動作により移載が行われるようにすると、第一搬送ロボット41の受け具用フォーク412の垂直方向の移動距離を小さくしたりゼロにしたりすることができる。受け具用フォーク412は、第二ゲートバルブ10Bを通して給液チャンバー2内に進入するが受け具用フォーク412の垂直方向の移動距離が小さいと、第二ゲートバルブ10Bの開閉部分の高さを小さくでき、ゲートバルブの構造が大がかりにならないというメリットがある。
上記構成及び動作に係る実施形態の方法及び装置は、以下のような効果を有する。
まず、注入に先立って積層基板11,12の間に堰を形成しておくことは不要である。従って、工程が簡略化され、生産性が高い。また、注入口が堰の開口のような特定の一箇所に限定されておらず、積層基板11,12の周縁の全周から液剤が注入される。このため、注入が完了するまでの時間が短くなり、この点でも生産性は高い。さらに、液剤は、圧力差により積層基板11,12の周縁の全周から中心に向けて均一に広がり、基板間隙間に完全に満ちる状態となるので、注入完了後の積層基板11,12の重量バランスは完全に均一なものとなる。このため、後工程で積層基板11,12を取り扱う際に問題が生ずることがない。
また、液剤が積層基板11,12の周縁開口を塞いだ状態を基板受け具13に保持させつつ、それらから成るスタンバイワークセット14を一体に搬送して給液チャンバー2外の大気圧下の別の場所である注入ステーション5に位置させて注入を完了させるとともに、それと並行して、次の積層基板11,12を給液チャンバー2に配置して液剤の供給を行うため、生産性がさらに向上している。給液チャンバー2内に基板受け具13、液剤及び積層基板11,12を配置したままで給液チャンバー2を大気圧にして注入を完了することも、できなくはない。しかしながら、ある程度粘性のある液剤が圧力差により基板間隙間に満ちるまでには相当の時間がかかる。この間、次の積層基板11,12に対する液剤供給ができず、次の積層基板11,12は給液チャンバー2外で待機することになり、スループットが低下してしまう。本実施形態では、大気圧下での液剤の基板間隙間への注入と並行して次の積層基板11,12への液剤供給が行われるので、スループットが高く、生産性の点で極めて好適である。
また、上記実施形態の装置では、液剤を溜める液溜めが、基板受け具13とその基板受け具13に載置された積層基板11,12の周縁によって形成されるので、液剤を溜める動作や液剤に積層基板11,12の周縁開口を塞ぐ動作が容易に行える。積層基板11,12の周縁の全周から液剤を注入して基板間隙間に満たすには、全周状に液剤を溜める容器が必要になる。この容器を、上記のような液溜めによらず、それ自体で液剤を溜められるよう構成することも可能である。しかしながら、積層基板11,12を水平な姿勢にしつつその周縁開口を液剤が塞ぐよう溜める構成は、容易ではない。周状の溝に液剤を溜め、表面張力により突出させてそこに積層基板11,12の周縁を接触させる構成も考えられるが、突出量の制御や積層基板11,12の位置制御に高い精度を要し、技術的には難しくなる。本実施形態では、このような問題はなく、積層基板11,12の周縁への液剤の供給は容易である。
特に、本実施形態では、液溜めが、基板受け具13の斜面133と、積層基板11,12からはみ出したベース部131の部分の表面と、積層基板11,12の周縁によって形成される。従って、積層基板11,12の全体の厚みに応じて、はみ出し部分の幅や斜面133の角度を適宜設定することで液溜めの容積を定めることができる。このため、注入する液剤の量に応じた液溜めの設計が容易である。場合によっては、ベース部131の外径や斜面133の角度の異なる基板受け具13を用意し、液剤の注入量に応じて使い分けても良い。
尚、液剤が周縁開口を塞いだ状態を保持するための構成は、斜面133には限られない。ベース部131の周縁から垂直上方に延びる壁面を形成してもよく、これによっても、同様の効果が得られる。即ち、周辺部132がベース部131に対して上方に突出していて、周辺部132の表面がベース部131の表面の周縁から上方に延びていれば足りる。但し、上述したように斜面133によって閉塞状態を保持する構成によると、注入が進行する過程で液剤が周縁開口に寄って行き易い。従って、注入を確実に行ったり、液剤の残留を少なくしたりする上で好適な構成である。
また、液溜めを形成する部分の表面は、積層基板11,12の対向面に比べて液剤に対する濡れ性が低くなっているため、液剤の注入が効率的に行われるほか、注入後に基板受け具13に残留する液剤の量も少ない。液溜めに溜められた液剤は、前述したように圧力差により基板間隙間に押し込まれるが、この際、基板間隙間内の面(上側基板11と下側基板12の互いに対向する面)の方が斜面133よりも濡れ性が高いので、液剤は斜面133を離れて対向面に沿って進展しようとする。このため、注入がより効率的となる。注入が進む過程で、液溜め内の液剤は少なくなるが、残留する液剤は、斜面133やベース部131の表面の濡れ性が低いために積層基板11,12に寄った位置で常に溜まる状態となる。このため、液溜めに当初溜める量を一つの基板間隙間の容積に合わせておけば、注入が完了した際には斜面133上には液剤の残留は殆ど無くなる。尚、液剤が残留すると、次の積層基板11,12が載置された際に下側基板12の下側に入り込んで下面に付着する可能性があるが、本実施形態ではこの可能性は少ない。
また、円環状である基板受け具13の形状は、「積層基板に対向する部分に開口を有して積層基板との間の空間を塞がない形状」の一例である。もし、基板受け具13が積層基板11,12との間の空間を塞ぐ形状であると、注入時に積層基板11,12が変形する可能性がある。即ち、積層基板11,12は、給液チャンバー2内が真空圧力の状態で基板受け具13に載置されるため、積層基板11,12の下側の空間が基板受け具13で塞がれると、この空間は注入時にも真空圧力のままとなる。積層基板11,12の上側の空間は注入時に大気圧となるので、圧力差により積層基板11,12が下側に押されて変形する可能性がある。圧力差が大きいと、積層基板11,12が破損する恐れもある。本実施形態では、上記の通り積層基板11,12の下側の空間は塞がれないので、このような問題はない。積層基板11,12の下側に真空圧力の空間があると、注入ステーション5での注入の際、液剤がそこに流れ込み易くなり、積層基板11,12の下面(下側の基板12の下面)に液剤が付着し易くなるが、本実施形態ではそのような問題はない。尚、積層基板11,12の下側への液剤の流れ込みがあると、その分、液剤が不足し、基板間隙間に液剤が充分に注入されない恐れがあるが、本実施形態ではそのような恐れもない。
また、形成される液溜めの上方から液剤を放出して供給する液剤ディスペンサー231を有する点は、上述したように基板受け具13を別の場所に移動して注入を完了させることで生産性を高める構成を実現するのに極めて実用的となっている。液溜めに液剤を供給する構造としては、液溜めに給液用の配管を接続することが考えられる。しかしながら、この構造だと、基板受け具13が液溜めを形成しているため、配管の接続を切り離してから基板受け具13を移動させることになり、配管の接続・切り離し機構が必要になる。本実施形態では、このような機構は不要であり、極めて実用的である。
また、静止した液剤ディスペンサー231に対して積層基板11,12及び基板受け具13を一体に回転させて液剤が液溜めに沿って供給される点は、比較的簡略化された構造で均一に液剤を供給できるようにした意義を有する。上記のように配管を接続して液剤を供給する構成や、積層基板11,12及び基板受け具13を一体に回転させずに給液する構成では、周状の液溜めに対して給液箇所が一箇所になるので、給液量が均一にできない可能性が高い。即ち、粘性の高い液剤の場合、給液箇所に近い位置で多く、遠い位置で少ない状態となってしまう。本実施形態では、積層基板11,12及び基板受け具13が一体に回転しながら(即ち液溜めが回転しながら)、液剤ディスペンサー231から液剤が放出されて供給されるので、周状の液溜めの各箇所に均一に液剤が供給される。液剤ディスペンサー231を積層基板11,12及び基板受け具13の中心軸と同軸の回転軸の周りに回転させても同様の効果が得られるが、積層基板11,12及び基板受け具13を回転させた方が、比較的簡易な機構となる。
また、ロードロックチャンバー31,32が複数の積層基板11,12を収容可能なものであり、複数の積層基板11,12の基板間隙間を同時に真空に排気可能になっている点は、装置の生産性をさらに向上させる意義を有する。上述した通り、給液チャンバー2内で基板受け具13に積層基板11,12を載置して液剤を供給する際には、両者は真空雰囲気に配置されていることを要し、基板間隙間が真空に排気されていることを要する。この場合、基板受け具13も積層基板11,12も同様に大気側から直接給液チャンバー2に搬入し、積層基板11,12を基板受け具13に載置した後、給液チャンバー2内を排気して基板間隙間を真空圧力とすることが考えられる。しかしながら、この構成だと、基板間隙間は非常に狭い空間でありコンダクタンスが小さい。従って、所定の真空圧力に排気するまでに相当程度長い時間を要する。一方、基板受け具13だけであれば、それが配置された給液チャンバー2の真空排気は、短時間に済む。本実施形態の装置は、時間のかかる基板間隙間の真空排気をバッチ式とし、基板受け具13(が配置された雰囲気)の真空排気を枚葉式として、生産性を効果的に高める技術思想となっている。
尚、給液チャンバー2に、ロードロックチャンバー31,32との間に設けられた第一ゲートバルブ10Aと、大気圧雰囲気に対して開放される第二ゲートバルブ10Bとが設けられている点は、上記技術思想を効果的に達成する意義を有する。通常のクラスターツールタイプのチャンバーレイアウトの場合、プロセスチャンバーには、通常の稼働中に大気圧雰囲気に対してゲートバルブは開放されず、ロードロックチャンバーや搬送チャンバー等の他の真空チャンバーに対して開放される(真空圧力下のチャンバーに対して開放される)のみである。この構成だと、基板受け具13を大気圧雰囲気から直接搬入したり、スタンバイワークセット14を大気圧雰囲気に直接取り出すことができない。本実施形態の構成では、これが可能になっている。
上記本実施形態のチャンバーレイアウトと搬送系の構成は、基板間液剤注入に限らず、真空処理装置全般においても非常にユニークなものとなっている。通常のクラスターツールのチャンバーレイアウトでは、搬送ロボットを内蔵した搬送チャンバーが中央にあり、その周面に複数のプロセスチャンバーやロードロックチャンバーが接続されるのみである。プロセスチャンバーのさらに外側で搬送動作を行う搬送手段を設けたような装置構成は、これまで知られていない。本実施形態の構成は、搬送チャンバーの周囲に並ぶ複数のプロセスチャンバーのさらに外側で動作する搬送ロボットを設けるとともに、その搬送ロボットを、複数のプロセスチャンバーが並ぶ方向に沿って移動させるようにしたものである。このように構成することで、各プロセスチャンバーついてのワークや部材の搬入搬出経路を、中央の搬送チャンバーを経由したものの他、各プロセスチャンバーの外側の経路を経由したものとすることもできる。つまり、各プロセスチャンバーについてのワークや部材の搬入搬出経路の自由度が高まる。このため、二つの搬送ロボットを適宜設計することで、装置のタクトタイムやスループットを高めることが可能で、生産性の向上に大きく貢献する。
また、本実施形態の装置では、液剤の注入が行われる際、予備加熱手段により液剤が加熱されて液剤の粘性が下げられているので、基板間隙間への液剤の進展が促進される。このため、短時間に液剤が基板間隙間に満ちることになり、この点でも生産性が高くなっている。
また、本実施形態では、一つの装置で液剤の注入と液剤の硬化が一貫して行えるので、工程全体の設備コストの低減に寄与することが可能である。従来の工程では、液剤の注入と液剤の硬化とは別々の装置で行われているため、それぞれの装置を設置する必要があり、装置間の搬送機構も別途必要になるが、本実施形態ではそれらは不要である。従って、設備コストが大幅に低減する。また、液剤の注入後、短時間のうちに硬化が行われるので、注入後の事情によって液剤の性質が変化してしまう可能性が小さい。この点でも、本実施形態の装置は好適である。
さらに、本実施形態では、液剤注入後の積層基板11,12を基板受け具13から取り上げ手段が取り上げ、基板受け具13を加熱せずに積層基板11,12を介して液剤のみを加熱して硬化させる点は、不必要な加熱を無くして加熱の効率を高めている他、基板受け具13に残留付着した液剤を硬化させないという長所がある。基板受け具13に残留付着した液剤が硬化してしまうと、基板受け具13に固着してしまい、容易には除去できない状態となり易い。液剤が残留固化した基板受け具13が次の液剤供給に使用された場合、残留固化した液剤の上に積層基板11,12が載置される結果、基板受け具13と積層基板11,12との間に隙間ができてしまうことがあり得る。この場合、供給された液剤がこの隙間から漏れ出てしまうことがあり得る。本実施形態では、たとえ液剤が残留付着しても硬化することはないので、エア吹き付けや拭き取り等により容易に除去することができる。
上記構成の基板間液剤注入装置において、液溜めへの液剤供給が確実に行われているかどうかを監視する給液モニタが設けられることが好ましい。即ち、積層基板11,12と基板受け具13を一体に回転させながら液剤ディスペンサー231から液剤を放出させて液剤を供給すると、積層基板11,12の周囲に形成された液溜めに沿って全周に(円周状に)液剤が溜まる。この液剤の溜まりが周の途中で途切れていたり、極端に少ない場所があると、注入ステーション5での注入の際、基板間隙間に液剤が均一に流れ込まず、注入が不均一になったり、気泡が混入したりする恐れがある。また、積層基板11,12の周縁開口が全周において塞がれずに開いた部分があると、やはり気泡が発生する恐れがある。従って、液剤の溜まりの途切れ等が無いかどうか監視する給液モニタが設けられることが好ましい。
図9は、給液モニタの構成を一例を示した正面概略図である。図9に示す給液モニタ233は、距離センサを利用している。給液モニタ233は、受け具ステージ24の回転方向において液剤ディスペンサー231の後方に取り付けられており、垂直下方までの距離を検出するものとなっている。
液溜めに液剤が適正に溜められた場合に比べ、液剤が少なかったり液剤の溜まりに途切れがあったりすると、給液モニタ233が計測する距離Dは大きくなる。従って、給液モニタ233で距離を計測しておくことで、液溜めに液剤Lが適正に溜められたか否かを監視することができる。
また、上記構成の基板間液剤注入装置において、液剤の注入後、加熱ステーション7での加熱に先立ち、気泡が無いかどうか監視する気泡モニタが設けられることが好ましい。気泡がある状態で液剤の硬化を行ってしまうと、気泡の部分で貼り合わせ強度が低下してしまうので、製品欠陥を招いたり信頼性が低下したりし易い。気泡モニタの構成としては、注入完了後の積層基板11,12の基板間隙間の全域をカバーして撮影するイメージセンサが採用できる。イメージセンサとしては、半導体ウエハを透過して撮像することが必要になるので、X線イメージセンサ又は超音波イメージセンサ等が適している。積層基板11,12がガラス基板のような透明な基板である場合、光学式イメージセンサが使用されることもある。
気泡モニタは、例えば、第一補助搬送機構43がワークストッカー51から注入済みの積層基板11,12を取り出し際に気泡の発生を監視するよう設けられる。即ち、第一の補助搬送機構43のアーム431が保持した積層基板11,12の映像を下方から撮影するよう気泡モニタを設け、気泡が発生していないかどうか気泡モニタが監視するようにする。
次に、オリエンテーションフラット(以下、オリフラ)を考慮した好適な装置の構成について説明する。図10は、オリフラを考慮した好適な装置の構成について示した平面概略図である。
オリフラがある場合、図10に示すように、上側基板11と下側基板12は、両者のオリフラを一致させながら(平面視でオリフラが重なるようにしながら)重ね合わされる。この場合、基板受け具13の構成は二通り考えられる。一つは、図10(1)に示すように、基板受け具13のベース部131もフラットな周縁を有する形状とし、周辺部132が直線状の部分を有する形状とする構成である。もう一つは、図10(2)に示すようにオリフラに関係なく、周辺部132を完全な円環状とする構成である。図10(1)の場合には基板受け具13の周方向位置出しが必要になるものの、図10(2)の場合にはそれが不要なので、装置の構成としては簡略になる。
図10(1)の場合でも図10(2)の場合でも、オリフラの部分においても適量の液剤Lが供給されるようにするには、液剤ディスペンサー231に設けた移動機構234により液剤ディスペンサー231を積層基板11,12の径方向にシフトさせる。即ち、受け具ステージ24の回転の際、オリフラの部分が液剤ディスペンサー231の下方に達したタイミングで液剤ディスペンサー231を回転軸(即ち中心軸)寄りにシフトさせる。そして、オリフラの部分が通り過ぎるタイミングで液剤ディスペンサー231を元に位置に戻すようにする。これにより、オリフラの部分においても、積層基板11,12の周縁に液剤Lが正しく接触した状態で溜められる。尚、液剤ディスペンサー231のシフト量は、厳密には、オリフラの中央部分において最も回転軸に近い位置とされる。
また、液剤ディスペンサー231に移動機構234を設けると機構的に複雑になるので、図10(2)に示すように、オリフラの部分だけ給液量を多くして積層基板11,12の周縁に確実に液剤Lが接触するようにしても良い。給液量を多くする方法としては、オリフラの部分が液剤ディスペンサー231の下方に達したタイミングで回転速度を遅く方法が実用的であるが、液剤ディスペンサー231からの放出量を多くしても良い。オリフラの部分だけ給液量が多いと、基板間隙間への液剤注入の均一性の点で問題が発生する可能性があるが、液剤Lの粘性がそれほど高くなくて流動性が高い場合には、問題の発生はない場合が多い。
尚、基板受け具13の斜面133のみならず水平面(ベース部131の表面)についても、液剤の濡れ性を積層基板11,12の対向面に比べて低くしておくことが好ましい。濡れ性を低くすることで、注入が進行する際に液剤が積層基板11,12に寄った状態になり、確実に基板間隙間に入り込みことになる。
次に、基板間液剤注入装置の別の実施形態について説明する。図11は、別の実施形態に係る液剤注入装置の主要部の正面断面概略図である。図11には、別の実施形態の装置における給液チャンバー2の概略構成が示されてる。
図1乃至図6に示す装置では、基板配置手段は、固定されたピン21であり、ピン21に載置された積層基板11,12に対し、基板受け具13が移動することにより積層基板11,12が載置された。一方、この図11に示す実施形態では、静止した基板受け具13に対して積層基板11,12が移動することで積層基板11,12が基板受け具13に載置される構成となっている。
即ち、ピン21は上下方向に移動するリフトピンとなっている。ピン21は、垂直な姿勢のピン駆動板211上に固定されている。そして、ピン駆動板211に昇降機構22が付設されている。昇降機構22の構成は、図4に示すものと同様であり、ピン駆動板211を中央で支えた支柱242と、支柱242を駆動して昇降させる直線駆動源243とから主に構成されている。
受け具ステージ24は、同様にベアリング245を介して固定ステージ246に固定されている。固定ステージ246は、ステージ支柱247により給液チャンバー2の底板部に固定されている。
この実施形態においても、図7(1)に示すのと同様に、第一搬送ロボット41の受け具用フォーク412が基板受け具13を支持しながら基板受け具13を受け具ステージ24上に載置する。そして、図7(2)に示すのと同様に、第二搬送ロボット42のフォーク421により支持されて、積層基板11,12がピン21上に載置される。
その後、昇降機構22が動作し、ピン21を所定の下降位置まで下降させる。この下降の過程で、積層基板11,12が基板受け具13に載置される。
そして、受け具ステージ24を回転させながら、同様に液剤供給系23による液剤供給が行われる。この際、液剤ディスペンサー231に設けた移動機構234により、液剤ディスペンサー231を移動させて基板受け具13までの距離を調節することがある。
液剤供給の後、図8(1)(2)に示すように、第一搬送ロボット41の受け具用フォーク412が受け具ステージ24からスタンバイワークセット14を受け取り、注入ステーション5に搬送する。
上記構成及び動作に係る装置においても、前述した装置と全く同様の効果を得ることができる。尚、図11に示す実施形態においても、受け具ステージ24を昇降させる機構を設けてもよい。この機構は、液剤ディスペンサー231と基板受け具13との距離の調節に利用したり、前記実施形態と同様にフォーク412,421の垂直移動のストロークを小さくしたりするのに利用できる。
上述した各実施形態の構成において、予備加熱手段による予備加熱の温度は、注入完了前に液剤が硬化してしまわないよう、硬化温度から充分に低い温度とされる。予備加熱温度は、液剤の粘性が最も小さくなる温度とされる。液剤の粘性に温度依存性が無い場合や、あっても小さい場合、予備加熱は行われない場合もある。尚、上記説明から明らかなように、予備加熱の最終的な目標は注入時に液剤の温度を上げて粘性を下げることであるが、直接的な加熱の対象は液剤に限らず、積層基板11,12であったり、基板受け具13であったりもする。つまり、積層基板11,12や基板受け具13を加熱しておくことで間接的に液剤を加熱するものも、予備加熱に含まれる。
尚、本願発明において、注入される液剤は、上述した熱硬化性の絶縁エポキシ樹脂には限定されない。また、積層基板は、三枚又はそれ以上の基板を重ね合わせて貼り合わせたものでもよく、それらで形成される各隙間に液剤を同時に注入することも可能である。また、本願発明の実施に際しては、給液チャンバー2は複数である必要はなく、一つでもあっても足りる。
上記各実施形態では、真空雰囲気において液剤を積層基板の周縁に供給した後、積層基板及び液剤を大気圧雰囲気に置いて注入を完了させたが、これは必須条件ではない。圧力差により注入を行うのであるから、液剤を供給して液剤で周縁開口を塞いだ際の基板間隙間内の真空よりも高い圧力下で注入を行えば足りる。従って、液剤供給時の真空よりも高い圧力の真空雰囲気で注入を行ったり、大気圧よりも高い圧力下で注入を行ったりしても良い。
尚、上記各実施形態は、三次元集積回路用の積層基板(ウエハ)に対する液剤注入を行う技術であったが、本願発明は、これに限られるものではなく、ウエハ以外の他の基板を積層した積層基板についても実施が可能である。例えば、液晶ディスプレイやプラズマディスプレイ等のフラットパネルディスプレイ用のガラス基板を複数重ね合わせて貼り合わせた積層基板についても同様に実施が可能である。
保持具を使用した注入動作について概略的に示した図である。 実施形態に係る基板間液剤注入装置の平面概略図である。 ロードロックチャンバー31,32の正面断面概略図である。 図2に示す一つの給液チャンバー2の正面断面概略図である。 図2に示す注入ステーション5の斜視概略図である。 図2に示す加熱ステーション7の斜視概略図である。 給液チャンバー2内での動作について示した概略図である。 給液チャンバー2内での動作について示した概略図である。 給液モニタの構成の一例を示した正面概略図である。 オリフラを考慮した好適な装置の構成について示した平面概略図である。 別の実施形態に係る液剤注入装置の主要部の正面断面概略図である。
符号の説明
10 ゲートバルブ
10A 第一ゲートバルブ
10B 第二ゲートバルブ
11 下側基板
12 上側基板
13 基板受け具
131 ベース部
132 周辺部
133 斜面
2 給液チャンバー
21 ピン
22 昇降機構
23 液剤供給系
231 液剤ディスペンサー
24 受け具ステージ
244 モータ
251 ヒータ
252 ヒータ
31 ロードロックチャンバー
32 ロードロックチャンバー
34 棚部
35 ヒータ
4 搬送チャンバー
41 第一搬送ロボット
42 第二搬送ロボット
43 第一補助搬送機構
44 第二補助搬送機構
5 注入ステーション
51 ワークストッカー
52 筐体
53 棚板
54 周回機構
6 受け具ロードステーション
61 受け具用カセット
7 加熱ステーション
71 加熱室
72 筐体
73 加熱ステージ
74 周回機構
8 回収ステーション
81 回収用カセット
9 コントロールボックス
100 床面ユニット
101 ガイド孔

Claims (12)

  1. 重ね合わせて貼り合わされた複数の基板から成る積層基板の基板間の隙間に液剤を注入する基板間液剤注入方法であって、
    積層基板の基板間の隙間を真空に排気するステップと、
    基板間の隙間が真空に排気された積層基板を、真空に排気された真空チャンバー内の所定位置に配置するステップと、
    所定位置に配置された積層基板の周縁に液剤を供給し、当該積層基板の周縁で形成された開口を液剤が塞いだ状態を保持具で保持するステップと、
    保持具による保持状態を維持しながら、積層基板、液剤及び保持具を一体に移動させて前記真空より高い圧力下の別の場所に位置させて前記隙間への液剤の注入を完了させるステップとを有していることを特徴とする基板間液剤注入方法。
  2. 重ね合わせて貼り合わされた複数の基板から成る積層基板の基板間の隙間に液剤を注入する基板間液剤注入装置であって、
    積層基板の基板間の隙間を真空に排気する排気手段と、
    積層基板を出し入れすることができる真空チャンバーである給液チャンバーと、
    基板間の隙間が真空に排気された積層基板を、真空に排気された給液チャンバー内に搬入する搬入機構と、
    搬入された積層基板を所定位置に配置する基板配置手段と、
    所定位置に配置された積層基板の周縁に液剤を供給する液剤供給系と、
    供給された液剤が積層基板の周縁で形成された開口を塞ぐ状態を保持する保持具と、
    保持具による保持状態を維持しながら、積層基板、液剤及び保持具を一体に移動させて前記真空より高い圧力下の別の場所に位置させる搬出機構とを備えていることを特徴とする基板間液剤注入装置。
  3. 前記保持具は、前記積層基板が載置される部材である基板受け具によって構成されており、
    前記基板受け具は、前記積層基板の周縁によって形成された開口を塞ぐよう液剤を溜める液溜めが、載置された前記積層基板の周縁とともに全周状に形成される形状を有していることを特徴とする請求項2記載の基板間液剤注入装置。
  4. 前記基板受け具は、水平な表面を有するベース部と、ベース部の周囲に延設した周辺部とから構成されており、周辺部はベース部に対して上方に突出していて周辺部の表面はベース部の表面の周縁から上方に延びており、この上方に延びた表面によって前記液剤の保持が行われることを特徴とする請求項3記載の基板間液剤注入装置。
  5. 前記基板受け具のうち液溜めを形成する部分の表面は、前記積層基板の基板間の隙間内の面に比べて液剤に対する濡れ性が低くなっていることを特徴とする請求項3又は4記載の基板間液剤注入装置。
  6. 前記基板受け具は、開口を有して前記積層基板との間の空間を塞がない形状であることを特徴とする請求項3乃至5いずれかに記載の基板間液剤注入装置。
  7. 前記液剤供給系は、前記液溜めの上方から液剤を放出して供給する液剤ディスペンサーを有することを特徴とする請求項3乃至6いずれかに記載の基板間液剤注入装置。
  8. 静止した前記液剤ディスペンサーに対して前記積層基板及び前記基板受け具を一体に回転させて前記液剤が前記液溜めに沿って供給されるようにする回転機構が設けられていることを特徴とする請求項7記載の基板間液剤注入装置。
  9. 前記隙間への前記液材の注入を行う際に、前記液剤が室温より高い温度となって前記液剤の粘性が下がっているよう加熱を行う予備加熱手段が設けられていることを特徴とする請求項2乃至8のいずれか1項に記載の基板間液剤注入装置。
  10. 前記隙間への前記液材の注入が完了した後、前記液剤を加熱して硬化させる加熱手段が設けられていることを特徴とする請求項2乃至9のいずれか1項に記載の基板間液剤注入装置。
  11. 前記積層基板、前記液剤及び前記基板受け具を前記真空より高い圧力下の別の場所に所定時間位置させることで前記隙間への液剤の注入が完了した後、前記液剤を加熱して硬化させる加熱手段を備えていることを特徴とする請求項3乃至いずれか1項に記載の基板間液剤注入装置。
  12. 前記隙間への前記液剤の注入が完了した後、前記基板受け具から積層基板を取り上げる取り上げ手段をさらに備え、
    前記加熱手段は、前記取り上げ手段が積層基板を取り上げた後に加熱を行うものであって、前記基板受け具を加熱せずに前記液剤を加熱するものであることを特徴とする請求項11記載の基板間液剤注入装置。
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