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JP4406330B2 - テンペ食材の製造方法 - Google Patents

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JP4406330B2 JP2004210446A JP2004210446A JP4406330B2 JP 4406330 B2 JP4406330 B2 JP 4406330B2 JP 2004210446 A JP2004210446 A JP 2004210446A JP 2004210446 A JP2004210446 A JP 2004210446A JP 4406330 B2 JP4406330 B2 JP 4406330B2
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Description

本発明は、大豆由来の副産物をリサイクルするテンペ食材の製造方法に関する。
「テンペ」は、「テンペ菌」を用いた伝統的な大豆発酵食品(以下テンペ発酵食品とする)であり、インドネシアを発祥の地として約400年前より食し続けられている。テンペ発酵食品は、栄養価が高いばかりか、米などの澱粉や大豆などのタンパク質の分解を促進するなど人体の生体機能を効果的に調節する有効な成分(イソフラボン、レシチン、γーアミノ酪酸等)を含有している。これらの成分の生体調整機能には、消化系機能(抗菌、抗ウイルス、抗毒、整腸)、生体防御系機能(感染防御、制癌、アレルギー症状低減化)、循環系機能(造血、降圧、抗血栓)、神経系機能(鎮静、食欲抑制)、ホルモン系機能(抗糖尿)などが挙げられ、テンペ発酵食品を摂食することにより上記生体調整機能の発現が期待されている。
一方、日本において、大豆を原料として「納豆菌」により発酵した「納豆」は有名である。しかし、非常に癖が強い食材であり、臭気や糸引性などにより摂食を敬遠する者が多い。また、摂食方法も生食に限定されているのが実情である。これに比して、テンペ発酵食品は癖が少なく味も淡白である。また、調理方法も煮る、揚げる、焼くなど、多種多様な摂食方法が可能であり、「大豆」よりも調理しやすく、食べやすいという優れた特徴を有する。
しかし、テンペ発酵食品は日本人には馴染みが少なく、「テンペ」という言葉すら理解されていないのが実態である。味や匂いに癖が少なく、様々な調理方法が可能なテンペ発酵食品の潜在的な需要度は殊の外高く、それ故に需要増大に結び付く製品化が急務である。
一方、畑の肉と称される大豆は納豆以外にも様々な食材に加工されている。蒸煮した大豆を絞って得られた豆乳ににがりを混ぜて豆腐に加工したり、生大豆を絞って大豆白絞油に加工したりしている。蒸煮した大豆の絞り粕である「おから」は、その極一部は食材や飼料等にも活用されているが、殆どが廃棄されている。また、生大豆の絞り粕である「脱脂大豆」も、一部は醤油の原料や飼料として利用されているものの、その多くは廃棄されているのが現実である。「おから」や「脱脂大豆」は高タンパクで多くの食物繊維を含んでおり、これらを食品として有効活用(リサイクル)することも望まれていた。
また、大豆は今や全世界で生産され、その生産量は、年間約1億6000万トンに及んでいる。そのうち、食用にはわずか10%程度が利用されているにすぎず、大部分は搾油され、油脂およびミールとして飼料用に利用されている。今後の世界的な食料問題を考えると、特に脱脂大豆の食品への利用(リサイクル)は重要な課題である。
そこで、大豆や種々の大豆由来の副産物を、生体調整機能を有する食品であるテンペ発酵食品に加工する方法が下記特許文献1〜4に提案されている。しかし、これらの方法では、脱脂大豆やオカラ、すなわち大豆由来の副産物の殆ど全てについてテンペ発酵食品にリサイクルすることはできなかった。
特開平4−34376号公報 特開平4−34377号公報 特開平4−72497号公報 再表01−093696号公報
本発明の目的は、脱脂大豆やオカラ、すなわち大豆由来の副産物の殆ど全てをリサイクルシステム化したことを特徴とするテンペ食材の製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するため、大豆、脱脂大豆、オカラの1種又は2種以上を原料として、大豆由来の副産物をリサイクルシステム化したことを特徴とするテンペ食材の製造方法とした。大豆由来の副産物として脱脂大豆やオカラがある。大豆、脱脂大豆、オカラのうち所望の1種又は2種以上を原料とすることで、大豆由来の副産物の殆ど全てをリサイクルして活用できるテンペ食材の製造方法となる。
このとき大豆は皮についても使用するテンペ食材の製造方法とすることができる。通常、大豆をテンペ発酵食品に加工する場合、皮は除去して廃棄されている。本発明ではこの廃棄される皮についても使用するのである。具体的には、大豆は焙焼した後、脱皮風選して胚芽含有大豆炒皮を除去した脱皮炒大豆を原料とし、前記胚芽含有大豆炒皮は前記脱皮炒大豆以外の原料に加えるテンペ食材の製造方法とするのである。より具体的には、大豆を焙焼後、脱皮風選して胚芽含有大豆炒皮を除去した脱皮炒大豆、並びに、前記胚芽含有大豆炒皮を脱脂大豆及び/又はオカラに加えたものを原料としてテンペ食材を製造する方法である。
ここで、大豆の焙焼は、乾燥生大豆を焙焼機内で連続的に移動しながら180〜220℃、5〜15分間程度、好ましくは200℃、10分間程度で行うことができる。大豆の焙焼方法としては、通常の炒り操作が可能な装置が利用でき、オーブンや、単なるフライパンを使用することもできる。本発明による方法で処理した原料から得られる大豆のテンペ発酵食品は、適度に焙焼することにより原料の持つ生臭さや苦味成分そのものが分解されたり、また発酵中に苦みの発生を促進するような物質の働きが抑制されて甘味成分が発現し、あるいは焙焼により得られる好ましい芳香効果及び黄色い鮮やかな色沢が加わって好ましい。
焙焼した大豆の脱皮風選は、乾燥状態の炒大豆を回転数の異なる2基のゴムロールの間隙を通過させて脱皮させた後に風力により吹き飛ばして選別して胚芽含有大豆炒皮と脱皮炒大豆とに分離することができる。通常行われている大豆の浸漬後の脱皮工程では、水中で大豆を揉むように混練して行い、皮は水流で浮き上がらせて取り除くが、大量の水を消費するし、大豆中に水分が多量に残っていると、水分調整をしなければならない。このような欠点は、焙焼後直ちに籾摺機のゴムロール間を通過させることで、解消できる。乾燥状態での脱皮風選であるから、皮部分の回収が容易で、これの再利用が可能となる。また、砂、小石、金属片等の分離も容易にできる。さらに、皮部分には胚芽も多量に含まれており、脱皮炒大豆や前記脱皮炒大豆以外の原料に合一すれば、大豆の一物全体食となり、栄養的にも優れたテンペ食品となり、廃棄物の排出もない。皮部分は脱皮炒大豆以外の原料である脱脂大豆やオカラに加えること、特に脱脂大豆に加えることが好ましい。これにより、テンペ食材の香味をより向上することができる。皮部分をオカラに加えた場合は、香味向上効果が若干少なくなる。
2種以上の原料それぞれを酸性水に浸漬する工程、酸性水に浸漬したそれぞれの酸性処理原料にテンペ菌を接種発酵する工程とからなり、前記テンペ菌を接種発酵する工程においてそれぞれの酸性処理原料毎に発酵するテンペ食材の製造方法とすることが好ましい。テンペ菌を接種発酵させる工程においてそれぞれの酸性処理原料毎に発酵することで、各原料を最適な条件で発酵させることができる。脱皮炒大豆は、酸性水に浸漬後、蒸煮後脱水放熱して蒸煮炒大豆としたものを発酵させることができる。
2種以上の原料それぞれを酸性水に浸漬する工程、該酸性水に浸漬した酸性処理原料を混合する工程、混合した酸性処理混合原料にテンペ菌を接種発酵する工程とからなるテンペ食材の製造方法とすることも好ましい。これにより、各原料を所望の割合で混合して一括して発酵させることができ、簡易なテンペ食材の製造方法とすることができる。脱皮炒大豆は、酸性水に浸漬後、蒸煮後脱水放熱して蒸煮炒大豆としたものを混合することができる。
テンペ菌をキナ粉との混合物として接種するテンペ食材の製造方法とすることも好ましい。通常、接種するテンペ菌の量は少量(約0.2%程度)であるので、接種するテンペ菌は炒大豆の粉末であるキナ粉で5〜10倍程度に増量した混合物を使用すると接種の均一化が図れ、良好な発酵食品となる。
テンペ菌を接種発酵する工程の後にテンペ菌を接種発酵したテンペ発酵原料の殺菌後工程を設けてなり、前記殺菌後工程は、発酵後のテンペ発酵原料を細粒としたものを所定形状のペレット又は顆粒に成形した後、乾燥テンペ発酵成形物とする工程であるテンペ食材の製造方法とすることも好ましい。テンペ発酵食品は通常湿性食品であるため賞味期限が短く冷蔵保存に限定されるが、乾燥テンペとすることで賞味期限も長期にわたり、保存性に優れたテンペ食材を供給できる。
テンペ菌を接種発酵する工程の後にテンペ菌を接種発酵したテンペ発酵原料の殺菌後工程を設けてなり、前記殺菌後工程は、発酵後のテンペ発酵原料を殺菌後に添加物や大豆以外の食材を加えて細粒としたものを所定形状のペレット又は顆粒に成形する工程であるテンペ食材の製造方法とすることも好ましい。様々な添加剤や食材をテンペ発酵原料に加えることで、テンペ食材に種々の味を付与することができる。
テンペ菌を接種発酵する工程の後にテンペ菌を接種発酵したテンペ発酵原料の殺菌後工程を設けてなり、前記殺菌後工程は、発酵後のテンペ発酵原料を殺菌後に刻んで細粒としたものに大豆白絞油を添加して所定形状のペレット又は顆粒に成形する工程であるテンペ食材の製造方法とすることも好ましい。大豆白絞油を添加して混合することで、ペレッター等の成形機で成形しやすくなる。このため、種々の形状に成形することが可能となりテンペ食材の高付加価値化が図れる。また、旨味や風味に優れたテンペ食材となる。
テンペ菌を接種発酵する工程の後にテンペ菌を接種発酵したテンペ発酵原料の殺菌後工程を設けてなり、前記殺菌後工程は、発酵後のテンペ発酵原料を殺菌後に刻んで細粒としたものを所定形状のペレット又は顆粒に成形した後、粉末化する工程であるテンペ食材の製造方法とすることも好ましい。テンペ食材を粉末化することで、パン等の添加剤に応用できる。
本発明のテンペ食材の製造方法により、脱脂大豆やオカラ、すなわち大豆由来の副産物の殆ど全てをリサイクルして活用することができる。
以下、本発明の実施例につき、具体的に説明する。図1は本発明のテンペ食材の製造方法の第一例を示すフローチャート、図2は本発明のテンペ食材の製造方法の第二例を示すフローチャート、図3は本発明のテンペ食材の製造方法の第三例を示すフローチャートである。図4は殺菌後工程の第一の他の例を示すフローチャート、図5は殺菌後工程の第二の他の例を示すフローチャート、図6は殺菌後工程の第三の他の例を示すフローチャートである。
図1に示すテンペ食材の製造方法の第一例の製造工程は、大きく分けて生大豆101を加工する群と、脱脂大豆201を加工する群と、オカラ301を加工する群とからなる。生大豆101を加工する群は原料生大豆101の焙焼工程10、焙焼した生大豆101の脱皮風選工程20、炒大豆102の洗浄後浸漬蒸煮工程30、蒸煮炒大豆105にテンペ菌を接種発酵してテンペ発酵炒大豆107とする発酵工程40、及びテンペ発酵炒大豆107の殺菌後工程50とからなる。脱脂大豆201を加工する群とオカラ301を加工する群は、脱脂大豆201又はオカラ301の酸性水浸漬工程62又は63、テンペ菌を接種発酵してテンペ発酵脱脂大豆207又はテンペ発酵オカラ307とする発酵工程41又は42、及びテンペ発酵脱脂大豆207又はテンペ発酵オカラ307の殺菌後工程51又は52とからなる。
まず、生大豆101を加工する群について説明する。生大豆101は粒状の生大豆、生黒大豆等皮付き大豆である。焙焼に先立って予備乾燥工程を経る場合もある。焙焼工程10は、生大豆101を複数のオーブンタイプの乾燥焙焼機内でバッチ連続的に移動しながら200℃、10分間程度焙焼し、次いで籾摺機等で脱皮風選して炒大豆102とする。生大豆101の焙焼方法としては、通常の炒り操作が可能な装置が利用でき、オーブンや、単なるフライパンを使用することもできる。
脱皮風選工程20は、焙焼後の大豆を脱皮させて炒大豆102と大豆から外れた胚芽粒と皮との混合物である胚芽・皮103とに分離する工程である。これは、皮が大きなフレーク状であるので、適当な大きさの細粒にするためである。細砕は乾燥状態の炒大豆102を回転数の異なる2基のゴムロールの間隙を通過させて脱皮させた後に、風力により吹き飛ばして選別して胚芽含有大豆炒皮(胚芽・皮103)と脱皮炒大豆102とに分離する。乾燥状態での脱皮風選であるから、胚芽・皮103の回収が容易で、これの再利用が可能となる。皮部分には胚芽も多量に含まれており、これを乳酸3%の酸性水浸漬で殺菌した胚芽・皮粉体104を蒸煮又は蒸煮せずに、脱皮した蒸煮炒大豆105に合一すれば、大豆の一物全体食となり、栄養的にも優れたテンペ食品となり、しかも廃棄物の排出もなくなる。
洗浄後浸漬蒸煮工程30は、脱皮後の炒大豆102又は該炒大豆102に加えて細砕した胚芽・皮粉体104を個々に又はこれらの混合物を水洗後3%乳酸酸性水に浸漬、蒸煮後脱水放熱して蒸煮炒大豆105とする工程である。胚芽・皮粉体104を加えることで、香味、栄養価ともに増大する。焙焼後の大豆は生大豆101と違って、浸漬による過剰水分の吸収が少なくて発酵前の腐敗がなく、良好な発酵条件が約束でき、柔和なテンペ食材の成形、乾燥工程でも容易に水分が蒸散される。また、脱皮炒大豆102の洗浄は水洗浄のほか、酢酸、乳酸、酪酸、酒石酸などの酸性水を用いる場合もあるが、乳酸は好ましい酸である。
乳酸添加浸漬工程は、きれいな水に水量の0.5〜5%の乳酸を添加して2〜3時間浸漬する。この浸漬により大豆粒のpHは下がりリゾプス属菌が良く繁殖し、雑菌が繁殖しにくい環境を作り出す。大豆の場合は水量の概ね1%の乳酸水溶液に浸漬するのが好ましい。浸漬するだけの本発明方法は、酸性水溶液中で水煮を行う従来の方法に比べて作業性、経済性が優れている。洗浄後浸漬蒸煮工程30の蒸煮は、大豆タンパク質を変性させ、リゾプス属菌を良く繁殖させるために行う。
テンペ菌を接種発酵する発酵工程40では、水切り脱水した蒸煮炒大豆105を放冷して中心温度が約35℃前後でテンペ菌を脱皮風選後の大豆をキナ粉化して、少量(0.2%添加)のテンペ菌を約10倍量のキナ粉に混ぜ、均等に分散する。その後、接種、発酵してテンペ発酵炒大豆107とする。発酵は30〜38℃の40℃以下の温度で行なう。40℃を越えるとテンペ菌は死滅するので32℃位の比較的低温で発酵させると、雑菌の繁殖が少なく、低温発酵が可能なリゾプス属菌のみを発酵させる環境となる。
テンペ発酵炒大豆107の殺菌後工程50では、テンペ発酵炒大豆107を加熱・殺菌後に冷凍製品108としたり、加熱・殺菌後のテンペ発酵炒大豆107を刻んで細粒としたものをペレッターで所定形状のペレット又は顆粒に成形後乾燥させ、顆粒・ペレット製品109とする。発酵は通常細孔が多数に空いたポリエチレン等の袋に入れて10mm前後の厚みに延ばした袋詰めとし、トレイに載せて恒温発酵室内で行う。したがって、得られる発酵後のテンペ大豆は板状のものとなる。これを加熱・殺菌後に冷凍することができる。例えば、日々の製造余剰分は細砕テンペの冷凍製品108として冷凍保存しておくことで、冷凍原料として販売したり、解凍して使用することができる。
次に、脱脂大豆201を加工する群について説明する。酸性水浸漬工程62は、脱脂大豆201を水量の0.5〜5%の乳酸水溶液に浸漬する工程である。脱脂大豆の場合は水量の概ね3%の乳酸水溶液に浸漬することが好ましい。テンペ菌を接種発酵する発酵工程41では、水切り脱水した酸性水浸漬済みの脱脂大豆201を中心温度が約35℃前後でテンペ菌を脱皮風選後の大豆をキナ粉化して、少量(0.2%添加)のテンペ菌を約10倍量のキナ粉に混ぜ、均等に分散する。その後、発酵してテンペ発酵脱脂大豆207とし、殺菌後工程51を経て顆粒・ペレット製品209とするのである。テンペ発酵脱脂大豆207を加熱・殺菌後、冷凍製品208としてもよい。また、脱脂大豆として、脱脂大豆に大豆粉末を全体重量に対して15〜25%混合し、この混合物を150〜170℃に加熱しながらエクスルーダーで加圧成形した脱脂大豆加工品を使用してもよい。脱脂大豆に大豆粉末を加えることで栄養価が向上する。脱脂大豆は通常水分含有率が50%程度と高く発酵させにくいが、150〜170℃に加熱しながらエクスルーダーで加圧成形することで混合物の水分量が10%以下となり、発酵させやすくなる。また、エクスルーダーで加圧成形することで、テンペ食材にしっかりとした食感を付与することができ、挽肉の代わりにハンバーグ等に配合した場合であっても十分な食べごたえを確保することができる。
オカラ301を加工する群も脱脂大豆を加工する工程と同様となる。オカラ301は豆乳成分が残存しているものを使用することが好ましいがこれに制限されない。以上の各群で生産された顆粒・ペレット製品109,209,309はそれぞれ別個に販売するか、これらを混合して販売することとなる。上記製造方法の第一例では、テンペ菌を接種発酵させる工程40,41,42においてそれぞれの酸性処理原料毎に発酵することで、それぞれ最適な発酵条件で発酵させることができる。
図2に示す本発明のテンペ食材の製造方法の第二例では、生大豆101を加工する群で得られた胚芽・皮103を細砕して脱脂大豆201に混合している。これにより、脱脂大豆201を加工する群で生産された顆粒・ペレット製品209の香味を向上することができる。生大豆101を加工する群で得られた胚芽・皮粉体104をオカラ301に混合してもよいが、本製造方法の第二例のように、脱脂大豆201に混合することが好ましい。水分含有量の多いオカラ301は脱脂大豆201と比して胚芽・皮粉体104を混合することによる香味の増大効果が少ないからである。本製造方法の第二例においても、各群で生産された顆粒・ペレット製品109,209,309はそれぞれ別個に販売するか、これらを混合して販売してもよい。
図3に示す本発明のテンペ食材の製造方法の第三例では蒸煮炒大豆105と胚芽・皮粉体104と酸性水に浸漬した脱脂大豆201と酸性水に浸漬したオカラ301とを混合して、これらの混合物を、テンペ菌を接種発酵する発酵工程4と殺菌後工程5を経て顆粒・ペレット製品009としている。これにより、各原料を所望の割合で混合して一括して発酵させることができ、簡易なテンペ食材の製造方法とすることができる。
図4は殺菌後工程5の第一の他の例を示すフローチャートであり、加熱・殺菌済みのテンペ発酵大豆等007を開封したものに、香味料、調味料、色素、食用油等の添加物や他の食材(添加物等64)を加える。香味料としては炒り胡麻等、調味料としては海洋酵母エキス等、色素としては山梔子の黄色色素等を例示できる。炒り胡麻は白胡麻や黒胡麻を炒ったものを目的に合わせて使い分けることができる。海洋酵母エキスは海水中の豊富なミネラルや有機酸類を海藻から吸収し、海藻の糖化による僅かな糖類を栄養源として繁殖した海洋酵母を原料としたものである。山梔子の黄色色素は山梔子の果実から抽出される天然色素である。
その後、細砕、混練を行ないペレッターで成形して乾燥後、顆粒・ペレット製品009とするのである。様々な添加物等をテンペ発酵原料に加えることで、テンペ食材に種々の味を付与することができる。また、乾燥テンペとすることで保存性に優れたテンペ食材を供給できる。図4において、添加物等64は細砕前に添加しているがこれに限定されず、例えば細砕後混練前に添加してもよい。しかし、添加物等64が比較的大きな塊状である場合には、添加物等を均一に分散させるため細砕前に添加することが好ましい。
図5は殺菌後工程5の第二の他の例を示すフローチャートであり、大豆白絞油65をテンペ発酵大豆等007の細砕後に添加する。その後、混練を行ないペレッターで成形して乾燥後、顆粒・ペレット製品009とするのである。大豆白絞油65を添加して混合することで、ペレッターで成形しやすくなる。このため、種々の形状に形成することが可能となりテンペ食材の高付加価値化が図れる。また、旨味や風味に優れたテンペ食材となる。
図6は殺菌後工程5の第三の他の例を示すフローチャートであり、図5のフローチャートにおいて乾燥させたテンペ発酵大豆等007を粉砕して粉末製品019とするものである。以上図4〜図6を用いて、殺菌後工程5の例を図3の殺菌後工程5に当てはめて説明したが、図1または図2の殺菌後工程50,51,52についても適用できる。
以下、実施例により更に具体的に説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。
実施例1
原料生大豆500gを乾燥して水分15%の乾燥大豆とし、これをフライパンに入れ200℃前後で約10分間焙炒し、狐色の炒大豆に炒り上げた。放冷後、籾摺機の2本の回転数を変えたゴムロールの間隔を約4〜5mmに調整して、その間を通過させて脱皮の後、風選した。脱皮炒大豆のほとんどは2分割され、かつ、胚芽の一部が外れて皮と共に分離された。炒大豆から風選により取り除かれた胚芽・皮は、破砕機(マスコロイダー)で細砕した。
次いで、脱皮炒大豆のみで2,3回水洗後、1%の乳酸水溶液1000g水洗後の脱皮炒大豆500gを入れ、酸性水処理2時間後、加熱煮沸を1時間してザルに移し、脱液、流水をかけ放熱して(35℃以下)重量約1kgの蒸煮炒大豆を得た。これにテンペ菌2gとキナ粉20g混合したものを入念に混合した。テンペ菌接種後の発酵原料を1cm間隔で0.5mm以下の小孔のある大きさ200mm×300mmのポリエチレン袋に入れて10mm位の厚さになるよう蒸煮炒大豆500g宛2枚の孔開きポリエチレン袋に入れて32℃湿度87%で、22時間、恒温室中で発酵してテンペ発酵炒大豆とした。発酵後、加熱殺菌するために、90℃で20分加熱した後、開袋して板状の発酵物を取り出し、サイレントカッターで破砕した後、大豆白絞油を15g添加し、ペレッターで吐出して、顆粒状(約1mmφ×3mm)にした。吐出時水分が40〜50%のものを次に冷風乾燥して最終10%以下の水分の顆粒製品にした。
また、脱脂大豆500gに、炒大豆から風選により取り除かれた胚芽・皮を細砕したものを15g加えて混合し、1%の乳酸水溶液1100gで酸性水処理を2時間行った。これにテンペ菌3.2gとキナ粉32gを混ぜ合わせたものを入念に混合してテンペ菌接種後の発酵原料を1cm間隔で0.5mm以下の小孔のある大きさ200mm×300mmのポリエチレン袋に入れて10mm位の厚さになるよう500g宛1枚の孔開きポリエチレン袋に入れて32℃湿度87%で、22時間、恒温室中で発酵してテンペ発酵脱脂大豆とした。発酵後、加熱殺菌するために、90℃で20分加熱した後、開袋して板状の発酵物を取り出し、サイレントカッターで破砕した後、大豆白絞油を15g添加し、ペレッターで吐出して、顆粒状(約1mmφ×3mm)にした。吐出時水分が40〜50%のものを次に冷風乾燥して最終10%以下の水分の顆粒製品にした。
さらに、オカラ500gを3%の乳酸水溶液800gで酸性水処理2時間後、ザルに移し、脱液した後、テンペ菌2gとキナ粉20g混合したものを入念に混合してテンペ菌接種後の発酵原料を1cm間隔で0.5mm以下の小孔のある大きさ200mm×300mmのポリエチレン袋に入れて10mm位の厚さになるよう500g宛1枚の孔開きポリエチレン袋に入れて35℃湿度87%で、24時間、恒温室中で発酵してテンペ発酵オカラとした。発酵後90℃20分の条件で加熱殺菌し、開袋、破砕後大豆白絞油を15g添加し、顆粒状(約1mmφ×3mm)にした。吐出時水分が40〜50%のものを次に冷風乾燥して最終10%以下の水分の顆粒製品にした。
得られた生大豆の顆粒製品は生臭さがなくなり、大豆臭が消えて香ばしさと甘味が増大し、焙焼処理の効果は明らかであった。また、脱脂大豆の顆粒製品は炒大豆から風選により取り除かれた胚芽・皮を混合したことにより香味に優れるとともに、大豆白絞油を添加した効果により旨味や風味に優れていた。オカラの顆粒製品も大豆白絞油を添加したことで旨味や風味に優れていた。得られた顆粒状のテンペ発酵食品を混合して、テンペ食材として販売することもできる。これにより、大豆由来の副産物の殆ど全てをリサイクルして活用するテンペ食材を製造できた。また、乾燥を行なっていない従来のテンペ発酵食品は室温で7日しか保管できなかったが、上記本実施例1の顆粒製品は、室温で半年以上保存ができるなど保存期間も大幅に改善された。
実施例2
前記実施例1と同様に原料生大豆500gを加工して重量約1kgの蒸煮炒大豆を得た。また、脱脂大豆500gに、炒大豆から風選により取り除かれた胚芽・皮を細砕したものを15g加えて混合した後、3%の乳酸水溶液1100gで酸性処理を2時間行った。さらに、オカラ500gを3%の乳酸水溶液800gで酸性水処理2時間後、ザルに移し、脱液した。その後、蒸煮炒大豆1kgと酸性水処理済み脱脂大豆500gと酸性水処理済みオカラ500gとを混合した。これにテンペ菌6gとキナ粉60g混合したものを入念に混合した。テンペ菌接種後の発酵原料を1cm間隔で0.5mm以下の小孔のある大きさ200mm×300mmのポリエチレン袋に入れて10mm位の厚さになるよう500g宛4枚の孔開きポリエチレン袋に入れて32℃湿度87%で、22時間、恒温室中で発酵してテンペ発酵炒大豆とした。発酵後、加熱殺菌するために、90℃で20分加熱した後、開袋して板状の発酵物を取り出し、サイレントカッターで破砕した後、大豆白絞油を45g加えペレッターで吐出して、顆粒状(約1mm×3mm)にした。吐出時水分が40〜50%のものを次に冷風乾燥して最終10%以下の水分の顆粒製品にした。
得られた顆粒製品は生臭さがなく、大豆臭が消えて香ばしさと甘味が増大した。大豆の焙焼処理の効果及び炒大豆から風選により取り除かれた胚芽・皮を混合した効果は明らかであり、業務用食材として広範囲の用途に利用でき、例えば、冷凍食品の練和材、魚肉、畜肉、野菜の加工品、具体的にはカボチャ、ジャガイモ、ハンバーグ、コロッケ、シューマイ、ギョーザ等に2%以下で混合して利用することができた。また、この顆粒製品を粉砕した粉末製品をパンや粉末カレーに2%程度混合して使用することができた。
本発明のテンペ食材の製造方法の第一例を示すフローチャートである。 本発明のテンペ食材の製造方法の第二例を示すフローチャートである。 本発明のテンペ食材の製造方法の第三例を示すフローチャートである。 殺菌後工程の第一の他の例を示すフローチャートである。 殺菌後工程の第二の他の例を示すフローチャートである。 殺菌後工程の第三の他の例を示すフローチャートである。
符号の説明
10 焙焼工程
20 脱皮風選工程
30 洗浄後浸漬蒸煮工程
40,41,42 発酵工程
50,51,52 殺菌後工程
62,63 酸性水浸漬工程
64 添加物等
65 大豆白絞油
101 原料生大豆
201 脱脂大豆
301 オカラ
102 炒大豆
103 胚芽・皮
104 胚芽・皮粉体
105 蒸煮炒大豆
106 テンペ菌
107 テンペ発酵炒大豆
207 テンペ発酵脱脂大豆
307 テンペ発酵オカラ
008,108,208,209 冷凍製品
009,109,209,309 顆粒・ペレット製品
019 粉末製品

Claims (4)

  1. 大豆焼後、脱皮風選して胚芽含有大豆炒皮を除去した脱皮炒大豆、並びに、前記胚芽含有大豆炒皮を脱脂大豆及び/又はオカラに加えたものを原料としたことを特徴とする、テンペ食材の製造方法。
  2. それぞれの料を酸性水に浸漬する工程、酸性水に浸漬したそれぞれの酸性処理原料にテンペ菌を接種発酵する工程とからなり、前記テンペ菌を接種発酵する工程においてそれぞれの酸性処理原料毎に発酵する請求項に記載のテンペ食材の製造方法。
  3. それぞれの料を酸性水に浸漬する工程、該酸性水に浸漬した酸性処理原料を混合する工程、混合した酸性処理混合原料にテンペ菌を接種発酵する工程とからなる請求項に記載のテンペ食材の製造方法。
  4. テンペ菌をキナ粉との混合物として接種する請求項1〜のいずれか記載のテンペ食材の製造方法。
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