以下、本発明の実施の形態を図示例と共に説明する。
図1乃至図12は発明を実施する形態の一例であって、図中、図と同一の符号を付した部分は同一物を表わしており、基本的な構成は図に示す従来のものと同様であるが、本図示例の特徴とするところは、図1に示す如く、した点にある。
次に本発明の一実施形態を図1から図12を参照して説明する。
図1は本実施形態における画像記録装置1の外観斜視図、図2は画像記録装置1の断面図である。なお、以下の説明においては、上下方向については図2を基準とし、前後方向については図2の左側を前方とする。
本実施形態の画像記録装置1は、ファクシミリ機能、プリンタ機能、複写機能、スキャナ機能等を備えた複合機である。この画像記録装置1は、全体として略箱形のケーシング2を備えており、このケーシング2は上方視一辺がA4サイズの用紙の長手寸法よりも一回り大きな略正方形状をなしている。ケーシング2は、略箱形の装置本体3と、その上面に覆い付けられるカバー体4とに分割して構成されている。カバー体4は、装置本体3に対して開閉可能とされ、画像を読み取るための読み取りユニット5や操作パネル6等を備えている。
装置本体3には、幅方向の中央部に前方に開口した開口部8が設けられ、その開口部8の下部が用紙やOHP用シート等のシート状のシート材(図示せず)を積載する供給トレイ9を収納可能なトレイ収納部10とされている。開口部8の奥側(後側)には、トレイ収納部10の上方にシート材に画像を形成する記録手段11が配置されている。さらに、記録手段11の奥側には、外側弧状ガイド13と内側弧状ガイド14とが設けられ、両弧状ガイド13,14間にはトレイ収納部10内の供給トレイ9の先端と記録手段11の後端側とを接続するUターン状の搬送経路15が構成されている。また、記録手段11と供給トレイ9との間には、供給トレイ9のシート材を記録手段11へ供給する供給手段16が設けられている。この画像記録装置1においては、図2に矢印で示すように、供給トレイ9に積載されたシート材が、供給手段16によって搬送経路15に送られ、搬送経路15を通過して記録手段11に至り、その記録手段11において所定の画像を記録した後に、供給トレイ9の前部上面に排出されるようになっている。なお、装置本体3内には、供給手段16等を駆動する駆動手段(図示せず)や各部の動作を制御する制御回路(図示せず)等も設けられている。
次に各部の構成について詳細に説明する。
まず供給トレイ9について図3及び図4等を参照して説明する。なお、図3は、供給トレイ9の平面図であり、図4は、供給トレイ9と装置本体3側に設けられた供給手段16の斜視図である。供給トレイ9は、前述のトレイ収納部10から前方へ水平に引き出すことで装置本体3から取り外し可能とされており、取り外した状態からトレイ収納部10内に水平に挿入することで再び装置本体3内に収納可能となっている。供給トレイ9は、長方形の底板18を備えており、全体として上方から視た大きさが概ねA4サイズ大の薄皿状をなしている。底板18は、その上面にシート材を積載可能とされており、その上面のうち略後半領域が後側積載面19A、略前半領域が前側積載面19Bとされている。両積載面19A,19Bは、ともに後側、即ちシート材の供給方向の下流側が低くなるように傾斜しており、前側積載面19Bは後側積載面19Aよりもさらに傾斜角が大きくされている(図2参照)。
後側積載面19A上には、一対の側端部ガイド20R,20Lが左右に互いに間隔を隔てて設けられている。各側端部ガイド20R,20Lは、後側積載面19Aに沿い、かつ後側積載面19Aの後端よりもやや前方位置から後側積載面19Aの前端付近まで延びた底壁部21を備えている。各底壁部21における底板18の幅方向外側の端部からは、底壁部21と同じ長さで、かつ前後方向(即ちシート材の供給方向)に沿ったガイド壁22が垂直に立設されている。また、各底壁部21の底面からは、互いに他方の側端部ガイド20R,20Lに向かってリニアガイドバー23が延設されている。両リニアガイドバー23は、前後方向に所定間隔を隔てて並行に配置されるとともに、それぞれ底板18に左右方向に沿って設けられた溝部24内に嵌合されている。両側端部ガイド20R,20Lは、底壁部21を後側積載面19Aに摺接させるとともに、リニアガイドバー23を溝部24に沿って摺動させることで左右方向(即ちシート材の供給方向に直交する方向)に変位可能とされている。また、両リニアガイドバー23には、互いの対向部にラックギア25が形成されており、各ラックギア25はそれぞれ底板18における幅方向の中央位置に回転自在に設けられたピニオンギア26と噛み合っている。このように両側端部ガイド20R,20Lは、ラックギア25とピニオンギア26とを介して互いに連結されることで、常に両ガイド壁22から底板18の幅方向中央までの距離が等しくなるように、互いに連動するようになっている。なお、両側端部ガイド20R,20Lを最大幅まで拡げたとき(図3の状態)には、両ガイド壁22間の間隔がほぼA4サイズの短手寸法(幅寸法)に等しくなる。
また、両側端部ガイド20R,20Lにおけるガイド壁22の前端寄り上端部からは、互いに底壁部21の上方へ張出部28が延出して設けられている。各張出部28の後端にはストッパ29がほぼ垂直に立設されている。これらのストッパ29は、後述する排出ローラ99の下方に位置しており、排出されたシート材が張出部28上から後方へ移動するのを規制する。また、右側の側端部ガイド20Rの前部には、両側端部ガイド20R,20Lを所望の位置に位置決めするための位置調整部30が設けられている。この位置調整部30は、底壁部21、ガイド壁22及び張出部28の各面に沿った断面コの字形状をなす弾性片30Aを有しており、弾性片30Aに外力を加えない状態では弾性片30Aの下面に設けられた係止突起(図示せず)が、後側積載面19A上に左右方向に沿って設けられた凹凸状のずれ止め部30Bに係止することで、側端部ガイド20R,20Lが位置決めされる。また、弾性片30Aの上端に設けられた操作部30Cを摘むことで、弾性片30Aが撓み変形して前述の係止突起とずれ止め部30Bとの係合が解除され、両側端部ガイド20R,20Lを左右方向に変位できるようになる。
なお、後側積載面19Aにおける幅方向の中央には、起立及び倒伏可能な位置決めリブ31が前後一対設けられており、この位置決めリブ31を起立状態とすることで、後側積載面19Aの後端に設けられた後述のガイド板43との間に、はがきサイズやL判サイズ等のシート材を位置決めできるようになっている。
底板18上における前側積載面19Bに対応した領域の両側端位置には、それぞれ前後方向に沿った固定側壁部32が垂直に立設されている。これらの固定側壁部32は、両側端部ガイド20R,20Lを最大幅まで拡げたときに、各ガイド壁22とほぼ面一に連なるように配置されている。また、両固定側壁部32の上端部には、底板18上に積載されたシート材を上方から覆うことの可能なカバー部33が両固定側壁部32間を跨ぐように延設されている。このカバー部33は、両側端部に設けられた嵌合縁部34を各固定側壁部32の上端部に上方から嵌合させることで取り付けられており、両固定側壁部32に対して着脱可能とされている。また、カバー部33は、全体として前側積載面19Bと概ね並行となるように後下がりに傾斜している。カバー部33の上面には、その後縁部に沿って隆起部35が設けられており、前述した各側端部ガイド20R,20Lの張出部28の前端が概ね隆起部の高さと同程度の高さ位置となっている。同程度の高さとすることにより、排出されたシート材を一旦取り出し、一部を取り除き、再びカバー部33に戻すとき、カセット内に記録済みのシート材が挿入されないようにしている。さらに、カバー部33には、幅方向の中央部分に前方に開放する切欠部36が形成されている。この切欠部36に手を入れてL版など小さなシート材を排紙トレイ上から取り出すことができる。
補助支持部材39の前後方向の変位について以下詳述する。底面18における前側積載面19Bには、幅方向略中央に前方に開口した長方形の支持部材収容孔38が凹設されている。この支持部材収容孔38内に平面形状が同じく長方形の板状の補助支持部材39が収容され、収容された状態で前側積載面19Bと同一面とされる。補助支持部材39の前部略中央には、左右に細長い指掛け孔40が上下に貫通して設けられており、また支持部材収容孔38の底面にも指掛け孔40に対応した位置に第2指掛け孔41が設けられている。
図13(a)は、リーガルなどの長尺のシート材を収容する場合を示す断面図である。操作者は、補助支持部材39の指掛け孔40に指を掛け、補助支持部材39を支持部材収容孔38から前方へガイドレール(不図示)を介して引き出される。そして、支持部材収容孔38の先端に形成される係合片(不図示)と係合して引き出し状態で固定される。この状態で、補助支持部材39は、長尺のシート材、例えば、リーガルサイズのシート材が戴置される前側戴置面19Bの一部をなす。さらに、補助支持部材39の前方先端側には拡張トレイ39Bが回動して進退可能に配置される。この拡張トレイ39Bは、補助支持部材39を引き出した状態で、指掛け孔40の一側を枢支点として回動可能に構成され、拡張トレイ39Bが指掛け孔40の他側壁に当接するまで回動する。このとき、拡張トレイ39Bの先端は、図中仮想線で示したカバー部33を含む平面を交差して配置される。したがって、排出されたシート材の先端は、拡張トレイ39Bに支持され、カバー部33、屋根部28と協働して記録済みのシート材が略平行な状態で支持される。この補助支持部材39は、一方で供給トレイの一部をなすとともに、他方で補助支持部材39から延長される延長トレイ39Bがカバー部33、及び屋根部28と協働して排紙トレイをなしている。なお、この状態で排出ローラ99により排出される記録済みのシート材の先端は、長尺のシート材が戴置される補助支持部材39を越えて延長トレイ39Bに当接するだけカバー部33と前側戴置面19Bとの高さが確保されている。したがって、補助支持部材39は、給排紙トレイをなすとともに、排出される記録済みのシート材が積載される記録前のシート材に接触しないため、記録済みのシート材の積重性がよい。なお、補助支持部材39は前側積載面19Bと同一平面内をスライド可能としているが、これを斜め上方にスライド可能とし、カバー部33、又は屋根部を含む平面と交差して配置してもよい。
また、図13(b)は、補助支持部材39を収容した状態で、拡張トレイ39Bを回動させた状態を示している。例えば、A4サイズより小さいB5サイズのシート材ではその全部が前側積載面19B上に収容されるため、補助支持部材39上に記録前のシート材が積載されない。したがって、補助支持部材39は延長トレイ39Bを回動可能に支持させるために、補助支持部材39を引き出して延長トレイ39Bを回動させた状態で補助支持部材39を支持部材収容孔38に収容させる。小サイズのシート材が排出されたときもその先端を延長トレイ39Bで支持しうるため、シート材が下方に垂れ下がり落下することを防止できる。
底板18の後端部には、その全幅にわたってガイド板43が取り付けられている。このガイド板43は、その前面が上向きに傾斜しており、後述の供給手段16が底板18に積載された複数のシート材をガイド板43側に押し出すと、そのうち一のシート材が分離されるとともに、そのシート材の先端が上向きに案内されるようになっている。また、ガイド板43は、幅方向(左右方向)の中央部が前方に膨出するように若干湾曲しており、その中央部の膨出端に重なるように金属製の分離部材44が取り付けられている。この分離部材44は、上下に所定間隔で並んだ複数の歯部を有するとともに、各歯部の先端がわずかにガイド板43の前面から突出しており、供給手段16によって押し出された複数のシート材がこれらの歯部の先端に当接することで一のシート材が分離されるようになっている。さらに、ガイド板43の中央の膨出端には、分離部材44の幅方向の両側上端部に、回転自在な一対の供給補助ローラ45が設けられている。
右側の側端部ガイド20Rには、供給トレイ9を装置本体3に対して引き出し及び挿入する際に、供給ローラ52及びアーム部材53を揺動させるカム部60(本発明の「揺動手段」)が設けられている。カム部60は、側端部ガイド20Rにおけるガイド壁22の後部上端部に、底板18の底面からの高さが前後方向に沿って変化するように設けられており、図6に示すように、後下がりに傾斜した斜面60Aと、後上がりに傾斜した斜面60Bと、底板18の底面からの高さがほぼ一定の水平部60Cとが前方から後方へ順に連なることで形成されている。なお、水平部60Cはガイド壁22のほぼ後端まで形成されており、ガイド板43の上端部と同程度の高さを有している。
次にシート材の供給手段16について図2及び図5等を参照して説明する。なお、図5は、供給手段16の斜視図である。
装置本体3内には、供給トレイ9の後部上方位置に、左右方向に細長い箱形のフレーム47が設けられており、このフレーム47内に回転可能な支軸48が左右方向(シート材の供給方向と直交する方向)に延設され、供給手段16全体がこの支軸48によって支持されている。支軸48は、ほぼ供給トレイ9の幅方向の中央から右端にわたる範囲に配置されている。また、この支軸48における供給トレイ9の幅方向外側の端部、より詳細には底板18の側端よりやや外側の端部位置には大ギア49が取り付けられている。この大ギア49は図示しない駆動手段に連結されており、駆動手段の動力により支軸48が回転されるようになっている。また、支軸48のもう一方の端部には、支軸48とほぼ同径の小ギア50が取り付けられている。
支軸48における供給トレイ9の幅方向中央側の端部には、供給ローラ52を支持するアーム部材53が取り付けられている。アーム部材53は、支軸48から径方向外側へ延出し、かつ左右に離間して平行に配された一対の支持アーム54を備えている。両支持アーム54の先端(揺動端)の間には、供給ローラ52が挟まれて配置されるとともに、供給ローラ52の回転軸が支持アーム54に設けられた軸受け部55に支持されることで、供給ローラ52が左右方向を軸として回転可能に保持されている。また、両支持アーム54間には、支軸48の小ギア50と供給ローラ52の有するギア部52Aとを連結する4つの動力伝達ギア56(本発明の「動力伝達機構」に相当)が支持アーム54の延長方向に連なって組み込まれており、駆動手段によって支軸48が回転されると、その回転力が4つの動力伝達ギア56を介して供給ローラ52に伝達されるようになっている。なお、4つの動力伝達ギア56のうち小ギア50に直接噛み合った動力伝達ギア56Aはいわゆるワンウェイギアであって、支軸48側からの回転力を供給ローラ52側に伝達し、供給ローラ52側からの回転力は支軸48側に伝達しないように構成されている。
アーム部材53は、供給ローラ52の回転軸が支軸48よりも下がった後下がりの傾斜姿勢から、供給ローラ52の回転軸が支軸48の中心とほぼ同じ高さとなる水平姿勢まで揺動可能であり、アーム部材53が水平姿勢になったときには、アーム部材53及び供給ローラ52の大部分がフレーム47内に収容される。複数のシート材を積載した供給トレイ9がトレイ収納部10の正規の取付位置に装着されたときには、アーム部材53の揺動端が自重により下がって供給ローラ52が最上層のシート材の上面に載る。この状態から、供給ローラ52を図2の反時計回り方向に回転させることによって、シート材を後方に押し出し、そのシート材の先端側を前述したガイド板43に押し付けることで一のシート材を分離し、搬送経路15側に送るようになっている。なお、供給トレイ9の後側積載面19A上には、シート材のない状態で供給ローラ52に当接可能な位置にシート材に対する摩擦係数の大きいコルク板57が貼り付けられており、これにより供給トレイ9に積載されるシート材の最後の一枚を供給ローラ52により容易に送り出せるようにしている。
供給手段16には、供給トレイ9を装置本体3に対して引き出し及び挿入する際に、カム部60及びガイド板43と協働して、供給ローラ52及びアーム部材53を揺動させる従動部61が設けられている。この従動部61は、アーム部材53における支軸48側の支持アーム54の下端部から支軸48に沿って延出して一体的に設けられ、全体として支持アーム54の下端面とほぼ面一な板状をなしている。供給トレイ9が正規の取付位置に取り付けられた状態において、アーム部材53と反対側の従動部61の端部は、ほぼ供給トレイ9の側端位置まで延出しているので、従動部61は、側端部ガイド20Rの左右方向の位置に関わらず、そのガイド壁22の上方に位置するようになっている。また、従動部61の後縁部61Aは、やや上向きに折り曲げられており、支軸48の中心からこの後縁部61Aまでの距離は、支軸48の中心から供給ローラ52の回転軸までの距離の半分弱となっている。後に詳述するように、この従動部61は、供給トレイ9を引き出し及び挿入する際に、その下面がカム部60またはガイド板43に摺接することで上下に変位し、アーム部材53が揺動されるようになっている。
次に外側弧状ガイド13について図7から図12を参照して説明する。図7は、画像記録装置1の一部を拡大した断面図、図8は、外側弧状ガイド13を斜め後上方から見た斜視図、図9は外側弧状ガイド13を斜め前下方から見た斜視図、図10は外側弧状ガイド13の側面図、図11は外側弧状ガイド13を取り外した状態の画像記録装置1の一部を示す斜視図、図12は外側弧状ガイド13を取り付けた状態の画像記録装置1の一部を示す斜視図である。
外側弧状ガイド13は、記録手段11の後方、供給トレイ9の後端部の上方位置に取り付けられており、ケーシング2の後面に開口して設けられたガイド取付孔63を通して着脱可能とされている(図2を併せて参照)。外側弧状ガイド13の全体はケーシング2内に収容され、外側弧状ガイド13の後端部はケーシング2の後面とほぼ一致している。外側弧状ガイド13は、幅方向に長く略弧状に湾曲した本体部64を備えており、その本体部64にはシート材を案内する外側案内面65が搬送経路15に面して形成されている。この外側案内面65は、左右方向について供給トレイ9とほぼ同範囲にわたって形成されている。また、外側案内面65における上流側の端部は、ガイド板43の上端部に位置しており、外側案内面65の下流側の端部は、後述する記録手段11のシート材挿入口95を構成するレジストローラ93及び従動ローラ94の直前に位置している。外側案内面65は、上流側の端部付近ではほぼ垂直であり、そこから下流側に向かうにつれて、次第に前方に傾斜し、水平になった後に、前下がりに傾斜して下流側の端部に至るような略弧状をなしている。なお、外側案内面65のうち下流側の端部近傍は平坦面になっている。外側案内面65には、シート材を搬送する方向に沿った複数のリブ66が幅方向に所定間隔で並んで突出して設けられている。また、外側案内面65のうち下流側端部付近は、幅方向の中央部分が搬送経路15側へ張り出しており、そのため幅方向の中央側のリブ66Aは他の位置のリブ66に比べて搬送経路15側への張り出し寸法が大きくなっている。
本体部64には、外側案内面65における幅方向の中央部であって、張出部分よりも下流側に取付凹部67が凹設されており、その取付凹部67に湾曲した板状の抵抗低減部68が取り付けられている。外側弧状ガイド13は、本体部64及び抵抗低減部68を含めて全体が合成樹脂材からなり、抵抗低減部68は、シート材に対する摩擦抵抗が他の部分を構成する合成樹脂材よりも小さい合成樹脂材によって形成されている。具体的には、抵抗低減部68は、例えばポリアセタール樹脂(POM)等から形成され、他の部分は例えばポリスチレン樹脂(PS)等から形成される。抵抗低減部68の表面には、本体部64の外側案内面65に概ね倣った形状の案内面69が形成され、その案内面69には、本体部64における前述の張出部分に設けられたリブ66Aに連なって、シート材の搬送方向に沿った複数のリブ70が突出して設けられている。なお、抵抗低減部68のリブ70は、上流側端部付近の突出寸法が本体部64側のリブ66A上端部の突出寸法よりもやや小さくされている。これにより、成形誤差等に起因して抵抗低減部68側のリブ70の下端が本体部64側のリブ66Aよりも突出したために、下方から送られるシート材の先端が抵抗低減部68側のリブ70に引っ掛かるような事態が防止される。また、抵抗低減部68の案内面69には、下流側端部付近の幅方向中央位置に、後述するレジセンサ88の有する検知片90の先端を受け入れ可能な検知片受入孔71が凹設されている。この検知片受入孔71は、シート材の搬送方向に沿って細長く、その幅方向両側の開口縁部には他のリブ70とほぼ同じ張り出し寸法を有する検知補助リブ72が設けられている。
本体部64の両側端には、その上端部に前後方向に延びた側板部74が設けられている。この側板部74の前端位置は、外側案内面65における下流側の端部の位置とほぼ一致しており、さらにその側板部74の前端には前方へ突出した上下一対の係合爪76Aを有する位置決め係合部76が設けられている。この位置決め係合部76における一対の係合爪76A間には、後述するレジストローラ93の軸支部93Aを嵌合可能となっている。
また、各側板部74には、その外側面に位置決め係合部76の係合爪76A間から後方へ延びたガイド溝77が形成されている。一方、装置本体3には、外側弧状ガイド13の両側位置に一対の側壁78が設けられており(図11参照、なお同図においては手前側の側壁78は示されていないが、奥側のものと概ね対称的な構成である)、各側壁78にはそれぞれガイド溝77に係合可能なガイド突起79が設けられている。このガイド突起79とガイド溝77とは、外側弧状ガイド13を装置本体3に対して取り付ける際に、外側弧状ガイド13を正規の取付位置に案内する機能を有している。なお、ガイド溝77は、終端部を除く部分の溝幅がガイド突起79の外径に比べてやや大きくされ、終端部の溝幅はガイド突起79が緊密に嵌まるように溝幅が縮小している。
また、各側板部74の後端には、ロック部80が後方に延出して設けられている。このロック部80は、左右方向に撓み変形可能とされるとともに、その先端部が外側方に張り出しており、この先端部を各側壁78に凹設された被係止部81に係合させることで、外側弧状ガイド13が正規の取付位置にロックされるようになっている。また、各ロック部80の先端部からは、外側弧状ガイド13の幅方向の内側へ向けてコの字状に湾曲した解除操作部82が延出して形成されており、この解除操作部82によりロック部80を被係止部81に対する係合を解除する方向に変位操作できるようにされている。また、本体部64の後面には、板状の把持部83が左右一対後方へ延出して設けられており、各把持部83の先端部が解除操作部82の先端と所定間隔を隔てて対向するように配置されている。この把持部83を解除操作部82と同時に摘むことで、外側弧状ガイド13の着脱を行うことができるようになっている。
内側弧状ガイド14は、装置本体3内に外側弧状ガイド13に対して間隔を隔てて配置されており、外側弧状ガイド13に対向する面が内側案内面85となっている。内側案内面85は、上流側(後側)が外側弧状ガイド13の外側案内面65よりも曲率の大きな凸状の弧状面となっており、下流側(前側)がほぼ水平な平坦面になっている。内側案内面85における上流側端部(下端部)は、外側案内面65の上流側端部よりも上方に位置しており、その幅方向の中央には左右一対の供給補助ローラ86が回転自在に取り付けられている。また、内側案内面85には、シート材の搬送方向に沿った複数のリブ87が前側と後側とに分かれて、かつ幅方向に所定間隔で並んで突出して設けられている。
この内側弧状ガイド14の内側案内面85と外側弧状ガイド13の外側案内面65との間には、前述のようにUターン状の搬送経路15が構成されている。両弧状ガイド13,14の案内面65,85間の間隔は、概ね上流側(搬送経路15の入口側)が大きく、下流側へ行くに従って徐々に小さくなっている。そして、その案内面65,85間の間隔は、下流側端部の近傍を除いて、シート材の厚みに比べて十分大きくされており、搬送経路15内のシート材の厚さ方向の変位を許容するようになっている。また、下流側端部の近傍では、案内面65,85間の間隔、厳密には両案内面65,85のリブ66,87の先端位置の間隔は比較的小さくされており、搬送経路15から抜け出たシート材の先端部がレジストローラ93及び従動ローラ94の構成するシート材挿入口95に対して正確に位置決めされるようになっている。このように、供給ローラ52からレジストローラ93に至るまでのシート材の搬送路中には、ピンチローラのようにシート材を緊密に挟んで搬送する手段は設けられていない。
内側弧状ガイド14の下側(内側案内面85の反対面側)には、幅方向の中央位置に、シート材の先端及び後端を検知するためのレジセンサ88が設けられている。このレジセンサ88は、左右方向に延びた取付軸89周りに回動可能な検知片90を備えており、この検知片90はバネ部材(図示せず)によって図7の時計回り方向に付勢されている。また、内側弧状ガイド14の上面における幅方向中央には貫通孔91が設けられ、そこから検知片90の先端部が搬送経路15内へ突出しており、その検知片90の先端部が搬送経路15内においてシート材に干渉しない場合には、外側弧状ガイド13の検知片受入孔71内に受け入れられる(非干渉位置という、図7の実線参照)。また、検知片90の先端部がシート材に干渉した場合には、検知片90は下側に退避する(干渉位置という、図7の二点鎖線参照)。また、レジセンサ88は、検知片90の位置を検出するフォトインタラプタ(図示せず)を備えている。
次に記録手段11について図2、図7及び図11等を参照して説明する。記録手段11の上流側端部(後端)には、レジストローラ93が左右方向に延びて設けられている。レジストローラ93の両端部に装置本体3側に固着された軸支部93Aが設けられ、両軸支部93A間に駆動手段からの動力により回転可能な回転部93Bが設けられている。またレジストローラ93の回転部93Bの下方には、レジストローラ93に従動して回転可能な複数の従動ローラ94が設けられている。レジストローラ93及び従動ローラ94の間には、シート材挿入口95が構成されており、前述した搬送経路15の下流側端部がこのシート材挿入口95に接続されている。
記録手段11には、従動ローラ94の下流側(前側)にシート材を下側から支持するプラテン96が設けられている。また、記録手段11の上部には、記録ヘッド97を搭載したキャリッジ98が設けられ、このキャリッジ98がプラテン96の上方を左右方向に沿って移動するとともに、記録ヘッド97がプラテン96上のシート材に対してインクを吐出して画像を記録するようになっている。また、プラテン96の下流側には、左右方向に延びた排出ローラ99が設けられている。この排出ローラ99は、レジストローラ93と連動して回転駆動されることで記録ヘッド97により画像が記録されたシート材を前述した供給トレイ9上に排出する。
以上が本実施形態の構成であり、次にその作用を説明する。
装置本体3内に収納された供給トレイ9にシート材を積載させる場合には、まず供給トレイ9をトレイ収納部10から前方に引き出す。このとき、支持部材収納孔38内に収納された補助支持部材39の指掛け孔40と底板18の第2指掛け孔41とに指を掛けて手前に引くようにすることで、供給トレイ9を容易に引き出すことができる。
ここで、予めシート材が積載された状態の供給トレイ9を引き出す場合には、シート材をその上面に載った供給ローラ52の下側から抜き出す必要がある。仮に供給トレイ9の後側積載面19Aが水平面であった場合には、供給トレイ9を引き出すと共にシート材が供給ローラ52に引っ掛かってしまうおそれがある。これに対し本実施形態では、供給トレイ9の後側積載面19Aがシート材の供給方向の下流側(後側)が低くなるように傾斜しているため、供給トレイ9を引き出す際には、シート材が上面に載った供給ローラ52に対して下方へ離間するように引き出される。従って、シート材が供給ローラ52に引っ掛かりにくくなり、供給トレイ9を円滑に引き出すことができる。
次に供給トレイ9を引き出す際の供給手段16の動作について説明する。供給トレイ9が正規の取付位置にあるときには、供給ローラ52がシート材の上面または底板18の後側積載面19Aに当接した状態であり、従動部61はカム部60の斜面60Aの上方に離間した位置にある(図6(A)参照)。この状態から供給トレイ9が前方に引き出されると、従動部61の後縁部61Aがカム部60の斜面60Bに当接して、この斜面60Bに摺接しつつ上昇し、これに伴ってアーム部材53が同図の反時計回り方向に揺動し、供給ローラ52が持ち上げられる(図6(B)参照)。供給トレイ9がさらに前方に引き出されると、従動部61の後縁部61Aがカム部60の斜面60Bを越え、続いて従動部61が水平部60Cの上面に乗り上げて、アーム部材53がほぼ水平姿勢になる(図6(C)参照)。そして、供給ローラ52がガイド板43の上端部に当接して、ガイド板43との摩擦により回転しつつガイド板43を乗り越える。供給ローラ52がガイド板43を越えると、ガイド板43の上端部がアーム部材53の下面に当接して、アーム部材53に対して摺接しつつ支軸48側へ移動する(図6(D)参照)。そして、ガイド板43の上端部がアーム部材53の下面から前方へ抜け出ると、供給ローラ52が自重によって下降する(図6(E)参照)。
このように供給トレイ9を着脱する際に供給ローラ52を持ち上げるためのカム部60を側端部ガイド20Rに設けたため、供給トレイ9の側壁部を省略でき、その分供給トレイ9の幅寸法を小さくして装置の小型化を図ることが可能になる。
また、供給トレイ9には、変位可能な側端部ガイド20R,20Lだけではなく、その前側に固定側壁部32が設けられているため、手に保持し易い。また固定側壁部32は、側端部ガイド20Rとほぼ面一に連なる位置に設けられているため、供給トレイ9の幅寸法が大きくならない。
こうして、供給トレイ9を装置本体3から取り外したら、使用するシート材を積載面19A,19B上に重ねて載置する。A4サイズやB5サイズ等のシート材を使用する場合は、そのシート材を供給トレイ9の前方からカバー部33の下側を通して奥側のガイド板43に当接する位置まで差し入れる。このとき、カバー部33には切欠部36が設けられているため、A4サイズより小さい大きさのシート材(例えばB5サイズ)でも奥まで容易に差し入れることができる。また、B5サイズよりも小さいはがきサイズやL判サイズ等のシート材を使用する場合には、対応する位置決めリブ31を立ててその位置決めリブ31とガイド板43との間にそのシート材を載置するようにする。
続いて、シート材の両側端がそれぞれガイド壁22に一致していない場合には、両側端部ガイド20R,20Lの位置を左右方向に調整して、ガイド壁22をシート材の両側端に一致させる。このとき、右側の側端部ガイド20Rを幅方向に変位させれば、左側の側端部ガイド20Lも連動するため、位置合わせの作業性が良い。こうして両ガイド壁22をシート材の両側端位置に合わせると、シート材が供給トレイ9における幅方向中央に位置決めされる。
次に、シート材を積載した供給トレイ9を装置本体3に収納する。供給トレイ9を装置本体3の前方からトレイ収納部10内へ水平に挿入すると、まずガイド板43の上端部が従動部61及びアーム部材53に当接し、従動部61及びアーム部材53がガイド板43に乗り上げて、供給ローラ52が上昇するとともに、アーム部材53がほぼ水平姿勢になるまで揺動する(図6(D)参照)。この状態から供給トレイ9がさらに奥側へ押し込まれると、従動部61がカム部60の水平部60Cに乗り上げ、続いて供給ローラ52がガイド板43の上端部に当接してこれを乗り越える(図6(C)参照)。そして、従動部61の後縁部61Aがカム部60の斜面60Bを下るとともに供給ローラ52が下降し(図6(B)参照)、供給ローラ52は積載面19A,19B上に積載されたシート材の上面に当接し、従動部61はカム部60から浮き上がる。ここで、供給トレイ9におけるシート材の後側積載面19Aがシート材の供給方向の下流側(後端側)が低くなるように傾斜しているため、シート材が供給ローラ52を下方から押し上げるようにして供給ローラ52の下方に差し込まれる。そのため、シート材の積載面が水平である場合に比べて、シート材が供給ローラ52に引っ掛かりにくくなり、シート材の位置ずれが生じることを防ぐことができる。供給トレイ9が正規の取付位置(図6(A)に示す位置)まで挿入されると供給トレイ9の取り付けが完了する。
次にシート材に対して画像を記録する際の動作について説明する。
まず駆動手段からの動力により大ギア49が回転駆動され、その回転が動力伝達ギア56を介して供給ローラ52に伝達される。これにより、供給ローラ52が図7の反時計回り方向に回転すると、積載面19A,19B上のシート材が後方へ押し出されてガイド板43に押し当てられる。ここで、ガイド板43は中央部分が前方側に膨出しているため、ガイド板43に押し付けられたシート材の先端部が、中央部が若干高くなるような湾曲姿勢を取りつつ、上向きに案内される。そして、シート材の先端中央部が、ガイド板43の膨出端に設けられた分離部材44の歯部に当接して、最上層の一枚が分離される。こうして、上向きに案内されたシート材はガイド板43の上端部における分離部材44の幅方向の両側に設けられた供給補助ローラ45に当接しつつ、その上方の搬送経路15側に送られる。
ガイド板43から上向きに送り出されたシート材の先端部は、外側弧状ガイド13の外側案内面65における上流側端部付近に当接する。ここで、外側弧状ガイド13の上流側端部付近においては、複数のリブ66のうち幅方向の中央側のリブ66Aが搬送経路15側への張り出し寸法が大きくなるようにされているため、ガイド板43により湾曲姿勢となったシート材の先端部における幅方向中央部がリブ66Aに当接し、幅方向両端部は後方に逃がされる。従って、シート材の先端部と外側弧状ガイド13との当接によって、シート材の幅方向中央部がガイド板43から浮き上がることが防止されるため、シート材と供給補助ローラ45との接触を保つことができる。
こうして、搬送経路15内に送り出されたシート材の先端部は主として外側案内面65の中央側のリブ66Aに摺接しつつ上方へ案内される。続いて、シート材の先端部の中央部が抵抗低減部68のリブ70に当接する。シート材の先端部の中央部が抵抗低減部68のリブ70に摺接しつつ下流側へ案内されるとともに、幅方向両端部も外側案内面65のリブ66に摺接して、徐々にシート材の先端部の姿勢が真っ直ぐに矯正され、シート材の先端部が前方へ向けて案内される。
このように、外側弧状ガイド13の幅方向中央にはシート材に対する摩擦抵抗が小さい抵抗低減部68が設けられているため、シート材が搬送路上で引っ掛かることなく円滑に下流側へ案内される。なお、外側弧状ガイド全体をシート材に対する摩擦抵抗の小さい樹脂によって形成した場合には、成形精度が出しにくかったり、コスト高になることがある。しかし、本実施形態では、特にシート材の接触圧の大きい中央部分に接触抵抗の小さい樹脂部材を用いることで、シート材に対する摩擦抵抗を低減しつつ、成形精度の低下やコスト高を回避することができる。
シート材の先端部が搬送経路15内に突出したレジセンサ88の検知片90に当接すると、検知片90はシート材に押圧されて下方(干渉位置、図7の二点鎖線参照)に押し込まれ、これによりシート材の先端が検知片90の位置まで到達したことが検出される。ここで、検知部受入孔71の幅方向両側の開口縁部には、検知補助リブ72が突出して設けられているため、検知片90の付勢力によって押圧されたシート材が検知片90の反対側から一対の検知補助リブ72により支持され、もってシート材が検知部受入孔71の内側に凹むことが防止される。これにより、検知片90の干渉位置と非干渉位置との間の変位量を十分に確保することができるため、シート材の検出の正確性を高めることができる。
検知片90との当接位置を通過したシート材の先端部は、搬送経路15から出てレジストローラ93と従動ローラ94との間のシート材挿入口95に到達する。ここで、外側弧状ガイド13における外側案内面65の下流側端部付近は平坦面となっているため、シート材の先端部が正確にシート材挿入口95に向かう。
レジストローラ93は、レジセンサ88によりシート材の先端を検出した時点では、逆方向(図7の反時計回り方向)に回転駆動され、所定時間後に正方向(図7の時計回り方向)に回転駆動されるように制御されている。シート材の先端部が両ローラ93,94間のシート材挿入口95に到達した時点では、レジストローラ93が逆方向に回転しているため、両ローラ93,94間には進入できず、ここでシート材の傾きが矯正される。
そして、所定のタイミングでレジストローラ93が正方向に回転すると、シート材の先端部が両ローラ93,94間に噛まれて、シート材が前方へ引っ張られる。ここで、シート材が比較的柔軟性の高い材質のもの(例えば薄手の印刷用紙、OHP用シート等)であった場合には、シート材の先端部が前方に引っ張られると、外側弧状ガイド13のリブ66,70に沿った姿勢であったシート材が、例えば図7にP1で示すように、内側弧状ガイド14側へ変位して内側案内面85に沿った姿勢となる。そして、この状態からレジストローラ93が回転されると、シート材P1は、供給補助ローラ86により下流側に送られるとともに、内側案内面85のリブ87に摺接しつつシート材挿入口95内に引き込まれる。
また、シート材が比較的柔軟性の低い材質のもの(例えば厚紙、はがき等)であった場合には、シート材の先端部がレジストローラ93により前方に引っ張られると、そのシート材が内側弧状ガイド14側に変位するが、内側案内面85に沿う姿勢まで至らずに、例えば図7にP2で示すように、前述のシート材P1の場合よりも外側弧状ガイド13寄りの位置に変位する。即ち柔軟性の低い材質のシート材P2は、搬送経路15内において、柔軟性の高い材質のシート材P1の場合に比べて、曲がりの少なくなるような姿勢をとる。そして、この状態からレジストローラ93が回転されると、シート材P2は、搬送経路15内でレジストローラ93からの引張り力やシート材P2の柔軟性等の諸条件に応じて自由な姿勢を取りつつ、シート材挿入口95内に引き込まれる。
ここで、仮にシート材が搬送路上で常に一定の姿勢(曲がり具合)で搬送される構成としたときには、シート材に対してレジストローラ、供給ローラ等の搬送手段から引張り力や押出し力がかかった場合に、シート材の材質によってはシート材が無理に曲げられることになり、搬送手段に負荷がかかることがある。これに対し、本実施形態では、外側弧状ガイド13と内側弧状ガイド14との間にシート材の厚み方向の変位を許容する搬送経路15を設けたため、シート材の姿勢に自由度があり、従って搬送手段にかかる負荷を軽減でき、ピンチローラ等を使用しなくても円滑な搬送が可能になる。これにより、装置の構造が簡略化され、小型化やコストダウンを図ることができる。
こうして、シート材挿入口95を通過したシート材がレジストローラ93の回転によりプラテン96上に送り出されると、記録ヘッド97によりプラテン96上のシート材に所定の画像が記録される。そして、プラテン96上を通過したシート材は排出ローラ99により前方へ搬送され、供給トレイ9の張出部28及びカバー部33の上面に排出される。このように供給トレイ9が記録手段11から排出されたシート材を受ける排出トレイを兼ねているため、装置全体がコンパクトになっている。また、カバー部33及び張出部28は、後側が低くなるように傾斜しているため、それらの上面に排出されたシート材が前方に落下することが防止される。
また、A4サイズ等のカバー部33及び張出部28の長さ寸法よりも大きなシート材に画像を記録する際には、予め補助支持部材39を前方に引き出しておくことで、カバー部33の前端から垂れたシート材の端部を補助支持部材39によって支持させることができ、シート材が前方に落下することが防止される。なお、この補助支持部材39は、使用しない場合には、支持部材収納孔38内に収納しておけるので、邪魔にならない。
さらに、排出されたシート材がカバー部33の前端からはみ出ないような大きさであった場合には、カバー部33に設けた切欠部36を利用してシート材の端部を上下から摘むことで、供給トレイ9を装置本体3から引き出すことなく、容易にシート材を取り出すことができる。
次にジャム(紙詰まり)処理等の際に外側弧状ガイド13を装置本体3に対して着脱する手順について説明する。外側弧状ガイド13を取り外すには、まずガイド取付孔63より、外側弧状ガイド13の外面(後面)に設けられた左右の解除操作部82及び把持部83をそれぞれ同時に指で摘み、解除操作部82を把持部83側に押し付ける。すると、ロック部80が幅方向の内側に撓んで被係止部81に対する係合が解除されるため、解除操作部82及び把持部83をそのまま摘みつつ後方に引く。これにより、位置決め係合部76のレジストローラ93の軸支部93Aに対する係合が解除され、その状態から外側弧状ガイド13をさらに引くことで、ガイド突起79がガイド溝77から離脱して、外側弧状ガイド13を外部に取り外すことができる。こうして外側弧状ガイド13を装置本体3から取り外すと、搬送経路15の片面が開放される。なお搬送経路15には、ピンチローラなど、シート材を緊密に挟む部材が設けられていないので、詰まったシート材の除去作業を簡単に行うことができる。
取り外した外側弧状ガイド13を再び装置本体3に装着する場合には、左右の解除操作部82及び把持部83をそれぞれ同時に指で摘み、解除操作部82を把持部83側に押し付けつつ、外側弧状ガイド13を後方からガイド取付孔63内へ挿入する。すると、ガイド突起79がガイド溝77内に係合して外側弧状ガイド13が案内されるため、外側弧状ガイド13が傾くことが防止される。外側弧状ガイド13が正規の取付位置に接近すると、レジストローラ93の軸支部93Aが各位置決め係合部76の有する一対の両係合爪76Aを外側に若干撓み変形させつつ両係合爪76A間に進入して嵌合状態となる。そして、解除操作部82及び把持部83から指を離すと、解除操作部82が復元変形すると共に、ロック部80が被係止部81に係合して、外側弧状ガイド13が正規の取付位置にロックされる。
このように、解除操作部82を把持部83と同時に摘むことにより、ロック部80の係合解除操作と外側弧状ガイド13の着脱とを同時に行うことができるため、作業性が良い。
また、外側弧状ガイド13の位置決め係合部76をレジストローラ93の回転軸に嵌合することができるため、外側弧状ガイド13のレジストローラ93に対する位置決め精度を高めることができる。従って、シート材の先端をレジストローラ93に噛まれる位置へ正確に案内することができる。
以上のように本実施形態によれば、供給トレイ9を引き出し及び挿入する際に供給ローラ52を持ち上げるためのカム部60(揺動手段)を側端部ガイド20Rに設けたため、供給トレイ9の側壁部を省略でき、その分供給トレイ9の幅寸法を小さくして装置の小型化を図ることが可能になる。
また、シート材が積載された供給トレイを引き出す場合には、シート材をその上面に載った供給ローラの下側から抜き出す必要があり、仮に供給トレイの積載面が水平面であった場合には、供給トレイを引き出すと共にシート材が供給ローラに引っ掛かってしまうおそれがある。これに対し本実施形態では、供給トレイ9の後側積載面19Aがシート材の供給方向の下流側(後側)が低くなるように傾斜しているため、供給トレイ9を引き出す際には、シート材が上面に載った供給ローラ52に対して下方へ離間するように引き出される。従って、シート材が供給ローラ52に引っ掛かりにくくなり、供給トレイ9を円滑に引き出すことができる。
また、アーム部材53が供給ローラ52を支持する一対の支持アーム54を備え、その支持アーム54間に支軸48からの駆動を供給ローラ52に伝達する動力伝達ギア56が組み込まれているため、アーム部材53の構成をコンパクトにすることができる。
また、一対の側端部ガイド20R,20Lがリニアガイドバー23及びピニオンギア26を介して連動するため、位置合わせの作業性が良い。
また、供給トレイ9の奥壁がガイド板43になっているため、供給ローラ52により押し出されたシート材の先端がこのガイド板43により上向きに案内されて記録手段11側へ供給される。
また、ガイド板43のうち膨出した中央部分に分離部材44が設けられているため、シート材が確実に分離部材44に当接して分離される。
また、分離部材44の両側に供給補助ローラ45が設けられているため、分離部材44により分離されたシート材が供給補助ローラ45に当接して円滑に搬送される。
また、供給トレイ9には、変位可能な側端部ガイド20R,20Lだけではなく、その前側に固定側壁部32が設けられているため、手に保持し易い。また固定側壁部は、側端部ガイドとほぼ面一に連なる位置に設けられているため、供給トレイの幅寸法が大きくならない。
また、供給トレイ9にカバー部33を設けて、供給トレイ9が排出されたシート材を受けるトレイを兼ねる構成としたため、画像記録装置1全体がコンパクトになる。
また、カバー部33の幅方向の中央に切欠部36が形成されているため、排出されたシート材を摘み出し易い。
また、補助支持部材39を引き出すことで、排出されたシート材が落下しないように支持することができる。また、補助支持部材39は不要なときは押し込んでおけるので、邪魔にならない。<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。(1)上記実施形態では、装置本体に対して供給トレイを着脱可能としたものを例示したが、本発明は、装置本体から引き出すことは可能であるものの、装置本体から取り外すことはできない供給トレイにも適用することができる。即ち、シート材を補充するために、供給トレイの大部分を装置本体から引き出し、シート材を供給トレイに補充した後に再び供給トレイを装置本体に挿入することができるものであれば、本発明を適用することができるのである。従って、装置本体に対して引き出し及び挿入可能な供給トレイとは、装置本体に対して着脱可能な供給トレイのみならず、着脱不能な供給トレイをも含むものである。