JP4411623B2 - レジスト剥離剤組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体集積回路、液晶パネルの半導体素子回路等の製造に用いられるレジスト剥離剤組成物に関する。さらに詳しくは、半導体基板上又は液晶ガラス基板上に配線を形成するときに生成するレジスト残渣の除去性能と基板上のアルミニウム防食性能との双方に優れたレジスト剥離剤組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
レジスト剥離剤組成物は、半導体集積回路、液晶パネルの半導体素子回路等の製造に用いられるフォトレジストを剥離する際に用いられる。半導体素子回路又は付随する電極部の製造は、以下のように行われる。まず、シリコン、ガラス等の基板上に金属膜をCVDやスパッタ等の方法で積層させる。その上面にフォトレジストを膜付けし、それを露光、現像等の処理でパターン形成する。パターン形成されたフォトレジストをマスクとして金属膜をエッチングする。その後、不要となったフォトレジストを剥離剤組成物を用いて剥離・除去した後、洗浄液で洗浄する。これらの操作を繰り返すことにより素子の形成が行われる。
【0003】
従来、レジスト剥離剤組成物としては、アミン類と有機溶剤を主成分とする剥離剤組成物が用いられている。通常、これらの剥離剤組成物を使用する場合は、高温で長時間処理を要する。
【0004】
一方、フッ化水素酸などのフッ素化合物が半導体基板製造工程又は液晶用ガラス基板製造工程における配線形成時に生成するレジスト残渣除去に有効であることが知られている。例えば、フッ化水素酸、水溶性有機溶媒、並びに、芳香族ヒドロキシ化合物、アセチレンアルコール、カルボキシル基含有有機化合物、その無水物及びトリアゾール化合物から選ばれる少なくとも1種の防食剤を含有するレジスト剥離液組成物が知られている(例えば、特許文献1参照。)。また、フッ化水素酸と金属を含まない塩基との塩、水溶性有機溶媒及び水からなり、かつ水素イオン濃度(pH)が5〜8であるレジスト用剥離液組成物も知られている(例えば、特許文献2参照。)。
【0005】
また、半導体装置製造工程において生成する保護堆積膜を、第四級アンモニウム塩とフッ素化合物を含有する水溶液、又は、第四級アンモニウム塩とフッ素化合物に、アミド類、ラクトン類、ニトリル類、アルコール類、エステル類から選ばれた有機溶媒を含有する水溶液、からなる半導体装置洗浄剤を用いて剥離する技術も知られている(例えば、特許文献3参照。)。また、特定の有機カルボン酸アンモニウム塩又は有機カルボン酸アミン塩、及びフッ素化合物を含有する水溶液からなるレジスト用剥離液も知られている(例えば、特許文献4参照。)。さらには、フッ素化合物及びベタイン化合物と、アミド類、ラクトン類、アルコール類から選ばれた1種以上の有機溶剤を含む半導体装置用洗浄剤が知られている(例えば、特許文献5参照。)。
【0006】
ところで、レジスト剥離剤組成物にあっては、レジスト残渣除去性に優れており、かつ、基板上に形成されたアルミニウム又はアルミニウム合金等の金属膜の腐食が良好に防止できることが要求される。しかし、上記の各種レジスト剥離剤組成物を用いても、レジスト残渣除去性とアルミニウム等の金属膜の防食性の両方を満足させることが出来ない。特に、上記組成物のうち、フッ素化合物を含有する剥離剤組成物は、アルミニウムもしくはアルミニウム合金の金属膜に対して、剥離工程中での腐食に加えて、剥離処理後の水洗工程における腐食も問題となっている。この水洗工程での腐食は、剥離処理後に基板に残存する剥離液が水により希釈され、腐食性を促進しているものと考えられる。従って、剥離工程中のみならず、剥離処理後の水洗工程においてもアルミニウムもしくはアルミニウム合金等の金属膜腐食を良好に抑制でき、かつ高いレジスト残渣除去性を兼ね備えた剥離剤組成物が望まれている。
【0007】
【特許文献1】
特許第3255551号公報
【特許文献2】
特許第3255623号公報
【特許文献3】
特開平7−201794号公報
【特許文献4】
特開平7−271056号公報
【特許文献5】
特開平9−62013号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上述の現状に鑑み、本発明の目的は、配線形成時に生成するレジスト残渣を高性能で除去すると同時に、剥離処理後の水洗工程における基板上のアルミニウム又はアルミニウム合金等の金属膜の腐食を良好に防止することができるレジスト剥離剤組成物を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者は上記課題を解決するため種々の実験を重ねた結果、フッ素化合物と水と水溶性有機溶剤とを含有する剥離剤組成物において、特定の窒素含有環状化合物を含有させることで、レジスト残渣物を高性能で除去できると共に、アルミニウム配線の防食性も得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0010】
従って、本発明は、下記(A)一般式(2)で示される化合物のうちの少なくとも1種の化合物、(B)フッ化水素酸及びフッ化アンモニウムからなる群から選択される少なくとも1種のフッ素化合物、(C)水、及び(D)水溶性有機溶剤を含有するレジスト剥離剤組成物(以下、本発明の組成物ともいう)である。
【0011】
【化2】
【0012】
(R 5 〜R 8 は、それぞれ同一または異なって、水素、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシル基、炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基、アルデヒド基、ヒドロキシル基、フェニル基、炭素数2〜4のアルケニル基、アミド基、炭素数1〜3のアミノアルキル基、ハロゲン、又は、置換基を有していてもよい炭素数7〜9のアラルキル基を表す。)
【0013】
本発明の他の態様において、一般式(2)で示される化合物は、ピラゾールである。
本発明のさらに別の態様において、フッ素化合物(B)は、フッ化アンモニウムである。
以下、本発明を詳細に説明する。
【0014】
【発明の実施の形態】
一般式(2)で表される化合物としては、例えば、ピラゾール、3,5−ジメチルピラゾールなどが挙げられる。
【0015】
これらは1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0016】
一般式(2)で表される化合物としては、これらのうち、ピラゾールが好ましい。
【0017】
本発明においては、成分(A)として、上記一般式(2)で表される化合物のいずれか1種若しくは2種以上であってもよく、又は、これらの任意の組み合わせであってもよい。
【0018】
成分(A)の含有量は、本発明の組成物中、アルミニウム又はアルミニウム合金に対する防食効果の観点から、0.001重量%以上が好ましく、経済性の観点及び効果の観点から10重量%以下が好ましい。より好ましくは0.1〜5重量%である。
【0019】
フッ素化合物(B)としては、例えば、フッ化アンモニウム、フッ化水素酸などが挙げられる。これらは1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらのうち、フッ化アンモニウムが好ましい。
【0020】
フッ素化合物(B)の含有量は、本発明の組成物中、0.001〜5重量%が好ましい。より好ましくは0.1〜2重量%、さらに好ましくは0.1〜1重量%である。フッ素化合物の含有量が0.001重量%未満の場合は、レジスト残渣除去性が低下する傾向にある。他方、5量量%を超える場合は、アルミニウムやシリコン酸化膜に対する腐食性が増す傾向にある。
【0021】
(C)成分である水の含有量は、本発明の組成物中、5〜50重量%が好ましく、より好ましくは15〜40重量%である。(C)成分である水の含有量が5重量%未満の場合は、フッ化アンモニウムが析出する場合がある。他方、50量量%を超える場合は、アルミニウムに対する腐食性が増す傾向がある。
【0022】
水溶性有機溶剤(D)としては特に限定されず、例えば、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルなどが単独で、または組み合わせて用いられる。レジスト残渣の除去性および金属防食性の面からN,N−ジメチルアセトアミドが好ましく用いられる。
【0023】
水溶性有機溶剤(D)は、残部添加される。
【0024】
本発明のレジスト剥離剤組成物には、本発明の目的を阻害しない範囲で、上記成分(A)〜(D)以外に他の添加剤を含有することができる。これらの添加剤としては、無機酸や有機酸等の酸や、有機アンモニウム塩等が挙げられる。
上記添加剤の添加量としては、本発明の組成物中、0.1〜10重量%が好ましい。
【0025】
上記成分(A)〜(D)を含む本発明のレジスト剥離剤組成物は、半導体基板上または液晶用ガラス基板上に配線を形成する際に生成するレジスト残渣を剥離・除去して配線を形成することができ、半導体集積回路、液晶パネルの半導体素子回路等の製造に好適に使用することができる。
【0026】
本発明のレジスト剥離剤組成物の使用方法の一例について説明する。半導体基板上又は液晶用ガラス基板上に金属薄膜をCVDやスパッタ等により形成させる。その上面にフォトレジストを膜付けした後、露光、現像等の処理でパターン形成する。パターン形成されたフォトレジストをマスクとして金属薄膜をエッチングする。その後、アッシングによりレジストを灰化する。最後に灰化したレジスト残渣を本発明のレジスト剥離剤組成物を用いて剥離・除去して配線等が形成された半導体素子が製造される。
【0027】
【実施例】
以下に実施例を示して、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0028】
実施例1、2、参考例1〜8、比較例1〜10
シリコン酸化膜上にTi、さらにその上にTiN、さらにその上にAl-Cuを膜付けした基板を、パターニングされたレジストをマスクとしてCl2とBCl3を用いてドライエッチングし、続いて酸素プラズマアッシングした時に配線側壁又は上部に生成するレジスト残渣を剥離対象物とした。表1に示す剥離剤組成物の中に上述の対象物を24℃で5分浸漬した後、24℃の純水中に1分浸漬、さらに新たな24℃の純水中に1分浸漬後、24℃の純水シャワーにて1分水洗し、最後に窒素ガスで乾燥させた。走査電子顕微鏡(SEM)にて剥離性(残渣除去性の程度)及びアルミニウムの腐食の程度を観察し、比較を行った。結果を表1に示す。なお、表1の剥離性において、○は「残渣なし」、△は「残渣が残っている」、×は「処理前の残渣状態とほとんど同じ」を示す。また、表1のアルミニウム防食性において、○は「腐食なし」、×は「配線が細る又は表面が荒れている」を示す。
【0029】
表1中、略号は以下のとおりである。
DMAC:N,N−ジメチルアセトアミド
DMSO:ジメチルスルホキシド
DMF:N,N−ジメチルホルムアミド
DEGMME:ジエチレングリコールモノメチルエーテル
MEA:モノエタノールアミン
【0030】
【表1】
【0031】
表1の実施例において、フッ化アンモニウム、水、及び、水溶性有機溶剤からなる組成物に、成分(A)の化合物を添加することによりアルミニウム配線に対する防食性と高いレジスト残渣剥離性を両立する結果が得られた。比較例1及び2は、フッ化アンモニウム、水、及び、水溶性有機溶剤からなる組成であるが、成分(A)の化合物が添加されていないためアルミニウム配線の腐食が大きかった。比較例3は、水、及び、水溶性有機溶剤からなる組成物であるが、フッ化アンモニウムが添加されていないため、アルミニウム配線に対する防食性は優れていたが、レジスト残渣を除去することが出来なかった。比較例4〜10は、フッ化アンモニウム、水、及び、水溶性有機溶剤からなる組成物に、公知のアルミニウム防食剤を添加した例であるが、アルミニウムの防食効果は得られなかった。
【0032】
【発明の効果】
本発明は上述の構成により、本発明の組成物を半導体または液晶用の素子回路等の製造工程における配線形成時に生成するレジスト残渣の除去に用いることにより、レジスト残渣が高性能で除去されるとともに、剥離工程中及び剥離処理後の水洗工程における、基板上のアルミニウム等の金属配線の腐食を良好に防止することができる。
Claims (3)
- 一般式(2)で示される化合物が、ピラゾールである請求項1記載のレジスト剥離剤組成物。
- フッ素化合物(B)が、フッ化アンモニウムである請求項1又は2のいずれか記載のレジスト剥離剤組成物。
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